歴史的な服を素材と寸法で組み直す:LIDNM/Llife 2026FW 2ndコレクション解説

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概要

LIDNM(リドム)とLlife(ライフ)を手がけるげんじが、2026年秋冬のセカンドコレクションを1点ずつ紹介した動画である。コサックジャケットやカーコート、米軍のチノトラウザーズといったヴィンテージの原型を出発点に、素材の選び方やサイズの調整で現代の服に組み直す、という手法がほぼすべてのアイテムに共通している。話者はこのラインナップを「過去最高」と位置づけ、各アイテムについて原型の歴史、変更点、素材の仕様、価格を順に説明した。

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ファーストコレクションの反響と、今期のテーマ

冒頭でげんじは、26FWファーストコレクションが予想以上の反響を受け、一部のアイテムで十分な在庫を用意できなかったことを謝罪した。そのうえでセカンドコレクションを、さらに成長したリドムとライフの「過去最高のラインナップ」だと紹介している。

今期のルックテーマは、前回に続いて「架空の音楽家の日常」である。都会の喧騒から離れたリラックスした空気と、洗練された創造性を追求する緊張感という、相反する2つの感覚が静かに共存する世界観を表現したという。話者によれば、この2つの要素はリドムの服作りそのものにもある。上質な素材を緊張感のあるシルエットに落とし込みながら、着る人に緊張を強いる服にはしない。体に自然と馴染む着やすさも欠かせない要素だとし、26FWではこの2つの感覚をルックの世界観と服の両方に重ねたと説明した。

ライフについても、リドムと同様にコンセプトを見直しながら開発を進めているという。これまで以上に「リドムのコーディネートを完成させるための存在」として位置づけ直したとし、ライフ初のブラウンのスクエアトゥシューズ、問い合わせの多かったスライドベルト、待望のリングを予告した。話者は、もう若くはなく服を知ってしまった世代に向けて、高い基準を満たしたうえで驚きを与えるラインナップだと語っている。

Milled Lamb Cossack Jacket:アインシュタインの一着を原型に

最初に紹介されたのは、話者が「早く届けたかった」というミルドラムコサックジャケットである。リドムは9年間、さまざまなルーツを持つレザーアイテムを作ってきた。今期はよりヘリテージを感じられるものを揃えたといい、その筆頭がこの一着だとしている。

話者はまず名前の由来を説明した。コサックとは、15世紀頃に現在のウクライナやロシア南部で形成された騎馬を得意とする軍事集団で、18〜19世紀には帝政ロシアの軍務や国境警備を担う存在になった。19世紀頃から、その軍装を思わせるデザインに「コサック」という名称が使われるようになり、1920〜30年代のアメリカでは丈の短いジャケットの名称として定着したという。その代表例として挙げられたのが、アルバート・アインシュタインが1938年4月号の『TIME』誌の表紙で着用していたことで知られる、リーバイスのメンロ・コサックジャケットである。

当時のコサックジャケットは襟を折り返すデザインが特徴だが、今回は着やすさを考えてスタンドカラーに変えた。冬にニットと重ねることを想定して適度なゆとりを持たせつつ、全体はコンパクトなサイジングにしている。着丈も短くなりすぎないよう調整したという。

素材については、当時はカウハイドが多く使われていたのに対し、今回はより軽く柔らかく着られるニュージーランド産のラムを採用した。クロムなめしで柔らかさを引き出したうえで、通常より強くミルド加工をかけ、革本来のシボを強く際立たせている。さらにラムは繊維の組織が細かなスポンジ状になっているため、軽さと柔らかさに加えて保温性も備えると話者は説明した。深いシボが存在感のある表情を生む一方で、袖を通すと軽く体に馴染む着心地になっているという。

