高市首相の「存立危機事態」答弁はなぜ中国を怒らせたのか──中田敦彦が語る50年の曖昧戦略と台湾史、日中関係の行方
中田敦彦のYouTube大学 - NAKATA UNIVERSITY高市首相の国会答弁をきっかけに、日中関係が急速に悪化している。高市氏の発言はそれほど問題だったのか、中国はなぜここまで怒っているのか。中田敦彦はこの回でこの二つの疑問を取り上げ、どちらかに肩入れせずに説明すると前置きした。そのうえで、答弁の中身、中国の反応、高市氏の思想的背景、台湾をめぐる戦後史を順にたどり、最後に今後の展開と日本経済への影響について自身の予測を示している。
発端は予算委員会での岡田克也氏の質問
中田によれば、発端は11月7日の衆議院予算委員会である。立憲民主党の岡田克也氏が「存立危機事態」について高市首相に踏み込んだ質問をした。予算委員会で予算以外のことを聞いてよいのかと思う人もいるだろうが、予算委員会では野党が首相にどんな質問をしてもよいことになっている。中田はこれを、首相に直接問いただせる貴重な機会として野党が使ったのだと説明する。やり取りの全編はYouTubeなどに残っているので、関心のある人は実際に見てほしいとも勧めている。
「存立危機事態」とは何か
中田は言葉を分解して説明する。「存立」は存在、つまり国家の存在であり、「危機」は危ないこと、「事態」はシチュエーションを指す。合わせると「国家の存在が危ぶまれる状況」という意味になる。
この概念は歴史が浅く、2015年に安保関連法が成立したときに生まれた。戦後の日本は軍隊を持たないところから出発し、アメリカの要請などを受けて自衛隊がつくられた。ただし自衛隊は憲法上は軍隊と明記されず、グレーな存在である。そのなかで日本は「専守防衛」、つまり自分の意思で他国を攻撃せず守りに徹する立場をとってきた。
その後、自衛隊がアメリカへの協力で派遣されるといった事態が重なった。中田によれば、こうした経緯から、自国が攻撃される場合の個別的自衛権だけでなく、仲間が攻撃されたら自分も動いてよいのではないかという集団的自衛権の議論が増えていった。存立危機事態はその延長線上にある考え方で、他国が攻撃を受け、それによって自国も危ないとなれば自衛隊を動かせるというルールである。
中田はこれを「自衛隊動かしスイッチ」と表現する。自国が攻撃されていなくても、政府が存立危機事態と認めれば自衛隊を動かせる。この変更は、もともとグレーだった専守防衛のラインをさらにグレーにする方向の変化だというのが中田の見方である。国民の命を自衛隊として送り出すのは重い決断であり、スイッチを押してよいタイミングが曖昧なのは問題ではないか。これが岡田氏の質問の出発点だったと中田は説明する。
岡田氏が突いた安倍・麻生発言との矛盾
高市氏は当初、これまでの政府の考え方と同じで総合的に判断する、と曖昧に答えていた。そこで岡田氏は、安倍晋三氏や麻生太郎氏の過去の発言を持ち出した。麻生氏は、中国が台湾を攻めれば存立危機事態になる可能性が高いと述べていた。安倍氏も存命中、首相在任中ではないときに「台湾有事は日本有事」と語っていた。
中田の解釈では、岡田氏の問題意識はこうである。政府は存立危機事態を個別に判断すると言っている。その一方で、有力な政治家が「台湾が攻められたら自衛隊を動かしてよい」と受け取れる発言を軽々しくしているように見える。それは政府の公式見解なのか、高市氏の考えをこの場で聞きたい。命を動かす権力の運用だからこそ、慎重に確認しようとしたのだという。
なぜ「バシー海峡」が名指しされたのか
岡田氏はさらに具体例として、台湾とフィリピンの間のバシー海峡が中国によって封鎖された場合はどうかと尋ねた。台湾は北西側の台湾海峡と南側のバシー海峡に挟まれている。中田は、台湾海峡ではなくバシー海峡を挙げたことに意味があると指摘する。
バシー海峡は日本のシーレーン、つまり海上の流通経路として重要だからだ。石油や天然ガスなどの資源は中東などから大型タンカーで運ばれてくる。飛行機より船のほうが運べる量が多いため、時間がかかっても船で輸送されるものは多い。中田によれば、台湾海峡のほうが狭く、バシー海峡のほうが深くて大型タンカーを通しやすいといった理由から、主にバシー海峡が使われている。
ただし岡田氏はここで釘も刺していた、と中田は言う。シーレーンが封鎖されても迂回すればよい。経済的な打撃はあっても、自衛隊を動かすよりはましだという考え方である。中田の説明では、岡田氏は日本の武力行使はできるだけ避けるべきだと主張している。台湾と中国が戦争になっても、まず優先すべきは台湾にいる日本人の帰国を助けることであり、日本が武力行使を決断すれば戻れる人も戻れなくなる。そのうえで、この状況でも存立危機事態にあたるのかを問うたのである。
これに対して高市氏は、いろいろな状況があるとしつつ、中国が「戦艦」を用いて武力行使を伴う封鎖をした場合は「どう考えても」存立危機事態になりうる、という趣旨の答弁をした。これが大騒ぎになった。
50年続いた「曖昧戦略」からの逸脱
中田は、騒ぎになった理由を、首相がここまで踏み込んだのは初めてだったからだと説明する。日本は台湾と中国の関係について、50年にわたってあえて発言を曖昧にとどめる戦略をとってきた。
その起点は1972年、田中角栄首相のときの日中共同声明である。中国は、台湾は自国の一部であり、中国と台湾は二つの国ではなく一つの中国で、台湾は国内問題だと主張していた。これに対して日本は、その立場を「理解し、尊重する」と表明した。中田はこの言い回しを重要だと見る。「支持する」「賛成する」と言えば、台湾から見て日本は中国側につく敵になる。「理解し尊重する」は、あなたの言い分は分かった、そう考える中国を否定はしない、という意味であり、賛成かどうかは言っていない。日本はそのうえで中国と国交を開き、台湾とも経済的に密接に交流してきた。
歴代首相も同じ趣旨の質問を受けてきた。中田は二つの例を挙げる。2005年の小泉純一郎首相は、台湾と中国が戦争になったら自衛隊を動かすのかと問われ、「仮定の質問には答えられない」と退けた。高市氏と思想が近いと言われる安倍晋三首相も、2016年に「台湾海峡の平和と安定が重要」と答えるにとどめた。中田によれば、どちらも実質的には何も答えていない「ゼロ回答」である。
では、安倍氏や麻生氏の発言とは何が違うのか。中田は、首相在任中かどうかで意味がまったく異なると説明する。靖国参拝がたびたび問題になるのも同じ理由だという。首相の公式の行動や発言は、国の意思を対外的に表明することになる。在任中でなければ一政治家の個人的なスタンスであり、「日本にはいろいろな政治家がいる」で済む。高市氏は総裁選と首相指名選挙を経た正式なトップであり、その人が予算委員会という公式の場でこの発言をした。だから50年の曖昧戦略からの大転換と受け止められてもおかしくない、と中田は言う。
中田によれば、質問した岡田氏自身もそこまで明確な答えを予想しておらず、焦りを隠せない反応だった。岡田氏は小泉政権時代にも同じ質問をしていた。当時は自衛隊の海外派遣が争点になっており、「仮定の質問には答えない」という答弁を引き出したことで、曖昧戦略が続くことが世間に示された。今回も、タカ派と言われる高市氏に、首相としては曖昧戦略を踏襲すると示させようとした可能性が高い、と中田は推測している。ところが結果は逆になった。
想定問答か、アドリブか
この答弁が官僚と準備した想定問答だったのか、高市氏のアドリブだったのか。中田はここをポイントに挙げる。予算委員会では何を聞かれるか分からないため、官僚と事前に想定問答を作り込むという。ただし全部はカバーできず、7割が想定問答、3割がアドリブという実感を示すデータもあるらしい、と中田は伝聞の形で紹介する。そのうえで、今回は3割のアドリブだった可能性が高いと言われていると述べる。
根拠として中田が挙げるキーワードは二つある。一つは「戦艦」だ。中田によれば、この言葉は軍事の専門用語としては古く、今のプロは使わないらしい。官僚が想定問答を作っていれば、この言葉は使わせないはずだという。もう一つは「どう考えても」という強調表現である。予算委員会では言質を取られると後で攻められるため、答弁は防御的になりやすい。官僚と作る文章は国民から見てまどろっこしいほど慎重で、「どう考えても」「間違いなく」「絶対に」といった表現は官僚的な文章ではありえないという。
この二点から、専門家の見方ではアドリブの可能性が高い、と中田は紹介する。つまり自民党内で方針を決めて臨んだわけではなく、岡田氏とのやり取りのなかで、高市氏がこれまで考えてきたことが表に出た。それが周囲の受け止め方だと中田は言う。
中国の反応──総領事の投稿から経済措置へ
翌11月8日、中国の薛剣駐大阪総領事が、非常に激しい言葉で高市氏を非難する投稿をした。中田は、自分の口で再現するのがはばかられるほどの言葉だったと言う。中国政府の人間としてその言葉選びはどうなのかと批判も受けたが、ここから分かるのは、中国側が尋常でないほど驚き、怒っているということだと中田は読む。中国にとって台湾問題は国内問題であり、そこに日本が首を突っ込み、軍を動かすとまで言ってきた。なぜそこまで言うのか、という怒りである。投稿はすぐ削除されたが、一気に拡散した。
怒りは個人レベルにとどまらず、政府の措置として表れた。まず中国当局が日本への渡航自粛を呼びかけた。「禁止ではなく自粛なら構わないのでは」と思うかもしれない。しかし中田は、中国は憲法に共産党が指導する国だと書かれている一党独裁国家であり、政府に逆らうことへの危機感が強いので、日本でいう自粛とはまったく違い、ほぼ禁止なのだと説明する。実際に旅行や航空便のキャンセルが相次ぎ、来るはずだった観光客が来なくなるという損害がすでに出ているという。
水産物でも措置がとられた。中国は北海道のホタテなどを大量に買っていたが、輸入を禁止するのではなく、検査のレベルを上げて「基準に達していない」として実質的に輸入を止めた。中田は、自粛や検査強化という形はグレーでも中身は経済制裁だと見る。こうした措置が発言から約1週間で打ち出され、日本経済への損害は約1.8兆円という試算もあると中田は紹介している。
その後も非難は続いた。17日には毛寧報道官が、台湾問題で「火遊び」をやめ、発言を撤回するよう求めた。中田は、この段階から中国の主張は発言への怒りではなく、撤回の要求に変わったと指摘する。さらに傅聡国連大使は、日本は中国の「核心的利益」、つまり最も重要な利益に挑戦していると非難した。大使、総領事、報道官と、あらゆるポストの人物が撤回を求めている。中田によれば、その理由は、日本のトップが50年守ってきたラインを超え、自衛隊を動かすと言ったと中国が判断したからである。
