東京に来たCybercabの展示と、オースティンで利用者が試したこと

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概要

テスラのロボタクシー専用車両「Cybercab」が日本で展示されることになり、東京・表参道を皮切りに全国を巡回している。テスラ関連ニュースを発信する話者は、初日に会場を訪れて実車を撮影した。この動画では、展示の様子を報告したうえで、旧世代コンピューター(AI3)搭載車をAI4へ非公式に載せ替えた事例、Model Yのモーター変更、オースティンで実際にCybercabに乗った利用者によるさまざまな試験、生産ラインの映像を順に紹介している。最後に、テスラがなぜ日本にCybercabを持ち込んだのかについて、話者自身の見方を述べている。

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表参道での展示と巡回スケジュール

Cybercabの展示「Cybercab Japan Tour」は9月11日から14日まで、表参道駅B2出口の目の前にある施設で開かれた。GMOが新たに開設した施設で、Cybercabの展示がそのこけら落としのイベントになったという。GMOの熊谷氏は、テスラジャパン社長の橋本氏と同社の営業責任者が写った写真を投稿している。

その後の予定は、17日から20日がグランフロント大阪、その2日後から愛知のテスラ名古屋、最後の26日から28日は東京に戻って新宿での展示である。

実車を見た印象:ほぼ量産仕様だが、ドアは閉じたまま

話者は展示初日に会場へ行った。車両は柵で囲まれ、1メートルほど手前からしか見られない。展示車はほぼ量産に近いバージョンで、ボディには光沢があった。話者が以前見たのは開発用のエンジニアリング車両で、光沢のないマットな素材だったという。タイヤは前18インチ、後ろ21インチ。リアはModel Yと同じように間接照明のように光り、アンダーボディは他のテスラ車とあまり変わらないように見えたという。後部には「Cybercab」の文字がある。一方、Starlinkのアンテナは付いていなかったので、完全な量産モデルではないと話者は判断している。

残念だった点として、ドアはまったく開けられておらず、車内も見られなかった。当日は雨だったので、濡れるのを避けたのかもしれないと話者は推測する。ただ置いてあるだけなので、20〜30分も見れば飽きるだろうとも述べている。ドアやトランクが開く演出や、飲み物を配りながら説明してくれる人がいればもっと良かったという。会場にいたテスラのスタッフは主に営業担当で、Model 3やModel Yの試乗を案内する人が多く、Cybercab自体を説明している人はほとんどいなかった。説明できる人もおそらくいないだろう、と話者は見ている。

日本経済新聞やテレビなどのマスメディアも「ロボタクシーが来た」と報じた。オースティンでCybercabの運行が始まった時期と重なっており、テスラジャパンはこの話題のタイミングを狙って仕掛けたのだろう、と話者は考えている。話者自身はアメリカで何年も前から何度もCybercabを見てきたので、今回は新鮮さはなく、「まあCybercabだな」という程度の感想だったと率直に語っている。

AI3からAI4への非公式レトロフィットの成功

次の話題は、第3世代のFSDコンピューター(AI3、ハードウェア3)を積んだModel 3を、個人が第4世代(AI4)に丸ごと載せ替えた事例である。テスラ公式の作業ではなく、本人が独自に取り組んだもので、最終的に最新のFSD v13を動かせたという。画面にはFSDの表示が出て、道路を走行する様子が映っている。

話者はこれを前向きなニュースと受け止める。これまでAI3の載せ替えは物理的に無理だという見方が強く、AI3車の所有者の多くは諦めていたと話者は言う。その根拠として挙げられていたのが、電力の問題、排熱の問題、そしてハーネスやケーブル、カメラそのものがハードウェア3と4でまったく違うことだった。今回の事例は、かなりの手間をかければ不可能ではないことを示したというのが話者の評価である。

ただ、作業はかなり大変だったらしい。サイドリピーターやBピラーのカメラまわりのコネクターやアダプターをすべて扱う必要があった。以前はソニー製のカメラが使われていたが、現行車はレンズが赤いサムスン製の高画質カメラになっており、カメラをはめ込む部分の大きさから違う。そのため、部品を自作したり、現行のAI4車から部品を取ってきて無理に組み込んだりと、一つずつ問題を片付けていく必要があった。プロジェクトは8月ごろに始まり、1か月ほどかかってようやく完成したという。

裏を返せば、簡単にできる作業ではないと話者は指摘する。素人だから1か月かかった面はあるにせよ、プロでも1台に数日から1週間かかるかもしれない。交換部品も多く、人件費と部品代の両方がかさむ。何百万台もあるAI3車をAI4に替えるにはかなりの時間がかかると言われている、と話者は紹介する。イーロン・マスクは「できるからやる」と言っているので実施はされるだろう。それでも、費用が非常に高くなったり時間がかかったりすることは容易に想像できる、と話者は述べる。

