ぼる塾・田辺智加さんの手持ちコスメで作る「大人の60sピュアピンクメイク」――小田切ヒロが教える、目的から逆算するメイク

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概要

ヘア&メイクアップアーティストの小田切ヒロさんが、ぼる塾の田辺智加さんの「秘密のお茶の部屋」を訪ね、田辺さんのメイクポーチの中身を中心にフルメイクを施した回である。田辺さんは良いコスメを持っているのに使いこなせていない。小田切さんはこれを「宝の持ち腐れ」と呼び、道具の使い方と、それ以前にある「どうなりたいかを決める」という考え方を実演しながら説明していく。仕上がりのテーマは、田辺さんが着ていたギンガムチェックのワンピースに合わせた、60年代風の大人可愛いピンクメイクである。

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行動力を褒めるところから始まる

冒頭で小田切さんは、田辺さんの行動力を評価する。小田切さんが紹介したお菓子を取り寄せでは待ちきれず、店まで食べに行った。一人で香港旅行を計画し、航空券もホテルも自分で手配した。前日には香港ディズニーの年間パスまで買った。田辺さんのこうした話に対し、小田切さんは「お茶の部屋を作りたいから作る、甘いものを食べたいから食べる」と自分の欲求に対して実際に動ける人は今の時代に貴重だと話した。そのうえで「褒めるのは始めだけ、ここから厳しく行く」と宣言し、レッスンに入る。

「眉毛だけのメイク」は存在しない

田辺さんの最大の悩みは眉毛だった。どう描けばいいか分からず、一度全部生やしたままにしたこともある。テレビの仕事ではメイクさんがいるので眉を描かずに現場へ行くこともあるが、自分で描けるようになりたいという。

小田切さんはまず、この悩みの立て方そのものを変えるよう求めた。眉毛というパーツ単体のメイクはなく、どんな雰囲気のメイクにしたいのか、どんな雰囲気の人になりたいのか、さらに言えばどんな人生にしたいのかが先にある。そこに合う眉毛を考えるのだという。目的地を自分の中で明確にし、相手に伝えられるようにしてから、細かなディテールに入る。

具体的には、メイクさんに「このラブリーな洋服と私の顔にマッチングした眉毛にしてください」と伝えればよい、と小田切さんは田辺さんに復唱させた。目指す美しさを伝えられると、メイクさんも作りやすくなり、「自分のスパイスも入れてあげよう」という気持ちが生まれる。その結果、本人のポテンシャル以上の眉毛になる、というのが小田切さんの説明だ。さらに、香港の一人旅で素敵な男性に出会えるようにという「願掛け」まで込めてよい。「美に上限はない」ので、とにかく情報を盛り込んで伝えればいいという。この日のメイクは、その願いを込めて進められた。

ポーチの中身から見えるもの

田辺さんは、視聴者が真似しやすいもの、買いやすいものを意識してポーチを用意した。ダレノガレ明美さんのブランドCAROME.の化粧水に、SHIGETAのゴールデンドロップスを混ぜて使っている。LOVE BOATのポーチも入っていた。田辺さんは42歳、小田切さんは44歳で、二人ともLOVE BOAT世代だ。どちらも高校生の時に持っていた。今はリバイバルしてギャルに人気があり、マルキューで売っていたのを見つけて、ぼる塾の4人で色違いを買ったという。

ほかにはMACのリキッドハイライターとファンデーション、韓国に行った時に買ったCLIOのアイパレット、MAKE UP FOR EVERのHDスキン エッセンシャルパレット、SUQQUのシアー ルース パウダーが並ぶ。SUQQUのパウダーを田辺さんは顔にしか使っていなかった。小田切さんはこれを「洗練と清潔感を取り込める魔法のパウダー」と呼び、顔だけではもったいないので今日は特別な使い方をすると予告した。

アイシャドウは多く、キャンメイクなどのプチプラ、ラグジュアリーブランド、紗栄子さんのレビューで知ったもの、プロデュースブランドが混ざっていた。小田切さんは、ポーチを見るとその人の性格が分かると言う。田辺さんのポーチは大人の洗練、遊び心、少しのギャルがバランスよくミックスされていると評した。MAKE UP FOR EVERのラベンダーのプレストパウダーを愛用していると聞くと、「分かってる人」とも言った。本人は計算せずに選んでいるが、芸人として現場での立ち回りを意識するプロフェッショナルさが、選ぶ基準にも出ているのではないか、というのが小田切さんの見立てだ。