色は、当時のコサックジャケットに多かったブラックとブラウンのうち、ブラウンをベースにより深く落ち着いた色味に調整し、「ダークアンバー」と名付けた。同日発売のグレーのスラックスやデニムとも合わせやすいとしている。価格は5万5000円。話者は「10万円を下回り、7万円までも下回った」と強調し、3年、5年どころか10年、15年と毎年着ながら思い出を重ねていけるアウターだと語った。数に限りがあることにも触れている。

Lamb Veg Car Coat:即完売したカーコートを小さく詰める

続いては、26SSで即完売したラムベジカーコートの改良版である。ベースは1930年代のヴィンテージカーコートだ。話者の説明によれば、カーコートは自動車が普及し始めた1900年代初頭、オープンカーでの防寒と汚れよけのために生まれた。当初は長く重厚なものが中心だったが、自動車の進化とともに徐々に丈が短くなり、1930年代には動きやすいデザインへと変わっていったという。

リドムのカーコートは、車に乗りやすい丈、重ね着を想定したゆとりのあるサイジング、手を温めるマフポケットといった当時の実用的なディテールを引き継ぎ、ヴィンテージの重厚感とエレガントさが共存するシルエットに仕上げている。26FW版では、マフポケットのステッチデザインと袖口の仕様を変えた。さらに26SS版と比べて肩幅、身幅、袖幅をわずかにコンパクトにし、コート感を抑えてジャケットに近いバランスへ調整したという。話者は、前シーズン版との違いをかなり感じてもらえるはずだとしている。

素材も原型とは意図的に変えている。当時のカーコートには硬く耐久性に優れたホースハイドが多く使われていたが、今回はあえて軽くしなやかなラムを選んだ。ミモザ由来の植物タンニンを使ったベジタブルタンニンなめしを施し、染料を中心とした自然な仕上げにしているため、傷の少ない上質な原皮を使っているという。ベジタブルタンニンならではの自然な色と奥行きのある艶がヴィンテージレザーのような表情を生み、ラムの柔らかさが上品さを残す。着込むほど当たりや光沢が増し、時間とともに風合いが深まる点もこの原皮の特徴だと説明した。

話者は、年を重ねればその年齢に合ったファッションが必要になるとし、服歴が過去最長になった自分へのご褒美として検討してほしいと語った。価格は6万6000円である。

Sharkskin Army Trousers:チノパンを梳毛ウールで作り直す

げんじが「語る必要がないが、大好きだからこそ語りたい」と前置きしたのが、シャークスキンアーミートラウザーズである。26SSで展開したアーミースラックスと同じく、1940年代の米陸軍M-45チノトラウザーズをベースにしている。オリジナルはコットンのいわゆるチノパンだが、これをリドムが得意とするウールの梳毛素材で作り直した。

生地は、経糸に86番手、緯糸に56番手の細番手糸を使い、ウール50%にソロテックスを含む機能性ポリエステルをブレンドしたシャークスキンである。話者は、見た目に反して「非常に挑戦的で面白い素材」だとし、すでにリドムのスラックスを何本か持っている人ほど新鮮さを感じるはずだと語った。ヨーロッパの上質な梳毛地をイメージし、無地に見えながら細かな濃淡によって奥行きが生まれる組織に仕上げている。

仕上げ工程では、水の硬度を下げた超軟水を使った。さらに、ウール服地の産地として知られるイタリア・ビエラ地方の生地作りを参考にしたフィニッシュを施し、滑らかなタッチと自然な光沢を引き出したという。ミリタリー由来の武骨なデザインに、繊細な落ち感と光沢を掛け合わせたスラックスだと話者はまとめている。秋冬にあると非常に助かり、コーディネートの質も上がるアイテムだとした。価格は1万7600円。

Te/Ca Milled Henley Knit:テンセルとカシミヤの「とろみ」

ヘンリーネックのニットについて、話者は実物のドレープを見せながら「もちもちで水分を含んだような」滑らかさを強調し、「トゥルトゥルしている」と表現した。タックインしても良いトップスだという。

