『夢をかなえるゾウ』はなぜ売れたのか――中田敦彦が読む「鉄の凡人」と「黄金の成功者」

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概要

ベストセラー『夢をかなえるゾウ』(水野敬也)を読めば、本当に夢はかなうのか。中田敦彦はこの本を紹介するにあたり、もともと毛嫌いしていたと認めたうえで、読んでみて売れた理由がよく分かったと話す。中田が特に強調するのは、この本で大事なのは成功を説くガネーシャの言葉よりも、反論ばかりする凡人主人公の言葉の側にあるという点である。動画は、ベストセラーになった理由の分析から始まり、主人公から抜き出した「成功できない凡人の鉄則」を経て、ガネーシャの課題から中田が厳選した10の「成功者の鉄則」へと進む。

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売れすぎた本への警戒と、読んでみての評価

『夢をかなえるゾウ』は何百万部も売れ、ドラマ化やアニメ化もされ、シリーズは4作目まで出ている。視聴者からのリクエストも多かったが、中田は予習するまでこの本を毛嫌いしていたという。理由は「売れすぎていたから」で、自分には売れすぎているものを侮る天邪鬼なところがあると話す。読んで夢がかなうなどという、そんなうまい話があるはずがないと思っていた。

ところが実際に読んでみると面白く、売れている理由も分かったし、内容も非常にためになったと中田は言う。だからこそ、「なぜこれが売れているのか、これを読んで夢がかなうのか」と疑っている人にこそ話を聞いてほしいとして、まずベストセラーになった理由の解説から始める。

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中身は「偉人伝集」――『人を動かす』の現代日本版

中田が挙げる第一の理由は、予想に反して中身が濃いことだ。表紙には子どもが描いたような可愛いゾウが寝転がっていて、「今すぐ動け」「売上何千億突破」といった激しいビジネス書が並ぶ中では、いかにも軽い本に見える。中田自身も、のんびりした人たちが薄い内容を読んで笑っているだけではないかと思っていたという。

物語の設定は次のようなものだ。普通の会社員として働く主人公が、ひょんなことから赤坂で開かれた芸能人や野球選手のいるセレブリティのパーティーに紛れ込み、成功者たちと自分を比べてしまう。帰り道に泣きながら、自分探しのインド旅行で買ってきたガネーシャの像に「もっと成功したかった」と祈って眠ると、翌朝ガネーシャが現れる。ここまでは知っている人も多いだろうと中田は言う。

しかし中田によれば、この本の本質は「偉人伝集」である。ガネーシャが「成功したいならこうしなさい」と課題を出す際、その裏付けとしてさまざまな偉人の行動や過去のエピソード、発言を引き合いに出す。中田はこれを、世界的名著であるデール・カーネギーの『人を動かす』の現代版・日本版だと見ている。かつての大ヒット書の方法をきちんと取り入れ、それを今風に、柔らかくユーモラスにした作品であり、軟派な本ではないというのが中田の評価だ。

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関西弁のガネーシャと「ちょうどいい凡人」

ユーモラスさを担うのがガネーシャのキャラクターである。象の姿をした神様と聞けば、ありがたい言葉を頂戴するような硬い印象を持つが、実際のガネーシャは関西弁で話し、ヘビースモーカーで、あんみつが好きという人物だ。

中田は独自の分析として、人気キャラクターには「好物と弱点」が必要だと述べる。ドラえもんの好物はどら焼きで弱点はネズミ、キン肉マンの好物は牛丼で弱点はマスクを剥がされること。ガネーシャの場合は、カジュアルな関西弁が神様であることとのギャップになっており、あんみつ好きなのにヘビースモーカーという意外な組み合わせが親しみやすさを生んでいる。ここにもヒットの法則が入っていると中田は見る。

さらに中田が「『人を動かす』2.0と言っても過言ではない」とする理由が対話形式である。ガネーシャはドラえもんのように「こうした方がいい」と教える役だが、相手の主人公が「ちょうどいい凡人」になっている。偉人の話は読者にとって遠く感じられ、「それは偉人だからだろう」と言いたくなる。そこで距離ができてしまうと、本当に内容が届かなくなる。しかしこの本では主人公が読者の代わりに「そんなの綺麗事だ、凡人にできるわけがない」と反論してくれる。読者は「そうだそうだ」と思い、そのストレスを受け止めたうえでガネーシャがさらに反論するので、「なるほど」と納得させられる。

