話しかけたくなる人は何が違うのか:中田敦彦が読む『なぜか話しかけたくなる人、ならない人』

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概要

芸人でありYouTuberとして毎日のように喋っているのに、中田敦彦は後輩からも先輩からも記者からも「怖い」「話しかけづらい」と言われ続けてきたという。この動画で中田は、有川真由美『なぜか話しかけたくなる人、ならない人』(PHP研究所)を手がかりに、その原因を探る。中田が本から引き出す答えは、話しかけられやすさは容姿や能力の問題ではないというものだ。目線、表情、言葉の選び方といった、誰でも身につけられる普通のスキルの問題だという。中田は自分の失敗談を交えながら、陥りがちな落とし穴と、身につけるべき3つの力を順に解説していく。

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喋る量でも、時間でも、知名度でもない

中田はまず自分の状況を説明する。取材でも「中田さんって話しかけづらいんですよね」「ちょっと怖そうなんですよね」と言われ、後輩にも、さらには先輩にも「あっちゃんなんか怖いやん」と言われる。黙っていたわけではない。「武勇伝」でデビューし、「PERFECT HUMAN」を踊り、毎日30分以上喋っている。それでも怖いと言われるのなら、自分は何かを大きく勘違いしているはずだと中田は考える。

中田はほかの説明も一つずつ退けていく。デビュー当時から自分を見てきた先輩がいまだに怖いと言うのだから、付き合いの長さの問題ではない。子どもの頃から見ていたという記者が震えながら取材に来るのだから、知らない相手だから怖いという知名度の問題でもない。では何が原因なのか。中田はここを改善しなければ多くの人が「大損」をすると言い、本の内容に入っていく。

立食パーティーや同窓会でもじもじしてしまい、どうしたらいいか困った経験は多くの人にあるはずだと中田は言う。そのうえで、「話しかけられたらそれはそれで大変だ」「話しやすい相手と隅で喋っていればいい」と考える人にも、考え直してほしいと呼びかける。

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話しかけたくなる人が手に入れるもの

本の冒頭には、話しかけたくなる人になることのメリットが具体的に書かれているという。中田はこの本について、表紙も厚さも挿絵もフォントも読みやすく、開いてすぐにメリットが書いてあるのも「メリットがないと読まないでしょう」と分かってくれているからだ、と評している。

中田が紹介するメリットは次のようなものだ。まず出会いが増える。相手のほうから来てくれるからだ。次に情報が増える。中田はドラマ『半沢直樹』の渡真利を例に挙げる。「人事部が目をつけているぞ」と教えてくれるような情報は、話しかけやすい人のところに入ってくる。逆に話しかけづらい人には伝えにくいので、情報も入ってこない。中田はこれを、同窓会があったことをInstagramで知り、「イツメンで最高のバーベキュー」という投稿に、いいねを押す手が震えるような状態だと表現する。

さらに、助けてくれる仲間が見つかること。自宅以外に、学校や職場、カルチャーセンター、趣味の集まりといった居場所ができやすいこと。恋愛ではモテること。仕事の評価が上がること。「君がいるとオフィスが淀む」と言われる人が昇進するわけがない、と中田は言う。そして、多くの人が一番欲しがっている自己肯定感が高まること。周りに人が集まってくれば、ここにいていいのだと思えるからだ。

最後のメリットとして中田が強調するのは、誤解されなくなることだ。中田自身、相方と妻から「あなたは誤解されやすい人だから」と言われたことがあるという。近い人から言われるのは悔しいと中田は振り返る。また、話しかけられてもいないのに自己肯定感だけはあるという「歪な症状」を自分は抱えている、と自嘲もしている。

中田はこの話を、すでに話しかけられやすい人にも聞いてほしいと言う。理屈として分かっていれば、話しかけられないと悩む仲間や身内に具体的なアドバイスができるからだ。

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「特別な人だから話しかけられる」という思い込み

本題に入る前に、中田は予想される反論を取り上げる。話しかけられている人は容姿がいいから、優秀で実績があるから、パフォーマンスがうまくて目立つからだ。自分は普通だから現状維持でいい。中田はこうした考えの人たちを「でも隊」と呼び、それは間違っていると言う。

