カイハラの中空糸デニム「エアチューブ」で上下デニムを作った理由:MBが語る企画の経緯と生地の仕組み
MBチャンネルファッションYouTuberのMBが、自身のブランドの「アルティメイトファブリック」シリーズとして、カイハラデニムの生地を使ったデニムジャケットとデニムパンツを発売すると告知した。動画の中心的な問いは、「ヴィンテージらしい重厚な見た目の上下デニムを、日常で無理なく着られる着心地で作れるか」である。MBは、カイハラの新しい中空糸デニムがこの問題の答えになったと説明し、今回の上下デニムを「傑作中の傑作」と評価している。
発売される4型
今回発売するのは、同じ生地を使ったジャケットとパンツで、それぞれヴィンテージ加工版とリジッド(未加工)版がある。価格はいずれも税込みで、MBの説明によれば次のとおりである。
- AIR TUBE ヴィンテージデニムジャケット:4万5000円
- AIR TUBE ヴィンテージデニムトラウザーズ:3万6500円
- AIR TUBE リジッドデニムジャケット:3万6000円
- AIR TUBE リジッドデニムトラウザーズ:2万9000円
受付期間は10月4日の夜9時から10月5日の夜11時まで。MBによれば、以前から企画していたデニムシリーズで、特にカイハラの素材に着目して作ったという。
「ユニクロが使っている生地」というイメージへの反論
MBは最初に、視聴者の多くが「カイハラはユニクロが使っている生地だから、それほど良い生地ではない」と考えるだろうと予想し、それは「全然違う」と否定する。ユニクロが使っていることから安いデニムメーカーだと思われがちだが、ハイブランドも使っているというのがMBの説明である。
MBによれば、カイハラは国内のデニム生産会社の中でも屈指の品質を持ち、クロキと並ぶ二大巨頭だという。特徴として挙げたのは研究熱心さで、これまでデニムで表現できなかったことに取り組み、新しい生地を作ることに強く力を入れているメーカーだと話す。MB自身も一時期勘違いしていたが、カイハラは岡山ではなく広島県福山市にある、1893年創業の老舗である。いわゆる岡山デニムとは少し距離がある会社で、それが理由かどうかは分からないとしつつ、日本のデニムメーカーの中で最も新しい素材作りに熱心なメーカーであり、そのため海外ブランドにも好まれ、他にない素材を多数持っていると述べる。
今回の生地も、MBは他メーカーでは代替できない生地だとしている。生地自体もそれなりに高価だが、価格はかなり抑えたという。ユニクロはカイハラとの協業でさまざまな方法によりコストを下げているが、今回使った生地はユニクロでは使われていないため、安い生地を使っているわけではないとMBは強調した。
なお、企画の順序については、カイハラの生地が先にあって話が進んだのではないと説明している。MBがやりたいものがあったものの、それに合うデニム素材が見つからず、唯一カイハラが作っていた生地と企画が合わさったという経緯である。
企画の出発点:美醜の価値観の変化と上下デニム
企画の背景として、MBはアメリカンカジュアルの存在感が高まっていることを挙げる。MBは「美醜の感覚」、つまり何を美しいと感じ何を醜いと感じるかにもトレンドがあると考えている。ここ10年ほどは、韓流アイドルのように肌が白く化粧をした、女性か男性か分からないような男性像が美しいとされてきた。それが最近は、長瀬くんのような男性的な見た目のほうがかっこいいという価値観へ変わりつつあるとMBは見ている。
MBはこれを、ここ10〜20年のジェンダーフリー的な考え方への反動だろうと推測する。男らしさや女らしさがタブー視され、男の子っぽい女の子、女の子っぽい男の子が評価される軸があったが、その反動もあってか、マニッシュな男性像が評価されつつあるという。ただしMBは、男らしい女性や女性らしい男性が良い・悪いと言っているのではなく、あくまで男性がかっこいいとされる価値観の中での変遷だと断っている。この流れの中で、ヴィンテージ、デニム、古着といったマニッシュなアイテムやカテゴリーが評価されているというのがMBの見立てである。
MB自身もこの変化を感じており、上下デニムの着こなしをずっとやりたかったという。イメージは往年のキムタクのようなスタイリングで、足元にはジャックパーセルやオールスターではなく、ローファーやブーツなどの革靴を合わせる。ハットをかぶってもよい。ドレス寄りのアイテムでカジュアルなセットアップを崩すという考え方である。
パンツをスラックス仕様にした理由
