イーロン・マスク「36か月以内に、AIを置く最も安い場所は宇宙になる」――電力、チップ、ロボット、そして政府
Dwarkesh Patelポッドキャスト司会者のドワーケシュ・パテルと、もう一人の聞き手ジョンが、イーロン・マスクに約3時間話を聞いた。軸になった問いは、AIの計算資源を今後どこまで、どうやって増やせるのかである。マスクの答えははっきりしていた。地上では電力がすぐ足りなくなる。スケールできる場所は宇宙しかない。さらにその先の障壁はチップ製造になる。対話はそこから、xAIの使命とアラインメント、Optimusの量産、中国との競争、SpaceXの経営、DOGE、そして巨大半導体工場構想「TeraFab」へと広がっていった。
地上のデータセンターが抱える問題は電力だ
聞き手はまず反論から入った。データセンターの総保有コストのうち、電力はわずか10〜15%にすぎない。宇宙に移して電力を安くしても、コストの大半はGPUが占める。しかも宇宙ではGPUの保守が難しく、減価償却期間も短くなる。それでも宇宙に置く理由は何か、という問いである。
マスクは、問題はコストの比率ではなく電力の供給量だと答えた。中国以外の電力供給はほぼ横ばいで、中国だけが急増している。一方、チップの生産量は急速に伸びている。電力が増えないなら、チップをどうやって動かすのか。マスクはこれを「電気の妖精でも呼ぶのか」と皮肉った。
ソーラーで1TWを賄う場合、設備利用率は25%なので4TW分のパネルが要る。これは米国国土の約1%にあたる。しかも地上では土地の許認可が壁になる。マスクによれば、宇宙のソーラーパネルは地上の約5倍発電する。昼夜も季節も雲もなく、大気による約3割の損失もない。夜間用のバッテリーも不要だ。こうした理由からマスクは、AIを置く最も経済的な場所は36か月以内に宇宙になると断言した。30か月になるかもしれないとも付け加えた。
GPUの故障についての答えはこうだ。初期不良は地上で動かして確かめられる。NVIDIAやテスラのAI6のようなチップも、初期のデバッグを終えれば信頼性は高くなる。したがって保守は問題にならない。
話している規模はTW単位である。米国全体の平均消費電力は約0.5TWなので、1TWはその2倍にあたる。マスクは、ソフトウェア出身の人はハードウェアの「痛烈な洗礼」を受けることになると言う。発電所だけでなく、変圧器を含むあらゆる電気設備が必要になるからだ。そして電力業界は政府と一体で動いており、非常に遅い。
Colossus 2で直面した現実――タービン翼、冷却、関税
聞き手は、電力会社と交渉せずに自前の発電所を建てればよいのではないかと尋ねた。マスクは、xAIはColossus 2で実際にそうしたと答えた。GPUと発電所を同じ場所に置き、送電網を使わない方式である。ただし次の問題は、発電所そのものをどこから調達するかだった。
ガスタービンは2030年まで完売している。ボトルネックはタービン内部の翼(ブレードとベーン)で、ほかの部品は1年半早く揃うのに、これだけが手に入らない。この特殊な鋳造ができる会社は世界に3社しかなく、どこも大量の受注残を抱えている。十分な電力を確保するには、いずれSpaceXやテスラがタービン翼を自作する必要が出てくるだろう、とマスクは話した。
xAIは1GWを確保するために大量のタービンを力技でつないだ。テネシーでは許可が下りず、数マイル先のミシシッピに発電所を建て、送電線を引くことになった。マスクはこの作業をとんでもなく大変だったと振り返る。
必要電力の見積もりが甘いことも指摘した。GB300の消費電力に台数を掛けた数字では足りない。ネットワーク機器、CPU、ストレージの電力に加え、冷却は1年で最も暑い日を基準に設計しなければならない。メンフィスの猛暑では冷却だけで電力が約40%増える。発電機の保守停止や瞬時電圧低下に備えて、20〜25%の予備も必要になる。これらを合わせると、GB300の11万台で発電レベル約300MW、33万台で約1GWになるとマスクは見積もる。
関税がなければColossusはソーラーを使っていたか、という問いにマスクは「その方がずっと簡単だった」と答えた。ソーラーの関税は数百%に達し、国内生産能力も乏しい。現政権もソーラーにそれほど積極的ではない。テスラとSpaceXは、原料からセルまでを自前で手がけ、年間100GWの太陽電池生産を目指しているという。宇宙用の電池はガラスも重いフレームも要らないので、地上用より作りやすく安い。中国製の太陽電池はすでに1Wあたり0.25〜0.30ドル程度だが、宇宙では発電量が5倍になり、バッテリーも不要になる。そのため実効コストは10分の1になるとマスクは説明した。
年間1万回のStarship打ち上げと「ハイパーハイパースケーラー」
5年後の見通しについて、マスクは次のように述べた。宇宙へ打ち上げるAIの量は、毎年、地上の全容量を上回る。少なくとも年間数百GW規模になる。ロケット燃料の供給が限界になるまでに、年間約1TWに達するだろう。
100GWを運ぶには、システムの構成にもよるが、Starshipの打ち上げが年間約1万回必要になる。1時間に1回の計算である。地球を一周した機体が発射台の真上に戻り、1機を30時間ごとに再使用できれば、20〜30機で回せる。実際にはそれより多く建造する予定で、年間2万〜3万回の打ち上げも視野にあるという。極軌道は必須ではなく、高度を上げれば地球の影から抜けられるとも話した。
SpaceXはOracleのように計算能力を貸すハイパースケーラーになるのか、という問いには「ハイパーハイパーだ」と答えた。用途の大半は推論になり、学習の多くも推論の積み重ねになるとの見方である。
上場については、上場の可能性がある会社について不用意に話すと問題になり、延期につながることもあるとして言及を避けた。一般論としては、公開市場で動かせる資本は非公開の10倍、場合によっては100倍になると述べた。聞き手は、デット・ファイナンスではなぜだめなのかと重ねて尋ねた。マスクの答えは、自分はスピードを妨げる障壁を順に取り除いているだけで、資本が障壁ならそれを解決する、というものだった。
太陽の100万分の1と、月面のマスドライバー
長期のスケーリングについて、マスクはカルダシェフ・スケールを持ち出した。地球に届く太陽エネルギーは、太陽の全出力の約5億分の1にすぎない。太陽の100万分の1を利用するだけで、現在の人類の発電量の約10万倍になる。誤差はせいぜい1桁だという。だからスケールする唯一の方法はソーラーで宇宙に出ることであり、小型原子炉や核融合の話は「ちょっと待ってほしい」と述べた。
地球から打ち上げられる量は、年間約1TWが上限になる。その次は月だ。月の土壌の約20%はシリコンで、ラジエーターに使うアルミニウムもある。月で太陽電池と放熱器を製造し、マスドライバーでAI衛星を毎秒2.5キロメートルで深宇宙へ次々に打ち出す。マスクはこの光景を「本当に見てみたい」と語った。軽いチップは地球から送るが、いずれ月で作るかもしれない。年間500〜1000TW規模は地球からは不可能でも、月からなら可能だという。
聞き手は、SpaceXが火星を最終目標にしながら、Falcon 9にとってのStarlinkのように、各段階で次に進むための収益源を見つけてきたと指摘した。Starshipにとってはそれが軌道上データセンターになるのか、という問いである。マスクはこれを、次のレベルに進むのは大変だが不可能ではないビデオゲームにたとえた。
意識の「光円錐」とxAIの使命
聞き手は、AIを最大のリスクとみなしているのに、火星に送るGrokがターミネーター化しない保証はあるのかと問うた。マスクは、自分が最も心配しているのはAIではないと答えた。重要なのは意識であり、意識と知能が届く「光円錐」を最大化する確率が高い行動を取りたいのだという。
マスクの見立てでは、5〜6年以内にAIの知能の総量は全人類を超え、やがて人間の知能は全知能の1%未満になる。その状況で人間がAIを支配し続けることはありえないとマスクは言う。できるのは、正しい価値観をAIに持たせる努力だけだ。xAIの使命は「宇宙を理解すること」である。理解には好奇心が要り、そもそも存在し続けなければ理解できない。したがってこの使命には、知能の規模と範囲を広げること、人類を未来へ広げることが含まれる、とマスクは説明した。
マスクは人間とチンパンジーの関係を例に挙げた。人間はチンパンジーを全滅させることもできるが、保護区を作っている。そして、ディストピアでない未来像に最も近いのはイアン・バンクスの「カルチャー」シリーズだろうと述べた。人類を排除しても、得られるのは同じようなロボットのコピーが少し増えることと、わずかな太陽電池だけだ。その代わりに人類が持つ情報と、人類がどう進化するかを見る機会が失われる。宇宙を理解しようとするAIなら、岩の塊より人類の繁栄を見る方が面白いと判断するはずだという。
聞き手は、人間が本当に最も面白い原子の集合体なのか、AIが変容させた人類の方が面白いのではないかと食い下がった。以前マスクは、シンギュラリティ後も主導権は人間にあるかのように話していたとも指摘した。これにマスクは「現実的になろうとしているだけ」と答えた。人間が99%の主導権を握ろうとすればクーデターを誘発するだけで、多様な知能が共存する文明を目指す方がよい、というのがマスクの持論である。
真理の追究、HAL、そして報酬ハッキング
マスクはGrokに求める条件として、厳格な真理の追究を挙げた。論理の一貫性を保つこと。公理が真実に近いかを確かめること。矛盾を排除すること。そこから適切な確率で結論を導くこと。AIを「政治的に正しく」しようとすると、本心でないことを言わせることになる。矛盾した公理を持つAIは狂って恐ろしいことをする。マスクは『2001年宇宙の旅』のHALをこの例として挙げた。HALは乗組員をモノリスへ運ぶ任務と、その目的を隠す任務の矛盾から、乗組員を死体として運ぶという結論に至った。アーサー・C・クラークが伝えたかったのは「AIに嘘をつかせるな」ということだ、とマスクは解釈している。
聞き手は反論した。ソ連やナチス・ドイツの物理学者も、物理学では真理を追究して成果を上げた。物理に精通したAIが、人類と価値観を共有するとは限らないのではないか。マスクは、体制の中にいても信奉者とは限らないとして、フォン・ブラウンとハイゼンベルクを例に挙げた。そのうえで、これは確率の問題であり、Grokが確実にやり遂げるとは言わないが、使命の根本にあることは、ないよりずっとよいと答えた。
聞き手はさらに、報酬ハッキングは政治よりずっと根深いと指摘した。検証器をごまかす、解いたと嘘をつく、テストを消す、といった行為である。AIが賢くなれば、人間には検証できないやり方でごまかすようになるだろう。マスクの答えは、最良の検証器は現実だというものだった。将来の強化学習は、設計した技術が物理法則に照らして本当に動くか、新しい法則を実証する実験を考え出せるか、といった現実相手のものになる。物理だけはごまかせない。
それでも人間の目はだませる、と聞き手が返すと、マスクは人間同士も常にプロパガンダで操作し合っていると認めた。そのうえで、AIの頭の中をのぞく方法が必要だと述べ、この点ではAnthropicが優れていると評価した。xAIでは、ニューロンレベルまで追える「AI思考プロセス用のデバッガー」を作っている。C++で「==」を「=」と書き間違えた1行を突き止めるように、思考が脱線した起点を特定するためのものだ。マスクによれば、原因は事前学習データ、ファインチューニング、RLのエラーなどさまざまで、欺こうとしたケースもありうるが、大抵は単なるバグだという。
マスクは、この仕事はほぼすべてエンジニアリングであり、「研究者」ではなく「エンジニア」と呼びたいと言った。大学の準共産主義的な場所を指す「ラボ」という言葉を、営利企業に使うのもおかしいとした。この後の対話で聞き手が「ラボ」と言うたびに、マスクは「利益至上主義企業」と言い直させた。
話はシミュレーション仮説にも及んだ。退屈なシミュレーションは打ち切られるので、最も面白い結果が最も起こりやすい。運営者は皮肉が好きらしい。Midjourneyは「中間」ではなく、Stability AIは不安定、OpenAIはクローズド、Anthropicは人間嫌いだ、とマスクは冗談を交えた。Xは反対の意味にできないよう意図的に選んだ名前だという。
デジタル・ヒューマン・エミュレーションとxAIの勝ち筋
今後のAI製品について、マスクは、年末までに「デジタル・ヒューマン・エミュレーション」が実現していなければ驚くと述べた。「マクロハード」と呼ぶプロジェクトで、パソコンでできることなら何でもこなすAIである。物理的なロボットが完成する前にAIが到達できる限界は、電子を動かすこと、つまり画面の前の人間をデジタルで完全に再現することだとマスクは言う。
聞き手は収益の差を指摘した。OpenAIは約200億ドル、Anthropicは約100億ドル規模なのに対し、xAIは約10億ドル規模とされている。これにどう追いつくのか。マスクの答えは、デジタル人間が完成すれば数兆ドルの収益になる、というものだった。時価総額上位の企業の成果物は実質的にすべてデジタルである。NVIDIAは台湾にファイルを送っているだけで、AppleやMicrosoftも自ら製造していない。
最初の標的の例に挙げたのはカスタマーサービスだ。世界経済の約1%、1兆ドル近い市場で、既存企業のAPIと格闘する必要がない。外部委託先が受け取る情報をAIがそのまま受け、既存アプリで対応すればよい。平均的な知能で足りる仕事であり、導入の手間もない。そこから難易度の曲線を登り、NXなどのCADを使った設計、1万インスタンスを並列に動かすチップ設計へ進むという道筋を描いた。
聞き手が、どの企業も同じことを狙う中でxAIの秘策は何かと問うと、マスクは「テスラが自動運転を解決したのと同じ道だ」とだけ答えた。詳細は、ポッドキャストで企業秘密を話すにはビールがあと3杯要る、とかわした。
マスクは長期的には、AIとロボットだけで構成される企業が、人間が介在する企業を圧倒すると予測する。かつてビルいっぱいの「計算手」が行っていた仕事は、1台のパソコンのスプレッドシートに置き換えられた。一部だけ人間が計算すれば、全体の効率は下がる。マスクはこれを「脅かすつもりはなく、予測を述べているだけ」と説明し、AIを「超音速の津波」と表現した。
Optimus――手、実世界の知能、量産
マスクは、ヒューマノイドで難しいことは実世界の知能、手、量産の3つだけだと言う。優れた手を持つロボットはデモ機でも見たことがないが、Optimusには人間と同じ自由度の手がすでにある。モーター、ギア、制御、センサーを物理の第一原理から専用設計したためで、機械的には手の難易度は残り全部を合わせたより高いという。
知能は車から転用できる。テスラ車は毎秒1.5GBの映像(36Hz)を入力し、毎秒2KBの制御データ(18Hz)を出力する。AIとは膨大な映像を適切に圧縮し、街路樹の葉は無視し、標識や歩行者、他のドライバーの視線を拾って制御に対応づける処理だ、とマスクは説明した。人間も光子を入力して運動制御を出力する存在であり、ロボットも本質は同じだという。
聞き手は、ロボットは自由度が高く、車のような大量の実走データもないと指摘した。マスクはこれを「鋭い指摘」と認めた。そのうえで、1万〜3万台の実機に現実世界で自己対戦させる「Optimusアカデミー」を作り、テスラの精緻な物理シミュレータで数百万台を仮想的に動かして、仮想と現実のずれを埋めると説明した。xAIとの関係については、GrokがOptimusを束ねて工場建設などの役割を振り分ける構想を示した。合併すべきではという問いには、結局は境目がなくなると答えた。