『人を動かす』の内容、愛らしいキャラクターというヒットの法則、そして読者の代弁者を置いた対話形式。中田はこれを「ヒットの法則のコンボ」と呼び、会話形式で読みやすく、代弁してくれるので読者にストレスがかからない、全部計算され尽くした本だと評している。

読んだのに夢がかなわない人へ

では、読んだ人の夢はかなったのか。中田は、読んだ記憶はあるがうろ覚えだという人が多いだろうと推し量る。しかし、この本に書かれているのはうろ覚えで済ませてよいことではないと言う。書かれているのは「やれたらいいこと」ではなく「絶対にやれること」ばかりだからだ。

ガネーシャは29個の課題を、1日1個ずつ出していく。そこに「司法試験に合格しろ」のような無茶な課題が入っていたら挫折するが、実際には才能の有無に関係なく誰でもできる課題しか書かれていない、と中田は説明する。だから、読んで以来ずっと習慣として実践している人と、内容を忘れた人とでは、その後の人生が完全に二分されると中田は言う。

では、なぜ忘れてしまうのか。中田は、多くの人がガネーシャの言葉をすぐに聞こうとするからだと答える。他の要約動画はみなガネーシャの言葉を解説しているが、本当に大事なのは凡人主人公の言葉であり、そこに「失敗の法則」が詰まっている。そこで中田は、ガネーシャの言葉はすぐには聞かせないと宣言し、まず主人公から「成功できない凡人の鉄則」を抜き出していく。

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鉄の凡人の第1の特徴:秘訣とコツを求める

第1の特徴は「秘訣とコツを求める」ことだ。主人公はいくつかアドバイスを受けたあとで、「そんなのはいいから、もっと秘訣っぽい秘訣があるだろう」と言う。ガネーシャが「お前が言うてるのは、自分が動かずにお金に働かせるとか、そういう類の話か」と返すと主人公はそうだと答える。するとガネーシャは主人公の本棚を見ろと言い、そこにはまさにそういう本が並び、付箋まで貼ってある。

秘訣はすでに世の中にあふれていて、主人公も成功したい一心でたくさん聞いてきた。それでも成功できていない。中田は、この時点で読者は主人公と自分を重ねているはずだと言う。夢をかなえるゾウを読んでも何にもならなかった自分は、成功本をたくさん読んで何にもならなかった主人公と同じではないか、と。

中田によれば、問題は質問の言葉に現れる。「秘訣」や「コツ」とは「そこさえ押さえておけば」という近道のことだ。強くなるコツを聞いて「1日1万回正拳突きをしろ」と言われれば、「そういうのはいいので秘訣を」と言いたくなる。人生はこの繰り返しであり、成功できない凡人はなぜか近道があると思い込んでいる、と中田は指摘する。成功している人がやっているのは近道ではなく「地道」であり、全部が地味で面倒くさい。だからみんな嫌なのだ。

中田はこれをドラえもんでたとえる。のび太がジャイアンにいじめられて泣きつき、ドラえもんが道具ではなく「毎日腕立て伏せをしよう」と言い出したら誰も見ないだろう、と。そのうえで中田は、達人に「秘訣やコツを教えてください」とは絶対に言わない方がいいと話す。どの分野の達人でも、それを聞いた瞬間に「舐めているのか、秘訣ひとつで達人レベルになれると思っているのか」と感じ、凡人マインドだと見なすからだという。それでも精神的に鍛えられた達人は教えてくれることがあるが、その中身はたいてい地道なことである。

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第2・第3の特徴:聞いてもやらず、やらない理由だけは雄弁に語る

地道なことを聞いて地道にやれる人は成功者候補だが、たいていはやらない。これが第2の特徴で、中田は「自分からコツを聞いておいて、言われたことを絶対にやらない」と表現する。成功しない人はアドバイスを熱心に聞きに来るのに、実行しない。それどころか「でも」と言い出し、「それは効果がありません」などと返してくる。結果を出していない人が、なぜ結果を出している人に逆に教える側に立とうとするのか、と中田は皮肉る。これを中田は「鉄の凡人」と名付け、トレーディングカードに書いておけ、レベル0のこのカードは非常によく見かける、と冗談めかして語る。

