うっかり日焼けした後にすべきこと:皮膚科医・友利新が語る「72時間」を軸にしたケア

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概要

日焼け止めを塗り、日傘をさしていても、日差しの強い時期にはうっかり日焼けしてしまうことがある。皮膚科医の友利新は、日焼けしてしまった後に何を、どのタイミングでするべきかを時間の流れに沿って解説している。同じテーマの動画は2〜3年前にも出しているが、今回は最新のデータも加えたという。話の軸は、紫外線を浴びてからメラニンの生成がピークになるまでの「72時間」である。

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日焼けは火傷である:まずは物理的に冷やす

友利が繰り返し強調する前提は「日焼けは火傷」だということだ。紫外線のうちUVBが肌に当たると炎症が起き、これをサンバーンと呼ぶ。日焼けの後に肌が真っ赤に腫れたりヒリヒリしたりするのはこのためで、火傷と同じように応急処置が必要になる。

最初にすべきことは、すぐに冷やすことだ。手元に冷やすものがなければ、冷たいジュースや売っている氷を買って当てればよいと友利は言う。

冷却効果をうたう「冷やしコスメ」も選択肢の一つではあるが、注意が要る。冷やしコスメの中には、アルコールが揮発するときに肌の熱を奪う仕組みのものがある。炎症が起きている肌にはアルコールやメントールが刺激になり得るため、冷やしコスメはあくまで炎症がない状態で使うものだと友利は位置づける。そのうえで、日焼け直後は物理的に冷やすのが一番安全ではないか、というのが友利の考えだ。

なお、ここから先の話は、帰宅して「赤みがある」「ほてっている」と感じる程度の軽い日焼けを想定している。水ぶくれができている、真っ赤に腫れているといった場合は、皮膚科を受診してほしいと友利は述べている。

72時間が「運命の分かれ道」

友利によれば、紫外線を浴びるとメラニンを作る過程が始まり、その生成がピークに達するのは72時間後だと言われている。したがって、この72時間以内にどれだけ素早くメラニン生成を止められるかが「運命の分かれ道」になるという。

この3日間にやるべきことをしっかりやれば、ゼロにはならないものの、将来のシミやシワ、たるみをある程度抑えられると友利は説明する。この期間に使うべきなのは、炎症を止めながら美白もできる成分だ。友利はその候補として、カモミラETとグリチルレチン酸ステアリルの2つを挙げている。

おすすめ成分①カモミラET:メラニン生成の「指令」をブロックする

カモミラETは花王独自の美白有効成分である。そのため、カモミラETを配合した製品を探すなら花王の製品を選ぶことになる。友利が特に勧めるのは、キュレルの美白乳液だ。

キュレルには美白シリーズがあり化粧水や乳液もそろっているが、友利によれば化粧水にはカモミラETが入っておらず、乳液にだけ配合されている。カモミラETは油分に溶けやすい性質があるらしく、そのため化粧水にはあまり入っていないのだという。また、キュレルは紫外線を浴びて敏感になった肌にも比較的安心して使える点もよいとしている。

カモミラETが有効な理由として、友利は肌の中での情報伝達を説明する。紫外線を浴びると、肌の細胞であるケラチノサイトから、メラニンを作るメラノサイトへ「メラニンを作ってください」という指令が送られる。この指令が72時間でいっぱいになるため、メラニンが大量に作られる。カモミラETはこの指令をブロックする働きがあり、紫外線が当たっても「メラニンを作らなくていい」という状態にしてくれるという。だからこそ、この72時間にカモミラETで指令を止めることが重要だと友利は話す。

おすすめ成分②グリチルレチン酸ステアリル:別の炎症性物質を抑える

グリチルレチン酸ステアリルは、もともと抗炎症成分として承認されていたものが、最近になって美白の効能まで広がった成分だと友利は紹介する。ポイントは「炎症を抑える」点にある。

カモミラETがブロックするケラチノサイトからメラノサイトへの指令はエンドセリンという物質だったが、グリチルレチン酸ステアリルがブロックするのは炎症性のプロスタグランジンだという。どちらも炎症性の物質を抑える点は共通しているが、対象となる物質が異なる、というのが友利の説明だ。

グリチルレチン酸ステアリルで美白有効成分の承認を得ている製品を出しているブランドの中で、友利が勧めるのは美白のオールインワンジェルである。肌がデリケートなときは、何品も重ねること自体が刺激になる。オールインワンジェルなら1品で保湿が済み、炎症を抑えるグリチルレチン酸ステアリルも入っているため、このブランドの製品を使うならこれが一番よいのではないかと友利は述べている。

シートマスクは短時間で

スキンケアの後にシートパックをしたほうがよいのでは、と考える人もいるだろう。友利は、シートマスクが駄目なわけではないとしつつ、時間を減らすよう求める。

日焼け直後の肌は炎症が起きている状態で、シートマスクを10分以上置くとかえってバリア機能が低下してしまうことがあるという。72時間の間はカモミラETやグリチルレチン酸ステアリルを取り入れ、どうしてもシートマスクを使いたい場合は3〜5分程度の短時間で水分をぐっと入れ込む程度にとどめるのがよい、というのが友利の助言だ。