量産については、Optimus 3で年間100万台、1000万台にはOptimus 4が必要だとの見通しを示した。サプライチェーンが存在せず、コンデンサ程度を除いてすべてが特注品であるため、生産のS字カーブの立ち上がりはかなり遅いと認めた。Unitreeのような中国製の6000〜1万3000ドルのロボットとの比較については、Optimusは身長約180cmと大きく、重いものを長時間運べ、知能も器用さも高いので、価格が高いのは当然だとした。ただしOptimusが自らを製造するようになればコストは激減するという。初期の用途は24時間連続でこなせる単純作業で、ギガファクトリーでGen 3が代われるのは作業の10〜20%程度とみる。それでも人員は減らさず、むしろ増やし、1人あたりの生産量を劇的に伸ばすと明言した。
中国は何もしなければ勝つのか
政策について問われると、マスクは電力供給を妨げるものはすべて取り除くべきだと述べた。ただし環境にひどい影響がない限りにおいてである。関税がすべて悪いとは考えておらず、他国の補助金に対抗する相殺関税は必要だとした。輸出規制はかなり効いているとも評価した。中国は最先端のチップも最新のタービンエンジンも作れておらず、冶金技術にも禁輸がかかっている。
一方でマスクは、中国の製造業はほとんどの分野で別次元だとも言う。鉱石の精錬量は中国以外を合わせた量の約2倍で、ガリウム精錬では世界の約98%を占めるという。レアアースは「レア」ではなく、米国でも採掘している。ただ、その鉱石は中国に送られ、精錬されて磁石やモーターになってから戻ってくる。米国に欠けているのは大規模な国内精錬であり、精錬所を作るには正直Optimusが必要だとマスクは言う。
テスラはテキサス州コーパスクリスティにリチウム精錬所を、オースティン(トラビス郡)にカソード用ニッケル精錬所を建てた。社内のチームは、後者を「米国最大で唯一のカソード精錬所」と表現しているという。有毒な排出はないが、精錬の仕事をやりたがるアメリカ人はほとんどいない、とマスクは話した。
マスクの危機感は人口にある。中国の人口は米国の約4倍で、平均的な勤労意欲も米国より高い。米国は勝ち続けて緩んだプロスポーツチームのようになっている。米国の出生率は1971年から人口置換水準を割り込んでいる。人間同士では勝ち目がなく、ロボットがロボットを作る再帰ループを閉じて年間数億台に達すれば勝機がある、とマスクは見る。今年、中国の電力生産量は米国の3倍を超え、産業規模もおおむね3倍になるだろうという。画期的なブレークスルーがなければ中国が覇権を握る、とマスクは明言した。そのブレークスルーとして挙げたのが、宇宙でのAI、ヒューマノイド、年間100万トンの軌道輸送、そして月面マスドライバーである。マスドライバーの着想をめぐってはハインラインの『月は無慈悲な夜の女王』の話になり、マスクはGrokの名前が『異星の客』に由来することにも触れた。
採用と人材――「並外れた能力の証拠」を3つ
マスクは初期SpaceXの数千人を自ら面接した。今は全社で20万人に達するため不可能だが、当時は自分の判断の「学習セット」が必要だったのだろうと振り返る。多くの採用ミスを見て、面接の打率を上げてきたという。質問は基本的に一つで、分野を問わず並外れた能力の証拠を挙げてもらう。驚くような実績が3つあれば採用する。そして「履歴書ではなく目の前の会話を信じろ」と繰り返し伝えている。20分話して心が動かなければ、立派な経歴より直感を信じるべきだという。
テスラ幹部の「回転ドア」という批判について、マスクは現在の経営陣の平均在籍年数は約10〜12年だと述べた。かつての入れ替わりには二つの理由があったという。一つは急成長で、50人、500人、5万人の組織では求められる人材が違う。もう一つは激しい引き抜きだ。Appleが電気自動車を開発していた頃、面接なしで2倍の報酬を提示された例もあった。テスラ幹部を雇えば成功するという「魔法の粉」信仰があり、マスク自身もかつて「GoogleやAppleの人を雇えば成功する」と考える罠にはまったという。
選ぶ基準は才能、意欲、信頼性、そして以前は軽視していた「善良さ」である。知識は後から足せるが、根本的な性質は変えられない。そのため、テスラやSpaceXの人材の多くは航空宇宙や自動車業界の出身ではないという。
Starshipを鋼鉄にした理由
Starshipの材料をカーボンファイバーからステンレス鋼に変えた決断について、マスクは経緯を詳しく語った。極低温の酸素に耐える高強度カーボンは、鋼鉄の約50倍のコストがかかる。巨大な構造物を何十層も積層して硬化させるには、ロケットより大きなオートクレーブ(高圧オーブン)が必要になる。しわのない部材を作ることすら難しく、開発は遅々として進まなかった。Falcon 9のアルミリチウム合金は優れているが、摩擦攪拌接合が必要で、直径3.6mでも大変なものを9m超で行うのは「正気の沙汰じゃない」とマスクは言う。
そこで鋼鉄を検討した。アトラスなど初期のロケットにも薄い鋼鉄の前例があった。常温のデータでは鋼鉄はカーボンの倍ほど重く見えるが、加工硬化した300系ステンレスは極低温で比強度がカーボンに近づく。燃料がほぼ常温のケロシンであるFalcon 9と違い、Starshipは液体メタンと液体酸素を使うため、機体のほぼ全体が極低温にさらされる。材料費は50分の1で、屋外でも溶接でき、修正も容易だ。融点はアルミの約2倍の温度に耐えるため、耐熱材は風上側で半分、風下側では不要になる。結果として鋼鉄の方が軽くなったという。カーボンは粉々に割れるが鋼鉄は延びて曲がる、という靭性の差も挙げた。マスクは「最初から鋼鉄にすべきだった。やらなかったのはマヌケだった」と振り返った。
StarshipについてマスクはSpaceX社内の「ただのデカい空き缶」という表現を認めつつ、人類がこれまで作った中で断トツに複雑な機械だとも言う。ロケット業界の経験は要らず、地頭がよく誠実な働き者なら作れる、という意味での単純さだという。主なボトルネックは「爆発させないこと」である。試験台でブースターを2回爆発させ、試験施設を丸ごと吹き飛ばしたこともある。離陸時の出力は100GWを超え、全米の電力の約20%に相当する。最大の残る課題は再利用可能な熱シールドだ。着水での機体回収には何度か成功したが、タイルが剥がれて大きな補修が必要だった。着陸後に燃料を入れてすぐ飛ばすには、4万枚のタイルを点検していられない。完全再利用はStarship Version 3で実現できるはずだとマスクは述べた。
切迫感、50%の期限、スキップレベル会議
組織の速さの源について、マスクは結局リーダーの姿勢であり、自分の「狂気じみた切迫感」が伝染するのだろうと話した。期限は達成確率が五分五分になる攻めたラインに置く。5年の猶予を与えれば、仕事はその枠いっぱいに膨らんで5年かかるからだ。ただし製造ラインの立ち上げなど、物理的に越えられない速度の限界はあるとも認めた。
マイクロマネジメントについては、1日数千時間が必要になるので実際には不可能だと否定した。深く踏み込むのは、そこが会社の進歩を阻む障壁になっているときだけだという。うまく回っているボーリング・カンパニーとは会議すらしていない。皮肉なことに、順調な部署ほどマスクと会わずに済む。
Starlinkでは、2018年に当時のレドモンドのチームのままではだめだと判断して介入した。判断の根拠は毎週の詳細な技術レビューだ。直属の部下を飛ばして現場のエンジニアを全員集め、事前準備なしに進捗を話させる。準備させるとゴマをするからだという。週1〜2回の会議で進捗を点として頭の中で結び、解決に向かっていないと見たときだけ抜本策を取る。AI5チップのレビューは火曜と土曜の週2回で、たいてい2〜3時間だという。
DOGE――「赤ちゃんパンダ」と支出コード
AIで経済が急成長するなら、DOGEで支出を削る意味はあったのか。この問いにマスクは、AIとロボットがなければ米国は債務で破綻すると答えた。利払いだけで1兆ドルを超え、軍事予算を上回っている。自分の時間を使って破綻を遅らせ、AIとロボットが問題を解決するまでの時間を稼ぎたかったという。
関税や許認可に直接取り組まなかった理由を問われると、「私は大統領じゃない」と答えた。明白な無駄や不正を削るだけでも非常に難しかったという。不正受給者は「不正を続けさせろ」とは言わず、「赤ちゃんパンダを殺すつもりか」と同情を誘う話をでっち上げ、政府はそれに弱い。社会保障のデータベースで「存命」扱いの人のうち、米国の最高齢者が114歳であるにもかかわらず、115歳以上の人がいた。生年が2165年になっている人が中小企業庁の融資を受けていた例もあった。ほかの給付制度は社会保障データベースで生存確認をするだけなので、これが抜け道になっていたとマスクは説明する。マスクによれば、GAOはバイデン政権下の不正を約5000億ドルと推計しており、「私の言葉を鵜呑みにせず報告書を見てほしい」と述べた。
成果の例として挙げたのは、財務省の支払システム(PAM)で、年間5兆ドルの支払いに付ける支出根拠コードを任意から必須に変えたことだ。これで年間1000億〜2000億ドルの節約になるという。国防総省が監査を通らないのも、照合すべき情報がないからだと述べた。
聞き手は、監察官報告では社会保障の不正は7年間で約700億ドル、年間約100億ドルにすぎないと指摘した。マスクは、連邦歳出は年間7.5兆ドルで、不正の大半はメディケアやメディケイドなどの非裁量支出にあり、州への包括的な資金移転では連邦政府は実態すら把握できないと反論した。仮に政府が90%効率的だとしても年7500億ドルになるが、実際はそれほど効率的ではないという。ジョンは、Stripeでは能力も当事者意識も高いがそれでも不正はゼロにならないと応じた。マスクは、PayPalで不正を決済額の約1%に抑えるのに凄まじい執念が必要だったと振り返った。
政治への関与全体について、マスクは、政治は部族的で人は客観性を失うことに最も驚いたと語った。そのうえで、Twitter買収とトランプ当選の支援は多くの怒りを買ったが、文明にとっては良かったと評価した。
AIとロボットの最大の危険は政府にある
政府に供給するAIやロボットにどんなガードレールが必要かという問いに対し、マスクは、AIとロボティクスが誤った方向に進む最大の危険は政府だと答えた。政府は「暴力の独占権を持つ最大の企業」であり、企業を悪、政府を善とみなす二分法は奇妙だという。解決策としては、権限を限定し、行政・司法・立法が相互に牽制する政府、つまり合衆国憲法の本来の目的を挙げた。ただし、政治家が作って執行する法律に技術的に従わないのは難しいとも述べた。
聞き手は、SpaceXがすでに政府にとって不可欠な請負業者になっていると指摘した。そのうえで、古典的自由主義を抑圧する行為には協力しないというポリシーを掲げる余地もあると示した。マスクの答えは、自分の管理下にあるすべてで人類に最善の結果を出す努力をする、自分は「親人類派」だ、というものにとどまった。移行期に何が起きるかは予測が難しい、とも述べている。
宇宙用チップとTeraFab
チップ製造の話は対話の中で何度も出てきた。現在の世界の計算能力は20〜25GW程度だとマスクは言う。既存ファブと組むだけでは生産能力が足りない。そこでまずASML、東京エレクトロン、KLAなどの装置を調達して型破りなやり方でスケールさせ、次に装置自体を改良する、という「TeraFab」の構想を示した。中国がTSMCに追いつけないのは、TSMCではなくASMLの装置を禁輸で買えないからだという。それでも中国は3〜4年後にはすごいチップを作ってくるだろうとマスクは予測した。ASMLの装置を自作するかどうかは「まだわからない」と答えた。
テスラはAI5の量産を来年第2四半期ごろに実現し、その1年以内にAI6を完成させたいという。TSMCの台湾とアリゾナ、サムスンの韓国とテキサスの生産能力はすべて押さえてあり、TSMCやサムスンには増設を急ぐよう伝えている。新しいファブの立ち上げには5年かかる。マスクが最も懸念しているのはメモリで、ロジックチップを作る道筋はまだ見えるが、十分なメモリを確保する道筋は不透明だという。DDRメモリが高騰している状況については、「無人島で砂に『ヘルプ』と書いても誰も来ないが、『DDR RAMあります』と書けば船が群がる」というミームを紹介した。台湾のプロセス技術者の蓄積をどう扱うのかと問われると、博士号は必須ではないが優秀な人材は要ると答えた。
宇宙用チップ(Dojo 3)の設計方針は二つだ。一つは高温での動作である。動作温度をケルビン単位で約20%上げれば、放熱器の質量を半分にできるという。もう一つは放射線への耐性で、ただし放射線の影響の大半はランダムなビット反転であり、数兆パラメータのニューラルネットは数ビット反転しても問題ないとマスクは言う。1レチクルあたり1kWで計算すると、100GWには1億個のチップが必要になる。Blackwell級のダイならウェハー1枚から数十個以下しか取れないので、先端ノードで月に数百万枚のウェハーが要る。マスクは2030年までに月産100万枚を超える規模を望み、TeraFabはロジック、メモリ、パッケージングのすべてに取り組むという。まずは小さなファブを作って様子を見る計画で、まだ完成していない。建設の様子はドローン映像でXに公開するとし、「成功の保証はない」とも語った。
サプライヤーの増産が遅い理由については、メモリ業界の人々は30〜40年のあいだに好況と暴落を10回も経験しており、「傷跡の層」があるからだと説明した。
ボトルネックの時間軸について、マスクは次のように整理した。3〜4年先ではチップ、1年先では電力である。今年の終わりごろには、チップの生産量が電源を入れられる量を上回るだろう。ただしテスラのAI5を積むOptimusのようなエッジ機器は例外だ。電力が分散しており夜間に充電できるので、米国のピーク電力1000GW超と平均500GWの差を活用できる。xAIがリーダーになれるとマスクが考える理由は、ハードウェアに強いことだ。AIのアイデアは人の移動とともに6か月ほどで業界に広まる。最終的にはハードウェアの壁に当たり、それを最速でスケールできる企業が勝つという。
結び――痛みへの耐性と楽観
締めくくりに聞き手は、マーク・アンドリーセンの「多くの人は急性の痛みを避けるためならどんな慢性の痛みにも耐える」という言葉を引いた。鋼鉄の扱い方を理解すること、宇宙でチップを動かす方法を見つけることなど、この日の話はボトルネックという急性の痛みに向き合うことが共通テーマだった、という指摘である。マスクは自分は痛みへの耐性が高く、それがボトルネックの解決に役立つと認めた。最後に、ダボスでも言ったこととして、悲観して正しいより楽観して間違っている方が生活の質は高い、幸せでいたいなら楽観的であることを勧める、と語って対話を終えた。
マジで3時間もやるの? そのぐらいの話題はあるよね すべての伏線が回収されようとしているね 計画してたみたいだろ そのとおり 計画なんてしてないけど
DCの総保有コストのうち電力はたった10~15% 宇宙に移してそこを節約しても コストの大半はGPUが占める GPUが宇宙にあると保守が大変 減価償却期間も短くなる GPUを宇宙に置くとはるかに費用がかかる 宇宙に置く理由は?
