吉村洋文が語る維新の連立入り:「12本の矢」から副首都法、議員定数削減まで

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概要

日本維新の会は自民党との連立に踏み込んだ。その狙いは何で、何を賭けているのか。中田敦彦は連立合意書「12本の矢」を独自の基準で分類し、維新が本当に求めているのは「医療制度改革」と「副首都法」の2本だという仮説を立てて、吉村洋文に示した。吉村はこの読みに大筋で同意した。そのうえで、合意書の中で「目指す」としか書かれていない議員定数削減こそが、残りの改革を実行できるかを測る試金石だと説明した。

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万博の閉幕と「黒字」

対談は大阪・関西万博の閉幕から始まった。吉村によると、開幕前はテレビを中心に「人は来ない」「スマホ時代に時代遅れ」「赤字になる、お前が払え」と批判されていた。結果は230億〜280億円の黒字だったと吉村は報告する。中田が冗談で「これ全部吉村さんの?」と聞くと、吉村は「個人には0円」と返した。

吉村は収支よりも、多くの人が来て楽しみ、世界中から人が集まって「未来に向かって進んでいこう」という空気や価値観を共有できたことに意味があったと振り返った。

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連立入りは予測していなかった

連立入りについて、吉村自身も予測していなかったと話す。維新が想定していたのは小泉進次郎との関係で、高市早苗が総裁に選ばれた時点で、報道でも「維新はない」と見られていた。

吉村は総裁選をテレビで見ており、高市が勝った時点で「もう引こう」と考えたという。党員票の大半が高市に入ったことを見て、そちらの方が民主的には正しいと受け止めた。維新の代表選では国会議員も党員も同じ1票で、これは首相公選制を目指す考えに基づいている。そのため、党員の意思を重く見る結果には納得できたと吉村は説明する。高市の政策は国民民主党に近いと言われていたので、他党の政策実現を邪魔したくない、万博も最後の正念場なので終わったら少しゆっくりしよう、というのが総裁選直後の心境だった。

状況を変えたのは公明党の連立離脱だった。吉村によると、公明党が抜けると国民民主党も引いた。自公国の枠組みならあり得たが、自民と国民民主だけでは議席が足りないからだ、と中田が補足し、吉村も同意した。高市が孤立したような状態になり、万博閉幕日の夜に高市から電話があった。「真剣に話をさせてほしい」という内容だったという。

中田は、自民党と連立を組めば、党是が違えば「妥協した」と言われ続け、党是が近ければ吸収されると指摘した。26年続いた自公連立の陰で、そうした前例は忘れられている。党の存続を賭けてまで飛び込むのだから、よほどの考えがあるはずで、それが12本の矢に込められているはずだと中田は考え、合意書を読み込んだ。

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中田による「12本の矢」の分類

中田によると、12本の矢は12の分野で、各分野に複数の項目があり、数えると48項目になる。1項目3分で紹介しても2時間半かかる。そこで要点を絞ることにしたが、直感で選ぶと維新側の意図とずれる。吉村が「こんなに用意したのに、いつも聞かれるのは議員定数削減のことばかりだ」と不満を口にしていたことも念頭にあった。

出発点は、ReHacQの高橋が藤田文武共同代表に尋ねたやり取りである。合意書の項目には赤・黄・緑・青の期限ラベルがついている。高橋が「これが優先度か」と聞くと、藤田は「重要度とは限らない」と答えた。中田はこの答えに真実味を感じ、期限とは別の物差しが必要だと考えた。

中田が作った分類は4つある。期限が切られていない項目は方向性を示す「ビジョン」とする。「検討・推進・議論・目指す・図る・法案策定・制度設計・協議体設置」などの語は、話し合いと計画の段階なので「プラン」とする。機関・部署・職の「創設」を明言したものは、運用や中身をこれから詰めるスタートラインなので「スタート」とする。「制定・成立・実現・実行・規制」を明言したものは個別の内容を実行する「DO」とする。この基準で絞り込むと、DOは10項目になった。

次に中田は、DOの中で期限ラベルを見た。緑のラベルには「令和8年の国会中」と「令和8年度中」の2種類があり、実質5種類だった。赤は12月、黄は3月、緑Aは6月と3か月刻みで並ぶ一方、緑Bは緑Aから6か月、青は緑Bから12か月離れている。中田は、3か月刻みまでは具体的なスケジュールとして見えるが、その先は政局が変わっていそうだと考えた。そこで前の3つを「プロジェクト」、後ろ2つを「ホープ(希望的DO)」と名付けた。プロジェクトに入ったのは7項目で、中田は「G7」と呼んだ。