72時間以降は「攻めの美白」へ

3日が過ぎ、メラニン生成のピークを越えたら、ここからは「攻めの美白モード」に切り替えてほしいと友利は言う。ただし、カモミラETやグリチルレチン酸ステアリルをそのまま使い続けるのもありだとする。72時間がピークとはいえ、メラニン生成のスイッチは押された状態が続いているからだ。

そのうえで72時間以降は、メラニンの生成をブロックすることに加え、できてしまったメラニンを追い出すことが必要になる。通常であれば、できたメラニンはターンオーバーによって排出される。しかし強い紫外線を浴びるとこのサイクルが乱れ、メラニンが居座ってしまう。そのため、美白有効成分の中でもターンオーバーを促進するものを使うのがポイントだと友利は説明する。

具体的な成分として挙げられたのが、デクスパンテノールとエナジーシグナルAMPである。デクスパンテノールはポーラ・オルビスグループの成分で、例えばオルビスの美白美容液などに配合されている。エナジーシグナルAMPは大塚製薬が持つ美白有効成分で、インナーシグナルなどの製品に入っているという。

さらに、すでに黒くなってしまったメラニンを白くしたいときにはビタミンC誘導体、そして分類上は生成抑制に入るものの角質の剥離作用もある資生堂の4MSKもよいのではないか、と友利は述べる。紫外線を浴びてしまったときは、最初の3日間に使うものとそれ以降に使うものを分けることで、メラニンの定着を抑えられるのではないか、というのが友利の見立てだ。

インナーケア①アスタキサンチン:炎症を起こしにくくする

後半では、うっかり日焼けの際に何を摂ればよいかというインナーケアの話に移る。

1つ目はアスタキサンチンだ。鮭などに含まれる赤い色素で、友利によれば富士フイルムがヒトでの臨床試験を行っている。その結果、アスタキサンチンを毎日摂取したグループは、紫外線を浴びても炎症を起こしにくいことが分かったという。飲んでいる人と飲んでいない人で同じ程度の赤みを出そうとすると、飲んでいる人にはより強い紫外線を当てなければ赤くならなかった、と友利は紹介している。

このため、日焼けしそうなときには前もって摂っておくこと、そして日焼けしてしまったときにも炎症を抑える意味で、アスタキサンチンのサプリメントや鮭を摂るのはとてもよいのではないかと友利は話す。

ただし、推奨される摂取量は1日4〜8mgとされており、これを鮭だけで摂ろうとすると300g程度、切り身にして3〜6切れほどが必要になるらしい。毎日これだけ食べるのは現実的ではないため、サプリメントで摂るのがよいのではないかと友利は考えており、本人も暑い時期にはサプリメントでしっかり摂っているという。

インナーケア②L-システインとビタミンC:メラニンを薄くする

うっかり日焼けの後に摂るべきものとして、友利はL-システインとビタミンCの組み合わせも挙げる。この組み合わせには還元作用があり、メラニンの色を薄くしてくれるという。

その根拠として友利が紹介したのが、神戸大学の皮膚科チームによる試験である。顔や手にシミのある女性に、L-システイン240mgとビタミンC500mgを含む錠剤を12週間毎日内服してもらったところ、4週間後あたりから改善が見られ始め、12週間後には顔の老人性色素斑で77.8%、肝斑で68.4%の改善が見られたと友利は報告している。塗るだけではなかなか届かないところに内側から直接働きかけたいときには、この組み合わせがとてもよいのではないかという。

作用の仕組みについても友利は説明している。メラニンは、チロシナーゼという酵素が活性化されることで作られる。L-システインにはこのチロシナーゼの活性を抑える働きがあることが分かっており、それが先の試験結果につながっているという。

さらに、紫外線が当たると表皮のケラチノサイトからメラノサイトへ刺激が伝わるが、その経路として、カモミラETやグリチルレチン酸ステアリルが関わるものとは別に、α-MSH(メラノサイト刺激ホルモン)という物質も放出される。L-システインはこれも抑えることが分かっているという。つまりL-システインには、メラニンそのものの生成を抑える作用と、「メラニンを作れ」という指令を抑える作用の両方がある。友利はこの二重の効能によって、シミが薄くなったり、うっかり日焼けした肌の回復を助けたりすると説明している。

まとめ:時間軸で使い分ける

最後に友利は、うっかり日焼けしたときのポイントを次のように整理している。まずはすぐに冷やすことが一番。72時間以内はカモミラETやグリチルレチン酸ステアリルのような炎症を抑える成分を使い、それが落ち着いたらデクスパンテノールのようにメラニンを排出する成分を使う。内側からは、アスタキサンチンのように紫外線を浴びても炎症を抑えるものを摂り、すでにできてしまったメラニンにはL-システインとビタミンCを組み合わせて薄くしていく。

これらを実践すれば、うっかり日焼けしてもシミに変わっていくのを抑えられるだろうと友利は述べ、暑い日はまだ続くので、繰り返し見て覚えておいてほしいと締めくくった。