高市氏の思想──サッチャーと2024年の著書
中田は、高市氏の発言はうっかり出たものではないと説明する。高市氏は尊敬する政治家として、イギリスのサッチャー元首相をよく挙げている。サッチャーには「弱さやためらいは侵略を招きかねない」という趣旨の言葉がある。フォークランド紛争で、イギリス領だったフォークランド諸島をアルゼンチンが元は自分たちの領土だとして電撃的に奪おうとした。イギリスは速やかに軍艦を派遣し、短期間で奪還した。その後に語られた言葉だという。
中田はここで、タカ派とハト派の違いを戦争抑止の方向性の違いとして整理する。タカ派は、毅然とした態度で「何かあれば動く」と明確に示すことで抑止できると考える。ハト派は、強気に出れば相手を刺激し喧嘩になりやすいので、穏便にして揉め事を避けることが抑止になると考える。サッチャーは明らかにタカ派で、それで紛争を収めた実績がある。
ただ、それだけなら憧れの話にすぎない。中田はそう述べたうえで、高市氏の著書を取り上げる。政治家は首相を目指す時期に重要な著書を出すもので、田中角栄の『日本列島改造論』もそうだったという。高市氏は総裁選に出るタイミングの2024年に『日本を守る 強く豊かに』を出版した。中田によれば、この本では、安全保障に曖昧さは危険だという趣旨が繰り返し述べられている。つまり高市氏は、曖昧戦略は日本にとってメリットがなく、明言したほうがよいと考えている。
同じ本には「台湾を第二の香港にしてはならない」とも書かれている。中田の説明では、香港は戦後長くイギリス領として扱われ、返還後は自治を持っていた。しかし中国の法律や選挙制度のもとに組み込まれていき、デモや対立を経て中国の支配下に置かれた。「第二の香港」とは、かつて中国の支配下になかった地域がそうなってしまうことを指す。高市氏は台湾がそうなってはならないと明言しているわけだ。
政治家を見る三つの軸
日本と関係のない台湾がなぜ高市氏にとってそれほど大事なのか。この疑問に答えるため、中田は政治家を分類する三つの軸を示す。「タカ派かハト派か」「ネオコンか孤立主義か」「保守かリベラルか」である。
保守とリベラルは価値観の軸で、選択的夫婦別姓への賛否や皇室のあり方、LGBTQの権利などがテーマになる。タカ派とハト派は、中田のたとえでは「なめんじゃねえぞ」と言って舐められない人と、舐められてもいいから穏便に行こうという人の違いである。上司にはっきり物を言う『半沢直樹』の「倍返し」はタカ派、「まあまあ」と調整するのがハト派だという。
ネオコン(ネオコンサバティブ、アメリカの新保守主義)は、他国との関係に積極的に関わる立場である。中東やアジアの紛争に介入し、「世界の警察」と呼ばれ、同盟を重視したかつてのアメリカのイメージに近い。中田はこれを「お節介派」と呼ぶ。孤立主義は「俺は俺、人は人」で、クラスで誰かが喧嘩していても関わらない態度だ。
中田によれば、高市氏はタカ派で、ネオコンで、保守である。今回の問題に保守の軸はあまり関係がない。重要なのは、タカ派とネオコンの度合いがほかのどの政治家よりも濃いことだという。「台湾を第二の香港にしてはならない」は台湾問題に関わろうとするネオコン的な姿勢であり、「安全保障に曖昧さは危険」は明言を重んじるタカ派的な姿勢である。どちらも2024年の著書にすでに書かれていた。
中田は、この信念と50年の曖昧戦略は真逆だと言う。安倍氏や小泉氏のように比較的タカ派、比較的ネオコンとされる政治家でさえ、中台問題には踏み込まなかった。そこはある種の聖域であり、絶対的なレッドラインだった。高市氏はそれを明言した。だから大きな出来事なのであり、高市氏がこのスタンスを簡単には変えないだろうことも分かる、と中田は述べる。
台湾史①──国共内戦から「一つの中国」へ
なぜ中台問題はこれほどセンシティブなのか。中田は戦前から歴史をたどる。1927年ごろから中国では国民党と共産党が争う国共内戦が続いていた。日本と戦う間は一時的に共闘したが、戦後になると中国本土の覇権をめぐって再び内戦になった。国民党のトップは蒋介石、共産党のトップは毛沢東である。
勝ったのは毛沢東の共産党だった。敗れた蒋介石は支持者や財産を持って台湾に逃れ、中華民国を引き継ぐ独立国だと主張した。共産党は中華人民共和国を建て、台湾は敗れてなお逃げている国民党の軍事独裁政権であり、内乱つまり内政問題で、二国間の問題ではないと位置づけた。中田によれば、1949年のこの分裂が出発点である。
重要なのは、当初国連にいたのも、日本やアメリカが支持していたのも台湾だった点だと中田は言う。国連ができたときの中国のトップは中華民国の蒋介石であり、戦後の内戦で入れ替わったからだ。その後20数年、世界と日本は中国の扱いに迷った。
転機はアメリカの決断である。人口2000万人ほどの台湾に対し、中国は10億人を超え、経済規模の違いは無視できなかった。さらに冷戦で米ソが対立するなか、アメリカは「敵の敵は味方」と考え、ソ連と中国の共産主義のやり方の違いに目をつけた。中国と手を組むことでソ連を追い詰めようとしたのである。これがニクソンショック(外交面)で、中田は1971年の出来事として語る。驚いた日本も足並みをそろえ、翌年の日中共同声明に至った。中田は、台湾を国連から外して中国を認めたのはアメリカの意図であり、それ以来、日本だけでなくアメリカを含む世界中がこの問題に気を遣い、曖昧戦略をとってきたと説明する。
台湾史②──1996年の民主選挙と「デービッドソンの窓」
中田は次の大きな分岐点として1996年を挙げる。台湾で、総統を民衆の選挙で選ぶ制度が始まった年である。それまで台湾は内戦から逃れてできた経緯から1980年代まで戒厳令を敷き、国民党の軍事政権が続いていた。戦後の雰囲気が薄れるなかで、台湾も民主化に向かったのだという。
中国はこれを強く嫌い、ミサイルを発射して威圧した。中田はその理由をこう説明する。中国の立場では、台湾は反乱を起こした国民党が騒いでいる地域である。しかしそこで民主的な選挙によってトップが選ばれれば、軍事政権が無理に治める地域ではなく、住民が自らリーダーを選ぶ地域に変わる。国家としての雰囲気が強まり、「国内問題」という建前を言いにくくなる。
このときアメリカは台湾周辺の海域に空母を出して中国を牽制した。中田によれば、1990年代の中国はまだアメリカに対抗する力がなく、これを国家的屈辱として忘れてはならないと位置づけた。そして、台湾問題にアメリカにすら口を出させないため、軍事力を増強してきたという。2010年代にはスマートフォンやIT革命の波に乗ってアリババ、バイドゥ、テンセント、ファーウェイ、シャオミなどが成長し、中国のGDPは日本を抜いて世界2位になった。
そして2021年、インド太平洋地域を管轄するアメリカ海軍のデービッドソン司令官が、2027年までに中国は台湾を攻め落とす力を持ちうるとの見通しを示した。これは「デービッドソンの窓」と呼ばれている。中田は、その根拠として人民解放軍の軍事力と技術の急成長を挙げる。アメリカにとって遠方での戦いは大きな負担で、ベトナム戦争でも苦戦した。隣同士の中台の戦いに介入するには中国の何倍もの労力がかかる。2021年の時点ですでに危うく、2027年には介入が無理になる可能性が高いという予測だった。
2027年という年は、習近平国家主席が人民解放軍の建軍100年を節目として世界一流の軍隊にすると掲げている年だと中田は説明する。その節目までの政権のレガシーとして悲願の台湾統一を狙っているのではないか、そしてそれを実現しうるスピードで成長している、というのがこの予測の中身だという。高市氏が2024年の著書で「台湾を第二の香港にしてはならない」と書いたのは、2027年までに中国が本気で台湾に侵攻する可能性が高いと見ているからだろう、と中田は推測する。
中田はこの歴史を、戦前からの国共対立、ニクソンショックと日中共同声明による台湾と中国の地位の逆転、民主化によるこじれ、アメリカの介入による中国の屈辱、2010年代の躍進とアメリカ側の警告、と整理する。こうして数十年こじれ続けた末の2025年に、首相が公式の場で中台問題を存立危機事態の具体例として言及してしまった。だから中国は烈火のごとく怒っている。最悪の場合、日中が武力を伴う争いに至る可能性もゼロではないため、国民は注視しなければならない、と中田は述べる。
高市氏の現在の立場と、習近平・トランプ電話会談
中田によれば、撤回を求められた高市氏は、自分の発言は従来の政府方針に沿っていると説明している。存立危機事態の一般論を述べただけで、存立危機事態にあたるかは個別の状況に応じて政府が総合的に判断する、特定のケースを想定しているわけではない、という立場である。中田は、これは実質的に曖昧戦略への回帰だと見る。一方で、岡田氏がバシー海峡や中台の具体的な状況を挙げたうえでの答弁だったので、一般論だったという説明はかなり苦しいとも指摘する。中国もそうは受け取っていない。
中国の動きは早かった。11月24日には習近平国家主席とトランプ大統領の電話会談が行われた。中田は、中国の狙いを、アメリカが高市発言を支持すれば大変なことになるのでアメリカの真意を確かめ、圧力をかけることだったと説明する。トランプ大統領は、中国にとって台湾問題が重要であることを理解している、という趣旨を述べたという。中田は、これは完全な曖昧戦略で、田中角栄の「理解し尊重する」と同じ態度だと評する。この会談によって、曖昧ラインを越えたのはアメリカと一緒にではなく日本の首相だけだったことが浮き彫りになった、と中田は見る。
未来予測①──撤回しない高市氏と、収まらない中国
中田は、今後の最大のポイントは高市氏が発言を撤回するかどうかだとする。現状は「撤回はせず、曖昧に戻す」というやり方である。撤回すれば、2024年の著書で示した政治家としての信念を曲げることになるので、簡単には撤回しないだろう、と中田は予測する。
撤回はしないが従来の方針どおりなので安心してほしい。これで中国の怒りが収まれば、高市氏にとっても日本にとってもベストのシナリオである。しかし中田によれば、11月23日に王毅外相が、日本はレッドラインを越えており中国は断固として反撃する、という趣旨を述べた。中田はこれを、曖昧に戻しても撤回しない限り攻撃の手は緩めないという意味だと解釈する。ここでいう攻撃とは制裁のことであり、すでに約1.8兆円規模とされる打撃に加えてさらに強めるという意思表示だという。
