話し方の本質はスキルではなくメンタルにある:中田敦彦が読む『人は話し方が9割』
中田敦彦のYouTube大学 - NAKATA UNIVERSITY中田敦彦は、永松茂久の『人は話し方が9割』(すばる舎)を取り上げ、この本の前提は多くの読者が想像するものとは違うと話す。話し方の本と聞くと、流暢に話して大勢を感動させる技術を思い浮かべがちだ。中田によれば、この本が扱うのは身近な人に好かれるための「聞き方」である。必要なのは話術ではなく、相手のために全肯定の環境を作るというメンタルだという。中田は本の内容を紹介しながら、自分自身の失敗も振り返っていく。
「流暢に話せるようになる本」という誤解
中田はまず、読者がこの本に抱きがちなイメージを否定する。読み終えたら急にみんなの前で流暢に話せるようになり、TEDトークに出て、最後にはiPhoneのプレゼンテーションをしてスタンディングオベーションを受ける。中田はそうした未来像を「根本から間違ってる」と言う。本書によれば、アナウンサーや芸人、噺家のような流暢に話す技術は、プロがそれを見せる場なら意味があるが、一般の人には「全然いらない」ものだという。
では読者が本当に望んでいるのは何か。中田は、本の帯にある「人間関係、仕事、恋愛、お金、パートナー、全部うまくいく」の「全部」を思い描き直してほしいと促す。大観衆の前でプレゼンをしたいのではなく、すぐそばにいる家族や友人に好かれたい、嫌われたくない、ギスギスしたくない。そうした目的のために大事なのは、スキルではなく「徹底してメンタル」だと中田は強調する。そのため、口べただと言われたことがある人でも大丈夫だという。
人は安心できない場所で口下手になる
本書は、メンタルが追い詰められる場に行けば誰でも口下手になると説く。中田は寸劇で例を示した。赤字続きの会社で上司が「A君、B君、C君、全員ポンコツの案しかない」「来月の給料が楽しみですね」と言い放ち、「それでは続いてプレゼンテーションをどうぞ」と促す。こうした高圧的な聞き手の前では、言い訳をしようとして「うるさいな」と返されるような地獄になる。
反対に、親友や恋人の前で「昨日見たアニメ最高に面白かった」と好きなものについて話すときに、緊張して言葉が出なくなることはない。中田は、好きな人に囲まれて好きなことを話すときはリラックスしているから、誰でも機嫌よく話せていたはずだと言う。つまり足りなかったのはスキルではなくメンタルだった。否定されない場所にいるか、うなずいてくれる人がいるか、明るく前向きな話題を話させてもらえているか。本当に必要なのは、話す人のための「全肯定の環境作り」だというのが本書の主張である。
そんな場所はパラダイスで、お金を払わなければ手に入らないと思うかもしれない。しかし中田によれば、本書の核心はここで発想を逆転させる点にある。誰もがそういう場所を欲しがっているのなら、あなたが目の前の人にそれを作ってあげればいい。誰かが「全部うまくいく」ようにしてあげれば、必ずその人に好かれる。中田は、自分も「まだまだ喋りたい」と思っていたので「足元掬われました」と語り、この本はいきなり読者のマインドを入れ替える本だと評する。
人間の大原則:誰もが自分に一番興味がある
続いて中田は、他のコミュニケーション本や啓発書にも必ず出てくるのに、つい忘れてしまう「人間の大原則」を確認する。第一の原則は、誰もが最も興味を持っているのは自分のことだ、というものである。
中田はこれも掛け合いで説明する。「栃木にお住まいの公務員の山本コウスケさん」の今年の運勢を話すと言われても、誰も聞きたがらない。友人や家族の運勢にもそれほど関心はない。ところが「あなたの今年の恋愛運」と言われると聞きたくなる。もう一つの例が集合写真だ。4組ほどのカップルで撮った写真を見るとき、最初に自分の子どもやパートナーの写りを確かめる人はいない。誰もがまず自分の顔を確認し、うまく写っていれば撮った人を腕のいいカメラマンだと思い、写りが悪ければカメラに文句をつける。
第二の原則は、自分に興味がある上で、自分のことを分かってほしい、そして認めてほしいということである。この二つはどちらも欠かせない。生い立ちから今の仕事までよく調べた上で「全て無意味です」と言われれば腹が立つ。中田はこれを「Wikipediaで全部調べた上で全否定」と表現した。一方で、何も知らないまま「よくわかりませんが天才です」と褒められても信用できない。人は理解された上で認められたいのであり、そうしてくれる人を好きになる。
だから、この大原則を逆に使えばいいと中田は言う。目の前の人は誰でも自分に興味があり、分かってほしく、認めてほしいと思っている。それなら分かってあげて、認めてあげればいい。本書の言う「話し方」とは「聞き方」のことだと中田はまとめる。また、人は笑わせてくれる人よりも、一緒に笑ってくれる人を好きになるという。
拡張話法:相手の話を広げる5つの手順
聞き方が大事だという話は多くの本にあるが、中田は、本書がそれをかなり具体的に教えている点を評価する。それが「拡張話法」である。名前からは自分の話を膨らませる技術のように見えるが、実際は相手の話を広げる方法だ。
一つ目は感嘆である。「マレーシアに住んでるんですね!」のように、まず驚く。本書は、ビックリマーク、クエスチョンマーク、ハートマークを頭の中で付けるつもりで言うこと、それも自分が思う10倍の大きさでやることを勧めているという。
二つ目は反復、つまりオウム返しだ。中田は、聞き上手と思われたくて相手の言葉を自分なりのフレーズに言い換えたくなる人に「やめてください」と言う。「俺、毎朝パン食うの」に「つまりご飯派じゃないってことですね?」と返すと、相手は「ご飯も好きだけど朝はパンなんだ」と訂正しなければならない。「毎朝ジョギングする」に「スポーツマンなんですね?」と返すと、インドア派の相手は「スポーツマンじゃないんだよ」と否定することになる。勝手に解釈せず「毎朝パン食ってるんですか」「毎朝ジョギングするんですね」と返せばいい。中田はこれを合いの手にたとえる。カラオケで気持ちよく歌っている人の横で、いい感じにマラカスを鳴らす人はありがたい。しかしサビで前に出てきたりハモったりする人はうるさい。合いの手は前に出るものではない、というわけだ。
三つ目の共感が大事だと中田は強調する。「わかりますよ」「そうですよね」と寄り添う。理由は、全肯定の環境作りが目的だからである。否定したいときもある、自分はロボットではない、と言いたくなる人に対して、中田は「是非お黙りください」と返す。目的はありのままに生きることではなく、好かれることだ。この本を読み始めたときの気持ちを忘れないでほしいという。中田は共感を、相手をピッチャーとして自分がキャッチャーになるエチケットだと説明する。自分はご飯派でも「毎日パン食べるのいいですよね」「毎日は食べたことなかったけど、いいかもしれないですね」と寄り添えばいい。
四つ目は賞賛で、これも10倍でやるよう本書は勧めている。「そのライフスタイルを自分で作ったってすごくないですか」と褒める。本気で尊敬しているときしか言いたくない、おだてるような真似はしたくない、という人にも、中田は「好かれたいんですよね」と目的を思い出させる。
五つ目が質問である。中田は俳優志望で殺陣を習っている友人を例に、5つの流れを実演した。「殺陣なんて俺やったことないぜ。どういう風に習ってんの?」と聞くと、相手は「最初から刀を持たせてもらえると思ったら、まず正座して気持ちを整えることからだった」と話し出す。「いきなり持たせてもらえないの?」(反復)、「それ結構ビビるよね」(共感)、「でもちゃんと向き合ってるわけでしょう、すごくない?」(賞賛)、「マインドを整えた後はどうすんの?」(質問)と続けると、相手は「次に握らせてもらったのが棒だった」とさらに話を広げる。中田はこの流れを「1 to the 5」と呼び、5つを繰り返し回すだけで相手の話はどんどん広がると説明した。
