野村HD・奥田健太郎社長が語るアメリカ戦略:「トップ5に入れる分野」に人材と資本を集める
テレ東BIZ ダイジェストアメリカ進出から100年を迎え、2年連続で過去最高益を更新した野村ホールディングス。WBSの未公開インタビューで、奥田健太郎社長は好業績の理由、アメリカ市場の位置付け、そして大手金融機関がひしめくアメリカで野村がどう戦っているのかを語った。奥田社長の立場ははっきりしている。すべての分野で米大手行と勝負するのではなく、市場でトップ5に入れそうな分野に絞り、そこへ一流の人材と資本を集中させるというものだ。
冒頭の予告部分では、NISAによる投資の広がりに触れたうえで、日本の市場や日本企業に関心を持つアメリカや海外の投資家、事業会社が「すごく増えてます」と述べている。今のタイミングは日本の企業、日本の金融機関にとって「すごく今有利」だという認識も示した。ただし、これらの発言の詳しい文脈は、今回の字幕の本編部分には含まれていない。
創業期からの「グローバルな金融機関」という夢
インタビューは、この後ニューヨーク証券取引所で鐘を鳴らすという節目の場で行われた。奥田社長はまず野村の歴史を振り返った。野村は1925年12月に日本で創業し、その1年3カ月後にはニューヨークに事務所を開設している。そのため日本とアメリカでほぼ同じ長さの歴史を持つことになる。創業者の野村徳七氏は、当初からグローバルな金融機関になるという大きな夢を持っていたという。
アメリカ100年の節目に加えて、この2年間は業績が連続で過去最高となった。ホールセール部門ではアメリカが日本を抜き、収入が最も大きい地域になっている。奥田社長は、アメリカでしっかりビジネスができていることに社長として感慨があると語った。
聞き手は、ドル建て債券の取り扱いやソニーの米国上場時の主幹事といった実績に触れ、野村はアメリカ市場を一貫して重視してきた会社なのかと尋ねた。奥田社長によると、当初のニューヨーク事務所はリサーチ・調査が中心の業務だった。それでもアメリカは世界で最も大きなシェアを持ち、市場の厚みも深い。現在では新しい商品もアメリカから生まれる。日本やアジアなど他の地域ももちろん大切だが、アメリカに根を張ってビジネスをすることは創業当初のDNAに近いのではないか、と奥田社長は述べた。
好業績の背景にある部門ごとのビジネスモデル転換
2年連続の最高益の要因について、奥田社長はまずビジネスモデルの転換を挙げた。奥田社長は2020年4月に社長に就任し、今年で7年目になる。ただ、モデル転換は前任者の時代から各部門で取り組んできたものだという。
国内のウェルスマネジメント部門では、顧客のニーズに合わせて世代別の対応を進めてきた。年齢の高い顧客には、安心して次の世代へ資産を移せるよう支援する。若い顧客には資産運用を提案する。トレーディングや投資銀行業務を担うホールセール部門では、なるべくバランスシートを使わず、安定した持続的な成長を目指す方向にビジネスを大きく変えてきた。アメリカ(この文脈ではグローバルと言ってもよい、と奥田社長は補足した)では、トップ5に入れるビジネスに集中して勝ちにいくモデルへ移行した。奥田社長は、こうした転換の成果がかなり出てきていると見ている。
あわせて、この数年は日本でも海外でも株式市場が好調で、債券市場も良かった。奥田社長は市場の追い風があったことを認めたうえで、社員が一丸となって取り組んできた成果が出ているとも強調した。
資産効果とNISA、新しい投資家の参加
相場の上昇による資産効果について問われると、奥田社長は国内のウェルスマネジメント事業に触れた。野村證券の支店を通じて顧客と接するなかで、市場が上がり自分の資産が増えた投資家は資産効果を十分に感じているはずだという。若い世代もNISAを通じて少しずつ投資を続けるなかで、良い経験をしていると見ている。こうした人々が資本市場に入ってくることは、野村にとっても日本にとっても良いことだと述べた。