リップについて、田辺さんは何が似合うのか分からず、ずっと浮いている感じがすると悩んでいた。MAKE UP FOR EVERのサーモンベージュ系ヌーディピンクなど2色だけは自分でも良いと思えるという。小田切さんは、似合う理由と似合わない理由を突き止めたことがあるかと尋ねた。この色が似合うのは田辺さんの唇の色に近いからで、似合わない色があるのは「似合わせていないだけ」だと説明した。そのため、突然違う色を持ってくるより、いつもの色をさらに素敵に見せる付け方を教えると述べた。

眉はLove Linerのペンシルで描いていた。小田切さんによれば、問題は形ではなく色にある。グレージュ系の色が田辺さんの顔では浮いてしまい、合っていない色で一生懸命描いている状態だという。この日はブラウン系を使うことになった。

スキンケア:手のひら全体で、温めて、下に引っ張らない

スキンケアは田辺さん自身にやってもらい、小田切さんが指導した。田辺さんは化粧水を手に取り、オイルを混ぜて好きな香りに変えてから使う。

小田切さんの指示は明確だ。下に向かって動かさない。横にも引っ張らず、上に持ち上げる。多くの人が下に向かって塗っているから顔が下がるのだという。指先だけではなく手のひら全体を使う。小田切さんは、どんな美顔器よりも優れた美顔器が「手」であり、手を適当に使っているからガジェットに頼ることになって綺麗にならないのだと話す。力を入れて押し込むのではなく、好きな人に触れるように優しく包み込み、手の温度で馴染ませる。角質を潤し柔らかくするには体温も必要で、指先で適当に済ませると「適当な肌になる」と言った。乳液も同じく、人肌に温めてから使う。

姿勢についても指摘があった。田辺さんはずっと下を見ていて、下を見ると疲れたネガティブな気持ちになる。どんなに辛い時でも、顎を上げて斜め45度を見るだけで少し上向きになれるという。首まで温め、首を上げて圧をかけると流れるようになるとも付け加えた。

下地の前に「表層を取る」、毛穴には行ったり来たり

ここから小田切さんが手を入れる。スキンケア直後の肌はつるつるで綺麗に見えるが、触るとぬるっと滑る。この上に下地を塗ると、どんなに良い化粧品でも必ず崩れる。そこで表面に残った分を、拭うのではなく押さえるようにして取る。肌がぷりっとしていながら、少し引っかかる状態になってから次に進む。そうしないとファンデーションが全部取れてしまうという。

最初の下地はMACのスタジオ フィックス マッティファイン シャイン コントロール プライマーで、皮脂を吸着する効果がある。田辺さんの肌は毛穴やキメが乱れている部分があり、指でさっと乗せただけでは表面についているように見えても奥までフィットしない。小田切さんはブラシを使い、一方向ではなく行ったり来たりさせて毛穴の中に入れ込んでいった。毛穴の向きに応じて方向も変える。

この下地を塗るのは、キメが乱れている場所、毛穴のある場所、油分が多くニキビのある場所、光りやすいおでこに限った。頬の外側はキメが乱れていないので塗らない。何のための下地なのか、目的と効果を理解していなければテクニックは使えない、と小田切さんは強調する。さらっとさせることでキメと毛穴が整い、ファンデーションがぴたっとくっつく。この下地はまぶたに薄く塗ればアイシャドウベースにもなり、アイシャドウが長時間綺麗に保つという。田辺さんはこれまで指で塗るだけで、この使い方は知らなかった。

トーンアップ下地は「ビューティスポット」にスピーディに

二つ目の下地、MACのグロー プレイ ライトフル C3 トーンアップ プライマー(SPF50+)は、田辺さんが自分で塗ってみた。ここで細かな指摘が続く。手に取ったら、手のひらの中できちんと混ぜ合わせないとバランスが悪くなる。指は中指ではなく薬指を使う。指で塗る時は温めてから。

