冨永愛と坂本花織が語る「内なる強さ」:直感で選び、自分を信じ、揺れを引き受ける

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概要

ティファニーのキャンペーンテーマ「Inner Strength(内なる強さ)」をめぐり、俳優・モデルの冨永愛とプロフィギュアスケーターの坂本花織が語り合った。進行はJ-WAVEナビゲーターのクリス智子である。会場は、前年7月にアジア最大の旗艦店としてオープンし、1周年を迎えた「ティファニー 銀座」。人生の岐路でどう選んできたか、プレッシャーや比較の中で何を拠り所にしてきたか、自分らしさとは何か。世界の舞台に立ってきた二人が、それぞれの経験をもとに話した。

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初対面の二人と、ジュエリーに囲まれた空間

冒頭で、それぞれが店の印象を語った。冨永はオープニングのときにも訪れており、もう1年が経ったのかと感慨を覚えながら店内を眺めていたという。美しいジュエリーに囲まれた空間を歩くのは日常とはまったく違う感覚で、楽しいと話した。坂本は、こうした場所に来る機会は少ないため、脳が本能的に「これが好きだ」と反応し、どこを見ても素敵だと目を奪われていたと笑った。

三人は収録前に楽屋で盛り上がっていたそうだが、冨永と坂本はこの日が初対面だった。冨永は画面越しにずっと坂本を応援してきたといい、楽屋でも伝えた「幸せと感動をありがとう」という言葉を改めて口にした。坂本も、冨永は画面の向こうにいる存在で、生きているうちに会える日が来るとは思っていなかったと喜んだ。

ハードウェアが象徴する「強さ」

二人はティファニーの「ハードウェア」コレクションを身につけて登場した。クリスによれば、このコレクションは1962年のデザインに着想を得たもので、力強い愛をテーマにしている。誕生の地ニューヨークが象徴する不屈のエネルギーや自由も表現しているという。見た目は力強いが、ボールで留める仕様などもあり、上品に着けられるとクリスは説明した。

冨永は、ハードウェアの良さは今日のテーマにぴったりの「強さ」を兼ね備えている点だと話した。そのうえで、自分は見た目が強いのでよく合うのではないかと「勝手に思っている」と笑った。坂本は冨永とは違い、ワンポイントで身につけていた。角度によってハートの形に見えるところが気に入っているという。

「内なる強さ」という言葉をどう受け止めるか

「Inner Strength」という言葉がどう響くかと問われ、冨永は「しなやかさ」を挙げた。内に秘めたしなやかさであり、外から見た印象とは違う柔軟さだという。冨永は先ほど自分の見た目が強いと言ったことにも触れ、この言葉は外側だけの話ではないと述べた。心や、魂と呼ぶべきかは分からないが、もっと内側のことなのではないかという。

坂本は、強い芯のようなものが自分の内側にあり、それが自分の軸になっていることが内なる強さだと答えた。二人とも言葉にするのは難しいと認めた。クリスは、軸としなやかさに加えて、生き方の姿勢や自分なりの眼差しを持っていることも含まれるのではないかと付け加えた。

互いに見る「強さ」

初対面の二人に、相手の内なる強さをどう感じるかという質問が向けられた。坂本は冨永について、実際に会うとオーラからそれが伝わるほど強く太い軸がある一方、その周りに柔らかさもある素敵な女性だと話した。どんな自分でも受け入れて「これが私だ」とする姿勢がかっこいい、ありのままでいるように見える、とも語った。冨永は、自分ではそういうつもりはないような気もするが、そう言ってもらえて嬉しいと応じた。

冨永は坂本について、4年に一度のオリンピックという目標を定めて向かっていく過程のすごさを挙げた。さらにリンクに立つときの心の強さこそ、内なる強さの賜物ではないかと話した。しかも、その状態で笑顔でいることに驚いたという。ところが坂本は、この日も足がガクガクだったと明かした。自分は「めちゃくちゃ緊張しい」で、何とか心を取り繕っているだけで、常に震えているのだという。冨永とクリスは、まったくそうは見えなかったと驚いた。

選択の連続としての人生

クリスはティファニーによる内なる強さの定義を紹介した。何を選び、何を信じ、何を誇るか。心の声に耳を澄ませ、秘めた意思を頼りに、自分だけの愛を日々積み重ねていく。それがやがて揺らぐことのない強さになる、というものだ。この日はそのうち「選択」に焦点を当てて話が進んだ。

心の声を信じて決断してきたことは山のようにあるだろうと問われ、冨永は、キャリアがそれなりに長いので山のようにあると答えた。海外に行く決断、モデルになる決断、結婚と離婚、出産、日本の芸能界への挑戦、俳優への挑戦を挙げた。クリスは、冨永が数年前に出した著書で挫折やコンプレックスを言葉にしていたことに触れ、そのときどう選び考えてきたかが今の冨永をつくっていると述べた。