G7の内訳は、12月期限がガソリン暫定税率の廃止と電気・ガス料金の補助、3月期限が社会保障改革の中の医療制度改革、6月期限が旧姓使用に関する法制定、日本国国章損壊罪、メガソーラー規制、副首都法の制定である。

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2本の矢に絞られる理由

中田はさらに絞り込んだ。12月期限の2つは物価高対策で、国民が最も求めており、合意も取れている。吉村自身も「12本の1本目に書いている」と強調していた。そのため、ここは論じるまでもないと判断した。旧姓使用、国章損壊罪、メガソーラー規制の3つは、高市が首相就任前から主張していたことなので「高市マター」であり、維新が突きつけた矢ではないと見た。

残るのは医療制度改革(3月)と副首都法の制定(6月)の2本である。期限を決めたことが重要で、維新が連立離脱のカードを切るとすれば、この2つのスケジュールが履行されなかったときだろう、と中田は推測した。ただし、この2本には議員定数削減が入っていない。議員定数削減は「目指す」と書かれていたからである。

中田は自分の見立てを確かめるために、今年1月の初対談の映像を流した。当時は参院選前で、維新は公約から都構想を外しており、副首都構想もまだなかった。その中で吉村は、どうしてもやりたいこととして社会保険料を下げる社会保障改革と全国での高校授業料無償化を挙げ、長期的には3度目の都構想住民投票の検討にも触れていた。高校無償化はすでに実現した。残る2つは中田が合意書から導いた2本と一致する。だから「減らしすぎ」ではない、と中田は主張した。

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副首都法から都構想へのルートという仮説

中田は、副首都法は「無理ゲー」ではないかという疑問に答える形で、自分の仮説を展開した。維新が示す副首都の条件には特別区の設置が含まれており、政令指定都市のままでは条件を満たさない。大阪・福岡・仙台・名古屋といった候補地にはどこも特別区がない。大阪に当てはめると、特別区の設置はそのまま大阪都構想の実現を意味する。

中田の描く筋道はこうだ。この条件のまま副首都法が制定されれば、名古屋は東京に近すぎ、福岡は遠すぎ、経済規模は大阪が最大なので、大阪が副首都に認定される流れになる。そのうえで特別区の条件を満たすために3度目の住民投票に進む。

2度否決されたのに3度目は勝てるとする根拠を、中田は1月の対談に求めた。吉村は当時、「市がなくなる」「住民サービスが減る」が強力な言葉で、反対派、特に自民党が市のマークが消えていくようなCMを流したと語っていた。中田はここから、都構想の最大の壁は大阪市民ではなく大阪自民だと読む。自民党本部が大阪府連を説得し、自民全体で維新を後押しする体制ができれば、3度目は「維新・自民による賛成」から始められる。中田は冗談めかして、吉村の銅像が大阪駅前に立つという「ヒーローヒストリー」まで描いてみせた。吉村は「すごい読み」「面白いストーリー」と応じた。

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吉村が語る都構想と副首都の本来の意味

吉村は、副首都は本当に必要で、都構想とそれほど違うものではないと説明した。都構想の基本は、大阪府と大阪市の二重行政が成長を妨げてきたので、一つにして制度として強い行政体を作ることにある。維新の会の枠内では実際にそれをやってきて大阪は成長している、と吉村は言う。

東京についても吉村は例を挙げた。東京もかつては東京府と東京市に分かれ、二重行政があった。今の23区に東京市長がいて、都知事とは別に存在すると想像すれば、街づくりがこれほどスムーズに進むかと問う。吉村によれば、東京都は戦時中に東條英機が「二重行政では国は強くならない」として、非民主的なプロセスで強制的に合体させて生まれた。戦前には議会の中で府と市が争い、大阪と同じような議論があったという。

現在の大阪は、吉村が府知事と維新代表を兼ね、党の上下関係でまとめているにすぎない。どちらかが外れれば元の木阿弥になる不安定な状態だと吉村は認めた。都構想は本来、大阪の器の話にとどまらない。橋下徹の時代から掲げてきた「ツインエンジンで日本を成長させる」構想の出発点だった。ニューヨークに対するロサンゼルスやサンフランシスコのように、大阪だけでなく福岡や札幌など複数の都市が伸びる国家を目指す。最後は道州制だという。30年成長してこなかった日本で、一つのエンジンに頼らない仕組みを作る。しかし国からはほぼ無視され、「お前らでやれ」という扱いだったと吉村は振り返る。

