テスラのロボタクシー完全無人化とFSD V14 Liteの「アホ説」、1000万台生産の意味

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概要

テスラとEVのニュースを毎週紹介している話者が、今回取り上げたのは3つの話題だ。米テキサス州を中心にテスラのロボタクシーが本格的に無人運転を始めたこと、ハードウェア3向けに出たFSD V14 Liteがバック時に障害物をうまく認識できないと指摘されていること、そしてテスラの累計生産台数が1000万台に達したことである。話者は、アメリカでロボタクシーの準備が着々と進んでいると伝える。一方でV14 Liteの問題は初期リリースならではのものと見ており、1000万台達成は「テスラは車の会社ではなくロボットとAIの会社だ」という流れの中で読み解いている。

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誰も乗っていないロボタクシーが走り始めた

最初に紹介されたのは、テスラのロボタクシーを横を走る車から撮影した動画だ。車内には誰も乗っておらず、完全に無人である。話者が昨年10月にオースティンを訪れたときは、無人の車両は1台も走っていなかったという。当時はセーフティドライバーにあたる人が助手席に乗る形式しかなかった。最近はオースティンに加え、ヒューストンなどでも本当に誰も乗っていないモデルYのロボタクシーが運行しており、台数も急増しているという。オースティン市内のあちこちで住民が目撃し、動画を撮っている状況だと話者は伝える。

こうしたロボタクシーは、テスラのサービスに限らず、夜間に戻って充電やメンテナンスを受ける拠点施設を持つ(話者は「デポジット施設」と呼んでいる)。オースティンの施設には、赤いモデルYが次々と戻ってくる様子をドローンで空撮した動画が出回っている。施設の場所はすでにテスラ愛好家たちに特定されている、と話者は言う。動画では、空いている駐車枠に1台ずつ自動で止まり、駐車が終わるとハザードランプが点灯する。動画は1.5倍か2倍速らしく、ハザードの点滅が非常に速く見えるが、実際にその速さで点滅しているわけではないようだと話者は補足している。施設はおそらく既存のテスラのサービスセンターの敷地内にあり、ロボタクシー専用のメンテナンス場として申請されているという。

話者はここでウェイモの例を引く。ウェイモの拠点では、近隣住民が上から撮影した動画がよく知られている。車両が駐車できずに駐車場内をぐるぐる回ってクラクションを鳴らし、うるさいと社会問題になったこともある。オースティンの施設はテスラにとって第1号で、まだ大規模ではないため問題は起きていない。ただ話者は、こうした施設が全米、さらに世界に広がれば、施設へ入るための渋滞や、近所の住人にとっての騒音やまぶしさといったトラブルが起きそうだと見ている。

メンテナンス施設の内部

別の動画では、ロボタクシーやサイバーキャブが列をなしてメンテナンス施設の中に入っていく様子が映っている。施設内では、今のところ人が車の掃除や空気圧の点検をしているという。さらに別の動画では、屋内にロボタクシー車両がずらりと並び、トランクが開けられている。話者は掃除をしているのだろうと推測している。ディスプレイのようなものも見え、車両群が入れ替わりながら整備を受ける施設になっている印象だという。もともとサービス用の施設があった場所ではないようで、改造したのか専用に作ったのかは分からない、と話者は述べる。人が作業している様子が見える動画はまだないとも付け加えている。

サイバーキャブの車内UI

続いて、サイバーキャブの走行中のUI画面の新しい画像が紹介された。話者がまず驚いたのは画面の大きさだ。話者自身は既存テスラの16〜17インチ前後の画面に慣れている。そのため、約20インチの画面は配置されたアイコンのサイズに比べて横幅が大きく、かえって違和感があるという。

画面の端に地図、中央にサイバーキャブの3Dグラフィック、上部に車外カメラの映像が3つ並ぶ。中央が真後ろ、左右がリピーターカメラの映像で、これらが常時表示されるレイアウトになっている。既存のテスラ車にこうした表示はないので、サイバーキャブ専用かロボタクシー専用の表示だろうと話者は見ている。表示を切り替えられる可能性もあるとしている。