一方で、野村ホールディングスの業績そのものが資産効果でどれだけ押し上げられているかは「ちょっと分からない」と慎重に答えた。そのうえで、市場の好調と資産効果を背景に顧客の取引が活発になっていること、これまで市場に入っていなかった個人が参加してきていることは確かであり、業績に良い影響が出ていると思う、と説明した。
野村の収益構造の中でアメリカが占める位置
聞き手は、最高益の要因としてアメリカ事業の好調を挙げ、現在の野村の稼ぎ方の中でアメリカがどう位置付けられているかを尋ねた。
奥田社長は事業を3つに分けて説明した。国内の支店で展開するウェルスマネジメント部門、株式・債券のトレーディングや引き受けを含むホールセール部門、そしてアセットマネジメント部門である。ホールセール部門では海外の利益が大きな比重を占め(発言では「2/3」と「約半分」の両方の表現が出ている)、そのうち半分以上がアメリカだという。ホールセール部門の地域別の利益はアメリカ、日本、アジア、ヨーロッパの順で、アメリカが牽引していることは事実だと奥田社長は述べた。
なぜアメリカが重要なのか。奥田社長は自身も約2年間アメリカで現地の社長を務めた経験を踏まえ、市場の深さと広さ、そして世界中から多くの参加者が集まっていることを挙げた。そのため、新しいサービス、新しい商品、AIやITを含む新しいテクノロジーが次々とアメリカから生まれる。野村のニューヨーク拠点の商品ラインナップにも新しいものがどんどん入ってくるという。それを作り、顧客のニーズを捉え、質の高いサービスを提供できるかどうかが勝負になる。アメリカで起きたことはその後アジアやヨーロッパでも必ず起きるので、アメリカ市場はとても大切だ、というのが奥田社長の説明である。
すべてでは戦わない:「トップ5」に絞る選択と集中
ただし、すべての商品・サービスでアメリカの大手銀行と勝負するのは難しい、と奥田社長は認める。そこで野村は、勝てると考える分野、具体的にはアメリカ市場でトップ5になれそうな分野を選び、本当にトップクラスの人材を採用し、資本もある程度集中させている。
AIや半導体などでアメリカ市場の存在感が増すなか、日本企業にとってアメリカ攻略は避けて通れないのかという問いに、奥田社長は「その通り」と答えた。金融に限らず、自動車などさまざまな製造業もアメリカに根を張ってグローバルに事業を展開している。世界最大の市場でどれだけビジネスを進められるかは日本企業にとって大きな課題であり、それができれば次のグローバル企業がどんどん出てくるのではないか、と述べた。
さらに具体的な戦い方について、奥田社長は質問の背景には「これだけ金融機関がある中で、なぜ野村や日本の金融機関が選ばれるのか」という疑問があるのだろうと受け止めた。そのうえで、ビジネスモデル全体は広く持ちながら、株式の中でもデリバティブ(派生商品)系の分野に良い人材を入れて集中していると説明した。逆に「キャッシュ」と呼ばれる通常の株式売買は、アメリカではすでにかなり小さくしているという。
奥田社長は、アメリカは人材の流動性が高い市場だとも指摘した。野村がこのモデルで本気で取り組むことを理解してもらえれば、その部門には優秀な人材が多く集まる。その結果、その分野で高いシェアを取れているのだという。
「コネクティング・マーケッツ・イースト・アンド・ウエスト」
奥田社長は、もう一つの強みとして、野村がよく使う標語「コネクティング・マーケッツ・イースト・アンド・ウエスト」を挙げた。アジアやヨーロッパの顧客をアメリカに連れてくる、日本の顧客をアメリカにつなぐといった、国境をまたぐ顧客の流れを重視しているという。