一方でMBは、視聴者全員がハットを使うとは限らないため、デニムの上下でもなるべくきれいに見えるようにしたかったと話す。そこでパンツはスラックスライクなパターンにした。通常のデニムの5ポケットは横向きの口だが、今回はスラックスと同じ斜めポケットにしている。デニムでありながら上下で合わせても上品に見えることを意識したという。それでも足元は革靴で合わせてほしい、ハットをかぶればなお良い、というのがMBの提案である。
重厚なヴィンテージデニムは着心地が悪い
企画を進める中で、MBはある問題にぶつかった。こうしたデニムは本格的な生地、本格的なヴィンテージの雰囲気のほうがかっこいいとMBも考えている。しかし、12.5オンスや13オンスといった重厚なヴィンテージデニムの上下で生活するのは、重くて硬く、着心地がかなり悪いという。
MBは具体的なメーカー名を伏せつつ、ある生地で本格的なサンプルを作ってみたところ、重くてきつく、硬かったと振り返る。日常でその上下を着るかと問われれば、着ない気がしたという。
MBはこの感覚を年齢と結びつけて説明する。10代や20代のころは気にしなかった服の重さや着心地を、30代を過ぎると気にし始め、40代、50代と年齢が上がるほど着心地の悪いものを避けるようになる。コートならずっと着ているわけではないので妥協できるが、デニムジャケットはインナーとしても使い、パンツは屋内でも屋外でもずっと履いている。そこに着心地を求めないのは酷だとMBは考えた。特にリジッドデニムは硬く重いため、上下で着る提案は男性には受け入れられにくいだろうという。
さらにMBは、日本人は見た目と同じくらい着心地や機能性を気にする民族だと語る。対比として挙げたのがフランス人で、体に反発するようなよく分からないシルエットでも気にせず着る傾向があり、それは服をアートピースとして捉える文化があるからだろうとMBは推測する。見た目の美しさに加えて、機能性、動きやすさ、着心地を同時に考えるのは職人気質な日本人らしさかもしれず、MB自身もそうだという。
こうした考えから、重厚なヴィンテージデニムで上下を作るのは「僕がやる仕事じゃない」とMBは判断した。そうした製品は世の中にそこそこあり、お金を出せば買えるからである。そこで、重厚なヴィンテージの雰囲気がありながら着心地が良く、日常的に着られる上下デニムを作ることにし、その鍵は生地だと考えた。
重さと重厚感のトレードオフ
ただし、重厚に見えて軽い生地を作るのは難しいとMBは説明する。デニムは重さと厚さがあるからこそ、色や存在感が出る。オンスを軽くして薄くすると、どんどんデニムシャツのようになり、重厚感が足りなくなる。MBはこれを、どうにもしがたいトレードオフの関係だと表現した。
この問題の答えが見つかったのが、カイハラの生地展示会である。無数の生地の中からMBがすごいと感じたものが3つほどあり、その1つが今回使った生地だった。
C型中空糸を使った「エアチューブデニム」
カイハラでの呼び名は「エアチューブデニム」だとMBは説明する(本人は「というのかな」と確認しながら話している)。エアチューブとは文字どおり中空、つまり中心に空間がある糸のことで、この生地は横糸にその中空糸を使っている。
一般的な中空糸は、アルファベットの「O」のような断面の中に空洞がある。ところがカイハラの生地の横糸は、O型ではなくC型の断面になっている。MBがカイハラから聞いた話では、C型の中空構造は生産工程で潰れにくく、厚みを保てるというエビデンスがあるという。O型の中空糸は生産工程の中でだんだん潰れてしまうため、軽さは出せても厚みがある程度失われ、ヴィンテージらしい重厚感を出すのは難しい。C型の中空糸を使えば、ボリューム感を維持したまま軽さを出せるという説明である。MB自身は直感的にはC型のほうが潰れそうでO型のほうが潰れにくそうに思えたが、実際は逆で、開いたC構造のため工程中に潰れることは基本的にないそうだと話している。
生地の重さは9.5オンスである。MBによれば、カイハラ側に比較データがあり、綿100%の通常のヴィンテージデニムで同じ厚さや張り感を出そうとすると、12.5オンスが必要になるという。つまり、先に話した12.5〜13オンスの分厚いヴィンテージデニムに相当する素材感を、9.5オンスで実現しているというのがMBの主張である。重厚でヴィンテージらしく、張りも厚みもあるのに、軽く柔らかく、上下で着ても楽だという。