中田は聞き手に想像させる。同窓会に行ったとして、真っ先に話しかけたいのは、学年で一番成績がよく、ハーバードから帰ってきて政治家になり、有名なモデルを妻に持ち、4か国語を話す同級生だろうか。怖くて、いきなりは話しかけに行かないだろう。実際に向かうのは、話しかけやすそうな普通の人のはずだ。しかも、そのスーパーヒーローのような人が嫌な空気を出していたら、優秀さも派手さも容姿もすべて裏目に出る。

だから話しかけたくなるというのは特別な能力ではなく、誰でも獲得できる普通のスキルだと中田は結論づける。それほど普通のことで大きなメリットがあるのに、多くの人ができていない。中田はこの誤解を解きたいのだと言う。

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落とし穴①「話しかけないでオーラ」の正体は目線

中田が最初の落とし穴として挙げるのが「話しかけないでオーラ」だ。超能力も幽霊もUFOも信じない人でも、なぜかこのオーラだけは見たことがあると言う。本によれば、その正体はシンプルで、目線だという。

話しかけないでオーラを出している人と目が合ったことはあるか、と中田は問いかける。実はない。そういう人はスマホを見ていたり、本を読んでいたり、何かしらの作業をしていたりする。二人で食事をしているのにスマホを見る、四人のうち三人が話しているのに一人だけ画面を見ている、といった場面だ。目がしっかり合ったまま「話しかけるな」という空気が出ているとしたら、それはもう喧嘩をしているときだと中田は笑う。

本によれば、人は相手の意識が自分に向いているか、相手自身に向いているかを目線で判断するという。目をそらす、合わせないという行為が、人間にとって一番強いメッセージになる。そして多くの人は、社交の場で「不安だ」「自信がない」「受け入れられるか怖い」と自分のことを考えた瞬間に、目を合わせず飲み物をいじったりしてしまう。これでアウトになる。自分に意識を向けず人を見てほしい、というのが本の提案だ。

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相方・藤森の「じっと見とく」

中田は、相方の藤森慎吾がこれをうまくやっていると話す。先輩に話しかけられるコツを尋ねたところ、藤森の答えは「じっと見とく」だったという。

舞台はルミネtheよしもとの楽屋だ。吉本新喜劇の人もネタの芸人もいて、大先輩もいる。中田は大先輩とあまり話さないのに、藤森は「お、藤森なんやねん」と声をかけられている。なぜだろうと思っていたら、藤森は用もないのに楽屋の入口に立ち、ニコニコしながら先輩を見ていた。鏡越しに目が合い、小刻みに揺れながら笑っていると、先輩のほうから「おいなんやねん、さっきから」と話しかけてくる。

中田はこれを釣りにたとえる。藤森はずっとルアーを浮かせている。一方、話しかけられない人は、釣り糸も垂らさずボートの上で仁王立ちし、「釣れないね」「マグロがデッキに飛び込んでこないね」と言っているようなものだ。糸を垂らしていないこと、つまり目線を合わせていないことは周囲から見られていて、話しかけないでオーラをずっと発信しているのと同じだと中田は言う。そして、自分もこれをよくやってしまっていたと認めている。

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落とし穴②「なんだか怖そうな人」の正体は無表情と辛口

二つ目の落とし穴は「なんだか怖そうな人」だ。「最初怒っているのかと思いました」と言われたことはないか、と中田は問う。中田もよく言われてきたが、頭をかいて何も改善せずに過ごしてきたという。

中田は長いあいだ、怖そうに見えるのは顔立ちのせい、つまり親の遺伝子の組み合わせによる造形のせいだと思っていた。しかし本によれば、それは単に無表情なだけだ。無表情と微笑みには天と地ほどの差があり、顔の造形は関係ない、微笑んでください、というのが本の主張だと中田は紹介する。

中田はここで、人が抱えている矛盾を指摘する。本の帯やSNSのアイコンで他人が微笑んでいるとリラックスするのに、自分が自撮りを上げるときは微笑むのが恥ずかしく、「この角度からの真顔がクールだ」と思ってしまう。それなのに他人の真顔を見ると「怖い」「笑えよ」と思う。中田自身も微笑んだ写真を上げるのが苦手で、真顔のほうが格好いい、人気が出るのではとさえ思っていた。しかし他人の真顔は嫌なのだから、やはり笑ったほうがいいのだと話す。