そこで中田は、高市氏が撤回しないことを応援するのか、撤回することを応援するのかが国民に問われていると述べる。考える材料として、サッチャーの事例をもう一度検討する。フォークランド紛争のとき、イギリスはアルゼンチンに対して圧倒的に強く、アメリカもイギリスを支持していた。だからこそ毅然とした態度と即座の派遣が正解となり、美談として語られている可能性が高い。日中関係がイギリスとアルゼンチンの関係と同じなら、高市氏のやり方は「令和のサッチャー」として抑止力になるかもしれない。しかし現在の中国と日本の国力、軍事力、経済力がそれに近いと言えるかどうかは、かなり厳しい目で見る必要がある、と中田は言う。
中田は、強気を続けた場合に予想されるのは制裁の過激化だとし、中国の制裁にはパターンがあると説明する。輸入を止めるだけでなく、レアアースの輸出を止めて日本の産業に打撃を与える。中国に進出している日本企業に圧力をかけ、商売をしにくくする。さらにアニメや音楽、イベントなど日本の文化コンテンツの消費や参加、輸入を制限する可能性もある。発言が撤回されるまで日本経済に打撃を与え続ける。これが中田の予測である。
未来予測②──積極財政・円安・物価高との矛盾
中田は、高市氏が撤回せずに曖昧戦略へ戻り、中国が撤回しない限り制裁を強めるなら、国民の生活は厳しくなると予測する。理由は日本経済の現状にある。
国民はすでにインフレと物価高に苦しんでいる。高市氏は積極財政の立場で、国債を発行して補助金や戦略的投資にお金を使うと述べている。中田は、これは日本企業を元気にする可能性のある攻めのやり方だと認めつつ、アベノミクスの時代との違いを指摘する。安倍政権のときはデフレだったが、今はコストプッシュ型のインフレで物価が上がっている。この状況で積極財政を進めれば円安とインフレがさらに進む、と中田は説明する。
円安と株高は、輸出する大企業にとっては良いことで、企業目線では「高市トレード」と歓迎される。しかし補助金をいくら出しても、円安が止まらない限り物価高は止まらない。中田によれば、高市氏の就任以降、円相場は1ドル150円台の上の方へ進み、いずれ160円台、165円を突破する可能性もあると言われている。ガソリン減税や給付金があっても国民が望むのは物価高の根本的な解決だが、円安と物価高は止まらないという予測が大勢だ、と中田は述べる。高市氏の路線がそうだからだという。そこに中国の制裁強化が重なったらどうなるのか、と中田は問いかける。
高い支持率と厳しい経済のミスマッチ
中田は、この矛盾に気づいている日本人がどれだけいるかと問う。高市氏の支持率は非常に高く、中国への強気の発言を否定的に見る国民はむしろ少ない。中田はその理由を、中国からの観光客が増えたことによるオーバーツーリズムや、マナーを守らない外国人、奈良の鹿が蹴られているかもしれないといった恐怖感やフラストレーションに求める。そうした人々には、高市氏の発言が「ようやく言ってくれた」と、日本の復活を感じさせる鼓舞に見えるのだろうという。
それでも中田は、本当の国益は何かを考えると天秤にかけられていると述べる。日本人のプライドが満たされる一方で、中国との関係が急速に悪化し、ただでさえ揺らいでいる日本経済のなかで国民の生活はさらに苦しくなる。抑止のために明言する、台湾は日本にとって大事だから存立危機事態と認定して動くと示す、サッチャーのように毅然とした日本でありたい。中田は高市氏のこうした考え方は「すごく分かる」としたうえで、それが今の状況に合っているかが問題だと言う。
さらに中田は、多くの日本人が物価高の根本原因を理解していないと指摘する。ガソリン高をまだロシアとウクライナのせいだと思っている人が多い。しかし中田によれば、価格は一時的に上がった後に国際的には落ち着いており、原油の高さに苦しんでいるのは日本だという。海外からの観光客が多いのも、円が安く日本の物価だけが安いからだ。日本人自身がそれを買えないのは、実質賃金が上がっていないからである。そのなかで本当に必要なのは給付金なのか、と中田は問う。中国人観光客が来なくても日本はやっていける、言ってもらえてスカッとする、という気持ちも分かると認めつつ、数字で見た日本経済は非常に厳しい。中田は、高い支持率と厳しい経済状況のミスマッチこそ、高市政権の最も悩ましい点だと述べる。
ニュースを見るための三つの指標
最後に中田は、今後のニュースを追うための指標を三つ示す。一つ目は、高市氏が発言を撤回するかどうか。二つ目は、中国が制裁を強めるか緩めるか。三つ目は円安で、円安が加速すれば輸入コストが跳ね上がって価格に転嫁され、物価高は止まらない。中田によれば、この三点で見ると、今回のニュースは去年や今年だけの話ではなく、戦後から続く中国、台湾、日本、アメリカの関係を総括するような出来事だと分かる。
中田は、自分は特定の国や政治家を応援したいわけでも、何かを否定したいわけでもないと強調する。中国や共産党の考え方も、台湾の考え方も、高市氏の考え方も分かる。大事なのは国民が理解したうえで選択することであり、何も分からないまま印象で語れば争いが無駄に過熱するだけだという。国民が理解して選んだ未来であれば、日本はきっと正しい方向に向かうと思っている、と述べて中田は話を締めくくった。
どうも中田敦彦です。さあ、今日も早速参りましょう。エクストリーム現代社会、高市首相と中国・台湾編。大揉め。さあ、やってまいりました。大揉めに揉めております。これ本当に大変なことになってますよ。
なんとなく皆さんもニュースで、高市首相の発言によって中国と結構関係性が急速に悪化しているという話は、耳に入ってると思うんですけども、それが一体どういうことなのかよく分かっていないと。「そんなに高市さんってまずいこと言ったんですか?」「間違ってないんじゃないですか?」っていう意見もあれば、「中国なんでそんな怒ってんの?」とか、「分かんないよ」っていう方のために、今日はものすごく分かりやすく授業していきたいと思います。
高市さんがなんでそういう発言をしたのかっていうのと、中国がどうして怒ってるのかっていうのを、過去の歴史から振り返って、フラットな目線でどちらに肩入れすることもなく、皆さんがただニュースをしっかりと分かって、これからに備えれる授業、こういうものをしていきたいと思いますので、ぜひ最後までお聞きいただければと思います。
まず、このニュース、11月7日にその事件が起こったんですね。そこから始めさせてください。存立危機事態という言葉に関して、立憲民主党の岡田克也さんがグイグイと質問していくっていうところから始まるんですね。この動画、YouTubeなんかにもそのやり取りの全編が残ってたりしますので、興味ある方、生で見ていただきたいんですけども。
この岡田克也さんがなぜその質問をしたのかっていうことなんですけど、まず皆さん気になるのが、「予算委員会で予算以外の質問していいんですか?」って、ここですよね。この予算委員会っていうのは、基本的に野党が首相に対してどんな質問してもいいということになっておりますので、これ普通のことなんですね。
その中でしっかりと首相に対して、野党がいろんな質問していけるぞという、一個チャンスですよね。野党からすると、聞きたいことしっかり首相に聞けるチャンスなかなかないからな、予算委員会でこれを考えようっていうことで、岡田さんがぶつけた質問っていうのが、この存立危機事態に対する質問だったわけですよ。
この存立危機事態っていうのは、まず言葉が嫌ですよね。存立危機事態、6文字熟語やめてねって話になるわけなんですよね。これまず定義で言いますと、存立っていうのは存在ですよね。それ何の?って、国家の存在の危機。危ないよ。事態、シチュエーションですよね。国家の存在が危ぶまれるシチュエーションだよっていう言葉なんですよ。
これどういうときにできた言葉かと言いますと、実は歴史はそこまで深くなくて、最近なんですね。2015年に安保関連法案、これが通ったときに出てきた概念なんですね。それまでの日本っていうのは、古くからいうと専守防衛。元々戦後、軍隊は持ちませんっていうところが始まって、アメリカの要請とかいろいろ受けて、自衛隊っていうものができるんですけども、実際は日本はこの軍隊のようでありながら、軍隊とは憲法上明記しないっていう、このグレーなものなわけですよね。
そんな中で専守防衛っていうのは、守りに徹する。自分からどこかを、自分の意思でどこかの国を攻撃することはないよっていう中で、だんだんと事態が変わってきて、自衛隊がアメリカの協力のために派遣されるとか、いろんな事態がありましたよね。あれを受けて、自分たちの仲間とか他国が攻撃を受けたときに、個別自衛権ではなくて集団的自衛権って言って、「仲間がやられてるんだったら俺も行っていいかな」っていう、そういう議論がだんだんと現代において増えてったわけですよね。
そんな中で、この集団的自衛権の延長線上の考え方で、存立危機事態というのは、他の国が攻撃を受けていますよという中で、自分たちの国も危ないよとなれば、自衛隊を動かしていいですよっていうルールに2015年、変えてるわけです。この大きな変更ですよね。他国が攻撃されるんですよ。自分たちが攻撃されてるわけじゃないってことです。自分たちが攻撃されてるわけじゃなくても、他の国が攻撃されてる状況の中で、うちもやばいかもとなったら自衛隊動かせる。これって結構グレーなのが、「専守防衛じゃないの?」っていうラインをよりグレーにする進み方ですよね。
なので、戦争を始めるのは嫌だ、おいそれと戦争を始めたくない、そういった考えあるわけじゃないですか、国民には。だから国家権力が国民の命を軍として送るんだ、自衛隊として派遣するんだっていうのは、かなり重い決断なので、ここがグレーなのはちょっといかがなものかということで、岡田さんが「その存立危機事態ってグレーじゃないですか? はっきり言ってくれませんか? どういうときに自衛隊動かせるんですか?」。こういう質問だったわけですよ、流れ的には。
この自衛隊を動かせるよという条件が存立危機事態と覚えてください。だから重要ですよね。存立危機事態って政府が認めたら自衛隊を動かせるんです。だからすごい重要なんです。この存立危機事態と政府が認めるかどうかっていうのは、つまり自衛隊を動かすかどうかということなんで、これ自衛隊動かしスイッチなわけですよね。だからそのスイッチを押していいタイミングがあやふやだと分からないから、「ちょっと具体的に教えてください、総理」という質問なわけですよ。
それに対して高市さんは最初は、「今までの政府の考えと一緒です。それは総合的に判断します」ということ。曖昧に逃げてたんですが、岡田さんが「にしてはですよね、安倍さんとか麻生さんとかが台湾に関して、台湾を中国が攻めるようなことがあれば、それは存立危機事態になる可能性が高いって、麻生さんがおっしゃってたり」。これ総理の立場としてはないですけど、麻生さんって非常に重要な政治家さんですよね。そういう政治家さんが、そういう個別にそういう発言をしてたり。