第3の特徴は「結局行動しない」だが、その際にやたらと雄弁になる。黙って行動しないのはさすがに格好悪いと分かっているのか、「逆転裁判」のように自己弁護を始めるのだという。中田はここで「スパルタンドラえもん」という寸劇を演じる。ドラえもんが「ジャイアンに負けたなら一緒にジョギングしよう、お菓子も減らして筋トレしよう、1〜2か月で効果が出る」と提案すると、のび太は「甘いものを食べられなくなったらどうやってストレスを解消するのか」「いきなり暴力に持ち込むのは良くない」「筋トレが防御になるというデータはあるのか」「自分は筋肉がつきにくい体質だ」と次々に反論し、そのまま寝てしまう。

近道を探す、地道なアドバイスを言われても実行しない、やらないときに大量に言い訳する。中田はこの「鉄の凡人三特徴」だけは絶対に覚えてほしいと言い、まさにそういう人物がこの本の主人公なのだと述べる。

黄金の成功者の3つの条件

鉄の凡人の裏返しが「黄金の成功者」である。中田によれば、その特徴は3つしかない。成功者の地道な努力をしっかり見つめること、それを素直に受け取ること、そして言い訳をせず毎日続けること。成功者の日常的な行動にこそ秘訣があると理解し、素直に模倣し、それを言葉ではなく行動で続ける。

中田はこのルールを理解してから、ようやくメインディッシュであるガネーシャの言葉に進めると言う。テーブルマナーが分からない客に料理を出してもテーブルを汚して終わるように、読み方が違っていたからこれまで記憶に残らなかったのだ、というたとえである。ここから、29個の課題から中田が厳選した10個が紹介される。

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①靴を磨く

最初の課題は「靴を磨け」である。靴を磨いても翌日成功するイメージが持てないという人に対し、中田は「なぜ翌日成功する方法があると思ったのか」と問い返す。

ガネーシャが引き合いに出すのはイチローで、チームメイトが帰ったあとも自分のグローブを入念に磨いていたという。スポンサーから新品をいくらでももらえそうなイチローでも、道具を非常に大事に使っていた。では自分の商売道具は何か、という問いがここから生まれる。

誰にとっても共通しやすい道具が靴であり、とくに会社員は「足元を見られる」と言われる。中田は、ある芸能人が出世するADとしないADを靴で見分けていたという話を紹介する。靴がボロボロのADは出世せず、どれだけ下っ端扱いされていても靴を手入れしているADは必ず出世するから、無下に扱ってはいけない、とその人は言っていたという。中田の説明では、靴は汚れやすいのに顔から最も遠く、意識しなければ手入れしない絶妙なアイテムである。だから靴を見れば、その人が道具を大事にする人か、細部を丁寧に扱う人かが分かる。

靴磨きは誰でもできる。道具がなければ買えばよく、靴の修理屋に持っていってもよい。難しいのは、1回やれば終わりではないことだ。中田は、この本には1回で済むことは書かれておらず、続けなければ意味がないことばかりだと強調する。だから内容を忘れているなら続けていないということであり、続けている人は靴を磨くたびに「ガネーシャが言っていた」と思い出すはずだ、というのが冒頭の「内容を忘れた人の夢はかなっていない」という主張の根拠だと中田は説明する。

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②トイレを掃除する――人生は「喜ばせ合戦」

2つ目は「トイレを掃除しなさい」。中田はまず、なぜ経営者はみなトイレ掃除が大事だと言うのかを問う。答えは、それが誰もやりたがらないことだからだ。表彰を受ける、最後に挨拶をする、広報や企画やクリエイティブのエースと呼ばれる、といった目立つ役はみなやりたがるので、そこをやってもトップは何とも思わない。社長が見ているのは、自分が汚したわけでもない場所を黙々と掃除している人だという。

例として挙げられるのが松下幸之助で、誰より早く出社してトイレを掃除していたという。また本田宗一郎は、工場の端ではなくど真ん中にトイレを作り、みんなで掃除することを徹底したという。中田はマインドは同じだとし、極端に言えばこの本はここだけでもいいと思っているとまで述べる。

