成分表の先にあるもの:ポーラ・コーセー・花王・富士フイルムの研究員が語る日本の化粧品研究
友利新公式チャンネル(内科・皮膚科医)皮膚科医の友利新氏が、ポーラ化成工業、コーセー、花王、富士フイルムの研究員4人を招いて対談した。友利氏はこれまでYouTubeで各社の研究員に個別に話を聞いてきたが、雑誌の座談会企画をきっかけに「YouTubeでも」と頼んだところ了承が得られたという。互いにライバル企業の研究者が同じ場で自社の研究を語るのは、参加者によれば初めてのことだった。
対談の中心にある問いは、「成分表を見れば化粧品の価値は分かるのか」である。友利氏は、SNSで成分が同じなら同じ製品だ、高い製品はぼったくりだ、という声が広がっていることに疑問を持っている。研究員たちは、成分そのものよりも、それをどう配合し、どう肌に届け、肌で何が起きているかをどう突き止めるかに研究の価値があると語った。
参加した4人の専門領域
じゃんけんで決めた順に自己紹介が行われた。
ポーラ化成工業の研究員は現在研究戦略を担当しており、もともとは皮膚科学が専門で、たるみを中心に基礎研究から製品開発まで携わってきた。自身が関わった製品が宇宙に行ったことにも触れ、宇宙という極限環境で皮膚がどうなるかという発想から研究を広げたと話した。意外なところに着眼して研究を広げることに面白さを感じているという。
コーセー研究所皮膚薬剤研究室の研究員は、皮膚の細胞の老化に関する研究と、皮膚の奥にある筋膜「SMAS」の研究に携わってきた。SMASは観察する手段が限られるため、CTなどで肌の奥のSMASを画像化し、それがどう緩んでいくか、さらにマッサージで緩んだSMASを引き上げられるかを研究したという。友利氏は、美容医療では切開すればSMASを直接見られるが、化粧品では家庭でのマッサージやスキンケアでSMASにどうアプローチするかという段階に来ていると受け止めた。現在はより幅広く、皮膚の基礎研究、美容成分の開発、完成品の効果検証などを担当している。
花王スキンビューティ研究所の研究員は、毛穴を中心に研究し、関連する技術や洗浄技術を開発して商品開発まで手がけている。友利氏は「花王といえば角栓崩壊」と紹介した。
富士フイルムの研究マネージャーは、化粧品とサプリメントのエイジングケア、薬剤の皮膚浸透解析を専門にしている。
「同じ成分なら同じ」ではない理由
友利氏は最初に、成分表を見て製品の良し悪しを論じる消費者が増えていることを研究者としてどう見ているかを尋ねた。
コーセーの研究員は、成分や化粧品の情報がSNSなどを通じて消費者に直接届く時代になり、美容の知識が上がっていること自体は良いことだと答えた。そのうえで、良い成分を見いだすことや、それをいかに肌に届けるかというデリバリーの研究が、より重要な時代になっていると述べた。
富士フイルムの研究員は、自社もアスタキサンチンやコラーゲンなどを研究しているが、「その成分が入っている」というだけでは戦えないと話した。DDS(ドラッグデリバリーシステム)の観点から皮膚にどう届けるかという点で、同社はナノ分散などに力を入れている。届け方と、皮膚の状態を観察して効果をどう発揮させるかの両方を持つことが、今後強い研究になると考えている。
ポーラの研究員は、美容への関心は高まる一方で、情報が多すぎて「結局自分にはどれがいいのか」という悩みも増えているのではないかと指摘した。企業としては、どんな人に、どんな場面で、どんな価値を感じてほしいのかを丁寧に伝えるコミュニケーションが、これからさらに重要になると考えている。
花王の研究員は、SNSで成分が話題になることに嬉しい面もあると認めつつ、処方を作る立場からは、成分が実際に肌の上で働くかどうかは別問題だと強調した。成分を見て選ぶところまでは良いが、もう一段、二段踏み込んで、その成分を肌のためにどんな状態で配合しているかまで見て選んでほしいという。
友利氏はこれを寿司にたとえた。自分でも築地で同じ魚、同じ塩、同じ米を買えば寿司は作れるが、何年も修業した職人の寿司とは明らかに違う。料理ではその違いが理解されているのに、化粧品になると「技術」という観点が抜け落ち、同じ成分なら安い方がいい、高いのはぼったくりだという話になりがちで、それが悲しいと語った。
ポーラ:シワ改善の承認までの15年
ポーラについて友利氏がまず挙げたのは、シワ改善の有効成分「ニールワン」だった。2018年の発表会で、化粧品でシワに効果があると言えるようになったことに驚いたという。研究でデータが出ても、シワへの効果は広告で表現できなかったため、そもそも言えるとは思っていなかった。ポーラの研究員によれば、承認を受けたのは2016年で、シワの原因研究を始めてから承認を得て製品化するまでに約15年かかっている。承認には有効性や安全性などさまざまな項目の証明が必要だという。他社の研究員も、当時は正直に驚き、「先にやられた」と思ったと笑いながら認めた。
研究の中身として、ポーラの研究員は次のように説明した。シワは真皮の奥で形成されるが、そこでは好中球エラスターゼという酵素が過剰に産生され、コラーゲンが分解されていることが分かった。ニールワンはこの好中球エラスターゼの働きを抑える成分で、深いシワにも効くことをデータで示しているという。友利氏は、化粧品で真皮の話までできるようになったことに感動したと述べ、視聴者の中にも「好中球エラスターゼ」という言葉を知っている人がいるのは驚くべきことだと語った。
ポーラ:毛根に着目した真皮再生研究と角層のハリ
ポーラはシワだけでなく、ハリの研究も通算で約40年続けているという。
ハリについての説明はこうだ。皮膚は真皮のコラーゲンに支えられているが、加齢や紫外線でコラーゲンが減ると、皮膚を支えきれずに柔らかくなったりたるんだりする。そこで真皮のコラーゲンを再生できないかと「妄想」し、着目したのが毛の根元だった。毛の根元は皮膚の中で伸びたり縮んだりを繰り返しているが、そのたびに真皮に穴が開くことはない。そこから、毛の根元には真皮を再生する仕組みがあるのではないかと考えて研究したのが最新の成果だという。
他社の研究員は、この発想に「ほう」と驚いた様子で、たるみやコラーゲンの研究で毛根に向かうのはなぜなのかといつも面白く感じると語った。ポーラの研究員は、真皮のコラーゲンを再生したいという目標自体は各社共通だが、皮膚の断面像をよく見て、どこが再生しているかと妄想を膨らませることで研究が始まると説明した。「この部分に何かあるかも」と考えてから真皮再生のメカニズムにたどり着くまで、9年ほどかかったかもしれないという。その間も「こういう可能性もあるかも」と複数の可能性を並行して検証するのが日常だと話した。
さらに、ハリの研究は真皮に着目するのが王道だが、それだけでいいのかという疑問もあった。肌に触れたときに感じるハリは、真皮だけでなく肌表面も含めた感覚だからだ。そこで皮膚の一番表面にある角層を研究したところ、角層の細胞をつなぎとめているタンパク質が糖化していること、そしてこの糖化が肌のごわつき、つまりハリを感じにくい状態につながっている可能性にたどり着いたという。
友利氏は、糖化を「パンの焦げ」にたとえて発表したポーラの打ち出し方を評価した。花王の研究員も、自社も糖化研究はしているが、これだけ話を膨らませられる研究があるのだと感じたと述べた。ポーラの研究員は、今後も真皮の再生や角層など、さまざまな着眼点からハリを突き詰めていきたいと話した。
コーセー:線維芽細胞の4つの個性と、30年以上の細胞系列
コーセーについて友利氏が取り上げたのは、美容皮膚科学会で聞いたという線維芽細胞の老化研究である。
コーセーの研究員の説明によれば、真皮をつくる線維芽細胞は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸など、ハリや弾力に必要な成分を生み出す。この細胞も年齢とともに老化し、機能が落ちていく。従来はシャーレの中の数万個の細胞を平均的な状態として観察していたが、技術の進歩で細胞1個1個の特性が見られるようになった。
1個ずつ見ていくと、線維芽細胞は同じ特性を持つわけではなく、個性の異なる約4つのグループに分けられることが分かった。1つ目は増殖性が高い、いわば若い細胞。2つ目はコラーゲンやエラスチンなど、細胞外マトリックスと呼ばれる弾力維持に必要な成分を作る機能が高く、真皮のメンテナンスを担う細胞。3つ目は調子が悪くなり、むしろ肌に悪影響を及ぼす老化細胞。4つ目はどちらにも属さない中間的な細胞である。
次に、この4つのグループが加齢とともにどう変わるかを調べた。そこで使われたのが、同じ人物から36歳頃から72歳頃まで細胞を採取し続けて得られた細胞系列で、30年以上かけて作られたものだという。友利氏は、通常の研究では異なる年齢の人の皮膚を比べるため、生活習慣や生まれ持った特性の違いが混ざってしまうが、同じ人なら時系列で見られると説明し、言うのは簡単でも何十年もかかる大変な研究だと強調した。
この細胞を使うことで、環境要因や遺伝的背景の違いを除き、純粋に加齢の影響だけを見られる。調べた結果、加齢で変化したのは、増殖性の高い若い細胞が急激に減ることと、老化細胞の割合が増えることの2点だった。この2つは全体の2割ほどにすぎず、大多数の細胞はあまり変わらなかった。研究員は、30歳から70歳という大きな老化の変化の本質は、ごく一部の細胞に注目した方が分かるということを明らかにした研究だと説明した。
友利氏は、この発表を聞いた学会での皮膚科医の反応を紹介した。皮膚科医は機器で熱を加えるなど皮膚に刺激を与えて反応させるので、増殖性の高い細胞が減るとデバイスが効かなくなるのではないか、スキンケアでそうした細胞を育む必要があるのではないか、という議論が出たという。友利氏は、美容皮膚科の学会でデバイス以外の話が出てきたことが印象的だったと語った。
コーセー:老化しない細胞の運命と「セルフェイト研究」
研究の発展として、細胞の運命を追いかけると、すべての細胞が老化するわけではなく、老化しない終点もあることが分かってきたという。細胞の運命の起点となるスイッチを見つけ、そこにアプローチできれば、細胞を老化しない方向へ導けるとコーセーの研究員は説明した。
スイッチを見つけるだけでなく、それに働きかける成分も探す必要がある。研究員は、肌の中で何が起きているか、細胞がどう老化していくかが分かることで適切な打ち手が見つかるとし、細胞の運命を切り替えて老化細胞にならないようにする成分や、増殖性を高めて若い状態を保つ成分を見つけていけば、より若々しい肌につながると述べた。
友利氏は「細胞の運命を変える」というキャッチフレーズに、コスメデコルテやコーセーらしさを感じると語った。研究員によれば、この研究分野はもともと「セルフェイト研究」と呼んでおり、フェイトは運命を意味する。細胞の一生を追いかけてどんな運命をたどるかを調べる研究そのものだという。
コーセー:コウジ酸の1.8倍配合とリポソームの刷新
コーセーのもう一つの柱として、コウジ酸が話題になった。コウジ酸は日本酒や味噌、醤油づくりに使われる麹菌という微生物が生み出す成分で、研究員によれば、美白有効成分として承認を受けてから約35年が経ち、論文や臨床試験の数も非常に多い。新しい美白成分を細胞で試験する際には、必ず効果が出る成分を「ポジティブコントロール」として一緒に試し、試験が正しく動いているかを確認するが、その役によく使われるのがコウジ酸だという。研究員はそれほど切れ味の良い成分だと表現した。
