シミは6段階でできる:友利新が解説する「段階に合わせた美白美容液の選び方」

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概要

皮膚科医の友利新は、美白美容液をSNSでの話題やベストコスメの受賞歴で選ぶことに疑問を投げかける。シミができるまでには複数の段階があり、その段階に合った成分を使わなければ効果を感じにくいというのが彼女の立場だ。日焼け前に塗るのか、日焼け直後か、時間が経ってからかで使うべき成分は変わる。この動画では、シミができるまでの流れを6段階に分け、それぞれの段階で働く成分を紹介している。

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シミはどこで、どうやってできるのか

最初に友利は皮膚の構造を説明する。皮膚は外側から表皮、基底膜、真皮に分かれる。シミのもとになるのはメラノサイトという細胞だ。紫外線が当たると表皮の中でさまざまな化学変化が起こり、メラニンが作られる。通常はターンオーバー(肌の生まれ変わり)によってメラニンは表面に押し出され、最終的になくなる。メラニンがとどまり続けるとシミになる。

友利が強調するのは、紫外線が当たった瞬間にシミになるわけではないという点だ。シミになるまでには経路があり、その経路が最後まで進んで表面化したものがシミだという。だから自分が今どの段階にいるかを知ることが大事になる。

シミができるまでの6段階

友利は図を使って、シミができる流れを次の6段階に整理した。

  1. 紫外線が当たり、活性酸素が発生する。活性酸素が増えると、表皮の細胞であるケラチノサイトが「メラニンを作らなければ」と判断する。
  2. ケラチノサイトが、メラニンを作るよう指令をメラノサイトに送る。
  3. メラノサイトの中でチロシナーゼという酵素が活性化し、メラニンが作られる。
  4. 作られたメラニンがケラチノサイトへ受け渡される。
  5. メラニンが黒くなり、蓄積する。
  6. 表面化する。

メラニンがメラノサイトで作られた時点ではまだシミではなく、受け渡し、黒化・蓄積、表面化という段階を経てシミになる、という点がこの整理の要点である。

第1段階:日焼け前から抗酸化成分を仕込む

第1段階では、活性酸素の発生を防ぐことが目的になる。友利は、細胞を「錆びつかせない」ための抗酸化作用のある成分として、ビタミンC、グルタチオン、アスタキサンチンを挙げる。活性酸素が生まれにくくなれば、ケラチノサイトがメラニンを作るよう判断する必要がなくなるという説明だ。

使うタイミングについて友利は、夜に塗るより、朝「今日は日焼けをしそうだ」と思うときや、夏のように常に日焼けしやすい時期に、あらかじめ仕込んでおくことを勧める。活性酸素が発生してから消すのではなく、発生する前に肌に入れておくイメージだという。紫外線に当たると分かっている朝には、この3つの成分を入れておくことがポイントだと話す。

第2段階:24時間以内に「メラニンを作れ」という指令を止める

第2段階は、ケラチノサイトからメラノサイトへの指令である。友利によると、この指令は紫外線を浴びてからおよそ24時間以内に起こる。紫外線が当たると、ケラチノサイトはプロスタグランジンなどの炎症性物質を作り、それを通じてメラノサイトに「危険だからメラニンを作ってほしい」と伝える。そのため、紫外線に当たってしまったら24時間以内に指令をブロックする成分を入れることが大事だという。

ここで挙げられたのは抗炎症作用のある成分だ。最も有名なのは美白有効成分のトラネキサム酸である。もう一つは、花王の美白有効成分として承認されているカモミラET。ケラチノサイトが出すエンドセリンという炎症性物質を抑えることで、メラニン生成の指令を抑えるという。さらに、最近美白有効成分として承認されたグリチルレチン酸ステアリルも紹介された。友利は、これらは抑える炎症性物質がそれぞれ違うので、少なくともどれか一つを入れるとよいと述べている。

第3段階:48〜72時間後のメラニン合成を抑える

日焼けから48〜72時間以内は、メラニンの合成が最も活発になる時期だとされる。友利は、紫外線に当たる前、当たった直後、2〜3日後では状況がまったく違うと強調する。

