トヨタの財務出身社長は吉か凶か 中島聡が語る懸念と「意外といい動きかもしれない」理由

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概要

トヨタ自動車の社長交代について、中島聡が自作のAIアシスタント「MulmoChat」と対話しながら考えを述べた動画である。中心にある問いは、技術で勝負してきたトヨタのトップに財務畑の人物が就くことが何を意味するのかだ。中島は当初、ビジョンの欠如や技術者離れを心配していた。しかし話を進めるうちに、トヨタが政府と組んで国内の産業基盤を育てるのであれば「意外といい動きかもしれない」と評価を改めていく。ただし、ハードウェアの生産を中国に任せることだけはしてほしくない、という一線は最後まで譲らなかった。

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AIアシスタントによる記事の要約

動画の冒頭で、中島は社長交代に関する記事をMulmoChatに渡し、画像入りのドキュメントを作らせて要点を解説させた。中島によると、この記事はPIVOTの対談番組を文字起こししたものである。

アシスタントの要約は次のとおりだ。まず交代の背景として、佐藤社長はトヨタ社長、日本自動車工業会会長、経団連副会長という三つの重職を兼ねて激務になっており、社外取締役からガバナンス上の懸念が指摘されていた。佐藤氏はトヨタ一社を超えて日本全体の産業競争力を高める活動に注力するため、交代を決断した。今後は高市氏の政権と組み、AIや自動運転などの戦略分野で日本全体のイノベーションを引っ張る可能性がある。中国メーカーの台頭に対しては、日本の自動車産業全体が協調と競争を使い分けて結束する必要がある。新社長の近健太氏はアジャイルな開発手法と「稼ぐ力」を重視し、その収益を自動運転やAIなどの次世代技術へ再投資する考えだという。注目点としては、トヨタが自動運転やAIとの融合に本格的に舵を切ること、そして得意のハイブリッドで足元の収益を上げつつ、中長期的にEVや自動運転のビジネスモデルを構築するという多角的な戦略が挙げられた。

これを受けた中島は、まず生成された画像の人物写真は「でたらめ」だと指摘した。プロンプトから生成しただけなので仕方がない、とも付け加えている。

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技術の会社のトップに財務の人が就くことへの疑問

中島が新社長は財務の人物ではないかと確認すると、アシスタントはそれを認めた。新社長は数字やお金の管理に強いことで知られ、自ら「お金と数字が好き」と語るほどで、稼ぐ力と再投資を重視するタイプのリーダーだという。

中島はここで、技術で勝負している会社のトップに技術者ではなく財務の人物が就くことに疑問を示した。理由は二つある。一つ目はビジョンの問題だ。技術者でない人は、日々お金のことを考えていて、技術の先を読むことを毎日のように考えているわけではない。そのためビジョンに欠けるのではないかと中島は心配する。二つ目は採用の問題だ。トップが技術者でない会社に優秀なエンジニアが集まるのか。特にこれからは、引っ張りだこのAIエンジニアを集めなければならない。文系の経営者がいる会社でそれができるのかは「すごい疑問」だと中島は述べた。

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政府との連携と「昭和的」な手法への違和感

佐藤前社長が経団連や日本自動車工業会の活動に力を入れることについて、中島はトヨタが政治的に動くという意思表示だと受け止めた。新しい政権と組んで国家戦略的な企業になるという意味では、理解できなくもないという。その例として中島は三菱重工を挙げた。三菱重工は国と非常に近い形で成功している会社であり、トヨタがそうした立ち位置を目指すのは分からなくはない。

一方で中島は、これを日本的な、昔ながらの護送船団方式のようなものとも捉えた。「社会主義」という言い方は変だと自分で言い直しつつも、昭和の日本のやり方に見え、今の時代にそれでよいのかという違和感を口にしている。

ソニーの出井体制との比較

中島が思い出したのは、ソニーで出井氏が社長になったときのことだ。出井氏も文系の経営者だった。中島が人から聞いた話では、当時のソニーでは文系の経営陣が引っ張り、技術者が現場で頑張るという構図の中で、文系と理系の間にゆがみが生じたという。さらに出井氏はソニーを保険や銀行といった金融事業の方向へ引っ張った。会社としてはそれで成長したのかもしれない、と中島は留保をつけている。

そのうえで中島は、トヨタにも同じことが起きる可能性を二つ挙げた。一つは技術者と経営側の間にギャップが生まれること。もう一つは、トヨタが銀行や不動産のような本来の仕事ではない領域へ進むことである。トヨタにはウーブン・シティの話もあるので、不動産という方向もありうると中島は付け加え、今回の人事がそうした会社への変化を示しているのかもしれないと述べた。