好かれたい相手にだけ使えばいい
ただし中田は、これがおべんちゃらや嘘で相手を持ち上げる話だと誤解されがちな点にも触れる。本書の前提は「苦手な人とは話さなくていい」ということだ。拡張話法は全人類に使えというものではなく、好かれたい人に対して使うものである。
これまで、好きな人とのコミュニケーションで「私はこんなにすごいんだから好きになって」と自分のセールスポイントを語ってきた時間を、相手への共感や賞賛に使いませんか、というのが本書の提案だと中田は説明する。大嫌いな人や「私の話を聞きなさい」と言う人の前で持ち上げ役をする場面を想像しがちだが、そんな現場からは「いち早く帰ってください」と中田は言う。大切なパートナーが自己肯定感を上げて心を開いてくれるにはどうするか、という前提を忘れないでほしいという。
共感と賞賛の言葉を紙に書いて貼る
いきなり共感や賞賛をするのは難しいと感じる人のために、本書はかなり具体的な方法を示している。「さすがですね」「やっぱりあなたってすごい人だよね」「そんなのは見たことがない」のように、共感や賞賛に使える言葉を紙に書き出し、トイレと寝室の天井に貼っておくというものだ。
中田は「高三の時の英単語以来の扱いだよ」と笑いつつ、これは良い方法だと評価する。貼っておくだけなので苦にならないのに、毎日目に入るから無意識のうちに頭に入る。本書によれば、そうして「聞く力」が養われ、会話に困ったときにその言葉が出てくるようになる。
中田の説明では、会話に困ったとき、人はつい自分からボールを投げようとする。何を言えばいいか分からなくなって「この前タクシーに乗ったときにハプニングがあって」と自分の話を始めてしまう。しかしキーワードリストが体に入っていれば、自分から投げる代わりに「もういっちょ」と相手に投げさせることができ、キャッチャーであり続けられる。中田は、本書がこの部分を具体的に書いていることから「非常にこの本信頼できる」と感じたという。
声と体全体で表情をつける
感嘆や賞賛を10倍でやれるか不安な人に向けて、本書は表情を意識することを勧めている。顔だけでなく、声や体全体の表情も含む。演劇部ではないのだからそこまでしなくても、と思う人もいるだろうが、マインドのスイッチを入れて「ええ?」「それからどうなったの?」「いやすごいね!」と声と動きをつけてみると、意外とできるし相手も乗ってくると中田は言う。
中田はこれを、ふわっとした山なりのボールを受けたキャッチャーが、ミットを突き破られて後ろの壁まで吹き飛ぶような大げさなリアクションにたとえた。徹夜でミットに穴を開け、オイルを塗って滑れるようにし、ヒビを入れた壁を用意しておく、という冗談まで交えて、それくらい盛り上げてくれる聞き手は気持ちがいいと説明する。
中田自身の反省:ピッチャーでは好かれない
この節で中田は自分の話をする。「YouTube大学」をやり、自分は話がうまいと思っていたが、「そんなに好かれてませんねん」と関西弁で冗談めかして言う。実際に自分にもギスギスする時期やうまくいかない関係があり、その理由は拡張話法をやらず「投げる一方だった」からだと振り返る。
中田によれば、60分一人で話せるほどの剛腕ピッチャーになっても、それで好かれるわけではない。動画は見てもらえても、人間関係は向上しない。だからその道は諦めてキャッチャーになってほしいと視聴者に語りかけた。
苦手な人とは沈黙でいい
では苦手な人と居合わせたときはどうするか。本書の答えは「沈黙でいい」であり、中田はこれをリアルで面白いと評する。同じバス停やエレベーターで一緒になり、気まずい、嫌いなのがバレたらまずいから話しかけようか、と考える必要はないという。
拡張話法の話を聞いて多くの人が嫌悪感を抱くのは、嫌いな人とも話さなければならないという強い先入観があるからだと中田は分析する。嫌いな相手の前で感嘆や賞賛をする自分を想像すると反吐が出る。だがそれはそもそもマインドが違う。沈黙を埋める必要はなく、距離を詰める必要もない。苦手だと思ったら黙って去ればいい。中田はこれを「シンク・クリアリー」な考え方だと言い、これならメンタルを守れそうだと述べた。
自己紹介の正解:箇条書き、省略、思い、感謝
次に中田は、多くの人が苦手な自己紹介について本書の「正解」を紹介する。「今日は自己紹介タイムから」と言われてパニックになる場面は人生に何度か訪れる。本書の手順は次のとおりだ。
まず自分の歴史を箇条書きにし、それを省略する。細かい出身地や学校名は要らず、「どこで生まれ、どこで育ち、こういう経緯で今この仕事をしている」程度で十分だという。自分をアピールしなければと思うと大きく振りかぶってしまうので、4つほどのキーワードに絞る。
そのうえで大事なのは、経歴よりも「思い」である。なぜその仕事をしているのか。中田はここでも、スキルではなく感情、つまり自己紹介を聞く側の感情に寄り添うことが重要だと言う。例として、祖父の万年筆に感動して「1本の文房具に愛着を持てば人生は変わる」と伝えたくて町で文具店を営む人や、サッカー漬けだった頃にマネージャーが差し入れてくれたアンパンの味が忘れられず、パンで人を元気にしたくてパン屋をやっている人を挙げ、こういう話なら応援したくなると言う。対照的に、有名ホテルで修行し、ドイツの工房で「ロッセルドルフ師匠」の一番弟子の名をもらい、日本で賞を4つ取ったと経歴を並べて「ゴールデンブレッド」を差し出す人は「嫌い」になると演じてみせた。不安だから実績や経歴を言いたくなるが、本当に大事なのは動機だという。
もう一つのポイントは、最初に感謝を入れることだ。本書によれば、第一声で感謝を述べると自己紹介の印象がまろやかになる。「この場を作っていただいた部長の竹本さん、ありがとうございます」「今日はお集まりいただきありがとうございます。僭越ながら短めに」と入ると感じがいい。「難波のドラゴンと言われてた後藤田です」と圧をかけたくなるところで、一度下手に出るわけだ。感謝し、省略した経歴を伝え、思いを強調する。中田はこれを「唯一にして無二の自己紹介」と呼び、この手順を知っていれば自己紹介タイムも怖くないと述べた。
悩み相談の正解:アドバイスではなく共感
悩み相談を受けたときに一番やりがちな失敗として、本書は「悩んでいる人にポジティブなアドバイスは不要」という絶対NGを挙げている。
中田の例では、後輩が「職場の雰囲気が合わないし、やりたいことも違う気がして、辞めようか迷っている」と相談してくる。そこで「まだ入って1、2カ月だろ、元気出せよ、ビタミンCを取るといい」と返すと、相手には「こいつは分かってくれない」という気持ちのほうが強く残る。元気がない理由を受け止めてもらえていないからだ。悩み相談はアドバイスの時間ではなく、ひたすら共感の時間だというのが本書の考え方である。
ここでも拡張話法を使う。「そっか、辛かったのか」と受け止め、「自分の仕事に意味があるか分からなくなってきた」と言われれば「分からなくなってきた?」と反復し、「そういうことってあるよな、俺も会社は違うけどよく思うよ」と共感する。「部長が変わって、クリエイティブより利益を出せと言われる」と聞けば「それきついよな」と受け止め、「そんな現場でよく今まで頑張ってきたよな」と賞賛し、「今もその状況は変わってないの?」と質問する。中田は、この拡張話法を体に入れておけば、悩み相談でも雑談でもうまくいくと言う。