ウインカー音もハザード音もない

モデルYのロボタクシーに乗った人の動画では、左折しようとしてウインカーが点灯しているのに、カチカチという音がしない。話者によれば、あの音は人間の運転者が自分でウインカーを出していることを確認するための機能で、ロボタクシーなら不要だという理屈である。レベル4の自動運転としてテキサスでは法律上ウインカー音をなくしてよいことになっているようだ、と話者は説明する。テスラの公式アカウントも、運転中の車内が静かだと投稿していたという。

ハザードランプの音も消されているそうだ。ロボタクシーは乗り降りのために路上で止まるとハザードを点滅させるが、そのときも音は鳴らない。話者はこれに感動したと語り、未来の乗り物らしさを感じる部分だとしている。

こうしたロボタクシーのフリートは、テキサスのオースティンやヒューストンに加え、ニューヨーク(間もなくかもしれない、と話者は留保している)、フロリダ、フェニックス、ラスベガスなどで始まろうとしている、と話者は述べる。

施設に入り込んで撮影した人物

このテーマの最後に、先ほどのメンテナンス施設に入り込み、写真や動画を撮りまくった人の投稿が紹介された。サイバーキャブがずらりと並び、無人運転用のモデルYのロボタクシーも大量に並んでいる。サイバーキャブは誰でも見られる状態で置かれているという。投稿には、車両が出入りするための特別な仕様らしい後方カメラや、車台番号の撮影も含まれていた。

話者が特に驚いたのは、この人物がサイバーキャブに至近距離まで近づき、ホイールのカバーをめくって中を撮影していたことだ。怒られないのかと思いつつ「アメリカだな」と感じたという。それでも、これだけの車両が準備されて並んでいることは、テキサスを中心にロボタクシーの準備が進み、無人化が次々と行われている証拠だと話者は受け止めている。

FSD V14 Liteとは何か

2つ目の話題は、FSD V14 Liteが「アホなのではないか」という説である。V14 Liteは旧型のハードウェア3向けに出たFSDの軽量化版だ。話者によれば、ハードウェア3での実現は不可能と言われていた。それをテスラのAIチームが蒸留という手法で軽量化しつつ高性能にしたもので、多くのユーザーが待ち望んでいたモデルだという。話者は、日本を走っているテスラのうち、7〜8割と言いかけて言い過ぎだと訂正し、半分くらいはハードウェア3だろうと見積もっている。

V14 Liteはアメリカと韓国でリリースされ、ユーザーがさまざまな検証をしている。その中で、特にバック時の障害物の認識精度が悪いことが浮き彫りになっている、と話者は紹介する。「アホ」というより、普通に危ないという評価だ。

後退時に障害物へ向かっていく事例

話者はいくつかの動画を示した。1つ目はゴミ箱を置いた状態でFSDをオンにしたもので、そのまま続行すると追突しそうになる。2つ目は自宅のガレージからFSDでスタートする動画だ。最初にバックする際、後ろに人がしゃがんでいるのに、そこへ向かって進もうとする挙動が見られた。3つ目は目的地のスーパーチャージャーでバック駐車に入る場面で、FSDがオンの状態のまま充電器のポールに衝突しそうになったという。

話者が「さすがにやばい」と感じたのが4つ目だ。目的地に着いたFSDが空いている駐車枠を見つけ、後ろ向きで止めようとする。ところがその枠にはバイクがいた。それでもFSDは一生懸命駐車しようとし、オーナーがブレーキを踏んで止めたという。

前進は良好、バックが弱い

話者の整理では、V14 Liteは前進時の認識や運転挙動、日常的なレーンキープや市街地走行では、最新のFSD V14とそれほど遜色なく運転できる。問題は駐車時や出発時のバックの認識精度だ。Lite化でその部分の「脳みそ」を置き忘れたのではないか、と言われているという。

話者がこれを深刻だと考える理由は、V14でバックができるようになったことこそが特徴だったからだ。バックによって操作の幅が広がった。行き止まりに突き当たって何度も切り返すといった場面は普通に起こりうる。そのときに壁へ激突するようでは困る。障害物があると衝突しかねないという事実は、その機能の価値を脅かすと話者は述べる。

初期リリースの問題として見る

ただし話者は、これを最初のバージョンで洗い出された問題と位置づけている。日本ではまだFSD自体が提供されていない。日本に来る頃にはV14 Liteのこうした不具合や微妙な点は改善され、良い状態で届くだろうと話者は予想する。初期リリースのユーザーはいわば人柱として問題点を洗い出すプロセスを担っている。そういう状況があることを知っておいてほしい、というのが話者の伝えたかった点だ。

