テック大富豪は何から逃げようとしているのか 岡田斗司夫が読む『デジタル生存競争』
岡田斗司夫岡田斗司夫ゼミの読書特集回(2024年9月8日配信の第542回を再編集したもの)で、岡田はダグラス・ラシュコフの『デジタル生存競争:誰が生き残るのか』を取り上げた。岡田によれば、この本は世界の超富裕層から実際に相談を受けた学者が、その中身を内部告発に近い形で書いたものだ。富裕層は今、世界の終わりに備えて何を考えているのか。岡田は、世界を危険にしているのはプーチンや習近平ではなく、デジタル経済で富を得た新しい支配者たちではないかという本の主張を紹介する。そのうえで、この発想は自分たちにも無縁ではないとも語る。
著者ダグラス・ラシュコフという人物
本の定価は税込2200円。岡田は、冒頭の「はじめに」だけでも衝撃的なので、気になる人は書店で立ち読みしてほしいと勧める。
著者のラシュコフは、自らを「マルクス主義者のメディア研究家」と称している。岡田の説明では、シリコンバレーの知識人、いわば頭脳と呼ばれた人物で、デジタル経済学の第一人者だった。1980〜90年代にはシリコンバレーとIT産業を強く肯定し、これが人類を救う、これが未来だと熱心に説いていた。その人物が今は正反対のことを言っているので、アメリカで評判になっている。岡田はラシュコフを「グルのような立ち位置の人」と表現する。
この本の発表と同時に、ラシュコフはデジタル革命の推進者という立場から退いた。現在はニューヨークの大学で教えており、演劇などさまざまな分野を混ぜた授業を持っているという。
砂漠のリゾートへの招待
本の「はじめに」は、ラシュコフが5〜6年前に砂漠の真ん中の超豪華リゾートへ講演に招かれた話から始まる。金持ちからの依頼はどうせ、どの暗号資産を買うべきか、どの技術に投資すべきかといった、年中聞かれている退屈な相談だろうと考え、断るつもりだった。ところが報酬が年収の3分の1だった。アメリカの大学教授の年収の3分の1はかなりの額で、しかもビジネスクラスの航空券も用意されていたので、行くことにした。
岡田は、序盤の書きぶりが浮かれた調子であることを面白がる。ラシュコフは、ビジネスクラスではおつまみのナッツまで温かい、温かいナッツを食べたことがあるか、と書いているという。空港にはリムジンが迎えに来ており、砂漠を夕焼けまで3時間走り続けた。こんな不便な場所にリゾートを作って誰が来るのかと思っていると、横にプライベートジェットが着陸してくる。そこには専用の飛行場があった。このクラスの金持ちはビジネスクラスどころかファーストクラスにも乗らないのだ、自分が馬鹿だった、とラシュコフは思ったという。
本にはドバイのリゾートの写真が載っているが、「ここだとは限らない」と断り書きがある。岡田は、契約で場所を明かせないのだろうと推測する。誰も来ない砂漠に高い塀が巡らされ、チェックインのときも係員以外に人がいない。後で分かるのだが、巨大なリゾート全体が依頼主の貸し切りだった。部屋には専用の露天風呂があり、翌朝にはパタゴニアのフリースを着た二人組がゴルフカートで迎えに来た。
聴衆はたった5人の大富豪だった
講演会場として通されたのは、控室のような部屋だった。コーヒーを飲んで待っていると、一目で「こいつらだ」と分かるオーラをまとった、ラフな服装の男が5人入ってきた。客はこの5人だけで、講演というより1対1のQ&Aだった。
岡田は資産規模をこう説明する。かつての「ミリオネア」は資産100万ドル、日本円で1.5億円ほどで、日本にも割といる。そのためアメリカではもうミリオネアという言い方をせず、資産10億ドル以上の「ビリオネア」と呼ぶ。元ZOZOTOWNの前澤友作が1000億円ほどでビリオネアに少し足りないくらいなので、5人はそのあたりのクラスだろうと岡田は見る。さらに上には資産1兆ドル以上の「トリリオネア」があるが、まだ到達した人はいない。ただしここ数年のうちに何人か出てくると言われている。5人は全員男性で、IT投資やヘッジファンドの上層部の人間だった。
質問は「事件」の後の生き残り方へ
最初は予想どおり、暗号資産やどの技術に投資すべきかといった話だった。ラシュコフはやはり金にしか興味がないのかと思いつつ誠実に答えていたが、どうも自分が試されている気がしてきた。知識を測られているのではない。良心があるのか、善悪をどう考える人間なのか、どれほど慎重なのかを見られている。約2時間の面談のうち、最初の1時間はこのテストだったという。
1時間ほど経つと質問の方向が変わる。温暖化で移住するならニュージーランドかアラスカか。コロナのようなパンデミックが起きたら、どの土地がいちばん安全か。悪意ある国が病原体をばらまく細菌戦争と核戦争では、どちらのリスクが高いか。つまり核保有国と生物兵器を培養できる国の、どちらを警戒すべきか。シェルターを作るなら空気の供給システムはどうすべきか、地下水が汚染される可能性はあるか。ラシュコフは何でも知っているので、聞かれれば答えてしまう。
そして最後の本題に入る。「事件」が起きた後、どうすれば自分の警備隊への支配権を確立できるか、警備隊の忠誠をどう保てばいいか、という質問だった。岡田によれば「事件」とは、ラシュコフがこの後会う人々も繰り返し使う婉曲表現だ。環境破壊で地球に住めなくなる、核爆発が起こる、アメリカなどで大規模な内戦が起こる、第三次世界大戦が起こる、太陽嵐で地球上の通信が途絶えてデジタルデータがすべて消える、ウイルスが漏れ出してバイオハザードが起こる、世界規模のネットワークが崩壊する。そういった事態をまとめて指している。5人はこれを真剣に心配し、リゾートを貸し切って、世界でいちばん知恵の回る人物を呼び寄せたのだ。
首輪、食料庫のロック、警備ロボット
一人はこう言った。すでに海軍の特殊部隊と契約していて、事件が起きれば一定の人数が自分のシェルターに来ることになっている。しかし事件の後に暗号資産の価値がなくなり、報酬が信用されなくなったら、どうやって彼らの忠誠を保てばいいのか。彼らが想定しているのは、攻めてくる一般市民からシェルターを守ることだった。
富裕層はすでに自分たちで検討した案も持っていた。警備員に電子的な首輪をつけ、スイッチ一つで電流を流せるようにしたら、どれだけ忠誠を保てるか。自分しか開け方を知らない特殊なロックを食料庫にかけておけば、自分を殺しても食料が手に入らないので、警備員は忠実でいるだろうか。いっそ人間を排して警備ロボットを開発すべきか。
岡田は、ラシュコフと富裕層の世界の見え方の違いを説明する。ラシュコフにとって世界は、不安定でだんだん住みにくくなってはいるが、皆で守っていくものだ。一方、ある段階を越えた大富豪にとって、世界は終わりかけている。何がきっかけかは分からないが、終わることはほぼ確実で、そのとき自分たちだけがどう生き延びるかを真剣に考えている。本はここで、イーロン・マスクがなぜ火星を目指すのかという話につなげ、超エリートや支配者と呼ばれる人々は終末の日の救命ボートを欲しがっている、と書いているという。そしてこの5人は特別な存在ではなかった。講演の後、ラシュコフのもとには「あの人たちに呼ばれたのなら、うちの話も聞いてほしい」という企業や団体からの連絡が来るようになった。
デジタル経済は「そこそこ幸せな世界」を壊す
こうした人間を生み出すのは巨大資本主義であり、デジタル経済によって人はより非人間的になり、道徳性を失う。ラシュコフはそう書いている。岡田はこれを、ゼミで何度も扱ってきた例で説明する。
町に商店街があるところへ、ウォルマートのような巨大スーパーが来る。最初は便利だと歓迎されるが、巨大スーパーは安売りと価格競争で商店街を潰す。商店街がシャッター街になったところで徐々に値上げし、雇っていたアルバイトやパートの時給を下げていく。これは搾取的で悪いビジネスだが、それでも雇用は生まれ、人は働き、地方経済は存続できる。ところが、ウォルマートより品揃えのいいAmazonが現れて誰もがそこでしか買わなくなると、人々は販売員ですらなく、配達の下請けとして生きていくしかなくなる。より非人間的な仕事しか残らない。
商店街からウォルマートへ、ウォルマートからAmazonへ乗り換える理由はどちらも同じで、便利だからだ。その結果、仕事は自動化され、非正規雇用しかなくなり、地元のジャーナリズムや商店街が消えていく。人々はこの問題に気づいているが、便利で使いやすく、実際に自分たちも使っているので抵抗できない。
岡田は、Uberやタクシーアプリの「GO」のようなサービスを運営する人々について、人間らしさを修正すべきバグと見ている、という本の見方も紹介する。道を知らない運転手や態度の悪い運転手には、アプリ上で徐々に配車が回らなくなる。利用者にとっては外れを引かずに済むので便利だ。しかしそれは運転手を再教育するのではなく、仕事を回さず、破産に追い込むことを意味する。デジタルの力で便利で快適なものを届ける一方で、ついてこられない人を見殺しにし、さらに破滅させていく世界になっていく。