安倍さんも存命のときに、総理のときではないけれども、「台湾有事は日本有事であります」。つまり台湾が攻められたら、日本が攻められたってのと一緒だよ。つまりそれは存立危機事態だよね、自衛隊動かしていいよねって言ってるような風に聞こえるよということで、麻生さんや安倍さんのそういった発言というのは、軽々しく論じていいものではないですよねと。
存立危機事態というのがどういうものかを個別に判断すると言いながら、一方、裏で台湾攻められたら自衛隊動かしていいよね、なんていうことを思わせるような発言を麻生さんや安倍さんが軽々しくしてるように思えますよと。これはどういう風なお考えですかと、高市さんのお考え方を聞きたい。そういう質問だったわけですよ。
岡田さんの問題意識分かりますね。国民が、自衛隊として所属してる人が、しっかりと派遣されるとなったら、これ命を動かす権力なわけですから、重要にその運用は見ていかなきゃいけないよねと。そんな中でグレーになっているものなはずなのに、麻生さんや安倍さんは裏で「こういうときになったら存立危機事態だよね、台湾有事は日本有事だよね」って言ってるじゃないですか。「それって政府公式見解ですか? この場で聞かせてください」。そういうことなんですよ。
それに対して最初はグレーで答えてたんですけれども、例えばということで岡田さんが、「台湾とフィリピンの間のバシー海峡が中国によって封鎖される、そんなことがあった場合はどうですか?」。かなり具体的に聞きました。
そのバシー海峡って何ですか?ってことなんですけど、台湾っていう島が中国の南にあるっていうの、なんとなくイメージあると思うんですけども、その台湾と中国の間の海峡のこと、これ台湾海峡なわけですよ。その台湾とその南のフィリピンとの間の海峡っていうのは、これバシー海峡って言われるんですね。なので、この台湾は台湾海峡とバシー海峡の間にあります。
そのバシー海峡を名指しで岡田さんが言ったのは、非常に意味があるんですよ。なんでだと思います? 台湾海峡を中国が封鎖するっていう話でいいんじゃないのって思いますよね。ですが、ここが重要なのは、バシー海峡は日本にとって非常に重要なんですよ。それはシーレーンっていう言葉があるんですけど、海の、要するに流通経路なんです。
石油であるとか天然ガスであるとか、そういった重要資源が中東とかから船で運ばれてくるんですね。飛行機でいいんじゃない? いや、飛行機よりも船の大型タンカーとかのほうが運べる量が違うので、ちょっと時間がかかっても船で輸送してるものっていっぱいあるんですよ。その船の輸送の中で、このバシー海峡を主に通ってるんです。理由はいろいろあります。台湾海峡のほうが狭いとか、バシー海峡のほうが深いので、すごく大型タンカー通しやすいってのがあるんですね。その中でここ通るとなります。
なので、「ここを封鎖されたらどうするんですか?」。ここで岡田さん、一個釘を刺してるのが、「でもね、高市さん、あなたこれシーレーンが封鎖されるから日本の存立危機って言うかもしれないけど、これ過去で言うかもしれないけど、迂回すればいいじゃん。要するに経済的打撃はあるよ。でも実際に自衛隊を動かすよりは、迂回させて行ったほうがいいでしょう」。岡田さんは極力日本が武力行使をするっていうことは、ないほうがいいって主張してるんですよ。
っていうのは、例えば台湾と中国で戦争になったとしてもですよ、まず優先すべきは台湾にいる日本人が国外に、つまり日本に帰国するっていうことを手助けする。これが最優先であって、武力行使を日本が決断したら、戻れるものが戻れなくなっちゃうでしょう。だから武力行使と軽々に言うべきではなくて、こういう事態が起こっても、なるべく武力を行使せずに、なるべく自衛隊を動かさずに、最大限人命をということがまず念頭にあるべきじゃないですか。
だからバシー海峡といえど、シーレーンといえどですよ、迂回というやり方もあるし、人命優先もあるよねと。そんな中で、その状況で存立危機事態なんですかって聞いたんです。そしたら、「いろんな状況があるけれども、例えば中国が戦艦を用いて、武力行使を伴いながら封鎖をした場合は、どう考えても存立危機事態でしょう」。こう言ったわけですよ。これでもう大騒ぎになったんですね。
どういうことだと。これが大騒ぎになる理由、皆さん分かんないと思うんですけど、これは実は歴史上初めてここまで踏み込んで発言をしたからなんです。どういうこと? 実は日本っていうのは、台湾と中国の関係に関しては、あえて非常に曖昧に発言をとどめるっていう戦略を50年とってきたんですよ。
これは1972年、田中角栄さんのときに日中共同声明って言って、今の中国との国交を取り戻したわけなんですけども。そのときに中国は、「台湾は自分たちの国です。中国と台湾は2つの国ではなくて、1つの中国。台湾は国内問題として、これから台湾と認めずに、中国としてちゃんと治めますよ」と。そういう主張をしてることに対して、田中角栄さんがそのとき言ったのが、「そういった考え方を理解して尊重する」って言ったんですよ。
これ非常に重要な言い方で、その考え方を支持するとか賛成するって言っちゃうと、台湾としては、「中国と日本、そっちつくんだ。台湾の敵なんだ」ってなっちゃいますよね。だけど理解して尊重するって言い方は、「あなたの言ってることは分かりましたと、アンダスタンドしましたと。その上でそういう考えを持っている中国を否定はしないです。尊重します」。ただ、賛成か、イエスかノーかは言ってないんですよ、これ。
その上で中国とも国交を開きながらですよ、台湾とも経済的に密接に交流してきたのが日本なんです。つまり中国派、台湾派っていうことを明示せずに、中国ともやり取りする、台湾ともやり取りするっていうやり方をしてきました。その上で日本っていうのは、非常にアメリカと近いわけですよね。
そんな中、歴代の総理もこういう質問を受けてきたんですよ。中国と台湾っていうのは、中国が台湾をいつかは自国の領土としてきっちり治めたいですって言ってる以上、いつ中国と台湾の間で戦争になるか分からないぞというのは、外交上、地政学上、みんな分かってるわけですから。「もしここが揉めたらどうするんですか?」って質問は歴代受けてきてるんです。
そんな中で例えばですけども、2005年の小泉純一郎さんはどう答えたか。こう答えたんですね。「台湾と中国で戦争になったらどうするんですか? 自衛隊動かすんですか?」という、そういう質問に対して、「仮定の質問には答えられません」。ピシャッと、その質問答えませんって言ってるんですよ。グレー戦略ですよね。
そして高市さんと非常に思考が似てると言われてる安倍晋三さん。2016年、そういう質問されてどう答えたか。これ気になりますよね。この安倍晋三さんは、「台湾海峡の平和と安定が重要と考えています」。つまり平和でいってほしいですねって。つまりもう何も答えてないんです。
つまりこれは1972年の「理解し尊重する」のところから、「仮定の質問は答えない」「台湾海峡の平和と安定が重要」。要するにゼロ回答で来たんですよ。グレー回答で来たんです。にもかかわらず、「どう考えても存立危機事態だと思う」という風に言ったわけなんです。
ちょっと待って、それあっちゃん、そんなに大変なの? だって麻生さんとか安倍さんが軽々しくそういうこと言ってたんでしょう? これさっき言いましたよ、私ね。総理在任中じゃないときにって言ってましたよね。そうなんですよ。安倍さんや麻生さんは非公式の場で、そういうことを総理在任じゃないときに言ってるんです。
靖国参拝とかも度々問題になるんですけども、それは総理在任中と在任中じゃないときでは、全く意味が異なるわけですよ。総理ってのは国のトップ。それが公式的にその行動とか発言をするとなると、国の意思として対外的に表明するってことになります。でもそうじゃないときは、一政治家としての個人のスタンスなので、「そういう政治家さんもいるか。でも日本はいろんな政治家さんいるもんね」というところで収まるんですよ。
ですが、しっかりと選挙によって選ばれて、間接選挙ですけれども、自民党の中で総裁選を経て、さらに首相指名選挙を経た上で首相になってる、しっかりとした公式のトップである高市さんが、予算委員会という公式の場でこれを発言したというのは、50年曖昧戦略を取ってきた大転換だと捉えられてもおかしくないわけなんですよ。
言った。だからこれ聞いた岡田さんも、そんなにはっきり言うと思ってないわけですから、焦りを隠せないリアクションだったわけです。まずいと岡田さんも思うわけですよね。要するに「総理、どう考えてるんですか?」って楔を打つことによって、いやいやっていう曖昧戦略をしっかりと継承させることによって、その中国・台湾の問題が起きても、おいそれと自衛隊を動かすっていうことはないですよねっていう言質を取ろうとしたわけですよ。
それは小泉さんのときは成功したわけです。実はこれ岡田さん、小泉さんのときもこれ同じ質問してるんです。だからそのときと同じですよね。小泉さんのときも、自衛隊を海外に派遣するかしないかっていうことが問題になってたんです。だからこそ中国・台湾のときも、そういう風な拡大で派遣するんじゃないですか?っていうことに楔を打って、「いや、仮定の質問には答えない」っていうことで、曖昧戦略で行くんだなっていうことを世間に見せたわけです。
それを高市さんのときでもやろうとした可能性が非常に高いと言われてるんですよね。「高市さん、あなたはすごくタカ派である」と。タカ派っていうのは、はっきりと外交に対して言う。ハト対タカで言うと、タカ派だって言われてるわけですよ。はっきりと言うタイプですね。「でもここでは首相ですし、公式の場だし、グレーな戦略を踏襲するでしょう? 今までは一政治家としてはっきり言ってたかもしれないけど、首相としてはグレーな戦略で行くっていうことは皆さんに見せてくださいね」ってことをやろうとした。ところがグレーな戦略を逸脱したという風に世間は捉えたわけです。
ここで皆さん気になるのが、「それってでも用意されてた想定問答なの? アドリブなの? どっちなの?」。これがこのポイントなんですよ。もちろん予算委員会で何でも聞いていいよっていう場なので、もうとんでもない質問来たらどうしようってことがあるんで、めちゃめちゃ準備します。ただそれは想定問答の範囲内で、野党が聞いてくる質問の中で、こういうの聞いてくるだろうなっていうのを官僚さんたちと事前に作り上げるってことは、もちろんするらしいんですね。