MBはこれを、ユニクロなどが手がける裏がスウェットになった柔らかいデニムとは違うと強調する。そうした生地は柔らかく着心地が良いとされるが、風合いはどうしても損なわれ、少しチープになるとMBは見ている。今回の生地はスウェット生地ではなく、あくまでデニムであり、9.5オンスの中空糸デニムで12.5オンス級の重量感、張り感、厚さを実現している点がカイハラの技術だと説明した。
縦糸、形態安定性、染色
横糸だけでなく、縦糸にも特徴があるとMBは話す。縦糸には、自然に変化するムラのあるリング糸を使っており、ヴィンテージデニム特有の自然な奥行きが生まれている。横糸と縦糸の両方に特徴のある糸を使うことで、見た目は重厚なヴィンテージ風でありながら、着心地が良い生地になっているという。
さらにMBは、中空構造の横糸によって速乾性も備えていると説明する。ノンストレッチだが、シルエットの保持力は綿100%と比べて圧倒的に高いという。綿100%のデニムは馴染んでくると言えば聞こえはいいが、どうしても型崩れが起こりやすい。それが良さになる場合もあるとMBは認めつつ、今回のデニムは中空構造のポリエステル糸が入っているため、型崩れをある程度抑えられるという。
染色もカイハラ独自の技術で、濃い色と薄い色のコントラストを鮮やかに再現する独自の染色法を使っているとMBは述べた。
重ね着ができる上下デニム
この生地によって、MBが特に可能性を感じたのが重ね着である。9.5オンスなので、実際の着心地はデニムシャツに近い軽さがある。一方で見た目は重厚で、生地にもしっかり厚みがあるため、着膨れしにくいという。
MBが実演で見せたのは、デニムジャケットの上にクルーネックのカーディガンを重ねる着こなしである。このカーディガンはミラノリブで、おそらく来月発売する予定だという。ほかにも、デニムの上からニットやジャケットを羽織るスタイリングがしやすいと説明した。
MBによれば、デニムジャケットを内側に着る着こなしは、古着の世界やフレンチカジュアルでよく見られる。しかし実際にやってみると、デニムの厚さ、硬さ、重さのせいで、上に着るものとの兼ね合いで着膨れしやすく、組み合わせが難しい。エアチューブデニムは着心地が軽く、膨らみも馴染むため、デニムジャケットの上にニットやジャケットを重ねられるという。MBはこれによって、デニムジャケットやデニムパンツの可能性が広がったと語った。
MBは、上下デニムをやりたいと思いながらも、結局着なくなる、上に重ねられない、作るのが難しいと感じていたこと、また我慢してヴィンテージデニムを着なければならないと思っていたことを振り返る。そこにカイハラのデニムが役立ったと述べ、他のブランドが手をつけていない新しいことに挑戦するカイハラらしさが、まさに今回の生地に表れていると評価した。リジッド版も、見た目は着心地が悪そうなのに、実際は軽くて着心地が良いという。
ディテールの設計:生地を生かし、男臭さを残す
MBによれば、生地の良さを損なわないよう、今回は余計なことをあまりしていない。
パンツは、上下で合わせたときにさまになるよう、スラックスらしいシルエットにし、ポケットなどにもスラックスのディテールを取り入れた。ただしバックポケットなどはデニムそのままにしている。そこまでスラックス寄りにすると、アメカジらしい男臭さがなくなるため、ディテールは慎重に組んだという。オレンジステッチもある程度太い番手の糸を使い、男臭さを出している。
ジャケットは、トラッカージャケットそのままの作りだとMBは説明する。歴史的なトラッカージャケットのディテールは基本的にいじらず、調整用のシンチバックや糸の太さなども、ほぼそのまま再現している。シルエットはオーバーサイズではなく、スタンダードを基本にしながら、今のトレンドを取り入れて肩幅などをわずかにゆったりさせた、比較的標準的なボックスシルエットである。MBはこれを、ベーシックだがシルエットの見栄えが違い、ヴィンテージらしいリアルな雰囲気がありながら「おじさんたちにも優しい」服に仕上げたと表現した。
価格について:「売れなくても悔いはない」
MBは今回の価格について、かなりサービスしていると話す。特にヴィンテージウォッシュ版は、ここまで染色や加工にこだわって5万円を切るのは、今の物価や工場の工賃を考えると割とありえないというのがMBの見方である。リジッド版は加工していないぶん安いのは当然だが、素材単価や作業内容からするとかなり安いとMBは述べる。デニムジャケットは縫い合わせるパーツが多く、工程も複雑で、縫う場所を見れば分かるとおり手間がかかるという。
