40代・50代が服を選ぶ前に見直すべき2つのこと:「価値観の未更新」と「若作りのしすぎ」

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概要

メンズファッションを発信するGenji(ゲンジ)は、40代・50代・60代の男性がまず押さえるべき前提を2つに絞って解説している。何を着るか、何を買うかといった細かいテクニックの前に、この2点を把握すべきだというのが話者の立場である。

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1つ目は「価値観が更新されていないこと」、2つ目は「その結果として頑張りすぎる、つまり若作りしすぎること」だ。話者は、この2つに陥らないよう意識すればよいと結論を先に示す。話者自身は32歳で、別途撮影した「40代50代はこれを着ろ、これを買え」というショート動画の延長として、この長尺版を収録したと説明している。

年齢を重ねると見た目の「カジュアル度」が上がる

話者はまず、なぜ40代・50代は10代後半の若者のように何を着てもかっこよく見えるわけではないのかを考える。説明には「きれいめ」と「カジュアル」という対比を使う。洗いたてのシーツやスーツはきれいめで、汚れたスニーカーや派手な色・デザインはカジュアルだとする。

これを人の外見に当てはめると、10代や20代前半は筋力が衰えていないので、シワのないスーツの生地のように肌や体がたるまない。一方、年齢を重ねると支える筋肉が弱まり、お腹が出たり、ほうれい線や目の周りのシワが出てきたりする。話者自身も10代にはなかったシワやシミ、そばかすが出てきたと話す。これは人間である以上仕方のないことだが、見た目をきれいめとカジュアルに分けると、年齢とともに人としての「カジュアル濃度」が上がっていくと話者は捉えている。においについても同様だという。

そのうえで、上がってしまったカジュアル度を補えるのがファッションだと話者は位置づける。

清潔感とは「整えられていること」、つまり相手への礼儀

話者は、人は基本的に清潔感のあるものを好むと繰り返す。例として、せっかく泊まったホテルや旅館が汚い、何日も前に作ったような傷んだ料理が出てくる、自分の家のトイレが汚い、といった状況は誰でも嫌だろうと挙げる。きらきらしたアイドルが好まれることや、女性がきれいなレストランを好むことも同じ話だとし、二択なら清潔感がある方が好まれるとまとめる。

さらに話者は、清潔感を「整えられていること」、そして整えられたものを「相手への礼儀が備わっている状態」と言い換える。レストランのテーブルにクロスが敷かれ、フォーク、ナイフ、スプーンが並んでいるのは客への礼儀である。スーツも過ごしにくく、着にくく、脱ぎにくいのに着るのは、相手への礼儀があるからだと説明する。

年齢とともに見た目がカジュアルになることは避けられず、話者はそれをむしろ美しいとも言う。しかし、そこにさらにカジュアルな服を重ねると「カジュアルが渋滞」し、礼儀が感じられなくなる。テーブルクロスもなく、フォークやスプーンが散らばり、床に箸が落ちているような店に誰がいい店だと言うのか、と話者は例える。人は自分ファーストなので、相手の服がおしゃれかどうかも、自分に対する礼儀があるかどうかで判断している面がある、というのが話者の見方だ。

話者によると、カジュアルが集まり礼儀のない服装を見ると、人は「おじさんっぽい」と感じる。しかもそういう人が多いので、おしゃれでなくて当たり前だと諦め、期待もしなくなる。その結果が、家族から「パパ、横を歩かないで」と言われるような状況だという。

価値観未更新型その1:楽さと安さへの流れ

1つ目の「価値観未更新おじさん」は、さらに2つに分かれると話者は言う。

1つは、楽なファッションに流れるケースである。結婚して子どもができると、服に1万円、2万円を出すのがばからしくなり、ユニクロで固めればいい、安い服でいいとなりやすい。そうなると素材も楽さ優先になり、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、レーヨンといった化学繊維や合成繊維中心の、機能性に特化した服になっていく。話者は、素材も使い方次第だと留保しながらも、機能性の服にはカジュアルな要素が集約されていると説明する。そのため、年齢でカジュアルになった見た目に、機能性のカジュアルさと素材のカジュアルさが重なる。これが前述の「カジュアルの渋滞」につながるというのが話者の見立てだ。

価値観未更新型その2:若い頃に作られた「好き」を着続ける

もう1つは、「好きなものを着ればいい」というケースである。話者によると、音楽の好みと同じように、価値観はほとんど学生時代、遅くとも20代前半までに形成される。まだ価値観がない白いキャンバスに、雑誌や古着屋で見た「これ好き」が塗り重ねられ、その人の価値観ができあがる。

20代、30代を過ごし、40代、50代になって子どもも15、16歳に育ち、「自分もおじさんっぽくなってきた、最近服を買っていない」と感じる。そこで若い頃に形成した価値観のまま、久しぶりにあのブランドを買いに行こうとなる。話者は、買いに行こうとすること自体は良いと評価する。

