夏服をユニクロで揃えられる時代に、どう「ほどよく」差別化するか:げんじが語る大人の夏コーデ

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概要

メンズファッションブランドLIDNM(リドム)のげんじが、周りと被らず品のある夏コーデを組む方法を、実際のコーディネートを見せながら解説した動画である。夏は暑いので楽な服装になりやすく、ユニクロでもある程度揃ってしまう。服好きとしてはそこから一歩先へ行きたいが、差別化しすぎると街中で浮いてダサく見える。げんじが掲げる目標は、学生っぽくも子供っぽくも見えず、頑張りすぎにも見えず、悪目立ちしない範囲で差別化することだ。

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天然素材・本革・シルバー925を選ぶ理由

最初のコーディネートで、げんじは合成素材ではなく本革のアイテムやシルバー925のアクセサリーを積極的に使うことを勧める。理由の一つは価格と供給量だ。学生の多くは服1着に2万円、3万円をかける余裕がないため、ZOZOTOWNや大手ファストファッションで安く揃えることが多い。一方で、リネン、シルク、ウールなど良い天然素材は原料の量にも生産量にも限りがある。例としてげんじは、着用しているLIDNMのシルクのシャツについて、もっと作りたかったがシルクの量に限りがあって少なくなったという背景を挙げた。価格が高く、ブランドが用意する在庫も少ないので、天然素材を選ぶだけでほどよく差別化できるという。さらに、年齢を重ねて出てくる変化と天然素材の風合いは相性が良い、ともげんじは話す。

アイテム選びでは、売れ筋の定番から少しずらすことを勧める。夏は半袖シャツを着る人がほとんどだが、長袖シャツの袖をまくって着る。ZOZOTOWNのランキングを見るとパンツの上位はほぼデニムで、白のリネンパンツはなかなか上がってこない。だからこそ、ベストセラーから外れたものを選ぶ意味があるという。

ただし注意点として、げんじは装飾的なデザインを闇雲に足すのではなく「引き算の美学」を持つよう繰り返す。大人はそれができる精神年齢になっているからだ。具体的には、リングを小指にさらっと付けるピンキーリングにする、シルバーが多いネックレスをゴールドにする、といった細部での工夫である。

足し算・引き算で「中和」を保つ

差別化を狙うと、きれいめに振りすぎるか、カジュアルに寄りすぎることが多い。げんじが着ているのは黒の長袖シャツに白のボトムで、かなりきれいめである。ここに細縁の眼鏡を足すとパリッと決まりすぎるので、カジュアルダウンさせてくれる太縁のアイウェアを選ぶ。モノトーンなので、ブラウンのレンズとブラウンのバッグで小物に色を足す。黒のキーフックも、あえて黒以外を選べば白黒一辺倒になりにくい。

靴については、使用頻度を考えると黒のレザーシューズのほうが勝るとしつつ、ブラウンのレザーシューズを合わせるとモノトーン+ブラウンの配色になり相性が良いという。さらに進めて、ブラウンのレザーネックレスを足す人もいるだろうと続ける。インナーも、普段のメッシュインナーの代わりに、前年のLIDNMのリネンのタンクトップを見せる着方を提案した。

これがなぜ良いのかについて、げんじは「中和のバランス」で説明する。きれいなシャツ、きれいな白のボトム、レザーアイテムというきれいめの要素に対し、ブラウンの小物、肌の見え方、ゆとりのあるシャツのサイズ感、緩やかなシルエットでスーツ生地とは真逆のシワ感が楽しめるリネンパンツといったカジュアル要素が拮抗している。そのため全体がちょうど良く見えるという。

夏のアイウェアについては、レンズの濃度が35、25、15あたりのものを選ぶと、目元は見えつつ日差しを遮れると勧めた。着用中のものは45〜50くらいだろうと話している。

白シャツは「サイズの作り」で選ぶ

2つ目のコーディネートでは白シャツを取り上げる。スーツのような白シャツや、ユニクロ・無印良品のシャツは、腕に沿ったジャストサイズで身幅が太くなく肩も落ちていないものが多い。そのためXLやXXLを選ぶと、着丈がどんどん長くなり、首回りも広がってしまう。げんじは、推奨サイズのままでゆとりのあるシャツを作っているところで買うことを勧める。着ていたのは8月にLIDNMからリリース予定のシャツで、ダークブラウンのスラックスとshiunのレザーサンダルを合わせていた。

