年代別に考える美容医療の「やるべきこと」と「やらなくていいこと」――友利新が医学的ロジックで整理する

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概要

SNSでは「美容垢」と呼ばれる発信者が「この施術がいい」「顔がひと回り小さくなった」と紹介し、情報があふれている。医師の友利新は、それを見た人が「どれを受ければいいのか」「これを受けないとダメなのか」と迷っていると指摘する。そのうえで、20代、30代、40代、50代以降のそれぞれに「本当にやった方がいい美容医療」と「やってはいけない美容医療」があるとして、医学的な理由とともに年代ごとの考え方を示している。

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20代:エイジングケアより肌の土台づくり

友利によれば、20代にはエイジングの悩みはほとんど出てこない。20代で気になるシミは、多くが元からあるそばかすだ。光老化で起こる老人性色素斑は、よほどのことがない限り20代には出ないという。表情じわはあるかもしれないが、加齢による細かいしわも基本的にはないとしている。

20代でも「たるんでいる」と悩む人は多い。友利は、これは皮膚が伸びているのではなく、脂肪のボリュームが多くて二重顎などになっているケースだと説明する。純粋に皮膚が加齢で下がっていることは基本的にないという。そのため、20代で積極的にエイジングケアをするのは早いというのが友利の考えだ。この時期にやるべきことは肌環境のケア、つまり土台づくりだとしている。

友利が「絶対にやっておいた方がいい」と挙げたのは、ニキビがあればその治療をすることと、脱毛などの基本的な治療である。ニキビ治療の一環として、毛穴の治療が入ってくることもある。ニキビを放置してニキビ跡やクレーターになると、治すだけで大きな時間とお金がかかる。クレーターにならなくても色素沈着が残る。こうした理由から、友利は20代のうちに必ずニキビ治療をするよう強く勧める。保険診療で対応できないものを美容医療で補う、という考え方でよいという。

20代に取り入れたい具体的な施術

友利が20代向けに挙げた一つ目は、適度なピーリングである。肌質にもよるが、ニキビの原因の一つは角層が厚くなることにある。そのため、ニキビがある人や皮脂が多く毛穴が気になる人には、サリチル酸のように皮脂があっても角層まで浸透するものでのピーリングが向いているという。

二つ目は、美容成分を肌に届けるエレクトロポレーションである。これだけでも肌はかなり違ってくると友利は話す。ほかに、顔の脱毛レーザーも挙げた。

さらに、韓国などで話題の「LDM水玉リフティング」も紹介した。友利の説明では、超音波で細胞を振動させ、コラーゲンを分解する酵素を抑えたり、コラーゲンの産生を促したりして、細胞レベルで肌を整える施術だという。水分を抱え込むグリコサミノグリカンのような成分を増やす働きもあるとされる。これを定期的に受けて肌の水分量を増やすのがよいとしている。

そばかすが気になる場合は、IPLという光治療で対応する。友利は、20代ならこれだけで本当に十分だとまとめた。

20代のHIFUに否定的な理由

20代で気をつけるべき施術として友利が挙げたのがHIFUである。顔がもたついたらHIFU、という風潮があるが、友利は20代が受けることには正直ネガティブだと述べた。

友利によれば、20代が気にするたるみの9割以上は、皮膚のたるみではなく脂肪のつき方によるものだ。HIFUは、筋膜にあたるSMASという層に熱による傷を作り、引き締める施術である。ボリュームが多い人の場合、いくら引き締めても引き上がることはない。つまり、悩みの原因とHIFUが働きかける層がまったく違うというのが友利の指摘だ。

友利はこう説明する。ボリュームが多いなら、ボリュームを減らす施術は必要かもしれない。一方、皮膚にハリがあればたるみは起こらない。20代はもともとハリがあるので、皮膚の奥に働きかけるHIFUではなく、LDMやエレクトロポレーションのようにハリを保つ施術で十分だという。

HIFUを繰り返すと、大切なコラーゲンまで壊してしまうとも友利は警告する。若いうちは再生できるが、回数が多すぎると再生が追いつかなくなる。そのため、20代は今あるコラーゲンを増やすLDMやRFを選ぶべきだとしている。どうしてもHIFUを受けたいなら、大事なイベントの前に1回だけでよいのではないかというのが友利の意見である。あわせて、急激な体重の増減を避けることも重要なポイントに挙げた。

30代:シミ治療とハリ・たるみの予防

30代は初期のエイジングが始まる時期だと友利は位置づける。この年代の美容医療の中心は、シミ治療と、ハリの維持やたるみの予防である。

30代になると、紫外線ダメージによるシミが出てきて、肝斑も出やすくなる。友利は、ここから本格的なシミ治療を始めるよう勧める。光治療のIPLがよいが、シミと肝斑はどちらか一方だけではなく重なっていることが多い。そのため、トーニングとIPLを一緒に行う必要があるという。

もう一つの柱がコラーゲンである。30代は、柔らかいコラーゲンであるIII型コラーゲンが減ってくる時期だと友利は説明する。これを増やす施術として、ロングパルスのヤグレーザーであるジェネシスや、同じくロングパルスヤグレーザーの機器「エクセルV」を挙げた。これらはシミの改善にもハリにもつながるという。さらにボリュームを減らしたい場合は、RFを加えるのがよいとしている。