最近のトピックは、このコウジ酸をさらに高濃度で配合する試みである。友利氏が、2倍ではなく1.8倍という中途半端に見える数字の裏にせめぎ合いがあったのかと尋ねると、研究員は詳しくは言えないとしつつ、あらゆる面を総合的に考えてギリギリまで攻めたと答えた。
友利氏は、医薬部外品で同じ成分が入っていれば全部同じではないかという声についても質問した。研究員によれば、医薬部外品はある程度有効成分の量が決まっているが、その中で幅があるケースもある。また、単に濃度を上げればいいわけではなく、たくさん入れれば処方が壊れたり安定性が悪くなったりする。安定性や使用感の良さを両立できる処方を作るのに、今回は非常に苦労したという。
友利氏はさらにリポソームについて、美容に関心のなかった姉でさえ「リポソーム」という言葉を知っていたという思い出を語った。研究員は、長年研究を続けてきた完成度の高い商品なのでリニューアルはできないのではと思っていたが、リポソーム研究の成果が出て数年前にリニューアルしたと話した。
花王:毛穴パックの負担を超えるための角栓研究
花王について友利氏は、毛穴関連の製品リニューアルが今季SNSで話題になり、X(旧Twitter)では技術リリースを見て「その技術がどの製品に入るのか」が噂になるほどだと紹介した。成分ではなく技術の進化にこれほど注目が集まるのは珍しいという。
花王の研究員は、毛穴パックが流行した時代から約25年、角栓の研究を続けてきたと説明した。パックは角栓がごっそり取れる一方で、肌に負担がかかる。これを超えるものをどう作るかに年々取り組んできたのが背景で、日常のケアで肌に負担をかけずに洗浄で角栓を取れれば客のためになると信じていたという。ただし実際にやろうとすると非常に難しかった。
角栓は脂質とタンパク質でできていることは知られていたが、それなのに落とせない。そこで改めて組成を詳しく解析し、一つ一つの成分が何か、角栓の中にどう分布しているかまで調べた。その結果、角栓の脂質には油汚れの中でも特に落としにくい固体の油が多く含まれ、その周りをタンパク質の殻が囲み、それらが複合的に組み合わさっていることが分かった。研究員は、これなら落とせなくて当然だと気づいたと語り、台所の換気扇の汚れのようなものだと例えた。
花王:トロメタミンの発見
角栓の形態を変えられる成分がないか、さまざまな成分を作用させて観察していく中でたどり着いたのが、トロメタミンだった。友利氏が、トロメタミンは洗浄剤ではないのになぜそこに行き着いたのかと尋ねると、研究員は、界面活性剤や油剤、タンパク質変性剤も試したがほとんどびくともしなかったと答えた。タンパク質はpHに関与する、アルカリで洗浄できる、といった観点から候補を探す中にトロメタミンがあり、作用させてみたという。
角栓が崩れる様子を見たときは、研究員同士で「なんじゃこりゃ」と驚き、今でも感動するという。他社の研究員もこの角栓崩壊の動画を見ていた。ポーラの研究員は目で見て分かるのは伝わりやすいと評価し、コーセーの研究員はトロメタミンで角栓を溶かすという発想はあまりなかったと語った。富士フイルムの研究員は、角栓崩壊そのものより、過酸化脂質と角栓の関係を以前から研究し、それを臨床研究として行っている点を評価していた。花王の研究員は、角栓は客の毛穴悩みの最たるものだったからずっと見続けてきたのだと話した。
花王:今年の2方向のバージョンアップ
トロメタミンを使った処方は約4年前に完成していたが、今年はさらに2つの方向で技術を進化させたという。
1つ目は、毛穴に起こるトラブルに着目した方向である。角栓の中には、炎症性物質を多く出すアクネ菌がおり、研究員はこれを「悪玉アクネ菌」と呼んでいる。これが毛穴に多いと微炎症が起こり、毛穴が開くだけでなく、皮膚が盛り上がって「山」のようになる悩みがあることが分かってきた。そこにアプローチしたという。
2つ目は、角栓を除去しても視覚的になかなか改善しない黒ずみである。研究員によれば、毛穴は20年以上にわたって肌悩みのトップであり、友利氏もクリニックでシミやたるみで来た患者も必ず毛穴を挙げると話した。花王は8万個以上の毛穴を調べ、毛穴の奥の角栓が黒く見える原因に大きく関わっていることを突き止めた。そこで、毛穴の奥の角栓まで取れるよう技術を進化させた。
友利氏は当初、トロメタミンの量を増やしたのかと思っていたが、実際はパウダーを加えた処方だと述べた。研究員は、パウダーは角栓を「掻き出す」というより、トロメタミンが奥まで届くのを妨げる物質を吸着して取り除き、トロメタミンが奥までしっかり行き届くようにするためのものだと説明した。
友利氏は臨床の立場から、顔が赤い、調子が悪いという人の中には皮脂のコントロールがうまくいっていない人が一定数おり、皮脂をコントロールすると毛穴だけでなく肌のくすみ感なども良くなる人がいると話した。角栓を起点に炎症を起こす成分が生じ、肌荒れにつながるという点が臨床とリンクしていて面白いという。研究員は、角栓を起点とする症状やトラブルはまだまだあり、今後も深掘りしていくと答えた。
富士フイルム:写真フィルムの技術を化粧品へ
最後に取り上げられた富士フイルムについて、友利氏は化粧品会社ではない異業種の参入に当初驚いたと語った。
研究員は2006年入社で、当時は化粧品事業をしていなかった。写真が好きで、解析などの技術系の仕事を想定していたが、入社後に化粧品を開発することになり担当になったという。本業の写真フィルムが落ち込んでいたこともあり、先輩たちが新しいチームを作って化粧品やサプリメントに取り組む姿が生き生きしていたのを見て、新人ながらやれると思ったのが最初の頃の思い出だと話した。
研究員によれば、化学メーカーとしてのベースがあったことが大きく、転用できたポイントは3〜4つあるという。1つは抗酸化研究である。写真の色あせは酸化劣化によるもので、紫外線を含めた酸化防止の研究は創業時から行ってきた。写真用の酸化防止剤そのものを化粧品に配合することはできないが、分析の基盤があったため、アスタキサンチンの抗酸化力を維持する処方設計や、抗酸化力の評価はすぐにできたという。アスタキサンチンの真っ赤な色については、当時は抗酸化力の高い成分をどうしても配合したいという発想が先行しており、赤くて困るとは考えたこともなかったと笑った。
もう1つがナノ分散である。アスタキサンチンは油溶性で凝集しやすく、クリームなら良いが水系の製品には配合しにくい。写真フィルムの感光剤は乳化してフィルムベースに塗る技術を使っており、装置や機器があったため、それを応用してアスタキサンチンを分散させ、水系の製剤に配合したという。友利氏はアスタキサンチンが水に溶けるものだと思っていたと言い、研究員は溶けないと答えた。赤いのに下が透けるのは微細に分散されているからだと友利氏が確認すると、研究員は、分散すること自体は高圧をかけるなど方法があってそれほど難しくないが、分離、凝集、再合一しないよう安定化させる方がはるかに難しく、そのために何百もの検討をして安定性を付与したと説明した。ただ、こうした点はカタログにはなかなか出てこないという。
富士フイルム:「時代が早すぎた」ツボクサ由来成分AMA
友利氏は、富士フイルムの「AMA」という成分に驚いたと話した。いまで言うツボクサ(韓国コスメで流行している「シカ」)の成分だが、かなり前から使われていたからだ。
研究員によれば、美白研究を初めて手がけたとき、メラノソームの分解研究をしていた。美白やシミの研究はメラニン生成抑制が主体だったが、メラノソームを代謝できないかと考え、メラノソーム分解酵素に着目してその活性を上げるアプローチを研究した。そこで見いだした成分の一つがAMAで、ツボクサ由来のアジア酸、マデカッソシド、アシアチコシドの3成分の混合品である。活性が高かったので選んだが、今になってツボクサがまた話題になっていることは知らなかったという。AMAも水に溶けないためナノ分散の対象になり、美白製品に配合した。研究員は、今シカと言われているなら名前を変えたらいいのではと冗談めかし、友利氏は時代が早すぎたのかもしれないと応じた。
研究員は、誰もが研究に触れやすくなった時代なので、学術研究や薬剤の物理化学的な研究をきちんと論文や学会で発表することは、研究者だけでなく客にとってもメリットになると考え、地道に続けていきたいと述べた。
技術リリースへの注目と、研究を伝える難しさ
友利氏は、技術リリースを見て「これは何に入るのか」と消費者が推測する現象が面白いと話した。各社は業界の事情から、製品リリースと技術リリースを結びつけて「この製品にこの技術が入っている」とは言えない場合があるが、両方を出すことで気づいてもらうという形をとっている。以前は新製品に注目が集まっていたが、最近は技術リリースから次のリニューアルや新製品を予想するようになり、技術リリースの重要性が増しているのではないかと友利氏は問いかけた。
コーセーの研究員は、研究成果は伝わって初めて価値が出ると考えており、分かりやすく多くの人に届けることを重視していると答えた。チームのメンバーには「自分のお母さんが分かるレベルで説明して」と言っているという。専門用語を噛み砕くのは難しいが、相手の立場に立ってどんな言葉を使うかを考えることで、良い研究や面白い研究が詰まっていることが届けばいいと話した。
ポーラの研究員は、社内では研究員同士の議論からアイデアが生まれるが、その会話は専門用語が飛び交うものなので、世に出すときにいかに生活者に伝えるかを特に考えると述べた。富士フイルムの研究員は、社内の広報からニュースリリースの原稿をよく直されたと振り返った。もっと端的に、箇条書きで分かりやすく書け、何がすごいのか自分だけが分かっていても意味がない、と修正されることで訓練されたという。花王の研究員は、今回の反響については、噛み砕いて言葉にしたことが客に伝わり始めた実感があると語った。
友利氏は、技術リリースを読んでから製品を使うと、研究者が何年、何十年とかけた思いを受け取っている気がすると述べた。医薬部外品として国が認める成分は今後あまり増えそうになく、成分ブームは終わりに向かっているのではないかというのが友利氏の見立てである。一方で、各社の「秘伝のタレ」は研究が進むが、成分表には表れない。何をどう組み合わせ、どう肌に届けるか、浸透技術、処方技術、心地よいテクスチャーといった要素がますます重要になると友利氏は語った。
これからの化粧品研究はどこへ向かうのか
最後に友利氏は、日本の化粧品がどうなっていくと思うか、どうしたいかを各研究員に尋ねた。
富士フイルムの研究員は、同社が医療用の内視鏡やX線の開発も手がけ、画像から変化を見いだす部隊があることを挙げた。現在は字幕上「LCT」と聞こえる装置で皮膚の内部構造を観察し、シワなどの原因を見いだす研究をしている。切って調べることができない皮膚を、非侵襲で観察してシミやたるみの要因を見いだす研究は今後もなくならず、同社の主力になっていくと考えている。また、サプリメントも手がけることから、インナーケアを含めた老化研究も主力になると述べた。生物学的年齢を示すエピジェネティッククロックやロンジェビティは用語としてブームになっているが、同社は皮膚だけでなく全身の老化を捉え、皮膚や体内の抗老化に有効な成分や技術を生み出したいという。友利氏は、健康であってこそ皮膚も健康で美しくなるのだから、抗老化はエイジングケアの根本だと応じた。