岡田はデジタル経済を、完璧でも十分に幸せでもないが、そこそこ満足で過ごしやすい世界を壊しながら進むゲームだと要約する。販売が通信販売だけになる、タクシーが配車アプリだけになる、店がネット予約者しか入れなくなる、ディズニーランドのように高い追加料金を払った人だけが楽しめるようになる。そうなると社会環境はどんどん壊れ、スラム化していくのは明らかだと岡田は言う。タクシー運転手から誇りを奪い、宅配ドライバーから仕事の生きがいを奪って一つでも多く速く運ぶよう強い、地元の商店街をすべてシャッター街にする。そんな社会では、ごく一部を除いて誰も得をしない。大金持ちにとってさえ住みにくい世界になる、と岡田は述べる。
21世紀型の支配者と「マインドセット」
本は、21世紀型の支配者と20世紀型の支配者を区別している。20世紀型は、政治家、財閥のトップ、大企業の社長など、私たちが思い浮かべる権力者だ。21世紀型は、IT企業の経営者やヘッジファンドのオーナーたちで、両者は価値観が根本的に違う。ラシュコフはその違いを無意識の思考パターン、つまり「マインドセット」と呼び、その説明に丸々一章を使っている。
エジプトのファラオやアレクサンダー大王は、土地を征服して支配しても、人が住めない世界になることは望んでいなかった。支配地がそれなりに繁栄してくれなければ困るからだ。一方、現代の征服者たちは、自分たちの行動の影響で世界が人の住めない場所になりつつあることを分かっている。IT系の巨大企業同士が競争しており、その競争は軍拡競争のように、世界を住みにくくしながら自分たちが巨大な利益を得るものになっている。人類がかつて経験したことのない段階の競争に、もう20〜30年前から入っている、と岡田は説明する。私たちはそれが見えず、いまだに世界の支配者を20世紀型だと思っている。しかしこのゲームは世界を住みにくくし続け、いずれ大金持ちにとっても住めなくなって終わる。それが先に述べた「事件」であり、生き残れるのはわずかなので逃げ出さなければならない。これが超富裕層の発想だという。
自分たちの中にもある「逃げる」感覚
岡田は、これは金持ちだけを批判する話ではないと強調する。自分たちを批判的に見れば、同じ感覚に覚えがあるはずだという。日本は夜でもコンビニに行けるし、子どもが一人で塾に行っても不安を感じない。だから移民を入れるべきではないと考える人は多く、近所に外国人が増えると不安になる。おいしい店はすぐ行列ができて入りにくくなるし、マナーを知らない観光客が押し寄せれば店は滅びると考える。ディズニーランドは客が増えると不快だから、自分は金があるのでもっと値上げしてもかまわないと思う人もいるだろう。今の幸せは続かないのだから、もっと金持ちになるか、いっそこのシステムが終わってしまえばいい。そう考える人は割と多い、と岡田は言う。「日本はオワコンだから海外に逃げよう」という考えも、そのバリエーションの一つだ。
億万長者も、日本は安全だがどんどん危なくなっている、ではどう逃げるか、という私たちと同じ発想をしているにすぎない。違うのは、自分は絶対に生き残れる、絶対に勝つと思っている点だ。マーベルのスーパーヒーローのつもりでいるが、ラシュコフに言わせれば実際にやっていることは悪役、ヴィランのほうだという。
「誰も信じない破滅」に賭ける人々
岡田は、IT企業やヘッジファンドのトップに共通する特徴を挙げる。彼らは皆、誰も信じなかった可能性に賭けて勝った人たちだ。PayPalのようなものは無理だ、ネットでの動画配信など無理だ、140文字しかやり取りできないSNSに意味があるのか。周囲がダメだと言うなかで夢に賭けて成功した。だから、世間が無理だ、起こりえないと言うことに非常に敏感だ。かつて誰も信じない成功に賭けた人々が、成功した後は不安だけが残り、今度は誰もまだ信じていない破滅に金を賭け始めている、と岡田は解釈する。
岡田はここで笑ってしまったことを詫び、彼らを愚かだと思っているわけでも肯定しているわけでもないと断る。そう考えるのは当然だろうと思ううえで、人間というもののやるせなさがおかしくて笑ってしまうのだという。彼らは自分たちの富の蓄積が世界を毀損し、破滅させつつあることを自覚している。そこがファラオやアレクサンダー大王との違いであり、だからこそ自分たちが作り出す世界の終末から逃れる方法を必死に模索している、と岡田は述べる。
世界を滅ぼすのはプーチンや習近平ではない
ここで岡田は序章の内容をまとめる。多くの人は、プーチンや習近平、イスラエルをめぐる戦争などが世界を危機に陥れると思っている。しかし今、世界を破滅させようとしているのは大金持ちたちだという。
その理由として岡田が挙げるのは社会性の違いだ。政治家、財閥のトップ、独裁者は、国民を所有している感覚、つまり多くの国民への責任感や所有感を持っている。ロックフェラーやモルガンのようなかつての財閥にも一族、つまり身内がいた。20世紀の支配者の周りには大勢の身内、仲間、関係者が群がっている。支配者は自分をトップに立ててくれた人や後を継いでほしい人との関係を調整しながら生きていた。
これに対して、国家や財閥を超える21世紀型の本物の支配者たちは、独身だったり、子どもがいても認知しているだけだったりする人ばかりだと岡田は言う。例に挙げたのは堀江貴文(ホリエモン)、前澤友作、ひろゆきで、結婚していても家族の規模が非常に小さく、巨大な一族がいない。だから一度決めれば、気を遣うべき家族も一族も同僚もほとんどいない。インドネシアやシンガポール、フランスのほうが得だと思えば移住するし、家を持たずホテル暮らしのほうがいいと思えばノマド生活もいくらでもできる。
私たちから見ればそれは自由で憧れの対象だ。しかし、一族や社会との結びつきをあまり持たない人が巨大な権力を持つとどうなるかは、人類の歴史で一度も試されたことのない社会実験であり、私たちはその時代に生きている、と岡田は語る。岡田は自分自身も、中田君なども含めて「自由に見える人」は同じだと認める。そのうえで自分がその中にあまり入らないのは、巨大な富に憧れがなく、それを手にする理由も予定もないからだと冗談めかして付け加えた。
終末ビジネスの実態:ミサイルサイロと12番目の惑星
第1章に入ると、ラシュコフは講演後に連絡してきた人々と会っていく。そこで彼は、講演のときには妄想に見えたものに対して、不動産業者などのサービスが意外なほど多く存在することに気づく。
岡田が画面で紹介したのは、シェルター会社ヴィヴォスのサイトだ。「人類のためのバックアップ計画」を掲げ、かつて核戦争用に作られたミサイルサイロを大量に買い取って、富裕層向けの住居に最適だと宣伝している。会員登録欄の下には、対応できる事態のアイコンが並ぶ。核戦争、バイオテロ、無政府状態、電磁パルス攻撃、太陽フレアによる世界中のデジタル機器の故障、ポールシフト(地球の自転軸が変わる事態)、隕石落下、世界的な大津波、そして太陽系に第12番惑星が現れた場合まであり、すべてに対策があるとしている。
岡田はここまで来ると面白いと笑う。私たちはそうなったらどうせ生きていけないと思っているので、無責任に、つまり冷静に考えられる。ポールシフトや12番目の惑星のことなど考えなくて済む。しかし大金持ちになるとそこまで考えなければならず、富裕層の集まりではこうしたことが陰謀論としてではなく真面目に語られているのだという。ゾンビが襲ってくる世界を描く海外ドラマがやたらと多いのも、向こうの人にとってはかなりリアルな話だからだったのだろう、と岡田は推測する。
コロナ騒動の後、プライベートアイランドの不動産業者には問い合わせが殺到した。ヘリポートがあり農業ができる島は世界にいくつあるのか、その争奪戦になっているという。ただしラシュコフに言わせれば、こうした相談をしてくるのは資産10億ドル程度の「低レベルの億万長者」だ。巨大シェルターや宇宙移民を本気で目指せるのは、資産1兆ドルを超えるトリリオネアだという。イーロン・マスクの宇宙移民の第1期メンバーになるために巨大な資産を築こうと考える人もいる、と岡田は説明する。
農園付きシェルターの経営者が恐れるもの
ラシュコフが会った人の中に、富裕層向けの農園付きシェルターを経営する人物がいた。岡田によれば、大金持ちが最初に買うのは何年分もの備蓄食料だが、それは持続可能ではない。持続可能なシェルターが欲しいとなると、ある程度の広さの土地で農場や牧場を経営することになる。世の中が終わり、パニックに陥った群衆による略奪の時代が来て、ガソリンもなくなり人類が原始時代に戻る。そこまでの100年か200年をやり過ごしてからシェルターの扉を開け、もう一度支配権を確立する。富裕層はそれを真面目に考えている、と岡田は言う。島一つが丸ごと農園になっているものもあれば、地下施設で太陽光なしに人工照明で農業ができると売り込むものもある。
この経営者のサービスには変わった仕組みがあった。平時のシェルターには警備員はあまり必要ない。しかし事件の後には、機関銃を持って外に立ち、食料を求めて押し寄せる暴徒を撃つ警備員が何百人も要る。常時雇えば費用がかさむ。そこでこの経営者は、近所の警官や軍人に「毎週日曜に遊びに来ませんか」「何かあったらここに逃げ込んでいい」と声をかけ、逃げ込んだ場合は警備をするという契約書を書かせたうえで、毎週農作業を体験してもらっている。岡田はこれを、頭がいいというか、えげつない発想だと評する。