その理由として中田が持ち出すのが、本の中心的なメッセージである「成功したというのは、人を最も喜ばせた人間のことである」という考えだ。中田はこれを「人生は喜ばせ合戦」と言い換える。多くの人は自分へのご褒美を増やすために成功したいと考えるが、成功者が成功しているのは多くの人に喜ばれているからで、商品が喜ばれるから買われ、その対価としてお金が入る。「人を喜ばせる」と言うと難しく聞こえるが、「人がやりたがらないことをやる」と言い換えれば、それは地道で面倒なことであり、そういうことを誰よりもやっている人が成功者の定義だった、と中田は話す。トイレは会社にあれば全員が使い、綺麗なら全員が嬉しいが、誰もやりたくない。だから率先してやる人は感謝される。

中田は、褒められないことの辛さにも触れる。3か月トイレ掃除をしても誰にも褒められなければ、職場全員を嫌いになってもおかしくないと冗談交じりに語ったうえで、それでも続けることが成功への道だと言う。必ず誰かが見ていて、褒められなくても誰かが感謝しているから、人間の目を信じようというのが中田の結論である。

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③お釣りを募金する

3つ目は「お釣りを募金しなさい」。中田は、寄付はお金に関する行動の中で最も理解しにくいものだと言い、「自分より金持ちが先に寄付しろ」「まだドンペリも飲んでいないのに、なぜ人にお金をあげるのか」という視聴者の気持ちを代弁してみせる。

そこで出てくるのが石油王ロックフェラーである。成功して贅沢をし尽くしたから罪滅ぼしで寄付したのだろうと思いたくなるが、ロックフェラーは成功する前の若い頃から収入の1割を寄付していたという。中田は「成功したから寄付するのではなく、寄付をするような人だから成功した」と、因果が逆であることを強調する。

なぜ寄付が成功につながるのか。中田は再び「喜ばせ合戦」に戻る。収入の1割を寄付するということは、稼いだお金は自分だけのものではないと分かっているということであり、お金の使い方を理解しているということだ。金庫に10万円あっても意味はなく、それで仕事を頼み、価値が生まれて循環していく。寄付は、貢献するために稼いでいるのだから人を喜ばせようというマインドの最たるものだ、と中田は説明する。

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④人を笑わせる

4つ目は「笑わせろ」。難しいと感じるだろうが、中田は、ここでも「なぜ」を理解することが大事だと言う。笑いは生活に必要不可欠なものではない。事務報告だけでも生きていける。だからこそ、ちょっとおどけたり冗談を言ったりするのはプラスアルファのサービスであり、サービス精神がない人には人を笑わせることができない。冗談には滑るリスクもあるが、爆笑を取る必要はなく、少しでも面白くしようとするだけで、和ませようとしてくれたという姿勢は相手に伝わると中田は言う。

例として紹介されるのがアメリカのサウスウエスト航空だ。社長がもともと面白い人で、機内のエチケット袋をデザインに入れて「吐き気のするような職場にお勤めではありませんか?」と呼びかける求人広告を出したという。また、お金をかけた広告が競合他社のポスターと酷似してしまった際、訴訟ではなく社長同士の腕相撲で決着をつけるイベントにした。結果は社長が負けたが、それをコミカルに見せたことで多くのファンを獲得したという。中田は、人々が好きになったのはウケたかどうかではなく、面白くあろうとした姿勢だと解釈する。

中田は芸人としての自身の経験も語る。プロになってから笑いが取れるか分からなくなり、プレッシャーに押し潰されそうになったとき、先輩から「おもろいかどうかちゃうやろ、なるべくおもろくしようとしたらええねん」と言われたという。面白さは人によって違うので、なるべく面白くすることしかできない。滑ったらどうするのかと聞くと、別の先輩は「俺たちは滑ってからが勝負なんだ」と答えた。滑ったことも笑いにすればよく、大事なのはサービス精神だというのが中田の受け取り方である。

ここで中田は、1から4まですべて地道で、想像していた成功法則とは違うだろうと視聴者に語りかける。面倒だと思ったときには鉄の凡人を思い出せ、地球上に67億人いる最多数派だ、と冗談を交えて念を押す。

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⑤褒める、そして盗む

5つ目は「褒める」。話し方や人間関係の本ならどれにでも書いてあると思われがちだが、中田は「心の底から褒めようと思っているか」と問う。褒めろと言われると「お世辞は言わない派だ」「媚びへつらって嫌いな人の靴まで舐めるような安い人間ではない」と反発したくなるが、それは誤解だという。