花王の研究員は、肌の中で起きていることや効果が目に見えて分かり、それを見やすく表現することで、技術や効果の良さが手に取るように理解される、そうしたコミュニケーションができる世界を期待していると語った。9歳の娘がいることにも触れた。さらに、先ほどの細胞の話と同様に毛穴も一つ一つ違うことが分かってきており、角栓は顔全体にあるのに面皰(コメド)やニキビになるのはごく一部だという。こうしたことが解明されれば、ニキビなどに悩まない世界は近い将来にあると考えている。友利氏は、宮古島出身で最初に悩んだ肌トラブルがニキビだったと振り返り、ニキビ跡などQOLを下げる問題を毎日のスキンケアで予防できれば悩む人は減るだろうと話した。10年後、20年後には毛穴が悩みの1位でなくなる世界が来るかと問われると、研究員は来ると信じているし、その世界を作らなければと思っていると答えた。
コーセーの研究員は、ミクロとマクロの両面で考えていると述べた。ミクロでは、スイッチを入れるだけで細胞の振る舞いを変えたり、細胞自体の時間を巻き戻して若返らせたりといった、以前は考えられなかった「SF小説的」なアプローチが実現する未来が来るのではないかと予想する。そうした研究は盛んに行われており、細胞のプログラムを変えて若さを取り戻すことは可能性として十分あると考えている。マクロでは、肌は睡眠、生活習慣、食事など全身とつながっている。これまでは肌の研究にフォーカスしがちで、睡眠不足や食生活が肌にどう影響するかといった統合的な研究はデータが膨大で難しかったが、解析技術やAIの発達で大量のデータを処理できるようになった。肌と心、肌と体の境目をなくした統合的な研究が進み、全身的なアプローチで美しさや若々しさを保つ戦略ができていくのではないか、そうしたことをやっていきたいと語った。ポーラの研究員も、肌の上からのケアだけでなく生活習慣や運動を含めて美しさを追求するのは消費者の実感に近く、理にかなっていると応じた。
ポーラの研究員は、皮膚や人の違いを見ることに強い関心があると話した。ポーラは2029年に創業100周年を迎えるが、始まりは創業者が妻の手荒れを治したくてハンドクリームを作ったことだという。皮膚をケアしているつもりで、その奥にいる人をいつも思って研究しているが、人は一人一人違う。皮膚の違いや人の違いを明らかにすることが化粧品を変えていき、「私にぴったりなもの」や「私がなりたい肌になれるもの」といった、SFのような未来を現実にしていくことが研究の面白さだと語った。
ポーラの研究員はさらに、毛根の真皮再生の仕組みを解明できたのは、局所で起きている現象は平均的な検証では見えず、シングルセル解析で細胞一つ一つの振る舞いと、細胞同士がどうコミュニケーションを取って現象を起こしているかを紐解けたからだと説明した。技術の進歩でそれが可能になったことが、成果に結びついたという。また、コーセーの研究員が話したAIによる膨大なデータの統合解析も研究を大きく進めると考えており、これからはどんなデータを持っているか、それをどう解釈するかに各社の個性が出ると見ている。
独自のデータと、スキンケアが担うもの
友利氏は、AIの進歩で人がこれかこれかと試していたことの見当がつけられるようになっても、最終的には人の判断や、AIをどの方向に導くかが重要であり、それには研究員の積み重ねが欠かせないと述べた。いまや写真を撮ってAIに聞けば化粧品の情報が大量に出てくる時代であり、独自のデータを持ち、それをもとに開発する独自性がなければ戦えない世界になりつつあるという。
美容医療の分野にもいる立場として、友利氏は「スキンケアは何でもいい、美容医療さえやっていればいい」という声もゼロではないと認めた。しかし自身の考えは違い、ジャンプアップさせるのは美容医療かもしれないが、常に良い状態を保ちながら少しずつベースを上げていくのはスキンケアやインナーケアにしかできないという。そこがおろそかになると、思ったようにジャンプアップできないと友利氏は語った。
対談の最後に友利氏が、各研究員の頭の中にはすでに5年後に世に出る何かのアイデアがあるのかと尋ねると、全員が「あります」「いつも考えています」と答えた。友利氏は、数年後にまたこの対談をしたときに「あのとき考えていたのはこれだった」と答えてほしいと呼びかけ、対談は締めくくられた。
30年以上かけてこう作った細胞系ですよね。会社も超えてスター研究員が集まっていただきました。製品になるまで15年くらいかかっているんですね。来ると信じながら作らないと、と思って。力強い、嬉しい。チャレンジするみたいなのを先輩方もして見てたんで。細胞自体の時間を巻き戻してこう若返らしたりみたいな、SF小説的なアプローチがですね、未来っていうのが来るんじゃないかなっていう風に。
思いを受け取ってるわけじゃないですか。皆さんこんにちは。友利新です。今日見てください。こんなに豪華になっております。
今日はですね、なんと私がずっとずっとやりたかった企画なんですけれども、今って本当に化粧品、特に日本の化粧品の成分だったりとか技術とか進化していて、それを研究員の方にこう聞きたいっていうのを私はずっとYouTubeでやってきたんですけれども、なんとメーカーも、そして会社も超えてスター研究員が集まりました。
皆さんおはようございます。結構早い時間にありがとうございます。よろしくお願いします。はい。
この企画なんですけれども、雑誌のマアさんでスター研究員さん集まっての座談会っていうことをやった時に、雑誌の企画だからこのメーカーの垣根を越えて集まってくださったのかなと思って、バカのふりして私が、YouTubeでも是非って言ったら意外とオッケーが出まして。こんなこと普通ないんですよ。
あと皆さん一応ライバルでもあり、マル秘のことがあったりとか。だから私は化粧品の研究のところに話を聞きに行きますけれども、他社さんの前では絶対話さないわけじゃないですか?
そうですね。初めて。初めてですよね。なので皆さん本当にいい人だなと思って。集まってくださったので、今日は普通のところでは聞けない、やっぱり各ブランドさん、各メーカーさんの思いを話していただきたいと思います。
自己紹介からやらせてもらいたいんですが、まずですね、ここ座るのも皆さんほら奥ゆかしいから、どこ座るみたいになったので、じゃんけんで決めてもらったんですね。なので自己紹介もじゃんけんの勝った順から行こうかなと思いますので、まずはポーラさんからお願いします。
ポーラ化成工業の木内一と申します。私はですね、今研究戦略を担当してるんですけども、元々は皮膚科学が専門で、たるみを中心とした基礎研究から製品開発まで広く携わってきました。
ポーラの技術だったりとかは、もう木内さんに聞けば大丈夫って感じですか?
そうですね。思い出に残ってると言いますか、研究をちょっと話してみたいなと思ったんです。そういうのが大好物なんで、よろしくお願いします。
実は私が携わった製品、宇宙に行ってまして。あ、知ってる。宇宙に行ってるやつね。そうなんです。宇宙っていう極限の環境で皮膚はどうなるんだろうっていうことを、発想を広げてやった研究なんですけども、意外なところに着眼を持って研究を広げることにすごくワクワクしながら取り組んでます。
コーセー研究所皮膚薬剤研究室の平と申します。今日はよろしくお願いいたします。お願いします。私はですね、元々は皮膚の細胞の老化に関する研究をやっていたりとか、あとはもう1つ、皮膚の奥の方にあるSMASという筋膜に関する研究をやっていたことがあります。
分かります。私は昨日もたまたまうちのクリニックのフェイスリフトの巨匠と、SMASをどう引き上げるかっていう話を一生懸命してました。そのSMASですね。そうです。そのSMASはなかなかこう観察する方法がないので、CTとかそういう方法を使って肌の奥にあるSMASの画像を撮って、それがどんな風に緩んでいくかっていうのと、さらにマッサージをすることによって緩んだSMASを引き上げることができるっていう研究をしていたりはしたんですけれども。
私たちやっぱり美容の人は切って、これがSMASだよみたいには見えるんですけど、侵襲を与えてはいけないし、皆さんが美容医療で切ったりとかするわけじゃないので、いかに家で、マッサージだったり、スキンケアとかでどうSMASまで行くかっていう、もう世界観になってるんですね。
そうですね。化粧品のお手入れでできることを考えた時に、お手入れ方法のマッサージメソッドでたるみを改善していくってことを研究していたりもしたんですけど、今はですね、もっと幅広くいろんなことをやってまして、皮膚の基礎研究とか、あと美容成分の開発とか、あとは完成した商品の効果の検証とか、かなり
効果の検証してるこのお顔じゃないですか。もうだって効果の検証がここに出てるってことですね。いえ、とんでもないです。素晴らしい。幅広く担当しております。ありがとうございます。
花王のスキンビューティ研究所から参りました池垣と申します。よろしくお願いいたします。お願いします。私は毛穴といったところを中心に研究を進めて、それに関わる技術とか洗浄技術とかですね、そちらを中心に開発していって、商品開発まで行ってるっていうのが今の現状になっております。
花王と言ったらもう角栓崩壊ですもんね。じゃ、そこもしっかり研究して世に出していってる人っていうイメージで大丈夫です。その最前線に。最前線にいる。ちょっとそれはまた詳しく聞きたくなりますね。
富士フイルム株式会社の研究マネージャーをやっております、本裕と申します。よろしくお願いします。私は研究領域かなり広いんですけれども、まとめると化粧品とサプリメントのエイジングケア、あとはその薬剤の皮膚浸透解析みたいなのを専門にやっています。
うん。フランクに話すと皆さんあれなんですけど、今日私も珍しく台本というものを書きまして。普通私YouTubeで台本書くことってほぼないんですよ。ずっとわーって喋るだけなんですけども、色々な大人の事情もありますんで、こういう質問をするよっていうのを事前に一応送ってはあって、私も一応それ間違えちゃいけないと思って台本は手元にありますけども、これ通りじゃなくても全然いいですし、クロストークしていただき、一応私は持っておりますが、無視していただいて大丈夫なので、今日はちょっとざっくばらんにお話しさせてください。よろしくお願いします。よろしくお願いします。
とは言っても自分のその研究だったり、その各ブランドさんの主力の研究だったりとか、見てる方も、あ、あれを作った人かなみたいなこと薄々気がついてはいると思うので。最近って本当に、私が言うのもなんですけど、いろんな人がこの化粧品の後ろの成分[笑い]を見てこうなんじゃないかとか、同じ成分が入ってるから同じなんじゃないかとか、ああだこうだいう人が増えてるじゃないですか。それ見て皆さんどう思ったりするんですか?どう思います?