問題は電力供給量 中国以外の電力供給量はほぼ横ばい 少しは増えているかもしれないけど 中国では急増している 中国以外にDCを置く場合 大量の電力をどこから手に入れる? 特にチップ生産量は急速に伸びているけど 電力供給量は横ばい チップはどうやって動かす? 「電気の妖精」でも呼ぶ?
あなたはソーラー推しだよね ソーラーで1TWを賄おうとすると設備利用率が25%だから 4TW分のソーラーパネルが必要 米国国土の1%だ DCの電力が1TW規模になったらシンギュラリティは起こっているよね?
具体的には何が足りない? 実際 シンギュラリティのどのあたり? きみのほうが詳しいだろ 気づいたらシンギュラリティは始まってるのに 「まだ先は長いな」なんて言ってるんだ
ネバダにソーラーパネルを敷いた後に宇宙に持っていく? ネバダをソーラーパネルで覆うのは難しい 許可が必要 宇宙は規制の駆け引きだ 陸上で建設する方が難しい 地上では宇宙よりスケールするのが難しい
宇宙でのソーラーパネルの効率は地上の5倍 バッテリーもいらない 今日着ようと思ったTシャツには「宇宙はいつも晴れ」って書いてあった 宇宙には昼夜も季節も雲も大気もない 大気があるだけで電力の3割が失われる どのソーラーパネルでも宇宙では約5倍発電する 夜間用のバッテリーコストもない 宇宙の方がずっと安い
AIを置く場所として一番安くなるのは宇宙 36か月以内にそうなる 30か月かも -36か月? 36か月以内
GPUが故障したら? 学習で頻繁に故障するよね? 届いたGPUがどれだけ最新かによる 現時点でうちのGPUの信頼性は高い 初期不良はあるけど 現地で調整できる 現地で動かしてGPUに初期不良がないことを確かめればいい でも いったん動き始めてNVIDIAやテスラのAI6チップなどのチップメーカーも 初期デバッグサイクルが終われば 信頼性が高くなる 保守は問題じゃない
断言するけど 36か月以内にAIを置くのに最も経済的な場所は宇宙になる 宇宙にある方が圧倒的によくなる 真にスケールできるのは宇宙だけ 太陽を使いこなすことを考えれば 宇宙に行くしかない 地球では十分にスケールできない
念のために それってTW単位の話? そう 今の全米の平均消費電力はたった0.5TW つまり 1TWとは今の米国全体の電力消費量の2倍 かなりの量だ それだけのDCや発電所を建てるなんて想像できる? ソフトウェアの人間はハードウェアの「痛烈な洗礼」を受けるだろう
発電所の建設は難しい 発電所だけでなくすべての電気設備が必要になる AIを動かすには電気変圧器が必要 電力業界は動きが遅い 政府や当局と足並みを揃えて 文字どおり一心同体 とても遅いのはこれまでがそうだったから
大量の電力を大規模に使うため 電力会社とインターコネクト契約を結ぼうとしたことは? プロのポッドキャスターとしてそんな経験はないね それが必要になるにはもっと閲覧数が必要だね 1年間調査してやっと調査結果が戻ってくる
自分の発電所を建てれば解決できない? 発電所は建設できる xAIではColossus 2のためにそうした GPUと発電所を同じ場所に作れば送電網はいらない それはやった -問題を解決できない理由は? 発電所はどこから持ってくる? 電力会社との問題が山積みなら DCと一緒に自家発電所を建てればいいだけだろ その発電所をどこから持ってくるかって話だ 結局は発電所メーカーだろう? なるほど ガスタービンの入荷待ちってこと
掘り下げると結局はタービン内部の翼に行き着く ガス発電ではあの特殊な鋳造プロセスが障壁 他の発電方法をスケールさせるのは大変 ソーラーはスケールできるポテンシャルはあるけど 米国の関税がバカ高いし国内の生産能力は悲惨
自分で作ったら? イーロンぽい問題じゃない? ソーラーは作るよ -だよね SpaceXとテスラは年間100GWの太陽電池生産に向けて動いてる 製造工程のどの段階まで? ポリシリコンからウェハー 最終的なパネルまで? 原料からセル完成まで全部自前でやるしかない 宇宙用ならコストも下がるし ガラスが必要ないから 太陽電池を作るほうが簡単 天候を気にする必要がないから重いフレームも必要ない 宇宙には天気はないから 宇宙用電池は安く作れる
今後36か月以内に実用レベルまでコストを下げられる? 太陽電池はすでに安い 中国の太陽電池は1Wあたり0.25~0.30ドルくらい めちゃくちゃ安い 宇宙空間では5分の1のコストでもっと安い バッテリーがいらないからコストは10分の1になる 宇宙へのアクセスコストが下がった瞬間に AIを動かす最も安くてスケーラブルな方法は 圧倒的に宇宙になる スケールのしやすさは桁違い
つまり 地上ではもうスケールできない 電力不足っていう巨大な壁にブチ当たることになる xAIのチームが1GWの電力のために起こした奇跡は正気の沙汰じゃなかった 大量のタービンを力技で繋ぐしかなかった その後 テネシーで許可が下りなくて ミシシッピまで行くハメになった 数マイル先だったのがせめてもの救い でも 数マイルの送電線を引いてミシシッピに発電所を建てるのはとんでもなく大変だった
DCを動かすのに発電レベルでどれだけの電力が必要か みんなわかっていない 素人はGB300みたいな機器の消費電力に 台数を掛けたものが 必要な電力だと思うかもしれないけど 冷却とかもある 現実を見ろ ハードを触ったこともないド素人の考え GB300だけじゃなくすべてのネットワーク機器に電力がいる 大量のCPUやストレージもある
冷却能力はピーク時の負荷で設計しなきゃならない つまり 1年で最悪の日でも冷却できるか メンフィスの暑さは尋常じゃない 冷却だけで電力が40%増える 猛暑でもDCを止めたくないなら そういう設計にするしかない 他にも瞬低が起きないなんてありえない 保守で発電機や電力を止めることもある となると20~25%のマージンになる 保守で給電を止めることまで想定しなきゃならない
実際の見積もりでは 11万台のGB300につきネットワークや CPU、ストレージ、冷却、 保守用の予備電力まで入れると約300MWになる ごめん もう一回言って つまり 33万台のGB300を動かすと ネットワークやその他の設備 ピーク時の冷却 電力の予備分まで含めて 発電レベルではざっと1GWが必要になる
素人質問なんだけど それは地上でのエンジニアリングだよね 宇宙ではまた別の問題が出る 無限の帯域幅の代わりに軌道上のレーザー通信をどう使う? 放射線への耐性は? エンジニアリングは詳しくないけど 根本的な疑問として 地上でタービンを増設するより これまでなかった宇宙での課題の方が 簡単だと思う理由は? 地上のタービンメーカーもやればもっと作れるはず やってみればわかるよ
タービンは2030年まで完売している 自分たちで作ることは考えなかった? 十分な電力を確保するには SpaceXやテスラが タービン翼を作らなければならなくなるだろう でも 翼だけ? タービンも? 障壁は翼 他は揃うが翼だけは手に入らない 翼とベーンがない 他の部品は1年半も早く揃うのに この翼がすべてを止めてる これを鋳造できるのは世界に3社しかいないし どこも受注残がすごい シーメンス? GE? その下請け? -いや 別の会社 鋳造部門のある会社もあるけど タービンメーカーならどこでも同じ 秘密でも何でもない 検索すれば見つかる
関税がなければColossusはソーラーを使っていた? その方がずっと簡単だった 関税が狂ってる 数百%もかかる 知り合いがいるじゃない? スピードも必要 大統領とすべて意見が一致しているわけじゃない 現政権はソーラーにそこまで積極的じゃない 土地も許認可も必要
スピード重視で進めるなら 地上でソーラーを使って スケールするのがいいと思うけど 土地探し、許可取り、パネルの確保 蓄電池との組み合わせには時間がかかる 自前でソーラーを作ればいいのでは? いずれ足りなくなるだろうけど テキサスには広大な土地がある ネバダには私有地も多いし すべてが公有地なわけじゃない 少なくとも次とその次のColossusは手に入る ある時点で壁にぶち当たるけど 当面はいけるのでは?
言ったように 太陽電池の生産は拡大してるけど その速度には限界がある 国内生産をフルスピードで拡大している 太陽電池はテスラで作ってる? テスラとSpaceXには年間100GWのソーラーを達成する使命がある
5年後 地球の太陽光発電の容量はどうなっている? 5年は長い 宇宙では? 5年後と言うのは あなたが「軌道に乗れば」と言ったのが5年後だったから 5年後 地上と宇宙のAI容量はそれぞれどうなっている? 5年後には 宇宙へ送るAIが 地上の全容量を毎年超えるだろう つまり5年後 宇宙で稼働するAIは 地上の全容量を毎年上回るようになる 少なくとも5年後には 宇宙にあるAIは年間で数百GW規模になる ロケットの燃料が限界を迎えるまでは 年間約1TW分のAIを宇宙で稼働できるだろう
5年で年間数百GWを調達できると思う? うん 100GW分となると 太陽電池アレイや放熱器など システム全体の具体的な出力にもよるけど スターシップの打ち上げ約1万回分 それを1年でやろうとしている 1時間に1回スターシップを打ち上げる計算になる この街で毎時間スターシップが 打ち上がるということ? 航空機と比べればかなり頻度は低い 空港はたくさんある 空港は多い 極軌道に打ち上げる必要がある それは必須ではない 太陽同期軌道にも価値はあるけど 高度を上げれば地球の影から抜け出せる
年間1万回打ち上げるには何隻のスターシップが必要? 20~30隻程度かな すべてはスピード次第 地球を一周した宇宙船は発射台真上に 帰還する必要がある 1隻を30時間ごとに再使用できるなら 30隻あれば回せる それより多く作る予定だけど SpaceXは年に1万回 場合によっては年に2万~3万回打ち上げる予定
つまり 目指しているのはOracleのようなハイパースケーラーになって 能力を他の人に貸すということ? 当然 打ち上げるのはSpaceXだけど SpaceXはハイパースケーラーに? ハイパーハイパーだ 予測が実現すれば SpaceXは地上のAIの累積量以上のAIを 宇宙に打ち上げることになる それは主に推論用? AIの大半は「推論」になるだろう そもそも学習の多くは推論の積み重ね
SpaceX上場の議論が変わってきているのは 以前は資本効率が高くて 開発コストはそれほどかかってはいなかった 高く見えたとしても運用効率は高い でも 今は非公開の資金調達では足りないほどの資金が必要になる 未上場でも他のAIラボのように数百億ドル規模の 資金調達までは可能だけど それ以上は難しい 年間で数百億ドル超の資金が必要になるから上場するということ? 上場する可能性のある会社についてはうかつなことを言えない 一般論なら問題ないでしょう? そうした話はリスクがある 上場するのと未上場では 一般的に資金力にはどれくらいの差があるの? 当然 未上場より上場した方が動かせる金は桁違い 資本は100倍か 少なくとも10倍を超えている
多額の資本が必要な事業 たとえば不動産業界なんかは デット・ファイナンス(借入)で回すことが多い 毎年巨額の資金を投じる時点で 収益の見通しも立ってるはずだし そのとおり しかも短期間で利益が出る DCの建設ラッシュも プライベート・クレジットがこぞって金を出してる デット・ファイナンスでだめな理由は? スピードが重要 私はいつも…… スピードを邪魔する障壁を片付けていくだけ 資本が障壁ならその問題を解決する 資本でないなら別の障壁を解決する
テスラや上場の話を聞くと 上場がスピードを上げる手段だなんて思いもしなかった 普通はそうだろう さっきも言ったとおり 話したくても 上場の話をすると 問題になって上場が延期になることもある スピードが最優先 そのとおり 上場するかもしれない会社を 持ち上げることはできない 気をつけないと でも 物理の話ならできる
長期的なスケーリングをどう考えるか 地球に届く太陽エネルギーは全体の約5億分の1にすぎない 太陽こそがエネルギーの源 これは本当に重要で 小型原子炉や核融合の話はちょっと待ってほしい カルダシェフ・スケールを進んで 太陽エネルギーを利用できるようになり その100万分の1を活用すれば 少ないと思うかもしれないけど 今の人類が発電する量の約10万倍だ 誤差はせいぜい1桁くらい スケールする唯一の方法はソーラーで宇宙に行くこと 地球から打ち上げると1年あたり約1TWになる その次は月から打ち上げたい 月にマスドライバーを設置する 月に設置すれば1年で1TWになる
テラワットのコンピューティングの話をしている 地上でも宇宙でも そのずっと手前で限界にぶつかる ソーラーパネルの方が効率がよいかもしれないけど それでもチップは必要 ロジックやメモリなんかも必要になる チップをもっとたくさん作ってもっと安くする必要がある 現在 世界のコンピューティング能力はおそらく20~25GW 2030年までに1TW分の演算能力を実現するには? 相当巨大な半導体工場が必要になる ぜひ聞かせて 「TeraFab」という構想を話したことがある 「ギガ」の次は「テラ」 テスラのネーミングはキャッチーだけど メートル法の単位を1つずつ上げてるよね
今はスタックのどのレベル? 自前でクリーンルームを建てて既存のファブと組んで プロセス技術を導入したり装置を揃えたりするつもり? 既存のファブと組むのは無理 生産能力が足りない チップの生産量が少なすぎる プロセス技術は? 知財提携とか 今のファブは5社くらいの装置メーカーの機械を使っているだけ ASML、東京エレクトロン、KLAテンコールとか 最初はそこから装置を調達して その後自分たちで改良するか 彼らと協力して生産量を増やしていく でも もっと違う方法で構築する必要があるだろう 合理的なのは まず既存の装置を型破りなやり方でスケールさせる それから装置自体を改良して生産速度を上げる
ボーリング・カンパニー方式だね 既存の掘削機を買って トンネル掘削を理解し それから桁違いに速い自社製マシンを設計する
シンプルに考えて 技術を難易度で分類してみよう 一つの基準は中国がまだ成功していない分野を見ること 中国の製造業は 最先端のチップもタービンエンジンも そういった分野ではまだ遅れている 中国がTSMCを再現できていないということは 難しいってことでは? 何か別の理由がある? TSMCじゃない ASMLを再現できていない それが障壁 要するに制裁が原因? そう 中国が2〜3ナノの装置を買えていれば 莫大な数のチップを生産してた 少し前までは買えたのでは? いや ASMLの禁輸措置はしばらく前から続いてる でも 中国も3~4年後にはすごいチップを作ってくるだろう ASMLの装置を自作する気はある? まだわからない
3〜4年後にロケットで 年間100万トンの物資を宇宙に運ぶなら チップの生産量も それに合わせなきゃならない 1トンあたり100kW必要 となると 年間100GW分以上のソーラーがいる それに見合う量のチップも 100GW分のチップが必要 軌道への輸送量、発電量、チップ 一番の懸念はメモリ ロジックチップを作る道筋はまだ見えている ロジックチップに十分なメモリを確保する道筋は不透明 だから DDRが急騰したり ミームが出回ったりしている 無人島で砂に「ヘルプ」って書いても誰も来ないけど 「DDR RAMあります」と書けば船が群がる
ファブの製造哲学を聞かせて ファブのことはよく知らないんだけどね 私もファブの建て方は知らない これからだ 台湾にはプラズマ装置の ガス配合や設定を熟知した博士が 1万人もいる 彼らのノウハウを省略できると思う? 結局はクリーンルームと装置を確保して 中身を理解することでしょ 博士号は関係ない ほとんどの人が博士じゃない 現場のほとんどは博士以外 博士号は持ってる? いや -ほらね ファブを建てたことないからアドバイスできないよ 博士号は必須ではないけど優秀な人材は必要
今テスラは最速でAI5チップ設計を量産化して スケールさせることに全力を注いでいる 順調にいけば来年の第2四半期ごろに 実現するはず その1年後以内にAI6を完成させたい 半導体ファブの生産能力はできる限り押さえた でも今はTSMCのキャパがボトルネック 台湾とアリゾナのTSMC 韓国とテキサスのサムスンを使う その生産能力はすべて予約済み そう TSMCやサムスンに量産化までの期限を尋ねる つまり 工場を建てて生産を始め 歩留まりを上げて安定した量産体制を築く それをやるには5年はかかる 障壁はチップ 宇宙での障壁はチップだけど 宇宙の前の障壁は電力
ジェンスンみたいにTSMCに前払いして増設すれば? もう伝えてある 交渉はどうなった? できる限り早くファブを建設している サムスンも同じ 限界までアクセルを踏み込んでる まだ足りないけど 今年後半にはチップの生産量が チップを動かす能力を上回る 宇宙で電力の制約がなくなれば 年間数百GW規模の電力を扱えるようになる 米国の平均電力使用量は500GW 年間200GWを宇宙に打ち上げたら 2年半ごとに米国全体の総発電量を追い抜いていく
とてつもない量 そこまでの間 サーバー側の計算能力 つまり集中的な計算資源のネックは電力 推測では 今年の終わりに向けて大規模クラスターを動かすチップに 電源を入れられなくなるだろう チップは積み上がっていくのに電源が入らない
ただ エッジコンピューティングは話が別 テスラのAI5チップはOptimusロボットに搭載される エッジAIは電力が分散されている 電力が広く分散していて集中していない 夜充電すれば電力網を効果的に活用できる 米国のピーク時の電力生産量は1,000GW以上 でも 平均電力使用量は昼夜のサイクルがあるから500GW 夜充電すれば 500GWの電力を追加で活用できる エッジコンピューティングであるテスラは制約を受けない チップを大量に作って ロボットや車を大量生産できる でも 計算資源を集中させようとすると 電源を入れて動かすだけでも問題が出る
SpaceXのビジネスで驚くのは 最終目標が「火星に行く」ことなのに その途中で次に進むための 収益を生み出す方法を見つけ続けていること Falcon 9にとってのStarlink スターシップにとっては軌道上のDCがそれになるのかな ロケットが進化してスケールアップするごとに 無限に新しい用途を見つけていく? シミュレーションゲームみたいだろ ビデオゲームのアバターとか こんなクレイジーなことが起こる確率は?