質問を取る、問取りとか、いろんな用語があるらしいんですけど、官僚さんたち、いっぱい作るんだということをやるらしいんです。ところが全部をカバーできるわけではなくて、なんとなくの実感で言うと、7割が想定問答、3割はアドリブなんて言われてるデータもあるらしいんですね。そんな中で今回は、その3割のアドリブだった可能性が非常に高いと言われてるんです。
なんでか。これ2つのキーワードが出てくるんですね。1つは「戦艦を用いて武力行使を中国がした場合」っていう話を高市さんが言うんですけど、この戦艦っていう言葉は、軍事用語の専門的な言葉としてはもう古くて使われてないらしいんですよ。宇宙戦艦ヤマトとかっていう言葉がありますから、戦艦って普通に用語として今もあるんじゃないのって思うかもしれないんですけども、そうじゃないらしいんですね。
今はなんとか艦とか専門的な言葉があって、戦艦っていう言葉自体はプロは使わないらしいんです。つまりこれ官僚さんたちとしっかり想定問答として作ってるんだったら、プロの官僚が戦艦って言葉を使わせないわけですよ。ですが戦艦っていう言葉を高市さんはお使いになってるというところが、1個アドリブじゃないかと思われる要素。
そしてもう1個は、「どう考えても」っていう言葉なんですね。「どう考えても存立危機事態だろう」。この「どう考えても」っていう強調する言葉、これって非常にアグレッシブに政治演説をするんだったらいいんですよ。ですがこれ予算委員会って、非常に言質取られて、あんなこと言ってたなって責められるとまずいわけですから、防御的な答弁になることが多いんです。
そして官僚さんと作るときには、非常に、言ったら我々国民からすると、まどろっこしい言い方だなっていうぐらい守りの言葉選びをするらしいんですね。だから「どう考えてもこうだ」とか「間違いなくこうだ」とか「絶対にこうだ」っていう言い方は、官僚的文章ではありえないらしいんですよ。ですから専門家が見ると、戦艦っていう言葉と、どう考えてもっていう言葉は、非常に高市さんのアドリブである可能性が高いよって話なんです。
だからこれどういうことかと言うと、自民党内でもこれはびっくりだってことなんですよ。要するに自民党内で、「よし、高市さん、それで行こうね」って言ってるわけではなくて、岡田さんとのやり取りの中でガッと自分が今まで考えてきたことが出たっていうのが、みんなの受け止め方なんです。そしてそれは50年来、国のトップが守ってきたラインをついに飛び越えたという風に受け止められても仕方がないぐらいの強烈なインパクトがあったってことなんですよね。
じゃあこれに対して、当の言われたであろう中国、これですよね。どう反応したか。これが目下ニュースになってますよね。11月8日、その次の日ですよね。薛剣大阪総領事っていう中国の方ですよね。薛剣総領事が非常に激しい言葉で、もう罵るわけですね。
この言葉に関しては、文字で出すなり画像で出すなりもしておきますけども、私の口から再現するにはちょっと憚るぐらい、非常に激しい言葉です。要するに中国の政府の人間、中国側の国家の人間として、その言葉選びはどうなんだっていうぐらい責められたりもしておりますけども、ここから分かることっていうのは、尋常じゃないぐらい向こうもびっくりしたし、怒ってるってことなんですよ。
要するに、中国と台湾の問題は国内の問題だというのが中国側の主張なんですよ。それに関して日本がぐっと首を突っ込んできて、自衛隊を動かすぞって言ってきてる。「関係ないよね。なんで軍を動かすみたいなことまで言うの?」っていう怒りなわけですよ。それが11月8日。そしてそれは、要するに政治家とか官僚の個人的な怒りのレベルだけじゃないわけです。そのあと政府公式で動き出す。
その前に、薛剣さんのそのポストに関しては、すぐまずいなと思って削除はしてるんですよ。削除はしてるんですけども、一気に拡散してる。これまずい、ちょっと尋常じゃないぐらい反響があると。それがしっかりと措置として出てきたのが文化観光部。そこが日本への渡航を自粛しようっていう風に言い出すわけですよね。
要するに中国からものすごい今、日本に観光客の人たち来てますよね。それに対して「日本に今行くのは危ないよ。自粛したほうがいいよ」って言ったわけです。これは禁止じゃないから、自粛だからいいんじゃないかと思うかもしれませんけど、非常にこの中国政府ってのは強い権力を持ってるわけですよね。
その憲法に、中国共産党が指導する国だっていう風に書いてあるぐらい、一党独裁の国家ですから、ここに逆らうってことは非常に何があってもおかしくないという危機感を中国の方は思ってますので、日本でいう自粛とは全然違うんですよ。自粛っていうことは、ほぼ禁止なんです。なので大量の旅行キャンセル、飛行機のキャンセル相次いで、とんでもない、これは観光業で言うと日本の損害ですよね。来るはずだったお客さんが全然来なくなるわけです。そういった出来事はすでに起きてるわけですね。
その上で水産業、輸入、輸出。北海道のホタテを大量に中国が買ってたわけですけども、その輸入を禁止するじゃないんですよ。輸入をしないじゃないんですよ。輸入のそのホタテの検査のレベルを上げて、輸入するレベルに至ってないって言って、実質輸入を止めてるんですよ。グレーだけれども、自粛と検査レベルを上げることによって、これ何か、経済制裁です。
まさに経済的に日本にダメージを与えるということで、即座にもう1週間後ですよ。11月7日発表の11月14日には、渡航自粛からの輸入物に関しての、水産物に関しての検査レベルのアップ。これによってものすごい打撃。これもう計算されるところによると、マイナス1.8兆円ぐらいの損害という計算もあったりするんですよ。兆ですよ。一言で約1.8兆円レベルの損害が日本経済にもう出てるって話なんですよ。
この怒りがそれで収まるかと言うと、その措置を取ったあとも続いてるんです。17日には毛寧さんですね。毛寧さんという報道官の方が、「火遊びをするのはやめろ。日本は台湾と中国の関係で火遊びをするのはやめろ」と。「言った言葉を撤回しろ」。そうなんです。ここからは言ったことに怒ってるわけじゃなくて、撤回をしろっていう風に要求してるんですよ。あの発言を間違っていたと公式に発表しろって言ってるわけです。
そして傅聡さんっていう方が、「日本は中国の核心的利益に挑戦してる」。戦いを挑んでるじゃないか、喧嘩を売ってるじゃないかってことです。核心的利益ってのは、最も重要な大切にしている利益。そういうものに対して日本が喧嘩を売ってきてるぞ。もう止まらないわけですね。その傅聡さんは、中国の国連の中国大使ですね。
だから中国の大使とか総領事とか、報道官、外務省の報道官とか、もうあらゆるポストの人たちが激しく、日本の、高市さんのやり方、高市首相の発言に対して非難して、撤回を求めているということなんです。それがなんでかって言うと、50年日本のトップが守ってきたラインを超えたという風に、中国が判断したからなんですよ。
ここご理解いただけますか。「なんか怒ってるな、なんか言っちゃったらしい」じゃないんですよ。日本が徹底的に守ってきた、この中国と台湾の非常にナイーブな関係に関して、ついに踏み込んだ一言言った。それは自衛隊を動かすぞという言葉なんですよ。どう考えても存立危機事態というのは、どう考えても自衛隊を動かすよ、そういうお話です。それに対して、前言を撤回しなければ許さないぞと表明してるのが、中国のあらゆる政府高官であるという話ですね。
じゃあここからですよ、その背景。なんで高市さんそういうこと言ったの? なんかポロっと出ちゃったの?っていうことなんですけども、そうではないことを説明していきたいんですね。高市さんがどういう考え方を元に言ってきたかっていうのを紐解いて、このニュースをもうちょっと深く理解したいと思います。
高市さんは基本的には、尊敬してる政治家さんにサッチャーさんという方をよくあげてるんですよね。これイギリスの元首相なんですけども、女性首相ですよね。このサッチャーさんっていうのは、実際に紛争とか安全保障に対してこんな言葉を残してるんですね。それが「弱さやためらいは侵略を招きかねない」って、そういう言葉なんです。
どういうときに出たかっていうと、これはフォークランド紛争と言って、アルゼンチン沖にあるフォークランド諸島というイギリスの領土だった場所があるんですね。そこを、自分たちの元々は領土だと言って、アルゼンチンが電撃的に奪い返そうとして攻め入ったことがあるんですね。それに対して速やかに軍艦を派遣して、短期間でそれを奪還したあとに言った言葉なんです。
要するにアルゼンチンとの領土問題で、イギリス領にアルゼンチンが奪還を試みたけれども、そうじゃないだろうということで派遣して取り戻した。これの後に言った言葉が、「弱さやためらいは侵略を招きかねない」。つまり強気で行かなければ、アルゼンチンはもっと何してきたか分からないよ。速やかに派遣してよかったね。そういう発言なんですよ。
こういった安全保障に対して、先ほど言ったタカ派、ハト派っていう考え方がどういうことかというと、毅然とした対応を取り、明確に何かしたら動くぞっていうことで抑止できるっていう考え方がタカ派なんですよ。タカって強そうですね、鳥の中でもね。強気っていうことです。
ハト派っていうのは、強気でいたら喧嘩を売ってるとか捉えられたり、過度に相手を怯えさせたりして喧嘩になりやすいから、なるべく穏和にいようよっていうのがハト派です。つまりグレーな戦略を取ることによって、揉め事を起こさないようにしようよ。それが抑止になる。つまり戦争への抑止の考え方の方向性の違いなんですよ。
はっきり強気で言ったほうが舐められないから、向こうは攻めてこないぞっていう言い方と、いやいや、はっきり言っちゃうともう喧嘩になっちゃうから、なるべく穏便に行こうよ。その方が喧嘩にならないよ。これです。喧嘩をやめて戦争しない抑止の方向性として、タカ派かハト派で言うと、高市さんが支持している、尊敬しているサッチャーさんは間違いなくタカ派であり、それによって紛争を治めたという実績を持っているのがサッチャーさんです。
それを明確に支持しているだけでなく、それだったらあれですよね、憧れの話、仮定の話、想像の話じゃないですか? だと思いますので、これで著書を見てみようってことなんですね。政治家さんっていうのは、自分が総理大臣になるときとかっていうのに重要な著書を出します。例えば田中角栄さんの『日本列島改造論』っていうのも、自分が総理になったらこうやるよっていう本でした。
それをまさに高市さんは総裁選に出るようなタイミングで出してらっしゃる。それが2024年、去年の出版。『日本を守る 強く豊かに』っていう本があるんですね。この本の中にはっきりとそういったことが書いてある。それは安全保障に曖昧さは危険だと私は考えてる、という趣旨が繰り返し述べられてるんですね。
