「どこ?」から始まったセルビア・ベオグラード一泊旅:観光地の少なさと、市場や大聖堂で出会った光景

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概要

旅系YouTuberのおさださんが、首都ベオグラードに1日だけ滞在した記録である。おさださんにとってセルビアは、次の次に行く国への乗り継ぎ地としてたまたま候補に出てきて気になった国にすぎない。出発前の「作戦会議」(視聴者参加の配信)でも、寄せられたコメントは「どこ?」ばかりだったという。事前に調べて分かったのは、バルカン半島の中央に位置する内陸国であることと、Googleの情報では「美人が多い」らしいことくらいで、今回の目標は「頑張る」とだけ掲げている。本当に何も知らない国を、1日歩いてどう感じたかが動画の中心になっている。

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出発前:通貨、配車アプリ、空港送迎の不安

おさださんはパリのシャルル・ド・ゴール空港から、20時35分発のエアセルビア便でベオグラードへ向かった。この動画の前には両親とフランス、スペインを旅行していた。エアセルビアに乗るのは初めてである。

事前の下調べでは、日本人は入国書類なしでパスポートだけで入国できるという。ヨーロッパに位置する国だがユーロは使いづらく、独自通貨のセルビア・ディナールが流通している。一番の不安は現地の移動手段だった。Uberが使えず、代わりに使えるとされる配車アプリ(字幕では「ヤンデックスGO」らしき名前が挙がるが、本人も名前をはっきり把握していない)はクレジットカードの登録ができなかった。いつも使っているKlookの空港送迎もセルビアでは使えない。通信はKlookのヨーロッパ向けeSIMを登録してあり、1GBあたり120円だったと記憶している。

さらに便は1時間遅れ、到着は深夜になることが決まった。機内の印象は「普通のLCCみたい」で、フランスからの所要時間は約2時間半だった。

深夜のニコラ・テスラ空港と市内への移動手段

ベオグラードのニコラ・テスラ空港に着いたのは24時半だった。入国審査はパスポートを見せて押印してもらうだけで、スムーズに通過できた。荷物受取所のATMで3000ディナールを引き出そうとしたが、実際に出てきたのは2000ディナールだけで、「全然心もとない」と不安を口にしている。

それでも現金が少なくて済んだのは、別の配車アプリ「CarGo」が見つかったからだ。VisaかMastercardに限られるものの、クレジットカードを登録できた。滞在は1日だけなので、手持ちの現金で足りなければその時考える、という判断である。

空港から市内への選択肢として、おさださんは次の3つを紹介している。

  • 空港出口すぐの赤いA1ミニバス(乗り合い):市内の広場まで400ディナール、約600円
  • 公共バス72番:無料。深夜帯は72Nが走るが、次の便は1時間半後で、ホテル付近に着くのは2時半になる
  • 配車アプリ:1700ディナール、約3000円で、所要約19分

公共交通が無料である理由について、おさださんは調べた内容を次のように説明する。生活費対策の政策として2023年から無料化され、市内のバス、トラム、トロリーバスがすべて無料になった。政府への不満が高まったことを受けて政府が全面無料化を打ち出し、その対象が観光客にまで及んだ、というのがおさださんの理解で、「勢い余っちゃった感じ」と表現している。

深夜だったため、結局は配車アプリを使った。ドライバーとWhatsAppで連絡を取り合い、到着階の1つ上にある出発階の5番付近で落ち合った。おさださんは、1階のタクシー乗り場には配車アプリの車が入れないのかもしれないと推測している。

マジェスティック・ホテルと1泊1万4000円の部屋

空港から約20分でホテル近くに着いたが、車はホテルの前まで入れず、暗い坂道を歩いて上った。車内から見た限り治安はそれほど悪くなさそうだったものの、深夜1時なので、何かあったときのためにカメラを回し続けたという。途中、体格のいい男性3人とすれ違った場面では「胸張って歩きます」と冗談を言っている。