これができないと、人はすぐにピッチャーになる。相談を受けた途端に「俺の最高にありがたいアドバイス」を投げ始め、まだ相手のターンなのに攻守交代したかのように自分のつらかった話を長々と語り、挙げ句の果てに「もう1杯だけいいか?」とハイボールを追加する。中田は、悩みを聞きに来たはずの人が延長を申し出る理由が分からない、と笑いを交えて描写した。
NGリスト:態度を変える、4Dワード、悪口
最後に中田は本書の「NGリスト」を紹介する。ここまでの内容から分かるように、好かれるための特別な魔法があるわけではなく、相手の気持ちを丁寧に優先し、NGなことをしないほうが大事だという。
一つ目は相手によって態度を変えること。これを聞くと多くの人は「偉い人にへつらうな」という意味に受け取り、エレベーターが開いてイチローがいたら誰でも緊張するのは自然だろう、と反論したくなる。しかし中田によれば、偉い人には卑屈にならず丁寧に接すればいいだけだ。「世界をまたにかけたイチローさんに比べて、私は日記を2週間書き続けている記録しかありません」のように卑下する必要はない。本当の問題は、自分より弱い立場の人に偉そうにすることで、それを見られるのが一番恥ずかしい。中田は、取引相手に愛想よくプレゼンしながら、喫茶店の店員には「コーヒーまだか、手あげてんの見えるだろ」と怒る人を演じ、こんな人の提案は聞きたくないだろうと示した。大事なのは権力者に気に入られることではなく、弱い人たちに嫌われないことであり、分け隔てなく丁寧にすることだという。「分け隔てなく横柄」であってはいけないとも付け加えた。
二つ目は4Dワード、すなわち「でも」「だって」「どうせ」「ダメ」である。基本に忠実に、否定せず全肯定する。本書には「言葉の癖は人格の癖」という言葉があると中田は紹介する。「分かるよ、でもね、厳しいよ、前例がないもん」と否定したくなるところで、まず全肯定するのが大事だという。
三つ目は悪口だ。全肯定しようという話の中で、悪口は最もダメなものだと中田は言う。では、悪口好きの先輩との飲み会で、取り巻きが「あいつまたミスしてました」と言い出したらどうするか。自分は言わなくても場にいたくない、言わないと空気が壊れる、と悩む人に対して、本書の答えは途中で抜けることだ。「ちょっと具合が悪くなってきたので帰らせていただきます」でいい。中田は「なんと帰って良かったんです」と言い、この本は徹底して努力を求めない本だと評する。さらに、悪口を言う人を変えようとしてはいけない。悪口の流れになった場で「ポジティブな話題に変えない?」と言えば、かえって変な空気になる。だから去ればいい。好きな人とだけ話せばいい、という点で、中田はかなりオリジナリティのある本だと述べ、人間関係を自分の中でクリアにしていくことでストレスが減り、自己肯定感も上がると話した。
好かれることより嫌われないこと
本書の最終的なまとめは「好かれることより嫌われないこと」だと中田は紹介する。なぜ嫌われてきたのかといえば、余計な一言を言ってきたからだ。否定、負け惜しみ、謎のアドバイス。中田はこれを「地獄の先輩3箇条」と呼ぶ。自分と違う人を否定し、自分より優れた人には負け惜しみを言い、弱っている人を見ればアドバイスしに行く。「そういう人に私はなりたくない」と言い、これを「逆宮沢賢治」と表現した。人間は感情の生き物であり、「とはいえこうじゃないですか」という正論も要らないという。
ここで中田は再び自分を振り返る。対談で相手の話を聞くことは意識できていたつもりだが、ところどころで否定し、「先輩とは言ってもそういう時代なんですよ」「そのやり方もう意味なくないですか、結果だって出てますし」と正論を言っていた、と認める。違う意見なら否定せずに去ればいい、触れなくていい、と自分に言い聞かせた。
動画の最後で中田は、時々自分の動画を見直すという「未来の中田」に向けて語りかける。対談相手の話を聞くだけでなく、誰かを否定しなくていい。意見が違う人たちが仮に自分を否定してきても、否定し返さずににこやかに離れればいい。全肯定の場所さえあればいいし、君はもう動画の中で十分に話しているのだから、もっと周りの意見を聞き、全肯定し、受け入れて成長しろ。中田は「人間は感情の塊なんだ」という言葉で動画を締めくくった。
どうも中田敦彦です。さあ、今日も早速参りましょう。エクストリーム現代社会、「人は話し方が9割」編。10割、ありがとうございました。
話し方が9割っていうね。「人は話し方が9割」。人間関係、仕事、恋愛、お金、パートナー、全部うまくいくよと書いてあるわけですよね。これ、実は大前提が面白いんですよ。この本、実はこの話し方、皆さん一番間違えてるのがイメージね。この本を読んで終わった後に急に流暢にみんなの前で喋れるようになっちゃって、TEDトークなんか出ちゃってですね、最終、iPhoneのプレゼンテーションしちゃうみたいな、そういうイメージ。そしたらみんながスタンディングオベーションで、「あの人のお話聞いてると涙が溢れて止まりません」みたいな。そういうイメージが間違ってる。何もかもが間違ってるっていうことが後で分かります。
今、皆さん、この本を読めばもうとめどなく流暢に喋って、そしてみんなを感動させて、そういう未来をご想像してる皆さんは根本から間違ってる。なぜなら、この話し方というのの本質はスキルではないって言うんですね。流暢に喋れる、例えばアナウンサー、芸人さん、噺家さん、そういう人たちの話し方というのは全然いらないもんなんですって。いらないよって言うんです。それはプロの方がそういう技術を見せる場所ではいいですよ。だけど皆さんが本当に欲しいのって何ですか。大観衆の前でiPhoneをプレゼンテーションすることですか。違いますよね。
近くにいる家族とか友達から好かれたい。そうです。もう一度、この全部うまくいくの「全部」をもう一度イメージし直してください。すぐそばにいる近しい相手に嫌われたくない。ギスギスしたくない。そういうことですよね。このビジョンをもう一度確認してください。その場合、実はスキルより大事になるのはメンタル。徹底してメンタルです。これから一切、皆さん、「私はそんなスキルがないので」というマインドを取っ払ってください。徹底してメンタルです。この本は完全なるメンタルにフォーカスした本なんです。めっちゃ優しいです。だからスキルがないあなたも、口下手だと言われたことがあるあなたも絶対大丈夫なんです。なぜならスキルではないから。
メンタルやられちゃう場に行くと誰もが口下手になりますって言うんですよ。例えば緊張する場所ね。高圧的な聞き手がいる場所。嫌ですよね。「おい、我が社では何ですか、ポンコツしかいないんですか。業績が赤字続きの我が社を救う、そんな画期的な企画を出せと言ったのにもかかわらず、A君、B君、C君、全員ポンコツの案しかないみたいです。来月の給料が楽しみですね。それでは続いてプレゼンテーションをどうぞ」って言われたら、これ地獄ですよね。「どうしよう。すいません、ちょっと昨日寝不足で、フルコンディションじゃ……」「うるさいな、寝てこいよ」。これ地獄ですね。つまり、ここは安心できないという場所では必ず人は口下手になりますよ。そういうことですよね。
逆に、すっごい親友とか、大好きな恋人とかの前で、慣れてるよっていう場所の前で、好きなものについて話すね。「昨日見たアニメ、最高に面白かったよ」とかっていう時に、緊張して言葉が出てこないってことないですよね。好きな人に囲まれて好きなことについて話す時っていうのは、めちゃくちゃリラックスしてるから、それはそれはご機嫌に喋ってたでしょう。つまり皆さんが足りなかったのはスキルじゃなくてメンタルだった。じゃあどういうメンタルか?
