精神科医・益田裕介氏が語る大人の発達障害:「努力しても変えられない部分」とどう付き合うか

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概要

精神科医の益田裕介氏(早稲田メンタルクリニック院長)をゲストに、MCの愛沢えみり氏が「大人の発達障害」の基礎を尋ねた対談である。愛沢氏は冒頭で、自分自身にも気になるところがあるが深くは理解できていないと話す。益田氏は発達障害を「脳の生まれつきの特性」と位置づけ、本人を変えようとするよりも、特性が欠点に見えない場所を探すことが大事だと繰り返した。話はADHDとASDの違いから受診の目安、うつとの関係、生き方の考え方にまで及んだ。

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転校、自衛隊、2600万円の返済を経た経歴

益田氏は1984年生まれで、子どもの頃は2年ごとに転校していた。そのたびに友達がいなくなり、目立つといじめられそうになったため、友達づくりに苦労したという。益田氏は自分にも「発達障害っぽいところ」があると話す。ADHD的な傾向があり、感情的になりすぎることもあった。転校生なのに悪目立ちしていじめられかける、それをどう逃れるかという子ども時代で、中学時代は少し暗かったと振り返る。

その後、自衛隊の医学部である防衛医大に進んだ。自衛隊に入ればうまくいくかと思ったが、集団行動がまったく合わなかった。なんとか進級して卒業したものの、自衛隊をクビになるのではないかと思うほど苦労したという。学生時代を含めて13〜14年在籍し、最後は自分のキャリアを考えて退職した。義務年限は9年だったが7年ほどで辞めたため、2600万円を支払う必要があった。貯金が約1600万円あり、残り約1000万円は親の退職金を借りて払った。その後アルバイトをしながら親に返済し、2018年に開業した。2019年からYouTubeを始め、2022年からはオンラインの患者会や家族会も運営している。

現在は診察とYouTubeの撮影、患者会の運営が中心だ。患者会は患者同士が集まって愚痴を言い合う場で、「全然お金にならない」と益田氏は笑う。最近はリワークのプロデュースも始めた。うつで休職した人がいきなり職場に戻るのは大変なので、復職前に半年ほど模擬職場で訓練する取り組みである。

「精神科を選ぶ人は病んでいる」

愛沢氏が、こうした活動はご自身の体験から来ているのかと尋ねると、益田氏は「そうだと思いますよ」と答えた。精神科を選ぶ医師は病んでいて、苦労したことがない人はやらない、というのが益田氏の見方である。

具体例として益田氏が挙げたのは学生時代の失恋だ。大学生のとき彼女と別れたのがつらすぎて、泣いたり怒ったりと本当にひどかった。寮生活なのに泣いていて情けなかったという。愛沢氏は、精神科の医師にも当事者に近い人が多いと聞いて安心したと応じ、病院に行くハードルが高い人にとっても共感してもらいやすいのではないかと話した。

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発達障害とは「頑張ってもできないこと」がある状態

発達障害とは何かという問いに、益田氏はまず「他の人が当たり前にできることが、どんなに努力してもできない」状態だと説明した。そうした経験がない人も多いが、一部の人にはある。忘れ物をするな、チェックしろと言われて頑張っても、できない。怠けているわけではないのに遅刻してしまう。これが発達障害だという。

頑張ってもできない理由について、益田氏は「心は脳だから」と説明する。心は脳が生み出した現象で、脳の機能の問題だから、できる人もいればできない人もいる。益田氏は自分がダンスが苦手だという例を出し、運動神経や歌のうまさ、算数ができるかどうかと同じく、生まれつきの部分が大きいと話した。どんなに頑張っても当たり前のことができないのは生まれつきの問題で、それを脳の機能の一部の「障害」と呼ぶこともできるし、「劣性」と呼ぶこともできる、という立場だ。