宿泊先はマジェスティック・ホテルである。フロントの年配男性は無言でチェックインを済ませた。案内された405号室は建物が古く、「お化けとか出そう」とおさださんは言う。サンダルと水は用意されていたが、室内には古い建物特有のにおいがあった。電気のスイッチと間違えそうな位置にSOSボタンがあり、驚く場面もある。水回りには便器が2つ並ぶタイプの設備があった。料金は1泊1万4000円で、おさださんは「ヨーロッパにあると見て、こんなもんだったら意外とコスパいいんじゃないか」と評価している。

朝食はブレクと飲むヨーグルト

翌朝、明るい中で見た街並みを、おさださんは「綺麗といえば綺麗」で、治安もそれほど悪くなさそうだと感じている。看板にはセルビア語が並ぶが、英語もある程度は通じる印象だった。ただ、朝食を食べた店ではほとんど英語が伝わらなかった。

ホテルの朝食は予約していなかったため、バルカン半島で有名な朝食「ブレク」を出す店へ歩いて行った。ホテルから5分ほどの地元向けの店で、チーズとミートの2種類からミートを選んだ。店員の女性たちに勧められて、ヨーグルトもセットにしている。ブレクは味の濃い肉が入ったパイで、ヨーグルトはストローなしで容器から直接飲む、甘くない飲むヨーグルトだった。甘いものが苦手なおさださんには「朝にちょうどいい」組み合わせだったという。合計は290ディナール前後、約450円で、「物価的にはちょっと安め」と感じている。

カフェで調べたベオグラードの背景

朝食の店から10分もかからない歩行者エリアのカフェで、アイスアメリカーノを頼んだ。240ディナール、約300円である。道沿いでくつろぐ客が多く、おさださんは「他のヨーロッパに比べて物価はそんなに高くないのかもしれない」と話す。

ここでおさださんは、調べてきた情報を紹介している。ベオグラードはヨーロッパ最古の都市の1つで、ドナウ川とサヴァ川が合流する場所にある。本当かどうか分からないと前置きしたうえで、セルビアは大の親日国であり、日本との外交関係は140年以上続いているという。日本がベオグラード市に黄色い路線バス(通称「日本のバス」)を多数寄付したことが親日感情のきっかけになったそうだが、おさださん自身はまだそのバスを見ていない。バルカン半島についても、ヨーロッパ東部の地域名で、セルビア、クロアチア、ボスニア、ギリシャなどが含まれ、かつてはユーゴスラビアという1つの国だったものが分裂したらしい、と説明している。本人も「浅いですね、知識が」と認めている。この直後、薬物中毒のような様子の人物にいきなり絡まれ、ふざけるのは控えた方がいいかもしれないと漏らしている。

ベオグラード要塞:「1番の見所」への拍子抜け

次に訪れたのは、観光スポットとして紹介されているベオグラード要塞である。入口へ向かう途中で線路を渡った。訪問は6月上旬で、この日の予報は最高28度、最低17度。撮影時は24度ほどで過ごしやすかった。

要塞は広い公園の中にあり、ベンチ越しにサヴァ川が見える。おさださんは最初ドナウ川だと思ったが、サヴァ川だと言い直している。要塞からは2つの川の合流地点が見えるという。公園内には手動らしい小さな遊具や、「美女と野獣」をモチーフにした遊具があり、おさださんは「ちゃんと契約してるんでしょうか」と冗談を言う。「1周2秒」の小さな回転遊具も紹介している。テニスコートでは、年配の男性が無駄な力を使わずにボールを打っていて、おさださんは「年を重ねると力を抜いて最大出力を出せるようになってくんだろうな」と感心している。