ここでげんじは「希少性」を「少数派」と言い換える。ここ数年、そして今年も、カジュアルなアイテムを着ている人は学生に多いが、最新のコレクションを追うとフォーマルなスタイリングが増えている。おしゃれな人は常に自分の立ち位置を少数派に置いている、というのがげんじの見立てだ。おしゃれ感度が高い人でも、大多数はデニムを履き、足元はスニーカーで楽しむ。だから、いまおしゃれな人は何を着ているのか、去年や一昨年の自分は何を着ていたのかを考え、新鮮さと中和の論理を崩さない範囲で選ぶ。これまで白を着る人は多くなかったので、今年からは白を着る、デニム一強の時代からスラックスに変える、といった選択が有効だという。

白シャツにスラックスでかなりきれいめに振っているので、バッグは大きめが合う。クラッチバッグや細く小さいバッグだと、きれいめに振りすぎて「世界観ができすぎてしまう」からだ。

「舐められない雰囲気」の頑張りすぎに注意

げんじは、差別化の過程で起きやすい失敗にも触れた。舐められないファッションや雰囲気作りを頑張りすぎると、逆に「頑張りすぎている」と見られる。人と違っていけば、ある程度話しかけづらくなるのは普通で、その感じは確保すべきだという。しかし話しかけづらさが行き過ぎると、人として少し変に見える。その塩梅が必要だとげんじは言う。

デニムを使うなら「去年の大流行」からずらす

スラックスだけが正解ではなく、デニムも大人のコーディネートに必ず使いたいアイテムだとげんじは補足する。バギーデニムのような極太デニムが大流行した後、パンツのシルエットは細くなってきている。そこで、細すぎないデニムを選ぶ、加工にこだわった美しいグラデーションのあるものを選ぶ、ライトオンスにする、無加工のものを履く、といった方法を挙げた。さらに踏み込んだ例として、げんじが履いているシルク混のデニムを紹介している。光沢と艶感のある、素材に「変態的に」こだわったデニムを合わせることで、流行したアイテムからほどよく差別化でき、新鮮で少数派になれるという。このコーディネートは白のきれいさとデニムのカジュアル感が中和され、配色も白黒+ブルーで良いと説明した。

ヘンリーネックと、ちょっとした勇気

長袖の話が続いたので、次は半袖のコーディネートだ。ヘンリーネックはすでに非常に人気のアイテムである。げんじは差別化の方法として、1万円以上はしてしまうがウール素材のヘンリーネックを選ぶ、人気の黒ではなくチャコールや、さらに明るい色を選ぶ、といった例を挙げる。

ヘンリーネックを着る男性が増えているので、その上に少し長めのネックレスをかけるのも一つの手だという。なくてもコーディネートは成立するが、長いネックレスをかけている人は少ないので、ほどよく差別化できる。スカーフについても、いま人気が高まってブランドでも扱いが増えているが、実際に垂らしている人はまだ少ない。だからこそやる、とげんじは言う。

この点について、げんじは「ちょっとした勇気」の重要性を語る。最初は失敗したくない、安定しておしゃれに見られたいという欲求は素晴らしい。ランキング1位のアイテムや大トレンドの合わせ方は間違いがなく、減点されない方法を安心して選べる。それ自体はとても大事な選び方だが、それを繰り返しても、ファッション好きの中で希少性のある位置には行きづらい。だからやりすぎない範囲で自分だけのチャレンジをする。そして全員から褒められようとしないことが大事だという。スカーフを垂らせば「何を垂らしているのか」と思う人もいるが、ファッション好きなら「そのチャレンジいいね」となるはずだ、とげんじは考えている。

ほかにも、前だけタックインする、ほとんどの人が黒の本革を持っているのでブラウンのバッグを選ぶ、アイウェアで差をつけるといった例を挙げ、夏の差別化ポイントとしてアイウェアは特に作りやすいと話した。