それは否定しない場所にいますか。それはうなずいてくれるっていう人はいますか。明るい言葉やプラスのポジティブなことについての話題を話させてもらえてますか? ここが大事。つまり本当に必要なのはあなたのスキルではなく、あなたが話す時の全肯定の環境作りだったんです。全肯定の環境さえあれば喋れるんです。「いや、ちょっと待てよ。そんな場所、パラダイスやないですか。いくらかかるんですか。その仮初の場が必要なんじゃない」って思うかもしれませんね。でもそうじゃないんです。誰しもがこれ今、パラダイスだと思ったでしょう。そうなんです。だからあなたがそれを作ってあげなさいっていう本なんですよ。
この本、いきなりマインドチェンジになるんです。まずこの本を読む人は、自分が話したくて話したくて、話したら「あの人ジョブズかも。ぎゃー、モテモテ〜」、そういうの考えてましたね。違うんです。そういうふうに誰しもがなりたいのであれば、そういうふうにしてあげたらいいんじゃない、あなたの目の前の人にっていう本なんです。全部うまくいくように誰かをしてあげれば、必ず好かれますよっていう本なんです。これは僕も足元すくわれましたね。僕もまだまだ喋りたいって思ったんですけどね。違うよと、あなたが聞くんですと。
人間の大原則。これ、他のコミュニケーションの本でも啓発本でも必ず出てくるんですが、いつも忘れてしまうんです。それをもう一度ここでおさらいしましょう。人間の大原則。それは最も自分が興味あるのは、誰もが自分のこと。そうですよね。
「あなたがよく知らない山本コウスケさんの今年の運勢について今から話します」「聞きたくないです。聞きません。私がよく知らない山本コウスケさん、それ有名人でもないんですよね」「そうです。栃木にお住まいの公務員の方です」「いいです。一年の運勢、絶対に聞きたくないです」「分かりました。じゃあ、あなたの今年の運勢は?」「聞きたいです。それは聞きたいです」「何が?」「恋愛運が」「分かりました。ではあなたの恋愛運の話の前に山本コウスケさんの今年の……」「いらないです。山本コウスケさんの恋愛の話、一切いらないです。知らないから」「あなたのご友人の……」「いや、それも」「ご家族の……」「いや、それも」「あなたの……」「聞きたいです。僕のだけ聞きたいです。すいません、僕のだけお願いします」。これがやっぱり人間の本質ですよね。誰しもが自分の好きな人ってのもいるけど、その人がどうなるかっていうより、自分がどうなるか気になりますよね。
だってそうですよね。グループで写ってるんですよ。4組ぐらいのカップルで行ったんですよ。そのグループ写真で、「写真見る?」なんて言って、「こんなふうに撮れたよ、見る?」なんて言って、写りを気にする時、自分が一番大事にしてる子供やパートナーの写りがいいかなってまずチェックする人、手挙げてください。皆無です。誰しもが写真をグループショットで見たら、まず自分の顔見て自分の写りを気にするんです。そして自分がうまく写っていたら、「この人、腕のいいカメラマンだ」と言い、うまく写っていなかったら、「何というカメラを使ってるんだ、こいつは」というふうに思うわけですね。つまり自分のことが。
第二原則。そんな自分に興味がある上で、自分のことを分かってほしい、そして認めてほしい。自分のことを理解していない、「あなたは誰ですか?」っていう人は嫌ですよね。「あなたのことは知ってますよ。普段からこんなことやってますよね」と言って、「知ってるんだ、分かってるんだ。よしよしよし」。その上で「すごいですよね」「よっしゃ」。こうですよね。
分かってた上で認めない、嫌ですよね。「あなたはよく知ってますよ。生い立ちの頃からこうね、その後、中学ではこう、高校ではこんなことをやってきて、今はここにお勤めで、こんなことを頑張って、一生懸命取り組んでなさる。それは私は思うに、全て無意味です」って言われたら、「この野郎。全てを否定してくれたな、この野郎。全部を入念に調べて、挙げ句、全否定か、この野郎」。Wikipediaで全部調べた上で、何を全否定してくれた。分かった上で認めとけよと。分からずに認めるのも嫌ですよね。「よく分かりませんが天才です」「こいつは信用できないな」ってことですよね。つまり両方欲しいんです。皆さん、自分に一番興味があり、分かってほしくて認めてほしいんです。そして分かってくれる人が大好きです。だって分かってくれて認めてくれてんだもん。それは自分に一番興味があるんだから好きになりますよね。
「人は話し方が9割」。皆さん、話し方を改善すれば必ず人に好かれるようになります。最初の目的はジョブズのようにiPhoneを売ることではなくて、近しい人に好かれることでしたよね。だとしたらこの大原則を逆に使うんです。目の前のあの人もこの人も絶対に自分に興味があり、絶対に分かってほしくて認めてほしくて、そして分かってくれる人を好きになるのだとしたら、絶対に分かってあげて認めてあげてください。なんと「人は話し方が9割」、この本は「話し方とは聞き方です」というお話であります。
つまり流暢にジョークを飛ばしてユーモアを交えて、そうやって人を虜にすればいいのさと思ってた。だけど人は笑わせてくれる人よりも、笑ってくれる人が好きなんです。笑ってほしいんですね。一緒に笑ってくれる人が好きなんですよ。なんだか寓話みたいですよね。みんなが同じものを欲しがってるので、それをあげたらいいという話。じゃあどうするか。ここですね、聞き方。これが難しいんだよと。これやりました、いっぱい、いろんなのでやりました。しかし今回の本はなんとこの聞き方をかなり具体的に教えてくれます。その名も拡張話法です。話法って言うから、自分がすごい喋るんじゃない、拡張しちゃうんじゃない、自分を拡張しちゃって喋るんじゃないと思いきや、違うんですね。相手の話を拡張する方法なんです。
これ面白いんですよね。まず感嘆、驚くんですね。「はあ、そう、マレーシアに住んでるんですね」。これですね、まず感嘆する。これ、ビックリマーク、クエスチョンマーク、ハートマークを自分の中でイメージして、くっつけるイメージで言っていただきたい、書いてあります、この本には。その上で皆さんが思っている10倍でやってくださいねって言うんですよ。「マレーシア住んでるんすか!」。驚き。これ、感嘆入れましょう。その上で反復、オウム返し。
これ、間違えたらちょっと違うからってなります。オウム返しって、「いや、ロボじゃねえんすから」って思うじゃないですか。「いや、違うんすよ。俺、人なんすよ。その上で聞き上手って思われたいんすよ。だからその人が言ったのを咀嚼して、全然違うワードに切り替えて、俺なりのフレーズぶちかましたいって思ってます」っていう人、やめてください。おとなしくオウム返ししてください。「俺、朝、毎日パン食うの」「つまりご飯派じゃないってことですね?」「いや、そうじゃなくて、単純にご飯も食うけど、好きだけど、パンを朝食ってるってこと」っていうふうに言われることあるよね。