要塞の周辺には恐竜の像や戦車の展示があり、野良犬に吠えられる場面もあった。ところが、トンネルをくぐって中に入ると、要塞として区切られているのはごく一部で、すぐに公園の広場に出てしまった。メモに「ベオグラードの1番の見所」と書いてあったこともあり、おさださんは「もうちょっとちょうだい」と拍子抜けした様子を見せる。最後に、観光客が集まりギターで歌う人もいる高台を見つけ、そこが2つの川の交差を眺める場所だろうと結論づけている。

旧市街の歩行者天国と覚えておきたいセルビア語

旧市街のメインストリートらしい歩行者天国を歩きながら、おさださんは、どの国でも見かけるスターバックスのようなチェーン店がなかなか見当たらないことに気づく。見覚えのある店はいくつかあり、その1つとしてコーヒーチェーンのコスタを挙げているが、それ以外は見たことのない店がほとんどで、看板もセルビア語が中心だった。

そこでセルビア語の簡単な言葉を紹介している。「こんにちは」はズドラーヴォ、「ありがとう」はフヴァラ。ほかに、店で使う「これをください」と「元気ですか」も挙げているが、発音は字幕から正確には聞き取れない。「これをください」を使ってパンを頼む例も示したが、本人は「絶対使えません、これ」と笑っている。

ランチのチェヴァプチチと「観光スポットがない」という本音

昼食には、セルビア名物のチェヴァプチチを出す店に入った。挽き肉を練った料理で、店の説明には「セルビア風のハンバーグやソーセージ」とある。おさださんはソーセージ状のものだけでなく、ハンバーグのような形のものも注文した。肉汁が多く、スパイスがよく効いた濃い味で、上にはバターのようなものが載っていた。おさださんは「セルビアの料理美味しいかもしんない」と評価している。

一方で、ここでおさださんは本音を打ち明ける。セルビアは「飯はうまいけれども観光スポットがない」。午前中の要塞が首都の観光のメインで、それがもう終わってしまった。残る予定は大聖堂と市場で、市場の方が面白そうだという。

無料の路面電車に乗る

移動には、無料の路面電車を試した。Googleマップで確認した「2L」という系統が、予定どおりの時刻に来た。車両はかなり古く、冷房も特にない。ところが走り出すと予定とは違う方向へ進み、おさださんは「このGoogleマップの情報当てにならない」とこぼして途中で降り、歩いて目的地へ向かった。市民も観光客も交通機関が無料なので、市内観光に交通費がかからないのがベオグラードの特徴だと改めて説明しつつ、「観光スポット少ないけどね」と付け加えている。

聖サヴァ大聖堂の大行列と聖母の帯

大聖堂の近くに着くと、100〜200mにわたる長い行列ができていた。おさださんは1000人以上が並んでいると見積もり、海外を回ってきて「人生で1番の行列かもしれない」と驚く。暑さのため列には並ばず、別の入口から中に入った。

聖サヴァ大聖堂の内部は金色に輝いており、おさださんは世界最大級の正教会の教会だと紹介している。行列は堂内のある場所につながっていて、人々は箱の前でキスをしたり額をつけたりしていた。最初は何が行われているのか分からなかったが、調べると、聖母マリアが生前に身につけていたとされる帯が特別展示されていることが分かった。訪問した6月上旬がちょうど展示期間にあたり、各地から信者が拝みに来ていたのである。おさださんはこれを「日本で言う国宝のお守りが祀られていて、全国から信者が来ているようなもの」とたとえ、偶然この時期に来たことに驚いている。

地元の市場とサクランボをつまむおじいさん

大聖堂から歩いて5分ほどの、地元の人しか来ないとされる市場にも立ち寄った。日中は28度まで上がって暑く、市場の活気は「30%ぐらい」とおさださんは表現している。外側には衣料品の店が並び、中央に果物や野菜が集まっていた。バナナ、ブルーベリー、アボカド、トマトなど、普段よく買うものを眺めていると、売り手が見ていない隙に年配の男性がサクランボをつまみ食いする場面に出くわす。ここでもおさださんは、テニスの男性と同じように「おじいちゃんになってくると力がリラックスしている」「達人になればなるほど力まなくなる」と面白がっている。

