学認対応IdPホスティングの実証実験を終えて、NIIはIDaaSの共同調達を検討している

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概要

国立情報学研究所(NII)の清水さや子氏は、学認対応IdPホスティングサービスの実証実験の結果と、その後の展開を報告した。学認の上では次世代学認などさまざまな取り組みが進んでいるが、清水氏は、学認の基盤である参加機関を増やさなければ話が進まないと述べる。そのためにNIIとして何を支援できるかという問いから、このサービスは始まった。実証実験は2026年3月で終了しており、講演の後半では、今後の方向として検討中のIDaaSの共同調達と、そのためのニーズ調査が紹介された。

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参加機関が増えない理由はIdPの構築・運用の負担だった

清水氏によれば、学認RDMや学認LMSなど学認上のサービスの整備が進み、学認に参加する必要性は高まっている。しかし参加機関はなかなか増えない。NIIがその理由を調査したところ、回答の大半は、学認に参加するために立てる必要があるアイデンティティプロバイダ(IdP)の構築と運用の負担を挙げていた。人がいない、予算がないといった事情から、IdPを立てるハードルが高いということである。

これを受けてNIIは、学認対応IdPホスティングサービスの構想を2022年のオープンフォーラムで紹介し、実証実験を始めた。実証実験では、NIIが学認対応のIdPを間に入って提供する形をとった。募集の対象は、学認への参加を希望している機関と、すでに参加していてIDaaS(クラウド型の認証サービス)への移行を検討している機関である。どちらの場合も、人員やコストの不足によってIdPの構築や運用が難しい機関を対象とした。

第1期と第2期の違い

実証実験は2段階で実施された。第1期は10機関が参加し、期間はおよそ2年だった。第2期は38機関が参加し、期間はおよそ1.5年である。第2期では法人単位の契約があったため、実際に立てられたIdPは33だった。

開始の方法も異なる。第1期は開始時期を一斉に決めて始めた。第2期は段階的に開始する方式をとり、半年ほどかけて、各機関の準備が整い次第利用を始めてもらった。

利用範囲にも違いがあった。第1期では、各機関の所属者全員をユーザーとして登録する全学展開が一般的だった。例えばA大学であれば、A大学に所属する全員が登録されている状態である。一方、第2期では全学展開に至らない機関が多く、文学部だけ、大学院生だけ、大学院と教員だけといったように、限定的に利用する例が多かったという。

実証実験で確認できたこと

こうした違いはあったものの、清水氏によれば、大きな問題はなく各機関に利用してもらえた。実証実験で確認できた効果として、清水氏は次の点を挙げた。

  • IdPの構築・運用にかかる負担の軽減
  • 担当者への依存の軽減
  • セキュリティ対応機能を利用できるようになったこと
  • 学認対応にとどまらず、機関全体の認証基盤が整備されたこと

最後の点について清水氏は、機関全体の認証基盤の整備につながった機関も少なくなかったと述べた。

実証実験の終了後も、1機関を除くおよそ95%の機関が、実証実験で使っていたIDaaSをそのまま継続利用している。NIIはこの結果から、IDaaSが認証基盤を整備するうえで有効な選択肢であることを確認したとしている。そのうえで、今後はIDaaSを軸に進めてはどうかという方向で議論が進んでいた。

個別契約の負担を共同調達で解消できないか

ただし、各機関にIDaaSを個別に契約してもらう方式には課題があると清水氏は指摘する。どのサービスがよいのかを比較する作業、セキュリティ要件をどう定めるか、仕様書をどう書くかといった点が、個別に調達・契約する機関にとって大きな負担になる。これを共同調達で解決できないかというのが、NIIで現在検討している内容である。

清水氏は、共同調達に期待できる効果として次の点を挙げた。共同調達に参加した機関同士で情報やノウハウを共有できること、調達・契約手続きを効率化できること、セキュリティ対策を講じられること、費用を軽減できることである。

ニーズ調査への協力の呼びかけ

NIIは、講演の前日か前々日という直前のタイミングで、共同調達に向けたニーズ調査を始めた。調査はトラストセンターのウェブサイトに掲載されている。清水氏は、スライドの最後にQRコードを置くだけでは見逃されるおそれがあるとして、ほとんどのスライドに回答用のQRコードを載せていた。

清水氏が回答を求めたのは、すでに学認に参加していてIDaaSに乗り換えたい機関や、まだ学認に参加していないが参加してみたい機関など、少しでも関心のある機関である。回答期限は7月20日だ。清水氏は、回答したからといって共同調達への参加が決まるわけではなく、共同調達そのものもこれから検討していく段階だと説明し、幅広い意見を求めた。

ベンダーへの依頼と費用の問い合わせ先

講演の最後に清水氏は、学認対応IDaaSの共同調達に賛同するベンダーがあれば、トラストセンターのウェブサイトから連絡してほしいと呼びかけた。

また清水氏は、機関にとって最も気になるのは費用面だろうと述べた。費用感については、清水氏か鈴木先生に個別に問い合わせてほしいという。トラストセンターのウェブサイトからの個別の問い合わせにも対応するとしている。共同調達の具体的な枠組みや費用は、ニーズ調査を踏まえてこれから検討される段階にある。