シングルマザーの悩みにどう向き合うか:ままよろ・石光氏が語る「お金・子育て・働き方」

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概要

女性経営者同士の対談シリーズに、株式会社ままよろ代表取締役の石光(せき・ひかり)氏が半年ぶりに再登場した。聞き手は株式会社VOYAGE代表取締役の愛沢えみり氏である。今回は、ままよろの会員を対象に「シングルマザーとして何に一番困っているか」をアンケートし、その結果をもとに議論した。石氏の立場ははっきりしている。支援や手当に頼り続けるのではなく、自分のスキルと価値を上げて稼ぐ計画を立て、行動に移すことでしか状況は変わらない。本人も「厳しい話」になると断ったうえで、この考えを繰り返し語った。

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前回の反響と、地方にまで届いた声

冒頭で愛沢氏は、半年ほど前に公開した前回の対談に大きな反響があったと振り返った。コメント欄にもさまざまな意見が寄せられ、シングルマザーの現実的な課題に関心を持つ人や、実際に悩みに直面している人が多いことを改めて知ったという。

石氏によると、ままよろには人事担当がいて、仕事を求めるシングルマザーと毎月面談している。その場で「YouTubeを見た」という声が圧倒的に多かった。最近、熊本で朝9時から夕方5時まで、シングルマザー向けのマインドセット講座を対面で開いたときも、愛沢氏の動画からままよろの動画、石氏の動画へとたどり着いた参加者がいた。石氏は、動画が地方にまで届いていることを実感したと話す。困り果てたときに新しい考え方と出会える場として、YouTubeの力を見直したという。

愛沢氏も自身がシングルマザーであることを明かし、本当の課題を十分に知らなかったと語った。今まさにシングルマザーである人に加えて、これから結婚を考える人や今悩んでいる人も含め、課題と解決策を一緒に考えたいという。シングルマザーが経済的に自立し、変わっていく姿を数多く見てきた石氏のリアルな声を届けたい、というのがこの回の趣旨である。

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アンケート1位は「お金が足りない」

会員アンケートで「一番困っていること」を尋ねたところ、最多は「お金が足りない」で、回答のほぼ半分を占めた。続いて子育て、働き方、パートナー、人間関係、キャリアアップ、不安、その他が並んだ。

石氏は、離婚直後には精神的な自立と経済的な自立が同時に求められると説明する。自身の離婚時、子どもはまだ幼かった。両親も親戚も近くにおらず、友人も多くはなかった。自分が倒れたらこの子たちはどうなるのかという不安に押しつぶされそうだったという。そのうえ、稼ぎたくても働ける時間に制限がある。このバランスが崩れると一気に状況が悪化する、と石氏は語る。お金は2本の柱の1本であり、ここが崩れると本当に苦しくなる。

アンケートには具体的な声も寄せられた。物価上昇で生活が苦しい。学費も上がり、子どもを大学に通わせるのが難しいため奨学金を検討している。生活はなんとかできても、子どもに習い事をさせる余裕がなくてつらい。

石氏はこれを「めちゃめちゃよくある」悩みだと受け止める。平均年収が上がらないなか、今は共働きが基本になりつつある。それでも子どもが2人、3人となれば出費が重なり、一般家庭でさえ厳しい。シングルマザーは年収が半分の状態で子どもを育てるのだから、なおさら厳しい。石氏は別に一般社団法人を立ち上げ、シングルマザーの子どもに塾を提供している。同様の団体は世の中にもあるが、近くになければ利用できない。子どもにたくさんの経験をさせてやれないことが、「親として私は」という自己否定につながりやすい点も、多くの母親が悩むところだと石氏は指摘する。

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「楽して稼げることはない」:価値を上げて逆算する

では、どうすればよいのか。石氏が講座で話しているのは、お金とは「その人が世の中にどれだけ価値を提供できたか」に応じて入ってくるもの、という考え方である。稼いでいる人は経験やスキルを積んできたから稼げている。だから楽して稼げることは基本的にない、と伝えているという。

石氏によると、シングルマザーの平均年収は200万円前後だ。そこから例えば500万円を目指すなら、その額を得られる仕事にはどんなものがあるか、自分ならどのジャンルでいけそうか、そのために何を学ぶ必要があるかを考える。そして1年、1カ月、1週間、今日と逆算していく。