ところが、ラシュコフと話したとき、この経営者の顔は浮かなかった。いちばん恐れているのは銃を持った暴徒ではなく、飢えた赤ん坊を抱いた女性が一人で門の外に立つことだという。そのとき自分は警備員に撃てとは言えないし、開けろとも言ってはいけない。そんな道徳的な問題に立ち会いたくない。雇う警備員も同じで、100人いれば30〜40人は撃ってしまえと言うだろうが、20〜30人は一人くらい入れてやれと言うに違いない。そうなれば規律は保てないし、自分はどちらの立場にも立ちたくない。経営者はそう正直に語った。
完全に隔離された安全なシェルターを作るより、そんな事態が来ない世界を作るほうがよほど現実的だ。シェルターを作っている当人が、リアルに考え抜いた末にそういう結論に達している。しかし誰も賛同してくれず、金持ちはそんなヒューマニズム的な答えには納得しない。だから浮かない顔でビジネスを続けている。岡田はそこが面白かったと語る。
海上都市と「ナノ国家」
さらに岡田は、シーステディング研究所の計画を紹介する。岡田はこれを「フランスにある」団体と説明している。海上に人工都市を作る構想で、フランス領ポリネシアで法整備が進められている。キャッチコピーは「人類は農業革命、産業革命を経験した。次は統治革命だ」。岡田によれば、その意味は、法律をどこまで無力化できるかを海上都市で実験することだ。
彼らが「ナノ国家」と呼ぶ構想では、共同体のルールを強制せず、家族ごとにルールがあり、それがその家の法律になる。ある家では近親相姦が違法ではなく、ある家では同性愛が違法ではなく、逆に別の家では同性愛が絶対に違法で、さらに別の家では人肉食すら違法ではない。家ごとにすべて違う小さな国家の集合体が、互いに敵対せずに統治し合う形を探るという。そういう段階にまで来ている、と岡田は述べる。
トリリオネア候補とバイオスフィアの失敗
岡田はこの本を読んで、今の世界には支配者が生まれつつあり、世界は彼らが儲かる形にまとめられつつあると感じたという。そしてその儲かる形とは、デッドエンドが見えている、終わりのあるゲームだ。ラシュコフは、破滅から逃れるには破滅させない仕組みを作るしかないと言う。しかし岡田は、それはあまり信じられないと留保をつける。
岡田は、5年以内にトリリオネアになると言われる7人を挙げる。テスラとスペースXのイーロン・マスク、Amazonのジェフ・ベゾス、投資家のウォーレン・バフェット、ルイ・ヴィトンの会長ベルナール・アルノー、インドのムケシュ・アンバニ、アダニ・グループのゴータム・アダニ会長、TikTokを運営するバイトダンスの創業者チャン・イーミンだ。現時点ではまだ1兆ドルに届いていないが、もうすぐ届くと言われているという。
こうした人々の計画を考えるうえで、岡田はバイオスフィアの例を出す。岡田の説明では、1970〜80年代に真剣に計画され、アメリカの砂漠の真ん中に完全な生態環境を作り、食物や生物を含む循環システムの中で、宇宙船内のような環境で人間が生きていけるかを試した実験だった。そして失敗に終わった。これを見れば人工環境は人間には無理だと考えそうなものだが、超富裕層は諦めない。皆が信じない未来に賭けて勝ち残った人たちなので、もっと投資して実験し、自分たちの賢いデジタルの仕組みを作ればまだいけるのではないかと思っている。岡田はこれを「金持ちの無理ゲー」と呼び、自分も無理だと思うが、その無理ゲーに付き合わされて世界が破滅するのだと述べる。
富裕層が本当に守りたいもの
近所の人を招いて農業に参加させる農園シェルターについて、岡田はそれは『フォールアウト』の世界だと言う。能力が高い人、家電を持つ人、軍人や警察官など、限られた人だけが生き残れるシェルターを作り、人類の良い部分を残そうとする。それはアメリカのディストピア物語の世界であり、あまり機能しないのではないかと岡田は考える。しかし支配者はそういう答えを望んでいない。『えんとつ町のプペル』で言えば、皆が信じない夢を信じ続けることが大事だと思っている人たちばかりだという。
それでも岡田は、彼らが最終的に望んでいることは意外にも私たちと同じだと指摘する。飢えた大衆や、自分たちが破壊した社会や、赤ん坊を抱えた母親を見ずに済ませたい。世界の終わりを作りながら、自分の娘にはその惨状を見せたくない。自分の中の綺麗なもの、それは自分自身の良心かもしれないし子どもかもしれないが、それを守るためならどんな手段でも使うと決意している。シェルター計画を進めながらも、妻や子どもにはそれを知られないようにし、嫌な部分を父親として、男として自分が引き受けようとする。岡田は、こうしたことに手を出すのが男性の金持ちばかりだと言われている点に、奇妙なマッチョイズム、男性性が表れていると述べた。
付記:ギズモードの記事と中国ショートドラマの「連鎖」
本編の後、岡田は関連する話題を二つ加えた。一つはウェブメディア「ギズモード」の8月14日付の記事「テック大富豪たち、第三次世界大戦に備えて避難所を爆買い中」だ。記事では、ある大富豪が、第三次世界大戦は中国・ロシア・イラン・北朝鮮の連合とそれ以外との間ですでに始まっていると語っている。また、中国が台湾を取りロシアがバルト海を取ったら、翌日には牧場に移ると妻と話がついている、というインタビューも載っている。岡田は、今日の話の実例のようだと紹介した。
もう一つは、同年6月26日に配信した「中国の縦型ショートドラマの闇」の回だ。ショートドラマの制作会社の社長は、俳優やスタッフをとにかく安く使い倒す。そうして低予算で大量に納品しなければ、バイトダンスなど発注元のテック企業からすぐに契約を切られるからだ。発注側の担当者が儲け主義の悪役に見えるが、その担当者も冷徹にコストカットを重ねて社内で上位に食い込まなければ切られる。さらにその上司や社長も、部下を監視して成績の悪い者をすぐ交代させ、業績を上げなければ株主や親会社から突き上げられる。
岡田は、情報社会の基本は勝者総取りであり、一握りの勝ち組に入らなければ全員が負け組になるので、少しも手を抜けないのだと説明する。この連鎖が業界を破滅に近づけ、同じ考え方が世界全体にも広がっていく。岡田はこれを冷戦期の米ソの核開発競争になぞらえる。少しでも開発や配備を遅らせれば相手に先を越され、攻撃されるのではないかという恐れが、核兵器を捨てられない原因だった。同じように、世界が破滅に近づいても、大金持ちたちは情報化のなかでどう生き抜くか、自分の行き場所をどう確保するかというチキンレースを始めているようだ、と岡田は語る。
最後に岡田は、自分は「サイコパス」なので、世界中の金持ちが競ってバンカー(要塞、地下壕、隠れ家)を作り合っていると聞くと面白いと感じると述べた。金持ちになって、たとえばハワイの島を丸ごと買って地下要塞を作ったから安心かといえばそうではない。常に逃げる準備をしているだけであり、そこが人間の面白いところだという感想で、無料部分の話は締めくくられた。
このチャンネルではですね、時々読書特集というのをやるんですね。普段いろんな本を読む中で、これ面白いと思った本のその面白い部分とか、僕が解釈した「こういう風に読めるね」とか「こういう風に僕は思うんだけどどうかな」とか、場合によっては本の内容に反論したりするような会をやってますんで、今日見てもらうのはですね、そんな読書特集の動画です。
おはようございます。岡田斗司夫です。いろんな本を紹介するといったんですけど、今回この無料部分で紹介できるのはですね、1冊だけなんですけども、『デジタル生存競争』という本です。「誰が生き残るか」というサブタイトルがついてるんですけども、ただこの1冊がですね、めちゃくちゃ面白いんですね。
簡単に言うとですね、世界中の大金持ちが今何を考えてるのかっていうのを、実際に大金持ちから散々悩み相談を受けた、すごい偉い学者さんがいるんですよ。これね、よくあるんで、カリスマ学者みたいな人って割と有力者とかセレブとか大金持ちから相談受けるんですね。で、その相談受けた人が多分ね、相手に承諾とかを得ずにですね、これ、向こうの気合いの入った物書きというか、学者の特徴なんですね。バンバンバンバン「こんな相談受けたんだ、あいつらこんなこと考えてるぞ」という風に、ある種内部告発的な意味を含めて書いた本です。ちょっと衝撃的な内容なのでですね、是非聞いてってください。
この動画ですね、2024年9月8日に配信した岡田斗司夫ゼミ第542回の、これは再編集したものです。動画が終わった後もですね、追加のアップグレード情報、割といいのがありますので聞いてってください。それではここから無料動画スタートです。