小学2年生の「人生最大の二択」

坂本は、自分の決断はそれほど多くないとしたうえで、最初の大きな決断を振り返った。4歳でスケートを始め、同時に水泳も始めて、小学2年生まで両立していた。ところが両方の先生から「どちらかに絞ろう」と言われ、小学2年生で「人生をかけた最大の二択」を迫られたという。水泳を選んでいたら、水泳でオリンピックに出ていた可能性もあったのではないかと会場は沸いた。

坂本は迷わずフィギュアを選び、今となってはそれが正解だったと感じている。フィギュアを始めたきっかけは、3歳ごろにテレビで見て「やりたい」と思ったことだった。小学2年生での選択の理由は「2年生らしい理由」だったという。水の中は苦しいので、普通に息がしたくてフィギュアを選んだのだと坂本が明かすと、会場に笑いが起きた。

直感で決め、迷ったら人に聞き、最後は自分で

その後の数々の決断をどう下してきたのか。オリンピックや選手権をどうするか、曲をどうするか、といった問いを受けて、坂本は「割と直感」だと答えた。自分がやりたいと思えばその道に進むことが多い。それでも迷ったときは、いろいろな人の意見を聞いて何が最善かを考え、その意見と自分の気持ちを合わせて決めているという。

冨永も「大体一緒」で、やりたいかやりたくないかの直感で決めることが多いと話した。迷ったときは人に意見を聞き、それを咀嚼したうえで最後は自分で決める。ただ、結局は最初に直感で感じたことと同じ結論になることが多いという。

クリスは、直感で選べるのはそれまで自分で選択を重ねてきたからではないかと問いかけ、冨永は「そうかもしれない」と応じた。クリスはさらに、誰かに決めてもらうと、うまくいかなかったときに自分で責任を取れない部分が出てくると指摘した。試合で滑るのも、ランウェイを歩くのも自分自身なので、結局責任はすべて自分に来る。この点で三人の見方は一致した。

葛藤:キャリアか私生活か、そして4回転の時代

優先順位のつけ方や葛藤について問われ、冨永は女性としてキャリアと私生活のどちらを選ぶかを挙げた。特に出産は大きいという。タイミングを計ってできるものでもなく、そこが女性にとって一番大変なところではないかと話した。

坂本の葛藤は競技の中にあった。シニアに上がり世界の試合に出るようになったころ、4回転などの大技を跳ぶ選手が次々に現れたシーズンがあった。坂本はそのとき、自分には勝ち目がなくなったと思ってしまったという。大技がないことは大きなハンデだと感じ、それまで積み上げてきた自分のスケートのスタイルが分からなくなった。

転機になったのは、長く世話になってきた振付師の言葉だった。一つひとつの要素のクオリティを上げれば点はたくさんつく、花織のスケートはそれでも戦える、と言われたのだという。そこから葛藤が自信に変わり、自分のスケートをはっきり見つけ出せたと坂本は振り返った。

競技の外にいる友達の存在

それほど競技に集中していると私生活はどうなるのか、とクリスが尋ねた。坂本は、私生活は割と充実していたと答えた。小・中・高と通信制ではなく実際に学校に通っていたので、学校の友達がたくさんいた。スケートでいっぱいいっぱいになったときは友達と遊んだ。学校に行くだけでも別の話ができ、リフレッシュになったという。競技以外の友達は自分にとってとても大事な存在だと話した。

年齢を重ねて得た「しなやかさ」、あるいは「丸くなった」こと

クリスは、葛藤のあり方は年代によって変わるのではないかと投げかけた。若いころは何でも完璧にこなそうとし、他人が良いと言っても自分を許せずに追い詰めてしまう。年齢と経験を重ねると、物事は0か1かではないと分かり、その場で引き受けられるようになっていく、という見方である。

冨永は、先ほどの話につながるが、柔軟に対応できる「しなやかさ」が出てきたと答えた。それもある意味で強さかもしれないという。ただ、「丸くなった」と言うべきなのかとも口にした。若いころは丸くなりたくないと思っていたが、丸くなってしまったのか、それともしなやかと言うべきなのか、と迷いを見せた。

クリスはその迷っている感じがいいと応じ、迷うことは悪いことではないと続けた。「しなやか」と「丸くなった」という二つの言葉の間を揺れていられるのは、余裕があるからできることではないか、という。冨永も、確かにその揺れを楽しめるようになったと同意した。クリスは、弱い自分と「強くなくては」という思いの間で自分を引き受けることにも触れた。

最後のオリンピックの2位から、世界選手権へ

プレッシャーにどう向き合ってきたかという話題では、坂本が最後のオリンピックについて語った。競技が始まる前には、ここで完璧に演技すると覚悟を決めて臨んだ。しかし一つのミスで思うような演技ができず、結果は2位だった。坂本はそれを「最後の最後に経験したくなかったこと」と表現する。なぜここで、とひどく落ち込み、プレッシャーに勝てなかった自分を責めたという。