一方でMBは、今回のデニムは売れなくてもまったく悔いはないと言い切る。自分が欲しかったから作ったのであり、伝わらなくてもいいという。最近はそうした自分の欲しいものに偏りすぎている気もするとも認めている。先週のセットアップスーツも最高の出来だと思っているが、価格が高くなりすぎて多くの人に届かないかもしれないと考えつつ、それでも発売に踏み切ったという。それに比べて今回は価格がかなりこなれているため、手が届きやすいのではないかとMBは話した。自身もデニムはこの上下をずっと着ることになると思うと語っている。
リジッドか、ヴィンテージウォッシュか
MBが最大の悩みどころとして挙げたのは、リジッドとヴィンテージウォッシュのどちらを選ぶかである。MBは、きれいな印象のリジッドを好む人のほうが多いのではないかと予想する。エアチューブデニムでもしっかり色落ちするため、リジッドから育てていくこともできる。その楽しさがリジッドの魅力だという。
一方、ヴィンテージウォッシュ版は、職人がプロの加工によって風合いをしっかり出したもので、MB自身はこちらをかなり気に入っている。黒縁の眼鏡などを合わせるとかっこいいとも話した。どちらを選ぶかは難問であり、視聴者にもぜひ悩んでほしいというのがMBの言葉である。
最後にMBは、この生地はカイハラでもまだ出たばかりだと説明した。MBたちが初めて紹介されたのは昨年の後半で、そのとき確保した生地だという。そのため、まだ商品化しているブランドは多くないだろうとMBは見ている。手元に届けば、風合いがこれほどきれいなのになぜこんなに軽いのかと驚くはずで、デニム好きほど驚くだろうとMBは語り、動画を締めくくった。
はい、こんにちは。MBです。今日は10月4日ですね。10月4日夜9時から10月5日夜11時まで受付、アルティメイトファブリックシリーズです。Air Tubeビンテージデニムジャケット ファブリックバイカイハラデニム、税込み4万5000円。そして同じくアルティメイトファブリックシリーズ、Air Tubeビンテージデニムトラウザーズ ファブリックバイカイハラデニム、3万6500円税込み。
そしてリジッドのバージョンもあります。Air Tubeリジッドデニムジャケット ファブリックバイカイハラデニム、税込み3万6000円。そしてリジッドのタイプのパンツですね。Air Tubeリジッドデニムトラウザーズ ファブリックバイカイハラデニム、税込み2万9000円。こちらの4アイテムを一気に発売させていただきます。
かねてから企画していたデニムシリーズなんですけれども、特にカイハラさんですね、カイハラさんの素材に着目して制作したシリーズになっております。これがめちゃくちゃいいです。めちゃくちゃいいです。
まずこの動画を見て皆さんのおそらく反応としては、カイハラってユニクロが使ってる生地だからそんなにいい生地じゃないよなって思うでしょうけども、全然違います。どちらかと言うと今回の企画って、カイハラさんの生地がまずありで話が進んでるというよりは、僕はこういうものをやりたくて、でもこういうデニム素材ってないよなっていう中で、カイハラさんだけが作っていて、そこでガチャっとこう企画と素材が合わさったっていう感じなんですけど。
まずカイハラさんなんですけど、前々からこのYouTubeチャンネルでも伝えている通りですが、ユニクロが使ってるからカイハラさんってなんか安いデニム屋さんなのかなって思われてる節があると思うんですけど、ハイブランドとかも全然使ってます。で、カイハラさんはめちゃくちゃクオリティが高いです。国内のデニムを生産している会社さんの中で屈指のクオリティを誇ってるのがカイハラさんです。カイハラさんとか、あと黒木さんとか、この辺は二大巨頭ですね。
カイハラさんってどういう特徴があるかって言うと、非常に研究熱心というか、今までデニムで表現できなかったことを頑張ってやるみたいな、新しい生地を作るっていうところにむちゃくちゃ着目しているメーカーさんなんですね。
で、カイハラさんって僕も一時期間違ってたんですけど、岡山じゃないんですよね。広島県福山市にあるのがカイハラさんで、1893年創業の超老舗中の老舗です。なので、いわゆる岡山デニムとはちょっとこう距離がある会社ではあるんですけど、それもあるのかないのかちょっとわかんないですけど、非常に先進的な考え方をされている会社さんで、新しい素材作り、新しい生地作りっていうところを日本のデニムメーカーの中でもどこよりも一生懸命やってるメーカーさんなんですよ。だから海外のブランドさんにも好まれるし、他にない素材ってのをたくさん持ってらっしゃるんですね。