今日のお品書きです。今日もさっきも言ったようにね、読書特集で、1番最初はですね、『デジタル生存競争』って本をこれ無料で紹介します。で、限定の方ではですね、『ストーリーが世界を滅ぼす』っていう、これも両方とも海外本、翻訳本です。で、あと『死者は嘘をつかない』というスティーヴン・キングの小説ですね。これ6月に出たもんなんですけど。で、プレミアムではですね、さらに2冊、ノンフィクションですね。『月をマーケティングする』『月を盗んだ男』。あともう1冊スティーヴン・キングの小説『ビリー・サマーズ』とですね。今日合計で1、2、3、4、5、6冊紹介して、あとこんな本をですね、準備中というですね、ちょっと今この辺り並べてて、ちらっと見えるかな? この辺りちらっと見えますよね。ほとんど見えないな。ここら辺の方をですね、ちょっと色々話していこうと思います。
えっとね、じゃあね、この本からですね。よいしょ。
『デジタル生存競争』ですね。「誰が生き残るか」っていうですね、ダグラス・ラシュコフさんっていう人が著者です。定価2200円ですね。税抜き2000円、税込み2200円です。で、この本のですね、「はじめに」っていう部分だけでもかなり衝撃の内容なので、気になる人はですね、書店で立ち読みしてください。
で、「マインドセットとの出会い」っていうところから始まるんですけども、著者のダグラス・ラシュコフさんという人はですね、マルクス主義者のメディア研究家という風に自分でも言ってます。どんな人かって言うとですね、よいしょ。写真があるんですけども、WIREDで掲載された時のですね、本人の写真で、ちょっとおしゃれな感じですね。バスタブでこう横になって話してる感じかな。こんな感じです。
ま、こんな感じの人なんですね。シリコンバレーの知識人というか、シリコンバレーのもう本当に頭脳と呼ばれた人で、デジタル経済学の第一人者でした。実はですね、80年代から90年代ぐらいはですね、めちゃくちゃこのシリコンバレーに関して肯定的で、IT産業に関しても肯定的で、こういうのがですね、人類を救うんだとか、これが未来だという風に一生懸命言ってた人なんですね。だからその人が今それの正反対のことを言ってるので、結構アメリカでは評判になってるというかです。グルみたいな立ち位置の人ですね。
で、2022年にこの『デジタル生存競争』というのを発表したんですけど、これを発表と同時にですね、デジタル革命の推進者から撤退しています。現在はニューヨークでですね、最初はニューヨーク大学、その後ニューヨークのカレッジの方でですね、教えています。教えてるのは割とね、演劇とかですね、いろんなこと混ぜて教えてるの、何でもできちゃう先生なんですけども。
で、このダグラス・ラシュコフさんがですね、5、6年前だと思うんですけども、ものすごいリゾートに招待されたんですよ。超豪華な、場所は言えないんだけど、ある場所、砂漠のど真ん中にあるリゾートにてですね、講演依頼されたと。で、こんな金持ちからの依頼っていうのはどうせつまんない相談だろうと。暗号資産をどこを買うべきかとかですね、どの技術に投資すべきかとかですね、もうこんなことをですね、年がら年中聞かれてるんですね。で、多分そんなんだろうと思ってですね、断ろうと思ったら報酬がすごかったと。年収の1/3だったと言われるんですね。で、アメリカの大学教授のですね、年収の1/3って、かなり高いんですよね。
で、かなり高いのでですね、もうこれは心が動いて、おまけに飛行機はビジネスクラスの切符をもう取ってるっていうので、本人もですね、これはいいんじゃないかと思って行ったと。で、ビジネスクラスに乗っていったらですね、出てくるおつまみのナッツまであったかいと。「あったかいナッツを君たちは食べたことがあるか、すごいよ」っていう風に言ってるんですね。最初ははしゃいだ感じで始まるんですよ。
で、ビジネスクラスで空港に着いたと。そこにリムジンが迎えに来てて、で、リムジンに乗ってですね、移動すると。で、リムジンで砂漠の中を移動して、ああ、なんかさすが金持ちのリゾート地って離れた場所にあるんだなと思ったら、そのまま夕焼けまで走るんですよね。3時間ですね。3時間走ると。で、こんな不便な場所にリゾート作って果たして大丈夫なのか、誰が来るんだと思ったらですね、高速道路をずっと砂漠の中走ってると、横にプライベートジェットが着陸してくるんですよ。で、見たらプライベート飛行場というのがあるんですよ。で、もうああそうか、このクラスの金持ちはビジネスクラスとかファーストクラスにすら乗らないんだよ、俺がバカだったよって思いながらですね、それを見てるとですね、やがて砂漠の中のリゾートが見えてくると。
砂漠の中のリゾート。この本にはですね、「ここというわけじゃないよ」って言ってドバイのリゾートの写真が出てくるんですけども、多分契約で場所とか言っちゃいけないんでしょうね。「ここじゃない、こことは限らないからね」って言って出てくる砂漠のです。砂漠の真ん中のリゾートがすごいんですよ。もう周りがものすごい。こんな砂漠に誰も来ないのにですね、塀がずらりと、城壁がかかっててですね。
で、チェックインの時にですね、とにかく誰もいないんですって。で、後で分かるんですけど、その金持ちの貸切りなんすよ。このめちゃくちゃでかいリゾートが金持ちの貸切りでですね、誰も見ない。チェックインの時に係員誰も見ないで部屋に行ったらですね、自分専用の露天風呂があってですね、やっぱ専用の露天風呂ってなかなかすごいんですよね。
で、翌朝ですね、パタゴニアのフリースを着た2人組がゴルフカートで迎えに来るんですね。ゴルフカートだからですね、その自分が泊まってた部屋から講演会場まで距離があるんですよ。で、講演会場に連れてかれてですね、控室みたいな部屋に通されたと。あ、ここで待ってればいいのかなって、「コーヒー飲んでてください」っていう風に言われてですね、コーヒー飲んでたら部屋にですね、こいつらだと分かるオーラを持った、フランクな格好した人が入ってきたと。5人入ってきたんですね。
この5人が超大金持ちでですね。実はですね、その講演会場っていうのはその控室みたいな場所なんですね。客5人だけなんですよ。で、この5人だけで、すごいお金出して講演会頼まれたんですけども、講演会じゃなくて1対1のQ&Aなんですね。
で、どれぐらいお金持ちかと言うと、多分ね、資産1000億円クラス、いわゆる向こうでいうビリオネアですね、10億ドルですね。昔のですね、ミリオネアっていうのはですね、ミリオン、100万だから100万ドルなんですよ。つまり資産が1.5億円ぐらいで、これだったら日本人でも割といるんでですね、もう向こうはですね、このミリオネアという風に言い方しなくなってビリオネアって言うんですね。資産10億ドル、つまり1500億円以上ですか。元ZOZOTOWNの前澤さんが1000億円だから、ちょっとビリオネアには足らないぐらいですけど、多分その辺のクラスの方だと思います。で、それの上になるとトリリオネアって言って資産1兆ドルですね。1500兆円以上なんですけど、まだね、人類でそのトリリオネアになった人いないんですけども、この何年間以内に何人か出てくると言ってます。ま、ここら辺は後で話しますね。
で、5人ともですね、全て男性で、みんなですね、IT投資とかヘッジファンドの上層部の人たちだそうです。で、この5人で何の話をするのかと言うと、最初はですね、やっぱりな話題なんですよ。暗号資産とかですね、どの技術に投資すべきですかとか、そんな話が延々とされて、やっぱこんな話か、こいつら金しか興味ないんだなという風に思って、ま、それでもですね、一応それなりに誠意を込めて答えるとですね、どうもテストされてるみたいだと。
で、そのテストとは何かと言うと、自分がどういう知識を持ってるのかをなんか聞かれてるのかと思ったら違うんですね。なんかね、良心があるのかどうかですね。つまり良い悪いっていうのはどういう風に考えてる人なのかとか、あとどれぐらい慎重な人なのかっていうのをテストされてるような気がしたと。
で、本題にいよいよ入ると、2時間ぐらいの話だったんですけども、最初の1時間はそういうテストなんですよね。で、1時間ぐらい経った時にですね、「温暖化で移住すべき場所はニュージーランドですかね? アラスカですかね?」っていう風に聞かれるんですよ。で、はあって思ったら、次にパンデミックですね、コロナみたいなことが起こったら、どの土地が1番安全ですかっていう風に聞かれるんですよね。
で、細菌戦争、例えばそのコロナみたいな菌を悪い国がばらまいた時、細菌戦争のリスクと核戦争のリスクとどっちが高いですかと。つまり核兵器を持ってる国を我々は警戒すべきなのか、それとも細菌兵器を培養できるような国を警戒すべきなのか。で、そういう警戒する時にシェルターを作るとしたら、そのシェルターの空気供給っていうのはどういうシステム作ればいいですかとか、地下水が汚染される可能性ありますかと。この博士何でも知ってるのでですね、何でも聞かれたらその辺に答えるんですね。
で、どんどんどんどん変な質問になってきて、いよいよ最後の本題に入ってくんですよ。で、最後の本題っていうのは何かと言うと、「事件が発生した後」って言うんですね。「事件が発生した後、私の警備隊への支配権を確立するにはどうすればいいですか? 私の警備隊の忠誠心っていうのをどうすれば維持すればいいですか?」
