バイブコーディング初心者が学ぶべき7つのスキルと、その順番

YouTubeで開く ↗
概要

プログラミング経験はほとんどないが、パソコンやスマートフォンは普段から使っている。そういう人が自分で作ったアプリを他人に使ってもらえるところまで進むには、何をどの順番で学べばよいのか。安野貴博氏による「バイブコーディング超入門講座」第2回は、この問いに答える回である。本来は学ぶべきことが多くあるが、2026年時点でバイブコーディングをするうえで不要なものを「削ぎ落として、削ぎ落として」いくと、この順番でやればよいという道筋が見えてきた、と安野氏は述べる。その結果が、LLM、コーディングエージェント、IDE、バージョン管理、データベース、セキュリティ、デプロイの7項目である。ただし安野氏は、7項目の説明に入る前に、それより重要だと考える大原則を示している。

11分で読めます

大原則:「まず学習する」より「まずやる」

安野氏はまず、講座の根本を揺るがす話だと断ったうえで、必要なものはすでに目の前にあると認識してほしいと語る。視聴者の多くはパソコンかスマートフォンを持っており、ChatGPTのようなAIにもすぐアクセスできるからだ。

そのうえで安野氏は、ものづくりへの入り方を二つの派閥に分ける。一つは、必要なことを全部学習し終えてから何かを作ってみる「まず学習する派」である。もう一つは、とにかくこれをやりたいという気持ちから始め、そのために何が必要かを見極めて学ぶ「まずやる派」である。安野氏がバイブコーディングの時代に強く勧めるのは後者だ。実際にやってみる、その中で自分が何を知る必要があるのかを特定する、そしてそれを学ぶ。この順序が非常に重要だという。

理由として安野氏が挙げるのは、学習すべき分野の広さである。パソコンの世界だけでも学ぶべき分野は非常に多く、全部を学んでから作り始めるのは大変な道のりになる。一方、まずやってみれば当然どこかで詰まる。知識がないとできないことはたくさんあるからだ。しかし今は、できないことをAIに聞けば、原因はこういうことではないか、これを学んだほうがよいのではないか、と教えてくれる。昔の「まずやる派」は、自分が何に詰まっていて、何をすれば解決するのかを特定するのが非常に大変だった。AIによってその難易度が大きく下がった、というのが安野氏の見立てである。

安野氏は、作りたいものを持ち、それを作るために何が必要かを調べていくことさえできれば、この後の動画は見なくてもよいくらいの重要なポイントだと強調する。実際にやって詰まり、課題が解決できないときに何を知るべきかを調べていけるなら「あとはもう大丈夫」とまで言う。そのうえで、全体のロードマップが見えていたほうがよいので7項目を紹介する、という流れで本題に入る。

技術に強い人の3つのタイプ

大原則の補足として、安野氏は雑談と断ったうえで、プログラミングがうまい、技術力が高いと感じた周囲の人の特徴を三つ挙げる。本人は「安野調べ」であり何の根拠もないと前置きしている。

一つ目は、作りたいものがはっきりしている人である。このアプリを作りたい、このソフトウェアを作りたいという思いが強固な人は、そのために必要なことをどんどん学んでいく。先に述べた「やってみる、知るべきことを特定する、学ぶ」という流れに入りやすいタイプだ。知識には偏りがあり、これを知っているのにこれは知らないのか、ということもよくある。それでもアウトプットが次々と出てくるので、そこからの学習も速い。安野氏はこのタイプを「始める力勢」と呼んでいる。

二つ目は、コンペが好きな人である。プログラミングコンテストや競技プログラミング、同じ問題をデータサイエンスで競い合いスコアの最も良い人が勝つKaggleなどにはまり、どんどん強くなっていく人が多いと安野氏は見ている。

三つ目は、コミュニティ活動に深く関わっている人である。技術ごとのコミュニティ、業界ごとのコミュニティ、大学の学科など、さまざまなつながりの中で技術を学んでいく人も強かったという。