例として挙げたのが日本企業のM&Aである。奥田社長によれば、日本企業によるM&Aの金額のうち、毎年半分ほどがアメリカ向けだという。アメリカでしっかりした支援ができれば日本企業の役に立てるが、それができなければ日本企業の手伝いもできない。だからこそアメリカに強いチームを置き、専門性を高め、本当にトップの人材を採っている、と奥田社長は説明した。
また、アメリカ国内の顧客は必ずしも会社の名前で取引先を選ぶわけではなく、専門性のあるチームを求めて来る。野村がある分野で高いシェアを持ってビジネスをしていれば、顧客は来てくれる、というのが奥田社長の見方だ。
ホールセール部門の米国収益が伸びる理由とリスクマネジメント
聞き手は、直近の決算でホールセール部門の収益の4割近くを米国が占めていることに触れ、なぜここまで伸ばせたのかを改めて尋ねた。
奥田社長がまず挙げたのは、顧客のニーズをしっかり捉えられていることだった。顧客基盤はアメリカだけではない。アジアやヨーロッパの投資家がアメリカに投資する際の支援もしている。野村はグローバルに連携して顧客に対応しており、アジアの顧客にアメリカのビジネスやヨーロッパのサービスを提供することが、結果としてアメリカの利益を押し上げる構図になっているという。そのうえで、専門性の高い一流のチームを持つ分野でうまくビジネスを作っていることを挙げた。
もう一つの理由はリスクマネジメントである。奥田社長は、野村もアメリカで100年やってきたが、大恐慌に始まり、市場の大きな振幅はアメリカ発のものが多いと指摘した。そのため、なるべく利益の振れ幅を小さくできるよう、リスクマネジメントの質を上げて顧客に接していくことが重要だと述べた。冒頭で語った「安定的で持続的な成長」とも結びつく考え方である。
デリバティブで提供しているのは「商品」ではなく「ソリューション」
成長の柱の一つとされるデリバティブについて、聞き手は具体的に何をしているのかを尋ねた。
奥田社長はいくつかの例を挙げた。株式を普通に買えば価格は上下するが、一定の下げ幅以上は損が出ないようにするヘッジを手伝う。流動性の低い株式を一度に大量に集めようとすると価格が上がってしまうため、時間や買い方を分散させて平均的な購入コストを下げる。顧客が持ち込む一定量の投資資金について、デリバティブを活用して効率よくトレーディングできるようにする。こうした取り組みは株式に限らず、先物などさまざまな派生商品で行っているという。
聞き手が、機関投資家や年金基金に株を売って手数料を得るのが基本だと理解していたが、デリバティブは株価が下がっても損が出ない商品を野村が作って提供するという理解でよいか、と確認した。奥田社長は少し修正した。これは「ヘッジの取引」であり、商品を作っているかというとそれは別だという。例えば大阪や東京にある日経平均先物のような取引で、下がっている局面で反対売買をしていく。必ずしも何かの商品を提供するだけではなく、こうしたソリューションを手伝っていると理解してほしい、と説明した。
ヘッジのニーズの具体例として、奥田社長は分かりやすい数字を示した。株式を100で買ったとき、98で売る権利を持っておく。実際には90まで下がる可能性もあるが、98で売る権利があれば、権利を買うための価格はかかるものの、損失は100と98の差だけで済む。聞き手が、逆に株価が上がった場合はその権利を買うための「手数料」を少し払うだけという理解でよいかと尋ねると、奥田社長は「手数料というかプライス」だと訂正した。価格の設定や期間を変えるなど、顧客のニーズに合わせてヘッジを組み立てていくのだという。
こうした提案は顧客とのやり取りの中でニーズを聞き出し、積み重ねていくものなのかという問いに、奥田社長は、顧客のニーズを聞き、アイデアを提供し、議論するという「極めて基本的な作業の繰り返し」だと答えた。これはホールセールのトレーディングに限らず、個人顧客の支援や、法人向けの引き受け・M&Aでも同じだという。
グループ全体のリスクマネジメントとシナリオ作り