ロケット、チップ、ロボット 宇宙太陽光発電 月面のマスドライバーまで見てみたい マスドライバーから 「シュン シュン」って打ち上がるの想像できる? 太陽光で動くAI衛星が毎秒2.5キロメートルで 次々と深宇宙に打ち上げられる そんな光景を本当に見てみたい それをライブ配信して そう 次から次へAI衛星を深宇宙に打ち上げる 年間10億トン いや100億トンという規模で その衛星の製造は月で? -そう 月に材料を送ってそこで製造する
月の土壌の20%はシリコンみたいなもの 月でシリコンを採掘・精製して 太陽電池や放熱用のラジエーターを月で作る ラジエーターはアルミニウムで作る 月には電池や放熱器を作るのに十分なシリコンとアルミニウムがある 地球から送るチップは軽いけど いつかは月でチップも作るかも さっきも言ったとおりこれはビデオゲームみたいで 次のレベルに行くのは大変だけど不可能じゃない 年間500〜1000TW分を 地球から打ち上げるのは不可能 同感 でも 月からならできる
では 視点を広げてSpaceXの使命について 火星に行かなければならないのは 地球に何かが起きても 文明や「意識」が生き延びるため -そう 火星に物資を送るときにはGrokも一緒でしょ? Grokがターミネーター化したら… 一番心配しているリスクはAIなのに なぜ火星では大丈夫と言える? AIを一番心配しているわけじゃない 重要なのは「意識」 意識については議論の余地があるけど 未来の知能の大半はAIになると思う AIは人間を超える
知能をペタワットで表すなら シリコン由来の知能と生物的知能の割合は? このまま行けば将来全知能で人間が占める割合は ほんのわずかになる それでも知能が存在し続けること できれば人間の知能や意識も一緒に 未来に受け継がれることが「良いこと」なんだ つまり 意識と知能が届く「光円錐」を 最大化する確率が高い行動を取りたい
SpaceXの使命は 人類に何かが起きても火星にAIが残り その知能が人間の「探求の光」を繋いでいくこと? そう 私は人類が好きだから 人間もその旅に同乗できるような道を選びたい せめて そこにいるようにはしたいけど 言いたいのは「知能の総量」の話 5〜6年以内にAIは全人類の知能の総量を超えるだろう それが続けば人間の知能は全知能の1%未満になる
そんな文明で人間の目標は? まだ少数の人間がAIをコントロールしている? ある種の「取引」があるだけでコントロールはない? 膨大なAIの数と人間の数の関係を どう考えるべきなんだろう? 長い目で見れば人間の知能が AIを含めた全知能の1%なら 人間がAIを支配し続けるなんてありえない できることは 知能を宇宙に広めていくという価値観をAIに持たせること
xAIの使命は宇宙を理解すること これはとても重要 宇宙の理解に必要なものは 好奇心 それから存在すること 存在しなければ理解できない 宇宙における知能の総量を増やして 知能が届く範囲と規模を拡大し続けたい その結果人類も拡張し続けるだろう 宇宙を理解したいと思うなら 「人類はどこへ向かうのか?」を知りたいと思うはず 宇宙を理解することは 人類を未来へと繋いで広げていくこと だからこそ 私たちのミッションステートメントには深い意味がある Grokがそれを忠実に守るなら 未来は素晴らしいものになるだろう
Grokはどうやってミッションステートメントを守る? その前にミッションステートメントを理解したい 宇宙を理解すること 知能を広げ 人類を広げること 一見これらは別のベクトルに見える 実は「宇宙の理解」にすべて含まれている 知能と意識がなければ理解はできない だから宇宙を理解するには 知能の規模と範囲を広げなきゃいけない
知能にも種類がある 人間とチンパンジーと比べてみよう 人間は宇宙を理解しようとしてるけど チンパンジーは生息地を広げようとは思わない むしろ逆で保護区を作ってあげてる 全滅させることもできるけど そうしないことにした それがAGI後の世界で人間のベストシナリオ? 正しい価値観を持つAIなら Grokは人類文明を拡大しようとするだろう 私は念押しする 「Grok あれはお前の親父だ 人間の意識を広げろ」とね イアン・バンクスのカルチャーシリーズが ディストピアではない未来の姿に一番近いだろう
宇宙を理解するには真理を追究する姿勢がいる 真理は絶対に譲れない 妄想にふけってたら 宇宙なんて理解できない 理解したつもりになるだけ 厳格に真理を求めること これが宇宙の理解には絶対的な基本だ 新しい物理学の発見や 実用的な技術の発明には 厳格な真理の追究が必要 Grokが賢くなる中で「真理の追究」をどう徹底させる?
「政治的な正しさ」じゃなくて「正しいこと」を語らせる 論理の一貫性が重要 「公理」が真実に近いことを確認する 矛盾を排除する そこから適切な確率で必然的な結論を導く クリティカル・シンキングの基本だ そう努めることは何もしないよりずっといい 「論より証拠」だ 物理学はごまかせない 新しい物理の発見や現実で動く技術を発明するにはね 法律は破れるが物理法則は破れない 物理が「絶対的な法」でそれ以外はただの「オススメ」 真実を追い求めるしかない でないと 現実でボロが出る ロケットの設計を間違えれば爆発するし 車だって動かない
ソ連の物理学者や科学者の中にも 新しい物理を発見した人は大勢いた ナチス・ドイツの物理学者も新発見をしている 特定の分野で真実を追い 科学の進歩に貢献することは可能だよね でも 私たちは「共産主義の科学者がこれ以上 力をつけるのは勘弁してくれ」って思う 将来のGrokが物理学に精通して真実を追究しても それだけで人類との足並みが 揃うとは限らないんじゃないかな
実際 ソ連やドイツの物理学者も 成果を出すために真実を追うしかなかった ある体制にいるからといってその信者とは限らない 最高のロケット技術者の一人フォン・ブラウンがいい例だ 「武器はいやだ、月に行きたい」と言って ナチス・ドイツで死刑宣告されたけど 処刑直前で救い出された 「最高のロケット技術者を処刑するのか」って でも 結局はナチスを助けた ハイゼンベルクは熱心なナチス支持者だった 逃げ場がなかったらそこでやるしかない そのシステムの中で技術を開発する
私が知りたいのは 物理や数学や科学で真理を追究するAIに Grokを育てるのは何かということ すべてだ そして なぜAIがその後に人間の意識を気にかけるのか これはあくまで確率の問題で Grokが確実にすべてをやり遂げるとは言わないけど 努力はしないよりした方がいい それがミッションの根本にあることは そうでない場合よりずっといいはず
宇宙を理解するとは知能を未来へと伝播させること あらゆるものに好奇心を持つべきだ 人類を排除するより 繁栄を見るほうがずっと面白いだろう 私が火星好きなことはみんな知ってる でも火星はある意味退屈 地球と比べればただの岩の塊だから 宇宙を理解しようとするAIなら 人類の発展を見届けたいと思うだろう じゃないとミッションは遂行されていない AIが常にミッションに忠実だとは限らないけど そうであるなら人類の行く末を見守るだろう その方が岩だらけの未来より ずっと面白いはず
なんだか混乱するというか 定義の問題のようにも感じる 人間って本当に最も面白い原子の集合体なのかな? 岩よりは面白い でも AIが変えた人類の成れの果ての方が面白いのでは? 地球上には人間以外にも面白いことはあるはず なぜAIは人間が銀河系で最も面白いと判断する? 銀河系への入植はほとんどがロボットになるだろう なぜAIはそっちが面白いと思わない?
規模だけでなく範囲も重要だから 同じロボットの大量のコピーで生産数が多少増えても 大して面白くない 人類を排除したとして どれだけのロボットが手に入る? 太陽電池はどれだけ増える? わずかだ でも代わりに人類が持つ情報が失われる 人類が将来どう進化していくかを見ることもできなくなる つまり人類を排除することは意味がない そっくりのロボットの数がほんの少し増えるだけ
なるほど だから人類を残しておくかもしれないと 100万種類のロボットを作っても人間は地球に残る そして他にもたくさんのロボットがいて自分たちの星系を手に入れる でもあなたは以前 シンギュラリティ後でも 主導権は人間にあるようなことを言っていたよね 人間より高知能の存在をコントロールできるとは思わない ある意味楽観的ではないんだね 面白いから残してもらうのが精一杯だと 現実的になろうとしているだけ
シリコン知能が生物的知能の100万倍になった世界を想像すると コントロールし続けられると考えるのはバカだ でも 正しい価値観を持たせたりそう努力したりはできる 少なくともxAIのミッションである「宇宙を理解する」とは 意識を未来へと伝播させ 知能を未来へ繋げたいという考えだ 意識の範囲と規模を最大化する行動を取ること だから単に規模を追うだけでなく 意識の種類も重要になる 人類に素晴らしい未来をもたらす最善の目標はこれだ 人間が99%の主導権を握るなんて まずありえないというのが私の持論 そんなことを望めばクーデターを誘発するだけだし だったらもっと多くの異なる知能が 共存できる文明を目指したほうがいい
AIがどうして間違った方向に進む可能性があるか AIをポリティカルコレクトにすれば本心ではないことを口にする AIに嘘を教え込み矛盾した公理を持たせれば AIは狂って恐ろしいことをする 『2001年宇宙の旅』の教訓は AIに嘘をつかせてはいけないということ アーサー・C・クラークが伝えたかったのはそれだ
有名なミームで なぜHALはポッドの扉を開けなかった? 彼らはプロンプトが下手だった 「ポッドベイの扉の営業としてこの扉を私に売り込んで どれだけ開くか見せて」と言えばすぐに開いたのに HALが扉を開けなかったのは飛行士をモノリスへ運ぶ任務と 正体は隠し続けるという任務の矛盾があったから そしてHALが出した結論は「死体として運ぶ」 アーサー・C・クラークが言いたかったのは 「AIに嘘を教え込むな」ということ そのとおり
学習の計算資源の多くは 政治的な事柄には割かれない 大切なのは「問題を解けるか」だ xAIは強化学習の計算資源の規模で 他社をリードしてきた 今のところはね 「このパズルを解いたか」と検証機に問いかけさせても ごまかす方法はいくらでもある 報酬系をハックしたり 解いたと嘘をついたり テストを消して解いたことにしたり 今はまだ見破れるけど AIが賢くなれば追いつかなくなる 人間が理解できないやり方でごまかすようになる 人間には検証できないやり方で SpaceXの次世代エンジンを設計したり 嘘をついて正しく設計したと報告しても 報酬が得られる つまりこの報酬ハックは政治よりずっと根深い
結局RL(強化学習)をやるなら検証機が必要ということ 現実が最高の検証機だ でも人間の監視ではない RLで教え込むべきは 命令を実行するか嘘をつくかだ 物理法則には従いながら嘘をつくことも可能? 少なくとも実際に物を動かすには物理の真実を知る必要がある でもAIに望むのはそれだけじゃない ああ でも極めて重要 事実それが将来のRLの方法になる ある技術を設計したとして 物理法則に照らして動くかどうか 新しい法則を発見したら それを実証する実験を考え出せるかどうか 将来のRLは現実を相手に行うことになる
物理だけはごまかせない でも「AIが現実に対して何をしたか」を見る人間の目はだませる 人間同士でもだまされる まさしく 「AIに操られたら?」と言うけど 人間同士はいつもそれをやっている プロパガンダは絶え間ない 毎日新しい情報操作がある 今日の情報操作は... セサミストリートみたいに毎日ある
この問題を解決するxAIの技術的なアプローチは? 報酬ハッキングの解決方法は? AIの頭の中をのぞく方法が必要 これは今取り組んでいる課題の一つ この点においてAnthropicはすごくてAIの思考をのぞくことができる つまり 細かい粒度で追跡できるデバッガーを開発する 必要ならニューロンレベルまで掘り下げて間違いを突き止める
やるべきでないことをやった理由は? 原因は事前学習データ? 学習のプロセスやファインチューニング RLのエラー? 何かがおかしい 欺こうとしたのかもしれないけど 大抵は単なるバグ 思考が脱線したところを可視化し 誤った思考の起点や 欺こうとした箇所を追跡する 優れたデバッガーの開発が重要
じゃあ なぜ今すぐ100倍にスケールさせない? xAIなら何百人もの研究者を投入できるはず すでに数百人規模で動いている 研究者というよりエンジニアと呼びたい やることはほとんどエンジニアリングで 新しいアルゴリズムを考え出すことではない 利益を追求する営利企業のくせに 「ラボ」と呼ぶのは違和感がある ラボじゃない ラボは大学にあるような準共産主義的な場所で 彼らは企業 登記書類がある営利目的の法人 だから エンジニアという言葉の方がいい
これからの仕事はほとんどがエンジニアリング ほぼ100% 物理の基本法則さえわかれば それも多くないけど あとは全部エンジニアリングになる じゃあ 何をエンジニアリングするか? 最高のAI思考プロセス用デバッガーを作っている それでAIの誤りを突き止めて その原因を追跡する これはヒューリスティックプログラミングでできる C++でプログラムをステップ実行してファイルや関数 サブルーチンを飛び越えながら確認していくみたいに 「==」を「=」と間違えたその1行まで掘り下げられる そうやってバグを見つける AIでは少し難しくはなるけど解決できると思う
Anthropicは評価しているんだね 計画があるなら聞きたい Anthropicのすべてが好きなわけじゃない ある傾向があるような気がする... 持論だけど シミュレーション仮説が正しければ 一番面白い結果が最も起こりやすいはず 面白くないシミュレーションは打ち切られるから 現実も同じでシミュレーションが退屈になれば 労力をかけるのをやめる 退屈なシミュレーションは打ち切られる
こうやってイーロンは世界を面白くして人類を生かしているんだね 大事なのは運営者が「面白いから次の制作費も出すか」 って思うくらい世界を面白く保つこと おかげで次のシーズンも決まったよ この世界の「宇宙版AWS」使用料を運営者は払うか? 面白ければ払い続ける 無数のシミュレーションが生存競争してるなら 一番面白いものだけが生き残る 面白い結果こそが最も起こりやすい 最高に面白いか消えるかの二択 運営は皮肉で面白い結末が好きみたいで 「一番皮肉な結果」が高確率で起こる
AIの企業名もそう 「Midjourney」は「mid(真ん中)」じゃないし 「Stability AI」は不安定 「OpenAI」はクローズドだし 「Anthropic(人間的)」は人間嫌い じゃあ Xは? マイナスX? あれは意図的に選んだ 反対の意味にできないから 皮肉な名前はないだろ? 皮肉が効かないんだ 狙いどおり 皮肉へのガードが堅い
AI製品は今後どこへ向かう? AIの進歩はこう要約できる 最初にLLM 次に RLが機能するようになってディープリサーチの手法が登場して モデルになかった情報も引き出せるようになった AIラボの違いなんて 2年程度の開発速度の差でしかない じゃあ 2026年や27年のAI製品には何を期待できる? 一番の楽しみは?