怖そうに見える原因は、外見だけではないという。批判やきつい言葉を口にする「辛口」な人もそうだ。「この会社は根本から間違っている」「みんなが言わないから言いますけど」といった発言は、一瞬は痛快だと支持される。しかし聞いている側は心の底で「あの矛先が自分に向いたらどうしよう」と思っている。自分が嫌っている相手を刺しているうちは応援するが、そうでもない相手を刺せばやりすぎだと感じ、自分に向く恐怖は常にある。だから人前で誰かを批判したりきつい言葉を使ったりするのは損でしかない、と中田は言う。

ここで中田は、コメンテーター時代の自分を振り返る。CMまで残り数秒、テリー伊藤の後に「5秒で中田さんコメントを」と振られる。込み入った案件でも短く断定するしかなく、「私は絶対にダメだと思います」と言ったところで真顔のアップのままCMに入る。中田はこれを「好感度地獄」と呼び、無表情で批判を繰り返し、目線も上げない、それが自分の歩いた道だったと語る。

中田はここで、これらは容姿や能力とは関係がなく、ポイントを押さえているかどうかの違いだと整理する。ただし人間は主観の生き物で、ずっと自分を客観視することはできない。気をつけていても、疲れたときやふとした瞬間にこの穴に落ちる。落ちたことのない人間はいないのではないか、と中田は言う。

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感情力:事柄ではなく感情に寄り添う

落とし穴を抜け出したうえで身につける「プラスの武器」として、中田は3つの力を紹介する。最初が感情力だ。話を聞いた後に、相手がまた話しかけたいと思うか、もう話しかけたくないと思うか。その差を分けるのは感情だという。本の言葉で言えば「事柄より感情に寄り添う」ことだ。

中田が挙げる例はこうだ。「昨日人間ドックに行ったんだけど、結果が出るまで1週間かかるって言われて不安なんだよね」と言われたとする。そこで「俺も毎年行ってるよ」「偉いじゃん、健康そうだし大丈夫じゃない」「俺は行ってないんだよね」「行ったほうがいいよ」と返すと、会話は人間ドックという事柄のほうへ進んでしまう。本当に大事だったのは「不安だ」という部分だ。

感情に焦点を当てると会話は変わる、と中田は演じてみせる。「そうか、不安だよな。何か心当たりはあるの?」と聞けば、相手は「最近眠りが浅くてだるいんだよ」と話し出す。「それなのに1週間も待たされるのか」「そうなんだよ、何も分からない1週間だから気が気じゃない」「そうだよな、不安だよな」と続く。相手が嬉しいのは、話を聞いてもらえたうえに「こいつは分かってくれた」と感じられることだ。

コンビニの例も同じだ。「店員にこんな対応をされて腹が立った」と言われて「あのコンビニ、業績が落ちてるらしいぜ」と返すのは、事柄に寄り添っている。「腹立つよな、俺だって腹立つよ」と返せば、相手は「ありがとう」となる。中田は、自分も夫婦の会話でこのミスをよくするという。事柄に焦点を当ててしまい、「しまった、こっちじゃない」と慌てて方向転換し、「寂しい思いしたよね」と寄り添いに行く。中田はこの様子を、船が岩礁に乗り上げそうになって急旋回するようなものだと表現している。

なぜこの人はそれを言ってきたのか、どんな気持ちなのか。そこに寄り添えるかどうかが、話しかけたくなる人とならない人の違いだと中田は言う。分かってくれる人とは、プロフィールや事実を分かってくれる人ではなく、気持ちを分かってくれる人だ。中田は、何も言わずそばにいてくれた、私が泣いたらあなたも泣いてくれた、と歌うラブソングを例に出す。逆に、私が泣いているのにあなたは違う話をしていた、という歌になれば、それは「ヘイト」だと笑う。

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自分の感情も伝える

感情力にはもう一つの面があるという。相手の感情に寄り添うだけでなく、自分の感情も伝えることだ。初対面で「お笑い芸人をやっていて、YouTubeをやっていて」と経歴や実績を話してしまう人がいるが、そうではないと中田は言う。

中田が示す代わりの例はこうだ。「お会いできて嬉しいです。今日はこのパーティーに参加すると思ってワクワクして、1時間前から来てしまいました。あなたと話せるからです。一つ質問していいですか」。そして相手の答えを聞いたら「そうだったんですね、合点がいきました。この答えが聞けて嬉しい」と返す。事実や情報を交換するのではなく、感情を伝え、相手の感情が出てきたら寄り添う。人間は感情の生き物であり、そこを押さえていないと会話は通じ合わない、と中田は述べる。

