NII-DEER利用実態調査の概要報告:電子リソース担当者は何を求め、どこで困っているのか

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概要

国立情報学研究所(NII)学術コンテンツ課の杉山沙織氏が、NII-DEERの利用実態調査の結果を概要として報告した。調査はアンケートとヒアリングの二本立てで、電子リソース業務の現場がNII-DEERに何を期待し、日々の業務でどんな課題を抱えているかを探ったものである。今回の報告は、調査項目のうち一部に絞った「触りの部分」の紹介である。

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調査の実施概要と回答者の属性

調査は昨年度中に実施された。杉山氏によれば、直前に講演した小山先生が検討の経過を紹介したとおり、かなりタイトなスケジュールで検討を進めたという。アンケートの実施期間は3月4日から26日までである。

アンケートの回答者は336人で、そのうち電子リソース業務に従事した経験がある人は136人だった。ヒアリングは11機関と、ベンダー3社に対して行った。

回答者は中堅からベテランが中心で、年代は30代・40代、業務歴10年以上の人が多かった。これまで担当した業務の種別を尋ねたところ、図書系の一般的な業務を経験したうえで電子リソース業務を担当している人が多く協力していた。電子リソース担当者に絞って見ても傾向は全体とあまり変わらず、業務歴10年以上のベテラン層が6割を占めた。

機能の必要度:国立大学で高い需要

電子リソース業務においてNII-DEERがどの程度必要かを尋ね、国立・公立・私立の3区分で集計した。杉山氏は、区分ごとの母集団の大きさにばらつきがあるため、必ずしもバランスの取れた値とは言いがたいと断ったうえで、国立大学は契約タイトル数が多いことから需要が高いのではないかとの見方を示した。

具体的な業務の選択肢から複数回答で必要な機能を選んでもらった設問では、和書の電子ブックと電子のILLへの期待が非常に高く、これは機関の種別を問わず共通していた。また、プラットフォームが分散していることが共通の課題として浮かび上がった。システム間連携やAPIを使った機能については、大規模な管理が求められる国立大学から要望が寄せられた。

有償でも使いたいか

電子リソースデータを活用する際にNII-DEERを使ってみたいか、有償でも使いたいか、無償なら使いたいかという意向も尋ねた。杉山氏は、金額や具体的な機能、つまり何に対して支払うのかがぼんやりした形での質問だったと留保をつけつつ、有償でも使うという回答も一応得られたと報告した。NII側はこれを一つの回答として受け止めているという。

ヒアリング:機関の規模で状況が大きく異なる

ヒアリングに協力した11機関は、大規模から中小規模まで幅広い。運営上の課題が多く挙がり、特に機関の規模によって状況に大きな差があることがまず指摘された。

一つ目はERMS(電子リソース管理システム)の導入経緯である。新規に予算を獲得して導入できるか、既存のシステムに付加する形で導入するかによって、結果として使い勝手が大きく変わるという。

二つ目は、ERMSベンダーに機能改善を求めていく過程である。伴走型で多大な手間をかけ、求める機能を細かく要求して実装にこぎつけた事例がある一方、しっかり要求しても結局実装されなかった事例もあった。後者については、ベンダー側の人員不足といった事情もうかがえたという。

三つ目は、管理対象のジャーナル数と、ライセンス情報の公開項目・公開方法である。各機関は、字幕上「ライセンスジャスティス」と表記されているデータベースから得たデータを加工する作業に工夫を重ねながら公開しており、項目を絞った簡易的な公開にとどめているケースが多かった。

このほか、ERMSを使っても手入力がかなり残るという声もあった。誤った情報が残っているため確認して手作業で直す必要があるほか、所属機関のポリシーに合わせて結局手入力で修正しなければならない場合もある。杉山氏は、せっかくERMSを使っても相当な手間がかかる点に各機関が苦労していると聞いたと述べた。

一方、小規模機関は事情がかなり異なる。そもそも学認などの認証の仕組みを導入できていない機関もあり、電子リソースの使い方自体が大きく違っていることが分かったという。

どこでも出た要望:登録データの不足と遅さ

ヒアリングの最後に毎回NIIへの要望を尋ねたところ、どの機関でも出たのが、前述のデータベースに登録されている出版社側のデータが少ない、あるいは登録のタイミングが遅くて使えない、という意見だった。

杉山氏は、NIIは出版社と契約関係にないため、メリットを提示して登録してもらうことが難しいと説明した。そのため、契約当事者である図書館側から出版社にニーズを伝えてもらうことで改善が進む可能性があるとして、協力を呼びかけた。

ベンダーへのヒアリング

ベンダー3社へのヒアリングでは、ERMSを導入・開発した経緯について、いずれも顧客ニーズへの対応という点で共通していた。各社の製品にはそれぞれ特徴があり、かなり細かく設計しているところや、「簡単運用」と「しっかり運用」を分けてどちらにも対応できるようにしているところがあった。顧客となる機関の性格がさまざまであるため、それぞれに応えているという。

NII-DEERの提供開始による影響も尋ねたが、まだ始まったばかりのサービスであるため、現時点で大きな影響はないとのことだった。

今後の展望はポスターで

杉山氏は最後に、会場入口にNII-DEERのポスターを掲示していることに触れた。今後の展望や、実現できたらよいと考えていることをまとめているので参考にしてほしいと述べ、報告を締めくくった。