例として石氏は会員の事例を挙げた。ある人は最初に動画編集を学んでいたが、AIの進化が著しいためAIの勉強も始めた。すると、それに見合った仕事が回ってくるようになった。経理をしていた人も、マネーフォワードやfreeeのようなツールが出てきた今は、経理ができるだけでは足りず、ツールを使いこなす必要がある。ツールの使い方はYouTubeでいくらでも学べる。企業の時給や年収も上がってはいるが、AIの影響も大きい。だからこそ自分の価値を高めて稼ぐ計画を立てることが何より大事だと石氏は言う。目の前の今日や明日、1カ月だけを見て、どうなりたいか、何をするかという行動まで落とし込めていないから、みな不安を口にするのだ、と。ままよろのカリキュラムでは、この「今日から何をするか」までを一緒に落とし込む。そこまでやらなければ収入は上がらない、と石氏は断言した。

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手当を当てにする選択と「魔法はない」

愛沢氏は、相談先によっては国の手当(会話では「最大4万円」と言及された)を頼るよう勧められたり、収入が上がりすぎると受け取れなくなるから、収入を上げるより支援を受けるほうを選んだりする人も多いのではないかと問いかけた。石氏の答えは「ほとんどそっちです」だった。

愛沢氏は、シングルマザー支援の協会を12年間運営し、自身もシングルで4人の子を育てた代表者から、同じ話を聞いたことがあるという。なかなか言う人がいないし、批判もあるかもしれない。それでも現実的にはそれしかない、とその代表ははっきり語っていた。愛沢氏はこれに強く共感したと話す。

石氏は「魔法はない」と応じた。SNSでは成功した人が輝いて見えるが、そこに至るまでの努力は見えない。楽をして得たものは積み上がらず、突然消える。例として、ままよろを辞めた人のなかに、FXで儲けようとした人がいたことを挙げた。知識のある人たちが第一線で戦う場で、何も知らない人がいきなり数十万円を投じても勝てるわけがない、と石氏は言う。楽して稼ぐことを勧めるSNS発信も多いなか、母親たちには、着実にキャリアを積むこと、国からのお金を当てにしないことを伝えている。

石氏によれば、養育費を当てにしているケースも多い。10年後、20年後に子どもが育ち、養育費も手当もなくなって「さあどうしよう」となる40代、50代の母親が、実は結構いるという。石氏はこれを楽をしてきた結果だと見る。一方で、50代からでもできることはあり、北海道には50代で活躍している会員もいる。変われる人は「めちゃめちゃ素直」で、マインドチェンジの話をすっと受け入れる。変わらない人は貧困のままになる。ここがマインドの分かれ道だと石氏は考えている。

だからこそ、一般社団法人を通じてマインドセットの講座を全国に広げたいという。講座の中身は「厳しいことしか言ってない」と石氏は笑う。離婚したのはあなたにも責任がある、といったことまで伝える。養育費を受け取っていながら元夫の悪口を言い続けていると、それが相手にも伝わり、最終的に払ってもらえなくなることもある。すべては自分次第だ、と石氏は語った。

愛沢氏はここに共感し、シングルであってもなくても、これからの時代は自分でスキルを上げ、それに見合った対価が給料になる、それしかないという結論だと整理した。

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お金をかけずに、まず自分を分析し、動く

では具体的にどうスキルを上げればよいのか。愛沢氏は、スクールは数多くあるが、闇雲に資格を取ればよいとも思わないと前置きして尋ねた。

石氏は、何をしたらいいかわからない人が多く、その際に「お金を払えばスキルが身につく」と勘違いしがちだと指摘する。ままよろに来る母親の多くは、どこかにお金をかけたものの結果が出ずに困っている。200万円をかけた人もいた。その人は今ままよろで大活躍しているが、石氏は「それはもうしょうがない」と伝えたうえで、迷っているときはむやみにお金をかけず、自分と向き合う時間をとるよう助言したという。

石氏は、人は得意なことを伸ばしたほうがよいと考えている。石氏自身は話すのが得意で、実務や数字は大の苦手だ。数字まわりは税理士と夫に任せ、自分は確認だけしている。まず自分の得意・不得意を分析し、学びながら楽しく成長できそうなジャンルを見つける。さらに、そのジャンルで活躍している人を調べる。

