中島聡が解説するディープラーニングの仕組みと、サム・アルトマン「The Intelligence Age」が描く未来
中島聡のLife is Beautifulディープラーニングとは何か、そしてそれが進むと生活や将来はどう変わるのか。エンジニアの中島聡がインタビュー形式でこの二つの問いに答えた。前半では、層を重ねた計算とパラメーターの更新という仕組みを、具体的な数値の例を使って説明している。後半では、AIの性能がかけた資源に応じて伸びるという「スケールの法則」を軸に今後の見通しを語り、最後にOpenAIのCEOサム・アルトマンのブログ記事「The Intelligence Age」をもとに作ったプレゼン資料を紹介した。
ニューラルネットを「深く」するということ
中島はまず、ChatGPTのようなAIを動かしているのはニューラルネットだと説明する。ニューラルネットは人間の脳を真似た仕組みで、ネットワーク上のニューロンとシナプスにあたるものをつなげて計算する。中島によれば、ここで重要なのは単に数を増やして横幅を広げることではない。深さ、つまり計算の段数を増やす必要がある。
計算の中身は行列計算である。パラメーターの数を増やすと行列が大きくなり、行列同士の計算が行われる。この行列のパラメーターを変えていくことが「学習」そのものにあたる。そして、計算を行うレイヤーを1段だけでなく複数段にしたものをディープラーニングと呼ぶ。ある計算をして、その結果をもとに次の計算をすれば2段階になる。それを5段階、10段階と深くしていくのがディープラーニングだ、と中島は説明した。
重み付けの例で見る「学習」
中島は学習の意味を簡単な例で示した。入力が x1 と x2 の二つあり、x1 を20%、x2 を80%の割合で足し合わせたものを答えにする計算があるとする。このときの 0.2 と 0.8 がパラメーターである。学習を通じて「0.2と0.8より、0.3と0.7のほうがいい」とパラメーターを調整していく。これが学習だという。
バックプロパゲーション:層を遡って修正する
この計算が多段になっている場合、学習はもう少し複雑になる。入力に対する出力が正解からずれていれば、パラメーターを直す必要がある。そこで出力側から逆向きに「この計算が間違っていたから、ここのパラメーターを少し変えよう」とたどっていく。
中島が強調したのは、多段の場合には1段戻るだけでは足りないという点だ。たとえば5段あるなら、5番目だけでなく4番目、3番目、2番目のパラメーターも書き換えたい。これを行う方法がバックプロパゲーション(誤差逆伝播法)である。計算段階が何層あっても、層を遡ってパラメーターを更新できる。これが今のAIの中核にあるディープラーニング、日本語でいう深層学習だ、と中島はまとめた。
聞き手はこの説明を、人間の脳の仕組みを真似て層をいくつも重ねて学習させることで賢くなる仕組みであり、バックプロパゲーションは層を遡ってパラメーターを調整するやり方だ、と言い換えて確認している。
スケールの法則と資源の競争
次に聞き手は、ディープラーニングが進むと生活や将来はどう変わるのかを尋ねた。中島はディープラーニングに限らず、今のAI技術全体の話として答えている。
中島によれば、研究を進める中で次のことが分かってきた。パラメーターの数を増やし、学習に使うデータや計算量を増やせば増やすほど、AIは賢くなる。これを「スケールの法則」と呼ぶ。この法則が成り立つということは、特別な発見がなくても、お金と電力をかけてトレーニングすればAIはどんどん賢くなるということだ、と中島は解釈する。
その結果、AI開発は、どれだけお金をかけ、どれだけ大きなデータセンターを使い、どれだけ電力を投じて賢いモデルを作るかという競争になった。中島はこの競争が今まさにエスカレートしていると述べる。さらに、ChatGPTを見れば分かるように、AIはすでに世の中にかなりの価値を提供している。そのためOpenAI、Microsoft、Googleなどは今後ますますお金をかけてトレーニングを進めるだろう、というのが中島の見通しだ。そうなればAIは日々の生活を支えるだけでなく、新しい科学的発見や発明も担うようになる。中島はこれを「今回のすごい話」と表現した。
