疲れた日は「フレンズ」の1シーンで学ぶ リスニングとスピーキングを鍛える4ステップ

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概要

仕事や生活で疲れ切っていて、英語を勉強する気力が出ない日がある。そんな日にも続けられる勉強法として、話者はアメリカのドラマ「フレンズ」を使う方法を紹介している。英語コーチングの会社を運営する話者は、娯楽の延長で取り組めることを利点に挙げる。一方で、ただドラマを見るだけでは勉強にならないとも言う。そのうえで、4つのステップを順番に踏めば聞き取りと発話の両方を鍛えられると主張する。動画では実際のワンシーンを使い、その手順を一緒に実演している。

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だるい日でも「少しだけ」やるための方法

冒頭で話者は、仕事終わりに遊びに来た弟にご飯を作ったのに、礼も言わずに「味が薄い」と言われたという身近な出来事を話す。こうした出来事で体力を使い、やる気をなくすことは誰にでもあると話者は言う。「生きているだけでしんどいのに、なぜ勉強しなければならないのか」という気分に陥り、今日はやめてもいいかと思うのは普通のことだという。

それでも目標を持って英語を学んでいるなら、少しだけでも毎日やることが大事だと話者は考えている。そこで「英語はやりたくないけど、少しはやっておこうか」と思った日に、従来の勉強法より気楽に取り組めて、しかも身になる方法としてフレンズを使った学習を勧める。対象として想定しているのは、本気で勉強に打ち込むタイプの人なら疲れた時だけ、楽しみながら自分のペースで学びたい人なら日常的に、という使い分けである。

なぜ「フレンズ」が教材に向くのか

話者の説明では、フレンズはニューヨークで暮らす男女6人ほどの登場人物の生活、恋愛、仕事などを描いたコメディドラマで、日常英会話を学べる作品として有名である。著名人にもこのドラマで英語を話せるようになった人がいるという。コメディなので難しい表現や実際にはあまり言わない表現も含まれるが、基本的には自然な英語が学べると話者は評価している。

入手のしやすさも理由に挙がる。話者によれば、フレンズはYouTubeで無料の映像が多く見つかり、フレンズの英会話に特化したチャンネルもある。Netflixでも配信されていて英語字幕を表示できるはずだといい、世界的に有名な作品なので英語字幕も日本語字幕も手に入れやすい。

動画ではここで一度、題材のシーンを字幕なしで流し、「聞き取れなかった人もいると思うが、最後まで見終わる頃には理解するだけでなく、フレーズが自然と口から出る状態を目指す」と宣言する。

4つのステップ

話者が挙げる手順の前提は、ドラマ全体ではなく30秒程度のワンシーンを選ぶことである。全部を見て全部を勉強しようとすると、ただの娯楽になってしまうからだという。そのうえで次の4ステップを順に行う。

  1. 日本語字幕で見る:ストーリーを把握する。
  2. 英語字幕で見る:内容を7〜8割理解できれば次のシーンへ進んでよい。何の話かよくわからなければ、そのシーンを教材にすると決める。
  3. わからない単語・フレーズをメモする:1文ずつ進め、わからない部分をすべて書き出し、ChatGPTに質問するか検索して調べる。
  4. モデリング:理解を深めたうえで、フレーズをそのまま声に出して真似する。

調べ方について、話者は「これはどういう文法ですか」「どういう意味ですか」と雑に投げてしまってよいと言う。AIなら例文も出してくれ、「もっと詳しく」などと自由に指示できる。フレンズに出てくる文法はそれほど難しくないので、ChatGPTの無料版や普通の検索でも十分な答えが返ってくるというのが話者の見方である。

モデリングを重視する理由

4ステップの中で話者が特に重視するのがモデリングだ。キャラクターになりきったつもりで、聞こえたフレーズをそのまま口に出して真似する。

理由として話者は、人は自分が発音できる音なら聞き取れるという考えを挙げる。単語を調べても、聞き取れなければ意味がない。聞き取れる状態を作るには、同じ英語の音を自分で出せるように訓練する必要があり、それがモデリングだという。話者自身もこれでリスニング力が大きく伸びたと語り、運営するコーチング会社LinkUpでは生徒全員にモデリングをしてもらっているという。

題材のシーン:サンクスギビングの料理

実演に使うのは、フレンズの女性メンバー3人、モニカ、レイチェル、フィービーが、アメリカで重要な日とされるサンクスギビングの料理について話すシーンである。話者の紹介では、モニカはプロのシェフで潔癖症、レイチェルは裕福なお嬢様で家事がまったくできない、フィービーは独特の世界観を持つ自由人だ。このシーンはレイチェルの料理下手ぶりとモニカの皮肉が見どころだと話者は説明する。

まず日本語字幕で流れを確認し、次に英語字幕で見る。皮肉が含まれているので難しいはずだとしたうえで、話者は1フレーズずつ止め、意味を確認してモデリングする手順を見せていく。

"I have chosen to 〜":塊で覚える表現

最初のフレーズは "For my dessert, I have chosen to make a traditional English trifle." で、デザートには伝統的なイギリスのトライフル(スポンジケーキを使ったデザート)を作ることにした、という意味だ。

話者が注目するのは "I have chosen to 〜"(〜することにした)で、今後いろいろな文で出てくるので塊として覚えてほしいという。この部分がわからなければ、話者ならChatGPTに「I have chosen to 〜 はどういう文法か」と聞く。こうして調べる作業がステップ3にあたる。