話者はまた、服を捨てられない背景として時代の価値観にも触れる。自分は経験していないので何とも言えないと断ったうえで、戦後のように物がないのが当たり前だった時代には、物にあふれた生活こそ幸せで、断捨離などありえないという時代があったらしいと話す。今は物を持たず、時代に合わせて価値観を更新しながら服を循環させる良さが広まっている。しかし、価値観が形成された時期にミニマリスト的な考え方に触れていない世代は、今もクローゼットにある服をかっこいい、自分に合っていると思いがちで、実際に好きだったから着てしまう、と話者は分析する。

「好きなものを着る」ことへの理解と、それでも伝えたいこと

話者は、他人受けを気にせず好きなものを着続け、そのまま一生を終えられれば、それは納得感のある幸せな人生だという考えを「めちゃくちゃ分かる」と肯定する。人生は納得感であり、納得できる人生を歩めたなら、それがその人の幸せだという。

一方で話者は、40代・50代もまだまだ男であり、自分の印象にマイナスの感情を向けられれば、年齢に関係なく萎えてしまうし嫌だと感じる人もいるはずだと続ける。本当は世の中の標準に価値観を合わせた方がいいと分かっているのに、情報収集すると自分のプライドの軸を曲げるようで意地を張ってしまい、変えられない。話者は、そうした現実に目を向けられていない大人もいるのではないかと問いかける。

そこで持ち出すのが「再スタート」と「卒業」という言葉である。卒業は学校や会社だけのものではなく、生き方や選んできた価値基準にも当てはまる。卒業は終わりではなく、新しいスタートに切り替わるタイミングにすぎない。自分の心と相談し、意地やプライドを張らずに軽いフットワークで価値観を更新できれば、40代・50代からでも大人のかっこいいスタイリングを再スタートできる。話者は、こうした「卒業の仕方」を積極的に発信していきたいと述べる。

若作り型その1:今の10代・20代前半向けの服を着る

2つ目の「若作りおじさん」にも、話者は2つの分岐があるとする。1つは、今の高校生や19、20歳の若者がしていることを無理にまねるケース。もう1つは、当時の若い自分を再現しようとして、結果的におじさんっぽく見えてしまうケースである。

両者に共通するのは、過去の栄光にすがることで本人は満足できても、周囲の人やファッションを通じて出会う人からは違って見えるという点だ。「一気に老けた」「こんなにおじさんだったっけ」「年下だったはずなのに、久しぶりに会ったら年上に見える」と思われてしまう、と話者は言う。

なぜ若作りしすぎた40代以上が嘲笑の対象になったり、横にいたくないと思われたりするのか。話者はまず「大人の理想像」を挙げる。周囲は40代・50代・60代に対して、さまざまな経験を経て落ち着き、自分の年齢だけでなく社会まで冷静に見られる、感じのいい大人であってほしいという理想を勝手に抱きがちだという。そこへ明らかに若者に向けた服を着ていると、「18、19歳の女の子にモテに行こうとしているのか」と見られてしまう。

話者は、最近増えた学生向けのファッションインフルエンサーの発信を、ターゲットではない40代・50代が「自分にも当てはまるかも」と取り入れてしまう例を挙げる。10代後半には10代後半の、20代前半には20代前半の男女のコミュニティがある。そこに明らかに違うコミュニティの人が入ってくると、特に日本では周囲が動揺する。ZOZOTOWNには18歳から20代前半向けのランキングもあり、そこで人気の服を40代男性が着ていると、20代・30代だけでなく同年代の女性からも「嘘でしょ」と思われてしまう、と話者は説明する。

価格の問題もある。話者によると、18、19歳は貯金がなく、目の前の遊びにもお金を使う。30歳前後になればボーナスや給与が増え、10万円のアウターも買えるようになるが、学生向けブランドやインフルエンサーのブランドは、貯金がなくても買える価格に設定されている。そのため、デザインがどうしても手頃そうに見え、素材にも差が出る。

ここで話者は、自身のブランドWYMは安くても高く見えることを徹底的に追求していると触れたうえで、ユニクロの例を挙げる。ユニクロを着ていることは何も恥ではない。しかし「ユニクロに見えてしまう」と、その瞬間に価格の相場が分かり、少し安っぽく見えてしまうという。話者自身も話が脱線したと認めているが、要点は、若者向けの服を頑張って着ているように見えると、デザインが年齢に合わず、単価の安さも推測され、品がなく見えるということだ。その結果、周囲が勝手に抱く大人の理想像から外れてしまう。だから必要なのは、程よく今の空気感やムードを取り入れることだと話者は言う。

若作り型その2:平成ファッションの再現と「かっこよさ」の社会性

もう1つの分岐である「過去の栄光型」の若作りについて、話者は2026年の令和の時代に平成ファッションをしていないかと問う。Y2Kトレンドや平成リバイバルという流れはあるものの、それは何にも染まっていない18、19歳の若者がやるから輝くのだと話者は言う。この型は価値観未更新型に近いので深掘りはしないと断りつつ、若作りの方向性を見誤っている印象を与えることや、平成のファッションがかっこよかったかどうかを周りは知らないことを指摘する。