住宅街のカフェで語った、YouTubeを続けることへの不安

市場の後、住宅街の雰囲気のいいカフェに入った。アイスアメリカーノを頼んだつもりが、出てきたのは温かい、ぬるめのアメリカーノだった。

ここでおさださんはセルビアの印象をまとめる。街並みは古びた落ち着いたヨーロッパ風、観光スポットは非常に少ない、料理は味が濃くしょっぱい肉料理、物価はほかのヨーロッパより安い。わざわざ観光に来る国ではなさそうで、動画としても今のところ面白くないと認める。そのうえで「ここから取り返すのが私のチャンネル」と宣言し、YouTubeについて語り始める。

おさださんはYouTubeを始めて丸3年が経ち、4年目に入った。登録者数は25万3265人で、全員が集まれば聖母の帯より長い行列ができるかもしれない、と冗談を言う。ただ、続けられるのは当たり前ではないという。ほかのYouTuberが次々といなくなり、自分の寿命もそろそろかと思いながら毎日活動していると語る。グループで活動するチャンネルが続かないのは、メンバーそれぞれの成長スピードも価値観も変わっていくからだと考えている。学生時代の友人で今も付き合いのある人はいるかと視聴者に問いかけ、自分には1人もいないと明かしている。

1人で活動していると、良いときも悪いときもすべて自分で抱え、相談できる相手も理解してくれる人もいない。その代わり収益はすべて自分のものになる。グループなら人数で割るし、裏方を雇えば給料も払わなければならない、とおさださんは比較する。ただ、ずっと人気を保てる人はおらず、長く続けてきた自分も「大体悪い」時期の方が長いという。そのため趣味は貯金で、収入が入っても車も家も買わず、家賃の安い部屋に住んでいる。将来が不安で、物価も上がっている。観光地が少なく自分と向き合う時間しかないセルビアのような国に来るのも悪くない、とおさださんは話す。

YouTubeをやって良かったこととして、まず海外に行けたことを挙げるが、「いいことを言おうとすると薄くなる」と自分で打ち切る。そして、人や世間への不満を話しているときの方が調子がいいとして、食べるときに音を立てる人、腰に鍵をつけてジャラジャラ歩く人、「海外旅行に行く人を増やしたい」と言う人への苛立ちを挙げている。この日の歩数は1万4000歩だった。

スカダルリヤ通りの生演奏と、火を灯されなかったロウソク

夜はいったんホテルに戻ってから再び外出した。19時半でもまだ明るい。向かったのはスカダルリヤ通りで、足元の石畳とレトロな街並みが人気のエリアである。飲食店が並び、多くの店で生演奏が行われている。立派な楽器を抱えた楽団がテーブルを回っていて、おさださんは雰囲気の良さを楽しみつつも、至近距離で歌われるのは個人的にきついとも話している。

店は即興で選ぶことにし、「地元の人がたくさん入っていく店はいい」と見て回っていたが、雨が降り出したため近くの店に予約なしで入った。入ってからGoogleの評価も悪くないことを確認している。メニューのバーベキュー欄の一番上にあったミックスグリルを頼むと、5種類ほどの焼いた肉にポテトとパイ生地のようなものが付いた大皿が出てきた。ソーセージは「うまい」と評価している。楽団かと思った演奏者は、普通に働いている店員が演奏も兼ねていたことが分かる。

ただ、この店では気になる出来事があった。店員が各テーブルのロウソクに順番に火を灯していったが、おさださんのテーブルと、アジア系、おそらく中国人とみられる客のテーブルだけ火を灯さなかった。おさださんは「たまたまかもしんない」と留保しつつ、「嫌よね、こういうの」と話す。接客もあまり良くなかったため、早めに店を出た。この出来事が差別だったのか偶然だったのかについて、おさださんは結論を出さないまま、セルビア編を締めくくっている。