田辺さんがおでこから塗り始めようとすると、小田切さんは止めた。最も美しく見せるべき場所は、頬の中央あたりの「ビューティスポット」だという。どんな顔型、どんな肌色の人でも、ここが綺麗なだけで顔全体が綺麗に見える。

この下地はすぐにぴたっと固まるので、指でちょこちょこ塗っていると間に合わない。小田切さんはブラシでスピーディに広げ、すぐにスポンジでタッピングした。これで「時短ビューティ」になる。肌が元々綺麗な人なら塗りっぱなしでもよいが、キメを整えたり毛穴をフォローしたりした肌は下地がすぐ密着するので、塗ったら瞬間的にタッピングするという。仕上がりは触ってもついている感じがないほど薄い。

小田切さんは日焼け止めの観点も付け加えた。SPF入りの下地は肌にぴたっとくっついていないと、ずれたところから紫外線が入る。だから日焼け止めこそスピーディに密着させることが重要で、「つけているつもり」の人が多いという。おでこは中央から外側へ薄く広げ、すかさずタッピングする。首は面積が広いので、ブラシではなく手に取って両手で一気に塗るとよい。

ファンデーション:量は少なく、MACの「バックステージ」発想

MACのスタジオ ラディアンス セラム ファンデーションも、まず田辺さんが試した。美容成分が多いので、指で温めて人肌にすると肌につきやすくなる。点で置く量はもっと少なくてよく、引っ張らずに薬指と中指で優しくタッピングする。ただし、セミマット仕上がりのこのファンデーションもすぐ乾いて密着するので、指では時間がかかりすぎる。

そこで下地と同じブラシを使う。小田切さんは、MACはバックステージから生まれたブランドで、スピーディに仕上がることがコンセプトになっていると説明した。ブランドのコンセプトまで知るとコスメ好きにはさらに面白くなる、とも話した。ビューティスポットにトントンと置き、そこから外側へフェードアウトさせる。鼻の周りはくるくるとなじませ、すかさずタッピングして大まかにカバーする。小鼻の際の毛穴には、それまで寝かせていたブラシを立て、行ったり来たりさせると毛穴が目立たなくなるという。

田辺さんが自分でやる番になると、小田切さんは「私の顔を見ないで、鏡を見て」と言った。腕の力を抜き、好きな人をイメージし、鼻歌を歌うくらいリラックスするよう促した。

コンシーラー:目の下の黒さは「影」、だから肌色で

田辺さんはコンシーラーをすべて指で塗っていて、色の選び方もよく分かっていなかった。クマはあまり気にならず、気になるのは吹き出物だという。

小田切さんは肌色に合う色を選び、指の代わりになる「フィンガーブラシ」で優しくトントンと置いた。タッチが強いとコンシーラーは剥がれるので、優しくないとつかない。目の下については、田辺さんの目元の黒っぽさは色素の黒ではなく立体による影の黒だと小田切さんは見る。そのため色で打ち消すのではなく肌色で整え、残った影は後からハイライトで飛ばす。鼻筋の立体もきちんと残っている。小田切さんはここで再び「宝の持ち腐れ」という言葉を使い、宝がたくさんあるのに使いこなせないのは、素敵な人が目の前にいるのにチャンスを逃すのと同じだと例えた。

ハイライトと「美人カラー」、そして涙袋

MACのリキッドハイライターでは、田辺さんがまたビューティスポットに塗ろうとした。小田切さんはこれを訂正する。ハイライトは高いところを高く綺麗に見せるためのものだ。ビューティスポットはすでにグロータイプの下地で明るく仕上がっている。そのため、ハイライトを乗せるのは頬のトップの高い部分だけでよい。量は田辺さんが取った分で正解だった。温めてから、小鳥が逃げないくらいのタッチで置く。小田切さんはここで、まず自分を愛し丁寧に扱うこと、そこから人を愛せるようになることにも触れた。

続いてMAKE UP FOR EVERのエッセンシャルパレットから、小田切さんが「美人カラー」と呼ぶ明るい色を使った。鼻の中心にちょんちょんと置き、上下に広げる。鼻の中心がすっと通ると洗練された印象になるという。