素材は、植物由来のテンセルにカシミヤを贅沢にブレンドした56番手の糸で、18ゲージのハイゲージで天竺編みにしている。編地の縮絨の風合いにもこだわり、適度なしっかり感を残しつつ、テンセルとカシミヤを混紡したことによる独特のとろみと柔らかさを引き出したという。話者は、カシミヤという素材の繊細さと扱いの難しさを挙げ、それをハイゲージで丁寧に編み上げている点を強調した。

デザインはミニマルなヘンリーネックで、襟にはニットならではの天竺ロールを取り入れた。ボタンには少し変わった形状の黒蝶貝を使い、さりげないアクセントにしている。シルエットはコンパクトである。色はダークブラウンとチャコールを混ぜたような「ダスティバーク」と、今季注目のグレー系「ライムストーン」の2色。価格は1万7600円で、数に限りがあるという。

紹介の途中で話者は脱線し、こだわりを持って服を選ぶ視聴者の暮らしがこの素材でより良くなると想像すると、服作りとブランド運営は面白いと語った。リドムを選び続ける人の人生を豊かにしていくことが自分の幸せだ、とも述べている。

Lamb Veg 5P Pants:デニム型にしたレザーパンツ

リドムとして久々のレザーパンツが、ラムベジ5ポケットパンツである。ラムレザーを5ポケットのデニム型デザインに落とし込んだ。シルエットは先月発売した新型のヘリテージデニムをベースにしつつ、革特有の厚みや落ち感に合わせてパターンを細かく調整したという。革自体に存在感があるため、デニム型にすることでカジュアルな印象を持たせ、スタイリングに取り入れやすくしたと話者は説明する。

裏地にはコットンキュプラを使い、革が直接肌に触れる感覚を抑えつつ、滑りの良さと履き心地にも配慮した。原皮は先ほどのカーコートと同じベジタブルタンニンなめしのラムで、表面に過度な加工は施さず、革本来の色と光沢を生かしている。着込むほど当たりや艶が増し、ヴィンテージレザーのような表情に変化していくという。

話者はレザーパンツ全般について、細身だったり着ていける場面が限られたりするものが多いと指摘し、このパンツは合わせやすさと強すぎない個性が気に入っていると語った。価格は4万4000円。レザーパンツはパンツだけで10万円を超えるか、8〜9万円前後のものが多いという話者の認識と比べて、この価格を強調している。他のパンツに比べて生産本数は圧倒的に少ないとのことだ。

Alpaca Blend Crew Neck Cardigan:ベビーアルパカを細番手で

アルパカブレンドのクルーネックカーディガンについて、げんじはタンクトップの上から着た状態で着心地の良さを語った。糸には、昨年人気だったシャツカーディガンで使った希少性の高いベビーアルパカの糸を採用している。通常の成獣のアルパカより毛が細く柔らかいベビーアルパカに、メリノウールとナイロンをブレンドした素材である。ベビーアルパカとメリノの柔らかさと膨らみに、ナイロンで耐久性を加えたという説明だった。

この糸を30番手の細番手で紡績し、4本取りにして7ゲージのミドルゲージで甘めに編み立てている。そうすることで、しっかりした膨らみがありながら軽くソフトな風合いになるという。色は、昨年展開したチャコールともダークブラウンともつかない奥行きのある「ヘザーブラック」と、グレーのスラックスと合わせると今季のムードが強く出るという新色「シンダーグレー」の2色。

デザインは人気のクルーネックカーディガンの形にし、シルエットはスリムでコンパクト、ボタンは少し大きめの黒を採用した。話者は、後で紹介するライフのプレートベルトを見せるコーディネートや、全身黒でモードに寄せる着方、首元でのレイヤードを例に挙げている。価格は1万6500円。

Llife SLIDE BUCKLE LEATHER BELT:1950年代のプレートバックルを小ぶりに

ここからライフのアイテムに移る。スライドバックルレザーベルトは、発売前どころか動画撮影前から多くの反響があったという。話者の説明では、プレートバックルは1950年代のアメリカンウエスタンスタイルで普及し始め、1980年代頃にはティファニーをはじめ、ブルックスブラザーズやラルフローレンなど、より洗練されたスタイルに取り入れられていった。