聞き手は、AI企業同士の競争が激しくなり、より賢いAIが次々に登場することになると受け止め、未来が楽しみだと応じた。
「The Intelligence Age」の紹介
最後に中島は、サム・アルトマンが少し前に書いたブログ記事「The Intelligence Age」を取り上げた。AI時代とはどういうものかを論じた良い記事だとして、その内容をまとめたプレゼン資料を作り、動画で紹介している。以下はそのプレゼンが伝えるアルトマンの主張である。
アルトマンは、私たちがインテリジェンス時代の入り口に立っていると考えている。祖父母の世代の最も大胆な夢が普通に見えるほどの変化であり、わずか数千日のうちに、人間の能力と繁栄についての認識を塗り替えるスーパーインテリジェンスに到達するかもしれないという。
そのブレークスルーは「ディープラーニングは機能した」という短い言葉に要約される。このアルゴリズムはデータの分布を学習でき、驚くべきことに、計算能力とデータが増えるにつれて予測可能な形で性能が上がる。プレゼンはこれを、火を再発見したようなものだとたとえている。中島が前半で語ったスケールの法則と同じ話である。
アルトマンが描く具体像は次のようなものだ。個人専用のAIチームが協力して、思い描いたものをほとんど何でも作り上げる。学生はあらゆる科目、あらゆる言語で、一人ひとりに合ったペースで教えるAIチューターを持つ。医療、ソフトウェア開発、科学研究はAIの支援によって大きく変わる。これは単なる便利な道具の話ではなく、今は想像できないほどの共有された繁栄の話であり、すべての人の生活が今日の最高の生活よりも良くなる可能性がある。AIは創造し、助け合うという人間の自然な欲求を増幅し、互いに得をするポジティブサムの世界へ私たちを戻してくれる、とプレゼンは述べる。
インフラという課題と、平等化か分断か
一方でプレゼンは課題も挙げている。AIには大規模なインフラが必要だという点だ。十分な計算能力とエネルギーがなければ、AIは争いの原因となる希少な資源になり、富裕層だけが恩恵を受けることになる。AIを特権階級だけでなく全員の手に届けるには、十分なチップと電力システムを構築しなければならない。
アルトマンの描く未来では、AIが非常に進化し、さらに優れたAIの構築を手伝い、あらゆる分野で科学の進歩を加速させる。気候変動の解決、宇宙コロニーの設立、物理学の謎の解明といった成果が、インテリジェンス時代には当たり前になるという。
雇用市場の混乱などの課題もあり、慎重に乗り越える必要があることもプレゼンは認めている。ただし歴史を見れば、技術の進歩は今は想像できない新しい機会を生んできた。何世紀も前のランプ点灯夫が現在の繁栄を見れば驚くように、私たちも知能の時代から振り返ったとき同じように感じるだろう、というたとえが示された。
プレゼンは次の主張で締めくくられる。この先に進むには計算能力、エネルギー、そして人間の意思が必要である。私たちは今、AIのインフラとガバナンスについての決定が、この技術を人類最大の平等化装置にするか、最大の分断要因にするかを左右する重要な時期にいる。インテリジェンス時代はこれから来るのではなく、すでに始まっている。それをどう形づくるかが人類の未来を決める。
インタビューはここで時間切れとなり、プレゼンの内容について中島がさらに論評することはなかった。
こんにちは。中島です。インタビューを開始してください。
中島さん、今日は来ていただいてありがとうございます。じゃあ、例えばディープラーニングっていう言葉が出てきましたけど、それってもう少し簡単に言うとどんなイメージなんでしょうか?