さらに小田切さんは、今の世の中の人が欲しがっているものが田辺さんの顔にあると言った。田辺さんが「涙袋」と答えると正解だった。涙袋を隠すのではなく生かすため、細いブラシで涙袋のふくらみに沿って一筋入れる。これだけで目元が明るくなり、元々あった彫りの影がむしろ立体感として働くようになる。小田切さんは、これは嘘をついているのではなく元々の骨格を生かしているだけだと説明した。田辺さんの骨格は正面から見るとかなりシンメトリーで、42歳でシンメトリーを保つのは難しく大体みんなずれてくるとも話した。自分自身の個性と骨格を出すことが一番の美人だという。

パウダー二種の使い分け:プレストは部分に、ルースは全身に

MAKE UP FOR EVERのHDスキン プレストパウダーは、田辺さんも愛用している一品だ。毛穴が開いている今の状態でくるくる動かすと、えぐれたようになる可能性がある。そのためキメが乱れている部分はタッピングし、顔の外側は滑らせてよい。眉毛の中に入れると皮脂を吸着して眉の持ちが良くなる。首にはパフでつける。夏場などはもみ上げが汗でぺたっとなると不潔に見えるので、パウダーでふわっとさせると清潔感が加わる。仕上がると、先ほどまであった赤みやくすみが消えて透明感が出た。小田切さんは、これもすべて田辺さん自身のアイテムだと念を押した。

SUQQUのシアー ルース パウダーについて、田辺さんのパフは汚れていた。小田切さんは、そういうリアルさがいいと笑いつつ、購入時は専用のパフもセットで買ったほうがいいと勧めた。このパウダーはパフにたっぷり取り、まず生え際につける。前髪の有無にかかわらず、生え際が油っぽくぺたっとしていると不潔に見える。ツヤ肌でもマット肌でも、ここがさらっとしているだけで清潔感が増すという。眉毛のある部分にもつける。汗をかきやすい首、服が触れる部分につけると汗じみを軽減できる。ネックレスが肌に張り付くのも防げて、アクセサリーが軽やかに見える。小田切さん自身はこれを全身に使っているという。

小田切さんの説明では、プレストパウダーはポイントで使うためにプレストされていて少量しか取れない。ルースパウダーはふわっとしているのでたくさん取れる。そのため広い範囲に使える。田辺さんはこのパウダーを、何も知らずに買っていた。本当は同じブランドの日焼け止めを買いに行ったのに、なんとなく惹かれて手に取ったという。小田切さんは、それはビューティ感度が高いからだと評した。

アイシャドウ:グレーのベースでピンクを大人に

田辺さんは普段アイシャドウを指でつけていて、指圧が強いことがパレットの減り方で見抜かれた。小田切さんによれば、プレストされたラメも、指でつけるかブラシでふわっとつけるかでラメの立ち方が変わる。この日は田辺さんが買ってきたキャンメイクのシルキースフレアイズ(マットタイプ)M02 チャイブリックを使った。田辺さんは赤みのある色が好きだが、普通の茶色のほうがいいのか迷っていた。

小田切さんが示したのは、どんなアイシャドウでも腫れぼったく見せないためのベースだ。MAKE UP FOR EVERのエッセンシャルパレットにあるグレー系の色を、ファンデーションブラシでアイホール全体に広げる。これだけで彫りが出る。まぶたが腫れぼったい人や肉厚な人は、これをベースにすれば膨張色のピンクを乗せても深みが出る。塩分の取りすぎや飲み会の翌日にまぶたが腫れた時にも使えるという。グレーの上にピンクが乗るので甘さが調和される。40歳を超えた田辺さんには、可愛いだけより大人のニュアンスを入れた「大人可愛い」のほうが合うと小田切さんは説明した。

キャンメイクのピンクは、まずまつ毛の際にトントンと置く。小さいシャドウブラシでワイパーのように動かす方法もあるが、それにはテクニックが必要になる。小田切さんはブレンディングブラシで上までふわっとぼかし、グラデーションを作った。下まぶたもピンクで囲む。先ほどハイライト系のコンシーラーを入れた涙袋の上に重ねると、涙袋がさらにぷっくり見えるという。下は少しブラウンを混ぜ、目尻が濃く徐々に薄くなるようにした。

仕上げに、濃い色を目尻3分の1にシャドウラインとして入れる。ブラシを立ててすっと入れるだけで、「色がある」と見えるところまでは入れない。色を感じさせる程度で止める。今日は好きな人に向けたメイクなので、ときめきの高揚感を出すのが狙いだという。田辺さんは、これまではボンボンとガツンと色を入れていたと振り返った。