中田はここでも「人生は喜ばせ合戦」を持ち出し、多くの人はそのゲームのルールが分かっていないと言う。サッカーをしているのに野球だと思い込み、国立競技場でずっとバットを振っているようなものだ、というたとえである。全人類は褒められたいのであり、人は自分を認めてくれる人の方へ動く。中田は、できる先輩なのに会うたびに「太った?」「あれパクリっぽくない?」と言ってきたり、自分だけ格好良く写った写真をSNSに上げたりする人の例を挙げる。そういう人にはどれだけ有能でも人が近づかなくなる。反対に「いつも頑張ってるね」「君は才能がある」と言ってくれる人には、落ち込んだときに話を聞いてほしくなる。落ち込んだ日にわざわざ嫌な先輩に電話する人はいないだろう、と中田は言う。褒めるとは媚びることではなく、好きな人に好きと言い、大事な人を大事にすることだ。

これを実践したのが鉄鋼王アンドリュー・カーネギーである。カーネギーはたくさんのウサギを飼っていて、近所の子どもたちに世話を手伝ってもらうため、手伝ってくれた子の名前をウサギにつけてよいことにしたという。中田は、これだけでは応用しにくいと思うだろうと前置きしたうえで、カーネギーがのちに多くの企業を買収した際、買収された側の社名を残したという話を続ける。合併で揉めるのは人間関係であり、買収される側は屈辱を感じる。社名を残すことで、誇りを踏みにじられなかったと感じさせたのだという。中田はこれを「ネーミングライツの感覚」と呼び、カーネギーは鉄に詳しい男ではなく人間の心に最も詳しい男で、それが鉄に詳しい人たちを動かしたのだと紹介する。

さらに中田は、褒めるだけではまだ甘いと続ける。成功者にとって褒めることはボランティアではなく生きる術であり、相手の良いところを見つけたら盗んで吸収する。良いと思ったのは自分より優れているからで、それならなぜ真似しないのか。中田はこれを「いいねアンドコピー」と表現する。例として、ウォルマートの社長は自社にはおらず、常にライバルのスーパーを歩き回り、良いところを見つけてはすぐ真似していたという話が挙げられる。オリジナルで勝負すべきだという反論に対しては、スティーブ・ジョブズでさえ「模倣の天才」と言われ、さまざまな良いところを組み合わせてiPhoneを作ったと中田は答える。

本の中には、成功者とはみんなと同じものを見ても違うことを考えられる人だという記述があり、ガネーシャは流行っている店や人気のある人を、パクろうと思ってチェックしろと言う。競合だけでなく、まったく違うジャンルでもなぜ流行っているのかを理解すれば吸収できるかもしれない、と中田は付け加える。

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⑥身内を大切にする

6つ目は「身内を大切にする」。一度しか関わらない遠い取引先の接待には気を使うのに、自分を支えてくれる人の記念日を祝えているか、という問いである。身近な人ほど「言わなくても伝わる」と雑に扱い、初対面の人をむしろ丁重に扱ってしまうが、身内を丁寧に扱えて初めて自分の立場を安泰にできる、と中田は紹介する。

例として挙げられるのは、コカ・コーラの社長が大株主のウォーレン・バフェットに毎日電話していたという話だ。今後やろうとしていることや、ペプシがこんなことを仕掛けてきて困っているといったことを毎日報告し、自分を支えているのが誰かを正確に把握し、丁寧に扱っていることを行動で示したという。中田は、これはイチローがグローブを磨くのと同じ精神だと結びつける。

中田はさらに、家に帰らず、たまに帰ってきたときに大量のプレゼントを渡す金持ちの親というドラマによくある例を挙げ、それでは伝わらないと言う。大事なのは毎日の細かい声かけであり、選挙のときだけ良いことを言う政治家より、日々地道に有権者と触れ合う政治家が大事なのと同じだという。

中田は、ここまでの1から6は「マインドチェンジ」だったと整理する。遠くの成功を謎の秘訣で手に入れようとする考えを、地道な継続が大事で、人生は人を喜ばせる戦いだという考えに切り替え、足元の細部に目を向けるということだ。ここからは実際に一歩を踏み出す段階に入る。

