紙と電子の両輪で統合的発見環境を:NII-DEERの見直しに向けた問題提起

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概要

学術情報基盤オープンフォーラム2026のセッション「NII-DEERをめぐる期待と課題 ―利用館・非利用館の視点から」の冒頭で、これからの学術情報システム構築検討委員会(以下、これから委員会)の委員長を務める中央大学文学部教授の小山憲司氏が、セッションの趣旨を説明した。小山氏は3〜5分程度の短い導入として、委員会の検討体制、NII-DEERとは何か、そして新たに立ち上げた検討グループについて紹介した。中心にある問いは、委員会が目指す統合的発見環境の一翼を担うはずのNII-DEERが、なぜ十分に知られておらず、実際にどう使われているのかという点である。

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これから委員会の位置づけと体制

小山氏によれば、これから委員会は、全国の大学図書館関係者が集まる国公私立大学図書館協力委員会と国立情報学研究所(NII)のもとに設置された「大学図書館と国立情報学研究所との連携・協力推進会議」の下に置かれた委員会の1つである。委員会の下にはユーザーグループ運営作業部会とシステムワークフロー検討作業部会の2つの部会があり、それぞれ部会長を置いたうえで、国内の多くの大学図書館関係者の参加を得て活動を進めているという。

NII-DEERとは何か

小山氏は、このセッションで最も大きなテーマになるのがNII-DEERだと述べ、委員会のウェブサイトに掲載されている説明をそのまま紹介した。NII-DEERは電子リソースデータ共有サービスのことで、図書館等が提供する電子ジャーナル、電子ブック、データベースといった電子リソースについて、タイトルリストや利用条件など共通性の高いデータを共有することを目指したサービスである。

共有されるコンテンツは4つで構成される。ERDB-JP、ライセンスJUSTICE、タイトルJUSTICE、そして字幕上では「VIBデータeBook」と聞き取れるコンテンツである。提供開始時期はそれぞれ2015年4月、2022年12月、2024年5月、2024年9月だと小山氏は説明した。

ERDB-JPが委員会活動の起点の1つだった

4つのうち最も早く提供が始まったERDB-JPは、これから委員会の活動の起点の1つでもあったと小山氏は振り返る。委員会が設置された2012年当時、中心的な課題は電子リソースをどうするかであり、その中で進められていたのがERDBプロトタイプ構築プロジェクトだった。このプロジェクトは実際には委員会とは別のところで行われていたが、委員会の活動の一部として取り入れられ、2014年に電子リソースデータ共有ワーキンググループ、2015年に共有作業部会へと衣替えし、ERDB-JPの公開に至った。

小山氏はこの経緯を踏まえ、紙ではない資料、つまり伝統的に紙を扱ってきた図書館や図書館システムの中に電子リソースをいかに取り入れ、扱っていくかが、委員会の大きなテーマであり続けてきたと述べた。

統合的発見環境とNII-DEERの役割

委員会の大きなミッションの1つは統合的発見環境の構築である。小山氏の説明では、統合的発見環境を実現するには、紙の資料を中心に扱ってきたNACSIS-CATだけでなく、電子資料を扱えるNII-DEERが必要であり、この2つがセットになって初めて実現できるという考え方だ。その具体的な形をどうするかは、現在も継続して検討しているという。

知名度の低さと、見直し検討グループの立ち上げ

ところが、小山氏は「表現がきついかもしれない」と断りつつ、NII-DEERはあまり知名度が高くないと指摘した。そのため、なぜ知名度が高くないのか、実際に使われているのかいないのかをもう一度きちんと確認する必要があると考えたという。利用の実態については利用統計を見れば分かるとしつつ、まずは実態を確かめるために各図書館へアンケートを依頼した。さらにその結果も踏まえ、各図書館でどのように活用されているのか、あるいは活用されていないのかを確認・検討するため、NII-DEER見直し検討グループを立ち上げ、メンバーの参加を得て検討を始めたところだと説明した。

セッションの流れ

最後に小山氏はこの後の構成を紹介した。まずNIIの杉山氏が利用の実態を報告し、続いてNIIの担当者がNII-DEERのビジョン、つまりNII-DEERとは何かを改めて説明する。その後、見直し検討グループのメンバーである中村氏の司会進行により、参加者とともにパネルディスカッションを行う。NII-DEERが統合的発見環境の中でどう位置づけられ、利用館・非利用館それぞれの視点から何が課題なのかは、これからの報告と議論に委ねられる形で導入は締めくくられた。