ラメは「ジュエリー」、アイライナーは今日は引かない

ラメはチップのようなブラシで、黒目の上の真ん中だけにちょんちょんと置き、指で少し上へぼかすと自然な抜け感が出る。田辺さんは、真ん中だけと頭では分かっていても、足りない気がしていつも欲張ってしまうと打ち明けた。小田切さんは、きらめきは欲望の塊で、それをどう抑制し、どれだけの加減にするかにメンタルが出ると言う。アクセサリーも付けすぎればトゥーマッチだがポイントで輝けば素敵である。だからラメはジュエリー感覚でつけるとちょうどよくなる。

アイライナーについて、田辺さんはCAROME.のブラックのリキッドを使っていて、強く引いてしまうという。小田切さんは、仕事の時はブラックでいいが、恋を始める時はブラウンに落としてほしいと言った。黒は「攻めの色」だからだ。田辺さんはブラウンを持っていなかったので、この日はアイライナーを省いてまつ毛に進んだ。

つけまつ毛の今:「ついているのに、ついている感がない」

マスカラでバサッとさせるのではなく、繊細でピュアなまつ毛にするため、小田切さんはポイントでつけまつ毛を使った。田辺さんはギャルだった頃、つけまつ毛を2.5枚重ねていた。二人はMACの7番が定番だった平成時代の話で盛り上がった。

今回使ったHANAKOKOのFluffは、あらかじめ小さく切り分けられていて、貼るだけで使える。昔のつけまつ毛は自まつ毛の上からつけたが、これは自まつ毛の下(内側)からつける。これが今のトレンドだという。重さもついている感じもなく、夜の洗顔まで取れない。田辺さんはつけまつ毛は使わないと思っていたが、これは良いと話した。小田切さんによれば、今はどのブランドからもこのタイプが出ている。つけまつ毛はバレてはいけない時代で、まつ育をしながら使うこともできる。頑張っているメイクより、頑張っていないのに意思があり、抜け感がある目元のほうが今っぽく美しいというのが小田切さんの考えだ。

下まつ毛にはHANAKOKOのAmberを1本ずつつけた。下まつ毛をマスカラで作ると汚らしく見えることがあるが、1本ずつつけられるものなら束感が出て60年代風にも見える。田辺さんの服はややドラマチックで少女漫画のような要素がある。まつ毛にもその要素を宿すことで、服とリンクさせるのだという。最後にdejavuのマスカラで自まつ毛とつけまつ毛を馴染ませた。小田切さんは、田辺さんの黒目が綺麗なのに、これまではただ色を乗せていたので生かせていなかったと指摘した。骨格を生かし、色を馴染ませる層を重ねたことで黒目が輝いて見えるようになったという。

眉毛:「告白する」から、ぼやかさずに優しく

ここまでで「このお洋服に合った、恋をしている少女風」の目元が仕上がった。眉毛はそれに合わせて作る。小田切さんは改めて、世の中の人は眉毛単体のメイクをしてしまうが、服やストーリーに合った眉を作ることが素敵な眉毛になるのだと話した。

まず眉の軸になる「ガイド」を作る。色は、まつ毛(黒目)の色と髪の毛の色の中間を取るとバランスが良くなる。雰囲気は柔らかくしたいが、色を柔らかくするのではなく、意思のある雰囲気にしたい。理由は「告白するかもしれないから」だ。小田切さんは田辺さんに「素敵な方がいたら告白をします」と宣言させた。だから眉はぼやっとさせず、優しく見せる。形は少しアーチを描く。使ったのはKATEのデザイニングアイブロウ3Dである。

描きながら小田切さんは、田辺さんの眉は毛の生え方こそ左右で違うが、骨格がシンメトリーなので非常に描きやすいと話した。ただ、筋肉の凝りや肉のつき方で左右差が出るので、描き方の調整は必要だという。自分の骨格を知ることが重要だとも述べた。

