小田切ヒロが自分の顔で実演する「フューチャリスティックアースメイク」:秋の新作コスメで大地の色と冷たい光を組み合わせる

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概要

ヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロが、ベースメイクだけを済ませた自分の顔に、秋の新作コスメでフルメイクを施す。テーマは「フューチャリスティックアースメイクアップ」である。小田切によれば、今期のトレンドは「AIデジタル×アース」、つまりデジタルのAIと地球のエナジーを掛け合わせたもので、社会もファッションもビューティもこの流れにあるという。実演を通じて小田切は、メイクは製品の色を乗せる作業ではなく、時代背景や自分の年齢、過去の経験といった「意味」をコーディネートする作業だという立場を示している。

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イヴ・サンローランのパレットで「大地の色」の囲み目を作る

アイメイクは、イヴ・サンローランの「クチュール ミニ クラッチ 310 エキゾチック ミラージュ」から始まる。小田切はこのパレットをマラケシュのカラーと紹介し、陰影のある色を「マラケシュの大地の色」と表現する。この日は目元をぐるりと囲み、一気にスモーキーに仕上げる方針だ。

小田切はこの日、目尻が落ちていることを自分で指摘し、それを「包容力がすごい」と言い換える。囲み目を下まぶたにも入れる場面では、40代には下まぶたのメイクを怖がり、できないと感じている人が多いだろうと話している。

40代半ば以降のまぶたは「擦ったらアウト」

実演のなかで、年齢を重ねたまぶたへのシャドウの乗せ方を具体的に説明している。小田切は自分を40代半ばと言い、まぶたのキメが粗くなっていると話す。キメが乱れているまぶたには、色を置き、軽くさすり、また置く、という動作を繰り返してグラデーションを作る。

40代半ば以降でまぶたにハリがない人は、擦った時点で「アウト」だと小田切は強調する。ブラシを横に滑らせるワイパーのような動かし方で綺麗にぼかせるのは、まぶたが綺麗な人だけだという。

1999年の空気と、リバイバルを映すことの意味

仕上がりつつある目元について、その場にいた別の人物が「21世紀に入る前のミラージュ」「1999年とかの、ワクワクしていた頃」と感想を述べ、2000年問題の話にもなる。小田切はこれを受けて、リバイバルでは当時のトレンドを担った人たちを踏まえること、社会を映すこと、ファッションを蘇らせることが大切だと話す。目元が「ちょっとデイビッド・ボウイみたいな感じ」になってきたとも言う。

さらにシャドウを眉毛の中にも入れていく。

ギラついた質感とマットの対比、ターコイズのインサイドライン

今期のフューチャリスティックな表現には、ギラッとした質感とマットな質感のコントラストが必要だと小田切は説明する。パレットの輝く色を、目頭から流れ星のように流して入れる。仕上がりは「フューチャリスティックでアンドロジナスな感じ」だという。

続いて、イヴ・サンローランの限定アイライナー「YSL リベレイテッド アイライナー ウォータープルーフ 13 ビウィッチング ターコイズ」を、小田切は「マラケシュブルー」と呼んで粘膜の内側に入れる。目頭と目尻は抜いて描く。目元にはクレオパトラのような雰囲気が出てくる。ターコイズを内側に入れるのは自分のオリジナルだと小田切は明言しつつも、これは本当にトレンドだと言う。周囲から「キャットアイ感がある」と声が上がると、トレンドをきちんと捉えている人ならこの時点でキャットアイや、いくつかのアーティストを思い浮かべるはずだと応じている。

シュウ ウエムラの新しいアイブロウペンシルと「角を活かす眉」

アイメイクだけを見ると少し強く、浮いて見えるが、眉で存在感を加えることで全体がエキゾチックにまとまると小田切は言う。使うのはシュウ ウエムラの新しい「ハード フォーミュラ」だ。小田切の説明では、以前のものは体温で落ちないように設計されていたが、新しいものは50℃まで対応できるという。

描くときは、小田切が「シュウ ウエムラ持ち」と呼ぶ持ち方で1本1本毛を描き足す。この手法はシュウ ウエムラから生まれたと小田切は話し、アイブロウに関しては「王道」だと評価する。

眉山では、強さを出すためにあえて角を作る。多くの人は角を取ることばかり考えているが角も活かせる、人生にも角が必要なときがある、と小田切は言い、自分はまだ戦わなければいけないから角は取らない、と冗談交じりに付け加えた。

水で溶いたシャドウで目尻を締める

パレットの濃い色は、水で濡らしたアイライナーブラシで溶き、リキッドアイライナーのように使う。目的は目尻の陰影を引き締めることで、目尻側だけにぐっと入れる。

ここで小田切は、最近目尻が落ちてきたと改めて口にしつつ、気にすることはないと言う。今回はトレンドを踏まえたメイクなので、自分のエイジングサインも全部活かす、という考え方である。

NARSのリキッドチークで体温感を出し、鼻先と唇へつなげる

次に、NARSの「インセイシャブル リキッドブラッシュ 05914 ALL ACCESS」で血色感を足す。小田切は「オールアクセス」という名前にかけて、全ての情報と経験にアクセスし、これで全部をつなげるのだと説明する。SOYOのファンデーションブラシに取り、顔の外側にさっと広げる。