益田氏は、こうした特性の評価は環境によって変わるとも説明した。太りやすい人や筋肉がつきやすい人は、原始時代なら他の人より長生きしやすく、よい性質だった。どれだけ食べても太れない人は、原始時代なら不利な性質になる。発達障害もこれと似ていて、たとえばADHDの人は衝動的で好奇心が強く、新しい場所へ出ていくので、時代によっては社長などに向いている。そういう人ばかりでは困るが、一定数は必要だという。

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「治すべきか」は左利きに近い

愛沢氏が、病気というより特徴の一つと考えると近いのか、治した方がいいのかと尋ねると、益田氏は左利きにたとえた。社会の中では右利きに合わせた方が便利だが、根本的には治らない。それでも不便なので、右手も使いながら慣らしていく。発達障害との付き合い方もそれに近いと益田氏は説明した。愛沢氏は「不便」という言葉が分かりやすいと受け止めた。

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子どもの発達障害と大人の発達障害

大人と子どもの発達障害は別物かという質問に、益田氏は「一緒です」と答えた。子どもの頃の特性がそのまま大人まで続いたものが、大人の発達障害だという。

ただし、子どもの頃に指摘された特性が大人になっても必ず残るとは限らない。益田氏によれば、子どもは能力のデコボコを抱えながら成長する。風船がふくらむように、すべての能力が均等に伸びるわけではない。親は、ここはできるのになぜここはできないのかと悩みがちだが、大人に近づくにつれて丸くなっていく。そのため、子どもの頃に発達障害と言われても、大人になってデコボコが残っているかどうかは別の問題になる。愛沢氏は自分の子どものことも気になると話し、子どもの発達障害については改めて別のテーマで聞くことになった。

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ADHD:「毎日お祭りに行っている」タイプ

益田氏はADHDとASDの違いを「能力のデコボコ」として説明した。ADHDは集中を続けるのが苦手な人で、すぐ気がそれる、注意散漫になる、あちこちに行ってしまう、一つのことを続けられずに飽きてしまう、といった特徴がある。起業家や社長に多く、常にスマホをいじって新しいものを買い、「失敗だった」「買わなきゃよかった」と言うような人がADHDらしい、と益田氏は例を挙げた。衝動性が高いので感情も衝動的に出やすく、急に泣いたり怒ったりする。多くの人はそもそも感情がそこまで衝動的には出ない、と益田氏は話す。

益田氏はADHDらしさを「わーっとお祭りだ」という感覚にたとえた。愛沢氏が、自分にとってはその「お祭りタイプ」が普通だったと話すと、益田氏は、周りにADHD的な人が集まっていたのかもしれないと応じた。他の人にとってお祭りは週末だけのもので、金曜に飲み会があっても何日も連続では行かない。ADHDの人は毎日お祭りを歩き回っているので、周りもみんなそうだと思ってしまう、という説明である。愛沢氏はこの時点で自分がどのタイプか分かってきたと話した。

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ASD:「学者タイプ」と注意の偏り

ASDについて益田氏は、ADHDとは逆の「学者タイプ」だと説明した。一つのことに集中するオタク気質で、分かりやすい例は鉄道オタクだという。電車の音を聞いたり時刻表を見たりするだけで何線か分かる、というように、何かを極めている。

その反面、他のことはほとんど知らず、注意が偏る。相手の気持ちがよく分からないのも、見えていないというより関心がそもそもないためだと益田氏は説明する。電車は大好きなのに服装には関心がない、自分の関心事は深く考えるのに相手のことは考えない、といった形で表れるという。

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受診する人の多くは「うつ状態」で来る

どの程度なら気にすべきか、受診や治療が必要なのはどんなときかという問いに、益田氏は実際の診療の様子から答えた。精神科に来る患者は、たいていうつ状態で来る。怒られすぎて元気がなくなった、夫婦喧嘩が多くて落ち込んでいる、といった理由で受診するが、うつになった原因をたどると発達障害だと益田氏は考えている。

