高級クリームはなぜ高いのか 友利新が解説する3ブランドの老化研究と浸透技術

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概要

5万円、10万円、あるいはそれ以上する高級クリームは「ぼったくり」なのか。医師の友利新はこの疑問に対して、高級クリームにはブランドの研究成果と将来への展望が詰め込まれており、決して割高なだけの商品ではないという立場を取る。動画では、クレ・ド・ポー ボーテ、ディオール、コスメデコルテの最新クリームを例に、各ブランドが老化のどの仕組みに着目し、それをどう肌に届けようとしているのかを解説している。

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なぜ研究成果の結晶が「クリーム」なのか

化粧品には洗顔、クレンジング、化粧水、美容液、乳液などさまざまなアイテムがある。その中でクリームが特別な位置にある理由として、友利はクリームが成分をしっかり配合でき、安定性の高い製品を作れるアイテムである点を挙げる。美容成分には水にしか溶けないものと油にしか溶けないものがあるが、クリームならその両方を混ぜ合わせ、大量に配合できる。ブランドが「これぞ」と考える成分を、水溶性でも油溶性でも多く入れ、安定して届けられるのがクリームの利点だという。

美容液でもできることはあると認めたうえで、友利は、各ブランドが何十年もの若返り研究から開発した独自成分を必ず入れてくるのがクリームだと説明する。そのためクリームの技術を知れば、そのブランドの強み、目指している方向、行っている研究が最もよく分かると話す。今回取り上げる3つは、その中でも「レベルが全く違う」ブランドだという。

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クレ・ド・ポー ボーテ:老化細胞を「巻き戻す」という発想

1つ目は、資生堂の最高峰ブランドであるクレ・ド・ポー ボーテのクリームだ。友利は、これまでのエイジングケアが年齢を止める、あるいは老化に抗うものだったのに対し、最近のトレンドは「巻き戻す」ことであり、その考え方が再生医療だと説明する。資生堂は100年以上前から研究を重ね、再生医療の研究も行っているブランドとして紹介されている。

資生堂が着目したのは老化細胞である。老化細胞は分裂を止めた後も死なずに残り、それだけでなく、SASP(サスプ)と呼ばれる炎症物質を多く出して周囲の細胞まで老化させる。そのため「ゾンビ細胞」と呼ばれることもあるという。最近は、老化細胞を除去する、あるいは老化細胞にさせないというアプローチが研究されている。

通常の細胞は、傷ついたり使えなくなったりすると、アポトーシスと呼ばれるプログラムによって自ら消えていく。ところが老化細胞は、アポトーシスのスイッチを妨げるタンパク質を自分で出しているため、不要な存在のまま居座ってしまう。資生堂はそこに目をつけ、そのタンパク質の働きを妨げれば老化細胞もアポトーシスを起こして消えるのではないかと考え、その方法を確立したと友利は説明する。その役割を担うのがコリアンダーエキスだという。

友利がこれを画期的だと評価するのは、老化細胞の影響が広範に及ぶからだ。老化細胞の周囲にある線維芽細胞はコラーゲンを作れなくなり、表皮の細胞は正常に分化できずヒアルロン酸を産生できなくなるなど、全体として老化が進んでしまう。老化細胞を外から取り除くのではなく、老化細胞自身が自然なアポトーシスの流れに乗るよう促す点に、友利は新しさを見ている。

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毛細血管と免疫をつなぐ研究

クレ・ド・ポー ボーテでは、老化細胞以外に血管や免疫の研究も進められているという。毛細血管は体の隅々まで栄養や酸素を届けているが、毛細血管が弱ると十分に届けられなくなる。そして毛細血管を強く保つことに免疫細胞が関わっていることが分かってきた。友利は、別々に行われてきた研究が1つにつながっていく点を「面白い」と語る。