今はすごくいろんな成分とか化粧品の情報がお客様にダイレクトに届く時代になってるのかなと思うんですよね。いろんなSNSとかも発達して、それはすごくいいことだなという風に思う。いいこと?イラついてはいないですか?大丈夫ですか?[笑い] すごく美容の知識が上がってるっていうのはいいことだなという風に思いますね。
導き出したりとか、いい成分をいかに肌に届けるか、デリバリーの方法を研究したりとか、そういったところがより重要な時代になってるのかなっていう風に感じますね。うん。
え、どうですか?なんかこれこうだって言われた時にイラっとはしたりしないんですか?イラっとはしないんですけど、やはり成分だけでは戦っていけないなと。我々もさとかコラーゲンとか研究してますけど、その成分が入ってますよっていうだけではダメなので、いかにそのDDSの観点で皮膚にどう送達するかっていうところで、我々はナノ分散とかそういうのに注力してますけど、そういった届け方みたいなところと、どう効果を発揮するかっていう、皮膚の状態を観察するっていう、その両方できるっていうのが今後強い研究になってくるんじゃないかなと思います。
それって結構日本ならではな感じですか?
私の観点からお話しすると、成分への関心は本当に高まってると思うんですけれども、一方で情報がすごくたくさんなので、でも実際私にとってはどれが1番いいんだろうみたいな悩みがちょっと高まってる人もいるんじゃないかなっていう風に思うんですね。企業の責任としては、どういう人にどういう場面でどういう価値を感じて欲しいのかっていう、その点でそういうコミュニケーションを取っていくことが、これからもっともっと重要になるんじゃないかなっていう風に考えています。
成分だけで言うと、本当にすごい毛穴に特化した、角栓崩壊みたいなことをやっていますけれども、これに入ってる、これに入ってるみたいなものがSNSにはあって、広まることを見てどうですか?嬉しい観点もあるんですか?
嬉しい点もあるんですけど、私から見ると、成分はいい成分だったりするんですけど、技術を作る立場というか、処方にするとその成分って実際に働くかどうかって違いますよねっていうのをすごく思っていて。そう。それだけポンとあっても、それが本当に肌の上でどう働くかはわかんないと。成分を見て買っていただいたりとか、そういった情報まではいいんですけど、もう1つ2つ上まで来てほしいなっていうのを思っていて。私たちは本当にこの成分をお客様の肌のためにこの状態で考えて作り上げてますよと、そこまでを見て選んでほしいなと思うんですけど。
なかなか伝わりにくい。私よくお料理で言うんですよ。例えばお寿司とか私だって作れるんですよ。一応3人子供がいますから。築地に行ってお魚買ってきて、さばいて、同じ塩買ってきて、同じお米で同じ酢飯で作るけど、私が作ったお寿司と、やっぱり何年も修行された、わかんないですけど銀座で職人さんが作ったお寿司と、材料は一緒なので成分は一緒。産地も一緒かもしれないけれども、出来上がったものって絶対明らかに違うじゃないですか。で、そこにはある程度皆さん理解があると思うんですけど、なぜか化粧品になると、あれ成分一緒だし、この成分があるってことは同じなんじゃないかとか、技術っていうここの観点がすっぽり抜けてる感じがするんですよね。安い方がいいんじゃないかとか、同じ成分が入ってる、なんでここ高いんだ、ぼったくったんじゃないかみたいなことがSNSで言われてるのを見ると、私はすごくそれが悲しいし、絶対そこには訳があるわけじゃないですか。それを今日はちょっと皆さんに色々お話ししていただきたいなと思うので。
ポーラさんね、木内さんの方から。ポーラさんといえば私のイメージだとやっぱりハリとか、そういったものもそうですし、シワとかもパイオニアね、製品を開発していただいてるんですけども、2018年に発表会があった時、私今でも覚えてるんですけれども、発表会の時にやっぱこれを言えます。多分その前ですよね、承認が降りてるのはね。はい。16年に承認を受けてます。
そんなわけあるかいって思ったのは、その成分が効かないっていうんじゃなくって、化粧品で言っちゃいけない、研究でデータが出たとしても一応広告として言ってはいけないっていうものがシワにはあったので、シワに効果があるっていうことをまさか言えるとは思ってなかったんで、それでそんなわけあるかいと思ったんですよね。画期的なことでしたよね。
承認を得るためには有効性を証明したり、安全性も証明したり、様々な項目があるんですけれども、私たちがそのシワの原因は何だろうっていうような研究を始めてから承認を得て製品になるまで、実は15年くらいかかっているんですね。
それ見た時ちょっとどうでした?出されたなみたいなところは正直あったりしてるんですか?正直びっくりしましたよ。やっぱびっくりしますよね。先にやられたんだなって思いましたけど。[笑い] そうですよね。はい。それでどうですか?うん。
ニールワンっていうのが発売された、そのシワの原因についての研究なんですけれども、シワっていうのは真皮の奥のあたりで起こるんですけれども、シワが形成される真皮の奥では好中球エラスターゼっていう酵素が過剰に産生されていて、それでコラーゲンが分解されているっていうことが分かったんですね。好中球エラスターゼの働きを抑えますっていうのがニールワンという成分で、なので深いシワにも効きますということで、データで証明させていただいております。
いや、だからそこが出た時に、化粧品でやっぱ真皮の話までもうできるっていう世界観になったんだなっていうのをすごく感動したし、私のYouTube見てる人でも、本当に好中球エラスターゼっていう言葉を意外と知ってる人もいて。普通そんな言葉、皆さんはもちろん知ってらっしゃるとは思うんですけど、一般の人がそこにたどり着くっていうか。そうです。
それは本当にすごいなと思いますよね。その研究が始まったのはやっぱりハリの研究をしてたからっていうところもあるんですか?シワの研究もハリの研究も私たち長く続けているんですけれども、実は今お話ししたシワの研究以外にもハリについても長く研究しているんです。
はい。通算で言うと40年くらい、もうハリの研究も。あの若いですね。私[笑い] 40年。いや、私が生まれてもう小学生ぐらいからやってるってことですね。
代々その研究もハリの研究も続けていて、ハリの研究については最近ちょっと面白いことが分かりました。ハリっていうのをちょっと1回説明しようと思うんですけれども、皮膚っていうのはさっきもお話しした真皮のコラーゲンが支えているっていう風に言われているんですけれども、年を取ってしまったり日に当たったりしてしまうとそのコラーゲンが減るので、皮膚が支えられなくなってふにゃふにゃしちゃったり、ちょっとたるんでしまうっていうことが起こるんですね。
真皮のコラーゲンを再生できないだろうかっていうのを考え、考えるの自由じゃないですか。妄想をしました。そうです。着目したのが毛の根元だったんですね。
毛っていうのは、見えるところだと毛が伸びて抜けてっていうのが分かりやすいかと思うんですけれども、実はその皮膚の中でも根元っていうのが伸びたり縮んだりっていうのを繰り返しているんですね。伸びたり縮んだりっていうのが起こると思うんですけれども、その時に真皮に穴が開くっていうことはないじゃないですか。っていうところから着想を得たんですけれども、毛の根元っていうところには何か真皮を再生する仕組みがあるんじゃないかっていうところで研究をしたっていうのが最新の研究ですね。
なんか私のイメージ、ポーラさんの研究って、普通あんまりそこ行かないよなっていう感じ。どうですかイメージ?そうですね。なんか今話を聞いて。うん。ほうって[笑い] ほうって感じですよね。
確かに毛の根元に常にやっぱ再生のサイクルがあるから、そこにって思うと思うんですけど、たるみとかそのコラーゲンとかそういったところに行くっていう発想が、言われたら分かるんですけど、なんでそこなのかなっていうのが、いつも聞いても面白いなと思うんですよね。もう妄想家が多いかもしれないです。[笑い]
目標はその真皮のコラーゲンを再生したいっていう目標がある。みんなそれは共通なんですけれども、そうした時に、じゃ皮膚ってどうなってるんだろうなって、その皮膚の断面像をよく見てみて、どこが再生してるだろうなみたいに妄想を膨らましたりすることで、そんな研究が始まってます。
ダーモス見てそんな妄想できます?[笑い] 私も一応皮膚をやらせてもらってるんで、ダーモス見ますけど、それでそんな妄想。ダーモスあんまりないですか。っていうだけに、こう何か動きがあるのかなっていう風に思ったのが始まりですね。錚々たる皆さんもへえって言ってるから、やっぱり不思議ですよね。
その妄想力を現実にしてしまうのがその研究の面白いところだなって思うんですけれども、これも結構長いこと同じことを研究していまして、真皮の再生のメカニズムっていうところにたどり着いたのには、それこそ9年くらいかかってるかもしれないです。この部分に何かあるかもなから。9年。そうですね。まあまあ長く。
え、その間に、ここじゃないかもしれないとか、ちょっともう違うところも着想しようかなとかはやっぱりあったんですか?いつもそんな感じです。こういう可能性もあるかも、そうじゃないですか。こういう可能性もあるかも、こういう可能性もあるかもって接しながら日々研究しています。[笑い]
今回はここにたどり着いたけど、他のところも着想をしていて、同時に研究を走らせていて、ゴールに最短でたどり着いたみたいなイメージですよね。
はい。ハリについてはやっぱり真皮に着目しながら研究をするっていうのが王道と言いますか、研究者もそうなんですけれども、ちょっとそれだけでいいんだろうかっていう風に思ったりもするんですね。そう思ったきっかけっていうのが、肌に触った時って真皮だけを触ってるわけじゃないじゃないですか。肌の表面も触ってハリ感っていうものを感じているので、肌の表面に対しても何かハリに対してできることがあるんじゃないかなっていうことを考えてやったのが、皮膚の1番表面にある角層の研究ですね。うん。
分かったこととしては、角層の細胞をつなぎ止めているタンパク質があるんですけれども、そこが糖化しているっていうことが分かりまして、糖化しているっていうことが皮膚のごわつき、つまりハリを感じにくいところにつながってるっていう可能性にたどり着きました。真皮だけじゃなくって、色々な角度からハリについて考えてるっていうのがハリ研究の面白いところだなっていう風に思ってます。
やっぱなんか糖化の研究って、多分他のブランドさんも全部やってると思うんですけど、また糖化っていうのも思いっきり打ち出したじゃないですか。あれも当たり前ですけど、皆さん糖化が肌に良くないっていうことは分かってたと思うんですけども、糖化をパンの焦げたやつっていうのを発表会でも出して、これが糖化ですみたいなことをやったのも、ポーラさんって打ち出し方がすごく上手だなって。ありがとうございます。すごく思いますよね。花王さんも結構糖化研究やるじゃないですか。
やってますけど、今みたいにトークを膨らませるだけの研究がやっぱりあるなっていうのは[笑い]すごく思いました。
ねえ、素晴らしいですね。今後はどういった、このハリをもっともっとステップアップさせていくっていうイメージですか?