益田氏の説明では、精神科の病気はストレスが溜まった結果として出てくる。心の病気は、脳が疲労によって衰弱した状態である。お酒を飲みすぎて肝臓が弱るのや、筋肉を使いすぎて筋肉痛になるのと同じで、脳も使いすぎてプレッシャーをかけすぎると炎症が起き、へたってうつになる。そのため、うつを良くしながら、ストレスの原因である発達特性のケアもする必要がある。愛沢氏は、ADHDだからまずいと単独で心配するより、うつなど大きな問題が出たときに受診するという順序なのだと受け止め、益田氏も同意した。

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特性は長所でもあり、「ガチ勢」は強い

益田氏は、特性は個性であり、よい面もあると強調した。強く集中できる人は学者として成功できるし、あちこちに注意が向いてお祭りを回っている人は営業マンとして成功することもある。普通の人はお祭りがあったら2〜3日休みたいと感じるが、それはつまらないから行こうと言える人もいる。それは長所でもあり欠点でもある性質で、そこをうまく合う場所にはめてあげることが大事だという。愛沢氏が、自分の特性に向き合ったうえで仕事を選ぶと伸びるということかと確認すると、益田氏は「環境も選ぶ」と付け加えた。

愛沢氏は、ネット上のADHDチェックリストが一人歩きしている印象があると指摘した。何個当てはまったらADHDかも、と書かれていても、その先がない。益田氏は、当てはまること自体はまずくないと答え、むしろそれくらいの特性がないと勝負には負けてしまうと話した。普通の人が頑張ってお祭りに参加するより、お祭り好きの人の方が強い。せっかくJRに入ったのだから電車を勉強しようという人より、もともとの鉄道好きの方が勝てる。勝負事はそういうものだと思ってうまくやればいい、というのが益田氏の考えだ。

特性が目立たず発達障害ではないと言われた人については、普通に生きればいいと益田氏は言う。長所を見つけるには、いろいろな人に意見を聞いて自分の能力を知ること、子ども時代に何が好きだったか、何に興味があったかを振り返ることを挙げた。加えて世の中のニーズも考える。たとえば今ならAIや量子コンピューターに取り組めば、10〜20年続けた先でその道のひとかどの人物になれる。そうやって選んでいけばいい、と益田氏は話した。

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能力は遺伝子レベルで決まる部分が大きい、だから割り切る

益田氏は、多くの人は生まれたときはみな平等で努力次第で変わると思っているが、実際には生まれたときに大体決まっていることが多いと語った。遺伝子レベルで決まる部分が大きく、成長の仕方や教育の影響もあるにはあるが、それほど大きくはないという見方である。今はインターネットもあり、勉強についてはみんな平等に機会があるため差がつきにくく、才能の差が出てしまう。その後は職場環境でも変わるが、基本的には才能や運、つまり遺伝子レベルで決まってしまう、と益田氏は話した。

愛沢氏が「残酷じゃないですか」「どうしたらいいですか」と問うと、益田氏は「なんとかならない」と割り切って生きればいいと答えた。続けて、お金持ちだからといって幸せとは限らないと話す。親しくしている美容外科医は非常に裕福だが、一緒にいるときに特別な高級料理を食べるわけではなく、意外と関係ない。成功と幸せはあまり関係がないというのが益田氏の考えだ。悩まずに、ある程度あきらめつつ、自分なりに楽しいことをしていれば、今の時代に餓死することはない。運が良ければ成功するので、そのときはラッキーくらいに思っておけばいい。成功は人生にとってそれほど大事なものでもない、と言うと失礼かもしれないが、と益田氏は付け加えた。