つまり高市さんは、そもそも曖昧戦略というものは日本にとってメリットはないと考えてるんです。はっきり言うほうがいい、明言するほうがいいって考えてるんです。その上で台湾に対してどう考えてるかもこの本に書いてあるんですね。それは「台湾を第二の香港にしてはならない」。これ明言してるんですよ。
第二の香港ってどういう意味かというと、香港っていうのは元々、戦後そのイギリス領として扱われた時間が長いんですけれども、返還して自治区だったわけなんですが、記憶にある方もいるかもしれませんが、それが中国の法律の中で、自治区ではなく治めていこうよという中で、香港との対立があったりデモがあったりという中で、香港が中国の法律、中国の選挙制度の中で行われるよとなっていったわけですよね。
つまり中国のものと正式になっていた。イギリスのものから返還されて、自治区から、自治領から中国のものになってったというように、中国の支配下に置かれてしまった、かつて中国の支配下じゃなかったエリアという意味です。なので台湾が第二の香港になってはいけないって言ってるんですよ。
ここでポイントなのが、でも台湾がそんなに高市さんって大事なんですかっていう考え方もありますよね。日本と関係ないじゃないですか。高市さん、すごい日本が大好きで愛国的だってイメージあると思うんですね。ここで非常に重要な分類をさせていただきたいと思います。高市さんが愛国的で伝統的だっていうイメージあると思うんですね。そういうときに保守かリベラルかって話があると思うんですよ。
保守派の人っていうのは、どちらかというと伝統的価値観を重んじてるよと。だから戸籍制度を変えないで、選択的夫婦別姓には反対だって言ってるのは保守派の人だったりとか、その皇室のあり方っていうのは今まで通りでいて、男系が女系がどうとか、そういう話を保守の人とか、そういうことを主眼のテーマにしてますね。
リベラルの人ってのは、比較的新しい今の時代の価値観に合わせようよっていうことで、LGBTQの権利を認めていこうとか、選択的夫婦別姓を進めようとか。そういう価値観の話が保守、リベラルって考え方なんですけども、政治家を分類して考えるときに、その視点だけではないっていうことが大事なんですよ。3つの視点があるんですね。それがタカ派かハト派か。もう1つがネオコンか孤立主義か。そして保守派かリベラルかってことなんですね。
もう言葉が出すぎててパニックですって、ご安心ください。皆さんもうすでにタカ派とハト派については一度説明受けてますよね。タカ派は強気、ハト派は柔らかい。分かりましたよね。要するに学校でもいますよね。「なめんじゃねえぞ」っていうことによって舐められてない人と、なめんじゃねえぞっていうことによって喧嘩に巻き込まれるのは嫌だから、「舐められてもいいからさ、穏便に行こうよ、みんな」って、いますよね。
職場でも上司にはっきり言っちゃう人いません? おいとか言って、「あんたのやり方間違ってる」。半沢直樹さんは、これもうハト派ではないです。タカ派ですね。「倍返しだ」とか言ってますからね。大和田常務に倍返しって言って、もうその大変なことです。これタカ派です。「まあまあいいじゃないか、まあまあいいじゃないか」って調整するのがハト派ですから。タカ派、ハト派、分かりましたね。
もう1個のネオコンと孤立主義、これが分かんないと。これネオコンってのはネオコンサバティブ、アメリカ新保守主義なんて言って、それも分かんないですよね。どういう意味かと言うと、他国との関係性に対して積極的に動こうっていう主義なんですよ。昔のアメリカってそういうイメージありません? 要するに中東の紛争にも介入していくし、アジアの紛争にも介入していく。
世界の警察だなんて言われて、同盟を大事にして、なんとか同盟、なんとか同盟、俺たちはなんとか同盟だね。そうやって他国との関わりを重要視する一方で、何か問題があれば介入していく。つまりお節介派ですね。それぞれいろんなこと。
孤立主義ってのは、その通りですよね。「俺は俺、人は人」っていうことですよね。つまりクラスで誰かが喧嘩してたときに、「ちょっとやめなよ」って言うか、「へえ」って言うかのどっちかです。誰かが喧嘩してても俺たち関係ないもんな。これが孤立主義です。誰かが喧嘩してたら止めようとか、誰かと誰かの仲を取り持とうとかいう風に、積極的に同盟関係を作ったり、積極的に喧嘩を止めに行ったりする。これをネオコンだと考えてください。
そうすると、この3つの属性で見た場合に、高市さんっていうのはタカ派であり、ネオコンであり、保守なんですよ。今回重要なのは、この保守っていう価値観は今回の問題に関してはあまり関係がないですね。これはタカ派でありネオコンであった、その度合いがどの政治家さんよりもかなり色濃いのが高市さんです。つまりはっきり言うっていう属性と、他国と積極的に関わり、介入するってことです。
この著書に両方出てましたね。つまり台湾を第二の香港にしてはならない。つまり中国と台湾の問題には介入していきたい。その上でそれをはっきり言ったほうがいい。曖昧さよりも安全保障には明言が必要だということを、元々2024年に著書に書いてるわけなんです。
この高市さんの強い考え方、信念、属性というものと、50年間、日本の首相が守っていたこの曖昧戦略ってのは真逆ですよね。日本は中国とも台湾とも経済的取引をする。その上で曖昧にしておくというやり方です。だから安倍さんとか小泉さんってタカ派なのかなって思いきや、そういった人でもマイルドにした問題だってことなんです。分かりますか?
これは他の政治家さんと比べて、比較的ネオコン派、比較的タカ派だっていう人たちが踏み込めなかった、ある意味サンクチュアリだったわけですよ。絶対レッドラインだったわけです。日本にとって最も近いその隣国、2つの国、中国と台湾の歴史的に最もセンシティブなところ。これに関してはいかなタカ派といえど、いかなネオコンといえど、安倍さんですらも何も言わなかったわけです。ところが高市さんが明言した。だからこれがものすごいことだってことなんです。
これは高市さんがポロっと間違った発言をしたわけではないということも、ご理解いただきましたね。つまり高市さんはずっと台湾に関しては思っていることがあり、安全保障に関して思っていることがあったわけです。それが岡田さんとの質疑の中で、ついに浮き彫りになったということなわけです。なので高市さんはこのスタンスを、おそらくおいそれとは変えないということが分かります。
このおいそれと変えない高市さんが扱っている台湾問題。先ほどから中国と台湾はセンシティブなんだ、ナイーブなんだ、難しいんだと私繰り返し言ってます。ですが、なんでだっけと思ってらっしゃいますよね。そこもう1回振り返ってほしいと思ってらっしゃいますんで、振り返りますとも。説明させてください。なぜ台湾と中国が大変なのか、センシティブなのか。
それは戦前の話から入るわけですね。1927年あたりから、国共内戦。国民党と共産党というのが国の中で、中国で争ってたわけです。2つの考え方がありました。それが第二次世界大戦のときに日本と戦う中で、その国民党と共産党が一時期共闘するってときもありましたけれども、その争いは戦後、まさに露呈するわけですね。共通の日本という敵がいたときは協力するわけですけども、その戦争が終わったら、やはり中国本土の覇権はどっちが握るんだということで内戦が起きたわけです。
国民党トップが蒋介石、共産党トップが毛沢東。両方とも政治の、歴史の授業で聞いたことあるっていう方が多いかもしれませんね。国民党の蒋介石と共産党の毛沢東、非常に有名ですよね。争ってどっちが勝ったかというと、この共産党の毛沢東が勝ったわけです。負けた国民党の蒋介石は、そういった支持者と財産と、それ全部を持って、台湾という島に逃げたわけです。
そして台湾は、自分たちも国なんだ、独立国だ、それまでの中華民国を引き継ぐ。そして残った、勝った毛沢東率いる共産党が、こっちが新しい国がね、それが中華人民共和国だ。そして負けたにもかかわらずまだ逃げている、そういった軍事独裁政権が国民党の、要するに内乱なんだということで、内政の問題です、二国間の問題じゃないですっていうところから始まってる。それが1949年なわけですよ。この国共内戦に決着がつき、共産党が勝ち、中国になったのと台湾になった、この2つに分かれたというところから始まります。
これ重要なのが、国連に最初いたのも、日本やアメリカが支持してたのも、最初は台湾だったってことなんですよ。なんでかと言うと、戦前はその国連ができたときのトップは中華民国の蒋介石だったんです。第二次世界大戦が終わった後に内戦で負けて入れ替わったんです。なのでその後、戦後20数年、世界と日本は中国をどう扱っていいか迷ったんですね。
ところがあるとき、アメリカが決断するわけですね。「よし、台湾じゃなく中国を認めよう。中国を国連に入れよう」。それはやっぱり規模の問題ですね。台湾は人口2000万人ぐらい、中国は10億人超えてるわけですから、経済規模が違うわけです。無視できないわけです、新しくそのリーダーになったこの共産党を。
そんな中でアメリカは、共産主義っていうものに対しては非常に厳しく当たってたわけですよね。ですが戦後、2トップになったのは米ソでしたよね。ソ連とアメリカの争い。ここで勝つためには、敵の敵は味方にしといたほうがいいんじゃないかということで、ソ連と中国っていうものも、やり方が共産主義の中でも少し違うなというところに目をつけて、中国と仲良くすることでソ連を徹底的に追い詰めようということで、電撃的に中国が、ニクソンショックと言われるやつですね。
ニクソンショックってのは2つの意味があって、通貨的なものと外交的なもの。外交的なもので言うと、ついにニクソンのときに中国と手を組んだ、認めたんだ、中華人民共和国をっていうことでショックだった。それが1971年です。日本もびっくりしたわけですね。アメリカ、中国認めるんだ。だったらということで揃えて、その翌年に田中角栄のときに日中共同声明となるわけなんですよ。なので戦後、台湾なの、中国なの、どっちなのってなりながら、国連に
いながらにして規模が小さい台湾を、その1970年代に国連から追い出して、中国をオッケーにした。これはもう要するに、アメリカの意図だったということなわけですよ。だから、その中国なの台湾なの問題に関しては、もう世界中が気を遣ってるわけです。日本だけじゃないんです、気を遣ってるのは。曖昧戦略を取ってるのは日本だけじゃありません。アメリカも台湾とも付き合うわけだけども、中国に関してはこうこうだよ、国連がどうだよ、そういうふうに方向転換しながらやってきたわけです。