累計1000万台の生産を達成

最後の話題は、テスラが累計1000万台の車両生産を達成したことだ。話者によれば、テスラが初めてモデルSを作ったのはアメリカのフリーモント工場で、2012年か2013年ごろである。そこから約13年で、フリーモント、上海、ベルリン、テキサスの4工場へと生産を広げた。モデル3やモデルYも作り始め、合計1000万台に至ったという。

発表の映像には生産現場で働く従業員が映っていた。話者は、彼らの多くがストックオプションを受け取っており、10年ほど前から働いてきた人はテスラ株で大金持ちになっているだろうと述べる。改善を重ねながら車を作り続けてきた人々に敬意を示している。

モデルS/Xのラインはオプティマスへ

話者はあわせて、フリーモント工場のモデルS/Xの生産ラインがすでに取り壊されたことに触れた。モデルS/Xは世界で販売を終え、「幻の車」になったという。その跡地では、ヒューマノイドロボット「オプティマス」の生産ラインが今まさに作られている。オプティマスはフリーモントに加え、ギガテキサスの隣に新設される生産工場でも作られる予定で、2拠点体制になるという。

テスラのAI部門のトップは、1000万台達成のニュースを引用リポストした。そこで、自分たちは1000万台の車ではなく1000万台のロボットを作ったのだと言い換えたという。話者はこれを、テスラがロボットカンパニーであることを改めて示すものと受け止めている。自動運転が実現しFSDが世界に広がれば、車は「タイヤのついたロボット」と言える。そしてテスラの次のフェーズはヒューマノイドだと明示した、1つのターニングポイントだと話者は評価する。テスラがAIカンパニーであるという主張は、イーロン・マスクが繰り返し述べてきたことでもあり、「サステナブル・アバンダンス」というミッションにも表れている。最近のAI関連の動きを見れば認めざるを得ない、と話者は述べる。

オープンモデルかクローズドモデルか

話はAI業界の議論に移る。NVIDIAのジェンスン・フアン社長が最近ようやくXを始め、まだ2件しか投稿していない。その最初の投稿が、オープンモデルとクローズドモデルをめぐる話題だったという。話者の説明では、オープンモデルはK3のようにモデルの重みを無償で公開するもの、クローズドモデルはAnthropicのFableやChatGPTのGPT-5.6のように重みが公開されず、API経由で使うものだ。

フアン氏は両方必要だという趣旨の投稿をした。話者はこれをポジショントークとも見ている。NVIDIAからすれば、オープンでもクローズドでも学習や推論には半導体が必要なので、どちらにしても儲かるからだ。イーロン・マスクもこれに同調してリポストしたという。xAIはクローズドモデルを持っているが、AIをコモディティ化し、オープンなAIを作っていくという思想の下ではオープンモデルも大事だ、という立場だと話者は解釈している。話者自身も途中で「話が全然違う方向に行ってしまった」と断っているが、テスラとマスクがAIの中心にいる以上、この議論から目が離せないと続ける。

自動運転AIがオープン化したら何が残るか

話者がこの議論をテスラに結びつけたのは、次のような理由からだ。テスラのFSDは現在、テスラしか持たずテスラしか使えないクローズドモデルである。しかし、それがオープンモデルになる可能性もゼロではない、と話者は考える。そうなれば、誰でもその知能を使って自動運転車を作れるようになる。その場合に重要になるのは、車という物理的なハードウェアや専用ハードウェアをきちんと作れるかどうか、つまり「フィジカルAI」のハードウェアを押さえているかどうかだという。

そういう流れになればテスラは強く、モデルだけを作っている会社は弱くなる。マスクもそのあたりを考えているのではないか、と話者は推測する。自動運転AIを作る会社は今やテスラだけではない。日本のチューリング、イギリスのウェイブ、アメリカのニューロがあり、ルールベースだったウェイモもAIベースへの切り替えを進めている。話者は、エンドツーエンドAIの領域には多くの競合がいると述べる。そのうえで、自動運転AIがコモディティ化した世界をマスクも想定しているのではないか、という見立てを示して話を締めくくった。

話者は、AI業界の動きは激しく、自身も情報を追い続けなければ間に合わないと述べる。翌週はSpaceXの決算発表などの話題も取り上げたいとしている。