ここから先は話者自身の推測である。テスラとしては本音ではやりたくない作業なので、訴訟対策として少しずつ進めるのではないかという。たとえば1つのサービスセンターで1週間に1台限定といった形にすれば、日本のように数えるほどしかサービスセンターがない国でも週10台程度ずつは進む。「順番にやっている」と言えれば訴訟にも対応できる、という見立てだ。

AI4になれば最新のFSDが使えるため、期待は大きいと話者は言う。FSDはすでに多くの国で始まっていたり始まろうとしていたりし、中国でも提供されている。ヨーロッパでは10月6日ごろにEUの決議があるとされ、可決されればEU全体にFSDが一気に広がるきっかけになると言われている、と話者は紹介している。

Model Yロングレンジの前輪モーター変更

日本の利用者にも関係する話として、話者はModel Yロングレンジの前輪モーターがサイレントアップデートで新しくなったことを取り上げた。出力はこれまでの137kWから176kWに上がり、馬力換算で50馬力ほど高くなったという。

Model 3やModel Yの前輪には長く「3D3」という誘導モーターが使われてきたが、これが「TL2」に変わったという。以前から変更が噂されていた。車検証の原動機の型式もTL2と表記されることになるため、形式認証の手続きなどでテスラジャパンの納車チームがまた混乱しないか心配だ、と話者は付け加えている。出力向上に加えて効率も良くなったとされ、航続距離も伸びるのではないかと言われているという。

話者は、テスラはマイナーチェンジや発表日を待たず、新しい部品ができたら随時切り替えていく車づくりを昔から続けていると述べ、フルモデルチェンジで一気に新しくする従来メーカーのやり方とは違うと対比している。また、Cybercabの運行開始以降、イーロン・マスクがFSDやCybercabについて投稿する回数が増えており、関心が戻ってきたような雰囲気があるとも話している。

オースティンの利用者が試した「飛び出し」への反応

動画の後半は、オースティンでCybercabに乗った利用者たちが動画で公開しているさまざまな試験の紹介である。ハンドルがないので車内では好きなことをしてよいと言われれば、いろいろ試したくなるのが人間だし、自動運転の安全性を確かめたくなる気持ちも出てくる、と話者は前置きする。

最初の例は、歩行者の飛び出しに対する反応を確かめたものだ。人が走ってCybercabに近づくと、車はしっかり止まる。ほかにも、ホテルのエントランスで急に人が車の前を横切るという、いたずらに近い試験をした人もいた。反応が速く、きちんと止まる・避けるところに、CybercabのFSDの性能が垣間見えると話者は評価している。

車内カメラをふさぐと路肩に停止する

次は車内の試験である。Cybercabにはキャビンカメラがあり、X上で「ふさいだらどうなるか試してみて」と頼まれた人が実際にカメラをふさいだ。すると車は強制的に停止するモードに入った。

話者はこの挙動を次のように解釈する。車内は常にカメラで監視されており、危険な乗り方や車内を荒らす行為、汚損がないか、逆に乗客が心臓発作などで倒れていないかを確認している。運用上のリスクを避けるためのもので、カメラをふさいだり不具合で使えなくなったりすると、ただちに路肩に停止してライドを終了する仕組みになっていることが、この試験で分かったという。

試した本人はかなり焦ったらしく、「みんながやれと言うからやっただけなのに大変なことになった」という趣旨のことを動画で話している。その後コールセンターにつながり、テストで一時的にふさいだだけで、もうしないと謝ると対応してもらえた。車はいったん止まったが、再開ボタンを押せるようになり、再び走り出せたという。

話者によれば、オースティンでは現在40〜50台ほどのCybercabが走っているらしい。テスラはこうした突拍子もない利用者の行動をむしろ求めていて、本格運用に向けた運用面のデータや知見として蓄えているのではないか、と話者は推測する。運転技術としてのFSDはすでに成熟しており、Model Yでのロボタクシー運用も数か月続けているので、そこは大丈夫だろう。そのうえで、Cybercabならではのオペレーションがどうなるかを試す期間として、今は非常に良い時期になっている、というのが話者の見方である。