小田切はこの色について、大地の力強さと体の体温を感じさせると話し、撮影でも使えるし日常使いもしたい、ジェンダー関係なく使える、小顔にも見えると評価している。

ブラシに残った分は鼻に使う。鼻のメイクを忘れている人は多いと思うが、近年はトレンドというより定番のベーシックだと小田切は言う。さらに唇にも乗せ、3mmほどオーバーリップさせる。輪郭をくっきり取るのではなく、ぼけた、じゅわっとにじんだような唇にする。どんな色やルックでも、唇は「塗った」のではなく「潤んでいる」ように見せるのが今期の絶対的な定番になると小田切は話す。

昨年のぷるんとした唇のトレンドは、あえてローライトやシェーディングを入れてアヒル口のように見せるものだったが、今は内側からのグラデーションでじゅわっとオーバーリップさせるのがトレンドだという。昔のアーカイブ感がありながらフレッシュに見える、と小田切は述べる。

社会背景としての「色気の解放」

小田切は今期のポイントとして、社会を踏まえたトレンドである「色気の解放」を挙げる。2000年代にさまざまな社会問題があったなかで、色気の解放がファッションや社会のキーポイントになっていた、というのが小田切の説明だ。実演ではリキッドチークを肩にもそのまま乗せ、「色気の解放よ」と見せている。

YSLの限定パウダーチークはベースの上に「ひとさじ」

続いて、イヴ・サンローランの限定「メイクミーブラッシュ パウダー 03 ミスチヴァス マゼンタ」を使う。小田切はここで「フューチャリスティックアース」の「アース」を説明し直している。そこには地球や大地のエナジーだけでなく、体温の熱さや血流といった意味も含まれる。体温の血色が生むセンシュアリティと、社会のなかでの色気の解放を混ぜ合わせたのがこのピンクだという。

指で取るとはっきりしたピンクだが、グラデーションを作りやすく、内側からの血色感を出しやすいので、存在価値を引き出してくれると小田切は話す。一方で、なんとなく上からふわっと乗せたピンクには社会性がなく、魅力も引き出されず、「ただピンクの可愛いだけの顔」という印象になってしまうと指摘する。だから体温を感じるチークをベースにし、その上にピンクをひとさじ入れることで存在価値が生まれる、という順序を取っている。

付け方も具体的に示す。SOYOのチークブラシでたっぷり取ったあと、手の甲などでトントンと叩いてパウダーをブラシの中に仕込み、それから頬に乗せる。仕上がりについて小田切は、立体感が出て引き上がって見え、昔のエキゾチックな印象もありつつ今っぽいフレッシュな色気がある、と評価する。

メイクは意味をコーディネートすること

この流れで小田切は自分のメイク観を語る。メイクアップは全ての意味合いをコーディネートしていくものであり、そうすることでその人の存在価値が生まれ、個性が出る。自分がこれまで生きてきた過去を全て投影したものが個性だ、と小田切は言う。コスメも次々に新しくなるので、過去の自分を肯定したい、ポジティブなものにしたいなら、意味を持って最新のものをきちんと投影すること。それがポイントだと話している。

アディクションのマットリップと90年代スーパーモデル

リップは、アディクションの「コンフィデント マット リップ 002 Norm Nude」を使う。小田切はこれを「マットの概念をアップデートした新しいタイプのマットリップ」と紹介する。ブラーリング効果がありながら潤いのあるセミマットに仕上がり、時間が経つとピタッと密着する質感だという。リキッドリップなので直接塗れる。

色はヌーディーだが、小田切はこれを「Y2Kの前の90年代のスーパーモデルブーム」の色だと位置づけ、ナオミ・キャンベル、ケイト・モス、リンダ・エヴァンジェリスタの名前を挙げる。特にリンダ・エヴァンジェリスタが好きだと言い、当時の彼女を「彫刻」「芸術品」とたとえた。

周囲からは「昔の美のPVみたい」という声が上がり、話はJENNIEのソロ曲に及ぶ。小田切は、去年JENNIEがソロで出した作品が「セクシーの解放」と言われていたと話し、その場にいた別の人物は、20年前の作品のリバイバルから引っ張っていると言われていたと補足する。曲名としては「Mantra」が挙がっている。

NARSのブロンズ艶リップで懐かしさを重ねる

マットリップの上に、NARSの「アフターグロー リップシャイン 272 ABBEY ROAD」を重ねる。ブロンズカラーにメタリックな艶があり、ガラスのようにつるんと光る。小田切はこれを自分の世代にはかなり懐かしい質感だと言い、その懐かしさがリバイバルで戻ってきたと話す。

仕上げはシュウ ウエムラの冷たいブルーのハイライト

最後に全体をフューチャリスティックに寄せるのが、シュウ ウエムラの「スカルプト クレヨン トーニング ブルー」である。小田切は、今期のハイライトについて、内側からのしっとり感やスキンケアしたての質感は「もうやめてください。古いです」と言い切る。代わりに、冷たく、キッとしたルミナスな光をなじませるのがポイントだという。トントンと置いてから伸ばし、少し強めに入れる。

大地の色と、フューチャリスティックな冷たい光を放つハイライトを合わせるのが今年の流行だ、と小田切はまとめる。

完成したルックと小田切の結論

ヘアスタイルもメイクに合わせて変え、ルックが完成する。小田切はこのメイクを、近未来を感じさせるAIデジタル、地球と大地のエナジー、そして生きている生体の体温を全て掛け合わせたものだと説明する。そのうえで、自分の個性と内側に秘めたものを表現するのにぴったりなメイクだと述べ、視聴者に参考にするよう呼びかけて締めくくった。