だけど、「俺、毎朝パン食ってんの」「はあ」。感嘆ですね、感嘆をまずします。「はあ、毎朝パン食ってるんですか」「そう」。そうでしかないじゃない。だって毎朝パン食ってるっつって、毎朝パン食ってるって。それを「ご飯派じゃないんですね」「パン派なんですね」とか謎の解釈して、「いや、そういうことじゃねえんだよ。二元論じゃねえんだよ」とかってね。「毎朝パン食ってて、その上で俺、毎朝ジョギングすんのね」「スポーツマンなんですね?」「いや、スポーツマンじゃねえんだよ、俺。めちゃくちゃインドア派なんだよ。だけどジョギングはする男なの。俺、スポーツマンって言われたことないんだ」「そうなんすか。毎朝ジョギングすんの」「毎朝ジョギングすんのね」「そう」。そういうことなんですね。なのでおとなしくオウム返ししてください。反復です。
でもそのことによって、聞いてるんだな。だから合いの手ですよね。合いの手入れてるんですよ。カラオケでもいい感じに合いの手入れてくれる人、いいじゃないですか。自分が気持ちよく歌ってて、いい感じでマラカスとかシャンシャンシャンとかね。それがうるさいやついるでしょう。シャンシャカ、シンシャカ、シャンシャンシャンシャンシャン……。サビで前に出ちゃったりして、その上でハモっちゃったりして、「うるせえな」っていうね。「それ合いの手じゃねえんだよ。前出てくんじゃねえ」っていう。言ったらマラカスを鳴らすって作業ですね。
その上で3番、ここから大事、共感なんですよね。「分かりますよ」「そうですよね」っていう、寄り添うんです。なんでって、全肯定だからですよ。全肯定の環境作りです。「いやいや、でも否定したい時もあるんですよ。俺、ロボじゃないんだよね」っていうね、ロボじゃないんで勢の皆さん、ぜひお黙りください。なぜなら目的は好かれたいんですよね。間違えちゃいけないのが、あるがままに生きたい、揉め事があっても、ということじゃないです。「人は話し方が9割」を読み始めた時の気持ちを忘れないでください。人に好かれたいんですよね。これなんですよね。「俺、ロボじゃないんで」じゃないんですよね。なので共感しましょう。
これは要するにエチケットなんですね。相手の方がこう思ってる。この大原則を受け止める側になるぞ、キャッチャーになるぞ、向こうがピッチャーなんだぞっていうことを表す。パーン、「ナイスボールですね」。スパーン、ミットが鳴りました。その上で「ストライク!」。ボール投げてストライクが響き渡って、「ナイスボールですね」。これです。共感します。「毎日パン食べるの、いいですよね」。こうなるわけですよね。毎日パン食べない方がいいかもしんないですよ。自分はご飯派かもしれない。でも「毎日食べたことはなかったですけど、いいかもしれないですね」とか。共感します、寄り添います。
その上で称賛するんですね。「でもそれを自分で、そのライフスタイルを自分で作ったってすごくないですか」。称賛しましょう。この時、×10してくださいって言うんですね。「いやいや、俺、マジでリスペクトしてる時はリスペクトの表明すること、やぶさかじゃないすけど、マジおだてるとか腰巾着的な真似、やめたいです」っていうあなた、ぜひお黙りください。読む時の気持ちを絶対に忘れないでください。好かれたいんですよね。
でもここでプレッシャーをかけるわけじゃないんですよ。こういう拡張話法とか、聞くのが大事ってお話になった時、おべんちゃら使って嘘ついて持ち上げてるみたいに、そういうふうに思う方もいるかもしれない。でも大事なのはここなんですね。「苦手な人とは話さなくていいですよ」って。つまり好かれたい人に対してやることなんですよ、これは。全人類にやれって言われてることじゃないんですね。あなたがもしも好かれたい人がいて、その人とのコミュニケーションを円滑にしたいのであれば、今まで自分が滔々と自分のセールスポイントをアピールしてきたという過去を振り返り、「私を好きになって。だって私はこんなにすごいんだから」「俺を好きになってくれよ。だって俺にはこんな実績があるんだから」という時間を、相手を称賛したり共感したりする時間に使いませんかっていうお話なんです。
わけの分からない、大嫌いな「おい、何々君、私の話を聞きなさい」っていう人に対して「イヨッ」とか、そういう世界観にすぐなりがちなんですけど、そんな現場からは帰ってください。いち早く帰ってください。その上であなたが大事にしているパートナーがもっと気持ちよく自己肯定感を上げて、あなたに心を開いてくれるようにするには、という前提をお忘れなきようお願いしますね。
称賛するんですよ。「すごいじゃん。めちゃくちゃすごいよ。だってさ、そんなに頑張れないよ、人って。でもそんなふうに頑張ってるんでしょう。毎朝ジョギングしてるんでしょう。すごいよ。すごいことだよ。俳優になりたいんだもんね。だから体作りが大事だって。それで殺陣も習ってるの、すごいじゃん。殺陣なんて俺やったことないぜ」。その後です。質問ですね。綺麗な流れです。「殺陣なんて俺やったことないぜ。殺陣ってどういうふうに習ってんの」。これですよね。
「いや、これを俺もさ、びっくりしたんだよ。最初から刀持たせてもらえると思ったの。でも違うんだよ。最初はまず正座して気持ち整えることからなんだよ」「ええ、いきなり持たせてもらえないの」。反復。「それ結構ビビるよね」。共感。「でもそこにちゃんと向き合ってるわけでしょう。すごくない」。称賛。「そのマインド整えた後はどうすんの。もっと聞かせて、面白いから」「聞きたがるじゃん。じゃあ言うけど、その後刀握らせてくれると思ったら、次握らせてもらったのが棒なの」みたいな。「棒!?」。そういう、これ気持ちいいコンボですよね。実はこのコンボ、1ミリも隙ありません。1 to the 5、1 to the 5、これをぐるぐる回すだけですね。どんどん相手の話広がります。
ものすごい流暢に喋んなきゃいけない、どうにかしなきゃいけない、おもてなしの気持ちどうしよう。大丈夫、この5個、これに慣れてください。でも急に共感とか称賛できるかな、そういう方のために落ち着いてください。なんと、ここ面白いのが、共感や称賛に対して適切な言葉っていうのは結構あると。それは「さすがですね」とか、「やっぱりあなたってすごい人だよね」とか、いろんな言葉があるじゃないですか。「そんなのは見たことがない」とかね。そういう言葉に対してリストのように自分で紙に書いといてください。使える言葉。そしてそれをトイレと寝る時の天井に貼っといてくださいって言うんですよ。そこまでやる? そこまで、その英単語以来よ。高3の時の英単語以来の扱いだよ、それ、言葉に対する。