具体的には、M2マクロファージという免疫細胞が毛細血管のインフラを整える働きを持つことが分かっており、M2マクロファージを増やして毛細血管を整えるために独自開発されたのがゴールデンボタニカルエキスだという。クリームにはこのほか、線維芽細胞を増殖させるスイカズラ花エキス、コラーゲンの産生を高めるエキス、そして先述のコリアンダーエキスがふんだんに配合されていると紹介された。

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400倍に膨らむ「ポリマーの水風船」

友利は、アポトーシスを促す成分を見つけたこと自体がニュースになるほどの成果だとしつつ、クリームとして届ける以上はテクスチャーや肌への浸透も欠かせないと指摘する。そこで導入されたのが、「ポリマーの水風船」のような新技術だ。

水溶性の成分をクリームに入れる際、以前は乳化によって配合していた。これをもっと大量に入れられないかと考えて生まれたのが、水性の美容成分を吸って400倍ほどに膨らむポリマーである。この美容液の「水風船」をクリームの中にぎっしり詰めており、塗った時点ではバームのようなテクスチャーだが、肌に伸ばして圧をかけると風船が弾け、中のみずみずしい美容液成分が一気に肌に広がる仕組みだと説明された。実際に試した友利は、コクがあるのに軽くなっていくような感覚があり、最後は内側からふっくら整う驚きのある使用感だったと語っている。

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ディオール プレステージ:長寿研究から導いた「15の指標」

2つ目はディオールのプレステージのクリームである。友利は、ファッションブランドだから外装がかっこいいだけではないかと思っている人に向けて、ディオールは世界規模で研究を行っていると強調する。ディオールは長寿研究を世界各国の大学や研究所と組んで進めており、今回はハーバード大学で長寿研究を行うヴァディム教授と組んで開発したという。

その成果として発表されたのが「ロンジェビティ・コンパス」という論文で、友利は皮膚科学の分野で驚きのある内容だったと紹介する。体全体の長寿に関するアプローチは分かっていたものの、肌の老化に何が関わっているかはあまり解明されていなかった。そこでディオールと親会社LVMHの研究所がヴァディム教授と組み、細胞レベルで何が起きているかを調べ、肌の老化に関わる15の生物学的指標を定め、肌を若々しくする42のマーカーまで特定したという。

友利はこの意義を次のように説明する。肌がなぜ老化し、どのマーカーが関与しているのかが分からなければ、老化を遅らせることはできない。逆に言えば、15の指標をすべて満たしていけば、シワやたるみといった個別の問題だけでなく細胞から若々しくなり、老化を止めるのではなく巻き戻す「リバースエイジング」が可能になる、というのが友利の見立てである。この15の指標は権威のある医学誌にも論文として掲載されており、その点も高く評価している。

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グランビルローズ由来の「ローズペプチド3」

15の指標を化粧品でどう満たしていくか。その鍵となるのが、ディオールがスキンケアのために開発したバラ「グランビルローズ」から得られるペプチドだという。プレステージにはこれまでもグランビルローズ由来のさまざまな成分が使われてきたが、今回は新成分「ローズペプチド3」が配合されている。

実際にグランビルローズを見てきたという友利によれば、このバラは一般的なバラとは違い、花びらが散りにくく、茎が非常に太く、色がはっきりしている。茎・花を含む3つの部位を別々の方法で抽出し、それぞれに効能があるという。茎のエキスはレチノールに似た働きを持ち、表皮の再生を高め、真皮のエラスチンを増やすことで、表皮と真皮の厚みを増す。2つ目の部位のエキスは真皮のⅠ型コラーゲンを増やし、花びらのエキスはⅦ型コラーゲンとヒアルロン酸を増やすことに関与している。

これらに、コラーゲンの活性を高めるパルミトイルテトラペプチド-7と、シワに効果を発揮するアセチルヘキサペプチド-8という2つのペプチドを組み合わせたのが、複合成分ローズペプチド3である。表皮・基底膜・真皮の3層に働きかけ、15の指標のうち10を満たすと友利は紹介している。