聞き手は、そうした取引にもリスクがあるのかと尋ねた。奥田社長は、リスクマネジメントはデリバティブに限った話ではないと答えた。野村グループ全体の収入、利益、コストは市場の変動に大きく影響される。市場が大きく動いても収入があまり落ち込まず、利益が大きく下がらないようにコントロールすることを、野村ではリスクマネジメントと呼んでいるという。
具体的には、例えば今後半年にどのようなシナリオが考えられるかをしっかり作り、それぞれに備えてヘッジなどの措置を取り入れている。奥田社長は、リスクマネジメント部門は現在かなり高いクオリティで運営できていると評価した。
残された問い:アルケゴス損失とデリバティブのリスク
インタビューの終盤、聞き手は奥田社長の就任間もない時期に起きたアルケゴス関連の損失に触れた。聞き手は、あれもデリバティブの一種であり、現物を買っていたわけではなく、取引の中でアルケゴスの信用力を超えて損失が膨らみ、デフォルトに至ったと理解しているとして、こうしたリスクもやはりあるのではないかと問いかけた。
デリバティブを成長の柱に据える戦略と、過去に経験した大きな損失をどう両立させるのか。この問いに対する奥田社長の答えは、今回の字幕には含まれておらず、質問の途中で収録部分は終わっている。
NISAの制度などもありまして、運用の金額の方が預金に入ってる。
アメリカのお客さん、日本の金融機関であることのメリットとか、イメージですけど。
日本の市場、あるいは日本の企業に関心を持ってるアメリカの、あるいは海外の投資家の方や事業会社さん、すごく増えてます。こういう今のタイミングっていうのは、日本の金融機関にとってはすごく今有利。
改めましてよろしくお願いします。
今日はお忙しい中、本当にありがとうございます。
こちらこそよろしくお願いいたします。
アメリカ進出100年ということで、この後ニューヨーク証券取引所で鐘を鳴らすということなんですけど、簡単なお気持ちというか、どういう思い入れ、このアメリカ市場の思い入れも含めて、今のお気持ちをお聞かせいただけますか?
はい。野村は1925年の12月に日本でスタートしまして、その1年3ヶ月後にニューヨークの支店を、事務所ですけども、開設してます。そういう意味では日本とアメリカ、ほとんど同じくらいの長さの歴史を持つ。当初、私たちの創業者は野村徳七という方なんですけれども、最初からやっぱりグローバルな金融機関になろうという、すごい夢を持たれてきてます。
そういう意味では、ちょうど日本とアメリカ100年。しかも、この2年間連続して業績的にも過去最高を出してますし、アメリカも今、ホールセールでいきますと、日本を抜いて利益も収入も一番大きいんですね。このアメリカでもしっかりビジネスができることは、私もこの社長をやってるので、感無量なところがあります。
やっぱり野村と言いますと、初めて米ドル建ての国債の取り扱いとか、あとソニーの、確か主幹事も上場の時に務めてるかなと思うんです。このアメリカの市場っていうのは、歴史においてかなり重要な市場だというふうに捉え続けてきた会社なんですかね。
そうですね。一番最初にニューヨークの事務所を作ったっていうことからしましても、当時はリサーチ、調査のところ中心の業務でしたけれども、やっぱりアメリカが一番大きな、それから世界的にはシェアがすごく大きい、そして深さもすごく深いですね。現代になりますと、商品もアメリカでやっぱり新しいものができますので、ここがやっぱり一番。そういう意味では、日本ももちろんアジアもどこも大事なんですけど、アメリカでしっかり根を張ってビジネスをするということは、当初のDNAに近いんではないかと思います。
なるほど。それで、足元の業績をお聞かせいただければなと思ってるんですけど、先ほど2年連続、純利益過去最高ということなんですけど、この今の業績好調っていうのは、どういったところに要因があるんでしょうか?