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⑦まず、やめる

7つ目は「まずやめる」。行動しようと思ってもなかなかできない理由を、中田は時間がすでに既存のルーティンで埋まっているからだと説明する。スマホを見る時間、テレビを見る時間、居酒屋に行く時間、決まった人と話す時間。何かをやめて空席を作らない限り、新しいものは入らない。それなのに人は本を読んで新しい挑戦を始めようとするとき、今の人生に足そうとするばかりで、まず何かを減らそうとはしない。

中田は、新しい恋人ができてから今の恋人と別れようとすれば修羅場になる、倉庫を空けてから新商品を発注するのであって逆は大変だ、とたとえる。行動できない人の最大のメカニズムは「始められない」ことではなく「今までのことをやめられない」ことであり、勇気がなくて踏み出せないのではなく、やめる勇気がないから始められないのだと中田は言う。中田はさらに、必要であれば今の仕事や職場をやめることにまで言及している。

ガネーシャはここで、人は意思では変わらない、意欲や意思や心だけで自分を変えようとしても変わらず、行動による環境作りだけが人を変える、と言う。だからまず先にやめるのだと中田は続ける。

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⑧鏡を見る

8つ目は「毎日鏡を見ろ」で、ちゃんとした服を着て、ちゃんとした髪型にしろという意味だ。服は自分を変えることのできる環境のひとつだとされる。中田はナポレオン・ボナパルトの「人はその制服通りの人間になる」という言葉を引き、偉い将校の制服を着れば将校らしく振る舞うようになると説明する。中田自身も、言葉をきちんと届けようとするうちに今のスーツ姿になっていったという。

逆の例として、ピンクのタンクトップにフルフェイスのヘルメットで鉄バットを抱えた人がコンビニに入ってきたら怖いだろう、と中田は言う。服はメッセージであり、それを変えれば振る舞いも変わる。ココ・シャネルについても、重くて大きなドレスが当たり前だった時代に、シャープなパンツスタイルやスーツを格好よく着る女性像を打ち出し、女性のアクティブな活動や社会進出を後押ししたと紹介し、服を変えただけだったと話す。

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⑨得意なことを人に聞く

スケジュールを空け、服と髪を整えたが、何をすればいいか分からない。そこで9つ目が「自分の得意なことを人に聞く」である。自分の得意なことは分かっているという人に対し、中田は分かっていないと断言する。人は「こうありたい」という願望で自分の得意を誤解しがちだからだ。人生が喜ばせ合戦なら、人に喜んでもらえる道の方が輝けるのであり、みんなが求めることをやれば喜ばれる。だから求められるように生きるしかない、と中田は自分の考えとして述べる。

ガネーシャによれば、得意なことを見つけるのに最もやってはいけない方法は「自分で考えること」である。人の言うことを聞いてまずやってみて、体で感じる。「自分はこのために生まれてきた」という感覚は、考えて見つかるものではなく、やってみて感じるものだという。中田は自身の体験として、慶應の学園祭で初めて相方と漫才をし、どっと笑いが起きたときに「人前で喋って笑いを取るために生まれてきた」と感じたと語る。

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⑩応募する

最後は「応募する」。それでもやりたいことが見つからない人へのヒントとして、ガネーシャは「やらずに後悔していることを思い出せ」と言う。中田はこれを「生まれ変わったらやってみたいこと」と言い換えてもよいとし、ミュージシャンになりたかった、店を出したかった、世界に飛び出したかったなど、思い出したことは来世ではなく今やっていいのだと話す。

そして、必ず応募し、手を挙げること。会社の求人広告もオーディションも、人材は常に求められている。「まだ自分なんか」と言わずに手を挙げればいいと中田は言う。靴を磨き、トイレを掃除し、お釣りを募金し、人を笑わせようとし、人の良いところを褒めて真似し、身内を大切にし、スケジュールを空け、服装を整え、得意なことに耳を澄ませた。それならあとは「私にそれをやらせてください」と言うだけで道が開ける、と中田は10の項目を振り返りながら締めくくる。

結び:「人生は人を喜ばせる合戦」というひとつのメッセージ

中田は最後に、この本が伝えているのは「人生は人を喜ばせる合戦だ」という、たったひとつのメッセージだとまとめる。それをガネーシャがユーモラスに伝え、しかもさまざまな名著の良いところを取り入れている。売れている理由が分かったし、自分も1から4までもっと読んでみたくなったと中田は話し、侮っている人こそ読んでほしいと勧める。そのうえで、結局は動くかどうかだと述べて動画を終えている。