話し方の本質はスキルではなくメンタルにある:中田敦彦が読む『人は話し方が9割』

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概要

中田敦彦は、永松茂久の『人は話し方が9割』(すばる舎)を取り上げ、この本の前提は多くの読者が想像するものとは違うと話す。話し方の本と聞くと、流暢に話して大勢を感動させる技術を思い浮かべがちだ。中田によれば、この本が扱うのは身近な人に好かれるための「聞き方」である。必要なのは話術ではなく、相手のために全肯定の環境を作るというメンタルだという。中田は本の内容を紹介しながら、自分自身の失敗も振り返っていく。

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「流暢に話せるようになる本」という誤解

中田はまず、読者がこの本に抱きがちなイメージを否定する。読み終えたら急にみんなの前で流暢に話せるようになり、TEDトークに出て、最後にはiPhoneのプレゼンテーションをしてスタンディングオベーションを受ける。中田はそうした未来像を「根本から間違ってる」と言う。本書によれば、アナウンサーや芸人、噺家のような流暢に話す技術は、プロがそれを見せる場なら意味があるが、一般の人には「全然いらない」ものだという。

では読者が本当に望んでいるのは何か。中田は、本の帯にある「人間関係、仕事、恋愛、お金、パートナー、全部うまくいく」の「全部」を思い描き直してほしいと促す。大観衆の前でプレゼンをしたいのではなく、すぐそばにいる家族や友人に好かれたい、嫌われたくない、ギスギスしたくない。そうした目的のために大事なのは、スキルではなく「徹底してメンタル」だと中田は強調する。そのため、口べただと言われたことがある人でも大丈夫だという。

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人は安心できない場所で口下手になる

本書は、メンタルが追い詰められる場に行けば誰でも口下手になると説く。中田は寸劇で例を示した。赤字続きの会社で上司が「A君、B君、C君、全員ポンコツの案しかない」「来月の給料が楽しみですね」と言い放ち、「それでは続いてプレゼンテーションをどうぞ」と促す。こうした高圧的な聞き手の前では、言い訳をしようとして「うるさいな」と返されるような地獄になる。

反対に、親友や恋人の前で「昨日見たアニメ最高に面白かった」と好きなものについて話すときに、緊張して言葉が出なくなることはない。中田は、好きな人に囲まれて好きなことを話すときはリラックスしているから、誰でも機嫌よく話せていたはずだと言う。つまり足りなかったのはスキルではなくメンタルだった。否定されない場所にいるか、うなずいてくれる人がいるか、明るく前向きな話題を話させてもらえているか。本当に必要なのは、話す人のための「全肯定の環境作り」だというのが本書の主張である。

そんな場所はパラダイスで、お金を払わなければ手に入らないと思うかもしれない。しかし中田によれば、本書の核心はここで発想を逆転させる点にある。誰もがそういう場所を欲しがっているのなら、あなたが目の前の人にそれを作ってあげればいい。誰かが「全部うまくいく」ようにしてあげれば、必ずその人に好かれる。中田は、自分も「まだまだ喋りたい」と思っていたので「足元掬われました」と語り、この本はいきなり読者のマインドを入れ替える本だと評する。

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人間の大原則:誰もが自分に一番興味がある

続いて中田は、他のコミュニケーション本や啓発書にも必ず出てくるのに、つい忘れてしまう「人間の大原則」を確認する。第一の原則は、誰もが最も興味を持っているのは自分のことだ、というものである。

中田はこれも掛け合いで説明する。「栃木にお住まいの公務員の山本コウスケさん」の今年の運勢を話すと言われても、誰も聞きたがらない。友人や家族の運勢にもそれほど関心はない。ところが「あなたの今年の恋愛運」と言われると聞きたくなる。もう一つの例が集合写真だ。4組ほどのカップルで撮った写真を見るとき、最初に自分の子どもやパートナーの写りを確かめる人はいない。誰もがまず自分の顔を確認し、うまく写っていれば撮った人を腕のいいカメラマンだと思い、写りが悪ければカメラに文句をつける。