大人にあって子供にないもの=雰囲気

げんじは、女性2人と撮影した別の動画の話にも触れた。そこでよく出た発言が「大人っぽくて素敵」「子供っぽくて嫌」だったという。では大人にあって子供にないものは何か。げんじの答えは「雰囲気」だ。40代くらいの俳優はかっこよく雰囲気があるが、これから売れる10代の俳優はフレッシュで爽やか、という印象になる。白Tにインディゴデニムのコーディネートは、20代の女性も「爽やか」と言っていたそうだ。30代付近でも爽やかさはぎりぎり出せるし楽しみたいが、似合ってくるのは、10代の男の子には出しにくい落ち着きや雰囲気だとげんじは言う。

雰囲気の作り方としては、10代では手が出にくい価格帯の素材を選ぶこと、視線をぼかしてくれるアイウェアを使うことを挙げた。髪型では、センターパートは誰でもできるので、くるくるのパーマにすると「あいつ普通じゃない」という雰囲気が出るという。げんじ自身もセンターパートにしていたことがあり、また戻す可能性もあると付け加えている。普通な人には雰囲気が生まれにくいが、雰囲気を作ろうと頑張るほど、一定のラインを超えると「頑張りすぎ」「話しかけづらすぎる」「ちょっと痛い」「隣を歩きたくない」となってしまう。バランスは慎重に、かつ楽しみながら考える必要があるという。

小物での差別化も具体的に挙げた。ベルトのバックルはほとんどの男性がシルバーなので、それ以外を選ぶ。ネックレスはゴールドにする。腕時計はG-SHOCKが多い中で落ち着いた時計を選ぶ。げんじは特に、半袖のプルオーバーTシャツを着るときほどこれを意識するという。タンクトップの上に半袖シャツを着るなら、それだけでほどよい差別化になる。しかしプルオーバーのTシャツとパンツという組み合わせは、ファッションに興味がない人とも同じだ。だからさりげないポイントを足す。ただし足しすぎて減点されるようなコーディネートにはしない、というのがげんじの考え方だ。

Tシャツ×スラックスと「女性受け」の考え方

Tシャツにスラックスというごくシンプルな組み合わせでも、夏に涼しく履けるサマーコーデュロイのパンツを選ぶ、シルク100%のTシャツを着る、首回りがかなり細い仕様のTシャツを選ぶ、無地ではなく細いボーダーのTシャツを選ぶ、といった工夫で「全く違う」ものになるとげんじは言う。アクセサリーについては、ブラウン系を足すと雰囲気や渋さが出て、シルバー系の長いネックレスを足すと爽やかな雰囲気が出るという使い分けを示した。

ここでげんじは、女性受けの話に踏み込んだ。初デートならネックレスはないほうがいい、という女性は割といるだろうとげんじは認める。実際、ネックレスがなくても生地の軽さとドレープ感、手元のさりげない装飾だけで十分おしゃれで大人っぽい。しかし、その人だけが醸し出す空気感や世界観を作るには、意見を「濾過」する必要があるという。全員の女性から受けようと意識するほど、無難でベーシックな、減点のないファッションになっていく。タッセルが揺れる少し長いネックレスを付ければ「もっとシンプルでいい」という女性もいる。その意見があると分かった上で選ぶ、ということだ。

げんじは、チャームのないシンプルなネックレスを例に挙げた。ZOZOTOWNで人気があり、WYMでも多くの人に買われていて、げんじ自身もほぼ毎日付けている。だが便利でかっこよすぎるので、みんなが持っている。その結果、その人だけの世界観は作りにくいという。

さらにげんじは、男性に困っていない、とても人気のある女性を例に出した。そうした女性の周りには、少し気の利いたシンプルなファッションが一番いいと分かっている男性が多い。だからその男性たちはもはや「普通」で、「あの人は他の人と違う」という印象になって初めて「モブ」ではなくなる、とげんじは言う。女性受けを気にしていたらこういうアクセサリーは付けられないと言ったが、逆に突き詰めると、高嶺の花だと思っていたような女性からの受けを得やすい、というのがげんじの主張だ。容姿もスタイルもセンスもある女性は目が肥えているので、ほどよい雰囲気や空気感をやりすぎない範囲で続けることが大事だという。それは素材感、細かなデザイン、数年続いたトレンドではないものに表れるとげんじは述べ、自身のブランドLIDNMとLlifeがそれを約10年続けてきたと語った。

ショーツは子供っぽく見えやすいからこそ

げんじは旅行先でよくショーツを履くという。暑さでストレスを抱えてまで旅行したくないので、涼しく快適に街を観光し、夜にはビールを飲む。そういう場面のショーツが大好きだと話す。