そんな中でさらに大きな分岐点、それが1996年なんです。96年、何が起きたかというと、台湾の中でついに民主的な選挙によって台湾総統、つまりアメリカでいう大統領、日本でいう総理大臣を決めようっていうのが始まったんです。そこまではどうしてたの?ってことですよね。それまでは1980年代まで、なんと台湾っていうのは要するに戦争の中、内戦の中で逃げてできた国なんで、ずっと戒厳令、つまり非常事態を敷いてたんです。だから国民党が支持する軍事政権のトップがずっとやってたんです。
ですが、そろそろそういったムードがなくなってくるわけですね。1970年代になると、日本も高度成長なんかを迎えて、戦後のムードがなくなっていった時代です。その戦後の体制ってのがある程度できた中で、台湾も民主化しなきゃってなったわけですよ。そして初めての総統が民主的選挙によって選ばれたって話なんですけど、これを中国はものすごく嫌がって、実力行使でそれを止めようとすらして、ミサイルも発射したんです。
これ、意味分かりますか?なんで台湾が民主的な選挙でトップを選んだら中国が嫌がるのか、分かりますか?ここ、ポイントなんですよ。なんでか?中国はあくまでも反乱を起こした国民党が騒いでるっていう文脈なんです。ですが、そこのエリアで民主的選挙が行われてトップが選ばれたとなると、軍事政権が無理やり治めている地域ではなくて、その土地の人々が自主的にこのトップを選んでいるっていうエリアに様変わりするんですよ。そうすると、ものすごい国家としての雰囲気が出てくるでしょう。だから国内問題だっていう立て付けが非常に言いづらくなるわけです。
それを嫌がって中国が、その台湾の民主選挙のときにミサイルを放ったりして威圧をしようとしたわけなんです。ところがこのときに、アメリカが空母を出すんですね。海峡に空母を出すことによって中国を警戒、牽制するという動きに出ました。そのとき、96年、1990年代。今でこそ米中、覇権争いしてますけども、90年代の中国はまだまだ弱いです。なんせ2010年代とかに、スマートフォンとかIT革命とか、そういうことによって、アリババ、バイドゥ、テンセント、ファーウェイ、Xiaomi、そういった企業によって成功していって力を伸ばしていったのが2010年代のことですから、中国は90年代、まだまだアメリカに楯突く、そういうパワーないです。
それが非常に屈辱だったということで、国家的屈辱を受けた、忘れてはいけないという言葉をしっかり使って、そこから徹底的に中国・台湾問題に対してアメリカにすらも口を出させないために、軍事力を増強してきたっていうんですよ。そしてそれがまさに2010年代に、テクノロジーの躍進によって中国は一気にGDPを膨らましていきますよね。GDP世界2位から陥落、日本がして、2位に躍り出たのが中国でしたね。
そして2021年、もう10年代を超えて2021年、つい最近ですよね。2021年、デービッドソンというアメリカの海軍大将、しかもアジアを管轄するトップが、デービッドソンの予測っていうものを立てて、それがデービッドソンの窓と呼ばれる衝撃的な発表だったんです。それ何か?2027年に中国は台湾を攻め落とすだけの力を持ちうるっていう発表だったんです。衝撃的予測でした、それは。そんなことがあるのか?それ、理由がはっきりあるわけですね。それは明らかに人民解放軍、つまり中国の軍隊の軍事力、テクノロジー、パワーが急成長してる。この成長のスピード、そのまま行ったらまずい。
アメリカが?って思うかもしれません。でもアメリカって、遠方で戦うって大変なんですよ。アメリカ本土で戦うわけじゃないですからね。遠方まで派遣して戦う、これで苦戦を強いられたのがベトナム戦争ですよね。大変なわけです。遠方まで派遣して遠征するっていうのは、歴史上も本当に大変で、国力を疲弊させるわけです。中国、台湾というのは、これもう隣同士ですからね。での戦いにアメリカが介入するってのは、もう中国の何倍も労力かかるわけなので、2021年においても危ない。その上で2027年にはそれがもう無理になる可能性が高いというふうな予測が立った。
この2027って予測してるのは、まさにその習近平トップ、中国のトップが、この習近平さんが、この人民解放軍、建軍100年記念、2027にしっかりとピンを置いてランドマークにして、世界一流のっていうけど、言ってみりゃ世界一の軍隊にするんだって言ってるような、そういった説明をしている。このランドマークまでに、この習近平政権のレガシーとして偉業をなしたってさせるのは、まさに悲願であるところの台湾、これを統一するんだ、これを言ってるだろうと。そして、それが実現するだけの成長スピードをやっているぞっていうのがデービッドソンの窓なんです。
だからこそ2024年の著書の中で、高市さんは危機感を新たにしてるわけです。「台湾を第二の香港にしてはならない」というのは、高市さんはこの2027年までに中国が本気で台湾に侵攻する可能性が高いと捉えてる。そういうことを感じさせるわけですよね。そういった台湾の歴史がございます。
つまり、それは戦前からの国民党、共産党の争いに始まり、日中共同声明やニクソンショックによって台湾と中国の地位が逆転したことがあり、民主政治の始まりによって国家なのか内政問題なのかというのがさらにこじれ、そこにアメリカが介入したことで中国が屈辱を覚え、そして2027年、2010年の躍進を経て、もしかしたらまずいかもしれないということをアメリカのトップが予言しているという、この状況の中での今年2025年なわけでございます。分かりますか?これはもう1920年代ないし戦後の1940年代から、この数十年の時を経て、ずっと問題がこじれにこじれた中での今なんです。
それの中でずっと日本の首相が守ってきた、この突破してはならないラインを、1人の自分の信念を強く持っている政治家さんが公式の場で、ついに存立危機事態の具体例として台湾と中国の問題に言及してしまったっていう話なんですよ。それに対して中国がものすごく怒っている。烈火のごとく怒っている。これが一体どうなっていくの?これ、日本国民、注視していかなきゃいけないです。なんでか?もし、まかり間違って一番まずいシナリオになったら、中国の怒りが止まらずに、いよいよ中国と日本との間で本当に武力を伴う争いになる可能性だってなくはないわけですからね。そんなことになったら、もう我々はどうすればいいんですか?これ怖いですよね。未来予測していきましょう。ここがポイントなんです。
高市首相は、その中国激怒を受けて「前言を撤回しろ」「あの発言撤回しろ」と言われて、どういうふうな発言に今なってるかというと、「私の発言は従来の政府の方針に沿っている」っていうことを言ったんですよ。分かります?つまり、あの防衛ラインありましたよね。50年間、首相が発言のグレーゾーンとしての防衛ライン、あれを突破した、突破しただろってみんなが言ってる中で、「いや、私は防衛ライン通りだ」って言ってるんです。
そのロジックは何かというと、あくまでも存立危機事態の一般論を言っただけだって言ってるわけです。要するに、戦艦で武力行使をするようなことがあって、日本がまずいっていうことになったら、それは存立危機事態ですよね。一般論を言っただけですってことなんですよ。ただ、これは非常に厳しいロジックで、はっきりと岡田さんが「バシー海峡が封鎖された場合、中国と台湾がこうなった場合」って言った中で言っちゃってるので、一般論ですかということでいうと、非常に厳しいロジックではある。
その上で、存立危機事態に関しては、今言ったことが政府公式ではなく、個別の状況に応じて政府が総合的に判断しますという曖昧さ。そうなんです、これ、実は曖昧戦略に戻ってきてるんですよ、高市さん。はっきり言った上で、中国激怒と周りの反響を受けて、今、曖昧なラインに戻ってきたんです。だから高市さんは、特定ケースを想定してません、予断してませんってことを言ってるんです。つまり、中国・台湾のことを言ったわけじゃありませんっていうふうに強調してるんです。今まで通りのラインです、中国・台湾のことを言ってませんって言ってるんですけど、中国はそう捉えてない。
中国は早いですね。11月24日、アメリカのほうに手を回すわけですよ。それが習近平・トランプ電話会談です。トップ同士ですね。それによってトランプに言うわけですよね。アメリカが日本を支持したら、これ大変なことになりますから、高市発言に対してアメリカの真意を問いたい、プレッシャーをかけたいということで、この電話会談の中でトランプさんが「高市の言ってることももっともだ」なんていうことを言ったら、これ非常に大変なことになりますから、そういうことないですよね?ということを言ったときに、トランプさんはもちろんですけども、グレーのままで通しました。
なんて言ったか。「中国にとって台湾の問題が重要であることを理解してる」って言ったんです。完全に曖昧戦略です。つまりトランプ大統領は、高市首相の発言に対して「私もそう思う」なんてことは言わないわけです。アメリカが動くなんてことは言わないわけです。今までの歴代日本首相と同じことですね。「中国にとって台湾の問題が重要であることを理解している」。田中角栄さんと同じようなことを言ってるわけですよ。となると、単独、日本の首相だけがこの曖昧ラインを超えたよね、公式の場で、ということが浮き彫りになったわけですよ。アメリカごと前に出たわけじゃないよね、日本だけが前に出たんだよねっていうことを浮き彫りにしたのが、この習近平・トランプ電話会談です。
その上で、ここからが未来予測のポイントでございます。高市さんが撤回をするのかどうか、ここが非常に重要です。皆さん、これニュースを見なきゃいけないのは、高市さんが撤回するかどうかなんですよ。高市さんの今の戦略はどうなってるかというと、撤回しないで曖昧に戻すというやり方ですよね。発言は撤回しませんってニュース出てましたよね。これ、おいそれと撤回しない。なんでかというと、間違えて言ってるわけじゃないから。高市さんはそういう信念を持ってるんです。それ、2024年の著書ではっきり言ってる。「安全保障に曖昧さは危険である」。その上で「台湾は第二の香港にしてはならない」。はっきりとタカ派であり、ネオコンであるということを主張してる。
これを撤回するってことは、2024年に自分の決意として表明した、自分の政治家としてのあり方を曲げるってことになりますから、これすごく大きい決断になります。この天秤ですよね。そんな中で、曖昧に戻す中でこの中国の怒りが収まるのはベストですよね、高市さんのシナリオとしては。そして日本のシナリオとして、それがベストですよね。じゃあ、それが戻るのかって問題です。撤回はしない、だが従来の方針通りだ。従来の方針通りだってことは、安心してくれと、グレーなままだということを言いたいんですけど、11月23日、王毅外務大臣は「日本がレッドラインを超えている」「中国は断固として反撃する」、こう言ってるんです。外務大臣がですよ。怒り、収まってません。
