KDDI SUMMIT 2026で何を見せるのか 経営企画部長が語るAI実装の現在地と通信会社の役割

YouTubeで開く ↗
概要

経済メディアPIVOTの番組「&RELEASE」は、KDDIの提供回として、2026年10月に開かれる「KDDI SUMMIT 2026」を取り上げた。ゲストはKDDI経営戦略本部 経営企画1部 部長の本郷郁子氏である。聞き手が問いかけたのは、日本企業のAI実装はいまどこまで進んでいるのか、通信会社のKDDIがなぜAIの中心に踏み込むのか、そしてサミットで何を体験できるのかという点だ。本郷氏は、多くの企業がAIを導入しながらも本業の変革には至っていないという認識を示した。そのうえで、データセンターと通信網を一体で提供し、パートナーと現場の課題を解いていくことがKDDIの役割だと説明した。

6分で読めます

イベントの概要

本郷氏によると、KDDI SUMMIT 2026は10月27日と28日の2日間、高輪ゲートウェイ駅直結の会場で開かれる。本郷氏はこれを「KDDIの手がけるAI領域の全てが結集するイベント」と位置づけている。近い将来の実用化を目指しているAIを実際に体験できるようにするという。

本郷氏は、KDDIには通信会社のイメージが強いと認めている。そのため展示では、通信を生かしたAIの事例に加え、ドローンや自動運転など領域を広げた取り組みも見られるようにすると述べた。聞き手は、直近の決算でもAIへの投資が大きく打ち出されていたという印象を語っている。

企業のAI導入は「使い始めたが成果が見えない」段階

聞き手はまず、ビジネスの現場で何が課題になっているかを尋ねた。本郷氏の見立てでは、一部の先進企業はAIを活用して華々しく見える。その一方で、多くの企業は実際にどう導入するのか、どんな変革を起こせるのかと悩み、不安を抱えている。

聞き手は、検討段階ではなくすでに使い始めているのに「入れたのにうまくいっていない」という声をよく耳にすると補足した。本郷氏もこれに同意する。社員にライセンスを配ってChatGPTなどを業務に使う企業は多い。しかし本郷氏は、それがまだ既存業務の延長線上にとどまっていると指摘する。どれほどの効果が出るのか、本業のビジネスにどんな変革を起こせるのかというところまでは、至っていないという。

その理由として本郷氏は二つを挙げた。一つは、多くの企業が大規模で数の多いシステムを抱えており、AIをどう開発し実装するかに悩んでいることである。もう一つは、実際に使う人のリテラシーの壁だ。こうしたさまざまな問題が現場で出てくることが背景にある、というのが本郷氏の説明である。

「頭脳」と「神経系」を一元的に提供する

通信会社は社会インフラへの責任を負わされているのではないか。聞き手がそう問うと、本郷氏は生活者の視点から語り始めた。自動運転の車、工場のAIロボット、ドローンなど、AIが使われる場面はこれから増えていくという見方である。

それを社会にしっかり組み込むには、安定したデータセンターでAIが運用されている必要がある。本郷氏はデータセンターを「頭脳」、それをユーザーに届ける通信を「神経系」にたとえた。そのうえで、海底ケーブルや宇宙通信を含むネットワークとデータセンターを一元的に提供できる体制を考えていると述べた。これは中長期を見据えた設計であり、将来にわたってAIを使いこなせるようにする狙いがあるという。聞き手はこれを、ハードとソフトのどちらか一方ではなく、両者をつなぐ役割だと受け止めた。

強みはパートナーと現場課題を解いてきた経験

他の通信インフラ企業との違いを問われると、本郷氏は「KDDIならではの仕事の仕方」として、パートナーと一緒に現場の課題に取り組む姿勢を挙げた。

例として示したのが、AI以前から手がけてきたコネクティッドカーである。自動車に通信モジュールを組み込み、通信を土台にサービスを広げる取り組みで、大手自動車メーカーと世界規模で動かすプラットフォームを担ってきたという。本郷氏は、開発そのものが大変だったうえ、始まった当初は運用・保守・監視に至るまで現場で課題が次々に出てきたと振り返る。それを一つずつ解決していく過程で、顧客の課題を解決する能力が社内に蓄積された。本郷氏はこの経験を強みとして語っている。

ローソンと進める町の見守り

続いて本郷氏は、ローソンとの取り組みに触れた。災害対策としてのドローン配置や、コンビニ利用者が安心して使えるサービスを提案しているという。

具体例として紹介されたのが、大阪府池田市の「ハッピーローソンタウン」だ。敷地内にドローンが配置され、近隣の子どもが帰宅するときなどに上空から安全を見守っている。本郷氏は親の立場から、夏なら熱中症で倒れている子がいないか、ちゃんと帰ってくるかと心配になると話し、町の安全をローソンと一緒に守る取り組みだと説明した。ローソンは店舗だけでなく「タウン」を掲げているため、店の外まで含めて一緒に取り組めるのが醍醐味だという。聞き手はこれを、店内にとどまらずIoT技術の導入が進んでいる例として受け止めた。

目玉はGemini搭載ヒューマノイド、ドローン点検、自動運転

サミットの展示で本郷氏が目玉の一つに挙げたのは、Gemini搭載のヒューマノイドである。飲食店などでの利用が見込まれており、自動で顧客対応を行うという。聞き手は自身の接客アルバイト経験に触れ、そうした仕事がヒューマノイドとの協業になる可能性を話題にした。本郷氏もこれに同意している。

ほかに、AIを活用したドローンによるインフラ点検のデモがあり、会場では自動運転の体験も予定しているという。

通信遅延と自動運転をめぐるやりとり

自動運転について、聞き手は「遅延が起きれば事故になる」という差し迫った課題があり、それを支えているのがKDDIなのではないかと投げかけた。

本郷氏はこの前提を修正した。遅延が単純に事故に直結するわけではない、というのが本郷氏の答えである。自動車メーカーも苦労を重ね、通信がなくても事故が起きないような研究を進めている。そのうえで、低遅延の通信があれば快適性や利便性が高まり、より高度なことができるようになる。KDDIとしてはそこを追求していきたい、と本郷氏は述べた。

対象は「AIの実装に悩む人」、テーマは人間が主役

サミットに来てほしい人について、本郷氏は、ビジネスの現場でAIの活用に悩んでいる人や不安を抱えている人など、幅広い層を挙げた。そして、未来でも主役は人間であり、人間がAIを使いこなしていくと語った。一人ひとりが輝けるようにすることが今回のイベントのテーマでもあり、そこに向けて価値を創出することがKDDIの追求するところだという。

多数のセッションについては、単なる技術紹介ではなく、それを現場でどう使うかを重視したと本郷氏は説明した。異色の組み合わせの対談も用意しているという。AIの時代に何が一番大事になるのかという気づきと、技術そのものへの理解の両方が得られる内容を詰め込んだとしている。

KDDI×PIVOTの特別セッションと参加方法

サミットでは、KDDIとPIVOTによる特別セッションも予定されている。テーマは「AIトレンド最前線」で、梶谷健人氏とKDDI事業開発部部長の高橋明子氏が登壇し、番組の聞き手がMCを務める。期待してほしい点を問われた本郷氏は、社内でも楽しみにしている人が多いと答えた。

参加はKDDIのサミット特設サイトから申し込む。オンラインで視聴できるコンテンツも用意されているが、本郷氏はデモを十分に体験するには会場に来てほしいと話した。参加費は無料だという。