画面上に現れた遠隔操作用ジョイスティック

もう一つ、たまたま映ったらしい映像として、Cybercabの画面にジョイスティックが表示された例が紹介された。車がどうしても動かなくなり、スタッフやデバッグ担当の技術者が強制的に動かす必要があるときに使うものらしい。画面には「Press and hold joystick」といった表示があり、右へ行きたければ右、左なら左に操作する、スマートフォンのゲームのような仕組みになっている。クラクションボタンを押すと実際にクラクションが鳴っていた。なぜこの画面が出たのかは分からず、デバッグモードなのか、たまたまそういう状況になったのかは不明だと話者は述べている。

話者はこれを、Cybercabの非常時の動かし方がある程度見えてきた新しい発見だと受け止めた。一方で、液晶は水滴が付くと誤作動することがあるので、ジョイスティックが右に固定されたまま進んでぶつかるようなことは起きないのか、と疑問も口にしている。危険な場面ではFSDがジョイスティックの命令を上書きして止まるのかもしれない、とも付け加えた。さらに、非常用スタッフがXboxなどのゲームコントローラーをUSBでつないで操作する可能性も本当にあるのではないか、と冗談交じりに推測している。

ドアの開き方と段ボールでの試験

Cybercabのドアは独特な開き方をする。どこまで開くのか、何かにぶつからないのかを試した動画もあった。障害物の手前で止まりはしたが、隙間は1センチほどしかない。話者は、本当に障害物を検知してぎりぎりで止まっているのか、それとも単に全開の位置がそこだっただけなのか判断がつかない、と首をかしげている。

別の人は段ボールで同じ試験をしたが、このときドアは止まらず、段ボールにぶつかって崩してしまった。話者は途中で超音波センサーと言い間違えながら、最終的にはレーダー(電波を出して返ってくる電波で距離を測るセンサー)を使っているのだろうと推測した。金属やプラスチックのように中身の詰まったものでないと電波が返ってこない可能性があり、中がスカスカの段ボールは検知できなかったのかもしれない、という説明である。あくまで話者の推測として語られている。話者は10月にオースティンを訪れる予定で、人が立っていたらきちんと止まるかを自分でも検証したいと話している。

樹脂ボディと「アンボックスド」方式の生産ライン

最後に、Cybercabの生産ラインの映像が公開されたことが紹介された。話者によれば、Cybercabのボディはすべて樹脂で、アルミや鉄は使われていない。ギガキャストのように、大型の機械で樹脂を押し出して注入し、一体で成形する。

組み立てには「アンボックスドプロセス」と呼ばれる方式が使われる。通常はまずフレームを作り、そこにドアなどの部品を順に取り付けていく。これに対してCybercabは、フレームも含めて最後にすべてを組み合わせる。話者はこれを飛行機と同じ生産方式だと説明している。映像では、大きな機械がボディの樹脂部品を成形し、完成した部品が取り出される様子が初めて公開された。

テスラがCybercabを日本に持ち込んだ理由についての話者の見方

締めくくりとして、話者は今回の日本展示の意味を語った。オースティンの次はサンフランシスコ、マイアミ、ニューヨークでも運用が始まると言われているが、それ以上に大きいのはテスラジャパンがCybercabを日本に持ってきたことだという。話者によれば、アメリカ以外でCybercabが展示されるのは日本と中国だけである。これは、テスラ社内で日本にCybercabを投入したいという気持ちが高まっている表れだ、と話者は解釈する。

その根拠として話者が挙げるのは、テスラはロボタクシーがすでに導入されている市場か、認可されそうな市場を狙いたいはずだという点だ。アメリカではZooxなどがあちこちでサービスを始めている。国外では中国で、Pony.aiやApolloなど現地のIT企業のロボタクシーが何千台規模で当たり前に走っている。だから中国に投入したい気持ちは非常に強い、という見方である。

では、なぜ日本なのか。話者は、日本にはWaymoがいる点を挙げる。アメリカ以外のアジアでWaymoの導入を宣言しているのは日本だけであり、Waymoが実際に運行を始めれば規制面の課題もクリアされ、ロボタクシーを運営できる土台ができる。Waymoはテスラにとってロボタクシー事業の競合なので、競合がいる市場にはCybercabを投入したいという思いがテスラには絶対にある、と話者は強調する。Waymoが日本で始まった瞬間にテスラもCybercabを入れようとする動きが強まるだろうというのが話者の予想で、最近の日本の自動運転の動きは活発で本当に来そうな雰囲気があり、今年から来年が一つの時期になるとみている。

一方で話者は、タクシー業界との関係などさまざまなしがらみがあるため、日本でロボタクシーがどのような運営形態になるのかは見守る必要があり、ときには利用者側が声を上げなければならない場面もあるだろうと述べている。そのうえで、未来が日本にもすぐそこまで来ている可能性があることは素晴らしいと話し、早く来てほしいという期待を示して動画を終えている。