そうですね。私、ちょうど社長になってから、2020年の4月ですので、これで7年目になりますけれども、私の前の時からですね、かなりビジネスモデルの変換、それから転換っていうのを取り組んできてます。これは各部門、国内のウェルスマネジメント部門もそうですし、それからホールセール、ここはトレーディングとか投資銀行のところなんですけれども、こういったところもモデルの変換をかなりやってるんですね。
国内のウェルスマネジメントのところにつきまして少しお話をしますと、お客様のニーズに合わせて、例えば世代によって、年齢の高めの方は安心して次の世代に資産を移していく。あるいは若い方は運用される。それから海外でもやっております。このホールセールのところにつきましては、なるべくバランスシートを使わずに、安定した持続的な成長っていうのを求めて、ビジネスをかなり変えてきてました。
それから今のここのアメリカですけれども、アメリカの市場、グローバルって言ってもこの場合はいいと思うんですが、トップ5に入れるようなビジネスになるべく集中をして、そこで勝っていこうっていう、こういうモデルに変えてきてまして、このビジネスモデルの転換の成果がかなり出てきてるというふうに思います。
合わせてマーケットも、この数年、日本も海外も株式市場、結構良かったですから、債券の方も良かったと。これはマーケットの後押しももちろんあったと思うんですけれども、我々のチーム、社員一丸となって取り組んできたものの成果っていうのが出てきていると思います。
なるほど。やっぱりマーケット上がれば、相場上がれば、資産効果っていうのも出てくるんですかね、この部分の。
はい、そうですね。特に私たち、ウェルスマネジメントのお仕事を国内のところで、野村證券の支店を通じてやらせていただいてます。国内の投資家の皆様、やっぱりマーケットが上がってきて自身の資産も増えてくると、その資産効果っていうのを十分お感じになられてると思います。それから若い方もNISAを通じて、少しずつ投資を継続していただく中で、いい経験を今していただいてると思います。こういった方が資本市場に入っていただけると、私たちも嬉しいですし、日本の国にとってもいいと思います。
野村ホールディングスの業績についても、資産効果で結構上がって、押し上げられてるっていう部分あるんですか?
野村ホールディングスの業績自体が資産効果っていうのはちょっと分からないんですけれども、お客様がおそらくなんですが、マーケットがいい、それから資産効果を感じてアクティビティが大きくなってる。あるいは今までマーケットに入ってなかった投資家とか個人の方がマーケットに参加してきて、という動きはすごく出てますので、これは我々の業績に影響が出てる、いい影響が出てると思います。
この2年連続純利益、過去最高更新ということなんですけど、この好調の要因、我々、やっぱり米国市場とか米州の事業の好調があるんじゃないかというふうに見てまして、ご就任されてからも米州の収益っていうのはかなり上がってきてるんですけども、歴史において、DNAにおいてアメリカ市場重要だったということですが、この今、足元において、アメリカ市場って野村を支え、野村の全体の稼ぎ方を見る中で、どういう位置付けになってきてるんでしょうか?
