単語を「頭・胴体・お尻」に分解して覚える:語源30個で語彙を推測する方法

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概要

attract、distract、contract の3語は、発音も形もよく似ているのに意味はまったく違う。attract は「引きつける」、distract は「気を散らす」、contract は「契約」である。話者は、こうした似た単語を根性で丸暗記するのは無駄だと言う。話者自身、勉強が大嫌いで暗記も苦手だったと話す。祖父のように昔の人の名前がすぐ出てくる暗記の得意な人もいるが、そうでない人のほうが苦労するはずだ、というのが出発点である。そこで話者が勧めるのが、単語を部品に分解し、語源から意味を推測する方法だ。動画ではこの考え方を説明したうえで、特に覚えてほしい語源を30個、例語と例文つきで紹介している。

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漢字の部首と同じ感覚で英単語を見る

話者はまず漢字を例に出す。「溺愛」という言葉の読み方や正確な意味を知らなくても、「溺れるほど愛している、つまりすごく好きという意味だろう」と見当はつく。さんずいがつけば水や海に関係しそうだ、木へんなら木に関係しそうだ、というように、100%理解していなくても何となく意味をつかめる。この感覚を英単語にも身につけてほしい、と話者は言う。英単語も漢字と同じように分解でき、それぞれの部分が意味を持っているからだ。

単語は「頭」「胴体」「お尻」の3部分でできている

話者の説明では、英単語は頭・胴体・お尻の3つに分かれる。

頭の部分は方向性を示す。distract なら頭は dis で、「離れる」「反対の方向へ」という意味を持つ。attract の頭は at で、「こちらへ」という前向きな方向を示す。

胴体の部分はメインの意味を表す。distract と attract はどちらも胴体が tract で、「引く」という意味だ。頭が方向を決めるので、distract は「反対へ引く」ことから「気を散らす」、attract は「こちらへ引き寄せる」ことから「魅了する」になる。

お尻の部分はある単語とない単語がある。distract も attract も動詞だが、名詞にすると distraction、attraction のように -tion がつく。お尻は名詞か形容詞か動詞かといった品詞を分けるものなので、話者はそれほど重要ではないと言う。単語をある程度理解するには、頭と胴体を見ることが大事だという立場である。

dis を知るだけで50語は推測できる

語源を知っていれば、見たことのない単語でも何となく意味がわかる状態を作れる、と話者は言う。例として dis を挙げる。connect は「つなぐ」なので、dis がつくと「切り離す」になる。disconnect from the Wi-Fi なら、Wi-Fi を切る、Wi-Fi から離れるという意味で使う。agree は「賛成する」なので、disagree は「反対する」だと瞬時にわかる。

話者によれば、日常英語やビジネス英語で dis から始まる単語は多くても100個ほどと言われている。dis が「離れる」「反対」「否定」の意味を持つと知っているだけで、少なく見積もっても50語くらいは意味を推測できる、と話者は見積もる。50語を一から覚える労力と、dis ひとつを知るだけで50語をおおまかに理解できることを比べてみてほしい、というのが話者の主張だ。

この動画の使い方

話者は視聴者に、単語を丸ごと、スペリングまで覚えようとするのではなく語源に注目してほしいと頼む。distract、disagree、disconnect を1語ずつ完璧に覚えるより、dis の部分を理解することが一番大事だという。ただし語源は dis、per、pro のように短く種類も多いので紛らわしい。ときどき動画を止め、メモを取りながら理解を追いつかせてほしいと付け加えている。以下、動画で紹介された30個を順に整理する。

頭につく語源(No.1〜9)

1. im(否定) possible(可能な)に im がつくと impossible(不可能な)になる。例文は "It's impossible to escape from the window."。perfect(完璧な)は imperfect(不完全な)、moral(道徳的な)は immoral(不道徳な、倫理に沿わない)、patient(我慢強い、落ち着いている)は impatient(せっかちな)になる。

2. ex(外へ、元の) port は港・運ぶなど貿易に関わる語で、export は「外へ運ぶ」から「輸出」になる。例文は "We export bikes to Canada."。ほかに exit(出口、出る)、exclude(除外する)、expand(外へ拡大する)が挙がった。

3. able(〜できる) これは単語の後ろにつく。use(使う)から usable(使うことができる)。例文は "Is this toilet usable?"。ほかに breathable、readable(読むことができる)、portable(持ち運ぶことができる)、reliable(rely は信頼する・頼るなので、信頼できる)が紹介された。

4. trans(移して、超えて) transfer は trans(超える)と fer(運ぶ)で「場所を超えて運ぶ」、つまり移す。例文は "Let's transfer the data to this computer."。transport(輸送する)、translate(翻訳する。言語を移し替えるイメージ)、transform(形を変える)も同じ仲間だ。

5. pro(前、賛成) progress は pro(前)と gress(進む)で「前に進む」、つまり進歩。例文は "I made a big progress from last year."。promote(昇進させる。ポジションを前へ上げていくイメージ)、propose(提案する)、proactive(積極的な)も挙がった。

6. com(共に、完全に) combine は com(共に)と bine(結ぶ)で、別々の状態から一緒になるように結ぶ、つまり結合する。例文は "Combine the ingredients into the bowl."。communicate、company も例として読み上げられた。

7. dis(反対、取り消し) agree(同意する)に dis がついて disagree(同意しない、反対する)。例文は "I disagree with that idea."。disappear、disconnect、dislike も挙がった。