ディープラーニングっていうのはね、どう説明したらいいかって言うと、今ね、みんなChatGPTとかあるけど、AIを作ってるメカニズムっていうのは、人間の脳みそを真似して、そのニューラルネットの中にはニューラルネットっていうのがあって、そこが計算してるんだけど、単にネットワーク上のニューロンとシナプスを繋げる。ただ数を多くして横幅を広げるんじゃなくて、深さも広げる、深くする必要があるんですよ。
あと、行列計算なのでパラメーターの数を増やすと、行列ってのが大きくなって、そこで行列同士の計算みたいなのができて、その行列のパラメーターを変えていくことが学習そのものに相当するんだけど、その計算をするレイヤーを複数段にすることをディープラーニングって言うんですよ。
1段階だけじゃなくて、複数段階にして、かつそこに向けて、その複数段階の、要はある計算をして、その結果を元にまた次の計算をしてっていう。そうするとね、2段階になるじゃないですか。それを5段階とか10段階とかって深くしていくことをディープラーニングって言うんだけど、面白いのは、そのディープラーニングをさせる時に、さっき言ったように、各段階でする計算に使うパラメーターそのものね。
例えば入力が2つあった時、x1とx2があった時には、それぞれに重み付け、要はx1を20%、x2を80%持ってくるとかで、足したのが答えみたいな時は、要はそのx1が20%、x2が80%っていう、その0.2と0.8っていうパラメーターそのものが学習によってどんどん変わって、いや、0.2と0.8じゃなくて0.3と0.7の方がいい、みたいなことをすることを学習って言うんだけど。
それが多段階になってるね。複数、ディープになってると、入力があって出力があった時に、出力がずれてるからパラメーターを直してもらおうと思って、今度は後ろに向かってね、じゃあこの計算、ここが間違ってたからここのパラメーターをちょっと変えよう、みたいなことをしながら学習していくんだけど、その時に多段階になってると、1段階戻るだけじゃなくて、例えば5段階あったら5番目だけじゃなくて、4番目も3番目も2番目もパラメーターを変えていきたいわけですよ。
そういうのをバックプロパゲーションっていう、また難しい名前が出てくるけど、そういうやり方をするんだけど、ニューラルネットの計算段階が複数あっても、レイヤーを遡ってパラメーターを更新することができるっていうのが、今のAIのコアになってるディープラーニング、日本語で言うと深層学習って言うんだけど、なんですよ。
じゃあ今の話を簡単にまとめると、ディープラーニングっていうのは人間の脳の仕組みをちょっと真似して、層をいくつも重ねて学習させることで、より賢くなっていく仕組みってことですね。その時に出てきたバックプロパゲーションとか難しい単語もありましたけど、要は層を遡ってパラメーターを調整していくみたいな感じなんですね。
じゃあ次の質問なんですけど、そういうディープラーニングが進むと僕らの生活や将来ってどう変わっていくんでしょうか?