はい。大きくビジネスのラインを分けますと、国内の支店でやってます。それから株式、債券のところの運用なんかをするホールセールの部門です。ここには引き受けのところも入っています。それからアセットマネジメント部門ですね。このホールセールと呼んでるところでいきますと、海外の利益が約3分の2です。そのうちの半分以上がアメリカということになってますので、そういう意味ではまず野村のホールセール部門のビジネスの中でいきますと、アメリカ、日本、そしてアジア、ヨーロッパっていう順番で利益が出てますので、まずアメリカが牽引してくれてることは事実です。
なぜそうなんだと。私もアメリカで約2年、社長をやらせていただきましたけれど、その時にも、ここのマーケットやっぱり深いです。それからすごく広いです。そしてグローバルな参加者がたくさんここに入ってきてますので、新しいサービス、それから新しい商品、そして新しいテクノロジーですね。これ、AIとかITとか、こういったものも含めてなんですけど、それがこのマーケットからやっぱりどんどん出てきてます。
野村のニューヨークの、あるいはアメリカの商品ラインナップを見ても、どんどん新しいものが入ってくるんですね。これをやっぱり作っていく。それからその中でいかにお客様のニーズを捉えて、いいサービスのクオリティを出すかという、ここが勝負になってきます。ここでできたことはアジアでもヨーロッパでも、その後に必ず起きてくるので、やっぱりこのアメリカのマーケット、すごく大切だと思います。
ただ、私たちも全てのプロダクト、商品、あるいはサービスで、ここにいるアメリカの大きな銀行と全部のところで戦う、勝負するってなかなか難しいので、私たちが勝てると思う分野、それは具体的には、マーケット、アメリカの中でトップ5になれそうなところに、しっかりした本当にトップクラスの人を採用してきて、そこにある程度資本も集中して、ビジネスをしてるって、こんなところです。
なるほど。今、AIとか半導体とか、これ新しいというか、情報産業とかハイテクで、アメリカの市場ってやっぱり特にここ数年すごくなってきてると思うんですけど、日本企業にとって、やっぱりこのアメリカ市場を攻略するっていうのは、もう避けて通れない道なんですかね。
その通りですね。これは私たちは金融ですけれども、例えばそれ以外の自動車、いろんな製造業、皆さんアメリカでやっぱりしっかり根を張ってやられて、グローバルにビジネス展開してると思います。そういう意味では、これは金融だけではなくて、やっぱり日本の企業にとっては、この一番大きなマーケットでどれだけビジネスを進めることができるかっていうのは大きな課題ですし、できると次のグローバル企業、どんどん出てくるんじゃないかと思います。
どうやってアメリカで戦っていくんだって話を、具体的に伺っていきたいんですけど、先ほども、元々米国とか、アメリカにある金融機関の、伝統的な金融機関とまともにはやっぱり勝負しにくいっていうところもあるかなと思うんですけど、どういうふうにして、このアメリカの、実際にご就任されて以降、アメリカの収益ってすごく拡大してるんですけれども、これどういうふうに進めていくとか、もう少し具体的に、日本の企業がどうやってアメリカで戦っていくのかっていう示唆になると思いますので、お聞かせいただけますか。
はい、そうですね。おそらくご質問の背景には、アメリカにこれだけたくさん金融機関があるので、どうして野村が選ばれるんだろうっていう、あるいは日本の金融機関がどうやって選ばれるんだろうっていう、そういうこともあるんではないかと思います。
私たち、そういう意味ではかなりビジネスモデルでしっかり広く取ってるんですけれど、その中でもある部分の、例えば株式、株式もデリバティブ系の派生商品というふうに呼んでもいいですけど、こういったところにしっかりいい人を入れて集中をしてる。むしろ通常の、キャッシュと呼びますけど、普通に株式を売買するようなところは、もうアメリカではすごく小さくしています。
こういうふうに、かなり私たちが戦うフィールドをトップ5に入れるっていうところに絞っていまして、このマーケット、人材の流動性もすごく高いですし、それから私たちがこのモデルでしっかりやっていこうっていうことを理解してくれると、いい人がたくさんその部門については入ってくれますので、ここですごくシェアを高くしています。
それからアメリカのマーケットでビジネスをしてるんですけれども、私たちのもう一つの強みっていうのは、我々のよく使う標語にもあるんですけども、「コネクティング・マーケッツ、イースト・アンド・ウエスト」って言ってます。例えばアジアのお客様をアメリカに連れてくる。それからヨーロッパのお客様をアメリカに連れてくる。これ、日本でもいいんですけど、アメリカの点で言いますと、そういうようなクロスボーダーのお客様の流れ、コネクトしていくっていうことをすごく大切にしてまして、例えば日本の企業がM&Aを行いますけれど、全体の金額の毎年半分ぐらいはアメリカに入ってくるんですね。
そういう意味で、アメリカの情報、アメリカのしっかりしたお手伝いができると、日本の企業のお役にも立てますし、逆に言えば、なければ日本の企業のお手伝いもできないっていうことになるので、とにかく我々、しっかりしたチームをここに入れて、専門性を高めて、本当にトップのタレントを取ってます。そうするとアメリカの国内でも、彼らは専門性のあるチーム、必ずしも会社の名前で来るわけではないので、うちがそこでしっかりシェアを高くしてビジネスをしてると、お客様も来てくれるっていう、こんなところにあります。
アメリカで、ホールセール部門の直近期の決算で言いますと、米州の収益が4割近く占めて、いわゆる証券会社というふうな、株の取引とか債券の取引に関わる部門なんですよね。ここが伸びてきてるっていうのは、かなりアメリカで戦えてるっていう感じが非常にするんですけど、なんでここまで伸ばせられるんですか?
