平成の「生きた化石」メイクを令和の立体顔へ:小田切ヒロが同じアイテムで作り直す手順

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概要

ヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロは、モデルの高木由梨奈に、あえて一昔前のフラットなメイクを施した状態から撮影を始めた。この動画のテーマは、同じアイテムを使ったまま、塗る位置と順番、ぼかし方を変えて「令和の立体感メイク」に作り直すことである。小田切は、パーツを一つずつ崩しながら、どこが古く見える原因なのかを説明していく。

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なぜ平成メイクは古く見えるのか

最初の顔を鏡で見た高木は「すごい昔のいいメイクって感じ」と感想を述べた。小田切によれば、平成には自分のためというより男性に好かれることを意識したメイクが流行した時期があり、このメイクはその典型である。いまでは「生きてる化石」と呼ばれることもあるという。

小田切は、当時はこれで良かったと認めている。そのうえで、現在の目で見ると立体感がなく、パーツごとに目立っているだけの「ただの綺麗な人」に見えてしまうと指摘する。後半では、このメイクは正面から見ると可愛いが、横から見ると立体感が伴っておらず、「媚びてる感」が出ると説明している。原因として挙げたのは、骨格に合わせていないチークが顔の中央にポンと置かれていることである。

まず引き算:チーク、白いハイライト、濃い際のアイシャドウ

作り直しは落とす作業から始まる。小田切はまず「とんでもないところについてる」チークを取り、目の下に入っていた白いキラキラのハイライトを「なめくじのよう」と表現して「いりませんよ」と言いながら消した。

上まぶたのアイシャドウも取る。小田切が問題にしたのは、まつげの際から色が濃くなっている点だ。今の時代は際をこれほど濃くしないという。ただし一部は後で活かすために残した。それでもまだ古く見える理由として、小田切は「く」の字の内側(インサイド)にまで色が入っていることを挙げ、その部分を抜いた。ここで小田切は「平成元年から平成5年ぐらいになってきた」と冗談めかして言い、高木は「まだ5年なんだ」と返している。一度に全部を変えるのではなく、一つずつ崩していくのがこの回の進め方である。

ベース:艶を足し、ファンデーションは際まで塗らない

次にカネボウのクリーム イン デイを重ねる。小田切はブライトニングパールが入っているため潤いが出て、温かみのあるピンクっぽい肌になる点を利点に挙げた。高木もこのクリームが好きだと話している。続いてシュウ ウエムラのメイクアップベースを使う。小田切は、欲張ってたくさんつけてはいけないと注意した。

NARSのファンデーションは、しっかり乗せるというより「さささっと」伸ばす。ポイントは顔の端まで乗せないことで、中心部に塗った後、スポンジで端のほうへトントンと広げる。

そこにTFITのコンシーラーを入れる。目の下などにすっと入れただけで、小田切は「立体感全然違いますでしょう」と言う。高木が見て立体的になったことを確かめると、小田切は「しかも抜け感があるでしょ」と付け加えた。

まぶたのくすみは基本的に残す。ただし色の濃いところと血管が透けているところだけは、フィンガーブラシで軽くカバーする。最後にTFITのパウダーでセットし、これをアイシャドウのベースにする。

チークの位置を移す:「可愛い」から「美人印象」へ

チークについて小田切は、さっき中央にポンと置いた位置を「平成から令和にタイムスリップ」させると言う。ブラシに取り、タッピングしながらさっと動かすと、それだけでリフトアップしたように見えると説明した。高木も「ここにあったのが、ここになってる」と位置の違いに気づいている。

小田切によれば、近年のトレンドは「可愛い」ではなく「美人印象」に見えるチークの乗せ方だ。チークを入れる場所はパウダーでセットしていないため、少しずつなじませると生肌感を出しながら綺麗につくという。

高木が「媚びてないのに可愛い」と言うと、小田切は、媚びること自体が絶対に悪いわけではないと答えた。令和の「媚び」は、このチークを入れた後にもう一か所重ねることで作る。日焼けしたような、照れたような雰囲気を出す狙いである。

アイシャドウは「まぶた全体を染める」、締め色は目尻だけ

アイシャドウは最初と同じセザンヌのパレットを使う。平成版では、この色を際から濃くなるグラデーションにし、別の色を際のラインとして使っていた。令和版では同じ色をまぶた全体に乗せる。綺麗なグラデーションを作るのではなく、まぶた全体がふわっと染まった印象にするのが狙いだ。平成版ではアイホールの範囲にきっちり収めていたが、今回はそれを超えて広めに乗せる。

平成版で目尻から目を締めていた濃い色は、目尻だけに入れる。こうすると抜け感を保ちながら目が横に広く見えると小田切は説明する。高木は伏し目にしたときも美しいと反応した。小田切は、どれだけ目がくりっとして丸くても、少しシャープに作ったほうが今年らしい雰囲気になると述べている。

涙袋は黒目の下で止める

小田切がこの回の中心として強調したのが涙袋の作り方である。多くの人が涙袋を作っている現状に触れたうえで、小田切自身は「涙袋こそ抜け感が必要」だと考えているという。

まずコンシーラーを手に少量出し、細いコンシーラーブラシに取る。これを涙袋の始まり、つまり目頭側から途中まで、1本だけすっと入れる。止める位置は黒目の下までである。小田切は、目尻側まで線を延ばすと若すぎる印象になり、しかも古く見えると説明した。高木はこの段階で「自然」と感想を述べている。