第二の原則は、自分に興味がある上で、自分のことを分かってほしい、そして認めてほしいということである。この二つはどちらも欠かせない。生い立ちから今の仕事までよく調べた上で「全て無意味です」と言われれば腹が立つ。中田はこれを「Wikipediaで全部調べた上で全否定」と表現した。一方で、何も知らないまま「よくわかりませんが天才です」と褒められても信用できない。人は理解された上で認められたいのであり、そうしてくれる人を好きになる。

だから、この大原則を逆に使えばいいと中田は言う。目の前の人は誰でも自分に興味があり、分かってほしく、認めてほしいと思っている。それなら分かってあげて、認めてあげればいい。本書の言う「話し方」とは「聞き方」のことだと中田はまとめる。また、人は笑わせてくれる人よりも、一緒に笑ってくれる人を好きになるという。

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拡張話法:相手の話を広げる5つの手順

聞き方が大事だという話は多くの本にあるが、中田は、本書がそれをかなり具体的に教えている点を評価する。それが「拡張話法」である。名前からは自分の話を膨らませる技術のように見えるが、実際は相手の話を広げる方法だ。

一つ目は感嘆である。「マレーシアに住んでるんですね!」のように、まず驚く。本書は、ビックリマーク、クエスチョンマーク、ハートマークを頭の中で付けるつもりで言うこと、それも自分が思う10倍の大きさでやることを勧めているという。

二つ目は反復、つまりオウム返しだ。中田は、聞き上手と思われたくて相手の言葉を自分なりのフレーズに言い換えたくなる人に「やめてください」と言う。「俺、毎朝パン食うの」に「つまりご飯派じゃないってことですね?」と返すと、相手は「ご飯も好きだけど朝はパンなんだ」と訂正しなければならない。「毎朝ジョギングする」に「スポーツマンなんですね?」と返すと、インドア派の相手は「スポーツマンじゃないんだよ」と否定することになる。勝手に解釈せず「毎朝パン食ってるんですか」「毎朝ジョギングするんですね」と返せばいい。中田はこれを合いの手にたとえる。カラオケで気持ちよく歌っている人の横で、いい感じにマラカスを鳴らす人はありがたい。しかしサビで前に出てきたりハモったりする人はうるさい。合いの手は前に出るものではない、というわけだ。

三つ目の共感が大事だと中田は強調する。「わかりますよ」「そうですよね」と寄り添う。理由は、全肯定の環境作りが目的だからである。否定したいときもある、自分はロボットではない、と言いたくなる人に対して、中田は「是非お黙りください」と返す。目的はありのままに生きることではなく、好かれることだ。この本を読み始めたときの気持ちを忘れないでほしいという。中田は共感を、相手をピッチャーとして自分がキャッチャーになるエチケットだと説明する。自分はご飯派でも「毎日パン食べるのいいですよね」「毎日は食べたことなかったけど、いいかもしれないですね」と寄り添えばいい。

四つ目は賞賛で、これも10倍でやるよう本書は勧めている。「そのライフスタイルを自分で作ったってすごくないですか」と褒める。本気で尊敬しているときしか言いたくない、おだてるような真似はしたくない、という人にも、中田は「好かれたいんですよね」と目的を思い出させる。

五つ目が質問である。中田は俳優志望で殺陣を習っている友人を例に、5つの流れを実演した。「殺陣なんて俺やったことないぜ。どういう風に習ってんの?」と聞くと、相手は「最初から刀を持たせてもらえると思ったら、まず正座して気持ちを整えることからだった」と話し出す。「いきなり持たせてもらえないの?」(反復)、「それ結構ビビるよね」(共感)、「でもちゃんと向き合ってるわけでしょう、すごくない?」(賞賛)、「マインドを整えた後はどうすんの?」(質問)と続けると、相手は「次に握らせてもらったのが棒だった」とさらに話を広げる。中田はこの流れを「1 to the 5」と呼び、5つを繰り返し回すだけで相手の話はどんどん広がると説明した。