30代の注入治療:ボトックスは始めどき、ヒアルロン酸は慎重に

友利は、30代は注入治療の始めどきでもあると話す。ボトックスは、表情でしわができないなら必要ない。しかし、眉間にしわを寄せる癖がある人や、驚いたときに額にしわが寄る人は、しわが定着しないよう、この時期から打っておくのもよいという。

一方、ヒアルロン酸注入については慎重な立場をとる。骨が小さくなっていく段階なら検討すべきだが、30代にはまだ骨の萎縮がない。よほど頬がこけている人でなければ必要ないというのが友利の考えだ。ヒアルロン酸を入れすぎて、いわゆる「ヒアル顔」になることもあると注意を促した。自分の顔のボリュームが多いのか少ないのかをしっかり見極めるべきだとしている。

30代で友利が勧める注入は、皮膚にハリを持たせるためのものである。リジュランなどのPN製剤を肌に注入し、たるまないようにしていくことは、この時期から始めてよいとしている。

40代:HIFUを組み合わせ、たるみの原因ごとに施術を選ぶ

友利は「40代はたるみがあって当然」と言い切る。30代から続けているトーニングやIPLは引き続き行う。シミができたら、Qスイッチのルビーレーザーやヤグレーザーやピコレーザーで、その部分だけをピンポイントで取る治療も続ける。

そのうえで、40代で大事になるのがHIFUである。20代には否定的だったHIFUを、40代では「必ず一緒に入れていく」と友利は話す。40代になると鏡を見てたるんできたとはっきり分かるようになるので、皮膚の奥の土台である筋膜からしっかり熱を入れて引き締めるのだという。コラーゲンの産生も促したいので、ジェネシスやエクセルV、RFも必要になるとしている。

友利がここでポイントに挙げたのが基底膜である。基底膜に異常があると、肝斑がひどくなったり、たるみが起こったりする。そのため、針を刺して基底膜付近に熱を与える「ニードルRF」も必要になってくるという。

友利は、たるみの原因によって施術を選び分けるべきだとしている。光老化によるたるみで、紫外線を浴びてシミも多い人にはニードルRFが必要で、コラーゲンを育てる意味ではジェネシスやエクセルVも使う。純粋にたるみだけが気になる人は、HIFUとRFの組み合わせでよい。

40代のボリュームロスとエラスチン

ただし、友利はそれだけでは40代のたるみ治療として十分ではないと話す。40代ぐらいから骨の萎縮が起こってくるからだ。ボリュームが失われた部分は、いくらレーザーを当ててもボリュームを戻すのは難しい。そこで、こめかみなど骨の萎縮が起きている部分には、ヒアルロン酸を多少入れるとよいという。30代では「まだ必要ない」としていたヒアルロン酸が、40代では骨の変化にあわせて選択肢に入ってくる。

もう一つ友利が挙げたのがエラスチンである。40代では、エラスチンの産生も大きく落ちる。友利によれば、コラーゲンは肌をしっかりさせる役割を持ち、弾力を担うのがエラスチンだ。エラスチンを増やすのは難しいが、「スネコス」という注入薬剤にはエラスチンを増やす働きもあるという。40代からはコラーゲンだけでなくエラスチンを増やすことも意識すると、弾力のある柔らかい肌になるとしている。

50代以降:順番を考え、ロジックを説明できる医師を選ぶ

50代以降は、ここまでに挙げた施術を繰り返し行っていく必要があると友利は話す。

50代から美容医療を始める人は、まずシミ治療をしたいのか、たるみ治療をしたいのかを見極めることが大切だという。ハリがなくてシミがある人は、基底膜が損傷していたり、コラーゲンの産生が減っていたりする。その場合は、いきなりシミ治療を始めるより、先に土台を育てた方がよいと友利は考える。具体的には、ジェネシスやエクセルVでハリを出し、RFでコラーゲンを増やし、スネコスでエラスチンを増やす。そのうえでレーザーを当てる方が実は近道だ、とも言われているという。

こうした施術の順番について、しっかりロジックを立てて説明できる医師のもとに行くべきだと友利は勧める。

50代以降の現実的な期待値

友利は、患者側の期待にも触れた。「こうしたいけれど、手術も注射も嫌」と言われると難しい場合があるという。機械でできること、糸でできること、手術でできることにはそれぞれ範囲がある。50代以降は、できることとできないことがはっきりしてくる。美容医療でできるのは、基本的に今を維持しつつ少し前の状態に戻す程度だと友利は話す。

SNSには劇的なビフォーアフターも出ているが、友利は、そうした人はもともとのポテンシャルが高かった面もあると指摘する。劇的な変化を望むなら、ダウンタイムを伴う施術も必要になるという。さらに50代以降は、体の内側から変えていくこと、つまり健康面も大事になるとし、それが最高の自分を保つことにつながると述べた。

結論:美容医療は魔法ではない

最後に友利は、機械を当てたり注入をしたりすればすべてうまくいく、という発信もあるが、そうではないと強調した。美容医療は魔法ではなく、その年代に必要なものを淡々と積み重ねていくものだという。何が必要で何が必要でないか、何ができて何ができないかを理解してほしいと友利は話す。そして、周りの情報に流されずに自分の肌と向き合い、しっかり説明してくれる主治医に出会うことを勧めて締めくくった。