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丁寧力:穏やかさは最強

二つ目は丁寧力だ。本には「穏やかさイコール最強」と書かれていて、穏やかであることがほかのすべてのスペックを上回るのだという。具体的には、言葉が丁寧でポジティブであること、そしてゆっくり話すことだ。

中田は、オーディション番組「Nizi Project」のJ.Y. Parkを例に挙げる。ゆっくり、穏やかに、丁寧に、ポジティブな言葉で参加者に伝えていた。もしあれが「はっきり言ってゴミ」「あなたみたいなカスに時間を割いてると思うと虫唾が走る、出ていけ」という言い方だったら、「地獄のプロジェクト」の始まりになると中田は演じてみせる。

中田によれば、これは主張が正しいかどうかとは別の問題だ。仮に政府が間違ったことをして国民が苦しんでいたとしても、官房長官の方針を「マジでゴミ」と言う人は応援しづらい。ある国に非があるとしても、その大統領の発言を「クズ」「カス」と言い続ける人は支援しづらい。人は何を言っているかより、どう言っているかを見るのだと中田は言う。

汚い言葉を使う人のところにも、短期的には一度は人が聞きに来るかもしれない。しかしずっとは続かない。中田は、誰かの悪口で再生回数を稼ぐYouTubeチャンネルも長くは続かないと話し、最近はアルゴリズムによってそうしたチャンネルが止められたり収益化できなくなったりする方向に進んでいる、という自身の見方も添えている。

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肯定力:否定せず、言い換え、半分に薄める

三つ目は肯定力だ。「間違ったことをしていたら批判したくなるのが当然だ、それがオピニオンを発するということだ」と考える人もいるだろう。中田自身もそう生きてきたという。先輩が間違っていると思えば、先輩だろうと関係なく指摘した。芸能界は間違っている、日本は間違っていると言ってきた。しかし本は、それをやめようと言う。

方法は言い換えと解釈だ。「あなたもそう思いませんか」と聞かれても、「違う」とは言わない。「そういう考え方もあるんですね」「その発想はありませんでした」「それを支持する層も確かにいるのかもしれませんね」と言い換えれば、衝突は防げる。

本にはさらに、どうしても発言したいなら半分に薄めよう、という提案もあるという。中田はこれを実演する。会議で「さっきから何をトンチンカンなことを言ってるんだ、お前はバカなことばかり言っている、黙って帰れ」と言いたくなったとする。これを「おっしゃったことは非常に興味深いと思いました。ただ私のほうで咀嚼しかねている部分もあるので、一旦持ち帰りたいと思います。今回の会議はここでお開きにしましょう」と言い換える。ここまで薄めれば喧嘩にはならないだろう、と中田は言う。

感情力、丁寧力、肯定力を持つことで、「この人は分かってくれる人だ」、周りから見ても「怖くない人だ」と思われる。中田は、自分では正しいことをしているつもりでも、自分の生き様や自分の言葉だと思っていても、怖いと思われることは十分にあると指摘する。それを避けたいなら、自分の目線ではなく周りの目線に立つことが大事だという。無表情でいたくても微笑んでみる。批判したくても和らげて言い換える。その言葉を丁寧に、ポジティブに、ゆっくり言ってみる。中田はこれを「簡単なようで難しいが、難しいようで簡単」だと言う。容姿を大きく変えろとも、抜群の実績を出せとも、誰も言っていないからだ。

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服装・髪型:清潔感とTPO、そして色

中田は「意外な落とし穴」として服装と髪型も取り上げる。土台は清潔感とTPOだ。どれほどこだわった服でも、不潔だと思われたらおしゃれとは見なされない。会議ならスーツ、コンビニならTシャツ、家ならタンクトップ。これを逆にして、会議にタンクトップ、コンビニにスーツで行けばわけが分からなくなる。

本はさらに、色についても具体的に書いているという。ブルーやグリーンは爽やかな印象があるのでどこかに取り入れるべきで、イエローやピンクは元気で温かい印象があるのでアクセントに使うとよい。ネイビーのジャケットにライトブルーのシャツを着ていた中田は、「勝ち組です」「大正解でした」と喜んでみせる。

