リスニングは「真似」で伸ばす:Hinaが勧めるモデリングの3ステップ

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概要

英語が聞き取れないという相談に対し、英語講師のHinaは「リスニングに関しては、これだけやっておけばいいという方法が本当にある」と話す。それが、ネイティブの音をひたすら真似する「モデリング」である。この動画では、聞き手役の相手に、Hinaが例文を使ってその手順を実演しながら説明していく。

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17歳で英語が聞き取れるようになったきっかけ

Hinaが英語を聞き取れる実感を持ち始めたのは17歳のころだという。高校で停学になり、その後の先生や学校への反発から「こんな学校に金を払うか」と思って大学受験を決め、英語を猛勉強した。そのときに聞き取れるようになったきっかけが、モデリングだったと本人は振り返る。Hinaの説明では、モデリングとは「めっちゃ簡単に言うと、ひたすら真似をする方法」である。

聞き手は、真似をしようにもネイティブの速さについていけないと打ち明ける。たとえば「What are you doing?」が、最初は2単語くらいにしか聞こえなかったという。Hinaはこれを格好の例として取り上げる。

聞き取れない最大の理由は「リンキング」

「What are you doing?」は単語だけ見れば簡単だ。それでも聞き取れないのは、ネイティブが一語ずつゆっくり発音してくれないからだとHinaは言う。ネイティブは「What are」をくっつけ、「you doing」もくっつけて発音する。そのため速く聞こえ、「なんて言ったのか」と焦ってしまう。「you」が「ya」のような音になるなど、目で見た綴りから想像する音とは違う音で発音される点も、聞き取れない理由として挙げた。

このように音がくっつく現象をリンキングと呼び、Hinaはこれを「ネイティブの英語が聞き取れない最大の理由」と位置づける。ただし、リンキングを理解するだけでは足りない。理解したうえで、自分もその音を出せるようになることがポイントだという。そのための方法がモデリングで、リンキングを意識しながら真似することを指す。

モデリングの3ステップ

Hinaはホワイトボードを使い、モデリングを3つのステップに分けて説明した。

  1. 見本となるネイティブの英語を聞く:本質は「本物の見本を用意すること」。日本人の英語を真似すれば日本人の英語に、インド英語を真似すればインド英語になる。きれいなアメリカ英語を話したいなら、アメリカ英語の発音ができる先生につくなど、自分が理想とする英語の見本を見つける。最初は聞くだけでいい。
  2. 英語の音を分析する:どこがくっついているかを一度確認する時間をとる。ただし深入りしすぎなくてよく、完璧でなくてもいい。Hinaは「適当でいい」とまで言う。
  3. 真似をする:1と2を踏まえ、リンキングを大まかに意識したうえで、聞いて自分も発音することを繰り返す。

Hinaによれば、3つのうち8割の重要度は3番目の「真似をする」にある。それでも、1と2も欠かさずにやってほしいと念を押した。

シャドーイングとオーバーラッピングとの違い

聞き手が、よく知られたシャドーイングとの違いを尋ねると、Hinaは「うち的にはカスやと思ってて」と強い言葉で答えた。シャドーイングは見本の音声から0.5秒ほど遅れて発音する練習だが、わざわざ遅らせる必要はないというのが彼女の考えだ。遅らせることで「なんとなく話している気」になり、発音が合っていないのに合っているように聞こえてしまうという。

さらにHinaは、モデリングでは自分が発音している内容を理解していることが大事だと強調する。シャドーイングはいろいろな文章を次々に読むことが中心になりがちで、自分が何を言っているのか理解していない人が多い、と彼女は見ている。そのためシャドーイングは上級者向けであり、初心者は内容を理解しながら、一度聞いて真似をするという手順を踏めばよく、わざわざ難易度の高いことをする必要はないとした。

音声と同時に読むオーバーラッピングについては、モデリングである程度慣れてきた後にやればいいという位置づけだった。まずは本物を聞いて真似をする、その繰り返しを「黙ってしろ」というのがHinaの立場である。

実践①:「There are a lot of ~」

最初の実践で、Hinaは「There are a lot of ~」の文を読み上げた(目的語にはふざけた単語を入れている)。「たくさんの○○がいる/ある」という、よく出てくる表現である。

まず聞き、次にどこがくっついているかを聞き手に考えさせる。聞き手が「lot of」あたりだと答えると、Hinaはそれを正解とした。「a lot of」は発音するときにくっつき、「アラ」「アラダ」のような音になる。聞き手は中学で「ロット」と習ったというが、Hinaは「ロットじゃない」と言い、最後のfの音もつけないと説明した。音の分析がなんとなくできたら、あとは何度も読み上げて真似するだけだ。

「自分が出せる音は聞き取れる」

なぜ真似をするだけで聞き取れるようになるのか。Hinaは、英語学習において大事な法則として「基本的に、自分が発音できる音は聞き取れる」と説明する。聞き取れないのは、シンプルにその音を自分が出せていないからだという。「a lot of」を日本語英語の「アロットオブ」で覚えてしまうと、その音しか出せないため、その音しか聞こえない。「アラ」と聞き取れるようになりたければ、自分が「アラ」と言えるようになるしかない。

逆に言えば、ネイティブが出す音を自分も出せるよう練習すれば、かなり聞き取れるようになる、というのがHinaの主張である。

練習するのはよく使う構文に限る

もう一つの注意点として、Hinaは「よく使う構文をひたすら練習するべし」と述べた。「There are a lot of」の後ろを変えるだけで、「There are a lot of people」「There are a lot of sheep」「There are a lot of dogs」「There are a lot of apples」と、さまざまな文が作れる。