つまり、曖昧戦略に戻したところで撤回しないのであれば、我々は攻撃の手を緩めないぞということを言ってるんです。攻撃の手って何ですか?制裁ですよ。今、観光客を自粛させてますね。水産物の輸入を制限してますね。それによって、もう1.8兆円規模の打撃が加わってますね。もっといくぞ、そういう言葉でございます。じゃあ、この状況下で、我々は高市さんが前言撤回しないのを応援するのか、するのを応援するのかっていうことが問われてくるわけです。
ここで私、非常に重要だと思うのは、サッチャーのやり方をすごくいいって思ってるのが高市さんですよね。じゃあ、そのサッチャーのやり方っていうものをもう1回考えたときに、そのときのイギリスとアルゼンチンの力関係を見る必要があると思うんですよ。そのときのイギリスとアルゼンチン、さらにそのイギリスとアメリカの関係からすると、イギリスとアルゼンチンは圧倒的にイギリスが強かったです。その上でアメリカもイギリスを支持してました。そんな中で、侮られてはいけないぞというタカ派、かつすぐに軍艦を派遣する、この選択が合っていたということで、このサッチャーのエピソードというのは美談として捉えられてる可能性が高いわけですよね。
じゃあ、現在の日本と中国の関係にそれを当てはめたときに、サッチャー的な立ち位置の取り方というのが本当に国益につながり、戦争を抑止するかどうかっていうことを考えなきゃいけないわけです。イギリスとアルゼンチンのような関係が日本と中国でも一緒だと考えてるのであれば、高市さんのやり方は令和のサッチャーとして、もしかしたら抑止力になる可能性がありますよね。ですが、どうでしょう、現在。中国の国力、軍事力、経済力と、現在の日本の国力、軍事力、経済力。これはイギリスとアルゼンチンの関係と同じ、近しいと言えるかどうか、かなり厳しい目で見なければいけないですよね。
そんな中で非常に強気でいくということが何をもたらすかというと、さらなる制裁の過激化です。中国の制裁ってのはパターンがあります。それは輸入しないだけじゃありません。その次、何が起こるか。輸出しないってことになるんですよ。何を?レアアースです。輸入しないだけじゃないよ、輸出もしないよ。日本の産業に打撃を与えます。その上で、日本企業、たくさん中国に構えてますよね、社屋を。中国に進出してるわけです。その中国の在中の日本企業に対して、かなりの圧力をかけます。商売をしづらくさせるっていうことができるわけですよね。
つまり現状において、観光における制限、輸出入の制限、その上で企業に対する圧力、在中企業に対する圧力。その上でさらに文化的なコンテンツ系ですね。つまり日本のアニメとか音楽とか、日本からのイベントとか、そういったものも消費してはならない、参加してはならない、輸入してはならない。だから日本のアニメとか商品とか、いっぱいありますよね。だから水産物とか食料品とかだけじゃないですよ。そういった文化コンテンツとかも制限するという可能性もあるわけですよ。そうすることによって、日本経済に徹底的に打撃を与えていこう。いつまで?発言を撤回するまで。こういったことが未来的に予測されるわけです。
つまり、高市さんは発言を撤回せずに曖昧戦略に回帰するということが直近の未来予測。中国は撤回しない限り制裁を強化するというのが未来予測だとしたら、どうなるか。国民の生活は厳しくなる。なぜか?現時点においてインフレ、物価高に、日本国民は非常に苦しんでますよね。高市さんというのはどういう戦略の方かというと、積極財政の方です。積極財政、いいことあります。国債を発行して潤沢にお金を使って、補助金であるとか、政府に投資するであるとか、戦略的投資を国債を使ってやるんだということを高市さん、言ってますよね。
これって非常に日本企業が元気になるっていう可能性もある、攻めのやり方ではあるんですけれども、それってアベノミクスでやれなかったことを今やろうっていう文脈で語られることが多いんですが、安倍さんのときと今って大きく違うのが、安倍さんのときってデフレだったんですよ。今はコストプッシュインフレなんですよね。物価が上がってるんです。そのときに積極財政をやるとどうなるかっていうと、より円安が進むんです。よりインフレが進むんです。これ、円安が進むんで株高になるっていうのは、日本の大企業にとってはいいことですよ。輸出する企業にとってはいいことです。だから企業とかの目線になると、円安で株高、高市トレードだって言って大絶賛になります。
ところが、いくら補助金を出そうが、円安が止まらない限り物価高は止まりません。なので高市さんの就任以降、今、150円台、上の方にどんどん上がっていって、ゆくゆくは160円台ないし165円も突破する可能性があるなんていうふうに言われてる。高市さんのやり方っていうのは、日本経済を強くする、企業を元気にするっていうことを主眼に置いてるので、この円安に関してはあまり想定しない。だから今、物価高で苦しいですよね。だからこの物価高はさらに進む。それに補助金をどう出すか。ガソリン減税する、補助金出す、給付金出すことがあったとしても、根本の物価高を止めてほしいのが国民ですよね。
じゃあ止まるのか?予測ですけど、いろんな記事を見てください。この円安、物価高、止まらないって予測が趨勢です。なぜなら高市さんがそういう路線だから。その円安、物価高が止まらないっていう路線の中で、中国の制裁が強まったらどうなるのか。ここがポイントです。今、この矛盾に気づいてる日本人がどれぐらいいるかなんです。
今、日本において高市さんの人気って、ものすごい高いですよね。支持率、ものすごい高いです。その上で、高市さんの中国に対する強気の発言は、否定的に捉えてる国民のほうが実は少ないんですよ。なんでかっていうと、ようやく言ってくれたと、中国に強気に出てくれた。今、中国からの観光客がすごい多い、オーバーツーリズムだ。マナーを守らない外国人もいる。奈良の鹿が蹴られてるかもしれないっていう恐怖感やフラストレーションを得てた人たちからすると、高市さんの発言ってのは一見、非常に強気で、グッド、ジャパン・イズ・バックを感じさせるような、鼓舞されるような対応に見えるので、悪くないんじゃないかって思うかもしれないんです。ですが、本当の国益は何なのか。それを考えると、非常に今、天秤にさらされてるわけです。
物価高で苦しんでいる今の日本に、中国が本気の制裁を強めていった場合、国民の生活はまず間違いなくさらに苦しくなります。高市さんが言ってくれることによって日本人のプライドは非常に満たされるという気持ちと、そのことによって中国との関係が急速に悪化し、ただでさえ日本の経済が揺らいでる中で、より国民の生活が厳しくなる。この天秤にかけられてます。
だから高市さんも厳しい。高市さん、自分の矜持があります。これが安全保障の抑止力になるんだ、はっきり言った方がいい。その上で台湾、これ非常に日本にとって大事。だから台湾は日本が身を挺して守るべき。だから存立危機事態だと認定して、そんなことをやったら日本は動くぞということを示すことによって抑止するんだ。そういうやり方をしっかりと明言することによって、サッチャーのように毅然とした日本でありたい。そういう考え方、すごい分かります。ですが、状況的に今それが合ってるのかどうか、ここがポイントです。
ただ、この状況においても、今、日本人の方々は、なぜ物価高なのかの根本的な理由が分かってない。ガソリン高いのはまだウクライナ、ロシアのせいだと思ってますよね。でもガソリンの原油、非常に高いの、これ日本です。ロシア、ウクライナの影響で一時的に上がりました。でもその後、平常に戻って、国際的にも日本が非常に原油の高さに苦しんでいる。海外からの観光客がすごい多いのはなんでですか?日本の円が安いからです。日本の物価だけが非常に安いからです。なぜそれを買えないんですか?実質賃金が上がってないからです。そんな状況で、本当に我々がしてほしいのは給付金でしょうか?そうなんでしょうか?
今、毅然とした日本というものを主張する総理大臣が、日本のこの生活に関して、非常に選択肢、岐路に立たされてる。気持ちはすごい分かりますよ。日本の国民が、そう言ってもらえてスカッとするなっていう気持ちも分かります。中国からの観光客、別に来なくても日本は日本でやっていけるし、気持ちは分かります。ですが、日本の経済状況を数字で見ると非常に厳しい。高い支持率と非常に厳しい経済状況。このミスマッチこそが高市政権の最も悩ましいところだということなんです。
いいですか、皆さん。これからのこのニュースにおいて、高市さんが発言を撤回するのかどうか、ここがポイント。そして中国が制裁を強めるのか、やめるのか、ここがポイントです。この2点をもって、高市さんと中国の動きを見ながら、我々国民の生活がどうなるのか。第3の指標は円安です。円安が加速すれば物価高は止まりません。輸入コストが跳ね上がります。物価高に転嫁します。いいですか。円安、高市さんの発言撤回、中国の制裁強化。この3つの指標でニュースを見ることによって、これがいかに重要な日本の未来を担ってるのか。そしてそれは去年、今年の話ではない。戦後から続く中国、台湾、日本、アメリカの関係を総括するようなニュースであるということでございます。
そこまで理解した上で、またぜひ、何かが起きたときに、「これまた動いたよ、あっちゃん」「これ撤回したよ、しなかったよ」「制裁強化したよ、しなかったよ」「これどうなるの」。分かりたかったら、ぜひこの中田敦彦のYouTube大学をご覧ください。また真正面から、できる限り中立に、できる限り詳細に、尺の関係なく、言葉の基礎から歴史から説明していきたいと思います。今日の授業、面白かったよという方は、ぜひチャンネル登録お願いします。
私は特定の国、特定の政治家さんを応援したいわけじゃありません。何かを否定してるわけじゃありません。中国の考え方も分かる。共産党の考え方も分かるし、台湾の考え方も分かるし、高市さんの考え方も分かる。でも大事なのは、国民が理解して選択することだと思ってるんですよ。何も分からないまま印象で語ってたら、無駄に争いが加熱するだけ。大事なのは理解した上で選択すること。国民が正式に理解して選択した未来ならば、日本というのはきっと正しい未来に向かうと私は思ってます。ではまた。
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