色が与える印象の大きさについて、中田は自分の例で説明する。もし今日の授業に紫色のキャップをかぶって出てきたら、あるいはシャツとジャケットが紫色だったら、視聴者は「中田さんどうしたのかな」と思うだろう。色はメッセージを発している。だからTPOに加えて色も考えてほしい、と中田は言う。

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個性と威圧の裏にある恐怖

これに対して「そんなにまとまっていたら自分らしさが出せない」「普通すぎて舐められないか」と思う人もいるだろう。中田は、そうした人にこそやめてほしいことがあると言う。初対面から威圧感を出すこと、そして個性を出すことだ。

相手がまだ自分を知らない段階で「25年積み上げてきた個性を一発で伝えてやる」「好きな音楽と愛しているアートをこの服に込めてやる」とぶつけられると、怖い。中田は、全面にモナリザがプリントされた服や、背中にびっしり歌詞が書かれた服を例に挙げ、そういう場ではないのだと言う。

本によれば、舐められたくない、個性を出したいという気持ちの根本には、弱さと恐怖があるという。中田は本の趣旨をこう紹介する。人が自分を怖がっていることを不思議に思うかもしれないが、あなたの行動が周りを怖がらせている。その根本原因は、あなたが周りを怖がっていることだ。舐められたくないと言うのは、舐められることを怖がっているからだ。個性を分かってもらえないかもと言うのも、怖がっているからだ。だから自信を持ち、怯えず、心を開き、威圧しないでほしい。個性をいきなりぶつけるのも、まして個性的に威圧するのも避けてほしい。

中田はこれをSNSのアイコンにも当てはめる。顔が正面から写っておらず、妙な角度から別のものが写っていたり、好きなアニメキャラクターやアイドルのアップ、説明のないアートの大写しになっていたりしないか。どう思われるかを考えていない「個性的な威圧」がひしめいているのがタイムラインだと中田は言い、アイコンを爽やかにしてみようと呼びかける。

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同世代で固まらず、人によって態度を変えない

最後の落とし穴は、同世代で固まることだ。分かってもらえないかもしれないという恐怖が、分かってもらいやすい人とつるむことや、自分の殻にこもることを選ばせている、と本は指摘しているという。

そこで大事なのが、人によって態度を変えないことだ。中田は、目上の人には「ありがとうございました」と頭を下げ、その人が帰ったと思った途端に部下を「バカ野郎、恥をかかせるな」と怒鳴り、まだ帰っていなかったと気づいてまた丁寧になる、という場面を演じる。こうした二面性は「普段はそういうやつなんだ」と思われ、信頼を大きく失う。

本は、世代や立場、容姿や経済力に関係なく接すること、年下からも教わることを勧めているという。部下や目下の相手にも「〇〇さん、これやっておいてもらえますか」と丁寧な言葉を使い、教わる姿勢を持つ。年上には、ちょっとした相談をしてみる。年上の人は年下の役に立てると「頼ってくれてよかった」と感じることがあるからだ。ここで中田は自分に向けて「中田よ、先輩を頼りなさい」と言い、なぜ自分一人でここまで来てしまったのか、もう少し頼ってもよかった気がする、と振り返る。

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最終奥義:自分から話しかける

本が最後に示すのは、話しかけられる人とは、実は話しかける人だという考えだ。目線を上げて待つこと、微笑んでおくこと、清潔感や色合い、威圧しないこと、穏やかに丁寧な言葉で話すこと。どれも大事だが、一番大事なのは自分から話しかけることだという。

みんな話しかけられたいという気持ちは同じで、あなたもそうだろう。だからあなたから話しかけてあげてほしい、というのが本の主張だと中田は紹介する。先輩が頼ってくるのを待つのではなく、自分から先輩にも後輩にも話しかけに行く。中田は、いろいろな人に話しかけている人を見ると気さくだと感じて話しかけやすくなり、逆に待つ一方でレーダーを張り続けている人は怖い、とこの考えに納得を示す。

中田は最後に、聞けば「確かにそうだ」と思うことばかりでも、実際にできているかは別だと言う。自分はできていなかった、威圧してしまうし、すぐ個性を出してしまう、と認めたうえで、これからは丁寧にやっていきたい、YouTube大学も気さくになっていく、と締めくくっている。