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菅義偉の約束と「橋下プロセス」

府と市を一つにする手続きを定めた法律はもともとなかった。それを作ったのが当時の菅義偉だと吉村は言う。吉村が菅や小泉を信頼する理由は約束を破らないことで、自民党には約束を破る人が多い、と個人的見解として付け加えた。中田も、2012年の議員定数削減、維新との旧文通費、国民民主との103万円の壁などで、自民党が遅延させながら少しずつしか実現しない「お得意のやり方」を見せてきたと応じた。

吉村によると、菅は当初、住民投票では否決されやすいので、府議会・市議会・知事・市長が合意すれば移行できる法律にしてはどうかと提案した。これに対して橋下は、市が特別区になって府と合体するなら最終判断者は市民だと主張し、あえて高いハードルを選んだ。その「橋下プロセス」で最も苦しんだのは橋下自身だったが、民主的には納得できると吉村は言う。

2度の否決の背景について、吉村は議員定数削減と同じ構図があると説明した。組織が一つになれば席がなくなる。知事と市長のポストは一つになり、市議会の議席も区の議会として選び直しになる。政治家自身の改革を伴うため、そこに座る大阪自民は大反対し、他党も反対する。

今回の違いは、これまで大阪の地域政治の問題と見られていたものが、副首都という「国としてどうあるべきか」の議論、つまり国政の問題に格上げされたことだと吉村は言う。首都機能をいざという時にバックアップする体制が今はないのはおかしい、という主張である。中田はこれを、地域で2度否決された案件に国政の衣を着せて再挑戦の機運を作り、その中に都構想を入れ込む「吉村作トロイの木馬」と表現した。勝負は、副首都法に「特別区設置」の条件を書き込ませられるかどうか、その1点に集約されると中田は見る。医療制度改革については、市販薬に近いOTC類似薬の保険適用除外のように抵抗の少ないものも多く、段階的に進みそうだという印象も述べた。

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中田が描くバッドエンド

中田は最悪のシナリオも提示した。副首都法そのものは協議体を設けて前向きに進むが、特別区設置条件だけ「まだ議論が必要」とされ、骨抜きと延期が起きる。その間に、高市人気を背景に解散総選挙が打たれる。自民党が10〜20議席増やすだけで、自民と国民民主で過半数に届くようになる。国民民主の玉木雄一郎は連立を拒んだのではなく、条件を見定めていただけなので、そこで乗ってくる。連立が組み替えられれば計画はすべてゼロに戻る、という筋書きである。

中田は、副首都構想や都構想の意義には疑義はないと断った。そのうえで障壁を3点に整理した。自民本部と大阪自民の関係、特別区設置条件を入れられるか、法律制定と総選挙のタイミングである。

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議員定数削減は「政治的パワー」の試金石

吉村は、社会保障と副首都の2本という読みには「本当に考え方が近い」と応じた。社会保障改革は13項目あり、絶対にやらなければならないと考えている。一方で、こうした改革には議論だけでは進まない政治的パワー、腹決めのエネルギーが必要だと強調した。自民党内で高市を応援しているのは半分で、引きずり下ろそうとする人もいるはずだと吉村は見ている。

吉村によると、上乗せは簡単だが、何かをやめて新しく作るのは非常に難しい。それが本当の改革で、大阪で実際にやってきたからこそ体感している。例として挙げたのが医療の窓口負担である。今は75歳以上が1割負担など年齢で決まっているが、年齢ではなく負担能力に応じて払ってもらう「応能負担」にすれば、医師会は反対し、1割から3割になる人は「なぜ私が」と思う。逆風が吹くことは避けられない。それでも社会保障を持続させ、本当に必要な人を支えるために必要だと吉村は言う。

こうした高いハードルを越えるには、政治家がまず自分のことからやらなければならない。それが議員定数削減だ、と吉村は説明した。民主党はかつて比例80削減を公約にし、野田佳彦首相と安倍晋三が党首討論で解散と引き換えに定数削減を約束したが、実際にはほとんど減らなかった。自分たちの席の話になるとうやむやにして、国民の負担ばかり増やしていては改革などできるはずがない、と吉村は言う。

この考えには維新の経験が下敷きにある。維新の会が最初にやったのが議員定数削減だった。当時の大阪は赤字で、補助金をばらまき財政がぐちゃぐちゃだった。維新は大阪府議会の定数を109から88へ約2割削減し、そのうえで補助金の廃止などを進めて、赤字から黒字にしたと吉村は語った。