真皮の再生であったり角層のっていう話をしたんですけれども、またいろんな着眼からハリについてこれからも突き詰めていきたいなっていう風に考えてます。最初私とかは美容を気にした時って、まずやっぱ毛穴、ニキビとか若い頃から入るじゃないですか。その次はやっぱり美白、どうしてもシミを作りたくないな。でも40も過ぎると今度はたるみっていうことで、どんどんその悩みって増えたりとか進んでいったりするので、皆さんがそれぞれ研究してくれてることが私のこれを作ってるなと思って、改めてちょっと嬉しいなと思いました。ありがとうございます。ありがとうございます。
続いて平さん、よろしくお願いします。
コーセーさんといえば、私の中では線維芽細胞の老化の研究。その美容学会でも聞いた時にすごい研究してるなって思ったんですけど、それをまた改めて教えてもらっていいですか?
皮膚の真皮というところを作っている細胞は線維芽細胞という細胞で、この細胞はコラーゲンとかエラスチンとかヒアルロン酸とか、真皮のハリ・弾力に必要な成分を作り出してくれるので、私たちの肌はハリとか弾力がある状態をキープすることができるんですね。一方でこの細胞もですね、どんどん年齢と共に老化をしていくわけなんです。
なのでこの細胞がどのように老化をしていって、そこの過程でどのように機能が落ちていくのかっていうのを研究するのはすごく大事なことなんですけども、どんどん研究の世界の技術が進歩してきてですね、今は細胞1個1個の個性を見ることができるようになってきたんですね。ええ、そうですよね。
そうなんです。以前まではですね、シャーレの中で私たち細胞を飼っていて。はい。あ、飼ってる。[笑い] 話しかけたりとかもするんですか?話しかけたりはしないんですけど、よくその形とかはすごく観察をして、なんか元気そうだなとか、調子悪いなとか、そういうのはあり。調子悪い今日な、みたいな。
シャーレの中で数万個の細胞を飼っているので、普段はですね、その平均の状態を観察してるんですけども、技術が進化して1個1個の特性が分かるようになってきたんですね。そうするとシャーレの中の数万個の細胞を1個1個のベースで観察をしていくと、線維芽細胞と一口に言っても同じ特性を持ってるわけではなくて、4つぐらいの個性の異なるグループに分けることができるってことが分かってきたんです。
人でもやっぱりすごく一生懸命働く人もいればね。一生懸命働く人もいれば、いいやって。本当そうですね。[笑い] なんか人間という種族で、男性でも違うし女性でも違うしとか。イメージが、細胞っていう1つのキャラクターみたいなものがいるって思うんですけど、それじゃなくて、それはあくまでも総称であって、線維芽細胞の頑張るキャラとかゆるキャラとかいっぱいいるってことですよね。
そうなんです。そうなんです。分けていくと4つのタイプが分かりまして、まず1つ目が増殖性がすごく高い、言ってみると若い細胞。頑張ってわっとね、っていう。はい。2つ目はコラーゲンとかエラスチンなどの、細胞外マトリックスって言うんですけど、肌の弾力維持に必要な成分を作る機能がすごく高い細胞。
あ、増殖性が高いものと、その作る機能が高いものはまた別なんですね。そうですね。この真皮のメンテナンスとかを主にやってるような細胞ですね。で、3つ目は老化細胞と言って。はい。もう今トピックね。はい。かなり細胞の調子が悪くなってしまって、むしろ肌に悪影響を及ぼしてしまうような細胞ですね。で、4つ目は中間的な特徴を持つ細胞で、どちらにも属さないようなものになります。
4つのグループがあるっていうことが分かって、次に行ったのが加齢と共にどのように変わっていくかっていう研究になります。その時に使ったのがですね、なんと同じ人物から。そう、これすごい。その人が36歳の時から72歳ぐらいまで、同じ人から細胞を取り続けて得られた。
それはかなり、皆さんおおって言ってるのは、通常だったら、例えば48歳の人の皮膚、じゃあ60歳の皮膚、じゃ20代の皮膚取ってきて、それで何が変化が起こってますかみたいな感じなので、もちろん年齢で区切ることはできるんですけど、やっぱり生活習慣だったりとか、あとは生まれ持った特性みたいなものもあるので、若干、年が若いからとか年が行ってるからだけでは説明がつかないことがあるんですけど、同じ人だったらそれはもう当たり前ですけど時系列で必ず見れるので。簡単そうに見えますけども、何十年もかかるからそれって大変なんですよね。
30年以上かけて作った細胞系列になります。いや、だから本当に一言で言うのは簡単ですけど、これめちゃくちゃすごいことですよね。
その細胞を使うことで、その環境要因とか遺伝的なバックグラウンドの違いを抜いて、純粋に加齢の影響だけを見ることができるようになるんですけども、その細胞を使って4つのタイプを調べてみると、変わった細胞だけだったんですよね。年齢を重ねて変化したのは、まず増殖性に特化した若い細胞が急激に減少し、でもう1つは、当然といえば当然ですけど、老化細胞の割合が増えてしまう。増えていくね。うん。
その2つというのは実はですね、全体に対する割合は2割ぐらい。すごく少ないんですよ。そんなに大きくない。うん。で、その他大勢の細胞っていうのはあんまり変わらないということが分かりまして、30歳から70歳ぐらいまでかなり大きな老化の変化があると思うんですけど、その時に起こっている細胞の変化っていうのは、ごく一部の細胞に注目した方が老化の本質が分かるっていうことが明らかになった研究になりますね。うん。
それを聞いた時、ちょうど美容皮膚科学会、去年大阪であったところで発表していて、皮膚科医は何を考えるかというと、私たちからしたら機械だったりデバイスだったりとかでやっぱりするので、機械で熱を加えてムチを与えるみたいなもんじゃないですか。だから増殖性が高いものが少なくなっちゃうとデバイスが効かなくなっちゃうんじゃないかみたいなことを言ったりとか、スキンケアとかでそういったものをちゃんと育んであげなきゃいけないんじゃないかっていうのをやっぱり先生方も言っていて、美容皮膚科学会でもデバイス以外の話が出てくるんだなっていうのを私はすごい思ったんですよね。
その研究の発展系として明らかになったのが、細胞の運命を追っかけていくと、みんなが老化するわけではなくて、老化しない終点、人生の終わりもあるってことが分かってきたんですよ。細胞の運命の起点となるスイッチを見つけることができて、そのスイッチにアプローチすることができれば、老化しない方向へ細胞を導くことができるっていうアプローチも、新たなエイジングケアのアプローチとして見つけることができます。
え、そのスイッチ見つけるだけじゃないですもんね。そこにやっぱり効果的な成分を見つけてくるってことですもんね。うん。そうですね。そのスイッチの成分を増やすようなものを見つけて。うん。
まずはその細胞自体がどういう特性があるかを見つけて、あ、こんな風に分類したんだ、老化しないっていうところのスイッチを見つけて、見つけるだけじゃなくって、そこに行かないような成分をまた見つけていかなきゃいけないって、何段も研究を進めていかなくちゃいけないですもんね。
肌の中で何が起こってるかとか、細胞がどのように老化していくのかが分かることによって、適切な打ち手を見つけることができるので、細胞の運命を切り替えて老化細胞に行かないようにする成分とか、あるいはその細胞の増殖性を高めて若い状態をキープするような成分っていうのを見つけていけば、より若々しい肌が保てるのかなっていうところにたどり着きますね。
だからやっぱりこの細胞の運命を変えるとか、またこのキャッチフレーズもすごい、ちょっと私の中ではコスメデコルテとかコーセーらしいなって思ったんですよね。なんかワクワクするじゃないですか。研究のことを知らなくても、加齢していくのが運命だから、それを変えてくれるんじゃないかって絶対想像するじゃないですか。この壮大な研究のこと知らなくても。それってなんか今の言い方はうまい。コーセーさんうまいなっていつも思います。
元々この研究の分野をセルフェイト研究と呼んでいまして、フェイトって運命っていう意味なんですよね。細胞の一生を追いかけていった時にどういう運命をたどるかっていう、研究そのものがそういう研究になるんですよね。
あとやっぱり、コーセーさんといえばコウジ酸ですよね。そこの研究も今回はまたアップデートされてたりもしますもんね。はい。あ、そうですね。
コウジ酸というのは、日本酒とか味噌とか醤油とかを作る時に使われる麹菌という微生物が生み出す成分なんですけれども、日本に昔からある美白成分になります。美白の有効成分として承認を受けてから35年ぐらい経っていますので、かなり実績と信頼が積み上がってる成分になりますし、その間にたくさんの研究がされているので、論文とか臨床試験の数も非常に多いものになります。新しい美白成分を探すに。うんうん。うん。
細胞を使って美白効果の試験をするんですけども、ポジティブコントロール、ポジコンっていうのを置くんですよね。絶対に効果が出る成分をあえて一緒に入れて、この試験がうまく動いてるかっていうのを確認する。うん。それを皆さんやることも。うん。うん。そのポジコンとしてよく使われるのはコウジ酸なので、それぐらい切れ味の良い成分ということになります。
今回はですね、そのコウジ酸をさらに高濃度に配合することができないかっていうのをチャレンジしたっていうのが最近のトピックになりますね。そうですね。
コウジ酸を高配合っていう時に、あ、じゃあ2倍とかなのかなと思ったら、微妙なこの1.8倍っていう。1.5よりは1.8の方が効果、みたいなこのせめぎ合いはあったんですか?詳しくは言えないんですけど。あらゆる面を総合的に考えまして、ギリギリギリギリのところまで攻めたっていう感じ。[笑い]
これ多分何回も聞かれてると思うんです。すごく想定問答がうまく、日本の会社ならではのね。うまくは言えないけれども、医薬部外品でコウジ酸が入ってると全部一緒なんじゃないかみたいに言われることもあるんですが、ブランドさんごとに変えていくんですよね。その医薬部外品を出す時って全部が一緒の濃度じゃないっていうのを聞いたんですけど。
えっとですね、医薬部外品はある程度有効成分の量が決まっているんですけども、その中で少し幅があるケースがあるんですよね。はい。そうですね。全部が一緒じゃないし、先ほどおっしゃったように、何と組み合わせるかっていうのもすごく大事っていうことですか?