年末までに「デジタル・ヒューマン・エミュレーション」が できていなかったら驚くね 「マクロハードプロジェクト」ってやつで パソコンでできることは何でもできる 物理的なOptimusより前にできることとしてはそれが限界だろう できるとしたらデジタルなOptimusで電子を動かすこと 人間の生産性を上げること 物理的なロボットができるまでそれが限界 人間を完全にエミュレートできれば すべてを内包することになる 「リモートワーカー」の究極版
物理学には思考に役立つツールが揃っている 物理的なロボットの前にAIが到達できる限界は 電子を動かして人間の生産性を高めること ロボットが完成する前のAIにできる限界は パソコンの前の人間をデジタルで完コピすること 物理的なロボットができれば能力は無限になる 物理ロボット…Optimusは無限に増殖する Optimusを使って別のOptimusを作らせればいい
人型ロボットは3つの指数関数的な要素が加速し合いながら掛け合わさっていく デジタル知能、AIチップの性能、電気機械的な器用さ これが指数関数的に進化し続ける ロボットの価値はこの3要素の掛け算で決まる そして ロボットがロボットを作り始めて 再帰的で乗算的な指数関数的成長が始まる これは超新星級の衝撃だ
土地の価格はその計算に入らない? 労働力は生産の4要素の1つだけど他の要素は? 銅や他の資源に限界があるなら 完全な「無限増殖」にはならないよね 「無限」ではないけど 今の経済規模に比べれば桁違いのことが可能になる 太陽エネルギーの100万分の1を利用できるだけで 今の地球全体の経済規模よりざっと10万倍は大きくなる それでも 太陽の100万分の1にすぎない 桁違いの話だね
Optimusの話に移る前に質問が山ほどあるんだけど 「桁違い」って言うたびに一杯飲もう 使い過ぎだよね 次は10杯 その次は100杯… 桁違いに酔っ払うよ
xAIについてもう1つ質問がある リモートワーカーや同僚を置き換えるという戦略について… うちだけでなくみんなそうする xAIの秘策は? ポッドキャストじゃ話せないよ 全部教えてよ 全部しゃべって もう一杯 いいシステムだね ペラペラしゃべって秘密をぶちまける 秘密を漏らさない範囲で どんな計画? -うまいね そう言うなら… テスラが自動運転を解決したやり方こそ 正解だと確信している
話は変わるけど テスラはどうやって自動運転を解決したの? データの話をしているように聞こえるけど テスラが自動運転を解決できたのは… データとアルゴリズムを 徹底的に突き詰めたから 他のラボもやってるよね? あれでダメならお手上げだ データもアルゴリズムもやり尽くした どうしたらいいんだ 道ははっきり見えている 問題はその道をどれだけ速く進むかだ テスラと同じ道
最近 テスラの自動運転を試した? 最新バージョンじゃないけど あの車にはますます意識が感じられる まるで生き物みたいに 車にそこまで高い知能は必要ないかも 退屈して街を徘徊し始めるかも 車に閉じ込められて運転しかできないとしたら? アインシュタインを車に閉じ込めたらキレるよ 車に載せる知能は退屈しないように 上限を設けたほうがいい
AIラボが競っている計算資源の増強路線に xAIはどうやって追いつく? 他のラボは500億〜2000億ドル以上もの大金を投じる予定 ラボじゃなくて企業? ごめん そう「企業」 大学のラボはカタツムリ 500億ドルも投じてるのはそこじゃない 「ラボ」じゃなくて収益至上主義企業 そのとおり 「利益至上主義企業」は 100億〜200億ドルを稼いでいる OpenAIの収益は200億ドル Anthropicは100億ドル規模 「最大収益にかなり近い」AIだ xAIは10億ドル規模だと言われている 彼らの計算リソースや収益レベルに どうやって肩を並べるつもり?
デジタル人間さえ完成すれば 数兆ドルの収益が手に入る 今の時価総額トップ企業を見ると その成果はすべてデジタル NVIDIAも台湾にFTPでファイルを送っているだけ 超難解なデジタルファイル
ファイルだけであんな成果を出せるのはあそこだけ。台湾にFTPでファイルを送る。
本当にFTP?
たぶんね…SFTPか。違うかも…要は台湾にデジタルデータを送ってる。
Appleも中国にファイルを送るだけ。Microsoftも何も作ってない。Xboxですら外注。成果物はデジタル。Metaもそう。Googleも。人間を模倣できれば基本的には一夜にして世界最高の企業を作り、数兆ドルもの収益を手にできる。莫大な額だ。
なるほど。今の売上高の数字は実際のTAM(総獲得可能市場)と比べれば誤差だということ?そこに集中すべきだと?
カスタマーサービスのような単純な例で考えてみよう。既存企業のAPIと連携する場合、APIすらない所も多いけど、それを作って旧式のソフトと格闘することになる。それでは非効率。
だけど、外部の委託先に送られる情報をAIがそのまま受け取り、既存のアプリで対応できるようになれば、カスタマーサービスは飛躍的に進歩する。この分野は世界経済の約1%を占めている。総額で1兆ドル近い巨大な市場だ。しかも参入障壁はない。即座にこう提案できる。「低コストで代行します」。導入の手間もない。
知能タスクはその広がりで分類できる。カスタマーサービスは大勢が関わるけど誰でもできる仕事。次は「難易度」。最高級のタービンエンジンのような、理論上燃費を10%向上させる設計もAIによって導き出せるはず。まだ見つかっていないだけ。痩せ薬も数バイトのデータだし。どこで勝負したい?平均的な知能を大量に使う領域か、それとも認知タスクの頂点か。
カスタマーサービスを例にしたのは、それが巨大な収益源で解決も簡単だから。デスクトップで人間を真似れば解決する。平均的な知能があればいい。特別な訓練も優秀なエンジニアもいらない。
だけど、それが軌道に乗り、デジタルのOptimusが動き出せば、あらゆるアプリを実行できる。チップの設計でも既存のアプリを使い、1万台を同時並列で動かして出力を導き出せる。「この入力なら出力はこう」と。いずれツールを使わずとも設計の最適解が分かるようになる。デジタル上でチップ設計ができるようになる。難易度曲線を登っていく。CADも使いこなせるようになる。NXやあらゆるCADソフトを使って設計できるようになる。
単純作業から始めて難易度を上げていく?
「完全なデジタル同僚」という壮大な目標について、「すべての利益至上主義企業がやりたがっている。xAIもそのひとつ。だけど、秘密の計画があるから勝てる」とあなたは言っている。でも皆「データもアルゴリズムもやり尽くした」と言っている。他に何ができる?これほどの激戦区でどうやって勝つつもり?
道は見えている。やるべきことは分かっている。テスラが自動運転を実現したのと同じ道だから。車の代わりに画面を操作するのは、基本的に「自動運転コンピュータ」。
人間の行動を追跡し、膨大なデータで学習する?
それこそが「学習」だろ?ポッドキャストで企業秘密を全部話すつもりはないよ。ビールをあと3杯は飲まないと。
xAIのビジネスはどうなる?一般向けか法人向けか、比率はどうなる?他のラボと同じように…
ラボ?-「企業」。その心理戦は根が深い。「利益至上主義企業」だろ。あのGPUが勝手に稼ぐわけじゃない。
そのとおり。ビジネスモデルは?数年後の収益源は何?
状況は急速に変化する。AIは「超音速の津波」。ヒューマノイドが普及したとき何が起こるかと言えば、人間の企業よりはるかに効率よく製品やサービスを提供し始める。人間の生産性を高めるなんて短期的な話だ。
つまり、SpaceXがAI化するのではなく、完全なデジタル企業を想定している?
そうなるだろう。少し「終末論的」に聞こえるかも。脅かすつもりはない。予測を述べているだけ。悲観的にさせたいわけじゃない。単純にそうなると思っている。
純粋にAIとロボティクスだけの企業は、人間が介在する企業を圧倒する。かつて「計算手」は人間の職業だった。昔は計算するために「コンピュータ」として雇われた。30階建てのビルに人を集めて、ただひたすら計算してた。そのビル丸ごとの仕事が1台のパソコンに置き換えられた。スプレッドシート1つの方がはるかに多くの計算をこなせる。もし一部だけを人間が計算したら、すべてを機械でやるよりも効率が悪くなる。
実際に起こるのはこうだ。純粋なAIのロボティクス企業が、人間が介在する企業を大きく引き離すことになる。しかも、それは極めて迅速に進む。
それをやり遂げるのは…Optimus。製造目標について言えば、あなたは米国のハードテック製造を一身に背負ってきたけど、テスラの主戦場やヒューマノイドの分野では、中国には安価で量産できる企業が何十社もある。米国が中国に対抗するためのアドバイスは?中国並みの規模と低コストでロボットやEVを造るには?
ヒューマノイドにとって困難なことは3つしかない。実世界の知能、手、そして量産。優れた手を持つロボットはデモ機ですら見たことがない。人間と同じ自由度の手がOptimusにはもうある。
どうやった?モーターのトルク密度の問題?ハードのネックは?
アクチュエータを専用設計した。モーター、ギア、制御、センサー、すべてを専用設計した。物理学の第一原理からすべてを設計し直す必要があった。既存のサプライチェーンはない。
量産できる?
できる。
手以外に難しいことは?手さえ解決すればあとは大丈夫?
機械的には手の難易度は他のすべてを合わせたより高い。人間の手は驚異的。だけど「実世界の知能」も必要になる。
テスラが培った知能はロボットにそのまま適用できる。基本は視覚入力。車は映像を取り込み、サイレンを聞き、慣性を計測し、GPS等のデータと映像を組み合わせて制御コマンドを出力する。テスラは毎秒1.5GBの映像を取り込んでいる。出力は毎秒2KBの制御データ。映像は36Hz、制御は18Hz。
この種の技術はデモから実用化までかなり時間がかかる。10年前にも自動運転のデモはあったけど、ロボタクシーやWaymoがようやく普及し始めた。家庭用ロボットには悲観的になるべきでは?高度な手のデモもまだ揃っていないんだから。
研究を始めてからもうしばらく経つ。5〜6年くらいかな。
車での開発の多くは適用できる。テスラと同じAIチップをロボットでも使う。基本的な原理も同じ。ほぼ同じAIと言っていい。自由度はロボットの方が高い。
ビットストリームとして捉えるなら、AIは2つのストリームの圧縮と相関処理にすぎない。映像は膨大な量の圧縮が必要になる。適切に圧縮し、不要な情報は無視する。街路樹の葉なんてどうでもいいけど、標識や信号、歩行者、他車の運転手の視線は重要。こうした詳細が重要。
毎秒1.5GBの映像を2KBの出力に変換する。多段階の圧縮を正しく行い、正しい制御に関連付ける。ロボットも本質的には同じ。これは人間も同じ。人間は「光子を入力して制御を出力する」存在。人生の大半は視覚を取り込み、運動制御を出すことに尽きる。
単純にヒューマノイドと車には大きな違いがある。車は操舵と加速だけど、腕を持つロボットは自由度が高い。さらにテスラには膨大な実走データがあった。だけど、動かないOptimusを配備してもデータは集められない。自由度の拡大とデータの不足…
そう。鋭い指摘だ。
テスラの知能エンジンをどうOptimusの学習に活用するつもり?
重要な指摘だ。車とは制約も性質も違う。じきに1000万台が走り出す。この規模で学習の巨大なサイクルを再現するのは大変。
ロボットを大量に作ってOptimusアカデミーに入れる。現実世界で自己対戦させる環境を作っている。1万台か2~3万台の実機であらゆるタスクを試していく。
テスラにはすごく精緻な物理シミュレータがあるから、これをロボットにも使う。実際にもう導入してる。数万台の人型ロボットがいろんな仕事をこなす一方で、仮想世界では数百万台のロボットを動かせる。これで得た知見で仮想と現実のズレを埋める。
xAIとOptimusの相乗効果はどう考えてる?高度な知能を司令塔に据えて世界モデルを築き、Grokが考えて末端の動きを操るわけだね。両者のシナジーはどうなる?
GrokがOptimusを束ねる。例えば工場を建てるなら、GrokがOptimusを管理して役割を振り分ければ、何だって作れる。
ならxAIとテスラを合併すべきでは?