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定数削減への反論と吉村の応答

中田は批判的な見方もぶつけた。大阪での定数削減は、複数人が当選する選挙区で自民や公明の議席を削る設計で、維新の圧倒的な強さは議席を「圧縮」した結果でもある。勝っている時に弱い政党をさらに削る、戦術的にも優れた「必殺技」に見える、と中田は言う。今は多党化が進み、参政党、チームみらい、国民民主といった新興勢力の多くは比例で当選している。その中で比例を50削れば「うるさそうな奴らを減らそう」と聞こえ、身を切る改革には見えにくいのではないかと問うた。

吉村は、新興政党が出てくるのは良いことで、新陳代謝はもっと進めばいいと答えた。テレビと新聞しかなかった時代とは違い、こうした番組やSNS、ブロードリスニングなどの新しい技術で少数の声が届きやすくなった。だからこそ「国会議員って今までの数本当に必要なんですか」と考えるという。ネット投票も進めればいいと言い、少数意見が反映される社会は膨らめばいいが、それを理由に定数削減をしないのは違う、という立場である。正しい主張や国民が支持する主張は多数になっていくし、維新自身も比例で多く当選した時も小選挙区で当選した時もあった。削れば誰が有利になるかは保証されない。参議院は複数人区があり、比例と選挙区が完全に分かれているので、少数意見が入りやすい仕組みが担保されていると吉村は付け加えた。

仕組みについて吉村は、衆議院の定数は約460で、うち300が小選挙区、残り175ほどが比例代表だと説明した。小選挙区で落ちた人が比例で復活する「ゾンビ議員」の仕組みについては、自身も初めて国政に挑んだとき小選挙区で落ちて比例で復活し、「なぜ落ちたのに通ったのか」と感じたという。中田は、51対49で負けた有力候補が復活するのには一定の妥当性もあると指摘した。吉村は、比例を全部なくすのではなく1割程度を削るのだと答えた。公約では国会議員の3割削減を掲げており、本来は3割でもいいが、飲み込みやすいよう1割にしている。これくらいもできないなら、社会保障や副首都、エネルギー、憲法の改革などできるはずがない。単独過半数を取るなら別だが、連立すれば維新も消滅する可能性がある、と吉村は語った。

54:20

交渉は定数削減から広がった

吉村によると、最初に高市と面談した時、社会保障改革と副首都構想の2本を絶対条件として示した。これは総裁選前から公言してきたことで、高市もやろうと応じた。そのうえで協議に入る前提として、リスクのある場所に飛び込む以上、本気で改革する意欲があるなら、自民党も約束していた議員定数削減を一緒にできるかと問い、高市が「やる」と答えたところから合意が広がっていった。面談翌日に出した改革項目にも、議員定数削減は臨時国会という期限付きで最初から入っていたという。後から言い出した話ではない、と吉村は強調した。中田はこれを、ストレートを打つ前に距離を測る「ジャブ」と表現した。

吉村は議員報酬の例も挙げた。東日本大震災の頃、国民に増税をお願いするなら国会議員の報酬を2割削減しようと決めたが、いつの間にか元に戻った。維新の国会議員は今も2割削減を続けており、吉村自身は報酬を3割削減し、1期4000万円の退職金も0にしているという。

定数削減が実現しなかった場合に連立離脱のカードはあるのか。中田がそう尋ねると、吉村は、テレビではぼかして答えていると明かしたうえで、「守ってくれると僕は信じてます」と答えた。

58:46

早期解散の可能性と自民党内の抵抗

中田は、高市の支持率が予想より高く、当初はないと見られていた年内解散・早期解散の話が出ていることを懸念した。自民の議席回復は、先の筋書きを変えうる。吉村は、議席が変わって「維新は必要ない」と言われればそういうことになるだろう、そこは腹をくくっていると答えた。高市はまっすぐな人だと見ており、党内でまとめるのが難しい定数削減を本気でやると言ったからこそ協議が進んだ。その読みが間違っていたならバッドエンドでも仕方ないという。

解散にロックはかけられないし、かける必要もないと吉村は言う。解散が怖いなら、国民民主のように後ろにいた方が得だからだ。支持者の反応について中田が尋ねると、吉村は、維新はリスクを取ってでも道を開こうという価値観の党なので、挑戦して失敗する方がましだと考える支持者が多いと答えた。選挙の結果については、参院選で参政党の伸びを誰も予測できなかったように分からないので、予測しても仕方がない、今どういう信念で動くかが大事だと述べた。