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好かれたい相手にだけ使えばいい

ただし中田は、これがおべんちゃらや嘘で相手を持ち上げる話だと誤解されがちな点にも触れる。本書の前提は「苦手な人とは話さなくていい」ということだ。拡張話法は全人類に使えというものではなく、好かれたい人に対して使うものである。

これまで、好きな人とのコミュニケーションで「私はこんなにすごいんだから好きになって」と自分のセールスポイントを語ってきた時間を、相手への共感や賞賛に使いませんか、というのが本書の提案だと中田は説明する。大嫌いな人や「私の話を聞きなさい」と言う人の前で持ち上げ役をする場面を想像しがちだが、そんな現場からは「いち早く帰ってください」と中田は言う。大切なパートナーが自己肯定感を上げて心を開いてくれるにはどうするか、という前提を忘れないでほしいという。

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共感と賞賛の言葉を紙に書いて貼る

いきなり共感や賞賛をするのは難しいと感じる人のために、本書はかなり具体的な方法を示している。「さすがですね」「やっぱりあなたってすごい人だよね」「そんなのは見たことがない」のように、共感や賞賛に使える言葉を紙に書き出し、トイレと寝室の天井に貼っておくというものだ。

中田は「高三の時の英単語以来の扱いだよ」と笑いつつ、これは良い方法だと評価する。貼っておくだけなので苦にならないのに、毎日目に入るから無意識のうちに頭に入る。本書によれば、そうして「聞く力」が養われ、会話に困ったときにその言葉が出てくるようになる。

中田の説明では、会話に困ったとき、人はつい自分からボールを投げようとする。何を言えばいいか分からなくなって「この前タクシーに乗ったときにハプニングがあって」と自分の話を始めてしまう。しかしキーワードリストが体に入っていれば、自分から投げる代わりに「もういっちょ」と相手に投げさせることができ、キャッチャーであり続けられる。中田は、本書がこの部分を具体的に書いていることから「非常にこの本信頼できる」と感じたという。

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声と体全体で表情をつける

感嘆や賞賛を10倍でやれるか不安な人に向けて、本書は表情を意識することを勧めている。顔だけでなく、声や体全体の表情も含む。演劇部ではないのだからそこまでしなくても、と思う人もいるだろうが、マインドのスイッチを入れて「ええ?」「それからどうなったの?」「いやすごいね!」と声と動きをつけてみると、意外とできるし相手も乗ってくると中田は言う。

中田はこれを、ふわっとした山なりのボールを受けたキャッチャーが、ミットを突き破られて後ろの壁まで吹き飛ぶような大げさなリアクションにたとえた。徹夜でミットに穴を開け、オイルを塗って滑れるようにし、ヒビを入れた壁を用意しておく、という冗談まで交えて、それくらい盛り上げてくれる聞き手は気持ちがいいと説明する。

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中田自身の反省:ピッチャーでは好かれない

この節で中田は自分の話をする。「YouTube大学」をやり、自分は話がうまいと思っていたが、「そんなに好かれてませんねん」と関西弁で冗談めかして言う。実際に自分にもギスギスする時期やうまくいかない関係があり、その理由は拡張話法をやらず「投げる一方だった」からだと振り返る。

中田によれば、60分一人で話せるほどの剛腕ピッチャーになっても、それで好かれるわけではない。動画は見てもらえても、人間関係は向上しない。だからその道は諦めてキャッチャーになってほしいと視聴者に語りかけた。

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苦手な人とは沈黙でいい

では苦手な人と居合わせたときはどうするか。本書の答えは「沈黙でいい」であり、中田はこれをリアルで面白いと評する。同じバス停やエレベーターで一緒になり、気まずい、嫌いなのがバレたらまずいから話しかけようか、と考える必要はないという。

拡張話法の話を聞いて多くの人が嫌悪感を抱くのは、嫌いな人とも話さなければならないという強い先入観があるからだと中田は分析する。嫌いな相手の前で感嘆や賞賛をする自分を想像すると反吐が出る。だがそれはそもそもマインドが違う。沈黙を埋める必要はなく、距離を詰める必要もない。苦手だと思ったら黙って去ればいい。中田はこれを「シンク・クリアリー」な考え方だと言い、これならメンタルを守れそうだと述べた。

