【なぜFXは怖いのか】マネースクエア・貴堂素明が明かすFX投資の本質/仕組みで勝つ自動売買/レバレッジを操るリスク管理術/複利効果でコツコツ運用が”最強”/取引するだけでマイルがたまる投資戦略

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概要

歴史的な円安水準やインフレ、高金利の定着などを背景に、個人の資産運用において外貨をどのようにポートフォリオへ組み込むかが議論されている。しかし、外国為替証拠金取引(FX)に対しては「投機的で怖い」「常に相場に張り付いていなければならない」といった懸念を抱く初心者も少なくない。

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対話番組「CROSS DIG VISION」において、株式会社マネースクエア取締役の貴堂素明氏は、FXを短期的なギャンブルではなく長期的な資産運用の選択肢として位置づけ、感情を排してリスクを事前にコントロールする運用のあり方を語った。相場を予想して当てることと投資で利益を出すことの違い、レンジ相場を前提とした自動売買注文「トラリピ」の仕組み、そしてリスクを把握することの重要性について解説された内容をまとめる。


ポートフォリオにおけるFXの位置づけとレバレッジ管理

近年、NISAの普及に伴い株式や投資信託を通じた資産形成に取り組む個人が増加している。単一の資産に集中投資すると「乗るか反るか」の極端な結果になりやすいが、異なる資産に分散すれば、一方のパフォーマンスが悪い時期にもう一方が補い合うなどして全体のパフォーマンスを緩やかに向上させることが期待できる。

FXは価格変動を伴うリスク商品であるため、ポートフォリオ全体の中でどの程度の割合を配分するかは年代やリスク許容度によって調整する必要があると貴堂氏は説明する。20代から30代であれば、仮に失敗しても挽回する時間があるためリスク資産の比率を高めに配分できる一方、60代を過ぎた層はより保守的な資産配分へシフトし、FXを含むリスク商品の比率を徐々に減らしていくのが一案とされる。

FXが敬遠される最大の要因として挙げられるのが「レバレッジ」である。元本以上の取引を行うことで大きな損失を被るイメージが持たれやすいが、貴堂氏はレバレッジをコントロールすることでリスクは管理可能であると主張する。

具体例として、1ドル=100円のときに1万ドル(100万円相当)を取引する場合、本来なら100万円が必要となる。しかし、元手(証拠金)として10万円しか預託していなくても、あらかじめ「90円まで下がったら必ず取引をやめる(損切りする)」と損失の限度額を決めておけば、下落幅10円に対する損失額は最大10万円となり、預けた資金以上の損失を出す事態は防げる。

レバレッジとは担保(証拠金)に対する取引規模の結果に過ぎず、投資にあたって「いくら以上の損失は出さないか」というボーダーラインを事前に決め、逆算して取引数量を管理すれば、過度な恐怖を抱く必要はないと貴堂氏は指摘する。


感情の排除と「相場の予想」を必要としない考え方

初心者がFXに取り組む際の典型的なハードルとして、「経済分析を行って相場を当て続けなければならない」「感情に支配されて冷静な判断ができない」「常にレートを気にして一喜一憂してしまう」という3点が挙げられる。

第1の点について、貴堂氏は「相場を当てること」と「金融商品で利益を上げること」は別物であると説明する。極端な例として、10回の取引で9回負けたとしても、残る1回でそれまでの負け分を上回る大きな利益を確保できればトータルでは勝ちとなるため、勝率そのものは本質的ではない。また、相場の上昇・下降を正確に予測できなくても、取引の仕組み次第で利益を狙うことは可能であるとする。

第2の「感情の支配」については、プロとアマチュアの最大の差異は「損切りができるかどうか」にあると語られた。含み損が出た際に「明日には戻るかもしれない」と考えて追加入金を繰り返し、ポジションを膨らませて最終的に致命的な損失を抱えてしまうのが最悪の失敗パターンである。これに対処するには、精神論に頼るのではなく、「この価格に達したら取引を終了する」という逆指値(ストップロス)注文をあらかじめ発注し、機械的に執行させることが不可欠となる。

第3の「レートへの張り付き」についても、貴堂氏は5年、10年といった長期の資産運用を前提とするならば、日々の細かな値動きに神経をとがらせる必要はないとする。米国の雇用統計や中央銀行の金融政策決定会合などのイベントで相場が急変する瞬間を追うこと自体は興味深いものの、目的が運用である以上、ライフスタイルを崩してまで24時間相場を監視し続けるべきではないと述べた。


レンジ相場を面で捉える自動売買「トラリピ」

市場の推移には、一方向へ大きく動く「トレンド相場」と、一定の価格帯を行き来する「レンジ相場」の2種類が存在する。一般的に大きく儲けやすいとされるのはトレンド相場だが、マネースクエアではレンジ相場で細かく利益を積み上げるアプローチを採用している。