で、今回僕らが当たったカイハラさんの生地っていうのもまさにそれで、他のメーカーでは代替不能な生地なんですね。で、生地でもそれなりに高いんですけれども、結構頑張って今回値段は抑え込んでます。安い値段にね。本来他のブランドさんがやるともっともっと値段高くなります。
ユニクロはカイハラと協業していろんなやり方でコストを下げてるってことができてるんですけれども、我々が今回使ってる生地はユニクロは当然使ってないです。カイハラさんの中でもいろんなデニム生地が存在していて、我々が今回使ってるのはユニクロさんは使ってないので、その辺はご安心ください。安い生地を使ってるわけでは全くないです。
で、まず最初に企画の意図から説明すると、実は最近アメリカンカジュアルがだんだんだんだん存在感を増してきていると。で、今まで美醜の感覚ですね。美しいものと醜いものの美醜ね。いつも僕が言ってるビシュウールじゃなくて美醜ですね。美しいものと醜いもの。美醜の感覚にもトレンドが存在していて、ちょっと前までは女の子っぽい男の子がかっこいいっていう価値観だったじゃないですか。韓流アイドルみたいな、もうCGみたいな肌質で真っ白でお化粧して、もう女の子か男の子かわかんないみたいな男性像が美しいとされてたのがここ10年ぐらいだと思うんですね。
で、それがだんだんだんだん今変わってきて、長瀬君みたいなちょっとこう男性的な見た目の方がかっこいいんじゃないかっていう、ジェンダーフリー的な流れのおそらく反動だと思うんですよね。ここ10年、20年ぐらいジェンダーフリー的な考え方で男らしさとか女らしさってのがタブー視されていて、男の子っぽい女の子、女の子っぽい男の子っていうのが評価される軸があったと思うんですよ。
その反動もあってか、別に男らしい女の子、女の子らしい男の子っていうのがダメとかいいとかって言ってるわけじゃ全くなくて、あくまで我々メンズがかっこいいという価値観の中で少し変遷があってね、女性的な男の子から男性的な男の子、マニッシュな男の子の方がかっこいいんじゃないかっていう文脈が評価されつつあってですね、それもあって最近ビンテージだったりとか、デニムだったりとか、古着だったりとか、そういうマニッシュなアイテムだったりとかカテゴリーが評価されてるのが昨今あると思うんです。
で、僕も当然それを感じていて、上下デニムの着こなしをやりたいなってずっと思ってたんですよ。だからこういう上も下もデニムの着こなしをやりたい。往年のキムタクみたいなスタイリングですね。で、ここにジャックパーセルとかオールスターとか合わせるんじゃなくて、足元は革靴、ローファーだったりとかブーツだったりとか合わせて、やってもやんなくてもいいけど、ハット被るとかね。そういうちょっとこうドレスっぽいアイテムを使って、こういうカジュアルなセットアップを崩すみたいなことをやりたかったんですね。
ただ、ハットを使うかわかんないから、皆さんが使うかどうかわかんないから、なるべく同じデニムの上下でも綺麗にしたいなと思って、このデニムも今こうポケットに手を入れてることからも分かる通りですけど、スラックス仕様にしてます。スラックスライクなパターンで、ポケットも通常5ポケットでこう横になってるのがデニムですけど、スラックスのポケットと一緒で斜めポケットにしてあります。なのでデニムなんだけど上下で合わせても上品に見えるようにってことは考えてはいるんですけど、足元は革で合わせて欲しいんですけど、ハットかぶったらなおさらすごくいいと思いますけど、そういうデニムの上下を作りたいなと思ったんですよ。
で、企画を進めてったんですけど、ここである問題にぶつかるわけです。どういう問題かって言うと、当然こういうデニムって本格的な生地の方が、本格的なビンテージっぽい雰囲気の方がかっこいいと思うじゃない。僕もそう思うよ。でも実際そういうものを着て生活できるかって言うと、結構辛いんですよ。重厚な12.5オンスとか13ぐらいの重厚なビンテージデニムの上下を着て生活するって、かなり着心地的には悪いです。重いし硬いんですね。ここがどうにも納得できなかったんですね。
例えば、あんまりメーカーの名前言っちゃうとあれだけど、あそこの生地を使ってもう本格的にやるってサンプル作っても、ちょっと重いんですね。で、きついんですね。硬いのよ。だから日常でこの上下を着るかって言われたら、着ない気がするんですよね。
特に30代以上になってくると、服が重いっていう感覚が分かってきます。20代とか10代の頃には全然気にしなかった服の着心地みたいなものを、30過ぎてくるとだんだん気にし始めます。で、40過ぎて50過ぎてっていう、年齢が先に進めば進むほど、やっぱり着心地の悪いものをなるべく避けてしまうんですよね。
