肌が自ら水を取り込む? 花王の「自発吸水」技術を皮膚科医・友利新が解説

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概要

花王が発表した「自発吸水」という研究がSNSで話題になっている。友利新さんは、この技術が8月8日(本人は「だったかな」と記憶があいまいな様子)発売のソフィーナの新シリーズ(字幕上の表記は「ソフィナエビベーシック」)に搭載されると言われている、と紹介する。肌が勝手に水分を取り込む技術だという。友利さんはこの研究を「美容業界を揺るがす」ものと評価し、「友利新をスーパーサイヤ人にしたぐらいの革命」とたとえる。化粧水を使っても乾燥する人や、ツヤ感が出にくい人に向けて、その仕組みを解説している。

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角層はもともと「水を逃がさない」ための構造

友利さんはまず、肌の役割を進化の話から説明する。生き物は海の中で暮らしていたが、次第に陸に上がり、人間へと進化した。その過程で、体の内側の水が外へ出ていかないように抑える役割を担ったのが角層だという。角層は角層細胞と、その間にある細胞間脂質が積み重なってできている。この構造があるから、内側の水分が蒸発しにくくなっている。角層のバリア機能の一番の役割は、水分を外に逃がさないことだと友利さんは説明する。

それでも、水分は少しずつ蒸発している。化粧品の評価では「水分蒸散量」という指標を使い、化粧水などで水分の逃げをどれだけ抑えられたかをデータで示す。数値は低いほど良い。蒸散量が高いのは水分がどんどん蒸発している状態で、乾燥肌の人はこの値が高いことがある。これまでのスキンケアは、蒸散をいかに抑えるかに取り組んできた。

発想の転換:逃がさないだけでなく「水を与える」

今回の研究は、蒸散を抑えるだけでなく、肌に水を与えるという考え方に立っているらしい、と友利さんは紹介する。そう考えた理由について、友利さんは湿気取りのイメージだろうと推測している。空気中の水分を取り込めれば、蒸散があっても補えるのではないか。花王はそう考えたのだと思う、というのが友利さんの見方である。

セラミドに加えて注目した天然保湿因子

花王は長年、角層研究を続けてきた。角層といえばセラミドを思い浮かべる人が多い。セラミドを整えれば水分が出ていかない、という考え方で、花王はキュレルなどの製品を展開してきた。友利さんによると、角層にはもう1つ大切な要素がある。それが天然保湿因子だ。天然保湿因子は角層細胞の中にあり、水を引き寄せる役割を担っている。

1870通りから見つけた組み合わせ

花王は、天然保湿因子が何からできているのかという原点に立ち返った。構成成分の候補は、アミノ酸が17種類、塩が11種類、糖類が10種類ある。これらをすべて組み合わせると1870通りになる。その中から最適な組み合わせを探した結果、糖類はスクロース、アミノ酸はセリン、塩は塩化ナトリウムという組み合わせが一番良いという結論に至ったという。

天然保湿因子には「1対4対2」という黄金比がある。しかし友利さんの説明では、この比率のままでは吸水はしない。そこで、比率を変えれば吸水するものがあるのではないかと考え、1つずつ試していったそうだ。

友利さんは発見の意外さを身近な例で説明する。砂糖や塩をそのまま置いておくと固くなることはあっても、とろとろの水になることは普通ない。ところが、この粉末は置いておくだけで水になった。開発者はそれを見つけた瞬間にとても感動したと話していたという。友利さん自身も実物を見せてもらった。シャリシャリしたシャーベット状になるかと思っていたが、予想以上にドロドロになっていて、本当にすごいと感じたと語っている。

「塗った直後がピーク」ではなくなる

この技術を含む製品を肌に塗ると何が変わるのか。友利さんの説明はこうだ。人間は進化によって水分蒸散を抑える仕組みを得た。この技術はそれをさらに進め、蒸散しないだけでなく、水を引き寄せる肌に変えていく。出ていく水分を抑えつつ、周囲からも水を取り込むので、潤いが続くという。

友利さんは、陸上に出た生物が細胞間脂質や天然保湿因子で乾かないように進化してきたこと、その天然保湿因子の黄金比が1対4対2だったことに改めて触れる。そして、その黄金比さえ変え、蒸発を防ぐだけでなく水まで引き寄せる点を「革命的なテクノロジーなんじゃないか」と評価した。普通は化粧水を塗った直後が潤いのピークになる。しかしこの技術を使えば、その後に水分が増していく段階に入る、と友利さんは説明する。

実際の使用感は発売後に確かめる

友利さんは、研究内容を読めばSNSが盛り上がるのも納得だと述べる。一方で、この技術がどのような成分と組み合わされているのか、実際の使い心地はどうかは、発売後に使ってからレビューしたいとしている。つまり今回の解説は研究発表の内容にもとづくもので、製品の使用感はまだ確かめていない。

最後に友利さんは、外の水を呼び寄せるだけでなく内側の水も逃さない時代になってきたと述べ、「乾いてるとは言わせない時代になってきたのかもしれない」と締めくくった。