入れたままでも技術のある人なら問題ないが、小田切はドーム型のブラシでコンシーラーの終わりの部分を左右にぼかすことを勧める。そうすると、より自然に仕上がるという。

ラメかパールか、涙袋の下に影は入れない

コンシーラーのベースだけでもよいが、小田切はパール感があるほうが立体感が出ると言う。平成版で使ったのはラメの強い色で、小田切は若い人ならそれでも可愛いとしている。一方、大人にはパールを選ぶよう勧めた。違いはラメかパールかという点にある。パールは少量を取り、涙袋の真ん中だけに、入っているかいないか分からない程度に軽くのせる。

涙袋の上下については、先ほどの締め色を下まぶたの際に入れる。ただし全体ではなく、3分の1の範囲だけを締める。こうすると涙袋が少し際立つという。

涙袋の下に影は入れない。高木が「入れたくなりそう」と言うと、小田切は、影を入れてよいのは20代半ばくらいまでで、大学を卒業したらやめたほうがよいという趣旨を話した。仕上がりについて高木は、涙袋はあるが作っている感じはしないと評している。

マスカラと「どの角度から見ても綺麗」な目元

マスカラはエテュセのものを使う。束にするのではなく、すくい上げるようにつける。ここで目元はひとまず令和の仕上がりになった。小田切は、平成版が正面からだけ可愛いのに対して、令和版はどの角度から見ても美しいと対比させた。

ただし小田切は、この時点でもまだ不自然なのは眉とリップだと言う。

眉:パウダーで埋めず、ブラックのペンシルで1本ずつ描く

小田切によれば、平成版の眉が不自然で古く見えるのは、パウダーで全部を埋めて描いているからである。代わりにボビイ ブラウンのアイブロウペンシルのブラックを使う。小田切は、本来ならグレーから焦げ茶がよいと前置きした。今回ブラックを選んだのは、高木がブリーチしていて髪のトーンが明るいため、その明るさを和らげてカムフラージュしたいからだという。

描き方は、毛の隙間を狙って1本ずつ立っているように描くことである。隙間は残し、全部を埋めない。高木はもっと「眉毛」という感じの黒さになると思っていたが、実際には自然だと驚いていた。この段階では完璧にしなくてよい。次にNARSのブローシェイピングジェルで毛を1本ずつ立て、立体感を出す。そうすると、まだらな部分が見えてくる。その部分だけ、もう一度ペンシルで毛を足していく。

小田切は、形はしっかり作りながら隙間を残すことで「3D」な立体感が出ると説明した。高木がブラックは上級者向けの印象があったと言うと、小田切は、最初はグレーか焦げ茶から始めてよいと答えた。それができるようになってからブラックを使えば、より自然に仕上がるという。

リップ:フレームを取らず、縦幅とぼかしで立体にする

口元について小田切は「平成がまだ残ってます」と言う。平成版のリップを落としても、まだ平成の印象が残る。その理由は唇の輪郭がくっきり取られていることだという。使うアイテムは平成版と同じである。M・A・Cのパウダーキス リップスティックのテイケンをベースにし、アディクションのリップペンシル014を合わせ、ディオールのリップ グロウ オイル077を重ねる。平成版ではライナー、口紅、グロスをすべて均一に塗っていた。

令和版では、抜けを出すためにリップペンシルでオーバーリップする。小田切は、唇を縦に3分割した上の3分の1にあたる部分に描き足し、下唇もオーバーリップすると説明した。描きっぱなしでは不自然なので、アイシャドウブラシでぼかし込む。小田切はこのぼかしが必要だと強調している。唇の輪郭を少し縦方向にふっくらさせることが狙いで、昔の「アヒル口」の現代版だと話した。また「人中短縮」は令和に生まれた言葉だとも付け加えている。

口紅は直接、唇の真ん中だけに塗る。その後、外側へポンポンとぼかす。自分でやるときは指でもよいという。口角の輪郭ははっきり描かず、全体をタッピングでなじませると、ふわっとした3Dの質感になると小田切は説明した。グロスもつけるのは真ん中だけで、ベタっと塗るのではなくタッピングでのせる。最後に口角を軽く押さえる。小田切はこの仕上がりを、上品で立体的で比率の美しいリップだと表現した。

口角の「角」をファンデーションで消す

小田切は追加のテクニックとして、ベースで使ったNARSのファンデーションをほんのわずか指に取り、口角をポンポンと叩いて角を消す方法を紹介した。こうすると正面から見たときにまた抜け感が出るという。高木は、ほんの少しのことで変わると驚いていた。

小田切の説明によれば、口角に角があるとエレガントに見え、角を取るとカジュアルになる。ただし今回は唇の縦幅を作っているので、カジュアルになりすぎない。小田切は、このひと手間が今っぽい雰囲気を作ると述べている。

結論:やり方を変えないと、時代が止まる

仕上げに小田切は、立体感とは単に立体があることではないと述べた。軽やかでみずみずしく、今の時代に合っていることが大切だという。どれだけ美しくても時代に合っていなければ老いが浮き彫りになる。小田切はこれをメイクだけでなく人生やビジネスにも当てはめ、どれだけ才能や力があっても時代にマッチしていなければ意味がないと話した。

その後、メイクは一切直さずにヘアスタイルだけを変え、エアリーな髪型にすると印象がさらに変わる様子を見せた。高木は、同じアイテムでこれほど顔が変わるのかと驚き、メイクもヘアも進化していくと感想を述べた。

小田切は最後に、新製品を取り入れれば新しい顔にはなるが、大事なのはそれをどう使うかだと語った。どういう順番で、どの場所に、どういうプロセスで使うかを今のやり方にすれば、同じ人でも昭和、平成、令和とまったく違う顔になるという。そして、ルーティーンを変えずに「私はこう」と決め込んだとき、その人の時代は止まってしまうと締めくくった。