AIが人に聞く「AIインタビュー」とは何か 安野貴博が語る仕組みと自作ツールの運用

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概要

AIの使い方といえば、人間がAIに質問してAIが答える形が一般的だ。エンジニアでチームみらい党首の安野貴博は、この向きを逆にしてAIが人間に質問する「AIインタビュー」を、世の中ではあまり知られていないが非常に重要な使い方だと考えている。この動画で安野は、AIインタビューの位置づけ、Anthropicの事例、自身がバイブコーディングで開発中のツールの運用状況、そして今後の予想を語った。

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聞く部分とまとめる部分

安野によれば、AIインタビューにはしっかりした定義があるわけではない。安野自身は、AIが他の人間にインタビューして次々と話を聞いていくものだと説明する。一般にAIインタビューと呼ばれるものは、二つの要素を持っていると安野は見ている。一つは人に質問して話を引き出すやり取りの部分、もう一つは大量のインタビューで集まったログデータをAIでまとめ、そこから知見を抽出する部分である。

人間が人間にインタビューして知見を得ようとすると、一人の聞き手は一度に一人からしか話を聞けないので、手間が大きい。AIなら多くの人に並行してインタビューできるため、これまでよりはるかに幅広く、簡単に、早く、効率的に聞けるのではないか、というのが安野の考えだ。

アンケートと対面インタビューの中間

ただし安野は、現時点では人間が1対1で聞くほうがはるかに深いデータを取れると認めている。相手の奥底にある意見を引き出すところまでは、AIはまだ届かない。一方でAIインタビューは手軽なので、より多くの人に聞ける。

比較対象には通常のアンケート調査もある。安野によれば、AIインタビューは回答者にとってアンケートより負担が大きいので、人数ではアンケートのほうがはるかに多く集められる。ただしアンケートで聞ける内容は浅い。人数と深さにはこうしたトレードオフがあり、安野はAIインタビューを、アンケート調査と人間による1対1のインタビューのちょうど中間に生まれた新しい手法と位置づけている。

Anthropic Interviewerの事例

事例として安野が挙げたのが、Claudeを開発するAnthropicの取り組みだ。Anthropicは2025年12月、AIでインタビューを行うツール「Anthropic Interviewer」を紹介するブログ記事を公開した。このときは1,250人の専門家にAIについてさまざまな質問をし、その1,250人がどう考えているかをまとめたという。

安野は、世界の主要なAIラボを三つ挙げるならGoogle(Alphabet)のDeepMind、OpenAI、Anthropicだろうとしたうえで、そのAnthropicがこうした取り組みをしている点を評価した。

自作の「みらいAIインタビュー(仮)」

続いて安野は「半分以上自慢」と前置きしつつ、Anthropicの記事が出る前から、ほぼ同じようなツールを自分で作っていたと明かした。仮称「みらいAIインタビュー」である。AIがユーザーにインタビューし、特定の論点についていろいろな話を聞くという仕組みで、安野はこれを実験しながら運用してきた。安野の報告では、2025年10月以降、延べ1.5万人、合計7,000時間以上のインタビューをAIが行っている。

このツールは安野がバイブコーディングで作っているもので、本人は完成度はまだまだだと述べている。それでも、国会で質問するときや、提言書や政策を作るときに、有識者や当事者の意見を早く効率的に、より深く聞く手段として実際に役立っているという。

画面は普通のチャット形式だ。ユーザーは選択肢をクリックしたり、自由記述の質問に答えたりしながらAIと会話する。AIはユーザーの意見を「なぜそう思うのですか」といった問いも含めて深掘りしていく。

参加の敷居の低さも特徴だ。Googleフォームのように、リンクをクリックすればすぐにインタビューが始まる。安野は「このテーマに詳しい方はインタビューをお願いします」という形で自身のSNSからリンクを流したり、業界団体や当事者のグループにリンクを送ったりして参加を募っている。安野によれば、多いときには1日で1,000時間分ほどのインタビューがこなせる。従来なら、1人1時間としても1,000人を相手にする必要があり、とても実現できなかった規模だと安野は説明する。

モデルとプロンプトの開示

運用上の工夫として安野が強調したのは、インタビューに使っているAIのモデルとプロンプトをすべて公開していることだ。どのモデルにどんなプロンプトを入れたAIと話しているのかは重要な情報だと安野は言う。

その理由として安野は、AIは政治的に中立ではまったくないという点を挙げた。どんなインタビュアーにも政治的な偏りは必ずある。そのため回答者が、自分がどういう偏りを持つ相手からインタビューを受けているのかを知りたいと思ったときに確認できるよう、モデルとプロンプトを開示する設計にしているという。

多数派の判定には使わない

注意点として安野は、AIインタビューに大勢が答えたからといって、その中で多かった意見を全体の意見とみなして方針を決めると、偏りが生じる可能性があると指摘した。

そのため、みらいAIインタビューでは意見ごとの量ではなく幅に注目している。これまで見落とされていた論点がないか、意見にどれくらいの幅があるかを確かめる用途で使っているという。

予想:ビジネスで暗黙知を引き出す道具に

安野はAIインタビューについて、研究や政治・政策の分野で使えると考えている。そのうえで「未来プチ予想」として、ビジネスでも大いに使われていくのではないかと述べた。

AIが人間の知見を聞き出せるようになれば、タスクをこなす途中で足りない情報をAI自身が人間に尋ねて補えるようになる。たとえば社内に「この人しか知らないこと」が多くある場合、AIがその人にインタビューし、得た知見をもとにエージェントが代わりに仕事をする、といったことが可能になると安野は見る。一度話せばAIが理解してくれるので、知見を持つ本人も同じ説明を何度も別の人に繰り返さずに済む。安野はこれを、暗黙知だったものを形式知にすることだと説明し、AIインタビューの仕組みが社内で盛んに動いている世界は意外と早く来るのではないかと予想した。

採用面接への応用

安野はさらに、インタビューは日本語にすると「面接」にもなると指摘し、企業の採用にも使えると話した。実際にAIで面接するプロダクトはすでにいろいろ出てきているという。安野自身も、本業のチームみらいでAI面接を導入していくつもりだと述べた。

なお安野は、自身のSF小説『松岡まどか、起業します』(プロット作成は2023年4月、執筆完了は2024年4月、刊行は2024年7月)にAI面接のプロダクトが登場すると紹介した。プロットを書いた当時に思い描いていた技術水準に、2026年ごろ追いついてきたと安野は考えているという。

結び

安野は、AIインタビューという概念は今後さまざまな場所で目にするようになると考えており、視聴者にこの言葉を覚えておいてほしいと呼びかけて話を締めくくった。