お客様のニーズをしっかり取れるっていうところが、まず一つ、一番大きいと思います。それから私たちのクライアントベース、アメリカだけではなくて、アジア、ヨーロッパ、こういった方がアメリカに投資する時のお手伝いをしてますので、野村の強みっていうのは、グローバルにしっかり連携してお客様に対応してると。アジアのお客様にもアメリカのビジネスも、それからヨーロッパのサービスもうまく提供してますし、それによってアメリカの利益が上がるっていう、こういうような構図になってるので、その中で、しかも本当に専門性の高いチームを持ってるところで、うまくビジネスを作っていくって、こういうことと。
もう一つはリスクマネジメントというのがあります。私たちもアメリカで100年やってるんですけれども、大きく損失を出したり利益が出たりって、やっぱり大恐慌に始まりまして、いろんなそういうマーケットの大きな振幅というのはアメリカ発のものが多いですよね。なので、その時になるべく利益の振り幅を小さくできるように。私、最初、安定的にとか持続した成長っていうお話をさせていただきましたけども、なるべくこのリスクマネジメントもしっかりクオリティを上げて、お客様に接していくというようなことなんだろうと思います。
成長の一つの要因、そのデリバティブで、お客さんのニーズに合わせた商品を展開できるって、これ具体的にはどういうことなんですか?
はい。例えばなんですけども、お客様が株式を普通に買われる。値段が上がったり下がったりしますね。その時に一定の下げ幅になったら、もうそれ以上損が出ないっていうような、こういうヘッジ、こういうような、例えばお手伝いをさせていただくとか。それから株式をドーンとたくさん集めようとすると、流動性が低ければ値段が上がりますよね。でもこれをうまく時間、あるいは買い方を分散して買うことで、購入のコストを平均的に下げるとか、これもデリバティブを使ったりとか。
それからお金、投資資金、一定量で皆さん来られるわけですけど、ここをうまくデリバティブを活用することで、効率性を上げてトレーディングができるようにすると。こういったようなことがデリバティブ、株式だけではないんですけど、こういう派生商品ではできまして、これが先物とかですね、いろいろあるのをご存じだと思うんですけど、こんなところからスタートして、うまく使いながら効率的に、それから安定的にトレーディングができるようなお手伝いをしているというふうにお考えいただけるといいと思います。
我々のイメージだとですね、機関投資家とか年金基金とか、ああいう大きな投資家さんに株を売って、その手数料が収入になるというふうに、基本的には理解してるんですけど、売った株が上がればお客さんも儲かるし、その株取引を頻繁にやっていただくことで成長になっていく、野村ホールディングスの成長になっていくっていうイメージなんですけど。デリバティブはちょっとそうじゃなくて、株が下がった時にも損が出ないような商品を野村ホールディングスが作って、機関投資家に提供する、こういう理解でいいんですか?