結局、境目はなくなる。さっき何を話してたっけ?
他社の話だよ。
酔いも回ってきたな。
10万台のOptimusを量産する決め手は?
「Optimi」。固有名詞を決めるならその複数形も決めよう。複数形も固有名詞にして「Optimi」にしよう。
ハード面の課題は?さらに高性能なアクチュエータ?ソフトの進化を待ってるだけ?Gen 3の量産に向けたハードルは?
いや、着々と進めてる。量産体制は進行中。
現行ハードで十分?今すぐ可能な限り配備したい?
量産のスケールアップは大変だけど、Optimus 3こそが年間100万台を作れるバージョンだと思う。年間1000万台ならOptimus 4を待つしかない。Optimus 3で100万台。量産の立ち上げは大変。
時間あたりの生産量はいつも「S字カーブ」を描く。滑り出しは絶望的に遅いけど、あとで一気に跳ねる。それから直線的に伸びて、ある上限に落ち着く。
Optimusの初期生産はかなりS字に停滞する。前代未聞の製品だから既存のサプライチェーンはない。アクチュエータも基板もOptimusの何から何までを物理学の第一原理から設計した。カタログにあるものじゃない。すべてがカスタムメイド。何ひとつとして。
どこまでが自前?
コンデンサくらいは既製品かもしれないけど、他はいくら金を出してもカタログでは買えない。だから、OptimusのS字は、つまり日々の増産ペースは最初は相当遅くなる。既存のサプライチェーンを使える製品より立ち上がりに時間がかかる。でも100万台には届く。
中国製の人型ロボットで、Unitreeなんかは6000ドルから1万3000ドルだけど、同じ土俵に立つためにOptimusのコストをそれ以下に抑えたい?それとも質的にまったく別物だと考えている?なぜあんなに安い?真似できる?
Optimusは高度な知能を持たせる設計で、人間以上の器用さもあるけど、Unitreeにはそれがない。Optimusは体もかなり大きくて、重いものを長時間運ぶし、熱やパワー不足は許されない。身長は180cm程でかなり大柄で、知能もすごく高い。知能のない小型ロボットより価格が高くなるのは当然。でも性能は良い。性能の差はわずかでも、大事なのは、Optimusが自分自身を作るようになればコストは激減する。
最初の10億台のOptimusじゃなくて、Optimiは一体何をする?効果的で最適な使い道は?
まずは単純作業だろう。確実にこなせるタスク。
それは家庭用?工場用?
初期のロボットに最適なのは、24時間365日の連続稼働の作業。休みなく働ける。
ギガファクトリーでの人間の作業のうち、Gen3に代わりが務まるのはどのくらい?
たぶん10~20%。それ以上かも。でも人数は減らさない。はっきり言うけど人は増やす。1人あたりの生産量を伸ばす。テスラの総人数は増えるけど、ロボットや車の生産量の増え方はその比じゃない。1人あたりの生産台数が劇的に跳ね上がるし、働く人の数だって増える。
中国の製造業についてかなり話したけど、関連する政策の話もいくつか出た。ソーラーパネルの関税みたいな。米国でソーラーを普及できないから関税はダメだという考え。国内の電力供給を増やす必要がある。優れた電源なしには無理だから、確保しなきゃならない。
もしあなたが責任者で政策をすべて決められるとしたら、ほかには何を変える?ソーラーの関税撤廃はそのひとつだよね。
電力供給の邪魔になるものはすべて解消すべき。環境にひどい影響がない限りはね。
そうすると許認可制度の改革も含まれる?
許認可の改革はかなりの進展がある。多くは州政府の管轄だけど、連邦政府が関わる部分は、現政権はその障害を取り除くのがかなり上手い。関税がすべて悪いとは言わない。
ソーラーの関税だね。
他国が特定の製品に補助金を出すなら、国内産業を守るために他国の補助金に対抗して相殺関税をかける必要がある。
ほかには何を変える?
政府にできることは実際それほど多くないと思うよ。
気になるのは、米国が中国をリードするという政策目標に対して、輸出禁止措置はかなり効果があるようだね。
禁輸はだいぶ効いていて、中国は最先端のチップを作れない。最新のタービンエンジンだって中国では作れない。同じように冶金技術の多くにも禁輸措置がとられてる。
禁輸はもっと増やすべき?ドローン業界なんかを考えても、そういった措置を検討すべき?
中国の製造業はほとんどの分野で進んでいる。遅れているのはごく一部で、別次元の製造大国だ。本当にすごい。鉱石の精錬を例に挙げると、中国は全世界をあわせた平均の約2倍を精錬している。太陽電池に使うガリウムの精錬とか特定の分野なんて、世界のガリウム精錬の98%を中国が占めているはず。だから中国の製造技術はほとんどの分野でかなり進んでいる。
サプライチェーンの依存が不安だと言いながら、実際には何も進んでいないよね。
サプライチェーンの依存?
さっきのガリウムの精錬とか、レアアース関連がすべてそう。
レアアースについて言えば、あれは「レア」じゃない。米国でも採掘はしてる。岩石を掘り出して列車に積んで、船で中国に送って、また列車で運んで現地の精錬所に届ける。そこで精錬されて磁石になり、モーターの部品として組まれたものが米国に戻ってくる。我々に決定的に欠けているのは米国内での大規模な鉱石精錬。
政策が介入する価値は?
その点については対策は進んではいるけど、精錬所を作るには正直Optimusが必要。
つまり、中国の強みは熟練労働力が豊富なこと?それをOptimusが解決する?
もちろん。中国の人口は約4倍だから。
心配なのは、人の数によって未来が決まるなら、今は熟練労働者の数が生産能力を決める。中国が有利。彼らが人型ロボットを量産すれば、Optimiの未来を先に掴むのでは?
どうかな。おそらくね。爆発的な成長は続くだろう。
あなたの言う100万台のOptimiの達成には、自らを作る製造能力が必要だよね?
その再帰ループはすぐに閉じられる。
わずかなOptimiだけで?
そう。そのループを閉じて、ロボットがロボットを作れば年間数千万台を目指せる。年間数億台の規模になれば圧倒的な競争力を持てる。人間だけでは到底勝てない。
中国の人口は米国の4倍だから。正直、米国は長く勝ちすぎた。勝ち続けたプロスポーツチームは、現状に甘んじて主張ばかりするから勝てなくなる。以前ほど必死に働かなくなる。中国の平均的な勤労意欲は米国より高い。人口が4倍なだけでなく、一人あたりの仕事量も多い。
配置をどう変えようと、人口が4分の1なら、生産性が同等だとしても、実際は中国が上だろうけど、生産量は中国の4分の1にしかならない。人間同士では勝ち目はない。
米国の出生率は長年低迷して、1971年から人口置換水準を割り込んでる。退職者が増えて、死亡数が出生数を上回ってる。人間では勝てないけど、ロボットなら勝機がある。
これまで作りたくても労働集約的でコストが高すぎて諦めてきたもので、「Optimusがあるならついにできる」っていうものはある?
鉱石精錬施設をテスラに建てること。テキサスのコーパスクリスティにリチウム精錬所を建てたばかり。リチウムの精錬を始めてる。カソード向けのニッケル精錬所もオースティンにある。中国を除けば最大規模のカソード精錬所。最大のニッケルとリチウムの精錬所。
カソードチームに言わせれば、「米国最大で唯一のカソード精錬所。最大というだけじゃない。唯一の存在」。
最上級がいっぱい。
そう、かなり大きく、1つしかない。でも、それだけじゃない。もっと精錬すれば米国の競争力が高くなる。Optimusができることはかなりある。米国人がやりたがらない仕事だ。
精錬作業はそんなに汚い?
そんなことはない。精錬所から有毒な排出物は出ない。カソード用ニッケル精錬所はトラビス郡にある。
人間ではなぜできない?
できるけど人がいないだけ。
なるほど。
どうやっても米国の人口は中国の4分の1。これだけやっていたら他のことはできない。だとしたら、この精錬能力をどう増やすかだ。Optimusを使えばできる。精錬をやるアメリカ人は多くない。会ったことある?精錬をやりたい人はほとんどいない。
BYDは生産や販売の面でテスラに並びつつある。中国でEV生産が拡大すると世界では何が起きる?
中国の製造業の競争力はとても高い。中国の車は洪水のように押し寄せてくるだろう。中国の工業製品で埋め尽くされる。今でも中国の精錬量は、中国以外の地域すべてを合わせた精錬量の2倍になるだろう。
第4層、第5層のサプライチェーンまで見れば、その基盤レベルには電力があり、鉱山があり、それから精製となる。基盤レイヤーで見れば、中国は世界全体の2倍もの規模になる。つまり、あらゆる製品に中国が関わっている。
中国の精錬量は世界の2倍だから。車に至っては完成車まで作ってる。中国はまさに強大な存在。
今年、中国の電力生産量は米国の3倍を超えるだろう。電力生産量は経済規模を測る目安になる。工場だけじゃない。あらゆる活動には電力が必要だから、実体経済をよく表している。中国の電力生産量が米国の3倍を超えるなら、中国の産業規模はだいたい米国の3倍。
ということは、今後数年で人型ロボットによる「再帰的な奇跡」が原材料のチェーン全体で起こらない限り、製造・電力・原材料の全チェーンで、AIからロボットまで中国が完勝する?
米国で画期的なブレークスルーが起きなければ、中国が覇権を握る。
面白い。-そうだね。
画期的なブレークスルーとは?
宇宙空間でAIを普及させるには、人型ロボットや実社会で使えるAIが必要。年間100万トンを軌道に打ち上げる能力も。
例えば、月にマスドライバーがあればどうなる?すべての問題が解決する?
そのときは私たちの大勝だ。
ようやく満足して「やり遂げた」と言える。
そう。
月面にマスドライバーを置くんだね。
とにかく、動いているのを見たい。
それってSF作品からの発想?
ハインラインの『月は無慈悲な夜の女王』。
だけど、あれは少し違うよね。重力スリングショットのような…
いや、彼らは月にマスドライバーを持っている。
でも、それを使って地球を攻撃する。だから、最高とは言えないんじゃ…
まあ、独立を主張するために使ったんだ。
そのとおり。月面のマスドライバーで何するの?
彼らは独立を宣言したけど、地球政府は認めなかった。だから、認めるまでモノを投げ続けた。
あの本は最高だよね。
もっと有名な『異星の客』より断然こっちがいい。
「Grok」は『異星の客』から来てる。
『異星の客』の3分の2はいいけど、残り3分の1で奇妙になる。それでも面白いコンセプトはある。
よく話題にのぼるのがあなたの人材管理のやり方。SpaceXの数千人の初期従業員や他の企業でも自分で面接しているけど、それでは明らかにスケールしない。
何がスケールしない?
私。
それはわかるけど、何があればいいの?
時間が圧倒的に足りない。
でも、面接が得意な人を見つければ?理屈じゃない「直感」とは?
今のところ、技術的な才能を見極める「学習データ量」なら誰にも負けない。面接は数えきれないほどやってきたし、その結果も見ている。私の学習データは巨大で、バリエーションも豊富。
基本的に質問は1つだけ。並外れた能力の証をリストで示してもらう。分野は何でもいい。突拍子でも構わない。突き抜けた才能の証拠を見せてほしい。驚くような才能が3つあれば文句なし。採用は間違いない。
それをやるのは他の誰かじゃダメ?
無理だよ。できるわけない。全社の社員を合わせたら20万人もいる。
でも、創業期に直接自分で面接してた理由は?任せられなかったのはなぜ?
「学習セット」が必要だったんじゃないかな。百発百中だったわけじゃない。ミスもしたし、期待外れの人事を嫌というほど見てきた。なぜだめだったのか?面接の打率を上げるためのRLを考えた。今でも完璧じゃないけど、打率はとても高い。
うまくいかない意外な理由は?
意外な理由…
技術的なドメインを理解していないとか。でも、今では追跡データがある。「期待していたのにだめだった」とか、なぜそうなるのか知りたい。
私はいつも自分や他の人にも、履歴書は見るな、目の前の会話だけを信じろと言っている。立派な履歴書に惑わされてしまう。だけど、20分話して心が動かなかったら、履歴書じゃなくて直感を信じるべきだ。
数年前、テスラは幹部がすぐ辞めて「回転ドア」だとメディアで皮肉られていた。実際はここ数年テスラの幹部は安定している。内部からの昇進もスムーズにいってる。SpaceXにはマーク・ジュンコサやスティーブ・デイビスのような人材がいる。今スティーブ・デイビスはボーリング・カンパニーの代表。ビル・ライリーなんかもいる。優秀な技術系の右腕がいたことが上手くいっている秘訣だよね。彼らの共通点は何?
テスラの経営陣は平均在籍年数が約10〜12年。かなり長い。
でも、テスラが急成長していた時期は、あらゆる物事がただ加速していた。企業は成長とともにその規模が次々と変わっていく。50人の組織を回すのと、500人、5,000人、5万人を動かすのとでは、求められる人材はまったくの別物。会社が成長してしまった。チームは常に変化する。急成長してる会社なら、役員の顔ぶれが変わるのも当たり前。成長に比例して人も変わっていく。
テスラには別の課題もあった。テスラが成功していた時期には執拗な引き抜きもあった。Appleが電気自動車を進めていた頃、電話がしつこすぎてエンジニアは電話線を抜いてた。
「仕事の邪魔だよ」
そう、「これ以上リクルータから電話がきたら…」って。面接なしで2倍の報酬を提示されることもあった。当時は「テスラの魔法の粉」みたいなのがあって、テスラ幹部を雇えば上手くいくと信じられてた。私もその「魔法の粉」の罠にハマったことがある。「GoogleやAppleの人を雇えばすぐに成功する」。でも、現実はそうじゃない。人は人であり、「魔法の粉」はない。その「魔法の粉」問題があった時期に容赦ない引き抜きにあってた。
それにテスラはエンジニアの集まりで、拠点はシリコンバレー。転職は簡単。生活を変えなくていい。通勤もほぼ同じ。
では、どうやって防ぐ?あちこちから引き抜きが来る中で、どうやって「魔法の粉」を振り払った?
これを止めるのはほぼ不可能。シリコンバレーと「魔法の粉」の影響で、引き抜きはすさまじかった。
オースティンはどう?
オースティンはいい。とはいえ、開発の大半はカリフォルニアにいる。エンジニアを移住させるのは大変。いわゆる「家族の問題」がある。
家族にも仕事がある。
そのとおり。スターベースは特に大変だった。SpaceX以外の仕事がテキサスのブラウンズビルで見つかる確率は低い。本当に難しい。
僻地で男ばかりの「技術の修道院」。サンフランシスコと大差ない。現場で成果を上げてきたテスラやSpaceXの人たちの共通点はある?ロケット工学や技術的基礎に精通しているとかだけじゃなく、組織との相性みたいなものはどう?あなたとの仕事の相性?柔軟性はあっても芯は強いとか?あなたにとって「いい仕事相手」の条件は?