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欠点が欠点に見えない場所へ行く

この議論の結論として益田氏が示したのが、「欠点が欠点と見えない場所に行けばいい」という考え方だ。例に挙げたのは益田氏自身である。ヘラヘラしてYouTubeで喋っている今の姿は、自衛隊にいたら欠点でしかない。余計なことをパッパと喋り、決められたことをせず自由に話していれば、自衛隊ではいじめられる。しかしYouTuberの世界では、それがむしろ長所になる。そうしたことをうまく割り切っていくことが大事だと益田氏は話した。

愛沢氏が、こうしたことは言いづらい内容ではないかと言うと、益田氏は、医師は最後の一言を言う立場だと答えた。「あなたはもう働けません」「うつだから休みましょう」「あなたは発達障害だからこれは苦手だと思う」といった最後の決定打を言うのが自分の役割であり、自分が言わなければ誰が言うのか、と益田氏は話す。言われた側はショックを受けることもあるが、そういう役割だという。

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うつは「止まれ」のサイン

愛沢氏が、うつになってしまうのも仕方のないことなのかと尋ねると、益田氏は、うつになったことは一つのサインだと答えた。うつや不安にならないことを目指すのではなく、なったのだから働き方を見直そう、と考える。ストレスの原因になっている問題があってうつになっているのだから、うつそのものではなく、原因の側を切り替えようということだ。

益田氏は、50代になると体がついていかなくなり、出世をあきらめることがあるとも話した。もう少し頑張りたいと思った矢先にうつになり、それを神様の「止まれ」のサインだと受け止めて、働く時間を見直す人もいるという。愛沢氏は、うつにならない方法やうつの人との付き合い方を考えるとネガティブな感情になりがちだが、「サインだから原因を考えればいい」というのはシンプルだと受け止めた。

益田氏は、人は苦手なことをあえて選びがちだとも話した。自身も集団生活がうまくいかなかったのに、20年以上前に自衛隊を選んだ。自分と真逆のものを目指したので当然うまくいかず、生き方を変えることになった。そのままうまくいく人もいれば、180度方向転換する人もいる。違ったら方向を変えればよく、人には適応力があると益田氏は語った。

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薬は「補助」、周囲の理解は得られないこともある

自分がADHDだと分かった場合について、益田氏は、困っていなければそれでよく、仕方ないと思える程度のものだと話した。一方で、周囲の人が怒ってきたときに「自分はADHDだから忘れ物をするんです」と説明しても、「言い訳するな」と怒られることもある。周りが理解してくれたらいいと思いながら、生き方を探っていくことになる。

改善策として薬もあり、飲むと忘れ物が減ることもある。ただし100%良くなるわけではなく、あくまで補助で「ちょっと下駄を履かせてもらう」程度だと益田氏は説明する。完治は目指さなくていいし、そもそも目指せない。周囲の理解を求めたり、生き方を変えたりすることの方が大事だという。

理解してもらうコツを問われると、益田氏は「難しい」と答えた。心の問題は目に見えないので、理解できない人が一定数いる。親なのに理解してくれない、パートナーなのに理解してくれない、ということはよくある。理解してもらえないこともあり、それが悲しいというのが「精神科の真実」だと益田氏は語った。そもそも関心を持たない人もいる。だからこそ、苦手なところを避けて生きやすいところを目指す。理解してくれる人とは付き合い、理解してくれない人とはほどほどに付き合う。そうしたしたたかさも必要だという。当事者同士なら理解し合えても、まったく違う考えの人を100%理解するのは難しいので、「しょうがない」と思うことも大事だと益田氏は話す。愛沢氏は、精神科医に「しょうがない」と言われると安心感があると応じた。

23:56

戦う相手を見極め、自分をはめていく

益田氏は、カウンセリングなどで良くなっていくケースもあると話した。視聴者は20〜30代が多いので「こいつ何を言っているんだ」と思うかもしれないが、いろいろ叩かれながら「そうだな」と受け入れていくと、戦うべき相手を見極める目がついてきて、生きやすくなるという。日本には福祉も多くある。かなわない相手と戦ってもうまくいかないので、別の方向で戦う、ということだ。