安野氏は、これらのタイプにパソコンに強い人が多かったというのが自分の35年ほどの人生での観察だと述べる。そのうえで、この動画を見ている人はおそらくコンペ好きでも技術コミュニティの一員でもないだろうから、一つ目の道が最もおすすめだとする。まず作りたいものを持ち、それを作るために何が必要かを考えるところから始める、ということである。

7つのスキルの全体像

アプリを作って公開するまでは普通なら長い道のりになる。しかし安野氏は、この7項目ができるようになれば、作って公開し、人に使ってもらうところまで行けるのではないかと考えている。講座がいつまでどのように続くかは分からないとしつつ、今後の講座もこの順番で進める予定だという。

スキル1:LLM

最初の項目は、ChatGPT、AnthropicのClaude、GoogleのGeminiといったLLMである。多くの人がすでに使ったことがあるものだが、安野氏によれば、これらに「こういうページを作ってくれ」「こういう動くものを作りたい」と頼むだけでも、実はかなりいろいろなものが作れる。作ったものを公開できる場合もある。そのため、まずLLMに聞き、その答えを使ってどんどん作っていく経験をしてほしいと安野氏は勧める。手元のAIだけでもできることは多い、というのがこの段階の要点である。

スキル2:コーディングエージェント

もう少し先に進みたい人が次に取り組むのが、バイブコーディングでよく使われるコーディングエージェントである。安野氏は、ここでハードルが一段上がると注意している。

コーディングエージェントは「LLMがちょっと変わっただけ」のものだと安野氏は説明する。先に挙げた3社はそれぞれ自社のエージェントを出しており、OpenAIはCodex、AnthropicはClaude Code、GoogleはGemini CLIを提供している。どれを使ってもよいとしたうえで、安野氏は2026年3月時点の個人的な好みとして、Claude Codeの完成度が高いと評価する。そのため、今後このチャンネルで公開する動画はClaude Codeを使ったものにする予定だという。

スキル3:IDE

三つ目はIDE(統合開発環境)である。安野氏は、文章を書くときに使うWordやGoogleドキュメントのようなエディターの、コードを書く版だと大まかに説明する。IDEはファイルに文字を書けるだけでなく、パソコンと対話するような機能や、コードを読みやすくするプラグインなどを備えており、人間がコーディングをするうえで使いやすく作られている。

最近はIDEの中にコーディングエージェントが組み込まれるようになっており、2番目と3番目は密接に関係していると安野氏は言う。例として挙げたのは、安野氏がよく使うVS Code、Cursor、そしてGoogleが作っているAntigravityである。

2と3まで扱えるようになると、自分のパソコンの中でコーディングエージェントが活発に動き回って作業できるようになる。1のLLMだけでもかなり多くのものを作れるが、3まで進むと、より大きく複雑なものを作りやすくなるというのが安野氏の説明である。

スキル4:バージョン管理

安野氏が「ものすごい難関なんじゃないか」と見ているのが、四つ目のバージョン管理である。Wordで複数人が編集を重ねていくと、「○○_最新版.docx」「最新版の最新版」「本当の最新版」のようなファイル名が生まれがちだ。こうしたものを大まかに言えばバージョン管理だと安野氏は説明する。

プログラミングでバージョン管理が極めて重要な理由として、安野氏は二つを挙げる。一つは、大量のファイルがあり、そのどこかを少しだけ変えるという作業が頻繁に起きること。もう一つは、一人で開発していても、Claude CodeやCodexに複数の作業を並列でさせたい場面があることだ。Aの機能とBの機能をエージェントに作らせながら、手元ではCの機能を作る。そのように同時並行で開発すると、ファイルがぐちゃぐちゃになってしまう。だからバージョン管理は早めに導入したほうがよく、今ではむしろ必須の流れになっていると安野氏は言う。実際、Web版のClaude Codeは、バージョン管理のためのサービスであるGitHubとすでに連携している。

バージョン管理が分かると、ファイルを少しずつ編集し、機能を細かく継ぎ足していけるようになる。その結果、作れるものの規模が大きく広がる。2と3だけでは管理できるファイルや機能の数に限りがあるが、4ができた瞬間にできることが一気に増えるので、難関ではあるが覚えてほしいと安野氏は述べる。