ここで話者は、かっこよさは一人では確立しにくいという考えを示す。おしゃれも可愛いも同じで、映画レビューサイトで2.7点程度の評価の作品を、自分だけ「これはいい映画だ」と言い張るのは難しい。赤・黄・青のうち99%の人が青がいいと言う中で、黄色が一番だと言い切る自信はなかなか持てない、と例える。

さらに話者は、日本に生まれれば日本の文化を、アメリカに生まれればアメリカの文化を好むように、人は生まれた環境や周囲の教えに従って生きる生き物だと語る。食べ方、勉強の仕方、言葉遣い、電車の乗り方、道の歩き方まで、周囲に教わらなければ生きていけない。子どもが車道に出ていいと思えば死んでしまうから、母親は絶対に車道に出てはだめだと教える。だから人は、友人や社会の意見を取り入れながら価値観を形成するのだと話者は言う。

そして人が生きているのは、常に「今」という時代である。過去の栄光型の服は、その人の記憶の中ではかっこいい価値観として残り、今もクローゼットにあるが、あくまで昔の服だ。今それを着ても、いいと思う人がいなければ理解されないファッションになり、「何それ」と思われる。昔流行っていたことを知っている人からは、「ああ、なるほどね」と受け止められる程度になる、と話者は述べる。

まず受け入れ、次のステージへ

話者は、それでも納得感があればいいという考え方は別の話だとしたうえで、まずこの現実を受け入れることが大事だと強調する。受け入れることで、これまでの価値観や買い方、クローゼットの服を卒業できる。次の段階では、やりすぎにならない範囲で、今の年齢に合った着方や買い方に切り替え、クローゼットの服を更新していく必要がある。

何を買い、何を合わせるかは、その次の話である。まずは年齢とファッション、そして避けられない加齢の話を理解してほしい、というのが本題の締めくくりだ。

話者が挙げた具体的なアイテム

2026年から2027年、2028年にかけて40代・50代・60代が何を着ればよいかは、チャンネルやSNSで発信しているとしつつ、話者は思いつく範囲で次のようなアイテムを挙げた。

  • 話者が着ているようなヘンリーネックの長袖T
  • レザーブルゾン
  • 程よいワイドのスラックス
  • 派手なスニーカーではない、主張しすぎないカジュアルダウンされた革靴
  • 華奢できれいな腕時計
  • シンプルなリングを両手に1〜2個
  • リジッドデニムの程よいワイドデニム
  • 長袖シャツ、特に薄いブルーのシャツ(濃いブルーは若く見えやすいとする)
  • 冬はコート、すっきりしたダウン、中綿ジャケット
  • 夏は半袖シャツやスキッパーシャツ

眼鏡について話者は、年齢は目の周りに出やすく、クマや目尻のシワが目立つため、薄い色の入ったレンズで目元の印象を和らげると大人っぽく雰囲気が出ると話す。太いフレームでもよく、購入時にはカラー濃度を25%と伝えれば、動画で見せている程度の色味になると説明している。

話者が勧めるブランド

資金に余裕がある人向けとして、話者が最も強く勧めたのはLIDNMである。話者によると、LIDNMには、ドメスティックブランドと同等かそれ以上の素材を使いながら、一般的なドメスティックブランドの半額程度の価格を目指すという裏テーマがある。原価はむしろLIDNMの方が高いものもあるが、セレクトショップに卸していない、店舗を持っていない、不必要に人を抱えていないことで、上代を抑えられていると話者は説明する。

ほかに思いつくブランドとして、Graphpaper、アイテムによってはAURALEE、blurhms、HERILLなどを挙げた。ただし価格がかなり高くなったため、セレクトショップを利用するのがよいのではないかとも述べている。全国にある店舗として、BEAUTY&YOUTHやスティーブンアラン、ADAM ET ROPÉのオリジナル商品にも触れた。話者の印象では、セレクトショップのオリジナル商品も時代を反映した服がかなり増えているという。

最後に話者は、自身がプロデュースするWYM by LIDNMを紹介した。話者によると、ZOZOTOWNのランキングではニューバランスやナイキなどスニーカー関連が圧倒的に上位だが、その次くらいにWYMが入るほど人気がある。LIDNMと同じく全国に店舗はないが、正直セレクトショップのオリジナル品よりクオリティの高いものが多い、と話者は言う。セレクトショップのオリジナル品で育った自分としては心が痛む面もある、とも付け加えた。価格はユニクロに1,000円、2,000円足せば買える程度で、動画で着ているトップスも3,300円だという。

話者は改めて、ユニクロでもおしゃれはできると断ったうえで、40代・50代に合うアイテムをユニクロの中から選ぶのは難しく、自分や他の40代・50代向けインフルエンサーのおすすめを待つ状態になりがちだと述べる。WYMであれば、40代・50代に合うかどうかを話者自身が発信しており、清潔感と程よい旬を取り入れられるというのが紹介の趣旨である。

動画は、隣を歩きたくないと思われるおじさんにならず、いつでも再スタートしてほしいという話者の呼びかけで締めくくられている。