だけどこれいいなと思ったのが、そういう毎日って別に苦じゃないじゃないですか。トイレに貼っとくだけですから。でも目に入るでしょう。「さすがですね」とかっていうのは頭に入るでしょう。無意識レベルで聞く力養われるって言うんですよ。会話に困ったらそれが出るんですよ。つまり会話に困った時にボール投げようとしてませんでした? 「どうしよう、何言っていいか分かんない。この前あった面白い話、行かせていただきます」。これですよね。「この前タクシーに乗った時にハプニングが起きた、その面白き話、行かせていただきます。俺の話なんだけど」って。逆転しちゃうんですね。
そうじゃなくて、困ったっていう時にこの共感や称賛のキーワードリストが出てくるような体になれば、常に「もういっちょ」って言えるわけですよ。「俺から投げよう」じゃなくて、「もういっちょ」って言って、ポン、「いいね、ナイスボール! 次はカーブ行ってみよう」みたいな感じでやると、キャッチャーであり続けられる。この癖付けがすごいんですね。自分の中で「はい、もう一本」ってやるのがすごくいいんですね。ここを具体的に書いてることで、非常にこの本、信頼できるなと私思いました。
その上で大事になってくるのは、この感嘆とか称賛の×10のところですよね。この×10が、ちゃんとできるか心配だっていう方、多いと思うんです。そういう時に意識してほしいのが実は表情って言うんですね。それも顔だけじゃなくて、声や体全体の表情。これを皆さん見落としがち。「いや、演劇部じゃないんだから」って皆さん思うかもしんない。「演劇部じゃねえんすよ。そこまでやってどうすんの。アメンボ赤いな、あいうえおじゃねえの」っていうあなたはですね、じゃねえからお黙りください。まず声と体全体で表情をつける。これ、やってみると意外とできるんですよ。
マインドでスイッチ入れて、「ええ?」とか、「それからどうなったの?」。この表情と声と、動きですよね。「それからどうなったの?」。それぐらい話を聞いて、「おお!」とか「ええ?」とか、「いや、すごいね!」とか。これをやるとノるんですね。要するにキャッチャーが動くんですよ。パーン、「ストライク!」ですよね。スパーン、本当にふわっと山のボールを投げたにもかかわらず、うわっ、ドーン、ザザザーッ、ドン! 「うわ、切れてるね。ミットが突き破れました。もう一本!」みたいなね。
ミットに穴を開けといたんですよ。徹夜でミットに穴を開けといて、仕込んでたんですね。その上でここにオイルを塗っといたんですね。滑れるように。そして球をキャッチすると同時に足をギュッと後ろにやって、そしてここにちょうどいい壁を用意しといたんですね。そしてその壁に少しヒビを入れてたんです。だからすごい後ろに下がって壁をぶち破って、それでミットも突き破れて、「やってくれるね」というのを作ったという。でもそれがすごくいいんですね。こういうことやってみましょう。好かれます。何をしても好かれなかった。好かれるんです。
私自身も響きましたね。なんで好かれないと。「人は話し方が9割」、まあまあまあまあ、思ってました、僕も。「YouTube大学やってまんねんて。めちゃくちゃ喋りうまいって思てまんねん。でもそんな好かれてませんねん。そんなに好かれてませんねん」。それむずいんです。僕自身も全然ギスギスする時あるし、うまくいかないなっていう関係性あるんです。なんでかって言うと、これやってなかったんですね。投げる一方だったんですよ。
だから皆さん、どんだけ剛腕になって、YouTube大学ができるぐらい、「60分一人で喋ったらぁ」みたいな人間になっても絶対に好かれませんから、その道はすぐ諦めてください。キャッチャーになってください。ピッチャーはどんだけ剛腕でも全く好かれないんで。動画は見てもらえますよ。人間関係は別に全然向上しませんので、これやりましょう。苦手な人と話さなくていいよ、ここですね。
じゃあ苦手な人来たらどうするか。これも面白いんですよ。リアルですね。沈黙でいいって言うんですよ。「ええ、沈黙でいいんすか。いや、同じバス停とかになっちゃって、エレベーター一緒になっちゃって、気まずいな……みたいな。この人のこと嫌いなの、すごいモロバレになっちゃったらちょっとあれだから、話しかけてみようかな」とかっていう気持ち、いらないよ。大事なのは、ずっと忘れないで、スキルよりメンタル、全肯定の環境作り。好きになってほしい人にだけこの技術は使ってください。好きになりたくない人とは黙ってください。そういう非常にシンククリアリーなんですね。黙りましょう。
つまりこの時に全員が嫌悪感を抱いたのは、嫌いな人とも喋らなきゃいけないっていう強烈な先入観がみんなあるからなんですよ。「いやいや、俺ロボじゃねえんで。嫌いなやつの前で称賛して感嘆して、そんな自分想像しただけでマジ反吐が出る」。そういうふうに皆さん思ってた。だけどそれは最もマインドが違うんですね。沈黙を詰めない、沈黙を埋めないどころか、距離を詰めなくていいですと。なので苦手だなと思ったら、普通に黙っておいとましてください。何も言わない。そういうお話なんですね。なんとなくメンタル守れそうですよね。
さあ、そして自己紹介と悩み相談。このスーパーあるある来ましたね。これの正解も教えてくれます。自己紹介、嫌ですね。「それじゃあ今日は自己紹介タイムから入りたいと思います」というふうな状態から、ブルブルブルブル、「うわ、何言おう、パニック、何言う」。これですね、人生に何度か訪れる自己紹介パニック。これ、最高の正解教えてくれてます。
まず自分の歴史を箇条書きにしてみてください。簡単にここ箇条書きにした後、それを今度は省略してください。細かい出身地とか出身校の名前とかは別にいらないですよね。こんな経歴で今こんな仕事やってます。そんな感じでもなんとなく分かりますよね。どこどこに生まれて、どこどこで育って、こんな経緯でこんな仕事やってます。これぐらいでいいわけですよね。つまり大事なのは箇条書きっていうことと、省略するってことです。自分のことをアピールしなきゃって思うばかり、いきなり振りかぶっちゃうんですね。なので箇条書きにして、さらっと4つぐらいにキーワード絞ってください。その上でここ大事、経歴より思いが大事だよ。
なんでそんな仕事してるんですか、ここなんです。つまりこれも徹底してメンタルなんですよ。スキルじゃないです。感情なんです。感情に寄り添うんです。自己紹介の聞き手の感情です。「この人、どうして文房具屋さんになったんだろう」みたいなね。「祖父が使っていた万年筆、それにものすごく感動を受けて、一本の文房具に愛着を持てば人の人生は変わる。それを皆さんにお伝えしたくて、私、今、町で小さな文具屋やってます」「ええ、応援したい」。そうですよね。