もちろんです。ただ高濃度にすればいいわけではなくて、当然たくさん入れればその分処方が壊れてしまったりとか安定性が悪くなったりするということがありますので、安定性とか、あるいは使用感の良さとか、そういったところを全部両立できるようなうまい処方を作るのに、実はすごく苦労を今回してるんですよね。
なるほどね。あとなんかコーセーさんといえばリポソームみたいな。私2人姉がいるんですけど、2番目の姉はめちゃくちゃ美人なんですよ。またこれ言うとお姉ちゃんが怒るんですけど、高校生の時に本当にファンクラブがあったぐらい、うちのお姉ちゃんすごい美人で、肌も私と全然違って1回も荒れたことがなく、ニキビも一切できたこともない、本当に肌が綺麗なお姉ちゃん。私は東京の大学に行ってたんですけど、姉は北海道の大学に行っていて、たまに来る時に化粧品を、これいいんだよって言ってたのが御社のリポソームが入った化粧品だったりとか。何にも興味がない姉でさえもリポソームっていう言葉を知ってるんですよ。
そんなぐらい国民的にリポソームを知らしめた会社っていうイメージなんですけど、これもずっと研究されてるんですよね。
あ、そうですね。長年研究を続けていて、完成度も高い商品なので、リニューアルみたいなことはできないんじゃないかと思ってたんですけども、リポソーム研究の成果が出てリニューアルというのを数年前に実施をしたんですよね。
うん。うん。うん。あの時も、もう2度と変わらないと思ったのにまた変えたなとか。で、それをまたいろんな処方の技術でクリームにしたりとか、それだけでもずっと話せそうなんですけど、ちょっと次に行きます。[笑い] ありがとうございます。
次はもう角栓崩壊といえばって言って、今期もすごいいろんな、もうSNSでざわざわして、なんかリニューアルするらしいって言って。今ってXとかでは技術リリースを見て、技術が何に入るかっていうのがやっぱり噂になるような感じなんですよ。技術が大事だっていうことが少しずつ皆さんに浸透してきたので、この成分が入ってるからではなくて、この技術がどんどん進化してるっていう技術リリースを出しただけで、あんなにXがざわつくっていうのもなかなかないなと思うんですけど。その崩壊を長年研究されてると思うんですが、そこにどうやって至ったかも教えていただいてもいいですか?
そうですね、まず崩壊の最初の方からちょっとお話ししたいと思うんですけども、花王では、皆さんもご存知の毛穴パック。うん。流行りましたね。はい。そこからですね、25年ぐらいですかね、角栓研究をずっと続けていまして、ごそっと取れるのはいいんだけど、どうしても肌に対して負担があるよねみたいなところがあって、年々どうしたらいいんだろうって、それを超えられるものってどうしたらできるんだっていうのに取り組んでたっていうのが背景としてあります。
日常の普通のところで、肌の負担なく洗顔料でそういったものを取れたらお客様のためになるだろうというのを信じて。そうですよね。いざやろうとすると、もうそれがすごく難敵で。うん。
物理的に貼って取った方が早いけど、やっぱり毎日のケアでやっていきたいっていう風になったら、結構ハードル高いんですね。ハードル高い。で、毛穴の汚れと言って、角栓は組成もタンパク質と脂質からなってるよっていうのは、もう皆さん。うん。そうですよね。うん。だったら落とせるだろうって思うのに落とせてない。うん。
これも改めて詳細解析しまして、組成もかなり深く、1つ1つが何なのかみたいなところまで調べましたし、その成分がどういう風に角栓の中に分布しているのかとかっていうのを調べたんですね。ああ。
角栓の脂質と言われているところは、まず油汚れで言っても特に落としにくい固体の油が多く含まれていて、その周りにタンパク質が含まれてて、それが複合的に絡み合って、組み合わさって、そういうものだってことに気づきまして。これだったら落とせなくて当然、[笑い]落とせなくて当然だなっていう。うん。
台所とかの換気扇の汚れとかありますね。ああいう感じの。はい。確かに。もう私はあれはプロに任せたいと思ってます。毎年。はい。はい。
作用するものって世の中にあるのっていう形で、色々な成分を、角栓の形態を変えられるかというか、観察し始めたんですね。そうした時にたどり着いたのが、トロメタミンっていう成分です。
そう。なんかトロメタミンって洗浄剤ではないじゃないですか。やっぱり汚れを落とすって言ったら洗うもの、そういったものをいっぱい振りかけたりすると思うんですけど、なんでそこに行ったんですか?
界面活性剤とかあったら、それこそ溶剤とかもタンパク変性剤とかもやるんですけど、ほとんどビクともしないです。[笑い] ほとんどビクともしない。多少は行くけど、思った以上にはいかないっていう。うん。
タンパクって、pHとかそういったところにも関与するよねとか、アルカリで洗浄できたりするよねみたいなところもあって、その中の1つにトロメタミンもあって、作用させてみたと。
そしたらびっくりな。皆さんって、面白いわーって届けていくような、それを見た時ってどんな気持ちでした?はい。友達の研究員がみんな、なんじゃこりゃと。うわあみたいな。[笑い] で見ても、こんなことって起こるんだみたいな。今でもやっぱり感動します。でも誰が見ても驚きますし、こんなに変わるのって。うん。思っていただけるものだと思うんですね。
え、皆さんから見て、それ入れたって後で分かるわけじゃないですか。どう思いました?最初そのトロメタミンって聞いて、崩壊する動画っていうのを私も見させていただいて、やっぱり目で見て分かるってすごく分かりやすいなっていう風に思いました。伝わりやすいですよね。
どうでした?なんかそのトロメタミンというのが角栓を溶かしてくれるって発想はあまりなかったんですけども、私も同じくその動画を拝見してますね。他社さんにも見られてますよ。どうですか?
私は角栓が崩壊するというところよりも、その過酸化脂質の研究法に興味があって。はい。過酸化脂質と角栓との関係を、その前からやられてるので、そういった研究をちゃんと臨床研究でやってるっていうのが素晴らしいなと思ってました。
元々やっぱ毛穴パックとかで角栓をずっと見ているからっていうところは大きいんですかね。角栓はお客様の毛穴悩みのやっぱり先にあるものだったから、ずっと見続けていたっていうのが正直なところです。
うん。それが結構4年前ですかね。トロメタミンっていうもの自体は処方が完成されてると思うんですが、今回またちょっとバージョンアップした処方にしてきてるじゃないですか。それはまたどういった感じの処方になってるんですか?
バージョンアップも今年は2方向というか、させていただいていまして、1つは毛穴に起こる、トラブルというか、そういったところに着目したところで新たな観点を入れていくといったところ。もう1つは、角栓の先にある悩み、黒ずみになるんですけど、それのどうして視覚的には、なかなか角栓を除去してるのにいかないんだろうみたいなところを突き詰めて、もっと取らなきゃいけないっていう。もっと取らなきゃいけない。っていうのにたどり着いたっていうの。その2方向で技術開発は行って、今年は両方出したっていう。
そうですよ。なんか普通だったら1個だけ出せばいいのにって思うんですけども、やっぱり大人の角栓っていう方向の軸と、思春期だったり、本当に皮脂が多めの人のその黒ずみっていう、どっちの方向もやっぱり嫌なわけじゃないですか。ベースにはその崩壊技術があっても、どっちにもケアを考えられるのは、しっかりと見続けているからっていう感じなんですかね。はい。
角栓を起点に色々なことが分かった。1つ目は、その角栓の中にですね、悪玉的アクネ菌と私たち呼んでいるんですけども、炎症性物質を多く出すようなアクネ菌っていうのがいるんですが、そちらの悪玉アクネ菌が多く毛穴の中にいると、そういったものが原因で微炎症が起こって、実は毛穴ってつり橋状になるとか開くとかっていう話あるんですけど、山状になるみたいなのも分かってきた。
そう。なんか触るとザラザラしてる時ってありますもんね。うん。ザラザラするのもあるんですけど、皮膚が盛り上がっちゃうような形で山になると、何なんだろう、この悩みはみたいなのがあるっていうのにも気づきまして、そこにアプローチしたっていうのが1つ。
もう1つは、視覚的にどうしようもないといった黒ずみで、これは20年以上ですかね、毛穴の悩みの中でトップ。クリニックに来る方もやっぱり毛穴って必ず言いますもん。シミで相談に来ても、2個目には毛穴って言って、じゃあとあと毛穴ですとか、たるみで来た人もたるみと毛穴ですって。なんか毛穴って必ずみんな言うんですよ。
うん。毛穴をですね8万個以上とか調べまして。8万。はい。角栓が黒く見える原因に関わってる大きな要因だっていうことが分かったんですね。まだまだもっと深めなくてはいけないと気づいて、その技術を高めて、毛穴の中の奥の角栓も取ってあげようという風に技術を進化させたっていうのが、今回のもう1つのせい
だから最初は角栓ケア技術がバージョンアップって聞いた時には、勝手にトロメタミンを多く入れたりとかなんかあるのかなと思ったら、それは変えてなくて、掻き出すようなパウダーを入れるっていうもので、ちょっと面白いなと思います。
それも実際は掻き出すっていうよりもですね、トロメタミンの成分を入れにくくするような、そういった状態になってしまうものを防ぐような。なるほど、なるほど。奥までしっかりとトロメタミンが行くように、そのパウダーというか物を入れることによって、そのパウダーに阻害したものを吸着させて出してあげる。
なるほど。掻き出すが吸着して出していくから。そう。ドロドロした油がそこに吸着していくから、また奥の方までしっかりとトロメタミンがいくっていう。
なるほどね。やっぱ毛穴ってすごい奥が深いですよね。私たちもやっぱりその顔が赤いとか、なんか調子が悪いなっていう人って、やっぱ皮脂のコントロールがうまくいってない人ってある一定数いて、皮脂のコントロールをしてあげると、もちろん毛穴もそうですけれども、なんか肌のくすみ感とかも良くなる方って一定数いらっしゃるんですよね。
角栓っていう悩みというところと、やっぱりそこから起点に炎症を起こすような成分がやっぱり起こってしまって、それで肌荒れを起こしてしまったりとか、肌の調子が悪いとかで、その起点となるものが角栓だったりとかっていうところになるので、そこもなんか私たちも臨床とリンクするのですごく面白いなと思います。これからもどんどん角栓についてはもっと深掘っていく予定ではあるんですよね。
そうです。当然です(笑)。うん。
角栓を起点に症状とかトラブルが起こるっていったところもまだまだやっぱりありますし、そういったところでこうどんどん深めていくっていうところを考えております。
楽しみです。
最後ですけど、ちょっとね、3人とはちょっと毛色が違うなと思うのは、化粧品会社というよりは富士フイルムさんじゃないですか。そもそも富士フイルムさんが化粧品を出すって聞いた時に異業種すぎてちょっとびっくりしたんですけど、ちょっとそこら辺から聞いてもいいですか?