スキル5:データベース

五つ目はデータベースである。安野氏はまず、アプリケーションはソフトウェアのコードの部分と、その中に入れるデータの部分に分かれていると説明する。

この区別を説明するために、安野氏はゲームを例に挙げる。PlayStationやSwitchのゲームは、ソフト本体のデータをダウンロードして起動する。遊んでセーブすると、自分が遊んだ記録としてセーブデータが残る。このセーブデータとアプリケーション本体のデータは別物だ。セーブできないゲームでは、いくら進めても記録が残らず不便に感じる。テトリスのようにセーブのないゲームもあるが、それでもハイスコアを記録するためにセーブデータのようなものがあるだろう、と安野氏は言う。自分のアプリをゲームにたとえるなら、セーブできるようにするのがデータベースの役割だ、というのが安野氏の説明である。

プログラミングの世界ではこれを「データの永続化」と呼ぶ。アプリを終了すると消えてしまうデータではなく、終了しても残り続けるようにするのがデータベースの大まかな働きだという。

データベースには多くの種類があるが、プログラミング未経験者向けに2026年3月時点でキーワードを一つ挙げるならSupabaseだと安野氏は述べる。Supabaseは、標準的なデータベースをより使いやすくしたものであり、後の工程でも使い回せるので、まずはこれがおすすめだという。

スキル6:セキュリティ

六つ目はセキュリティである。バイブコーディングで作ったアプリから重大なデータが漏洩するといったことは起こりうる、と安野氏は指摘する。初心者でも気をつけなければならないポイントは多く、何かを公開する前には必ず押さえておくべきだという。さらに安野氏は、セキュリティが不十分な状態で深刻な問題が起きる未来は結構ありそうだと見ており、バイブコーディングで作ったアプリのセキュリティは将来社会問題になるかもしれないと予想する。

安野氏はまた、アプリを公開する段階だけでなく、コーディングエージェントを使う段階から、すでにさまざまなセキュリティリスクにさらされると注意する。WebブラウザでLLMを使うだけなら、AI企業の側が多くの対策を考えているので、ほとんどの場合はおおむね大丈夫だという。しかしコーディングエージェントは自分のパソコンの中で動くものであり、AIエージェントが危険なコマンドを実行できる状態になる。そのため安野氏は、1の世界と2以降の世界ではセキュリティリスクがまったく違うと述べ、気をつけるべき点を押さえておく必要があるとする。

スキル7:デプロイ

最後はデプロイである。日本語では「配備する」という意味だと安野氏は説明する。2から6までの段階では、作ったものを自分のパソコンの上で動かすことはできる。しかし、他人のパソコンやスマートフォンでも動かしたい。そのためには、作ったアプリケーションをクラウドサーバー上に配備し、URLを打てばそこにつながるようにする。これがデプロイである。

デプロイの手段として安野氏が勧めるのは、Vercelと、データベースの項目で挙げたSupabaseだ。どちらも背景知識があまりなくても使いやすいという。加えて、今のコーディングエージェントはこの二つをよく知っているので、精度も出やすいと安野氏は見ている。ここまで進めば、作ったアプリケーションをみんなに使ってもらえるところに到達する。

7項目は「たたき台」、視聴者に意見を求める

安野氏は、なじみのない単語が一度にたくさん出てきて驚いたかもしれないと認めつつ、この7つを順にやっていけばアプリを人に使ってもらうところまで行けるので、押さえてほしいと締めくくる。

同時に、この7項目は安野氏が「なんとなくこれは必須だろう」と考えて挙げたものだとも述べている。詳しい視聴者に対しては、これも必要だろう、これは不要だろうといった指摘があればコメントしてほしいと呼びかけ、その意見を第3回以降の動画に反映したいとしている。今回示されたロードマップは、今後の講座の進行順であると同時に、視聴者の意見を受けて見直す余地のある案として提示されている。