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自己紹介の正解:箇条書き、省略、思い、感謝

次に中田は、多くの人が苦手な自己紹介について本書の「正解」を紹介する。「今日は自己紹介タイムから」と言われてパニックになる場面は人生に何度か訪れる。本書の手順は次のとおりだ。

まず自分の歴史を箇条書きにし、それを省略する。細かい出身地や学校名は要らず、「どこで生まれ、どこで育ち、こういう経緯で今この仕事をしている」程度で十分だという。自分をアピールしなければと思うと大きく振りかぶってしまうので、4つほどのキーワードに絞る。

そのうえで大事なのは、経歴よりも「思い」である。なぜその仕事をしているのか。中田はここでも、スキルではなく感情、つまり自己紹介を聞く側の感情に寄り添うことが重要だと言う。例として、祖父の万年筆に感動して「1本の文房具に愛着を持てば人生は変わる」と伝えたくて町で文具店を営む人や、サッカー漬けだった頃にマネージャーが差し入れてくれたアンパンの味が忘れられず、パンで人を元気にしたくてパン屋をやっている人を挙げ、こういう話なら応援したくなると言う。対照的に、有名ホテルで修行し、ドイツの工房で「ロッセルドルフ師匠」の一番弟子の名をもらい、日本で賞を4つ取ったと経歴を並べて「ゴールデンブレッド」を差し出す人は「嫌い」になると演じてみせた。不安だから実績や経歴を言いたくなるが、本当に大事なのは動機だという。

もう一つのポイントは、最初に感謝を入れることだ。本書によれば、第一声で感謝を述べると自己紹介の印象がまろやかになる。「この場を作っていただいた部長の竹本さん、ありがとうございます」「今日はお集まりいただきありがとうございます。僭越ながら短めに」と入ると感じがいい。「難波のドラゴンと言われてた後藤田です」と圧をかけたくなるところで、一度下手に出るわけだ。感謝し、省略した経歴を伝え、思いを強調する。中田はこれを「唯一にして無二の自己紹介」と呼び、この手順を知っていれば自己紹介タイムも怖くないと述べた。

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悩み相談の正解:アドバイスではなく共感

悩み相談を受けたときに一番やりがちな失敗として、本書は「悩んでいる人にポジティブなアドバイスは不要」という絶対NGを挙げている。

中田の例では、後輩が「職場の雰囲気が合わないし、やりたいことも違う気がして、辞めようか迷っている」と相談してくる。そこで「まだ入って1、2カ月だろ、元気出せよ、ビタミンCを取るといい」と返すと、相手には「こいつは分かってくれない」という気持ちのほうが強く残る。元気がない理由を受け止めてもらえていないからだ。悩み相談はアドバイスの時間ではなく、ひたすら共感の時間だというのが本書の考え方である。

ここでも拡張話法を使う。「そっか、辛かったのか」と受け止め、「自分の仕事に意味があるか分からなくなってきた」と言われれば「分からなくなってきた?」と反復し、「そういうことってあるよな、俺も会社は違うけどよく思うよ」と共感する。「部長が変わって、クリエイティブより利益を出せと言われる」と聞けば「それきついよな」と受け止め、「そんな現場でよく今まで頑張ってきたよな」と賞賛し、「今もその状況は変わってないの?」と質問する。中田は、この拡張話法を体に入れておけば、悩み相談でも雑談でもうまくいくと言う。

これができないと、人はすぐにピッチャーになる。相談を受けた途端に「俺の最高にありがたいアドバイス」を投げ始め、まだ相手のターンなのに攻守交代したかのように自分のつらかった話を長々と語り、挙げ句の果てに「もう1杯だけいいか?」とハイボールを追加する。中田は、悩みを聞きに来たはずの人が延長を申し出る理由が分からない、と笑いを交えて描写した。