処方面では、2種類のワックスが時間差で溶ける構造を採用しているという。1つは肌の温度前後で溶けて吸い込まれるもの、もう1つは肌にとどまりながらゆっくり溶けていくもので、これにより塗った瞬間の心地よいテクスチャーと、ローズペプチド3などの成分がゆっくり浸透していく段階的な使用感を両立させているという。友利はグランビルローズの香りも魅力に挙げ、細胞レベルで若返るというデータをしっかり示している点が高級クリームならではだとまとめている。

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コスメデコルテ AQ ミリオリティ:老化の「連鎖」を断つ

3つ目は、高級クリームの中でも「超高級」と位置づけられたコスメデコルテのAQ ミリオリティだ。特徴は、話題のエクソソームとマイクロRNAに関わる技術が使われている点である。

クレ・ド・ポー ボーテが老化細胞そのものに着目していたのに対し、コスメデコルテは「老化の連鎖」に着目している。老化細胞が炎症物質を出すことで周囲の細胞まで老化細胞になってしまう現象だ。友利の説明では、老化細胞は細胞間のメッセンジャーであるエクソソームに、老化連鎖を引き起こすマイクロRNA「5703」という「悪魔のメッセージ」を入れて放出しており、これを受け取った周囲の元気な細胞が次々と老化細胞に変わってしまうことが分かっているという。

そこでコスメデコルテは、このマイクロRNA自体を抑制する成分を探索し、果実エキスから抽出される「ロンジェノックス」という成分を見いだした。これによって周囲への命令の送信をブロックし、肌全体の老化連鎖を止めていくという。

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細胞に「仲間」と認識させる70〜100nmのカプセル

老化連鎖を断つだけでなく、元気な細胞をさらに元気にするために開発されたのが、エクソソームを模したカプセル技術(字幕では「POEXOメッセンジャーソーム」などと表記が揺れている)である。コスメデコルテはリポソームで知られるブランドだが、通常のリポソームが角層からじわじわと浸透させるのに対し、このカプセルは70〜100nmほどと小さく、真皮の細胞の近くまで届くという。

さらに細胞膜とよく似せて人工的に作られているため、細胞が「仲間が来た」と認識して中に取り込むところまで計算されていると友利は説明する。カプセルの中には、サーモン注射でおなじみのPDRN、細胞のエネルギー源であるATP、強力な抗酸化成分のグルタチオン、コラーゲンを生み出す3Dペプチドなどが入っており、細胞の「元気玉」を細胞まで届ける。細胞自体を元気にしつつ、老化細胞から届く望ましくないメッセージも抑える点を、友利は「本当にすごい」テクノロジーだと評している。

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どんな人に向いているか

友利は3つのクリームを、いずれもブランドの最新の老化研究と渾身のデリバリー・浸透技術が注がれた「知の結晶」だとしたうえで、向いている人をそれぞれ挙げる。クレ・ド・ポー ボーテは、すでに刻まれてしまった深いシワなどを再生医療の発想でケアしたい人や、コクがありながらみずみずしい新しいテクスチャーを体感したい人に向く。ディオールは、細胞レベルで若返りたい人や、バラの香りに癒やされたい人にぴったりだという。コスメデコルテは、角層や表皮にとどまらず細胞にまで届けるエクソソーム技術を体感したい人に向いているとしている。

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高級クリームは「未来の肌への投資」

最後に友利は、高いものは買えないし聞いても意味がないと感じる視聴者に向けて、最新研究の技術はいずれ一般化し、手頃な製品にも広がっていくと語る。高級クリームを買うことが研究開発を後押しし、その恩恵がやがて自分たちにも返ってくるため、ある意味で投資の一環だという考えだ。友利は高級クリームを単なる化粧品ではなく「未来の私たちの肌への投資」と位置づけ、投資できる人にはブランドの研究が一歩も二歩も進むよう支えてほしいと呼びかけ、自身も「推し活」のように投資を続けていきたいと述べて締めくくった。