【片山さつき財務大臣】高市総理は「日銀の独立性を尊重」/「今の金利上昇は長く続かない」/著名投資家ドラッケンミラー氏と面会/防衛費GDP比3.5%「防衛省・アメリカから一度も言われてない」
TBS CROSS DIG with Bloomberg高市政権における経済・金融政策の基本方針や世界的な金利上昇への受け止め、防衛費見直しの実態について、片山さつき財務大臣がブルームバーグのインタビューで自身の見解を示した。日銀との関係性についてリフレ派との見方を否定しつつ、世界的な金利高の背景にある民間資金需要や、日本国内の家計資産構造、防衛予算の積み上げプロセスについて説明している。
日銀の独立性と為替・市場介入への姿勢
アメリカ側の一部投資家や関係者の間には、「日本の政権が中央銀行総裁の手を縛っているのではないか」「高市政権はリフレ派(リフレーショナリスト)ではないか」という見方がある。これに対し片山は、高市総理自身から「リフレ派ではない」と海外関係者に説明するよう指示を受けていることを明かし、総理自身が中央銀行の独立性を極めて尊重していると強調した。
日銀法改正により日常的な金融調節やオペレーションは日銀に委ねられている一方で、市場における無秩序な状況や過度な変動(エクセシブ・ボラティリティ)に対しては、政府として断固たる措置を取る姿勢を崩していない。片山は、この方針は日米両政権が続く限り途切れず行動を躊躇しないものであり、アメリカのスコット・ベッセントもスピーチなどでその意図を理解しているとの見方を示した。
世界的な金利上昇の背景と日本家計への影響
著名投資家のスタンリー・ドラッケンミラーとの面会において、片山は世界的な債券利回りの上昇について意見を交わした。アメリカの長期金利が5%近辺に達している状況について、ドラッケンミラーは「アメリカの資金需要が強く、景気が良いことの反映である」と述べたという。
かつて民間需要が低迷していた時期には1〜2%台で資金調達が可能だったが、現在はハイパースケーラーと呼ばれる巨大IT企業などが5%から9%といった高い金利水準でも資金を調達している。片山はこの現象を、各国政府による国債の乱発ではなく、民間の旺盛な資金需要が国債をクラウディングアウト(締め出し)し、金利全体を押し上げている構造にあると分析した。欧州の財務担当者も同様の課題を抱えているが、日本を含む主要国は発行額をコントロールして市場と対話しているとし、世界的なブームによる金利上昇は永久に続くものではないとの見通しを示した。
また、金利上昇が国内に与える影響について、片山は日本の家計構造の特殊性を指摘した。日本の平均的な世帯は金融資産約2,000万円を保有しており、そのうち1,200万〜1,300万円程度が定期性預金や普通預金などの確定利回り資産である。平均的な借入額(主に住宅ローン)は600万円台にとどまるため、金利上昇によって借入返済の負担が増える家庭がある一方で、預金金利の上昇により利息収入が増加する世帯も多い。株式や投資信託などリスク資産の保有比率が高いアメリカの家計とは異なる特性があるとしている。
防衛力見直しの実態と「GDP比3.5%」報道の否定
防衛予算および計画の見直しに関して、片山は「アメリカからの外圧によるものではない」と述べた。周辺国の情勢を踏まえ、日本自身を守るための拒否的抑止力を構築する観点から不足している能力を洗い直していることが理由であるという。具体的にはサイバー防衛やドローン部隊の不足を挙げ、アメリカが持つAnthropicやOpenAIのような生成AI基盤が日本にはまだ存在しない点などに言及した(日本にはフィジカルAIの技術があるとする一方での言及)。
こうした不足分を補うためには、過去に合意した「対GDP比2%」の枠組みを上回る費用が見込まれるため、5年間の計画を再構築している段階にある。ただし、高市総理は就任以来一貫して「何ができるようになったかを国民に示すことが先であり、金額は後からついてくる」という積み上げ方式の姿勢をとっており、最初から数値目標を掲げる「総額ありき」の議論はしていないと説明した。
一部報道で取り沙汰された「防衛費をGDP比3.5%にする」という水準について、片山は防衛省からもアメリカ政府からも一度も要請された事実はないと否定した。同盟関係に依拠しつつも自国を守る姿勢を前提とし、現時点で何ができておらず、どのような装備や能力を新たに具備すべきかを見極めることが本質的な課題であるとしている。