そもそもおっしゃる通りで、私が入社したのは2006年なんですけど、その時にはやってなかったんですよ。入った時に化粧品で開発することになったから、お前やれみたいな。うん。元々は化粧品を開発するために入ったわけじゃないんです。
わけじゃないんですか?え、何するために入ったんですか?最初は。
写真も好きだったので、解析とかそういう技術系でできればいいのかなと思ってたんですけど、まさかそっちに行くとは思いませんでした。
最初からだから、私の勝手な予想は、もう富士フイルムもこれから、よし、化粧品をやります、じゃあその人を採用しましょうって言って採用されたのかと思ってました。
多分違うんじゃないですか。違う(笑)。採用の方がよくわかんないですけど。
まあでも、自分としては結構驚きだったので。もちろん本業の写真フィルムがこう落ち込んでたっていうところもあったんですけど、先輩方が新しいチームを作って化粧品とかサプリメントをやっていこうっていうのを見てたんですけど、みんな結構なんか生き生きしてるみたいなのを、先輩方の姿勢を見てたんで、新人だったんですけど、それでもできるかなというので、批判はされなくて研究をやらしてもらったってところが、1番の最初の頃の思い出です。
へえ。だから私本当にびっくりしましたもん。何なんだろう、急にみたいな。
闇雲にやってるってわけじゃなくて、もちろん化学メーカーだったので、そのベースがいくつかあったので、それを化粧品開発に転用できたっていうのが大きくて。3つか4つぐらいポイントがあるんですけど、1つは、写真の色あせはやはり酸化劣化なので、紫外線も含めて酸化防止の研究はもう当時写真の創業時からやってきていたので、酸化防止剤を化粧品に配合すること自体はできないですけれども、その研究のアセットというか分析のベースはあった。なので、製品中の抗酸化力を維持する処方設計だったり、抗酸化力をまず評価するみたいなところはすぐできたかなって思ってますね。
もちろんアスタキサンチンですごく抗酸化力は高いんですけど、あの真っ赤な色味をそのまんま出してくるっていうのもすごく私の中では面白いなと思ったんですよね。
はい。はい。当時はあんまりそういった成分っていうか製剤なかったなって。うん。
で、当時そこよりも、その抗酸化力が高い成分っていうことで着目して、これをどうしても配合したいみたいな発想の方が先行してたので、赤くて困るなんてことは考えたことなかった(笑)。
そうです。入れるだけじゃなくて、しっかりとデリバリーも練られてますもんね。
そうですね。油溶性の成分なので凝集しやすいというとこもあって、クリームとかだったらいいんでしょうけど、水系のものには配合しづらいというとこもあって。元々写真フィルムの感光剤とかっていうものは微粒化してフィルムベースに塗ったっていうことをやってるので、装置とか機器はあったんで、それを応用してアスタキサンチンも分散することで水系の製剤に配合することに応用しました。
いや、だから私、アスタキサンチンって水に溶けるもんだと勝手に思ってましたもん。なんかイメージとしてもうサラッと入ってたから。
溶けないですね、あれは。うん。溶けない(笑)。いや、オイル、オイルベースですね。
でもすっごい瑞々しいというか、不思議なテクスチャーじゃないですか。あれもなかなかないというか(笑)。
そう言っていただけると、多分処方グループの頑張った甲斐があるかなとは思います。
うん。普通だったら赤だったら下のが透けないじゃないですか。でも透ける赤というか、ちゃんと微細にこう分散されてるからっていうことなんですよね。
そうですね。微細に分散するっていうのと、もちろん分散すること自体はそこまでハードル高くないんですよ。高圧かけたり、色々やり方はあるんですけど、分離しない、凝集しない、再合一しないように安定化させるっていう方がよっぽど難しくて、そのために何百と研究して安定性を付与したってところがポイントなんですけど、これなかなかカタログとかに出てこないので。
カタログとかには出てこない(笑)。そうですよね。なかなか難しいですよね。
はい。分かっていただけると嬉しいなと思いますね。うん。
AMAっていう成分あるじゃないですか。私あれがすごく実はびっくりをしていて。何かって言うと、今で言うツボクサの成分ですよね。ツボクサって今だと韓国コスメとかですごくブームになってるんですけど、まあまあ前からやってますよね。
そうですね。私がその美白研究を初めてやったんですけど、元々メラノソームの分解研究っていうのをやっていまして。美白とかシミとかってどうしてもメラニン生成抑制の研究が主体だったんですけど、メラノソームの代謝ができないかなっていうのを考え始めたのがその時で、メラノソーム分解酵素に着目して、その活性を上げるようなアプローチっていうのを美白研究でやってました。で、その時に見出した成分の1つがそのAMAと言われる、ツボクサのアジア酸とマデカッソ酸とアジアチコシドっていうものの3成分の混合品なんですけど、それの活性が高かったんで選んだんですけど、今になってなんかまた言われてるのは知らなくて(笑)。
いや、だからAMAって書いてあったら何だろうなって思っていて、研究もすごく面白くて。通常だったら本当におっしゃる通り、早く代謝させればいいじゃんみたいなところになっていて、どういう成分なんだろうと思ったら、あ、いわゆるCICAじゃんっていう。別に全部が全部そうではなくて、やっぱ組み合わせだったりだと思うんですけども、そこを昔からやってるのに、なんか全然そこアピールしてないなと思って。
そうですね。だからそのCICAって言うんですか?そのAMAも油溶性で水に溶けないので、やはりナノ分散の対象になるというので、アスタキサンチンの次ぐらいですかね。うん。このナノのアプローチをして美白製品に配合したんですけれども、今それがCICAって言われてることは知らなくて。名前変えたらいいんじゃないかなと思います。
いや、なんかちょっと時代が早すぎたのかなって。かもしれないですね。
誰でもそういう研究に触れやすくなってる時代だと思うので、やはり学術研究だったり薬剤の理子研究だったりをやって、ちゃんと論文を書いたり学会発表することは、研究者だけじゃなくてお客さんのメリットにもなるんじゃないかなと思って、確実にやっていこうかなと思います。うん。
技術リリースを出したら、それをみんなが見て、これ何に入るんだろうっていうのが起こってること自体が私はすごく面白いというか。もちろん皆さん、本当に大人の事情がありまして、例えばじゃあこの美白のAという商品を出しましたっていうリリースは出せます。で、ここに技術を組み合わせちゃいけないんですよ。ここに入ってますよとは言えないんですけども、こういう研究をしましたっていうリリースとどっちも出すんですよ。匂わせと言ったらあれですけれどもね、気がついてっていうね、各メーカーさんのアピールを皆さんに受け取ってもらいたいなって思うので。今までは当たり前ですけど、このAという商品が出ますよって皆さんが注目して、新しい美白が出るんだ、新しいシワのが出るんだ、新しい毛穴のものが出るんだみたいな感じだったんですけど、最近はこの技術の方に皆さんがすごくフォーカスをして、この技術リリースを出したってことは何に入るのかしら、次どの製品がリニューアルするのかなとか、新しい製品が出るのかなっていうのを見るようになってきたので、技術リリースって昔からやってはいると思うんですけど、大切さが近年増してる感じですよね。それ意識しますか?
そうですね。やっぱりその研究成果って伝わって初めて価値が出てくると思うので、いかにそれを分かりやすく伝えるかとか、いろんな人に届けるかっていうのはかなり重視をしてますね。なんでよくメンバーとかにも、自分のお母さんに言って分かるぐらいのレベルで説明してねとかって言うんですけど(笑)。
研究者さんの共通の言葉ってあるじゃないですか。それって意外と一般の人が分からなかったりするので、それを噛み砕いてって、それって結構難しくないんですか?
難しいんですけど、相手の立場に立って、相手の頭の中になってみて、どういう言葉を使ったらいいのかっていうのを考えながら発信する内容を作ることで、あ、こんないい研究してるんだとか、こんな面白い研究が詰まってるんだっていうのが届くといいなという風に思ってますね。
ええ、その根源にあるのはやっぱり妄想ですか?(笑)
ポーラではやっぱり研究員同士が議論することが多くて、そこからアイデアを作っていくんですけれども、研究員同士の会話って今お話したように専門用語が飛び交っているので、それをいかに生活者の方にお伝えするかっていうのは、最後のその世に出す時にはすごく考えますね。
異業種じゃないですか。だからこそ、全然違うアプローチで行けるっていうこともあるんですか?
ニュースリリースの話になったんですけど、うちはいろんな研究をやっているので、結構広報にすごいニュースリリースで怒られるんですよ。もっと端的に書けと。箇条書きで分かりやすく、お前の研究が何がすごいのかは自分だけで分かってても意味がないとかって言って、結構修正されて、それで結構訓練していきましたね。
私はそう、技術リリース読むのすごい好きなんですよ。技術リリースを読んで、その技術を知った上で製品を使うと、なんか効いてる気がするんですよ。思いを受け取ってるわけじゃないですか。きっと皆さんが研究して、さっきも9年とかね、もう長いね、何十年とかけてやった技術がちっちゃい化粧品の中に詰まってる。でもそこにはその成分表には書いていない。成分表だけだったら分かり得ないことが、皆さんのこの、なんて言うの?いろんな思いが載ってるものって何かなと思った。技術リリースだったりとか、それがホームページに載ってる時もあれば、ちゃんとニュースとして出す時もあればっていうところになるので。もちろん私のYouTubeもそれが伝わればいいなと思って始めたっていうところもやっぱり大きいので、私のYouTube見ていただければね、すぐ分かるようになるんですが、ちょっともう追いつかないなっていう時には、やっぱ各ブランドさんのそういうホームページだったりとかニュースを見ていただけると、より分かるようになるんですよね。はい。
(笑)今回特にそうですね、そういう反響があったっていうところは、噛み砕いて言葉にしたっていうところが本当にお客さんの方にも伝わり始めたんだなっていう実感がありますね。
うん。成分ブームって私の中では終焉を迎えているんじゃないかなと思うんですよ。医薬部外品になるような国が認める成分ってもうあんまり増えそうもないというか、いろんなハードルもあるし。だけれども、各ブランドさんが研究している、私はいつも秘伝のタレと呼んでるんですけど、秘伝のタレはどんどんどんどん研究が進んでいくじゃないですか。秘伝のタレは書いても分かんないですよね。これ秘伝のタレですってマークないじゃないですか。だからそうなってくると、これをどういう風に秘伝のタレとして入れていくのかっていうものと、プラスアルファどれを組み合わせていくのか、であとどういう風に肌に届けていくのかっていうのは、どんどんどんどん難しくなってきますよね。浸透の技術、処方の技術、あとはテクスチャー、気持ちいいなって思わせるとかっていうのも本当にすごく大事だなとは思うんですけども。
最後にね、なりますけども、今後日本の化粧品、皆さんはね、ブランドを背負ってると思うんですが、どうなって行って欲しいなっていうのと、どうなっていくと思うのかを最後に聞きたいなと思うので。ずっと最後だったんで、最後はどうなってくとかで、どうしたいかっていう。
そうそう、びてくんのかなと思ってます。
うん。我々はもちろん医療用の内視鏡だったりX線だったりの開発をやっているところもあって、画像から何か変化を見出すみたいな部隊があって、それを皮膚研究に応用できるところもあるので、今OCTっていう装置で皮膚の内部構造を観察して、シミの原因を見出すっていうことをやってるんですけれども、実直に観察してシミ・たるみみたいな要因を見出していくっていうのは、まあなくならないし、我々の主力の事業になっていくのかなってのはありますね。
ついつい私、切って取ってみればいいじゃんって思うんですよ。もうやっぱりダメなやつですよね。そうそうそうなんですよ(笑)。でもそうだ、見るんだったら切ってみればいいじゃんって思うんですけど、できないっていうところからスタートすると、やっぱりその技術を応用して表面から見て中で何が起こってるのかっていうところから、やっぱり作らなきゃいけないっていうところがすごいですね、本当に。
そうですね。非侵襲で見るっていうのは患者さんのためにもあるので、今後技術が進んでいくとこもあるので、我々もそれも注力したいってのもありますね。あと老化の研究というのは、私サプリメントもやってるので、インナーケアも合わせて、老化研究ってのは今後主力になっていくと思っています。
じゃあ、やっぱりスキンケア、そしてインナーケアを一緒にしていく未来が富士フイルムではあるかな?