ただ、ショーツは小学生も履くもので、サッカーのような運動にも使う機能的でかなりカジュアルなアイテムだ。だから子供っぽく見えやすい。そこで必要なのが「舐められない雰囲気」だとげんじは言う。例として、全身を黒にする、濃度50くらいのサングラスをかける、大きくオーバーサイズのシャツを羽織る、を挙げた。素足は、どんなワイドパンツよりも脚が一番細く見える状態なので、そこにたっぷりしたシャツを合わせるとVラインのシルエットが完成するという説明だ。レザーのバッグを持つのも良い。

特に相性が良いのは長袖シャツだとげんじは強調する。冒頭のシルクシャツの袖をまくって合わせ、ショーツを履く人はぜひ長袖シャツを合わせてほしいと話した。ショーツスタイルは楽をしているので、長めのネックレスやゴールドのネックレス、バッグで遊び心を足す。暑い日のデートや夜の外出にも良いという。定番は白シャツで、ボタンを全部閉めてもいいが、ラフに着崩すほうがショーツとの相性が良い、とげんじは感じている。

古着のシャツも勧めていた。ヴィンテージのシャツや国内ブランドのサイズ4、Lサイズなどは大きすぎて普段は諦めがちだが、ショーツとは相性が良いので意外と使いどころがあるという。タンクトップを着ずに素肌に着て涼しく着るのも一案だ。デニムショーツにグラフィックTというやんちゃな組み合わせが多い中、大人の合わせ方としては長袖シャツを勧める、というのがこの節のまとめである。

暖色で差をつける

比較的挑戦しやすい方法として、げんじは暖色を挙げる。デニムやブルーシャツのように、定番の有彩色は青だ。青を使っておしゃれな人より一歩差をつけられるかといえば、ブラウンのほうが差は出やすい、とげんじは言う。LIDNMで暖色系のアイテムを多くリリースしてきたのも、ブルーなど寒色系が強い中で差別化し、自分だけの世界観を持ちたいという思いがあるからだと説明した。季節は違うが、カーディガンといえば黒を選びがちなところをオレンジにする、といった色選びも有効だという。

オールブラックを「パジャマ」に見せない

最後はオールブラックだ。げんじはオールブラックを大人らしく雰囲気を出せる合わせ方として気に入っている。ただ、大人のコーディネートでは王道すぎるので、黒Tにラフな黒パンツだけで終わらせないことが重要だという。

例として出したのは、ファミリーマートのコンビニエンスウェアのシャツとパンツだ。げんじは「正直悔しいけど、めちゃくちゃいい」と評価し、価格、素材感、シルエットが良いと話した。一方で、Lサイズではパンツの丈が若干足りないなど、妥協しなければならない点もあるという。

これをタックインする、タンクトップの上に着て首の抜け感を出す、袖を1回まくる、アイウェアやカラビナを付ける、腕のアクセサリーを忘れない。そうすると「楽をした結果」ではなく「こだわった結果のオールブラック」という雰囲気が出る。逆に、腕時計もアイウェアもせずタックアウトで着ると、上下同じ色のシャツスタイルは「そろそろ寝ようかな」というパジャマに見えるとげんじは指摘する。

タックアウトしたい場合は、腰の境界が見えなくなるので、タックアウトしても見える長めのレザーのネックレスなどを付ける。レザーを付けたまま寝る人はいないので、パジャマに見えにくくなるという理屈だ。パンツの丈が短めなので、腰を落としてルーズに履き、バッグを持つ方法も挙げた。パジャマに見えるコーデと大人に見えるコーデで、アイテムはほぼ同じでも見え方が変わる。無印良品の黒は真っ黒なので、色味のあるブラウンレンズを合わせることが多い、とも添えている。

王道から外す方法は一つではない

げんじは締めくくりとして、夏はシンプルになりがちな季節だからこそ、どんな意識で差別化するかを解説したと振り返った。王道ルートから外すということは枝分かれがたくさんあるということで、今回紹介したのはその一部にすぎないという。天然素材、定番からのずらし、引き算と中和、ちょっとした勇気、そして頑張りすぎない塩梅。この動画でげんじが繰り返したのは、差別化そのものよりも、やりすぎない範囲に踏みとどまるバランス感覚だった。