で、この「事件」っていうのはですね、この後彼がいろんな人に会うんですけども、そういう人たちが何度も使う婉曲表現なんですね。事件っていうのは、例えば環境破壊で地球が住めなくなったりとかですね、核爆発が起こったりとかですね、大規模な内戦が例えばアメリカなりで起こったり、第3次世界大戦が起こったり、太陽嵐が起きて地球上の通信が全て途絶えてデジタルネットワークのデータが全て消えてしまったり、もしくはウイルスがですね、漏れ出してバイオハザードが起きたり、世界規模のネットワーク途絶があったりです。こういうことをですね、言ってんですよ、事件っていうのは。
こいつらが気にしてる。この5人の大金持ちが真剣に気にしていて、で、わざわざリゾートを予約して全部貸し切って、で、多分世界で1番の識者というかですね、知恵が回る人を呼び寄せて話を聞こうとしてるのはこういうことなんですよね。
で、その事件が発生した後ですね、例えばもう1人が言うんですよね。「すでに海軍の特殊部隊と契約してるので、何か事件があったら私のシェルターには海軍の特殊部隊のある程度の人数が来ることになってる。しかしその事件の後で暗号資産に価値がなくなった場合、つまり暗号資産として彼らに支払うギャラっていうものが信用できなくなった場合、どうやったら警備員の忠誠心を保てますか」っていう質問してくるわけですね。
その攻撃してくる一般市民の人からですね、シェルターを守ることを考えるんですよ。で、彼らが聞いてくるのは、すでに彼らがいくつか検討済みの答えがあってですね、例えばその警備員に電子的な首輪をつけるのはどうでしょうかと。首輪をつけて、私がスイッチ1つで首輪に電流を流せるシステムっていうのを用意してれば、どれぐらい忠誠心は保てますかと。あと食料庫に私しか開け方が分からない特別なロックをかけたら、そしたら私を殺しても食料が取れないから、彼らは忠誠を守るでしょうかとかですね。あと、人間ではなくやっぱり警備ロボットを開発した方がいいでしょうか。人間っていうのをゼロの状態にした方がいいでしょうかっていう風に言うんですね。
で、こういう人たちにとってですね、世界っていうのはもうすぐ、なんだろうな、ゾンビが発生して生きられなくなる世界っていう風に見えてるらしいんですよね。で、このダグラス・ラシュコフさんは世界というのをそんな風に見てなくて、不安定でなんかこうだんだん住みにくくなってるんだけど、みんなで守っていく世界っていう風に見てるんですけども、大金持ちのある程度行っちゃった人たちっていうのは、もうこの世界は終わろうとしていて、で、それは何がきっかけで終わるかわかんない、でも終わるのはほぼ確実であろう、そん時にどうやって私たちだけは生き残ればいいのだろうかっていうことを真剣に真剣に考えてるわけですね。
で、それはですね、ここでですね、イーロン・マスクはなんで火星を目指すのかっていうね、話になってくるんですけど、それはエリートたち、超エリートとかですね、支配者と呼ばれるような人たちっていうのは、その終末の日の救命ボートを欲しがっているっていう風に書いてあるんですね。
で、この5人はですね、実は特別じゃないんですよね。著者ダグラス・ラシュコフはここで講演、まあまあ本当に講演ですよね。たった5人でも講演っていうのをした後ですね、やっぱりこの業界でですね、「あ、ラシュコフさん、あ、彼らに呼ばれたんだ」っていうことでですね、企業とかですね、なんか団体からですね、連絡が入るようになったと。「うちのちょっと話も聞いてくれませんか? うちでこんなビジネスやってるんですけどもどうでしょうか」という風にコンタクト取ってくるんですけども、ま、そこの話は後からします。
ただですね、その巨大資本主義っていうのが、そういう人間を生んでる。元々そのデジタル経済によってですね、より非人間的になって道徳性を失うっていう風にこの人書いてるんですけど、どういう意味かと言うと、例えば町に商店街があると。で、何度もこのゼミで話したように、ウォルマートみたいな巨大なスーパーマーケットが出てくると、最初はですね、近所の人に便利だからと言われるんですけど、ウォルマートみたいな巨大なスーパーマーケットは安売りをしたり価格競争をしたりして近所の商店街を徹底的に潰すと。で、近所の商店街が全部シャッター商店街になったところで、彼らは徐々に値上げをして、それまで雇っていたバイトとかパートの人たちの時給を徐々に徐々に下げていくというようなことをするんだけど、それはですね、搾取的であり悪なビジネスだと。
ただそれであっても、ちゃんと雇用は発生するし人は働くし、シャッターになってもですね、まだそこの地方の経済っていうのは存続できるんだけども、より非人間的なAmazonになってしまったらどうなるのかと。ウォルマートより品揃えがいいAmazonというのが登場してしまって、そっからしかみんな物を買わなくなったら、もう今度はAmazonの販売員ですらないんですね。配達員の下請けになって生きてくしかないと。より非人間的な仕事をするしかなくなっていくという風に書いてあります。これがその巨大資本主義やデジタル経済によってより非人間的に、道徳性を失うという風に言ってる意味なんですけども。
で、この地方の商店街を使ってる人たちがウォルマートに乗り換える理由と、ウォルマートを使ってる人がAmazonに乗り換える理由はみんな同じなんですよ。便利になるからですね。便利になるんですけども、その結果仕事は自動化されてしまって、非正規雇用しかなくなって、で、地元ジャーナリズムとか商店街が消えてくっていう問題点に気が付いてるんですけども、便利で使いやすくて、もう現に僕らもそうですね、そういうの使ってるから抵抗できないんですよ。
で、こういうデジタル経済やってる人たちっていうのは、例えばUberとかもそうですし、あとタクシーだったらGOとかのタクシーアプリもそうですよね。こんな人たちは人間性っていうのを、人間らしさっていうのを修正すべきバグだという風に考えてる。例えばその道を知らないタクシーの運転手、効率の悪い、なんだろうな、態度の悪いタクシーの運転手というのがいるんですけども、そういう運転手には徐々に徐々に配車が回らないようになってくわけですね。
で、それは僕らにとっては便利な世界なんですよ。タクシーで道を知らない運転手とか態度の悪い運転手に当たることは、それは外れですから不便でしょうがなくて嫌なことなんですけど、でもそういう人たちが仕事ができなくなって破産させられるっていうのは果たしていいことなのかと。そういう人たちを再教育しようと言うんじゃないんですよ。そういう人たちをアプリの中でだんだんだんだん仕事が回らないようにしていくっていうのは、別にその人たちの人生に責任を持とうとかするんではなくて、よりデジタルな力で皆さんに便利で快適なものをお届けすると同時に、それについてこれない人たちっていうのをどんどんどんどん見殺しにして、見殺しにするどころか破滅させていくような世界になっていくんですね。
で、これね、今の完璧とは言えない、十分に幸せとは言えないかもしれないけど、そこそこ満足で過ごしやすい世界っていうのを破壊しながら進むゲームだと。デジタル経済っていうのは基本的にこれだと。何かがデジタル化する時、その何かが例えば通信販売だけになっちゃう。タクシーが配車アプリだけになっちゃう。お店が例えばネットで申し込んで予約者だけ入れる。もしくは、ディズニーランドもそうなんですけど、高い追加料金を払った人たちだけは楽しむっていう風にやっちゃうと、どんどんどんどん社会環境が破壊されていってスラム化していくっていうのは、これはもう明らかなんですね。
で、そういうそこそこ満足な世界っていうのを破壊しながら進むゲームであって、タクシーの運転手から誇りを奪って、宅配の運転手から仕事の生きがいを奪って、1つでも早くたくさん運べるように強制してる。地元の商店街が全てシャッター街になってしまったら、そんな社会になったら誰も得しないんですよ。その大金持ちですら、特定の業をやってる人しか得しないんですよ。どうにも住みにくい世界になっちゃう。じゃあどうすんのかですよね。
で、この本の中に書いてる21世紀型の支配者、つまり21世紀型の支配者っていうのは、20世紀型の政治家とか財閥トップとか大企業の社長、僕らが考える金持ちの権力者ですね。それと21世紀の支配者、IT企業の社長とかですね、もしくはヘッジファンドのオーナーたちは根本的に価値観が違うと。なんでかと言うと、マインドセット、無意識の思考パターンだと。このマインドセットを説明するのに丸々一章使ってるんですよ。
で、例えばエジプトのファラオとかアレクサンダー大王の時代と違って、現代の征服者たちっていうのは、自分が征服する行動の影響で世界は人の住めない場所になりつつあるっていうのが分かってるんですね。アレクサンダーとかファラオっていうのはですね、征服してその土地を支配しながらもですね、みんな住めない世界になることなんか望んでないんですよ。それなりに繁栄してくれないと困るんですけども、現代の大金持ち支配者たち、つまり21世紀型のIT系の金持ちたちはですね、そうは考えてないんですよ。