続けてモデリングに移る。話者はまず通常速度で見本を示すが、速くて難しいので0.5倍速で聞いて一緒に真似をし、その後で通常速度で3回繰り返す。1フレーズごとに止めて意味を知り、モデリングする。これを繰り返すのが話者のおすすめのやり方である。

"in case" に込められた皮肉

"Wow, that's great." は「すごくいいね」という意味でよく使われる比較的簡単な表現として、モデリングだけで済ませる。難しいのはその続きの "And what are you making, Monica? You know, in case Rachel's is so good that I eat all of it." だ。

直訳すると「モニカ、あなたは何を作るの? レイチェルのデザートがおいしすぎて私が全部食べちゃった場合に備えて」となる。話者の解説では、トライフルを作るレイチェルは料理が得意でないキャラクターで、皆それを知っている。だから本音は「レイチェルのデザートがまずすぎて食べられなかった時のために、モニカ、何か作ってるわよね」という皮肉になっている。話者はこれを理解するのはかなり難しいと認めている。

ここで取り上げるのが "in case"(〜に備えて)である。なんとなく理解できる程度で放置するのはもったいないと話者は考えていて、自分なら「in case 使い方」と検索して理解を深めるという。例として "Take an umbrella in case it rains."(雨が降るといけないから念のために傘を持っていきなさい)を挙げ、直訳を読むだけで終わらせず、こうして一歩踏み込んだほうが定着しやすいと話す。この部分は0.8倍速程度でモデリングし、そのあと英語字幕付きでもう一度通して見る。

"Nothing" "sweetie" "I trust you"

「何を作るの?」への答えは "Nothing."、つまり何も作っていない。続く "Yes, sweetie, I trust you." について、話者は "sweetie" を親しい友達の間で使う言葉とし、ネイティブ相手に使いこなすのは難しいと付け加える。"I trust you" は「あなたを信じている」、この場面では「ケーキをうまく作れると信じている」という意味だと説明する。

"mess up" の幅広い使い方

次は "So if I mess this up, there's nothing else for dessert?" で、話者は前半と後半に分けて解説する。"mess up" は失敗する、やらかすという意味で、"this" は今作っているケーキや料理全体を指す。後半の "nothing else" は「他に何もない」なので、全体で「もし私がこれを失敗したら、デザートは他に何もないの?」となる。

これに対する返事が "You're not gonna mess it up." で、ここにも "mess up" が出てくる。話者によれば、この表現は日常会話で非常によく使われ、意味の幅も広い。仕事でのやらかしや計画が台無しになった場面では「I messed up my presentation.」(プレゼンに失敗した)、人間関係で謝る場面では「I'm sorry, I messed up.」(私が台無しにした、私が悪かった)と言える。物理的にも、風で髪がめちゃくちゃになったことを "mess up my hair" で表せるという。この場面では、料理に不安を抱く相手に「失敗しないよ、大丈夫」と励ましている。この2つのフレーズはゆっくり再生してモデリングし、そこまでの流れを最初から通して確認する。話者は、ここまで理解できると楽しくなってくるはずだと言う。

"faith" と、バターをめぐるオチ

"Aw, Monica, I love that. You really have faith in me. Thank you." は、「そう言ってくれて嬉しい。本当に私のことを信じてくれているのね、ありがとう」という意味で、"faith" は信じることだと説明される。

その直後の "Technical question. How do you know when the butter is done?" はかなり速いので、話者はまず字幕を見て解説してから、ゆっくり、次に通常速度でモデリングするよう勧める。"Technical question" は「ちょっと専門的な質問なんだけど」という前置きだ。"done" について話者は「理想の状態、完成した状態」と説明し、全体を「バターができた状態はどうやってわかるの?」と訳す。友人に「あなたを信頼してる、失敗しないよ」と励まされた直後に、バターの基本的な扱い方すらわかっていないことが明らかになる。話者はこれがこの場面のオチだと解説する。

最後のフレーズは "Well, it's done about two minutes before it looks like that." である。"that" は今見えているバターの状態、つまり焦げた状態を指し、「その見た目になる2分くらい前ができあがりだよ」という返答になる。つまりレイチェルはもう失敗している。話者はこの一文を「すごく上級者向けで、正直ちょっと難しい」としつつ、これもモデリングする。

映像教材の利点と「ただ見る」ことの限界

一通り終えたあとで、話者は自分がどう取り組んでいたかを語る。映像を所々止めてモデリングしたり、一通り理解できたら2周目で1文ずつ区切って発音したりと、ひたすら真似をしていたという。映像の良いところとして話者が挙げるのは、完璧な見本があることだ。文章の教材で使われる言い回しは必ずしも日常会話的とは限らないが、フレンズには日常会話に近い表現が多いので勧めやすいという。

最後にシーン全体を英語字幕付きで見直し、ここまでじっくり取り組めば、なんとなく聞こえたり理解できたりするようになると話者は言う。ただし、ドラマをただ見るのもよいが、それを勉強になっていると混同しないでほしいとも強調する。リスニング力や話す力につなげたいなら、4つのステップを順番にこなす必要があるというのが話者の主張だ。

短期集中には勧めないという留保

話者はこの方法の位置づけについても率直に語っている。たまに海外ドラマで勉強するのは気晴らしとして良く、勉強法を変えたい人や違うスタイルを試したい人にはちょうどよい。しかし「一番効率的か」と問われれば、そうでもないという。短期集中で勉強したい人には正直おすすめしないと話者は明言する。かける時間に対して学べる内容がどうしても限られるからだ。

短期間で効率的に正しく話せるようになりたい人には、もっと良い方法があると話者は言い、その場合も今回のモデリングが土台になると付け加えて動画を締めくくっている。