これは自分の問題であり、周囲の問題でもある。自分がどういう特性なのかを理解したうえで、相手や社会を知る。ここなら勝てる、ここなら問題なさそうだという場所を探し、自分をはめていく作業だと益田氏は説明した。自衛隊で出世を目指してもうまくいかないのは合っていないからで、組織の側も「お前は違うだろう」となり、組織とぶつかれば個人が負ける。しかし別の場所なら「その個性いいじゃん」となることもよくある、と益田氏は話す。

25:09

合う場所は「奇跡みたいに」見つかる

そうした場所は、一人で悩んでいると分からない。受診したり、当事者同士で情報をシェアしたりすると、案外見つかるという。益田氏によれば、見つかり方は奇跡のようなものが多い。益田氏自身、子どもの頃は学芸会で前に出るタイプでもなく、人前で話すこともなかった。なぜYouTubeで成功したのかよく分からないが、そうした「奇跡みたいなこと」はなぜか見つかるのだと話す。

愛沢氏も、人前に出るのが苦手で集団行動も苦手だったのに、人前に出る仕事を選び、そこに楽しさややりがいを感じていると共感した。社長業でも、思っていたのとは違うところでうまくいくことの連続だという。益田氏は、奇跡のような出会いは意外とあり、臨床の実感では1年に1回くらいはやってくると話した。

ただし最初からうまくいくわけではない。周りにどんな人がいるのか、生い立ちはどうだったのか、趣味は何かを考えて、ここかなと選んでみる。難しかったら次へ行き、それも無理なら別の場所へ行く。そうしてたまたまいい人に出会い、振り返ると奇跡のようだったと分かる。その奇跡のようなことは誰にでも起きている、と益田氏は語った。悩まずにいろいろ試し、へこたれずに「仕方ない」と思ってやっていればいい。益田氏はその姿勢を「ネガティブだけどポジティブ」と表現し、「なんとかなるだろう」と思っておけばいいと話した。

28:00

受診のメリット:手帳、障害年金、低い費用

診断を受けるべきかどうかについて、益田氏は制度面のメリットを挙げた。精神障害者手帳は初診から半年経つと取得でき、公共交通機関の運賃が半額になるなどの割引がある。手帳を持つと税の控除で税金が少し安くなり、手取りが増える。障害者雇用の枠もある。そのために受診するのもよいと益田氏は話す。また、初診から1年半経つと障害年金を申請でき、月に数万円を受け取れることもある。生活の足しになり、障害年金を受け取りながら普通に働いている人も多いという。福祉や医療につながると得をすることが結構あるので、生きづらさを感じている人はつながるといい、というのが益田氏の勧めだ。

受診のハードルについて、益田氏は「低いよ」と答えた。来院者は男女も職業もさまざまで、精神科の初診料はそれほど高くなく、初診でも1500円程度だという。数千円で医師に相談でき、自立支援医療を使えば500円ほどで専門家と話せる。医師が直接対応できない問題でも、弁護士や保健所など次の行き先を教えてもらえることがある。チェックリストに当てはまっても特に困っていなければそのままでいいし、20〜30代でうまくいっていても40〜50代でまた悩むことがあるので、そのときに行ってみればいいと益田氏は話した。

結論:自分を変えるより、生きやすい場所を探す

対談の最後に愛沢氏は、「このままでいいんだ」と思えたことが率直な感想だと話した。益田氏は、そのままでいいから場所を変えてあげることが大事だと応じた。人間は基本的に変えられず、自分も変えられない。だから自分を変えようとするより、医療などいろいろなものに手伝ってもらいながら、生きやすい場所で生きる方がいいというのが益田氏の結論である。自己理解と周囲の環境を考え、はまる場所を探す。1年に1回くらいはラッキーがあると信じて、「なんとかなる、餓死もしない」と構えておけばいい、と益田氏は締めくくった。