で、それが例えばコートとかだったら、別にコートってずっと着てるわけでもないし、まあいっかなって思うんだけど、こういうデニムパンツとかね、Gジャンとかって、インナー使いもするし、パンツはずっと履いてるじゃないですか。中でも外でも。で、考えると、ここに着心地を求めないのはちょっと酷だろうなって思ったんです。僕自身もそう。特にこういうリジッドですね。今回リジッドのモデルも出してますけど、リジッドはとにかく硬くて重い。すごくこう着心地が悪いので、なかなかそれで上下で着るっていう提案はメンズではハマらないと思うんですよね。
日本人って見た目も気にするけど着心地もすごく気にするんですよ。機能性をめちゃめちゃ気にする民族だと思います。逆にフランス人とかは、ようわからんシルエットで体に反発するようなシルエットとかでも全然気にしないで着てくれたりする。それは服っていうものをアートピースとして捉えてるっていう文化があるんだと思うんですけど、着心地っていうものを考えるのは職人気質な日本人の特徴かもしれませんけれども、見た目の美しさにプラスして機能性とか動きやすさとか着心地っていうところも同時に考えるところが非常に日本人らしい。僕もそうなわけですけれども。
って考えた時に、やっぱり重厚なビンテージデニムで上下を作るっていうのは、なんか僕がやる仕事じゃないなって思ったんですよ。そういうものは世の中にそこそこあるし、お金さえ出せば買えるので、それでいいかなと思ってた。
で、改めて考え直して、じゃあ上下デニムで重厚なビンテージの雰囲気が出るんだけど着心地のいいものっていうのを探したいと、日常デイリーに着れるものを作りたいと考えた時に、やっぱ生地だろうなっていう話になって。で、重厚に見えるけど軽い生地っていうものってなかなか難しいんですよ。なかなか難しいんです。デニムにおいては特にね。やっぱり重さがあって厚さがあるからこそ、色だったりとか存在感ってのが出てくれるのね。それを薄くする、軽くする、オンスを軽くすると、どんどんデニムシャツみたいになってきちゃって、ちょっと重厚感が足りなくなってくるんですよ。
で、ここはどうとも如何ともしがたいトレードオフの関係性にあるんですけど、カイハラさんの生地展示会に行った時に、無数にある生地の中から3つぐらい、これはすごいなって思う生地があったんですけど、そのうちの1つが今回使ってるものです。カイハラさんの名前の付け方で言うとエアチューブデニムっていうのかな?エアチューブデニムっていう言い方をしてると思うんですけれども、エアチューブって言葉通りですけど、中空です。真ん中に空間が空いている糸のことを中空っていう風に言うんですけど、これは横糸にその中空糸を使ってるデニムなのね。
で、中空糸って通常O型なんですよ。アルファベットのOの形ね。Oの形で中に中空が存在している糸。これが中空糸です。ところがこのカイハラさんが作っているこの生地の糸はですね、横糸はOじゃなくてC型になってるんですね。で、このCの中空構造っていうのは、生産工程でも中空が潰れにくくて厚さが保てるっていうエビデンスがあるそうです。僕もそれは知らなかったんですけど、O型の中空っていうのは生産工程の中でだんだん潰れていってしまうので、どうしても厚さが失われる。軽さはあるんだけど厚さはある程度失われちゃうんですね。ビンテージっぽい重厚感を作っても、O型中空だとなかなか難しい。
ここでC型のエアチューブを作って、C型の中空を使うことで、ボリューム感を維持したまま軽さを出すことができる。なんとなく個人的にはCの方が潰れそうな気がして、Oの方が潰れなそうな気がするんですけど、逆だそうです。C型の中空の方が、開いたC構造のために生産工程の中で潰れるということは基本的にはないそうですね。
で、C型中空を横糸に使って、今回9.5オンスで作ってるんですけど、これね、ちゃんとカイハラさん側で比較してるデータがあって、綿で仮にこれと同じ厚さを出そうとすると、同じ張り感を得ようとすると、12.5オンスが絶対必要なんですって。そう、綿100で通常のビンテージデニムでこのデニムと同じような重厚感を出そうとすると12.5必要。つまりさっき僕が言ってた12.5とか13オンスっていう分厚いビンテージデニムみたいな素材感が必要になってくる。でもこれは9.5でそれが実現できるんですよ。これがすごいの。