なんでかって言うと、IT系の大金持ちの企業同士がですね、競争してるからですね。で、その人たちがまるで軍拡競争のようにこの世界を住みにくくした上で自分たちが巨大な利益を得るというですね、かつて人類が経験したことのない競争の段階にもう20〜30年前から入ってるんですね。で、その結果今の世界っていうのはだんだん住みにくくなってるんですけど、僕らそれが見えなくて、相変わらず世界の支配者たちっていうのを20世紀型の支配者と思ってんですよ。
でも、まあまあ、もうちょっと後で説明しますけども、大金持ちにさえ住みにくい世界になってしまって、ゲームはいずれ終わってしまう。このゲームはさっきも言ったように競争ですから、世界を住みにくくして自分たちが利益を得るっていう競争をやってるんですけど、世界はどんどんどんどん住みにくくなって、いずれゲームが終わって、さっき言った事件っていうのが起こるわけですね。
で、事件が起こると生き残る人はわずかなんですけども、だから逃げ出さなきゃいけないと。これがその現代の大金持ちというかですね、超大金持ちの発想だったんですよ。
で、僕らもね、この感覚ね、知ってるんすよ。これ、金持ちを批判するだけじゃなくて、自分たち自身を批判的な目で見ると分かるんですけども、例えば日本は夜も安全な国ですよ。夜中にコンビニに行けますよね。子供が夜1人で学習塾に行ってもあんまり不安を感じない。だから移民を入れるべきではないって考える人すごく多いです。近所に外国人が増えたってなると不安になっちゃうわけですね。
で、美味しい店っていうのはあっという間に人が並んで入りにくくなっちゃう。バカでマナーを知らない客が押し寄せて、外国人の観光客が押し寄せちゃうと、そんなことやったら店なんか滅びちゃうよという風に考えるんですね。客が増えたら不快になるから、ディズニーランドは、俺は金があるんだからもっと料金なんか上がって構わないと思う人は結構いると思うんですよね。
だから今の幸せは続かないんだから、もっと金持ちになるか、もうこのシステムなんか終わっちゃえばいいんだ。終わりの日を待とう。この世界終わってしまえばいいんだっていう風に考えてる人って割と多いんですよね。日本はオワコンだから海外に逃げようっていうのもそれの一環です。マイナーバリエーションなんですね。
で、億万長者もですね、僕らが考えている「日本は安全だ、でもどんどんどんどん危ないことになってる、じゃあどうやって逃げるのか」っていうのと全く同じ発想してるに過ぎないんですよね。で、僕らと何が違うのかと言うと、「でも俺たちは、俺は絶対に生き残れる」っていう風に思ってんですよ。絶対に自分は勝つと思ってるんですよね。なんか自分をマーベルのスーパーヒーローかなんかだと思ってるんですけども、このラシュコフさんに言わせると、ヒーローじゃなくて悪役、ヴィランなんですね、実際やってることは。なんでかと言うと、現代は最終ステージに向かっていて、自分たちだけ生き残れるかどうかになってると。
で、そのIT企業やヘッジファンドのトップっていうのはどんな人かって言うと、みんな全員共通してるのは、誰も信じなかった可能性っていうのにかけて勝った人ばっかりなんですよ。こんなビジネスが成功するはずない、こんなことができるはずがないとか。PayPalみたいなものってそんな無理だよねとか、ネットワークで動画配信、そんなの無理だよねとか。なんか140文字しかやり取りできないようなネットワーク、SNS、そんなの意味があるのという風に、全部周りからダメだ、ダメだ、ダメだと言ってるのに夢にかけて成功した人たちばっかりなんですね。
だから世間的に無理と言われるもの、違うと言われてるもの、可能性がない、夢みたいだ、そんなことは起こり得ないということに関してかけたことで成功した人ばっかりだからですね、そこに関してはすごい敏感なんですよね。だから誰も信じていない破滅にみんな投資しつつあるって話なんです。かつて誰も信じてない成功にかけた人たちが、自分たちがもう成功したから不安が残ってるだけなんですね。そうすると、誰もまだ今信じてない破滅にみんな金をかけ始めてるってわけなんですよね。
ごめんなさい、笑っちゃって。僕はこういう風なことに関して彼らを愚かだと思ってるわけでもなんでもないですよ。そりゃそういう風に考えるだろうなと思って、人間というもののやるせなさがおかしくてしまう。人間ってなんて愚かで面白いんだろうという風に思っちゃって笑ってるんです。すいません。彼らを肯定してるわけでもなんでもないんですけども。
だから自分たちが富を蓄積しつつあることが世界を毀損している、いわゆる破滅させつつあるということをもう自覚してるんですね。これがアレクサンダー大王とかエジプトのファラオとの違いですよね。なので自分たちが競争して作り出す世界の終末、住みにくくなってる世界から自分たちが逃れる方法っていうのを模索、模索、模索してるんですね。
ちょっと1回ここでまとめます。もう時間が来てるんですけど、まだね、序章の部分なんですよ。本当に「はじめに」が面白いんですけども。みんなプーチンとか習近平とか、あと例えばユダヤ、まあまあイスラエルの戦争とかが世界を危機に陥れると思ってるんですけども、違うんですよね。今世界を破滅させようとしてるのは大金持ちたちなんですよ。
なんでかって言うと、政治家にしても、財閥トップにしてもですね、独裁者にしてもですね、みんな国民を所有してるんですね。つまりたくさんの国民に対して責任があるというかですね、所有感があるんですよ。で、かつての例えば財閥、ロックフェラーとかモルガンにしてもですね、一族がいるんですよ。だから身内がいるんですよ。20世紀の支配者たちには社会性っていうのがあるんですよね。
で、その政治家とか大企業のトップとかですね、財閥のトップにはものすごい人数の身内とかですね、仲間とか関係者が群がっていて、で、彼らっていうのはその中で関係性を維持しながら、調整しながら生きてる。自分をトップに立たせてくれた人とかですね、自分の後を継いで欲しい人とかに社会性っていうのをですね、持って関係しながら生きてるんですけども、21世紀型のですね、国家とか財閥を超える本物の支配者たちには社会性がですね。彼らは大体なんか独身か、子供がいても認知してるような人らばっかりなんですよ。
ホリエモンとか前澤さんを考えてみてください。ひろゆきを考えてみてください。結婚してても家族のサイズが恐ろしく小さいんですね。巨大な一族いないんですよ。なので彼らは一度こういう風にしようと決意したら、気を使う家族も一族も同僚もほとんどいないんですね。これは日本でやっているよりはインドネシア行った方が得だと思ったらインドネシアに移住しちゃうし、シンガポールに移住しちゃうし、フランスに移住しちゃうし、いやもう家なんか持たずにずっとホテルにいた方がいいよと思ったら、そういうノマドな生活ってのをなんぼでもやるんですね。
で、それは僕らから見たら自由であって憧れなんですけど、それは全く責任感がない、責任感がないって言ったらネガティブな言い方かな。一族とか社会性をあまり持たない人たちっていうのが巨大な権力を持てばどうなるのかっていう社会実験って、かつて人類の歴史上やったことがないですね。その時代に僕らは生きてるわけなんですけども。
だからなんか自由に見える人ですね。それはもう僕を含めて、ホリエモン、ZOZOの元社長の前澤さんもそうなんですけども、あとなんだろうな、中田君もみんな同じなんすけど、あとはあれか。うん。本当同じだ。自由に見える人って同じですよね。
なので荒れ果てていく世界から引きこもる先を探そうとしてるんですね。僕がその中にあんまり入らないのは、巨大な富というものに憧れは持ってないし、こっから先も持つ理由もなければ予定もない。悲しいことに予定もないんですよ、巨大な富っていうのはですね。なのでですね、彼らのように、なんか逃げ込める世界っていうのはあんまり探そうと僕は思ってないんですけども。
ということで、やっと第1章に入ります。「隔離の方程式」で、ラシュコフさんはですね、講演後、連絡を取ってきた人たちと会うんですけど、そんな中でですね、とにかく不動産屋とかですね、サービスがですね、意外なことに、この一見、講演を聞いた時は妄想に見えたものに対してですね、サービスが数多くあることに気がつきました。
で、そん中の1つがここです。えっと、ヴィヴォスのサイトなんですけども、「人類のためのバックアップ計画」っていうことで、ミサイルサイロがドンとあって、こういうかつて核戦争のためのミサイルサイロをうちは大量にいくつも買い取ってますと。ここに住みませんかっていうようなことでですね。ヴィヴォスではですね、こんなんですね。はい。大金持ちのですね、マンション利用にうちは最適ですっていう風にですね、宣伝してるわけですね。
で、このヴィヴォスだけじゃないんですけど、いろんなところがですね、本当に世界中にですね、こういう会社がいっぱいあるんですけども、あ、上の方にリンク出しました。ヴィヴォスのですね。割とあるんですけど、そん中でですね、著者が会ったのがですね、大金持ち用の農園付きシェルターっていうのをですね、経営してる人なんですよ。