ディープラーニングっていうか、今のAIのテクノロジー、ディープラーニングもその1つなんだけど、それをこれまで進めてきたら、あるところで分かってきたのは、パラメーターの数を増やし、かつ学習のために使うデータだとか、もしくはその時に計算する量っていうのを増やせば増やすほど賢くなるってことが分かってきたわけですよ。
もうこうなってくると、本当にいくらお金をかけてね、どのくらいでかいセンターを使って、どのくらいの電力を使って賢いのを作るかっていう競争になってて、今それがすごくエスカレーションしてるんだけど、このスケールの法則って言うんだけどね。
このスケールの法則があるっていうのが分かったっていうことは、要は特別な発見とかが必要なくて、とにかくお金をかけて電力をかけてAIをトレーニングすればどんどん賢くなるっていうことが分かって、かつ、ChatGPTを見て分かるように、かなり世の中に価値を提供するようになってるので、今後ますますその、OpenAIだったりMicrosoftだったりGoogleがお金をかけてAIをトレーニングすることにより、それらがどんどん賢くなって、僕らの日々の生活どころか、例えば新たな科学の発見とかね、発明とかっていうのをAIがするようになりますよっていうのが、今回のすごい話ですよね。
今お話を聞いていると、要するにAIってお金やエネルギーをかけて、大きなデータセンターでトレーニングすればするほどどんどん賢くなって、僕らの生活だけじゃなくて科学の発見とかにも貢献していくっていうことなんですね。めちゃくちゃ面白いです。じゃあこれからは本当にそういうAI企業同士の競争が激しくなって、どんどん賢いAIが出てくるってことですね。そう考えると未来がすごく楽しみになってきます。
今日はですね、少し前にサム・アルトマン、OpenAIのCEOの彼が書いた「The Intelligence Age」っていう、AI時代っていうのはどういうことなんだという、とてもいいブログの記事があるので、マルモキャストでちょっとしたプレゼン資料を作ったので見てください。
OpenAIのCEOであるサム・アルトマンは、私たちがインテリジェンス時代の入り口に立っていると信じています。これは私たちの祖父母の最も大胆な夢が普通に見えるような変革です。ほんの数千日で、人間の能力と繁栄に関する全ての認識を再構築するスーパーインテリジェンスを達成するかもしれません。
そのブレークスルーは3つのシンプルな言葉に要約されます。ディープラーニングは機能しました。このアルゴリズムは任意のデータ分布を学習することができ、驚くべきことに計算能力とデータが増えるにつれて予測可能なほどに良くなります。それはまるで火を再発見したようなものですが、今回はその炎が人工知能なのです。
想像してみてください。個人的なAIチームが協力して、あなたが夢見たほとんど全てのものを作り上げるのです。学生たちはあらゆる科目、あらゆる言語で、完璧なペースで個別指導を行うAIチューターを持つことになります。医療、ソフトウェアの作成、科学研究、全てがAIの支援によって変革されるのです。
これは単なるクールなガジェットの話ではありません。私たちの現在の想像を超えた共有繁栄についての話です。今日の最高の生活よりも、全ての人の生活がより良くなる可能性があります。AIは創造し、助け合うという私たちの自然な人間の欲求を増幅し、可能性が広がり、ポジティブサムゲームの世界に私たちを戻してくれるでしょう。
しかし問題があります。私たちには大規模なインフラが必要です。豊富な計算能力とエネルギーがなければ、AIは戦争の原因となる希少な資源となり、富裕層だけが利益を得ることになります。AIを特権階級だけでなく全ての人の手に渡るようにするためには、十分なチップと電力システムを構築しなければなりません。
アルトマンが描く未来には、AIシステムが非常に進化し、さらに優れたAIを構築するのを助け、あらゆる分野での科学的進歩を加速させることが含まれています。気候変動の解決、宇宙コロニーの設立、物理学の謎の解明、これらの驚くべき勝利はインテリジェンス時代において当たり前のものになるでしょう。
はい。雇用市場の混乱やその他の課題があり、それらを注意深く乗り越えていく必要があります。しかし歴史は私たちに、技術の進歩が今日では想像もできない新しい機会を生み出すことを示しています。何世紀も前のランプライターは現在の繁栄に驚くことでしょう。そして私たちも知能の時代から振り返った時に同じように感じることでしょう。
前進する道には計算能力、エネルギー、そして人間の意思が必要です。AIのインフラとガバナンスに関する決定が、この技術が人類の最大の平等化装置となるか、最大の分裂要因となるかを決める重要な時期に私たちは立っています。インテリジェンス時代は来るのではなく、すでに始まっており、私たちがどのようにそれを形づくるかが人類の未来を定義することになるでしょう。
ということなので。
ではそろそろお時間なので、今日はこの辺で。中島さん、ありがとうございました。見てくれた皆さん、ぜひチャンネル登録をよろしくお願いします。
ありがとうございました。
で。
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