「昔はサッカー一本のサッカーバカだったんですが、その時マネージャーが差し入れしてくれたあんパンの味が忘れられなくて、みんなにパンで人生元気になってほしいんで、街で小さなパン屋やってます」「応援したい」。その思いの方なんすよ。「私はどこどこホテルでまずは修行し、どこどこのドイツの工房に行きましてね。そこでマイスターと言われる、皆さん知らないかな、ドイツの業界では非常に有名なロッセルドルフ師匠というところから一番弟子の名をいただきまして、その後、日本で4つほど賞をいただきました。私のパンがこちらです。ゴールデンブレッド、どうぞ」「嫌い、こいつ。こいつ嫌いだわ。ドイツのよく分かんねえ謎の師匠に褒められて、日本で知らねえ賞4つ取ったか知らねえけど、こいつのゴールデンブレッド食いたくねえわ」。そういうことなんですね。実績とか経歴を言いたくなっちゃうんです。不安だからね。だけど本当に大事なのは、なんでその仕事やってんのってことですよね。
その上で感謝。これ自己紹介する時って、実は挨拶の時とか、感謝を最初に入れとくと非常にまろやかになるらしいんですね。最初の第一声、感謝。「まずはこの場を作っていただきました部長の竹本さん、ありがとうございます。僕は昔サッカー部をやってまして……」。こういうことですね。最初に「まずはこの場を作っていただいた〇〇さん、ありがとうございます」とか、「今日はこんなにお集まりいただきありがとうございます。僭越ながら短めに自己紹介させていただくんですけれども」みたいな感じで入ると、感じいいですよね。
「ウィ〜。難波のドラゴンって言われてた後藤田です」。わけの分かんない、その圧でかましたくなるんですけど、一回最初、下入るんですね。「高い所から失礼します。まずはこの場を作っていただいた……」。これですよね。実は自己紹介の時に最初に感謝する。しないですよね。難しいですよね。でもこれもちゃんと覚えとくといいんで、感謝した後、箇条書きで省略したキーワードの経歴を、思いを強調して伝える。これが唯一にして無二の自己紹介です。やってください。
これもう怖くないですね。自己紹介タイムってなったら、「よし、待ってろよ。まずは感謝から入り、思いに至る。私はそのことを知っている」。そしたら周りの慌てふためく様子を見ながら、箇条書きを整理し、思いを整理し、感謝を伝える。これです。
もう一つ、悩み相談の世界。これたまにあるんですよね。悩み相談受ける時もありますよね。でもこれ一番ミスりがちなの、なんでかって言うとここなんです。絶対NGがあるんです。それが、悩んでいる人にポジティブアドバイスは不要。「悩んでる人をポジティブにしてあげられるようなアドバイスをするっていう回じゃないの?」。違います。
悩みを言ってきますよね。「職場の雰囲気がちょっと合わないのかな。自分のやりたいことも違ってるような気がするんで、仕事辞めようかどうかってちょっと迷ってるんすよね」「おい、何言ってんだよ。まだ入って1か月、2か月だろ。雰囲気はまだ分からない。元気を出せよ。そうだ、ビタミンCを取るといい」。そういうわけの分からないこと言って、解決したところで、「こいつ分かってくれないな」の方が強くなると思いません? 「なんでそんないきなり元気出せよって言ってくんだよ。元気ねえんだよ。元気ねえ理由の受け止め方が違うんだよな」。受け止めれてないんですよ。キャッチしてほしかったんですね。悩み相談とは何の時間か。アドバイスする時間ではありません。共感、共感、ひたすら共感の時間なんです。
「そっか、つらいよな、職場でだろ。そうか」。その時も実は拡張話法なんですよ。「そうなのか、つらかったのか。なんか最近元気なさそうにしてるなとは思ったんだけど。それで、それで?」「自分のやってる仕事に意味があるのか分かんなくなってきちゃったんですよ」「自分のやってる仕事に意味があるか分かんなくなってきた? そうなんですね。そういうことってあるよな。自分がやってる仕事に全部意味があるかなんて分かんないよな。俺も会社は違うけど、よくそういうふうに思うよ」「本当ですか。特に最近はひどくて、部長が変わってから方針が変わって、クリエイティブより利益出せって言ってくるんですよ」「ええ、それきついよな。でもさ、そんな現場でよく今までお前頑張ってきたよな」。称賛です。
「そんな現場でお前、よく今まで頑張ってきたよな。お前が悩んでるって気づかないぐらい、お前頑張ってたもんな」「ありがとう」「それで今もその状況ってのは変わってないの?」「残念ながら変わってなくて」「その後さ……」。こうなるわけですね。こういう拡張話法を使って共感をする。これが大事なんですよ。この無敵の拡張話法さえ体にインストールしておけば、悩み相談だろうが雑談だろうが全部うまくいきます。
これができてないと、もういらないぞっていうアドバイスを投げるはめになるんです。ピッチャーにすぐなる。人はすぐピッチャーになります。「悩んでんのね」。パン! 「はい、じゃあ俺の最高にありがたいアドバイス行っちゃいます」。これですね。「いや、投げるなと。まだこっちのターンだと。なんでスリーアウト取った感じで攻守が交代してるんだ。お前のありがたい話が長い。ずっと俺の職場でのきつい話から、お前がきつかった時の話にもうシフトしてる。なんでもう一杯ハイボールを頼んでるのかが分からない。『もう一杯だけいいか?』の意味が全く分からない。俺の悩みを聞きに来たのに、なんでお前が延長して、もう一杯だけ飲んでいいって言ってるのかが分からない」。そういうことになってるわけです。なのでここ、やっぱり基礎ですね。さえやっておけば大丈夫だし、そういう人に対しては沈黙で距離取ってもいいよということです。
では最後にNGリストですね。ここまで見てもらってお分かりの通り、好かれるというよりもむしろNGなことをやらないっていう方が大事だっていうことを、皆さんお気づきでしょうか。すごい特別な、人に好かれる魔法のテクニックを言ってるわけじゃないですよね。謎の呪文を唱えたら、たちまちに異性がものすごいときめいた目で見てくるよとかって言わないですよね。丁寧にただ相手の気持ちを優先してるだけなんです。その上で絶対やっちゃいけないのが、ピッチャーにすぐなりたがる、すぐアドバイスしたがる、リアクションが悪い、「俺の話を逆に聞け」という、そして「もう一杯だけハイボール飲んじゃっていいかな」という。それが一番悪いことでしたね。そんなNGさえ避ければ実は大丈夫なんです。
