大谷翔平と川崎宗則の英語から考える、「伝わる英語」は何で決まるのか

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概要

英語学習の発信をしているひなは、20歳でTOEIC満点を取ったと自己紹介したうえで、海外で活躍した日本人野球選手2人の英語を評価している。取り上げるのは大谷翔平選手と川崎宗則選手だ。評価項目は「発音」「表現」「テンポ」「伝わり方」の4つである。英語が完璧でなくても、なぜ2人の言葉は現地の人に届くのか。ひなの答えは、英語の正確さよりも「聞いてもらえる姿勢」が大きいというものだ。この動画を作ったのは、見る人の英語学習のモチベーションになると考えたからだという。

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野球好きとしての前置き

ひなは高校時代から野球が好きだったと語る。野球部のマネージャーを2か月ほど務めたこともある。長ズボンをはくというルールがあったのに暑いから短パンで通し、先輩マネージャーに怒られて終わったという。それでも野球観戦は昔から好きで、大谷選手が日本ハムで活躍していた頃から注目していた。川崎選手のことは「海外で活躍している面白い日本人」として知っていたという。

大谷選手の英語:メディアトレーニングされた印象

大谷選手の英語について、ひなはまず一般的な印象を挙げる。ニュースやテレビで見る姿はメディアトレーニングを受けていて、台本が決まっていてそれを読んでいる、という印象を多くの人が持っているのではないか、と。英語は第一言語ではないので、下手なことを言わないようにスピーチ担当者がいるくらいなのだろう、とひなは推測している。

そのうえで、ひなが「大谷さんの心から出てる言葉」として紹介するのが、ドジャースが優勝した際にスタジアムでファンと一緒に祝ったセレブレーションでの発言だ。マイクを渡された大谷選手は、チームへの思いを述べ、ファンに向けて「you guys are the greatest fans in the world」という趣旨の言葉を口にした。短い発言だったが、その場で一番大きな歓声を浴びていたとひなは言う。

この場面からひなが引き出すのは、難しい表現を使わなくても、日本人でも分かるほどシンプルな文と単語で何万人もの会場を沸かせられる、という点だ。もちろん大谷選手ほどになれば、その場にいるだけで歓声は起きる。ひなもそれは認めている。そのうえで、長く複雑なことを言わなくても思いは伝わる、というのがひなの読み取りである。

発音については、相当トレーニングしているのだろうとひなは見ている。例として挙げたのは「I want to」を音をつなげて発音していた点だ。ひなはこれを「リンキング」と呼び、ネイティブのように聞こえると評価する。現地の人のリズムや発音をよく拾っている、というのがひなの感想である。

MVPスピーチに見るリズムの取り方

次にひなが取り上げるのは、紹介者や会の主催者、自分に投票した記者たちへの感謝を述べるMVP受賞スピーチだ。ここでひなはまず「発音がすごく綺麗」と言う。特に強調したのは、リズムの取り方がネイティブと同じだという点である。

例として挙げたのは「This MVP award is very meaningful, and winning it again means so much to me.」という一文だ。「meaningful」の後に間を入れる置き方に、ひなは注目している。ネイティブは一つの文の中に波をつくり、リズムに乗って発音するという。これは量をこなして感覚的につかんでいくもので、大谷選手はそれが非常に自然で聞き取りやすい、というのがひなの評価だ。台本を用意して練習しているのだろうが、どれだけ練習したとしてもここまで自然にリズムが取れているのはうまい、とひなは話している。

即興では言葉が出てこない場面もある

ひなは、準備されたスピーチと、ファンの前での即興の発言を比べている。即興のほうが、言葉がぱっと出てこない場面が多かったという。ただしひなは、これを「下手だ」という意味で言っているのではないと断っている。言いたいのは「そういうものだ」ということだ。

大谷選手はアメリカに住み、英語についても相当トレーニングしているはずだとひなは考えている。ECCジュニアのアンバサダーでもある。その大谷選手でさえ、単語がスムーズに出てこずに戸惑うことがある。それが普通だ、というのがひなの主張である。