8. per(完全に、通して) perfect の fect は「作る」で、「完全に作る」から perfect になる。例文は "The document I made today is perfect."。perform、persuade も同じ仲間として紹介された。

9. em(中へ、強める) employ は ploy が「使う」で、人を中に入れて使う、つまり雇う。例文は "We will start employing you from tomorrow."。empower、embed、emerge も挙がった。

胴体になる語源(No.10〜20)

10. act(行動) action を動詞化したのが act。例文は "Show me action, not words."。active、actor、react が挙がった。

11. port(運ぶ) import は「中へ運ぶ」、国の中へ運ぶので「輸入する」。例文は "This chocolate was imported from Belgium."。export、transport、portable も同じ語源である。

12. spect(見る) inspect は in(中に)と spect(見る)で「中を見る」、つまり調査する。例文は "We will inspect the crime scene."。respect、spectator、suspect も挙がった。

13. dict(言う) predict は pre(前もって)と dict(言う)で、前もって言う、つまり予測する。例文は "I can predict the weather."。dictate、contradict、verdict が続く。

14. scribe / script(書く) describe は de(詳しく)と scribe(書く)で、詳しく描く・話す、つまり描写する。例文は "Can you describe what she looks like?"。script、manuscript も紹介された。

15. cred(信じる) 話者はクレジットカードを例に挙げる。使った分を必ず払うという、銀行と個人の間の信頼のもとに成り立っているから credit なのだという。例文は "I got a new credit card."。credible、credential、incredible が挙がった。

16. duce / duct(導く) introduce は intro(中)と duce(導く)で、新しい人やアイデアを特定の場所や集団の中に連れ込むことから「紹介する」になる。例文は "Let me introduce you to my boss."。produce、conduct、product も同じ語源だ。

17. tract(引く) 冒頭で扱った attract がここで再登場する。at は「ある方向へ」、tract は「引く」なので、ある方向へ何かを引き寄せる。例文は "She is so beautiful that she attracts everyone."。distract、contract、extract が続く。

18. form(形) reform は re(再び)と form(形)で、形を作り直す、つまり改革する。例文は "Let's reform this rule today."。transform、uniform、formation も挙がった。

19. press(押す) express は ex(外へ)と press(押す)で、自分が思っていること、表現したいことを外へ押し出す、つまり表現する。例文は "I express my ideas on YouTube."。compress、depress、pressure が続く。

20. rupt(壊す) interrupt は inter(間に)と rupt(壊す)で、間に割って入って壊す、つまり中断する・遮る。例文は "Don't interrupt the fight."。erupt、corrupt、rupture も紹介された。

後半の語源(No.21〜30)

21. pose(置く) propose は pro(前に)と pose(置く)で、前に置く、つまり提案する。結婚の申し込みだけでなく、アイデアの提案にも使うと話者は補足する。例文は "I have a proposal for the party."。oppose、expose、compose が挙がった。

22. mit / miss(送る) permit は per(完全に、通して)と mit(送る)で、通して送ることから通過を許す、許可する、また許可証を指す。例文は "Do you have a permit to be on this property?"。submit、transmit、dismiss も同じ仲間だ。

23. vis / vid(見る) video は「見るもの」、つまり映像。例文は "I want to record the fight on video."。visible、revise、vision が続く。

24. struct(建てる) construct は con(共に)と struct(建てる)で、一緒に建てる、つまり建設する。例文は "Help us construct our new base."。ほかに destroy、structure、instruct が挙げられた。

25. fact(作る) factory は「物を作る場所」、つまり工場。例文は "Let's go visit the factory."。manufacture、artifact も紹介された。

26. fer(運ぶ) transfer は「乗り換え」の意味もあるが、trans(超えて)と fer(運ぶ)で、AからBへ超えて運ぶ、移動させる。例文は "He was transferred overseas."。refer、offer、prefer が挙がった。

27. tend / tens(伸ばす) attend は at(ある方向へ)と tend(伸ばす)で「向かう」という意味合いになり、参加する・出席するになる。例文は "I may not be able to attend the meeting."。extend、pretend、tension も同じ語源だ。

28. stand(立つ) understand は under(下から)と stand(立つ)で、下から支えて立つ、つまり理解する。例文は "I understand what you are saying."。withstand、outstanding、standard が続く。

29. path(感情、病) sympathy は sym(共に)と pathy(感じる)で、共に感じる、つまり共感。例文は "I have sympathy for you." と "It's important to have sympathy."。empathy、telepathy も紹介された。

30. cycle(円、回転) recycle は re(再び)と cycle(回す)で、もう一度回す、つまり再利用。例文は "We can recycle plastic bottles."。bicycle、motorcycle のほか、cycle 単体で「周期」の意味でも使うと話者は付け加えた。

忘却曲線と24時間以内の復習

最後に話者は、語源は簡単とはいえ似たものが多いので、動画を1回見ただけでマスターするのは難しいだろうと認める。そのうえで、この動画で伝えたかったのは、大事な語源を1つ覚えるだけで何となく理解できる単語の数が増えるということだとまとめる。

話者はさらに、エビングハウスの忘却曲線を引き合いに出す。話者の説明では、学んだ内容は20分後に42%、1日後には74%忘れてしまう。24時間以内に復習しなければ、今日費やした時間が無駄になる。一方で、24時間以内に一度でも復習すれば大半を忘れる事態は避けられ、復習を重ねるほど記憶は定着していくという。話者は、語源と例語・例文をまとめた復習用シートを用意したと述べ、隙間時間の10分だけでもよいから復習してほしいと呼びかけて動画を締めくくっている。