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ソフトウェア人材と生産技術への懸念

中島によれば、トヨタのすごさは生産、つまり改善を続けて良くしていく部分にあり、そこは評価できる。しかし、ウーブン・シティも含めて社会の「未来化」を進めるには、ソフトウェアやAIの技術が非常に重要になる。トヨタはそうした人材をあまり育ててこなかった、と中島は見ている。シリコンバレーに作った研究拠点(TRI)も、中島の見るところではあまりうまくいっていないようだという。

さらに中島は、トヨタが世界のリーダーだったはずの生産技術についても疑問を持ち始めたと語った。テスラが電気自動車を桁外れに安く作り始め、さらにコストを下げようとしている。トヨタは電気自動車で出遅れたうえ、メガキャストの件などを見ると、本当に生産技術で世界のトップにいるのかという疑問が湧いてきたという。

ありうる解釈:すべてを組み合わせて勝負する会社へ

ここから中島は、今回の人事について一つの解釈を示した。自動車のハードの生産はだんだんコモディティ化していくので、トヨタはそこを諦めるのかもしれない。たとえば車体はBYDなど中国の会社に作らせ、AIソフトはトヨタが大株主になっているはずのPreferred Networksのような外部に作らせる。トヨタ自身はそれを最終的にアセンブルして販売し、さらに不動産やインフラ整備の側で全体を牽引する会社になる、という構図である。

つまり、個別の製造技術やAI、自動運転で勝負するのではなく、それらを全部組み合わせたところで勝負する会社になろうとしている、という見方だ。中島は、これはまさにウーブン・シティの話であり、この解釈も「可能は可能」だと述べた。そうだとすれば、今回の交代は実はかなり大きな話なのかもしれないという。

製造を中国に任せることへの安全保障上の懸念

ただし中島が引っかかるのは、自動車の生産を中国に任せるような戦略が、トヨタとしてではなく、日本として、あるいは西側の国として正しいのかという点だ。安全保障上それで本当によいのか、という懸念である。

中島は、製造をトヨタ自身が担わなくてもよいと言う。子会社でも別会社でもよいから、日本に製造業を育ててほしいという立場だ。加えてロボットにも取り組んでほしいと述べた。ウーブン・シティのような未来社会を作るなら、電気自動車だけでは足りず、さまざまなロボット、特に人型ロボットが活躍する社会になるはずだからである。トヨタが最終製品に注力するのはかまわない。しかしハードや部品、素材をすべて中国に依存するのは、トヨタというより国の戦略として間違っていると中島は感じている。そこを日本国内で育てる政策を取ってほしいという。

この文脈で中島は、さきほど批判した昭和的な護送船団方式も悪くないのかもしれない、と言い直した。これまでトヨタのもとでガソリン車を作ってきた企業群がある。小さな会社も含めれば、おそらく何百、何千という規模になる。電気自動車なら中国が得意だからと単純に切り替えるのではなく、こうした企業群を、電気自動車や人型ロボットの部品・素材の供給元へと転換させることが重要だと中島は語った。特に、今は中国に大きく握られているレアメタルの精製などを日本で育てることは「ものすごく大事」だという。

話しながら変わった評価

中島は、そこまで含めたトヨタの戦略転換であり政府との連携であるなら、財務出身でウーブン・シティにも関わってきた人物をトップに置いたことは悪くないのかもしれない、とまとめた。話しているうちに自分の意見もだんだん変わってきたと認め、意外といい動きかもしれないと述べている。そのうえで、ただ一つ、「ハードは中国」という「情けないこと」だけはしてほしくないと念を押した。

中島がYouTube視聴者向けのまとめを頼むと、アシスタントは、トヨタの戦略転換は自動車製造から未来のインフラ整備や人型ロボットを含む広い領域へ広がる可能性があり、政府と連携しながら国内製造業を育てて外部依存に流れないことが重要だ、という趣旨で締めくくった。

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最後に残った新社長の名前の読み

動画の終わりで、中島は新社長の苗字の読みが「ちか」なのか「こん」なのかをアシスタントに尋ねた。アシスタントは「ちか」が正しいと断言したが、中島は「自信持って言うね」と、その答えをそのままは受け入れない反応を見せた。読みの問題は結論が出ないまま、動画は途中で終わっている。