NGリスト、これが強烈です。まずは相手によって態度を変える。これって分かってはいるんですよ。このフレーズ聞くたびに、「分かるけど、だってさ、でも人間自然なことじゃない? 相手がマジでVIPクラスの人間、突然エレベーターでチーン開いて、そこにイチローいたらどうよ。ビビんね?」。そういうことですよね。いや、そういうことじゃないんですよ。実は相手によって態度を変えるんじゃないよって言われた時に、偉い人に対してへつらうなっていうイメージで捉えません? でもそういうことじゃないんですよね。偉い人に対しては、へつらうんじゃなくて丁寧にすればいいんですよね。「イチローさんでしたか。おはようございます」。これでいいわけじゃないですか。
「イチローさんじゃないすか。世界を股にかけたイチローさんに比べて、私の卑小なこの記録。日記を2週間書き続けているという記録以外は持っておりません」。卑屈にならない、丁寧にする。実は偉い人に媚びるなっていうことじゃなくて、実は自分より弱い人に対して偉そうにするなってことですよね。こっちなんですよ、むしろ。むしろ一番恥ずかしいのが、そっちを見られた時なんですよ。
「よろしくお願いします。今日は本当にお話できて良かったです。ぜひ我が社のプロジェクト、自信ありますので聞いてください。プレゼンの前にコーヒーでも。さっきから呼んでるんですけどね。おい、遅いだろ。さっきから手挙げてんの見えるだろ、コーヒーだよ、コーヒー。え、ボタン? 見えないよ、こんなとこ置かれても。なんだよ。もういいじゃないか、ボタンを……。すいません、我が社のプロジェクトをぜひ聞いていただきたい」。絶対嫌ですよね。「なんかやだな、この人。喫茶店でそんなに怒るんだ」。こういうのよくありますよね。
なので上司にだけへつらう人じゃなくて、自分より弱い立場の人に対しても丁寧にいこうということです。大事なことは権力者に気に入られることじゃないんですよね。弱い人たちに嫌われないことなんですよ。分け隔てなく丁寧ってことです。分け隔てなく横柄ってことじゃないですよ。「俺、相手によって態度変えないんで、マジそこんとこよろしくお願いします、社長さん」。これもうおしまいですね。これじゃないんですよね。全員に丁寧にいこうと。
あと4Dワードね。「3Dまでは知ってますけど、4Dって何ですか。4次元?」。違う。「でも」「だって」「どうせ」「ダメ」、これですね。結局、ここ基本に忠実、否定しない全肯定ですね。これ、「言葉の癖は人格の癖だ」という言葉がこの本に載ってますね。人に気を使えない言葉しか使えないんだったら、その人はそういう人です、言ってきます。なるほどな。この「でも」ね。「いや、でもさ。分かるよ、分かるよ。でもね、厳しいよ、前例がないもん」。否定したくなる。そうじゃなくてまずは全肯定する。
悪口。それもう一番ダメですよね。この否定しない、肯定しようって言ってんのに、それもう悪口ですから。「あいつはもうずっとダメですね」とかっていうこの悪口。でも「中田さん、俺が言ってるわけじゃないんですよ。先輩との飲み会に行ったら、先輩が必ず悪口が好きで。あとその先輩が悪口が好きだっていうのも分かってるから、腰巾着みたいな周りのやつらが『あいつあんなミスしてました』とか、『あいつがまたあんなこと吹聴してましたよ』みたいなことを周りが言うんすよ。俺だってその場にいたくないですよ」。そういう時、周りが言っても言わない。「いや、でも言わなかったら空気壊れませんか」。だから中座してください。つまり「ちょっと具合悪くなってきたんで帰らせていただきます」。帰ってよし。なんと帰って良かったんです。
この本の根本的なところは徹底して努力を求めないことなんです。大事なのはスキルじゃない、努力じゃなかった。全肯定の環境作りだった。「いや、そうじゃない人だっているよ」。だとしたらその人とは距離詰めなくていいよ、沈黙していいよ、帰っていいですよ。その上で、悪口を言う人を変えようともしてはいけません。
その空気が悪口になった。「あいつマジ使えないよね。この前も同じミスしてたんだよ」「あいつ絶対、チーム全体にものすごいデメリットじゃない」、どうのこうのってなってるわけですよね。その時に、これ悪口のパターン入ってると思って、「みんな、ポジティブな話題に変えない?」なんて言ったら、余計に変な感じなわけですね。なので変えようとしてはいけません。去ってください、去ってください。あなたが好きな人とだけ話してくれたら。
そういう意味でかなりオリジナリティのある本だと思いません? でも実はそういうふうに人間関係を自分の中でクリアにしていくことで、ストレスなくなりますよね。自己肯定感上がりますよね。そういうことをやれる、しかも難しくないというね。最終的なまとめとしてこちら。好かれることより嫌われないこと。なんで嫌われてきたのかな。それはなんでかって言うと、余計な一言言ってきたからですよね。否定してました、負け惜しみ言ってました、謎のアドバイスしてました。
最悪です。地獄の先輩3箇条ですね。否定、負け惜しみ。自分と違う人を否定し、自分より優れた人には負け惜しみをし、弱ってる人間を見たらアドバイスをしに行く。そういう人に私はなりたくない。そういうことですね。逆宮沢賢治ですね。そういう人に私はなりたくない。これしちゃうんだよな。でもよくしちゃうんすよね。だからこれをもうやらないだけで、聞く。これです。徹底して人間は感情の生き物だよと。「とはいえこうじゃないですか」という正論、これいらない。
これやってきてたね。中田やってきてた。正論言ってた。「先輩とは言ってもそういう時代なんですよ」。言ってた、言ってたな。「そのやり方もう意味なくないですか。結果だって出てますし」。言ってた、言ってた、言ってたな。やってた、余計な一言。やってた、やってたな、これな。難しいもんですよね。これ私も今まで対談して人の話聞くっていうことは意識してやれてたと思う。だけどちょいちょいこれ出てた、中田の。否定してたね、正論言ってた。違う、感情なんすよ。感情の生き物なんで。
違う意見なんだったら否定しなくて去ればいいんです。触れなくていい。中田よと、この動画を見てる未来の中田よと。お前は時々自分の動画を見直すだろ。何を言ったかお前はすぐ忘れるから。だから未来の中田に言うぞ。これをするんじゃない。対談相手の話を聞くだけじゃない。いいか、誰かを否定しなくていい。もう無視していいんだ。それはお前とは意見が違って、その人たちが仮にお前を否定してたとしても、お前が否定し直すことはない。にこやかに中座すればいいんだ。
そう、離れていい。君が受け入れられる場所はあるよ。きっと全肯定の場所さえできればいいんだ。それ以前に君はもうこれ以上喋る必要がない。動画の中で十分喋ってる。君はもっともっと周りの意見を聞くんだ。全肯定するんだ。受け入れろ、成長するんだ。中田、この動画をもう忘れた未来の俺よ、聞いてくれ。人間は感情の塊なんだ。ではまた。
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