小田切さんは「眉毛は人生」とも言う。眉をおざなりにしている人は、おざなりな生き方をしていると見られてしまう。本当にネガティブな時は眉が適当になりがちで、逆に「こう生きる」と決めた時から眉が丁寧になるという。仕上げに、田辺さんが持っていなかったアイブロウジェル(espoir ザブロウ ラミネーティングジェル)を使った。透明のジェルで眉の毛にツヤとハリ・コシを出す。眉も髪と同じ毛なので、色や形だけでなく毛の質感を生き生きさせることが大切だという。

チーク:シャープに、近くで見て分かるほてり

チークの前に、小田切さんは顔をどう見せたいかを尋ねた。田辺さんの答えは「シャープ」だった。チークは暖色系で膨張色なので、広く入れると可愛いが顔も広く見えてしまう。そこで極力シャープに見えるように入れる。今の雰囲気は60年代風なので、まず頬の中心に入れて少しほてったピュアな印象にし、そこからトップへトントンと重ねた。

小田切さんは、遠くから見てドラマチック、近づくとほてって少し恥ずかしがっているようなピュアさが見える仕上がりだと説明した。田辺さんが「人とこんなに近づくことはない」と言うと、小田切さんは「キスする時」と返した。今回は恋の告白が前提で、告白の後に顔が近づいてくるかもしれないからだという。

リップ:コンシーラーで削り、ライナーで足す

最後はリップだ。小田切さんは、田辺さんの唇の色は元々とても綺麗だと言う。一方で正面から見ると上唇と下唇が1対2の比率で上唇が薄く、上唇の口角が下がっている。そこで、まず下がった口角部分を削り、上唇をふくらませるとバランスの良いセクシーな唇になるという。

削るのにはMAKE UP FOR EVERのパレットの、肌色に合う色を使った。小田切さん自身も、唇が下がっている人や唇の幅が気になる人はコンシーラーで削ってしまうという。唇にファンデーションを塗るのは抵抗があるかもしれないが、塗ってはいけない理由はない。口角をあたかも肌であるかのように見せると、唇が上がって見える。

次にCLIOのベルベットリップペンシル 01 ROSY PINKで上唇にボリュームを出した。下唇も削りっぱなしにはせず、削ってぼやけた輪郭をライナーで取り直す。唇の位置と口角が上がった印象になり、リップライナーにはこうした補正効果があるので、唇の形を自由にコントロールできると小田切さんは言う。愛の告白は口からするもので、口元が美しいだけで言葉に説得力が生まれる、とも話した。

ポイントは、輪郭を取った後に唇の内側もライナーで塗りつぶすことだ。そうすると唇の色が均一に見え、上からリップを重ねた時の持ちも良くなる。その上に田辺さんの愛用色、MAKE UP FOR EVERのアーティスト リキッド カラー マット 214を重ねた。ライナーの上から塗ると色が均一につき、リップが取れてきても落ちにくいという。仕上げはDiorのアディクト リップ グロウ オイル。透明でプランプ効果があるので、ぷっくり見せるために唇の真ん中だけに乗せた。

完成:姿を変えたのではなく、素材を生かした

完成した顔について、小田切さんは目元、眉、唇に統一感があると話した。ポニーテールにしてローラースケートを履けば、60年代の美女が現代に降り立ったようになるという。小田切さんによれば、ギンガムチェックのワンピースは、60年代にローラースケートを履いて食事を運ぶ女性たちが流行した時代を思わせる。そうした歴史のアーカイブまで感じさせるのがファッションだという。ただし今は2026年なので、ヘアスタイルは2026年風にして、メイクをさらに引き立てる予定だと話した。

仕上がりを見た田辺さんは「やばい」「引き出されすぎちゃって」と驚いた。小田切さんは、メイクで姿形を変えたのではなく田辺さんの素材を生かしただけだと強調した。今回は、服に合った雰囲気、これから恋の告白をする準備、そして田辺さんが好きだと話していたピンクを組み合わせ、大人可愛いピンクで田辺さんらしさを引き出したという。

使ったのは、ほとんどが田辺さんのいつものコスメである。小田切さんは、田辺さんは美容にも一生懸命で良い製品をたくさん持っているのだから、なんとなくではなく「どうなりたいか」という目的とイメージを持ってメイクしてほしいと話した。そうすれば今日のルックとは違う田辺さんも引き出せるので、これからもメイクアップを追求してほしい。この言葉でレッスンは締めくくられた。