そうですね。今、あ、そうだなって言いましたね。今そうかな。要は生物学的年齢って、エピジェネティッククロックとかロンジェビティみたいな用語としてブームになっているというよりも、我々はその皮膚の老化だけじゃなくて全身の老化を捉えて、最終的に皮膚だったり体内だったりの抗老化に有効成分だったり技術を生み出していきたいなと思ってるので、その研究は多分なくならないんじゃないかなと思ってますね。
美容のためなら死んでもいいとか、なんか美容のために我慢してますみたいな人もいるんですけど、健康があって皮膚の状態も健康だからこそ綺麗になっていくわけじゃないですか。抗老化っていうのは、皮膚のエイジングケアのためにもまあまあ根本っちゃ根本ですもんね。
あ、そうだと思いますね。
早めにお願いしますね。私もちょっと少し差しかかってきてるので。だから私本当に今の人って羨ましいなと思うんですよ。そういった化粧品だったりサプリだったり、美容医療とかもどんどん進化していくから、今の若い人は全然老けないんじゃないかなって思って、ちょっとイラっとはしてるっていうことだけ今ちょっと話しておきます(笑)。
人生100年時代って言いますから、まだまだこれから我々も働き続けなきゃいけないんじゃないかなと思って。
じゃあ、まだ、まだ折り返しぐらい。まだ折り返し前かもしれないです。じゃあちょっとよろしくお願いしますね。私が70歳になった時に、言いましたよねっていう。言いますよ。追いかけますからね(笑)。
よろしくお願いします。じゃあ是非お願いします。
肌の中に起こってることとかいったものが目に見えて分かる。それを見やすく表現するとか、そういった世界があって、手に取るように自分の技術とか効果の良さとか、そういうのが理解されたりとか、そういったコミュニケーションができる世界が来るんじゃないかなっていうのを期待しております。多分そういう世界なんだろうなって思っています。私の娘が9歳なんですけど、角栓とかできてるっていう感じじゃないんですけど(笑)。
そうですね。9歳だとね。うん。誰かのことを思ってやっぱり作っているわけじゃないですか。もちろんね、お客様のためっていうところもあるんですが、なんか娘さんのためだったら、なんかちょっといいお父さんね、なんかちょっとキュッとして。娘さんの10年後、ちょっとまた私も会いに行きますね。あ、これがこの教育の賜物だなっていう。ちょっと娘さんを、じゃあ19歳の娘さんの時にぜひ対談をさせてください。
毛穴に関して言うと、先ほど細胞の方も1つ1つの個性がって話もありますけど、毛穴って1つ1つが違うっていうのも分かってきたりとかしていて、コメドやニキビって角栓で顔全体になるんですけど、そのうちのわずかなものしかならなかったりしますよね。
うん。こういったものも分かってきて、もうコメドやニキビとかそういうのに悩まないような世界とかきっと近い未来にあるんだなっていう風に思って。
そうですよね。いや、もう本当に私は1番最初に皮膚で何に悩んだかってニキビだったんですよ。宮古島という、まあ今でこそね、皆さん知ってますけど、南の島からやってきたので、そこでできることって本当になくって、洗っとけば治るよみたいなことを言われていたんですけども、そこに苦しんで。で、ニキビってその時だけじゃなくって、やっぱニキビ跡になったりとか、人のQOLを下げるようなことがやっぱり大きいので。もちろん美容医療だったり保険診療でもそういった治療という面ではしっかり研究も進んでるんですが、それって毎日するものではなくって、スキンケアが絶対毎日するものじゃないですか。そこから予防したりとかができると悩む方が少なくなるだろうなと思うので、そこもちょっとワクワクしますね。
10年後、20年後はもしかしたら毛穴の悩みが1位じゃなくなる世界観も来ますか?
来ると信じてますし、その世界作らないとと思って。
力強い。嬉しい。じゃあもうちょっと期待してます。ありがとうございます。
じゃあ大田さんどうぞ。
化粧品とか皮膚研究がこれからどうなっていくかっていうのをちょっと考えてみた時に、ミクロな世界ともっとマクロな世界の両方でちょっと考えているんですよね。で、まずミクロな世界で言うと、細胞っていうのがスイッチを入れるだけで細胞の振る舞いを変えたりとか、細胞自体の時間を巻き戻して若返らせたりみたいな、前までは考えられなかったようなSF小説的なアプローチがですね、できる未来っていうのが来るんじゃないかなという風に思います。
今そういう研究ってのは盛んに行われているので、細胞自体のプログラムを変えて若さを取り戻すみたいなことが可能性としては十分あるんじゃないかなっていうのがミクロな視点ですね。マクロな視点で言うと、肌ってやっぱり睡眠とか生活習慣とか食べたものとか、全身とすごく繋がってるんですよね。で、どうしてもこれまで肌の研究にフォーカスしがちだったんですけれども、例えば睡眠不足の時に肌がどうなるかとか、食生活を変えると肌にどんな影響があるかとか、ニキビがね、できやすくなるとか色々あるじゃないですか。統合的な研究ってすごくデータが膨大なのでなかなかできなかったんですけれども、解析の技術がすごく発達したり、AIとか膨大なデータを処理することができるような時代になったので、肌と心、肌と体っていう境目がなくなった統合的な研究が進んでいくと思うんですよね。全身的なアプローチで美しさとか若々しさみたいなものをキープしていくような戦略ができていくんじゃないかな。やっていきたいなっていう風に思いますね。
すごい、やっぱそう、もうトータル的にやっていくっていう。はい。うん。本当に早くお願いします(笑)。
本当に美味しい。消費者の実感にもすごく近いんじゃないかなと思うんですよね。肌の上からケアするだけじゃなくて、生活習慣とか運動とか含めて全体で美しさみたいなものを追求していくっていうのは、すごく理に叶ってるのかなと思いますね。
なんか楽しいですね。ありがとうございます。じゃあ最後に、どうぞ。
私は今興味があるのが、皮膚とか人の違いを見ることっていうのにすごく興味があって、それがもうこれからどんどん発展していくんじゃないかなっていう風に思っています。ポーラの実は創業が2029年で100周年なんですけれども、最初が奥さんの手荒れを治したくてハンドクリームを作ったっていうところが始まりなんですね。皮膚をケアしてるつもりで、その奥にある人をいつも思って研究しているんですよ。っていう時に、その人ってやっぱり1人1人違うじゃないですか。1人1人の皮膚の違いであったり、人の違いっていうものを明らかにすることが化粧品をこれからどんどん変えていくと思っていて。例えば私にぴったりなものであったり、私がなりたい肌になれるものであったり、妄想というか、それこそ(笑)SFっぽいことなんですけれども、こんなことあるかなっていう未来を現実にしていくことが研究の面白さだという風に思っています。
先ほど根本からの真皮再生の仕組みを解明しましたっていう風に言ったんですけれども、局所で起こってる仕組みっていうものを解明する時には、平均的な検証を追っても見えないんですね。シングルセル解析っていう風にあったんですけれども、細胞1つ1つの振る舞いを見て、1つ1つがどういう風にコミュニケーションを取りながらある現象を起こしてるかっていうことを紐解くことが大事っていう風に考えています。で、それがやっぱり技術の進歩で予約できることになったので、それが私たちの真皮の再生の研究を実際に成果に結びつけるところだっていう風に思っています。
最近はやっぱりその解析の技術が進んだことによって分かることがたくさんね、できてくるし、今までは1つ1つ人がね、これかな、これかなってやってたのも、AIでこう入れておおよそのあたりをつけられるみたいなところもあったので。で、そうすると人がいらないじゃんって思うかもしれないんですけど、でもそこはやっぱり最終的には人の判断だったりとか、解析の技術が進んだ時にどうそれを読み取るかとか、どういう方向性にAIだったりを導くかとかっていうのは、やっぱり研究員さんのこれまでの積み重ねがないとそれもできないのかなと思うので。そういう技術の進歩があったからこその新しい発見っていうのもあると思いますし、さっきAIの進歩で膨大なデータを統合的に解析できるようになったっていうこともお話しされていたんですけども、そこもすごく研究を進歩させるなっていう風に思っていて。これからはどういうデータを持ってるかとか、そのデータをどういう風に解釈するかみたいなところにそれぞれの個性が出るんじゃないかなと思って、それをすごく楽しみにしています。
確かに。だって今だったらパシャって撮って、これ解析してって言ったら、その化粧品でこういうものでって、本当かどうか分からないものがぶわって出てくるじゃないですか。インフルエンサーさんだったりYouTubeとかSNSを見るってよりは、もう本当にAIにパシャってね、撮って聞くっていうことですけれども、独自のデータがあって、独自のデータをもとにやっぱり開発していくっていう独自性がないと、もう今後はね、もう本当戦えない世界観に、もう今でさえもなっているので。
よく最近言われるのが、やっぱ美容も本当にどんどん該当してきて、私は美容医療の分野にもいるので、なんかスキンケアはとりあえず何でもいいから美容医療さえやってればいいじゃんみたいな声もやっぱりゼロじゃないと思うんですよ。でも私はそうじゃなくって、常にいい状態を維持しながら少しずつ上向きにして、でそれをジャンプアップさせるのは美容医療かもしれないけど、ベースをどんどん上げていく。それってやっぱりスキンケアでしか、もちろんインナーケアとかスキンケアでしかできないことだと思うので、そこがおろそかになっていると思ったようにジャンプアップできないのかなと思うので。肌をずっと見て、で、その細胞たちが何を考えてるのかとか、どういうことを思っているのかとか、でもその細胞はやっぱり私たち1人1人の人間を作ってくれてるので、皆さんしっかり人間と細胞に向き合って、そしてたまに毛穴に向き合い。ただ健康で、なんか生き生きとして、で、そこにどうやってたどり着くのかっていうのを皆さんが本当日々研究してるっていうのが今日ちょっと分かって、私としてはちょっと本当に感動しておりますが、皆さんお帰りになった後には、よし、じゃあ5年後のあのことについて、よし、またやるかみたいなことを皆さん戻ってやるってことですもんね。5年後ぐらいに出る何かの、言葉も言えないけど、皆さんの今ここら辺にほよほよほよってありますよね。ヒット。
はい。あります。あります。あります。あります。いつも考えてます。あります。あります。
じゃあきっと5年だったらちょっとあれだから、2、3年後にこの動画を撮った時には、あのことを考えてましたっていう答えを。是非やらせてください。今日はどうも本当にありがとうございました(笑)。
ありがとうございました。
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