石氏は起業時の経験も語った。シングルマザーが輝ける会社をつくろうとしたが、拠点の静岡には手本になる会社がなかった。そこで全国を調べ、ある会社の社長に思いを綴った手紙を出した。返事は来なかったという。それでも、行動を起こして人に聞きに行くこと、無料で学ぶことが大事だと石氏は言う。実際にやってみると好きではないとわかることもある。多くの人はやりもせずに頭のなかで「無理」の理由を並べ、結局やらない。石氏自身、20万円で起業したときは、どうやってシングルマザーに仕事を生み出すかもノープランだった。お金がないなかで、お金をかけずにできることを試し続けた結果、道が見えてきたという。

もう一つ大事なのは、相手が何を求めているかを確認することだ。会社が求めていないことを勝手に勉強しても、役に立たない。今の会社で収入を上げたいなら、社長や上司に、何をすれば会社の役に立てるか、何をすれば昇給・昇格できるかを確認する。明確なゴールを決め、逆算して何を学ぶかを決める。起業でも同じだという。石氏は「お金をかけずに何ができるか」を、母親たちに「うるさいぐらい」言っていると話した。

愛沢氏は、これは起業にも通じると応じた。最初からお金をかけようとする、知識ばかり集めて行動できない、目の前より先のことを考えすぎる。そうした傾向は自分の経験にもあったという。リスクを取らずお金をかけなければ身動きしやすく、精神的にも楽になる。

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続ける仕組みと、環境の力

石氏は、やり続けられない人が多いとも指摘した。自分と向き合うことには、どうすればモチベーションを保てるかを知ることも含まれる。石氏は12歳で日本に来たため、今も日本語の文字を読むのが苦手だ。一方で耳はよく、聞いたことを覚えていられる。そのため本ではなく、YouTubeなどを聞いて学んでいる。

また、多くの人はインプットばかりをコレクターのように集め、アウトプットしないまま年を取ってしまうと石氏は言う。なりたい姿は口に出してよい。恥ずかしいことではないし、それを応援してくれない人は本当の仲間ではない。環境が人を変えるので、向上心のある人たちのなかに入ることを勧めた。愛沢氏は、シングルマザーだからと諦めている人もいるかもしれないが、引け目を感じる必要はないと述べた。シングルであってもなくても、できることをこつこつ積み重ねていくことに変わりはない、と。

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子育ての悩み:子どもは思い通りにならない

アンケート2位は子育ての悩みだった。しつけが難しい、悩みを共有できる人がいない、子どもに発達障害があり学校生活や人間関係がうまくいかず心配、自分自身が相談できる場がほしい、といった声が寄せられた。

石氏は「これはシングルに限らずみんな悩んでいる」と言う。石氏の子どもは14歳、12歳、もうすぐ3歳の3人で、全員女の子だ。シングルのときも今も、同じ悩みを常に抱えているという。

会員からは「稼ぎたいが、これ以上子どもとの時間を削りたくない」という相談も来る。石氏の答えは、何を優先するかで決めるべきで、状況によって変わる、というものだ。子どもが不登校になり、今いちばん親を必要としているなら、向き合う時間をしっかりとるべきだ。一方で、子離れできていない親も多いと石氏は見ている。しっかり稼ぐことが子どもの豊かさにもつながるので、メリハリが大事だという。「4時間だけ働いて子どもとずっと一緒にいたい」というのも、お金があるならよい。だが、ないのにそう言うなら「働こうよ」という話になる。

石氏の結論は、子どもを自分の思い通りにはできない、ということだ。思い通りにしようとするから悩む。石氏は子どもたちに、一人の人間としての「やりたいことリスト」を書かせ、それを一緒に叶えている。親のほうから歩み寄り、最終的には「ママはやってくれるよね」と思える関係をつくろうとしている。自分が正しいと押しつけてしまったときは、あとで反省して謝ることもあるという。親子という関係である前に、一人の人間として尊重して接することが大事だと語った。

愛沢氏もこれに共感した。愛沢氏の娘はまだ幼いが、もう赤ちゃんではない。娘には娘の人生があり、自分には自分の人生がある。そう割り切ってから悩みはだいぶ減ったという。ただし、歩み寄るだけが良い関係をつくるわけではないとも話した。

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前向きなコミュニティの不足と「再現性」

愛沢氏は、悩みを共有できる人がいないのはつらいだろうと述べた。SNSでは他人がよく見えるか、逆に極端にネガティブな部分に引っ張られるかになりがちだ。気軽に友達のように話せるコミュニティがあればいい、と問いかけた。