だから何が言いたいかって言うと、こんなに重厚でビンテージっぽいのに軽いんです。柔らかいんです。張りがあるし厚みもあるけど着心地めちゃくちゃいいんで、上下で着てもむっちゃ楽なんです。これがユニクロさんとかがやってる、裏がスウェットの二重織りデニムとかとは違うんですよ。裏がスウェットで二重織りデニムにすると、柔らかくて着心地が良くてみたいなこと言うけど、風合いはどうしたって損なわれるんです。ちょっとチープになっちゃう。これはあくまでデニムなの。スウェット生地とかじゃないんですよ。デニムなんです。デニムなんだけど、9.5の中空で12.5レベルのビンテージデニムと同様の重厚感、張り感、厚さを実現できてるのがこのカイハラさんのテクノロジーなんですよ。めちゃくちゃすごいです。
これ縦糸には、ちょっとムラが自然に変化しているようなリング糸を使ってるんですけど、ビンテージデニム特有のこれが自然な奥行きを作ってくれています。だから横糸、縦糸どちらもちょっと特徴のある糸を使っているんですけれども、見た目的には本当にビンテージっぽい重厚な雰囲気になってる。でも着心地がいい。
さらに言うと、この中空構造の横糸によってですね、速乾性を備えてるんですね。ノンストレッチなんだけど、シルエットのキープもですね、コットン100と比べれば圧倒的に高い。つまりコットン100のデニムだと、馴染んでくるって言い方だといいんだけど、どうしても型崩れというものが起こりやすい。それが良かったりもするんですけど、このデニムに関しては中空構造のポリエステル糸が入ってるので、形の崩れってのをある程度抑えてくれてる。そして速乾性も高いわけですね。
で、さらに染色もカイハラ独自の技術ですね。独自の技術を使って、濃い色と薄い色のコントラストを鮮やかに再現してくれる独自の染色法を使っています。なので今回の企画はですね、カイハラさんのこのデニム、エアチューブデニムによって、そしてカイハラさんの独自の染色技術によって、ビンテージライクな重厚感があって、厚さがあって張りがある風合いなんだけど、着心地としてはむちゃくちゃ楽っていうのを作ったわけなので、この上に例えばアウターを着るっていうことも全然できちゃいます。
例えば個人的に好きなのが、こういうクルーネックのカーディガン。これミラノリブのカーディガンで、今後うちがね、おそらく来月かな、来月に発売することになると思うんですけど、こういうデニムの上からニットだったりとか、ジャケットだったりとかを羽織るっていうスタイリングも非常にしやすいわけ。9.5なんで、実質着心地としてはデニムシャツに近いような軽さがあるわけですよ。でも見た目的には重厚で、しかも生地の厚さもしっかりあるので、着膨れしないのね。こういう感じ。めちゃかっこよくないですか?
この組み合わせができるなと思って、いろんなアイテムに重ねられるなと思って、なんか、Gジャンとかデニムパンツの可能性が広がったと思うんですよ。こういう着こなしって、古着の世界とかフレンチカジュアルとかではよく見ると思うんですよね。Gジャンを中に入れるって。でも実際やってみると、結構アイテムの組み合わせが難しい。何が難しいかって言うと、こうやって上に着るものとの兼ね合いで着膨れしちゃうのよね。どうしてもデニムの厚さによって、硬さによって、重さによって。でもこのエアチューブのデニムだと、全然着心地も軽いし、膨らみもこうやって結構馴染んでくれるの。着膨れしないんですよ。だからこのGジャンの上からニットを着るとか、Gジャンの上からジャケットを羽織るみたいなことが全然できちゃうのね。
これ僕、デニムのセットアップの傑作中の傑作だと思います。マジでめちゃくちゃすごい。これがどれだけ皆さんに伝わるかわかんないんだけど、全然伝わんなくてももういいんですよ。僕これ欲しいもん。自分が欲しいからこれ作りました。これ最高の出来だと思います。
今まで考えてた、デニムの上下やりたいな、でもデニムの上下ってなんだかんだ着なくなるよね、上にも重ねられないし、なかなか難しいよね、作るのがって思ってた。でも我慢してビンテージデニム着なきゃなって思ってたんですけど、そういうところにカイハラさんのデニムが役に立った。カイハラさんって本当にすごいメーカーさんで、他のブランドがなかなか手をつけてない新しいことに挑戦する。冒頭でも言ったと思うんですけど、まさに今回のがそれですよね。リジッドもこんなに着心地悪そうなのに、めっちゃ軽くて着心地いいんですよ。最高におすすめです。