今回はそのムードを取り入れつつ、ライフらしいバランスにした。バックルはやや小ぶりで、角を落とした長方形にして全体にわずかな丸みを持たせている。表面には細かな斜線を刻み、色はライフのバックルとして初のゴールドにした。革はクロムなめしのスペイン産カウレザーで、耐久性と柔らかさを備えたトップグレインの原皮を選び、オイルワックスでしなやかさとほのかな光沢を引き出している。

色は「ドリフトウッド」の1色で、ブラウンの色味をかなり深く落とすことで、ゴールドのバックルが主張しすぎないようにしたという。サイズはMが全長101cm・ウエスト62〜82cm、Lが全長112.5cm・ウエスト73.5〜93.5cmの2展開。価格は9900円である。話者は用意した数と寄せられている反響から、今回のリリースの中でも争奪戦になると予測し、十分な在庫を用意できなかったことを詫びた。

Llife OURS BLANC RING Ⅱ:石をタイガーアイに替えて再登場

昨年発売したウルスブランリングは、石を替えて「Ⅱ」として出る。ジャン・ロワイエの作品の中でも有名なポーラーベアソファと、エレファントのシートから着想を得たシグネット型のリングである。丸みを帯びた有機的なラインのフォルムに、エレファントのシートの肘掛けをイメージした4本のアームで、トップの石を包み込むようにセットしている。

今回の石はタイガーアイである。話者の説明によれば、タイガーアイの中には細かい繊維がまっすぐ並んでおり、それが光を反射することで表面に光の筋が浮かび、角度によって光が移り変わる。アーム部分は石の輪郭を際立たせるためシルバーにした。最初はゴールドで仕上げたが存在感が強すぎたため、バランスを調整してシルバーに落ち着いたという試行錯誤も語られた。

価格は2万4200円。話者は、服は季節によって着られる時期が限られるのに対し、ジュエリーは毎日つけられる、むしろ毎日つけたくなると述べた。自身もこのリングを毎日つけており、いつ発売なのかという声を多く受けていたという。

Llife SQUARE TOE OXFORD SHOES:ライフ初のブラウン

最後はシューズである。げんじが自身の非公開Instagramアカウントで見せたところ、過去一番の反応があったという。マホガニーカラーのスエードで仕立てたオックスフォードシューズで、これまでライフのシューズはすべてブラックだったが、初めてブラウン系を取り入れた。

話者はオックスフォードの構造を、羽根を甲の内側に縫い付けた内羽根式と説明する。外羽根式のダービーに比べて甲のラインがすっきりつながり、ドレスシューズの中でも端正な印象を持つデザインだという。今回はその形をベースに切り替えを極力なくして甲部を一枚仕立てにし、そこに立体的なステッチを加えることで、オックスフォード特有のドレス感を少し和らげた。つま先は小ぶりなスクエアで、すっきりとシャープなバランスにしている。

素材はイタリア産のスエードで、きめが細かく毛足が短い。光を柔らかく拡散するため、マットで少し霧がかったような表情になるという。ライフは8月に発売したバッグのダークアンバー、今回のベルトのドリフトウッドなど、今季からブラウンのアイテムを増やしている。マホガニーもその流れの中で、ブラックとは違う深みを持ちつつリドムのスタイルに馴染む色にしたと話者は説明した。価格は2万7500円。かかとは前回のオペラシューズより少し高いので、身長の見え方で靴を選ぶ人も安心して選べるとしている。

発売日と、その後のルックブック

紹介したアイテムはいずれも9月12日(土)22時から、リドムとライフのオンラインストアで発売される。話者は多くのアイテムで数に限りがあることを繰り返し伝えていた。紹介パートの後は、ナレーションのない音楽付きのルックブック映像が続いて動画は終わる。