対照的な例として挙げたのが、学校で習う「クジラが魚でないのは、馬が魚でないのと同じ」という構文だ。Hinaは、こうした日常でほとんど使わない文をモデリングして聞き取れるようになっても意味がないと言う。モデリングは丁寧に真似をするぶん労力がかかるので、その労力を使うなら日常会話でよく使う構文に絞るべきだというのが彼女の考えである。

実践②:「I'll ask her about the robbery」

2つ目の例文は「I'll ask her about the robbery(強盗について彼女に聞いておくわ)」。「I'll ask her about ~」は「~について聞いておく」という、よく使う形だとHinaは言う。ゆっくり読めば分かるが、ネイティブの速さで言われると聞き手は「早い」と反応し、どこがくっついているかも答えられなかった。

そこでHinaはパターンを教えた。「I will」は縮まり、カタカナの「オ」に近い「アイオ」のような音になる。聞き手は「アイル」だと思っていたと驚いた。「ask her」もくっつき、「アスカー」のように聞こえる。聞き手が「hの音は言っていないのか」と尋ねると、Hinaは「このあたりは聞いた通り真似するのがおすすめ」と答えた。

ルールより「素振り」

この流れで、Hinaはモデリングで意識してほしい点を強調した。どこを読まないかなどを変にルール化せず、ロジカルに理解しようとしないことだ。ケースバイケースなので、リスニングはすべてをロジックで説明できないという。

彼女が使ったたとえは剣道である。剣道がうまくなりたいのに本を読んでばかりいても上達しない。うまい人は素振りをし、試合をし、実際に体を動かしている。リスニングも同じで、ルールで覚えようとするのではなく、何度も真似をする、つまり素振りをたくさんするという意識が大事だとした。

実演では「I'll」「ask her」「about the robbery」とパートごとに練習し、最後に全体をまとめて真似した。Hinaは改めて「モデリングの8割は素振り」と述べ、見本を聞いて真似をすることの反復だと説明した。

文字より耳、赤ちゃんと同じやり方で

文字は読まないほうがいいのかという質問に、Hinaは「文字にヒントがあると思わないでほしい」と答えた。彼女がリンクアップで生徒に教える際は、目をつぶった状態で真似をしてもらうこともあるという。聞こえる音をそのまま真似することが大事だからだ。

ここでHinaが持ち出したのが赤ちゃんの例である。自分たちが最初に覚えた日本語は「ママ」だったが、それは母親が話すのを聞いて真似したものだろう。日本語もまず真似から入っている。英語については、自分たちは赤ちゃんレベルなのだから、難しい本から入るより真似から入ったほうがいい、それが本質的だとHinaは述べた。

実践③:「What did you say to me?」とカタカナの罠

3つ目の例文は「What did you say to me?(お前、うちになんて言ったん?)」。単語は小学生レベルだが、ネイティブが言うとくっついて速く聞こえる。「What did you」がくっつき、「say to me」も「セイルミ」のような音になる。

聞き手が「カタカナだとセルミに聞こえる」と言うと、Hinaは「あんまりカタカナに変換しないほうがいい」と助言した。変換してもいい場合もあるが、基本的にカタカナに変換すると、日本語でしか出せない音で発音することになる。英語には日本語にない音がたくさんあるので、カタカナに縛られないことも大事だという。

練習では「What did you」と「say to me」の2つに分けて真似し、最後に通して言った。聞き手が分けたのが良かったと言うと、Hinaは、モデリングは一気にやるより区切ってもよく、区切る場所は自分の好きなところでいいと答えた。

口が疲れるのは筋トレだから:言語間距離の話

練習を終えた聞き手は「疲れた」「口が痛い」と言う。Hinaはそれを普通のことだとし、モデリングは筋トレだと思ってほしいと述べた。英語を話すときに使う舌の筋肉や表情筋は、日本語とまったく違うからだという。

ここでHinaが紹介したのが「言語間距離」という考え方である。彼女の説明では、日本語と英語の距離はとても遠く、最も離れているとも言われている。文法だけでなく、音の種類や、その音を出すときの舌の位置や筋肉の使い方がまったく違う。そのため、日本人が英語を話そうとすると、今まで出したことのない音を使うので最初はとても難しいという。

一方で、韓国語は日本語に近く、発音が似ている部分があるとHinaは話す。「マシッソヨ」のような言葉は、英語と比べれば発音はずっと簡単だろうという。韓国語には日本語の「あいうえお」や「かきくけこ」に近い音があるが、英語にはそれがない、というのが彼女の説明だった。だから英語は聞き取りにくく、英語話者が使う口の筋肉をひたすら鍛えなければならない。ルールとロジックだけで理解するのには限界があり、体に叩き込むしかない。これが「真似をたくさん、素振りをたくさん」と言い続ける理由だとHinaは結んだ。

続けるための注意点:構文選びと毎日の積み重ね

最後にHinaは、挫折しないためのポイントを2つ挙げた。1つは、先に述べたとおり、モデリングは音の分析も必要で時間と努力と回数がかかる練習だからこそ、意味のない構文ではなく日常会話で使う構文を真似したほうが将来役立つだろう、という点だ。今回は3つの例文しか扱わなかったが、3つだけでは足りないとも付け加えた。

もう1つは、何より毎日やることである。Hinaは再び筋トレにたとえ、1日3時間頑張ってもその後1か月何もしなければ筋肉はつかないが、1日3分や30分でも続けた人のほうが筋肉はつくと述べた。英語も、1日3時間やってその後1か月何もしなければたぶん忘れる。1日3分でもいいから少しずつ続けることがとても大事だ、というのが動画の締めくくりのメッセージだった。