米ドル/円の過去1年間の値動きを見ると、安値145円から高値164円弱まで約18円の高低差(天井と底)があった。この最安値で買って最高値で売る取引をピンポイントで当てることは極めて困難である。しかし、1日の動きを表す日足をさらに4時間足などに分解し、上がったり下がったりを繰り返す波の高低差を足し合わせると、合計の値動きは約630円分にも達する。1回の取引で18円幅の利益を一気に狙うのではなく、細かい上下動を拾い集めることで、同じ相場環境から18円分以上の累積利益を狙う余地が生まれる。

この反復売買を自動化する特許技術が「トラリピ(トラップリピートイフダン)」である。通常、指定価格で買い、その後指定価格で売る「イフダン注文(IFD)」という手法があるが、トラリピでは決済が成立した後に再び同じ買い注文を自動で発注する。

例えば、「1円動いたら決済して利益を確定し、再度買い直す」という注文を18回繰り返せば、累計で18円分の利益となる。さらに、相場の先行きを正確に予測することは難しいため、予想したレンジ幅の中に細かいリピート注文を多数並べ、点ではなく「面」で相場を捉える。

貴堂氏はこれを野球とテニスに例えた。バットでボールを捉えるのはホームランを狙える反面、三振の確率も高い。一方、面の広いテニスラケットであれば遠くへ飛ばすことはできないが、ボールに当たる確率は高くなり、ヒットを積み重ねることができる。総取引数量が同じであれば背負うリスクの総量は変わらないが、価格水準を分散させて細かく仕掛けることで、相場予測が外れた際のリスクを分散させることが可能になる。


通貨ペアの選定と「世界戦略通貨ペア」の構造

レンジ相場を前提とした運用を行うにあたり、重要となるのが通貨ペアの選び方である。マネースクエアでは、地理的・経済的に結びつきが強い国同士の通貨ペアを「世界戦略通貨ペア」として提案している。具体的には以下の組み合わせが挙げられる。

  • 欧州地域:ユーロ/英ポンド、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ
  • 北米・オセアニア地域:米ドル/カナダドル、豪ドル/NZドル

これらの通貨ペアが選ばれる背景には、国際金融市場における米ドルの動きが関係している。金融危機などのショック相場が発生すると、世界各地に投資されていた資金が基軸通貨である米ドルや安全資産へと一斉に回収される(巻き戻し)。その結果、どの通貨に対しても「ドル高・他国通貨安」が同時に進行する。

地理的に近く、金融政策や景気動向で相互に依存している国同士の通貨は、対米ドルに対して似たような方向へ下落する傾向がある。ユーロ/英ポンドのような合成通貨ペアの値動きは「ユーロ/米ドル」と「英ポンド/米ドル」の差分によって決まるため、双方が同時に下落した場合、通貨ペア同士の相対的な価格差は大きく広がりにくい。結果として、ショック相場に見舞われても極端な一方向への急変が抑えられ、レンジ相場を形成しやすくなるという特徴がある。


複利運用、付加価値、そしてリスクとの向き合い方

トラリピのような手法で長期的な資産形成を行う上で、貴堂氏は「複利で回すこと」の重要性を強調する。例えば100万円を投資し、年間10%の利益が出た場合、その利益を引き出さずに元本へ組み入れて再投資し続けると、10年後には元利合計で約260万円近くに達する計算となる。一攫千金を狙うのではなく、得られた利益を再投資に回すことで資産の拡大を図る設計が基本となる。

また、同社では運用の継続性を高めるため、専門家による「トラリピ戦略リスト」や、日々の確定利益が可視化される「成立カレンダー」といったコンテンツを提供している。さらに、SBIグループや日本航空(JAL)の出資を受けている背景を活かし、特定の通貨ペア取引に応じてJALのマイルや、生涯累積型の「Life Status ポイント」が付与される仕組みを導入している。加えて、一定規模以上の資産を運用する顧客向けには「M2Jサミット倶楽部」を設け、専属コンサルタントによる相談対応や文化セミナーなどのサービスを展開している。

セッションの締めくくりとして、貴堂氏は「トラリピを使っているからといって100%安心というわけではない」と釘を刺した。設定した想定レンジを相場が外れた場合には、想定を超える損失を被るリスクがある。そのため、生活資金を脅かさない余剰資金で運用すること、あらかじめ損失の上限を定めた計画的な運用を徹底することが不可欠であると説いた。

同時に、通貨や為替のリスクを正しく理解することは、株式・債券・金利がどのように連動しているかという世界経済のメカニズムを学ぶことにつながると指摘した。同社としては、顧客が抱える不便を解消しながら、10年、20年という長期的な視点で資産運用に寄り添うサポートを続けていきたいとの展望を示し、対話を結んだ。