ひなは英語を教えるなかで、「ぱっと出てこないのが嫌だ」「出てこないから自分は下手だ」と感じる人が多いと話す。第一言語は日本語で、大人になってから英語を学んでいるのだから、言いたいことがすっと出てこないのは当たり前だ。だから「下手だ」「英語に向いていない」と思う必要は一切ない。全ては量の問題で、単語が一つ出てこなくても間違っているわけではない、とひなは言う。

大谷選手の4項目評価

ひなによる大谷選手の評価は次の通りだ。

  • 発音:かなり上手なので「丸」。
  • 表現:文法的な面も含めて非常によく「丸」。練習を重ねたスピーチが多く、プロが見ているのだろうとひなは推測している。
  • テンポ:「花丸」。区切りや英語を話すときのリズムに完全に乗っていて、ここが大谷選手の強みだという。英語はリズムと流れで話す言語であり、そのつかみ方の感覚が非常に良い。ひなは「やっぱ野球選手はちゃうわ」と感心している。
  • 伝わり方・コミュニケーション力:100%伝わっている。スーパースターだから会場が沸くという面はある。それでも、外国の人から見れば、日本人の野球選手があえて母国を出てアメリカで挑戦し、大活躍してチームを優勝に導いた。その選手が第一言語ではない英語を頑張って話している。その姿だけで現地の人にとっては満点なのだろう、とひなは言う。だからこそ100%完璧な英語でなくても伝わる、という見方である。

川崎選手の英語:自信とユーモアで圧倒する

ひなが「特に見せたい」と言うのが川崎選手だ。紹介された映像で、川崎選手は大歓声と笑いの中、「just win」などシンプルな言葉を繰り返しながら話している。

ひなの第一の感想は「向こうの人を圧倒するぐらいおもろい」というものだ。自信満々に話す姿がとても良く、ここまで堂々と英語を話せる選手はいないのではないか、とひなは言う。海外で活躍する日本人選手には落ち着いて控えめなイメージが強いが、川崎選手はパッションで話している。ユーモアや人間力によって、話す前から気持ちが伝わっているような状態だ、というのがひなの見方である。

川崎選手の特徴として、ひなは大谷選手と同じく非常にシンプルな単語を使う点を挙げる。そのうえで川崎選手は、同じことを繰り返すことで強調しており、強調そのものがメッセージになっているという。簡単な単語なのに、熱さがよく伝わってくる。

「I am first time」でも伝わる

文法面の具体例として、ひなは「I am first time」という表現を取り上げる。「初めて」と言いたいなら正しくは「This is my first time」だ。しかし川崎選手が「I am first time」と言っても、「初めて」という意味は相手に伝わっている。誰も突っ込まず、当たり前のように理解している、とひなは指摘する。

完璧な文法や表現を知らなくても、本質的な部分さえ伝われば相手は理解してくれるし、会話は成り立つ。コミュニケーションで一番大事なのはポイントを伝えることだ。川崎選手はそのための細かな文法の正確さや発音をそこまで気にしておらず、それがなくても伝わるならOKというマインドを持っている。ひなはそれを生まれつきのものだろうと推測しつつ、だからこそ自信満々に陽気に英語を話せるのだと考えている。

ひなは、川崎選手が間接的に伝えているのは「自分が分かる範囲の単語を並べるだけでも伝わる」ということだと言う。視聴者の多くは正しい英語を話したいと思って勉強しているはずで、それはそのままでいい。それでも、シンプルな単語を並べるだけで伝えられると知れば、英語へのハードルは下がるだろう、とひなは話す。

よくある勘違いとしてひなが挙げるのは、完璧な発音や文法、正しい単語を使わないと相手に怪訝な顔をされる、まったく伝わらずに恥をかく、という思い込みだ。川崎選手が示しているように、簡単な単語を並べるだけでも十分に伝わる。あとは勇気の問題で、完璧でなくてもまずトライしてみることが大事だ、とひなは言う。