石氏は、シングルマザーのコミュニティにはネガティブなものが多く、前向きなものは非常に少ないと答えた。離婚の理由を延々と語り合う場か、将来いくら稼ぎたいか、何を勉強しているかを話す場か。両極端だが、前者が圧倒的に多いという。石氏はその理由を、支援団体の多くが物資配布など「負」へのサポートをしており、未来に向けたマインドセットに取り組むところがほとんどないためだと見ている。

石氏は今、一般社団法人でこれに取り組んでいる。こだわっているのは「仕組み化」と「再現性」だ。似たことを言う団体はあっても、仕組み化されていなければ「あなただからできるんでしょ」で終わってしまう。どんなワークをすれば、どんな思考やプラン、目標を持てるようになるのかを一緒につくり上げる必要がある。講座で話を聞いても、家に帰れば日々に追われて終わってしまうからだ。石氏は、例えば100人が受講して1割の10人がその場で変わり、行動が変わればよいと考えている。みんなで華やかに集まってリーダーだけが目立つような場は好きではない、とも話した。愛沢氏はこの取り組みにぜひ参加したいと申し出た。

石氏はさらに、一般社団法人やNPOの多くは財源を持たないと指摘する。国の補助金や助成金が中心で、寄付はそれほど集まらない。そのため、活動するメンバーに十分な報酬を払えず苦労している団体が多いという。愛沢氏は、事業の裏付けがあってこそ支援が続けられるということだと受け止めた。

子育ての話の締めくくりに、石氏はもう一つ付け加えた。子どもに誇れる親であってほしい、ということだ。ままよろではスタッフに「宣言文」を唱えてもらっており、その内容は「子どもに誇れる人生を歩むこと」だという。子どもは親の背中を100%見ている。子どもに良くなってほしいなら、まずあなたが良くなりなさい。石氏はそう伝えている。

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働き方の悩み:ダブルワークは「根を張る場所」を探す期間

アンケート3位は働き方だった。保育園に預けて働くべきか、在宅で子どもを見ながら働くべきか迷っている、正社員への道がない、本業と副業の両立が難しい、といった声が挙がった。愛沢氏は前回の対談で、地方のシングルマザーにはダブルワークやトリプルワークをしている人が多いと聞き、衝撃を受けたと振り返った。

石氏は、一時的なダブルワークやトリプルワークは仕方がない時期もあると認める。石氏自身も、前の職場に理解がなく辞めて、いくつかの仕事を掛け持ちした経験がある。ただ、それを一生続けるのは困る。実家に戻るのと同じで、一生実家にいるわけにはいかない。いくつかの仕事をするなかで、どれに力を注ぎ、一つに絞って目標を達成していくのかを見つける期間は誰にでもある。しかし、それに追われて飲み込まれてしまうのはよくない、と石氏は言う。

ままよろで働く母親にも、本業を持ちながら副業として、しかも案件を2つ、3つと掛け持ちしている人がいる。経験値が積めるので、本当にやりたいことが見えてくるという利点がある。石氏が挙げた例はこうだ。テレアポが得意な人は話すことが得意なので、次の段階はセールスになる。他人の商品をZoom上で売れるようになれば、時給も価値も上がる。さらに進めば、仲介を通さずに自分で顧客を取り、直接もっと高い報酬を得られる。

逆に、ノープランでダブルワークやトリプルワークを続けると、気づけば年を重ね、キャリアも積めず、履歴書に正社員と書けない状態になってしまう。結局は最初のテーマに戻り、目標と目的を持って「いつまでにこれをこうする」と決めることが大事だと石氏は言う。そのために睡眠時間を削って勉強する時期があってもよいが、最終的には一つに絞ったほうがよい。体が持たないからだ。石氏はこれを「根を張る」と表現した。どこに根を張るかを見つけるためにいろいろ試すのはかまわない。ただ、最終的に決めたことをやり通すのが子どもに誇れる生き方であり、あれもこれも中途半端だと、子どもから「何もやってないあなたが私に言わないで」と言われてしまう、と。

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期限とゴールを決める:石氏自身の目標

愛沢氏は、自分もこの点で悩んできたと明かし、期間を決めることに共感すると述べた。仕事を頑張りたいと思うと「いつまで」と考えてしまうが、期間とゴールを決め、そこからまた考え直せばよい。

石氏は、自身も50歳までに社長を退くと公言していると話した。そのために後継者を育てている。相談事項が上がってきたら、まずその後継者に「自分ならどうするか」を聞き、自分の判断とずれていないかを照らし合わせているという。