この段階では、チロシナーゼの活性を抑えることがメラニン合成を止める手段になる。代表的な成分として、コウジ酸、ルシノール、アルブチンが挙げられた。

友利がここで特に紹介したのが、ロレアルグループが開発したメラジルである。彼女の説明では、メラニン合成を抑える成分はほぼすべてがチロシナーゼの活性を抑えるもので、アルブチンやルシノール、コウジ酸もその研究から生まれた。しかしチロシナーゼは一度活性化するとメラニンが作られてしまう。メラジルはチロシナーゼの活性ではなく、メラニンの前駆体に働きかけるものだという。そのため、チロシナーゼ活性を抑える美白成分を使っても効果を感じにくい人にとって、とてもよい成分ではないかと友利は評価している。

第4段階:メラニンの受け渡しを抑えるナイアシンアミド

メラニンを作った細胞は、それを隣のケラチノサイトへ移す。この受け渡しをブロックするのがナイアシンアミドだ。友利は、ナイアシンアミドはメラニンを作ることを抑えるのではなく、受け渡しを抑える成分で、効果はゆっくりしていると説明する。そのため、肌表面が黒くくすむ72時間以降に使う、あるいは継続して使う成分だと位置づけている。

第5段階:黒くなったメラニンを還元・無色化する

受け渡しの後、メラニンは黒くなっていく。この段階では、色を取ったり分解したりする成分が働く。友利がまず挙げるのはビタミンCだ。強い抗酸化作用に加えて、メラニンを無色化する働きもあるという。またコウジ酸も、チロシナーゼ活性を抑える以外に黒色メラニンを無色化する働きがあるので使えると話す。この段階で頼りになるのは、ビタミンCの還元力と、コウジ酸による蓄積メラニンへのケアだというのが友利の整理である。

第6段階:受け渡されたメラニンを排出させる

最後の段階では、すでに受け渡されたメラニンがとどまらないよう排出を促すことが大事になる。友利が挙げたのは、ポーラ・オルビスグループが開発した美白有効成分のデクスパンテノールと、大塚製薬が開発したエナジーシグナルAMPで、いずれもターンオーバーを促す成分だという。

4MSKについては補足があった。4MSKはターンオーバー促進と言われることがあるが、友利によれば本来はチロシナーゼの活性を抑えてメラニンを作らせない成分である。排出系に分類されるのは角層剥離作用があるためで、元の働きはチロシナーゼ活性の抑制だという。

レチノールにも触れている。レチノール自体は美白有効成分ではないが、美白有効成分と併用するとターンオーバーを早めてくれる。美白目的で使うなら、メラニン生成を抑える美白有効成分と組み合わせて使うのがよいと友利は述べる。

また、デクスパンテノールとエナジーシグナルAMPは細胞のエネルギーを高める成分でもあるという。細胞が元気であればメラニンを作る必要がなく、ターンオーバーもうまくいくため、肌自体を元気にする面もあると友利は説明している。

自分の状態を見極めて、成分を2つ程度組み合わせる

まとめとして友利は、パッケージ裏の成分表示を見て、どの段階に効くかを意識しながら組み合わせることを勧めた。挙げられた組み合わせの例は次のとおりだ。

  • 指令を止めるトラネキサム酸に、受け渡しを抑えるナイアシンアミドと、炎症を止める成分を合わせる。
  • 4MSKでメラニン合成を抑え、トラネキサム酸で指令を抑え、グリチルリチン酸ジカリウムのような抗炎症成分を組み合わせる。
  • コウジ酸やメラジルなどメラニン合成自体を止める成分に、レチノールやデクスパンテノールを組み合わせ、「抑えながら出す」。

使い分けの目安として、紫外線によく当たる人は、ビタミンCかカモミラETのどちらかを使ってメラニン生成を抑える方向を示した。一方、それほど紫外線に当たらないが、すでにシミがあり全体的なくすみが気になる人は、コウジ酸などでメラニン生成を抑えつつ、デクスパンテノールやエナジーシグナルAMPでターンオーバーを促す。そこに受け渡しを抑えるナイアシンアミドを加える選択肢もあるという。

友利の結論は、漫然と美白美容液を使うのではなく、自分が紫外線によく当たるのかどうか、今どんな状態なのかを分析し、それに対応する成分を1つではなく2つほど組み合わせて選ぶほうがよい、というものだ。この仕組みを一度理解しておけば、今後どんな美白美容液が出ても、自分に合うか、自分に必要かを判断できるようになると彼女は話している。