川崎選手の4項目評価

ひなが「あえて評価すると」と前置きしてつけた川崎選手の評価は次の通りである。

  • 発音:「丸」。完璧なネイティブ発音ではないが、一言一言をはっきりゆっくり言うので、相手に伝わりやすい英語になっている。
  • 表現・文法の正確さ:「バツ寄りの三角」。文法的にきれいとは言えない文を使っている。ただし伝わっているので、ひなとしてはそこが本質だと考える。
  • テンポ:「三角」くらい。台本はおそらくなく、インタビューはすべて素で話そうとしているので、ネイティブと比べればぎこちない。それでもテンポが違うからといって批判されたり「間違っている」と言われたりはしない。聞き手は頑張って聞こうとする前提を持っているので、テンポが完璧でなくても伝わる、とひなは言う。
  • 伝わり方・コミュニケーション:「花丸」。シンプルな単語の並べ方でコミュニケーションを成立させてしまうのが川崎選手の魅力だという。

なぜ完璧でない英語が伝わるのか:聞き手の姿勢と「聞いてもらえる能力」

2人を見たうえで、ひなは、完璧でない英語がなぜこれほど理解されるのかを考える。ひなの答えは、聞き手の側が頑張って理解しようとし、英語を頑張って話す姿を応援しているからだ、というものだ。その姿勢があるからこそ良いコミュニケーションが成立する。英語の伝わり度は、正確な文法や単語によってはそれほど左右されない、とひなは言う。

もちろん、正しい単語や文法で表現できるに越したことはない。ただそれ以前に、聞いてもらう姿勢を非言語の部分で作ることもコミュニケーション能力だ、とひなは考える。

ひなが「もったいない」と感じるのは、自信がない、批判や馬鹿にされるのが怖い、恥をかきたくないといった理由から、ぼそぼそと保険をかけるように話す人だ。ひなははっきり「逆効果」だと言う。誰でも楽しく話したいのに、ぼそぼそ話しかけられると気まずくなり、かえって「何を言っているのだろう」と思われやすい。明るく笑顔で、完璧でなくても自信を持って臨むからこそ、相手は向き合ってくれる、というのがひなの主張だ。

この点で2人はとても上手だとひなは評価する。大谷選手は爽やかなタイプで、笑顔と優しい雰囲気で人に接するから、みんなが静かに聞いてくれる。川崎選手はエネルギーで話すタイプで、明るく面白そうだから、みんながうなずきながら聞いてくれる。コミュニケーション以前の姿勢、表情、明るさが大事で、それがあるから英語が完璧でなくても伝わるのだろう、とひなは述べる。

ひなは以前、高市総理の英語力にリアクションする動画も作っており、そこでも同じことを言っていたと振り返る。高市総理が一番うまいのは英語そのものではなく、笑顔やハッピーな雰囲気による「聞いてもらえる能力」だった。「結局そこなんやな」とひなは話している。

間違いを恐れずに話すこと

最後にひなは、英語の話というよりコミュニケーションの話になったと断りつつ、英語は言語でありコミュニケーションツールなので、非言語で伝える部分も同じくらい大事だとまとめる。すべて準備ができてからでないと話してはいけない、と思いがちだが、まったくそんなことはない。アウトプットが全てなので、自信満々に、間違ってもいいから話しまくってほしい、とひなは呼びかける。

ひなはここで、日本に来た観光客のたとえを出す。観光客が片言の日本語で頑張って話していても、日本人は「下手だ」とは思わず、むしろ「日本語を話していて偉い」と感心し、ちゃんと聞いてあげようとする。英語を話すときも、ネイティブは基本的にそういう姿勢で聞いてくれる、とひなは言う。

ただし留保もつけている。意地悪な人や態度の悪い人もおり、日本よりは遭遇しやすいだろう、とひなは話す。それでも大半の人は完璧でない英語でもちゃんと聞いてくれる。意地悪な人に当たってしまったら、それは仕方がないので次に行けばいい。ひなが最も大事だとするのは、たくさん話し、たくさんアウトプットし、失敗を恐れないことだ。2人のように話したい、外国の人と笑い合いたいと思うなら、彼らのコミュニケーションがなぜうまくいくのかを意識しながら普段の勉強に取り組んでほしい、とひなは締めくくっている。