一般社団法人では、50歳までに13万人のシングルマザーが集まるコミュニティをつくると決めている。全国のシングルマザーの1割に何らかの影響を与えられれば日本は良くなる、と石氏は考えている。それは子どものためでもある。子どもたちに罪はないので、せめて1割のシングルマザーが、マインドを整えよう、スキルを身につけよう、一歩動いてみようと思えるコミュニティをつくりたい、と語った。

石氏は、母親の「馬力」はすごいとも言う。ゴールさえ決まれば頑張れる。ただ、目が子ども以外、例えば男性に向いてしまうとおかしくなる。だからカリキュラムでは、子どもにきちんと目を向け、「自分を持つ」ことを育てたいという。

地方のシングルマザーは、こうした考え方に出会う機会が少ない、と石氏は指摘する。「意識高い系」の人が周りにあまりいないため、環境に飲み込まれてしまう。そこで今、行政との連携を進めており、静岡県内のある市と連携協定を結ぶ方向で動いている。市のお墨付きがあると、母親たちは安心して講座を受けてくれるという。

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「何もやっていない」相談者たちと、遠回りに見える近道

愛沢氏が、ベストな環境を探すことも大事だが、ベストな環境をつくっていくのも自分だと述べると、石氏はこう続けた。社長からも母親からも相談を受けるが、「これはやったのか、あれはやったのか」と聞くと、何もやっていない人が多い。例えば、売上を上げるためにマーケティングをしたい、広告費がないから融資を受けたいという社長がいる。だが融資の前に、足を使って飛び込み営業をしたか、これまで会った人に丁寧にお礼をしたか、と聞くとやっていない。こつこつやるべきことをやっていないから結果が出ないのではないか、と石氏は言う。

愛沢氏はこの議論を、物理的な支援が必要な時期はあるとしたうえで、自分を成長させて価値を高め、それに見合った対価を得ることが「遠回りに見えて一番の近道」だとまとめた。石氏も、お金がないと心まで苦しくなるが、稼げるようになれば心も良くなると付け加えた。

石氏によれば、ままよろは7年目に入り、登録者は約2,800人にのぼる。それでも石氏は、出会った母親たちに必ず「変わるのは結局あなたで、私たちがあなたを変えることはできない」と伝えている。自分たちにできるのは、こつこつしたことを伝えることだけだ、と。

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落ち込んだときの切り替え方

最後に、悩みとは別に質問が多かった「落ち込んだときの気持ちの切り替え方」が取り上げられた。

石氏には決まったパターンがある。一つは、必ずハッピーエンドのポジティブな映画を観て、その世界に入り込むこと。例に挙げたのは『プラダを着た悪魔』で、よく観るという。尊敬する経営者のスピーチを聞くこともある。部品づくりを手がける「うえまつさん」という経営者のTEDでのスピーチを、泣きながら聞くという。ほかにも、一人でドライブに出かけて浜崎あゆみの曲を聴きながら泣いたり、静岡の富士山がきれいに見えるホテルでひたすらぼんやりしたりする。感情を吐き出すことで、逆に気持ちをコントロールしているのだという。切り替えは早く、一瞬で済むこともあり、悩んでも寝ればたいてい忘れる。考えても現状は変わらないので、何をすればよいかを考えるようにしており、引きずらないと語った。

愛沢氏の方法は「寝る」だ。子どもが生まれてからは、落ち込んでいる時間がもったいなく、そもそも落ち込むことが減ったという。それでも落ち込んだときは、落ち込んでも未来は変わらない、なるようになると自分に言い聞かせて寝る。

石氏は会員に、見えない未来を今この瞬間に悩んでいるのは「暇なんだね」と冗談めかして言うことがある。60歳以降の老後を今から悩んでいる人には「暇じゃん、じゃあ仕事増やそうか」と返すという。本質は、悩む暇がないほど充実した日々を送る人のほうが輝く、ということだ。講座には、どうすれば自分の気持ちがポジティブになるかを見つける「ポジティブスイッチ」というワークもある。愛沢氏は、スイッチは人によって違うので、いろいろ試してみるとよいと応じた。

対談の終わりに愛沢氏は、苦労した時期を経て今は再婚し活躍している石氏の話は希望になると述べた。今が大変でも、ゴールさえ決めれば成長の時期だと思える。耐える時期は人によって違うので、周りと比べずに自分の人生を生きていこう、と視聴者に呼びかけた。二人は今後もこのテーマを掘り下げ、石氏のコミュニティづくりにも一緒に関わっていきたいと確認して、対談を締めくくった。