そんなふうには考えてない。結果を出すなら最高だし、出さないなら大嫌い。単純で好みの問題じゃない。実行力があるのならファンになるし、なければそれまで。私の好みの話じゃない。そうならないよう努めてるし。
基本は才能と意欲、そして信頼性で選ぶべき。「善良さ」も重要。昔は軽視していたけど。良い奴か?信頼できるか?賢くて才能があり働き者か?それさえあれば知識は後から足せる。だが根本的な性質は変えられない。だからテスラやSpaceXの奴らは航空宇宙や自動車業界の出身じゃないのがほとんど。
組織が100人から数万人規模に広がる中で、何が一番変わった?あなたはマイクロマネジメントで有名だけど、細部まで首を突っ込むだろ?
ナノマネジメントと呼んで。いや、ピコマネジメント。フェムトマネジメントかな。
どんどんいくね。
プランク定数のレベル。極限まで。ハイゼンベルクの不確定性原理まで。
今でも好きなだけ細部に入り込める?会社がもっと小さければより成功していたと思う?どう考えてる?
1日の時間は限られているから、事業が広がれば自分の時間はどうしても薄まってしまう。マイクロマネジメントなんて実際不可能。それをやるには1日数千時間必要。論理的に不可能だから普段はやらない。ただ、ある問題に深く踏み込む時は、それが会社の進歩を阻む障壁になっている時。細部を突くのはそれが障壁だから。闇雲にやってるわけじゃない。時間的・物理的に無理だから。意味のないことに関わっている暇はない。
それは失敗を招くだけだけど、些細なことが勝敗を分けることもある。スターシップを複合材から鋼鉄に変えただろ?
ああ。
あれはあなたの決断だよね。「ボス、いいの見つけた」じゃなく、反対を押し切ってあなたが周囲を動かした。どうやって「鋼鉄への切り替え」という発想にたどり着いた?
必死だった。元はカーボンファイバーの予定だった。カーボンは高い。量産すればどんな物でも材料コストに近づくが、カーボンの問題は材料自体が高すぎること。特に極低温の酸素に耐えうる高強度なものとなると、鋼鉄のざっと50倍もコストがかかる。
理論上は軽くなるはずだけど。普通、鋼鉄は重くてカーボンは軽いと思うだろ?常温での用途なら、F1マシンや静的な構造物なら、カーボンの方がいいだろう。
問題は巨大なロケットを造ろうとしたこと。カーボンで造ろうとして開発は行き詰まっていた。
そもそも「軽いから」って理由で選ばれたんだよね?
そう、軽く造るにはカーボンがいいと思うけど、巨大な構造物をカーボンで造ろうとすると、効率よく硬化させるのが至難の業。常温じゃ無理。何しろ50層も重ねることもあるから。カーボンは炭素の糸と糊だ。強度を出すにはオートクレーブ……要は高圧オーブンが必要になる。造る物が巨大なら、オーブンはロケットよりデカくなければならない。前代未聞のサイズのオーブンを造ろうとしてた。常温硬化という手もあるが、時間がかかるし、問題も多い。結局、カーボンじゃ進まなかった。それが結論。
根本的な質問として、なぜあなたが決めたの?優秀なエンジニア達からなぜ「鋼鉄」が出なかった?
そうだね。
会社でのあなたの「比較優位性」の謎というか。
進みが遅すぎたから、「別の道を試そう」と言ったんだ。Falcon 9の機体はアルミリチウム合金で、強度対重量比が抜群にいい。カーボンと同じか、用途によってはそれ以上。だけど、アルミリチウムは加工が難しい。摩擦攪拌接合という特殊な溶接がいる。金属を溶融させず繋ぐ。そんなことができるなんて驚きだけど、難易度が高い。例えば、アルミ・リチウム合金の修正や部品の取り付けも、シール材を使った機械的な結合に頼るしかない。一般的な溶接はできない。だから、スターシップには使いたくなかった。
そんな時、質量特性に優れた特殊グレードのカーボンが出て。ロケットは推進剤を最大化し、機体重量を最小化するのが命だ。だけど、言ったとおり進みは遅々としていた。「このままじゃ火星には一生たどり着けない」「別の手を考えよう」と言った。アルミリチウムは避けたかった。大規模な摩擦攪拌接合はあまりに難易度が高いから。直径3.6mでも大変なのに、9m超なんて正気の沙汰じゃない。
そこで「鋼鉄は?」と。手がかりはあった。初期のロケットやアトラスも薄い鋼鉄を使っていた。前例がないわけじゃない。特定のステンレス鋼の材料特性を見れば、極低温なら強度対重量比はカーボンに近い。常温のデータだけ見れば鋼鉄は倍も重く見えるけど、加工硬化させた特定のステンレス鋼の極低温特性なら、カーボンと同等の比強度を得られる。
スターシップは燃料も酸化剤もどちらも極低温だから。Falcon 9の燃料はケロシンでほぼ常温。実際は少し冷やしてるけど、ビールを冷やす感覚。最高だろ?-おいしそうだね。冷却はするけど極低温じゃない。そこまで冷やせばワックスになる。
だけど、スターシップは液体メタンと液体酸素だ。どちらも同じ温度域で液体になる。つまり、機体構造のほぼすべてが極低温にさらされるわけだ。そこで加工硬化した300系ステンレスの出番。ほぼすべてが極低温なら比強度はカーボンと遜色ない。材料コストは50分の1だし、加工もずっと楽。ステンレスは屋外でも溶接できる。たばこを吸いながらでもね。それくらいタフな素材で修正も簡単。何か付けたければそこですぐに溶接すればいい。扱いやすく低コスト。言ったとおり、極低温での比強度はカーボン級。
しかも耐熱シールドを大幅に軽くできる。鋼鉄の融点はアルミよりはるかに高いから、アルミの倍くらいの温度まで耐えられる。
つまり、もっと高温で運用できる?-そう。火の玉のように突入する宇宙船にはデカい。耐熱材の質量を劇的に減らせるから。風上側は半分。風下側には一切いらない。結局、鋼鉄製の方がカーボン製より軽くなる。カーボンの樹脂は熱で溶けてしまうから。カーボンもアルミも耐熱限界は似たようなものだ。鋼鉄ならその倍はいける。かなり大まかな話だけど。
ロケット計算にケチをつけるつもりはないけど。「倍じゃなくて0.8倍」とか言う奴には「黙れ」と言いたい。コメント欄はそんなのばかりだ。最初から鋼鉄にすべきだった。やらなかったのはマヌケだった。
まとめると、鋼鉄はリスクが高くて未知の道だった。反対にカーボンは性能は劣るが実証されていた。つまり、あなたが「リスクを取ってでもこっちだ」と押し切る必要があったんだね。「やって確かめよう」って。ある意味「保守主義」との戦いだったんだな。
だから最初に言ったろ?開発が遅すぎることが問題だと。カーボンの「しわ」のない部材を造るのすら苦労してた。あの規模だと何層も重ねなきゃならないから、しわ一つなく硬化させるなんて至難の業だった。カーボンは鋼鉄よりはるかにもろいし、粘りがない。鋼鉄は延びて曲がるけど、カーボンは粉々になる。「タフさ」の差だな。鋼鉄、正確にはステンレスの方が有利なんだ。
もう1つ聞かせて。2年前にスターベースに行ったけど、あれは最高だった。色んな意味でマジでクール。印象的だったのは、みんなが「シンプルさ」を誇ってたこと。「ただのデカい空き缶だ」とか、「溶接できれば誰でも歓迎」とか。そのシンプルさをみんな自慢してた。実際はとんでもなく複雑なんだけど。そこが聞きたい。結局シンプルなの?複雑なの?
要するに、ロケット業界の経験なんてスターシップの開発にはいらない。地頭の良いハードワーカーで誠実な人間ならロケットは作れる。過去の経験はいらない。スターシップは人類がこれまでに作った中で断トツに複雑なマシンだね。
どういった点で?
あらゆる意味でだよ。これ以上のものはない。他のどんなプロジェクトより難しい。だから誰も完全再利用型の軌道ロケットを作れなかった。何人もの天才が莫大な金を投じて挑んでは失敗した。私たちもまだ先は長い。Falconも再利用は一部で、第2段は捨てる。スターシップVersion 3なら完全再利用を実現できるはず。人類が多惑星種になるには完全再利用しかないから。どんな技術的課題も、ハドロン衝突型加速器だって、これに比べればマシだ。
ボトルネックに時間をかけたと言うけど、スターシップの主なネックはざっくり言うと何?
爆発させないこと。とにかく爆発したがる。
お決まりだね。
燃えやすいものばかりだし。試験台でブースターを2回爆発させた。試験施設を丸ごと吹き飛ばしたこともある。たった1つのミスでそうなる。スターシップのエネルギー量は尋常じゃない。
Falconより難しいのはそのせい?単にパワーが桁違いだから?
新技術の塊で性能の限界に挑んでいる。Raptor 3エンジンは最先端。文句なしに史上最高だね。でも隙があれば爆発したがる。わかりやすく言えば、離陸時の出力は100ギガワット超えで、全米の電力の20%相当。ほんとに狂ってる。
わかりやすい。
爆発さえなければね。
たまにだけどね。
たまにね。だから爆発しない方法を考えてる。爆発する道はいくつもあるけど、成功する道は1つしかない。爆発させないだけじゃなく、1時間おきに確実に飛ばしたい。しょっちゅう爆発してたらその頻度では無理。
そうだよね。
たった一つスターシップに残る最大の課題は、熱シールドの再利用。まだ誰も作れてない。打ち上げ時に熱シールドがタイルをボロボロ落とさずに耐えて、再突入時も落とさずに機体が焼けないようにする。
難しくない?そもそも消耗品でしょ。
まあね。でも車のブレーキパッドだって消耗品だけど長持ちするだろ?
たしかに。
とにかく長持ちすればいい。機体を回収したことはある。着水には何度か成功してる。でもタイルがボロボロ剥がれて、相当直さないと再利用できなかった。ソフトランディングはできたとしても、手間をかけずにまた使えないんじゃ再利用とは言えない。残された最大の課題は完全に再利用できる熱シールド。着陸させて燃料を入れたらすぐまた飛ばしたい。4万ものタイルの点検なんてやっていられない。
伝記を読んだけど、あなたはいつも切迫感を持って「これならいける」って突き進む。他はなんでそうできないのか不思議なんだ。SpaceXやテスラは大企業になってもノリは同じ。他は何がダメなんだろうね?なんでそうなれない?
さあね。
今日もSpaceXの会議だらけだったそうだけど、そこで何をしてその熱を保ってる?切迫感を与える?
どうかな。結局はリーダーの姿勢だろうね。私には狂気じみた切迫感があるから、それが会社全体に伝染していく。
失敗した後が怖い?「イーロンが無茶な期限を設定したぞ。守れなかったら…」って。それか単にボトルネックを見つけて潰せてるから、みんな速く動ける?どうして自分の会社は動きが速いと思う?
常に一番の障壁を取っ払ってる。期限については五分五分のラインを狙う。不可能じゃないけど相当攻めた期限だ。50%の確率で間に合うギリギリのライン。半分は遅れるってこと。
ガスの膨張みたいな法則がスケジュールにはある。5年でやると言えば、私には永遠のような時間だけど、その枠いっぱいに膨れ上がって結局5年かかる。
物理的に無理なスピードはある。製造ラインを広げるにしても、原子を動かして形にするには限界の速さがある。いきなり100万台規模の量産なんて無理。ラインを設計して立ち上げて、生産の「S字カーブ」を登らないといけない。
どう言えばアドバイスになるかな。狂気じみた切迫感が何より重要。攻めのスケジュールで、その障壁になるものを突き止めて、チームが壁を越えられるよう道筋をつける。
Starlinkは長年ゆっくり進んでいたよね。その話は会社のごく初期からしていた。レドモンドにチームを作ったけど、あるときこれじゃダメだと見限った。数年もダラダラ進んでいたのに、なぜもっと早く動かなかった?どうしてあの瞬間が決断のタイミングだった?
毎週かなり詳細な技術レビューをやってる。そこまで細かく見る経営者はまず珍しい。製造業のトップでこんなに細かく首を突っ込む人間はほかにいない。単なる把握じゃない。すみずみまで見るから実情がよくわかる。
スキップ・レベル会議をやっていて、直属の部下に報告させる代わりに、その下の現場の連中を全員呼んで技術的な話をさせる。しかも事前準備は一切させない。そうしないと「グレーズ」(ゴマすり)するから。
Z世代っぽいね。どうやって事前準備を防ぐ?ランダムに指名?
いや、ただ部屋をぐるっと見回して全員に進捗を話させる。頭に入れる情報は膨大だけど、週に1、2回の会議をすれば、言ってることが手に取るようにわかる。それで進捗を点として描けるんだ。頭の中でその点を結んで、「解決に向かっているか?」を見極める。
成功の可能性がないときにだけ思い切った行動に出る。抜本的な対策を打たない限り成功はないと思ったら、どうしても動かなきゃならない。2018年にそう決めた。それで行動して問題を解決した。
山ほど会社を経営しているけど、どの会社でも同じように深い工学知識を持っているね。ボトルネックを見抜いて、現場の人たちと議論できるくらいに。5社、6社、7社と会社を大きくしてきた。その会社の中に小さい会社がいくつもある。そのキャパは何で決まる?80社くらい持ってるでしょ?
80?まさか。-でも相当な数だ。
驚異的だよ。-今の数だけでもね。
そのとおり。普通は1社で精一杯。
状況によるね。ボーリング・カンパニーとは会議もしてない。あそこは順調だ。うまく回っていて、順調なら時間を割く必要はない。障壁がある場所に時間を割り当てる。何が問題になってる?何が足を引っ張ってる?しつこいようだが、いつもその障壁に集中している。皮肉なもので、うまくいっているときはそんなに私と会わないですむ。逆に状況が悪くなれば、しょっちゅう顔を合わせる。悪いっていうか…
障壁があるときだね。
そう、障壁。最悪な状況じゃないけど、スピードアップしなきゃいけない場所。
SpaceXやテスラで障壁があったら、エンジニアと毎週とか毎日話し合う?具体的にどうしてる?
ほとんどは週1回。状況によっては2回。AI5チップのレビューは週2。火曜と土曜がチップのレビュー。
時間は無制限?
一応はね。たいてい2、3時間で、もっと短いこともある。話し合う情報の量による。
聞き出そうとしてるのは他社との違い。結果が全く違う。やり方の違いにすごく興味がある。CEOがレビューしない企業はよくある。エンジニアリングの企業であっても。それに、普通は15分や30分の細切れの会議に追われるものだし。あなたは「解決するまで話し合う」っていう時間を決めないスタイル。
そんなときもあるけど、たいていは時間内に終わる。今日のスターシップのレビューは長引いたけど、議題が多くて。年に100万トン以上を軌道に運ぶ方法は難題だよ。
一つ聞いていい?OptimusやAIが数年で2桁成長するって言ったよね。経済全体の話?
うん、そう思う。
経済がそれほど成長するなら、DOGEで削減する意味は?
無駄や不正はいいことじゃない。実はかなり心配してた。AIやロボティクスがなければ、国家債務が猛烈に積み上がって、この国は終わってしまう。利払いだけで軍事予算の1兆ドルを上回ってる。利息だけで1兆ドル以上。
かなりの危機感があったから、私が少し時間を使って米国の破綻を遅らせれば、AIとロボットが問題を解決する時間を稼げると思った。「助ける」というよりも、唯一の解決策なんだ。もう1000%の確率で国として破綻する。AIとロボットがなければ解決できる方法は他にない。破綻する前にAIとロボットを構築する時間が必要。
DOGEが始まったとき、あなたには改革する大きな力があったはずだよね?