そうなんすよ。大金持ちが買えるのは、最初は何年分の食料なんですけども、それはですね、なんだろうな、えっと、SDGsではないわけですよね。持続可能ではないわけなんですよ。SDGsなシェルターが欲しいとなると、もうある程度の面積の土地で、そこで農場経営して、牧場経営して、で、100年か200年、この世の中が終わって、パニックになった群衆たちがいて、一度人類が原始時代に戻って、略奪の時代があって、略奪の時代からガソリンとかがなくなって、みんな原始時代に戻ったところでやっと自分たちのシェルターのドアを開けて、そこでもう1回支配権を奪還しようと、もちろん考えてるわけなんですけども、これを真面目に考えてるところが面白いですね。
だから、僕らがSF的なドラマだと思ってることとかですね、そのゾンビが襲ってきた世界どうなるのかとかっていう海外ドラマがやたら多いと思ってるのは、あれが割と向こうの人にとっては実はかなりリアルな話だからだったんですね。
で、その大金持ちのですね、農園シェルターをですね、やってる人。もちろんそれは島1つで農園付きの場合もあるし、さっきの地下施設、こういう風な地下施設で、完全に太陽光なしで人工灯で農園ができますっていう風な売り込みのところも色々あるんですけども、そこはですね、ちょっと変わっててですね、非常時にはですね、近所の軍人とか警官が逃げてきて警備になるっていうですね、サービスを始めてるんですね。
つまり、その大金持ち用のシェルターなんですけど、普段は警備員があまりいないんですよ。必要ないからですね。巡回警備員とかがあまりいないんですけども、でも事件が起こった後、警備員は何百人も必要になるじゃないですか。機関銃を持った警備員が外にいてですね、近づいてくる人たちを撃たなきゃだめですよね。食料を求めて「ヒャッハー」ってやってくる暴徒とかを撃ち殺さなきゃいけないから、何百人も必要なんですよ。でもそれを常時雇ったら金がかかってしょうがないですね。
なのでその社長が考えたことは、普段から近所の警官とか軍人にコンタクトして、「毎週日曜日遊びに来ませんか」って言って、「何かあった時はここに逃げ込んでもいいですよ」と。で、「逃げ込んだ場合、ここの警備をすることを契約書に書いてください」という風にやってですね、彼らからですね、なんかこういう終末があった時、事件があった時に警備をやるという契約書を取った上で、毎週毎週来てもらって「農作業の経験をしてみませんか」というですね、すごい頭のいいというかですね、えげつないことを考えてるんですね。
で、しかしですね、その代表の人ですね、このラシュコフが話した時にですね、代表の顔が浮かないんですよ。なんでかって言うと、「我々が恐れてることは拳銃を持った暴徒ではない。暴れる暴徒ではない。1番怖いのは何かって言うと、飢えた赤ん坊を抱いた女の人が来ることだ」と。「飢えた赤ん坊を抱いた女の人が1人だけ門の外に立った時に、私は警備員に彼女を撃てとは言えない。でも開けろとは言ってはいけない。そんな道徳的な問題に私は立ち会いたくない」っていう風に言ってるんですね。
で、「私が雇うことになる警備員も同じだろう」と。警備員を100人雇ったら、そのうちの30人や40人は「いや、なんか若い娘が赤ん坊抱いてるって言って、撃っちまえ」っていうやつもいるだろうけども、同時に20人や30人ぐらいは「1人ぐらいいいだろう、入れてやれ」っていうやつもいるに違いないと。そうなるともう規律っていうのが絶対保てないし、私はどっちの立場にも立ちたくないっていう風に正直に言うんですね。
だから本当は完全な隔離策、安全なシェルターを作るよりも、そんなことが来ないような世界を作ることの方がよっぽど現実的だっていう風に言ってるんだけども、誰も賛同してくれないと。こういうシェルターを作ってる社長自身が、そういうことをリアルにリアルに考えると、そんな結論に達するんですね。でも金持ちはそんな、なんだろう、ヒューマニズムな回答には納得してくれないって言って、浮かない顔をしながらビジネスをしてるっていうのが面白かったです。
で、あとですね、このヴィヴォス、さっきの会社のですね、「さあ、会員登録をしましょう」という下に並んでるこのアイコンがすごいですよね。これずらっと。我々はこんな時代にも対応してる。このアイコンを押すとですね、そのアイコンごとのヴィヴォスのですね、対応策が出てくるんですけども、左からですね、核戦争、バイオテロ、あ、バイオテロ、バイオハザードで、テロリズムですね。無政府状態、電磁パルス攻撃、太陽フレアが起こった時、太陽フレアが起こって世界中のデジタル機器が壊れた場合、あとポールシフト、地球の自転軸が変わった場合、隕石が落ちてきた場合、世界的な大津波が押し寄せた場合、太陽系に第12番惑星が現れた場合っていうですね、こんだけいろんなバリエーションにして、全て我々は対応策を持ってるって言うんですけど。
いや、もうここまで行くと面白い。つまり、うん。これがね、超高級リゾートかでプレゼンされてるんですよ。だから僕らは、なんだろうな、そんなことになったらもう自分たちが生きていけないよって思ってるから、無責任に、イコール冷静に考えるんですね。だから地球のポールシフトとかですね、自転軸が変わったらとか、12番惑星が見つかったらなんてことは考えなくて済むんですけども、大金持ちになるとそんなことも考えなきゃいけないし、その大金持ちの集まりではこういうことが割と真面目にですね、陰謀論としてではなく語られてるんですね。
で、コロナ騒動があった後ですね、プライベートアイランドの不動産業者に問い合わせが殺到したそうなんですけども、ヘリポートがついていてですね、農業可能な島は世界中に今いくつあるのかと、それの争奪戦になってるそうですね。
で、そういうところにですね、アドバイスを求めてくるっていうのは、このラシュコフに言わせるとですね、低レベルの億万長者だと。つまり資産10億ドルですね、1500億円ぐらいの資産の億万長者っていうのは、まだこの業界では低レベルであってですね、資産1兆以上ですか、本気でですね、そういう巨大シェルターとか宇宙移民っていうのを目指せるのはですね、資産1兆を超えるトリリオネアっていう風に言うんですね。だからそういう人たち、つまりイーロン・マスクの宇宙移民の第1期メンバーになるために、自分の巨大な資産っていうのを作ろうという風に考えるわけですね。
で、現にですね、シーステディング研究所っていうのがあるんですけどもですね、海上に人工都市を作るっていうのです。で、そこはですね、フランス領のポリネシアでですね、法整備をスタートさせてですね、ポリネシアではですね、そういう場所ができるように今なりつつあるそうです。法整備から進んでいてですね。で、そこのキャッチコピーは「人類は農業革命、産業革命を経験した。次は統治革命だ」って言ってるんですけども、これどういうこと
かって言うと、法律っていうものをですね、どれぐらい無力化できるのかという実験を、あの海の上の都市でやろうとしてるんですね。ていうのはナノ国家と彼ら呼んでるんですけども、1家族ごとにルールがあると。で、その共同体のルールを強制できないのでですね、1家族ごとにルールがあって、それが法律である。
例えばこの家ではですね、その近親相姦は違法ではない。この家ではその同性愛は違法ではない。この家では逆に同性愛は絶対に違法だ。この家ではそのなんだろうな。人肉食って言い方変なんですけど、そういう風なものも違法ではない。この家ではそういうことは全部やってあげると家ごとに全部違う。そういう小さい国家、ナノ国家の集合体っていうのが、お互いをですね、そのなんだろう、敵視せずに統治し合うような形っていうのを探しましょうっていう風に言ってるんですけど、ま、そういう段階にまで来てるわけですね。
ま、あの、この本読んで僕感じたのはですね、世界っていうのはその支配者ですね。もう今の世界には支配者っていうのが存在しつつあってですね、その支配者によってこの世界っていうのは彼らが儲かる形にまとめられつつあって、その儲かる形っていうのは終わりのあるゲーム、デッドエンドが見えてるゲームであると。で、その破滅から、そういう破滅から逃れるには破滅させない仕組みしかないという風にラシュコフさんは言うんですよね。で、ま、それは僕あんまりね、ちょっと信じられないんですけども。
ただ、ま、一応5年以内にトリリオネアになると言われてる7人が、ま、この7人ですね。テスラ社の、スペースXのイーロン・マスク、Amazonのジェフ・ベゾスですね。で、投資家のウォーレン・バフェット。まだこの辺はですね、資産ですね、えっと、1兆に行ってないんですよね。数百億ドルか数千億ドルなんですけども、もうすぐ届くっていう風に言われてます。で、ルイ・ヴィトンの会長のベルナール・アルノーとかですね。あとインド、インド財閥のトップのですね、ムケシュ・アンバニさん。あとアダニ・グループのゴータム・アダニ会長。あとTikTokの中国、バイトダンスの創業者のですね、チャン・イーミンですね。この7人ぐらいの何人かが、トリリオネアに5年以内になるんじゃないかという風に言われてるんですけども。