一方で吉村は、自民党内には定数削減を嫌がる人が非常に多いことも認めた。交渉段階から、「とりあえず合意だけしておいて、総理になったらちょっとやればいい」「うまくまとめて時間が経てば削減もできなくなる」といった声が聞こえてくるという。元自民党の松井一郎と馬場伸幸からは、後ろでいろいろ考えている人がいるので気をつけろと言われている。中田は、骨抜き、遅延、トップ交代による方針転換、野党の主張の丸呑みといった自民党の手法を挙げた。吉村は、自民と維新を足しても衆参ともわずかに過半数に届かない状況を認めたうえで、少なくとも自民と維新で法案を出し、他の野党にも判断を迫るところまでは絶対に行きたいと語った。支持率の高さについては「期待値」と見ており、約束を実行するかどうかが重要だという。ガソリン減税は決定しており、軽油の減税も決まったと述べた。

1:07:35

党の構造と藤田文武の評価

話は維新の党としての今後に移った。中田が大阪維新の会と日本維新の会の「二重構造」を問うと、吉村は、日本維新の会の中に大阪維新の会があるという形で、代表選は国会議員も地方議員も党員も1票だと説明した。普通の国政政党は国会議員を頂点にしたピラミッドだが、維新は地方から生まれた経緯もあって、役割が違うだけでフラットだと考えている。だから知事である吉村が代表になりうるし、次は国会議員が代表になるかもしれない。橋下や松井も非国会議員で代表を務め、実務上の不都合があるため共同代表制を敷いているという。

藤田について吉村は、非常にクレバーで能力が高く、合理的な判断をし、価値観は保守的な思想が強いと評した。ハートは皆が思うより熱く、コミュニケーション力は自分より高い。将来の日本維新の会を背負う候補の一人だという。自分が代表を任されているのは、知事・市長として賛否のあることをやってきた実績を党員が見ているからで、藤田も国政で実績を積めば信頼は広がるだろうと話した。吉村自身、橋下の後を継いだときは比例復活の国会議員にすぎず、「若い兄ちゃん、お前誰や」という印象からのスタートだったと振り返った。中田がスター性について聞くと、吉村はスターでもアイドルでもないと否定しつつ、政治家に重要なのは熱量と一歩前に出る勇気だと答えた。大阪での支持は、赤字を黒字にするなど、苦しみながら進めた改革の結果を実感している人が多いからだという。

中田は、2019年から政治コンテンツを出してきたが、ここ1年で日本の政治への注目が急に高まったと話した。顔が見えて何かやってくれそうな政治家がYouTubeなどで発信するようになったことが大きいと見ている。

1:17:52

連立の消滅リスクと企業・団体献金

最後に中田は消滅リスクを取り上げた。吉村も、自民と連立して生き残ったのは公明党だけで、公明党は創価学会という支持母体があるから選挙に強いが、維新には支持母体がないと認めた。高市が孤立し公明も国民民主も引いていく中で、誰かがリスクを取らないと道は開けないと考えて決断したという。

中田は、公明党が安保法制などで妥協を重ね、批判されてきたことを挙げた。そのうえで、維新は国家観・外交・安保・エネルギーで自民とほぼ一致しているのだから、自民党との一番の違いは何かと問うた。吉村は「改革政党であること」と答えた。既得権益とぶつかり、歳出改革をし、副首都のような統治機構改革や社会保障改革に踏み込む。医師会に支持されている自民党議員は多く、そこに入っていくのだという。

中田が最大の懸念として挙げたのは企業・団体献金である。ここで妥協し続ければ、維新は残っても「改革政党」という維新ブランドは消え、自民とほぼ差のない保守政党になってしまう、と中田は言う。吉村は、高市の総裁任期中に結論を出すことを合意に入れており、そこがリミットだと思うと答えた。中田は、他の項目が期日で区切られているのに、この項目だけ「任期中」という特殊な区切り方をしていると指摘した。

抜け穴として、中田は企業トップによる個人名義の献金を挙げた。吉村は、法人と個人の金は税務上分ける必要があるので基本的には分かれていると答えつつ、イーロン・マスクのように巨額の個人資産がある場合は別の問題になるとも認めた。1万円、2万円の応援なら普通の範囲で、企業は自社の経済的利益のために存在するので直接受けるのとは性質が違う、程度の問題だと吉村は言う。中田は、タレント時代にスポンサーから資金を受けると、最初は口を出さないと言われても次第に企画が歪んでいった経験を語った。だからYouTubeでは案件を一切やらない、お金の受け取り方は厳しくすべきだという。

中田は、自民党という巨大な相手と向き合って副首都構想を実現し、企業・団体献金を前に進められたら「銅像を拝みに行く」と締めくくった。吉村は、その入り口はやはり議員定数削減だと応じた。定数削減を高市が党内でまとめられるのか、副首都法に特別区設置の条件を書き込めるのか、そしてその前に解散で構図が変わるのか。いずれも答えはまだ出ていない。