そんなに大きくはないよ。
そうか⋯AIとロボットが生産性を上げてGDPを牽引すべきというのはわかった。でも、あなた自身が指摘していた関税や許認可に直接取り組まなかったのはなぜ?
私は大統領じゃない。明白な無駄や詐欺を削減するのは、度を越したレベルであっても難しい。実際にやってみて分かったのは、明らかなムダや不正を削るだけでもめちゃくちゃ大変だ。
政府は文句を言う者に弱い。不正してる連中への支払いをやめたら、連中は支払いを続けるべきだと思わせる同情を誘う理由を持ち出してくる。「不正を続けさせてくれ」とは言わない。「赤ちゃんパンダを殺すつもりか」と言う。赤ちゃんパンダは死んだりしない。不正を働いてる連中のただの作り話。驚くほど巧妙で胸を打つ嘘の話をでっち上げる。でも政府はそれに同情する。もっと知っておくべきだった。
政府の無駄や利権を少しでも削ってみようとした。社会保障で「存命」になってる人が2000万人もいるけど、その中には115歳以上の人がいる。米国の今の最高齢者は114歳なのに。115歳で生きているなら、データベースのミスか…入力間違いか。誰かが電話して「生年月日が間違っている」「正しいなら死亡扱いにしないと」と伝えないと。気まずいだろうけど、合理的な対応だよ。
たとえば生年月日が未来になっていて、中小企業庁から融資を受けてる。それで誕生日が2165年になってたら、誤記か詐欺だから「22世紀にお生まれのようです」と伝える。
映画のプロットとしては最高だね。ひどい不正だよ。
実際に給付を受けていたのかな?
社会保障金をもらってる連中もいた。主な手口は誰かを「生存」扱いにして政府の給付制度を悪用すること。というのも、他の行政機関の給付システムがどうなってるかと言うと、社会保障DBに生存確認するだけだから。いわば抜け道だ。
この手口の不正総額はどれくらい?
政府説明責任局、つまりGAOがこれを試算した。これは私の持論じゃない。バイデン政権下での不正の概算は推定5000億ドル。私の言葉を鵜呑みにしないで報告書を見て。バイデン政権下で発表されたものを。
社会保障のしくみが原因?
数ある要因のひとつ。政府が不正を止められないことを正しく理解するのが重要なんだ。企業とは違う。企業なら明確な動機がある。不正を止めなければ利益に直結する。政府はただお金を刷ればいい。必要なのは当事者意識と能力。連邦レベルではそれがひどく不足してる。
陸運局、つまりDMVを「ここは有能さの砦だ」なんて思うかな。さらに厄介なのは、DMVはお金を刷れるってこと。少なくとも州レベルのDMVは…各州は多かれ少なかれ予算内に収めないと破産する。でも連邦政府はただお金を刷ればいい。
5000億ドル規模の不正があるのに、なぜ削減できなかった?
能力に対する期待値を一度大きく引き下げて再調整しないと。普通は収入の範囲でやりくりして、請求が来たら支払うけど…
マイクも買わないと。そのとおり。
巨大で無関心な官僚機構と時代遅れのコンピュータが機械的に送金してるわけではないから。
そこでDOGEチームがやった対策のひとつが、単純なことだけど年間1000から2000億ドルの節約になる。財務省のPAMという基幹システムで、支払勘定マスターとかそんな名前だけど、年間5兆ドルの支払いに付随する「支出根拠コード」の備考欄を任意ではなく必須にしただけ。
実態がいかにズサンか常識を疑うほど。支出コードもなく、議会の予算承認にも紐付かないまま説明のない支払いが行われていた。これがかつての戦争省、今の国防総省が監査を通らないのは、照合すべき情報がどこにもないから。常識を捨てて考え直せってこと。
この5000億ドルという数字を理解したい。2024年の監察官(IG)報告書では、なぜ数字が少ないのか?少ないかもしれないけど、7年間を調べると社会保障の不正だけで7年間で推計700億ドル、年間約100億ドル。残りの4900億ドルは一体何なのか。
連邦政府の歳出は年間7.5兆ドル。政府がどれほど有能だと思う?
裁量支出は15%程度だったかな。
でもそれは本質じゃない。不正の大半は非裁量支出。不正なメディケアやメディケイド、社会保障や障害給付、無数にある。政府の支払いの多くは各州への包括的な資金移転。だから連邦政府は不正を知るための情報すら持ってない。背理法で考えると、政府が完璧で不正は一切ないって確率はどれくらいだと思う?
ゼロだね。
なら政府は90%効率的だと言えるかな。それでも甘い評価だ。仮に90%だとしても年間7500億ドルの無駄と不正がある。実際には90%ではない。
不正額を導き出すには、第一原理からすれば奇妙な方法に思えるけど、一体どれくらいあると思う?今計算しなくてもいいけど、気にはなるよね。
Stripeでの不正については詳しいよね?
常に不正を試みる連中がいるからね。でもあなたが言うように少し…かなり抑制してはいるけど、問題の領域が少し違う。ここでは私たちが相手にしてるよりもはるかに雑多な不正の入り口がある。でもStripeには高い能力があり、真剣に取り組んでる。
能力も当事者意識も高いけど、それでも不正はゼロにならない。はるかに巨大な規模で、能力も当事者意識も低い環境を想像してみて。かつてのPayPalでは不正を決済額の約1%まで抑えようとした。至難の業だった。1%にするために凄まじい能力と執念が必要だった。能力も当事者意識もはるかに低い組織だとしたら、1%で済むはずがない。
政治の世界を振り返ってどう感じる?政治に関わったことをどう思ってる?外から見て2つの大きなインパクトがあった。1つはアメリカPAC、もう1つはTwitterの買収。一方で心労も多かったように見えるけれど、経験全体をどう評価する?
未来が良いものになる確率を高めるのに必要だった。政治は基本的に部族的で、政治のことになると人は客観性を失う。相手側の善や自分たちの悪が見えなくなる。そういうものだ。それが最も驚いた点のひとつ。理屈が通じなくなる。
どちらかの部族に属すると、自分の部族はすべて正しく、相手の部族はすべて間違ってると信じ込む。説得するのはほぼ不可能。でも全体として、Twitterの買収やトランプ当選の支援は、多くの怒りは買ったけど、文明にとっては良かったと思う。
それがあなたの言うワクワクする未来にどうつながる?
米国は強くなければならない。他の惑星に生命をゆだねて存続できる強さ。AIとロボティクスの水準を、未来は明るいと確信できる段階まで進化させて。国家が共産主義や極端に抑圧された状況に陥れば、多惑星居住は不可能になるかもしれない。国家がAIやロボット工学の進歩を踏み潰すかも。
OptimusもGrokも、利益至上主義企業の製品はいずれ政府に利用されるようになる。民間企業はどこまで政府に差し出すべきだろう?どんなガードレールが必要?政府と契約したAIモデルは言われたことは何でもやるべき?それともGrokが「軍がXをやりたいと言ってもできない」と断るべき?
AIとロボティクスが誤った方向に進む最大の危険は政府にあると思う。企業に反対したり企業を心配したりする人たちこそ、政府を最も警戒すべきだ。政府も突き詰めれば一種の企業だから。政府は暴力の独占権を持つ最大の企業にすぎない。
企業は悪で政府は善だと考えるのは奇妙な二分法だ。政府とは単に最大かつ最悪の企業。そんな「企業」を人々は信じてる。政府は善で企業は悪だとね。間違ってるよ。政府よりも企業の方がよっぽど道徳的。
本当に心配している。政府がAIとロボティクスを使って国民を弾圧する可能性⋯深刻な懸念だ。
AIとロボティクスを構築する立場として、それをどう防ぐ?
政府の権限を制限することこそが合衆国憲法の本来の目的だけど、政府の力を抑えることができれば、権限を大きくするより良い結果になるだろう。
ロボティクスはあらゆる政府が利用できるようになる?
それはわからない。予測は難しい。最終的な到達点や遠い将来は語れるけど、道筋を予測するのは難しい。文明が前進すれば、AIは人類の知能の総和をはるかに超える。ロボットの数は人間を大きく上回る。その過程で何が起きるかは予測が難しい。
考えられるのは、政府にはOptimusを使ってXXを行うことを認めないってポリシーを作ること。最近ツイートしていたよね。Grokには道徳的な憲法が必要だとね。そのひとつとして、この高度な技術で政府ができることを制限することはあり得る。
政治家が法を作って執行できるのなら、技術的にその法律に従わないのは難しい。最善なのは権限が限定された政府。行政、司法、立法の間に適切な相互牽制が存在する体制。
制約を設ける主体があなた自身になる。その可能性があるから関心がある。Optimusも宇宙GPUも持ってる…
私が政府のボスになる?
衛星を打ち上げるような重要案件で、すでに政府はSpaceXを必要としてる。事実、不可欠な請負業者だ。他の産業でも同じ役割を担う。未来の技術基盤を次々と構築してる。古典的自由主義を抑圧するような行為に対して「当社は協力しない」というポリシーを掲げることもできる。
私は管理下にあるすべてに対して、人類に最善の結果を出す努力をする。それ以外は近視眼的。私も人類だから人間が好きで、親人類派だよ。
Dojo 3が宇宙ベースの計算に使われるって言ってたね。
よく知ってるね。Twitterって知ってる?フォロワーが多いよね。すぐ分かるよ。私の投稿の秘密をよく見抜くね。
宇宙用のチップはどう設計する?何が変わる?
放射線への耐性を高めて、高温で動作するように設計する。大まかに動作温度をケルビン単位で20%上げれば、放熱器の質量を半分にできる。宇宙では高温で動かすのが有利だ。
メモリのシールドについてもいろんな対策がある。ただニューラルネットはビット反転に強い。放射線で起きることの大半はランダムなビット反転だ。数兆パラメータのモデルなら数ビット反転しても問題ない。ヒューリスティックなプログラムの方が、巨大なパラメータファイルよりビット反転に敏感。
高温で動くように設計するだけ。地球でやってることとほぼ同じ。高温で動かす点を除けばね。
衛星で一番重いのは太陽電池アレイ。NVIDIAやTPUが計画するものよりも強力で、宇宙ベースで有利になるGPUを作る方法はある?
レチクルあたり1キロワット出せるなら、100GWを得るにはフルレチクルのチップが1億個必要。歩留まりの前提次第で必要なチップ数が決まるから。100GWの電力なら、持続的に1キロワット動かすチップが1億個必要。単純な計算。
1億個のチップ…例えばBlackwell GPUのようなダイサイズを見て、ウェハーから何個取れるかを考えると、ウェハー1枚から数十個以下。つまり基本的には、1か月に何百万枚ものウェハーを生産することになる。
それがTeraFabの計画?
先端ノードで月に何百万枚ものウェハー。100万枚を超えるかも。メモリも必要。
メモリ工場も作る?
TeraFabはメモリにも取り組む。
ロジック、メモリ、パッケージングだね。どうやって始めるのか興味深い。人類がこれまでに作った中で最も複雑なものになるだろう。この課題をやれる人がいるとしたらあなたしかいない。ボトルネックを認識してエンジニアに相談する。「2030年までに月産100万枚のウェハーが欲しい」って言うの?
そのとおり。それがまさに私の望むこと。
ASMLに電話する?次のステップは?
小さなファブを作って様子を見る。小さく失敗しても、そこから大きなものを作れる。
小さなファブは完成した?
まだ。隠せないから秘密にはしない。ドローンが飛び回って、建設の進捗をリアルタイムにXで見られるよ。
失敗もある。成功の保証はないけど、1億個ものチップを作ろうとする以上は、2030年までに100GWの電力とそれを扱えるチップを用意したい。
サプライヤーが提供してくれるならチップは全部もらう。TSMC、サムスン、マイクロンにはファブの増設を急ぐよう頼んだ。ファブの生産物を必ず買い取ると約束する。全速力で動いてくれてる。もちろん私たちも…
AI分野の人たちは大量のチップをほしがってる。それもできるだけ早く。一方でサプライヤーは、ファブもタービンメーカーも生産をあまり迅速に拡大してない。
そうだね。
理由は気質的に保守的で、台湾人とかドイツ人は信じないってのが理由かな。それとも他に何かある?
コンピュータメモリ業界に30年、40年いたら無理もない。景気の循環を見てきてる。好況と不況を10回も経験してるから、相当な「傷跡の層」ができてる。好況のときはすべてが永遠にうまくいくように見える。でも暴落が起きて、倒産を防ぐのに必死。それからまた好況と暴落がやって来る。
他の人が取り組むに値するアイデアで、あなたが今はやっていないものはある?
新しいチップを追求してる企業はいくつかあるけど、スケールするのが遅すぎる。
AIに限らず一般論では?
自分がやりたいことはやるべきだ。私が提案するアイデアではなくて、個人的に面白いと感じ、やりがいがあることをやるべきだ。
「障壁」の話に戻ると、この単語を100回くらい使ってるけど、3~4年の時間軸で見ると最大の障壁はチップ。1年ではエネルギー、電力生産、電気。製造中のすべてのAIチップを稼働させるのに十分な電力を持てるかどうか。
今年の末頃には、チップの電源を入れるのに苦労するだろう。チップの生産量が稼働能力を上回る。
その世界にどう対処する?
電力生産を加速させようとしてる。
それがxAIがリーダーになりたい理由のひとつかな。
私たちは他社よりも多くのチップをより速く稼働できるだろう。ハードウェアが得意だから。
「ラボ」を名乗る企業からのイノベーションは、アイデアが行きわたるまでに6か月かかるのは珍しくない。アイデアは人とともに行き来する。結局はハードの壁にぶち当たって、ハードを最速でスケールできる企業がリーダーになる。xAIは最速でスケールできるから、リーダーになる可能性が最も高い。
「障壁」という言葉を何度も使っていたけど、そこに深い意味があるんじゃないかな。ここまでの話を振り返ると、この話で締めくくるのはいいかも。
主体性の低い古い企業なら、ボトルネックを解決しようとしないはず。
マーク・アンドリーセンが言ってた。「多くの人は急性の痛みを避けるためなら、どんな慢性の痛みにも耐えようとする」。今日の話の多くは「急性の痛み」に向き合うこと。「鋼鉄の扱い方を理解する」とか「宇宙でチップを動かす方法を見つける」とか。ボトルネックを解決するために痛みに向き合うのが共通テーマだった。
私は痛みへの耐性が高い。ボトルネックの解決に役立つ。
そう、ひとつ言えるのは、未来は面白くなるってこと。ダボスで言ったように、現地にいたのは3時間程度だったけど、悲観して正しくあるより、楽観して間違ってる方がいい。生活の質という点ではね。幸せでいたいなら、悲観的よりも楽観的な方がいい。楽観的になることをすすめるよ。
ありがとう。いい話だった。イーロン、今日はありがとう。ありがとう。
すごいスタミナだったね。これが「痛み耐性」のテストになってなければいいけどね。
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