で、この素晴らしいデニム生地を損なわせないようにですね、あんまり余計なことは今回してないです。ただパンツは上下で合わせた時に様になるように、スラックスっぽいシルエットにしてあります。ポケットのディテールとかもスラックスディテールに仕上げてあります。ただバックポケットとかはデニムそのものです。あんまりこういうとこまでスラックスっぽくしちゃうと、ちょっとこうアメカジっぽい男臭さってのがなくなってしまうので、この辺は注意深くディテールを組んでいます。オレンジステッチもですね、ある程度太めの太番手のステッチにすることで、しっかり男臭さみたいなものを出せています。
トップスですね。トップスのこのGジャンに関してもトラッカージャケットまんまです。基本的には歴史的なトラッカージャケットっていうところをいじってません。ディテールはほぼそのままです。調整用のシンチバックをつけたりだとか、糸の太さだったりとかね。で、シルエットも基本的にオーバーではないです。スタンダードなんだけど、ちょっと今のトレンドを入れてわずかにゆったりさせてる。肩幅とかゆったりさせてるっていうぐらいで、比較的スタンダードなボックスシルエットに仕上がっています。細かいところまで丁寧に仕上げて、ベーシックなんだけどシルエットの見栄えも違うし、何よりビンテージっぽいリアルな感じになってるけど、おじさんたちにも優しいという風に作らさせていただきました。マジで傑作だと思います。
で、問題はどっちを買うかっていうぐらいです。リジッドにするのかビンテージにするのか。これはかなり難しいと思います。で、今回結構サービスしてます。特にビンテージウォッシュの方、それなりに安いです。これ、ここまでこだわって染色加工してるけど5万切ってるってのは、今の物価とか工場の工賃とかだと割とありえないと思います。で、リジッドはね、加工してないから、その分ビンテージより安くなるのは当然なんですけど、これもでも素材の単価だったりとかやってることからすると、かなり安いと思います。結局縫い合わせのパーツ部分も多いしさ、工程も非常に複雑なんですよ。こういうGジャンって、縫う場所見て分かる通りすごく多いんですよ。なのでね、なかなか大変ではあるんですけど。
でも今回のデニムはマジで売れなくても全然へこまない。もうこれが欲しかったんですよ。正直ね、最近そういうのに偏りすぎてる気もするのね。先週のビシュと平方のセットアップスーツ、あれももう最高の出来だと思うんですよ。でも値段が高くなりすぎちゃって、なかなか皆さんに届かないかなってのも思ったんだけど、でもやっちゃえと思ってやっちゃってるわけなんですけど、今回はその意味で値段がかなりこなれてるので、皆さん手が届きやすいんじゃないかなと思うんだけど、全然分かっていただけなくても大丈夫。これすっげえいいです。俺もう本当、デニムはこの上下を多分ずっと着てると思います。
迷うのはね、リジッドなのかビンテージなのかなんですけど、やっぱりリジッドの方が多分好きな人多いんじゃないかな。綺麗な感じでね。もちろんこれはですね、エアチューブですけど、しっかり色落ちする。これ見ての通りですけど、色落ちするので、ここから育てるっていうことももちろん全然できます。その楽しさを得られるのもリジッドの魅力だと思うんですけど、ただやっぱりプロに加工していただいて、職人さんに加工していただいて風合いがしっかり出てる、このビンテージウォッシュの方ももちろん魅力的。僕的にはビンテージウォッシュが結構気に入ってるんですけど、ただこういうのに黒縁の眼鏡とか合わせるとめちゃくちゃかっこいいよね。どれを選ぶかってのはすごく難問だと思うんですけれども、是非皆さんも悩んでみてください。
これはいい出来だと思います。是非。もう手元に届いてビビると思います。こんなに風合い綺麗なのになんでこんな軽いの?デニム好きな人ほど腰抜かすと思います。これまだカイハラさんの出たての生地なんですよ。去年の後半に僕ら初めてお披露目されて、それでゲットした生地だったので、まだ商品化されてるブランドさんってあんまないと思います。是非チェックしてみてください。
というわけで今回は10月4日発売ですね。アルティメイトファブリックシリーズです。エアチューブデニム。これのトラッカージャケットとパンツ、リジッドとビンテージウォッシュの2種類ですね。計4型一気に発売させていただきます。概要欄の方にURL貼ってありますので、是非よかったらチェックしてみてください。それではまたお会いしましょう。MBでした。バイバイ。
マジこれかっこいいわ。たまんない。
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