ただ、ま、そのこういう人たちが考えるですね、計画っていうのは、その1970年代から80年代ですね、真剣にあの計画されたバイオスフィアっていうのがあるんですけどね、アメリカのもう本当に砂漠の真ん中に完全な生態環境を作って、で、そん中で全部、あのなんだろうな。えっと、食物からですね、生物から自らの循環システムを作って、宇宙船の中みたいな環境で人間が生きていけるかっていう実験やったんですけど、やっぱ失敗したんですよね。ダメだったんですよ。
で、こういうのを見ると、やっぱ人間とこういうのは人工環境ダメなんだなっていう風に考えるんですけども、超金持ちってのは諦めないんですよね。みんなが信じない未来に賭けて勝ち残った人たちですから。これまだいけるんじゃないかって思ってるんですよ。これにまだ投資したら、もっと実験したら、俺たちのクレバーなシステム、デジタルの仕組みを作ったらまだいけるんじゃないかなっていう風に思ってるんですよね。
で、こういうですね、金持ちの無理ゲーですか? ま、無理ゲーって呼んじゃいますよね。こういうの僕も、ま、無理だと思うんですけど、無理ゲーに付き合わされて世界は破滅すると。で、彼らに無理を、ま、続けさせるなっていうことが多分言うべきことなんでしょうけども、そのうーん、どうだろうな。
そのさっき話したその警備する農園に近くの人を招待して、彼らも農業に参加させるっていうですね。ニューヨークのその良心的なあのシェルター付きの農園の人がいてましたけど、それってフォールアウトの世界ですよね。つまり、能力が高かったり、家電を持ってたり、軍人とか警察官っていうそういう風な人たちだけが生き残れる世界っていうのを作って、シェルターを作ってそん中で人類のいい部分を生き残させるっていうのって、それはなんかアメリカのディストピアの世界で、うん、あんまり機能しないんじゃないかなと思ってんですけども。
支配者っていうのはそういう回答を望んでないんですね。あの、そうじゃなくて、こうやればいけますよっていうより、何でしょうね。その『えんとつ町のプペル』で言うと、みんなが信じてない夢を信じ続けることが大事だっていう風に思ってる奴らばっかりなんですよね。
で、もう、もうここら辺なんですけども、でもね、彼らがね、結局望んでるのは意外なことにですね、僕らと同じで、その飢えた大衆とか、自分たちが破壊させた社会とか、その赤ん坊を抱えた母親というのを見ずに済ませたいんですよ。あの、世界の終わりを作りながら、自分の娘にはその惨状を見せたくないと思ってるんですね。自分の中の綺麗なもので、それは自分自身の両親かもしれないし、自分の子供かもしれない。そういう風なものを守りたくて、そのためにはどんな手段も使うっていう風に決意してるのですね。
なんかその、そういうシェルターみたいなことを考えてやりながらもですね、自分の妻とか自分の子供には、そういう自分が考えてる計画とかをバレないように、なんだろうな、そんな嫌な部分っていうのを自分が引き受けて、父親として男として引き受けてやろうとしてるっていうですね。変なマッチョイズムというか男性性が出てるのが、そのこういうことに手を出すのが男性ばっかり、男性の金持ちばっかりだという風に言われてるとこですね。
お疲れ様でした。今日の無料はここまでです。なかなか濃い話でしたよね。限定はですね、また別の世界の破滅の話です。『ストーリーが世界を滅ぼす 物語があなたの脳を操作する』。あとスティーブン・キングの小説『死者は嘘をつかない』。プレミアムではですね、3冊の本を紹介しようと思います。
はい、お疲れ様でした。今日の無料動画ここまでです。あの、ギズモードというですね、ウェブニュース媒体があるんですけども、そこのですね、8月14日ですね、まあ2、3週間前のやつなんですけど、そこにですね、「テック大富豪たち、第三次世界大戦に備えて避難所を爆買い中」というですね、すごいタイトルの記事が載ってます。
で、そん中でですね、ある大富豪が語ってるのがですね、その第三次世界大戦はもう始まってるって言ってるんですね。で、どこで始まってるのか、ま、どことどこが戦ってるのかって言うと、中国、ロシア、イラン、北朝鮮の連合とその他でもう戦いが始まってると。で、すでにこの戦端は開かれたという風に言ってます。あと、あの、中国が台湾を取って、ロシアがバルト海を取ったら、私はもう次の日には牧場に乗り込むってことで妻とは話をついてるとかですね、そういうインタビューが載っている割とすごい記事なので、ちょっと今日の話のですね、あの、実例紹介みたいになったので、是非見てください。
で、今日の話、この本読んでですね、頭よぎるのがですね、今年のですね、6月26日に配信した「中国の縦型ショートドラマの闇」というですね、話なんですけども、そのショートドラマをですね、制作してる会社の社長はですね、俳優とかスタッフをとにかく安く使い倒そうとするんですね。で、そうやって安い予算で大量のドラマを納品しないと、テック企業のですね、上役ですね、バイトダンスとかそういう中国の大手なんですけど、そっからですね、あっという間に契約を切られちゃうんですね。
で、こういう風にこう言うとですね、その制作会社の上役であるテック企業の担当者が悪役ですごく悪いやつで儲け主義という風に聞こえるんですけど、ま、儲け主義なんでしょうけど、実際にですね、そのショートドラマ担当者の社長がちょっとでもごねたら、まあ多分ね、あの本当に首切られちゃうと思うんですけど、でもですね、そんなテック企業の担当者、つまり上役というのはですね、その冷静にコストカットを繰り返して、会社の中の成績でですね、上位に食い込まないと、やっぱ彼も切られちゃうわけですね。で、その担当者のさらに上司とかですね、さらに社長であってもですね、自分の部下を監視して、収益の悪いやつがいたらすぐに交換して企業全体の業績を上げないと、次は株主からですね、突き上げに遭うとかですね、さらに親会社から首になったりするわけですね。
だからなんかね、情報社会の基本って勝者の一人取りという風に言われて、勝者の総取りという風に言われてですね、一握りの勝者の中に、勝ち組の中に入らないと全員負け組になっちゃうんですね。そこがなかなか恐ろしい。だからあの少しでも手を抜けない。手を抜かずに、なんだろうな、冷徹になってでも売上が低いやつを切って切っていかないと生き抜いていけないわけですね。
で、この連鎖、この繰り返しでですね、この世界がどんどんどんどん破滅に近づいていくんだ、あるいは業界が破滅に近づくのと同時に、世界全体もこういう考えだったらですね、徐々に徐々に、じゃあもうあの核装備というか、それぞれの国が冷戦時代のようにですね、アメリカとソ連がですね、核兵器を持ってどうしてやめられないのかって言うと、あの少しでもこちら側が核兵器の開発を遅らせたり、配備をですね、あのゆっくりにしてたりすると、向こうがその間に配備進めて、そしてその次の瞬間に向こうに先に攻撃されちゃうんじゃないかという恐れが、ま、核兵器を捨てられない原因だったんですけど、これと同じでですね、世界が破滅に近づいてもですね、この大金持ちたちはその、なんだろう、情報化という中でですね、どうやって生き抜いていくのか、どうやって自分たちの行き場所を探してるのかという、なんか変なチキンレースが始まってるみたいなんですね。
で、えー、なんか僕はね、サイコパスなので、こういう話を聞くとですね、世界中の金持ちが争って、まあ、なんか自分の避難場所、バンカーって彼ら言ってるんですけどね、要塞とかですね、地下壕とかですね、隠れ家という風な意味なんですけど、それを作り合ってると聞くと、なんかこう面白いなというかですね。いや、金持ちになってそんなに着グを買って不安を買って、で、俺はなんかハワイの島を1つまるまる買ってそこになんか地下要塞を作ったから平気だって言って安心してるのかっていうと、そうではなくて、なんかいつも常に逃げてる準備をしてるだけみたいな話で、なんかこう結構その辺が人間の面白いとこだなと思っちゃいます。
ちなみにですね、そんな状況であっても、なんか、なんだろうな。いくら追い込まれてるとはいえですね、自分のことしか考えてない大金持ちは許せないという頭に来た人たちにですね、いいお知らせです。あの、来週はですね、ま、時代は違うんですけど、そのお金持ちがですね、大量にひどい目に遭うですね、『タイタニック』という映画がですね、金曜ロードショーでですね、全編で2週にわたって放送されるので、それについてはですね、タイタニックに関する動画をあげようと思います。
さて、今日見てもらったですね、動画のですね、続き、有料部分、有料会員のみの配信になってるんですけど、どんな話なのかというと、引き続き読書特集で、で、次はですね、『ストーリーが世界を滅ぼす』『死者は嘘をつかない』『月をマーケティングする』というですね、3冊の本を紹介しています。続きを見たい人はですね、YouTubeのメンバーシップ、ニコニコチャンネルどちらかに、あの、参加してご覧になってください。それではまた次の動画でお会いしましょう。じゃあまた、バイバイ。
記事公開