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NGリスト:態度を変える、4Dワード、悪口

最後に中田は本書の「NGリスト」を紹介する。ここまでの内容から分かるように、好かれるための特別な魔法があるわけではなく、相手の気持ちを丁寧に優先し、NGなことをしないほうが大事だという。

一つ目は相手によって態度を変えること。これを聞くと多くの人は「偉い人にへつらうな」という意味に受け取り、エレベーターが開いてイチローがいたら誰でも緊張するのは自然だろう、と反論したくなる。しかし中田によれば、偉い人には卑屈にならず丁寧に接すればいいだけだ。「世界をまたにかけたイチローさんに比べて、私は日記を2週間書き続けている記録しかありません」のように卑下する必要はない。本当の問題は、自分より弱い立場の人に偉そうにすることで、それを見られるのが一番恥ずかしい。中田は、取引相手に愛想よくプレゼンしながら、喫茶店の店員には「コーヒーまだか、手あげてんの見えるだろ」と怒る人を演じ、こんな人の提案は聞きたくないだろうと示した。大事なのは権力者に気に入られることではなく、弱い人たちに嫌われないことであり、分け隔てなく丁寧にすることだという。「分け隔てなく横柄」であってはいけないとも付け加えた。

二つ目は4Dワード、すなわち「でも」「だって」「どうせ」「ダメ」である。基本に忠実に、否定せず全肯定する。本書には「言葉の癖は人格の癖」という言葉があると中田は紹介する。「分かるよ、でもね、厳しいよ、前例がないもん」と否定したくなるところで、まず全肯定するのが大事だという。

三つ目は悪口だ。全肯定しようという話の中で、悪口は最もダメなものだと中田は言う。では、悪口好きの先輩との飲み会で、取り巻きが「あいつまたミスしてました」と言い出したらどうするか。自分は言わなくても場にいたくない、言わないと空気が壊れる、と悩む人に対して、本書の答えは途中で抜けることだ。「ちょっと具合が悪くなってきたので帰らせていただきます」でいい。中田は「なんと帰って良かったんです」と言い、この本は徹底して努力を求めない本だと評する。さらに、悪口を言う人を変えようとしてはいけない。悪口の流れになった場で「ポジティブな話題に変えない?」と言えば、かえって変な空気になる。だから去ればいい。好きな人とだけ話せばいい、という点で、中田はかなりオリジナリティのある本だと述べ、人間関係を自分の中でクリアにしていくことでストレスが減り、自己肯定感も上がると話した。

42:25

好かれることより嫌われないこと

本書の最終的なまとめは「好かれることより嫌われないこと」だと中田は紹介する。なぜ嫌われてきたのかといえば、余計な一言を言ってきたからだ。否定、負け惜しみ、謎のアドバイス。中田はこれを「地獄の先輩3箇条」と呼ぶ。自分と違う人を否定し、自分より優れた人には負け惜しみを言い、弱っている人を見ればアドバイスしに行く。「そういう人に私はなりたくない」と言い、これを「逆宮沢賢治」と表現した。人間は感情の生き物であり、「とはいえこうじゃないですか」という正論も要らないという。

ここで中田は再び自分を振り返る。対談で相手の話を聞くことは意識できていたつもりだが、ところどころで否定し、「先輩とは言ってもそういう時代なんですよ」「そのやり方もう意味なくないですか、結果だって出てますし」と正論を言っていた、と認める。違う意見なら否定せずに去ればいい、触れなくていい、と自分に言い聞かせた。

動画の最後で中田は、時々自分の動画を見直すという「未来の中田」に向けて語りかける。対談相手の話を聞くだけでなく、誰かを否定しなくていい。意見が違う人たちが仮に自分を否定してきても、否定し返さずににこやかに離れればいい。全肯定の場所さえあればいいし、君はもう動画の中で十分に話しているのだから、もっと周りの意見を聞き、全肯定し、受け入れて成長しろ。中田は「人間は感情の塊なんだ」という言葉で動画を締めくくった。