その後、世界選手権に出るかどうか迷っていた坂本に、周囲の人々が声をかけた。試合で滑ってくれるだけでみんな本当に嬉しいから、という言葉だった。それまでは完璧でなければだめだと思っていたが、心が少し軽くなり、どんな自分でも受け入れてもらえるのだと感じられた。そこから硬くなりすぎず自分らしいスケートができるようになり、最後の世界選手権で「大爆発」できたという。この経験から、プレッシャーも全部が全部悪いものではないと思えるようになったと坂本は語った。

冨永は、自分はそれほどのプレッシャーを背負ったことはないと応じた。プレッシャーを感じたことはあまりなく、それは背負っていたのが自分だけだったからだという。日本を背負い、期待を背負って戦ってきた坂本とは比べられない、というのが冨永の受け止め方だった。

点数がつく世界と、つかない世界

話は比較と評価に移った。フィギュアスケートは世界中の選手と比べられ、点数がつく。モデルの世界に点数はない。冨永は、点数をつけられることが羨ましかった時期があると明かした。

冨永によれば、モデルの世界は曖昧なものの中で動いている。あの人はこの仕事を得たのに自分は得られなかった。キャスティングに受かったのか落ちたのか、なぜなのか。正解がないまま、すべてが自分の中の「曖昧なものの処理箱」に入っていく。それでも処理していかないと自分の中に溜まってしまう。だから当時は点数をつけてほしかったし、メダルが欲しかった。メダルのある世界だったら取っていたと思っていた、と冨永は笑う。ただ、点数とメダルの中で生きてきた人を目の前にすると、そちらはそちらでとても大変だと分かる、と続けた。

坂本は、点数をつけるのも結局は人だと話した。どれだけ人の心を動かせたかがそのまま点数に出るので、「受けなかったんだね」と思わされることもあるという。

拠り所は「自分を信じる」ことしかない

外からの判定や誰かの基準に常にさらされる中で、心をどう整えているのか。冨永は、自分の軸の中に収め、それを太くしていくことに努めてきたと答えた。

坂本は、その時々で自分を信じてやるしかない、信じられるものは自分しかない、と話した。それだけ練習を積み、「これで大丈夫」と自分で思えたときが一番強い、という。冨永は、自分を信じるしかないというのは本当に怖いことだと応じた。そのうえで、「あのときシュークリームを食べたからダメだったんだ」のように何かのせいにしたくなることもありそうだと冗談めかすと、坂本は「あります」と答え、笑いが起きた。

クリスは、平常心だけではやっていけず、人の心を動かすところまで表現を飛躍させなければならない部分もあると述べ、それでも自分を信じることが一番の拠り所なのかと問いかけた。冨永も、自分を信じることしか拠り所がないと答えた。冨永は、自分を信じて頑張って飛行機に乗るのだと話した。そして本当は飛行機に乗りたくないのだと付け加え、会場を笑わせた。

自分らしさを支えるもの

終盤、自分らしく生きるために大切にしていることを問われ、冨永は「愛」を挙げた。自分の名前が「愛」であることにかけて笑いを誘いつつ、家族の愛のように本当にベースになる部分が、一番自分を支えてきたと語った。クリスは、自分が見えなくなったり分からなくなったりしたときに、さりげなく支えてくれる周りの存在に気づくものだと応じ、冨永も「本当にそうでした」と同意した。

坂本は、見栄を張らず、背伸びしすぎず、自然体でいるのが一番自分らしくいられると答えた。背伸びをするなら、自分のできる範囲で。そのくらいでやっていると、それが少しずつ伸びていくのだという。

クリスは二人の話を受けて、自分らしさとは挫折し、迷い、考えることを繰り返す中で見つけていくものではないかとまとめた。振り子のような心の動きの「間」に自分らしさを見つけ、思慮深さを身につけていく、という見方だ。若いころは振り切れていたと手振りで示すクリスに、冨永は、若いうちはそれでいいと応じた。振り切ったことをしていないと、間を楽しむ方法も分からないのではないか、という。そのあとで「言い訳かな」と笑った。

対話を終えて

感想を求められた坂本は、戦うフィールドは違っても、それぞれに強さがあったからここまで来られたのだと、話していても聞いていても感じたと述べた。外側で取り繕ったものはいつか崩れてしまうこともあるが、内側の強さは、外からどんな衝撃を受けてもぶれないと思う。そう語り、内側が大事だと改めて感じたという。

冨永は、ひたすら感動していると話した。少しだけ共感できる部分があったことが嬉しく、いい日だったと締めくくった。クリスは、この話を見た人がそれぞれ感じることがあるはずだとし、この続きをまたここで、そして視聴者とも話せたらと述べて対談を終えた。