タイガー魔法瓶・菊池嘉聡CEOが語る、魔法瓶の技術が炊飯器・宇宙・自動車へ広がった経緯

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概要

創業103年のタイガー魔法瓶は、なぜ炊飯器を作り、宇宙や自動車の分野にまで関わるようになったのか。『カンブリア宮殿』の未公開インタビューで、菊池嘉聡CEOは社内のエキシビションホールを案内しながら、ロゴの変遷、魔法瓶から炊飯器へ至る技術の流れ、そして初期のBtoB事業について語った。菊池氏の説明に共通しているのは、魔法瓶で培った「保温」の技術が、同社の事業の土台になっているという見方である。

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JAXAとの取り組みと「門を開けておく」姿勢

菊池氏はまず、JAXAとの取り組みに触れた。展示されていたのは、宇宙に行って帰ってきた魔法瓶という位置付けの製品だという。同社がコアとして持つ「我々にしかできないこと、我々ならではのこと」で宇宙事業や社会に貢献できるのであれば、ぜひやらせてほしいという考えで参加したと説明している。

外部からの依頼に対する同社のスタンスについても、菊池氏は「ご要望に対して答えられる範囲で答えていこう」という姿勢を取っていると話す。門を開けておく、という表現で、外部の要望を受け入れる余地を残していることを示した。

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強い虎から親しみのある虎へ――ロゴの変遷

エキシビションホールの最初の展示は、1923年の創業から続くタイガーのロゴの歴史である。菊池氏によれば、創業当初のロゴは強くて怖いイメージの虎だった。

その理由として菊池氏は二つの背景を挙げた。一つは製品の性質である。同社はガラス製の魔法瓶からスタートしたが、当時のガラス製魔法瓶は贅沢な商品である一方、落とすと割れてしまうものだった。そうした製品だからこそ、強くて丈夫な商品というイメージを植え付けたかった。もう一つは、創業者の父親の干支が寅だったことである。強い動物であり干支でもある虎を選び、「虎印」という商標から始まったという。

猛々しく強い、壊れない頑丈さを表した虎は、時代を経るにつれて柔らかい表情になっていった。菊池氏は、人によってはかわいらしくなったように見えるかもしれないとしつつ、少し優しく親しみのある顔へ変わってきたと説明した。

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なぜタイガーが炊飯器を作るのか

続いて菊池氏は、同社にとって炊飯器が「かけがえのない」柱事業であり、ノウハウやテクノロジーの面でも柱になっていると位置付けたうえで、「なんでタイガーが炊飯器をやっているのか」という問いに答えた。

最初のガラス製魔法瓶は小さく口が細いもので、ほぼ液体を入れて保温することが主な機能だった。技術の進化とともに瓶が大きくなり、口が広くなったことで、液体以外のものも入れて保温できるようになった。その後のポット類でも同様に口を広く作れるようになり、ある時点から米飯やアイスクリームなどを入れる大型の魔法瓶が生まれたという。

これが「お櫃」のような役割を果たした。釜で炊いたご飯を移し替え、保温するだけの機能を持った大型のガラス製ジャーである。菊池氏は、ここが同社がご飯に関わり始めたポイントだと説明する。その後テクノロジーが進化し、電気の力を借りてご飯を保温する製品へと発展した。保温から始まったご飯との関わりが、現在では炊いて保温できる炊飯器という事業の柱になっている、というのが菊池氏の語る流れである。魔法瓶から米へつながる接点は、この「ご飯を保温する」ジャーにあったということになる。

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初期のBtoB事業――ハイブリッド車向けの保温タンク

インタビューの終盤で菊池氏は、同社として「ある程度まとまった形のBtoB」の最初の取り組みとなった製品を紹介した。パートナー企業と組み、最終的な納品先はトヨタで、北米向けに当初販売されていた初期のハイブリッド車に搭載された部品だという。

仕組みについて菊池氏は次のように説明した。エンジンブロックは走行中にどんどん加熱され、それを冷やすために冷却水がラジエーターを循環している。1日車に乗って帰宅しエンジンを切ると、その温まった冷却水をポンプで汲み上げて保温タンクに溜め込み、翌朝まで保温しておく。翌朝エンジンを再始動する際に温かい冷却水をエンジンブロックに戻すことで、暖機を促進するというものだ。

目的は排気ガス対策である。菊池氏によれば、朝一番にエンジンを始動したときの排気ガスが最も有毒とされ、NOxやSOxといった有害ガスが出やすい。当時のトヨタにとっては、環境規制の厳しいアメリカ・カリフォルニア州の基準を満たすことが一つのハードルであり、そのための特別な仕様として採用したいという要望があった。同社はその要望に応える形でこの製品を手がけたという。

宇宙向けの魔法瓶、炊飯器、自動車部品と分野は異なるが、菊池氏が示した事例はいずれも、魔法瓶で培った保温の技術を外部の要望や新しい用途に応用したものとして語られている。インタビューは、この自動車向け保温タンクの説明の途中で終わっている。