そうですね。ヘッジの取引というふうに言いますので、商品を作ってるかっていうと、ちょっと別だと思うんです。例えば先物、大阪にもあります、東京にもあるんですけど、株式の日経平均の先物みたいなのがありますけど、先物が下がってるところで反対売買をしていくとか、いろんなお取引の商品を必ずしも何か提供するというだけではなくて、こういうソリューションをお手伝いするというふうにご理解いただいた方がいいんじゃないかと思います。
いろんな投資家さんとやり取りして、その営業担当者の方が実際にやり取りするんだと思うんですけど、その中で、単に株を買いたいっていうニーズだけじゃなくて、ニーズがあるっていうね。なるほど。例えばなんですけど、そのヘッジのニーズってどういうニーズ?
株式を購入されて、皆さん株価が下がるの嫌ですよね。ドンと下がるのはもう嫌だと思いますので、100で例えばお買いになられて、98で売る権利を持ってる。実際は90の方に下がっていくことが可能性としてはあると思うんですけど、そうすると98で売ってますので、売るための権利を買うにはいくらか値段が必要ですけれど、そうすると損失は100と98の違いだけでいいって、こういうようなすごく分かりやすい話。
なるほど。98を割り込んで下がっていった場合も、98で売る権利を先に買っておく。
例えばですね、はい。
すると逆に上がっていった場合は、そのヘッジがなくてリスクはなくて、逆にその権利を買うための手数料を少しだけ払うって、そういう理解ですね。
手数料っていうか、プライスですね。そういう感じだと思います。
これができるわけです。例えば値段の設定をちょっと変えるとか、あるいは期間をどうかとかあると思うんですけど、いずれにしても今のような形でお客様のニーズに合わせてヘッジをしていくということ。
こういうニーズに合わせて、それは多分お客さんとのやり取り、リレーションの中でニーズを聞き出していくんだと思うんですが、それを地道に積み重ねていくことで売上っていうのを上げていってるって、そういう。
そうですね。これはもうお客様としっかりと議論、まずお客様のニーズを聞いてアイデアを提供して、議論させていただくって、もう本当にこれは極めて基本的な作業の繰り返しだと思います。これ、必ずしもこのホールセールのトレーディングのところだけではなくて、個人の方のお手伝いしてるところも同じですし、法人の、例えば引き受けとかM&Aをやるようなところも同じだと思います。
そういう取引の中には、リスクもやっぱりあるってことなんですか?
リスクマネジメントは、今の、別に派生商品のところっていうことではなくて、やっぱり野村のグループ全体の収入と、それから利益、あるいはコスト、こういったのっていうのはマーケットの変動にもすごく大きく影響を受けます。その中で、例えばマーケットに大きな変動があった時にも、あまり収入が落ち込まない、あるいは利益が大きくは下がらない。こういったことをコントロールしていくことを、リスクマネジメントというふうに呼んでいます。
ここのやっぱりしっかりしたコントロール。それから例えばなんですけれども、ここから半年、どういうシナリオが考えられるかっていう、こういったシナリオをしっかり作って、その時のために、我々としてどういう、例えば先ほどの話じゃないですけど、ヘッジをしていくとか、こんなことをしっかりと取り入れてまして、今、リスクマネジメント部門っていうのもしっかり、かなりクオリティ高くオペレートできてると思います。
あと、アメリカ事業を聞く上で、聞いておきたいこともあって、ちょうど就任して間もない頃だと思うんですけど、アルケゴスに絡む損失っていうのはかなりあって、あれもやはりデリバティブの一種だったかなと思うんです。基本、現物を買っていたわけじゃなくて、取引の中で実際、アルケゴスの信用以上に損が膨らんでいって、結構デフォルトしたっていうことだと思うんですけど、こういうリスクっていうのもやはりある。
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