日経平均7万円は定着するか AI決算と米金利、ドル円の見通し(10月13日〜16日)
テレ東BIZ ダイジェスト日経平均株価は先週、初めて7万円台に乗せたが、その後押し戻された。テレビ東京の「明日への投資戦略」では、齋藤陽アナウンサーがUBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木大樹氏に今週の相場見通しを聞いた。青木氏の見方では、本格化する決算シーズンが株価の追い風になる。一方で、注意すべき点として米国金利の急上昇を挙げた。ドル円については、日米金利差だけで説明できる状態に戻ったと分析している。
先週末の米国市場と日経平均
番組冒頭で確認した先週末の米国株式市場の終値は次のとおりである。ダウ平均は423ドル高の5万654ドル、ナスダック総合指数は172ポイント高の2万7366、S&P500は46ポイント高の7811だった。日経平均は先週7万円台をつけたものの、再び押し戻されている。
相場を動かす「AI・金利・政治」
青木氏によると、今の株式市場は「AI」「金利」「政治」の3つが互いにせめぎ合う状況にある。今週から決算発表が本格化し、AI関連では売上高などに非常に好調な数字が予想されている。そのため、日本株にとっても追い風になる部分があるのは確かだと述べた。
そのうえで青木氏が注目点に挙げたのは金利である。米国でも世界的にも足元で金利が上昇しており、金利が急上昇すると株価が押し下げられやすいという。
実質金利の「水準」より「急上昇」が問題
青木氏はチャートを示して説明した。黄色の線が米国の実質金利、青い線がS&P500である。景気が良いために実質金利が高いのであれば株価は上昇していくので、実質金利が高いこと自体は悪くない。問題は、実質金利が短期間で急に跳ね上がる局面だという。
過去の例として、青木氏は次の局面を挙げた。
- 2023〜2024年:利上げ観測が大きく高まり、実質金利が一気に上昇して株価が押し下げられた。
- 2025年:関税の導入で物価やインフレへの懸念が強まり、実質金利が上昇して株価が下押しされた。
- 今年:イラン情勢を背景に、足元で再び実質金利が上昇している。
今年は利上げ観測も強まっている。それでも株価が持ちこたえているのは、AIへの楽観がある程度あるからだと青木氏はみる。また、6月以降の調整局面を経てバリュエーションもかなり改善した。こうした理由から、決算という観点では今週は株価が上昇しやすい時期だと考えている。
米10年債利回り5.365%というリスク
青木氏が注意点として挙げたのは、米国10年債利回りの水準である。利回りは一時5.365%まで上昇し、青木氏によれば約24年半ぶりの高水準だった。その後は国債入札の結果が良好だったため、やや低下した。ただし、CPIなどをきっかけに金利がさらに上がれば株価の下押し要因になる。青木氏は、この点をリスクとして意識しつつ決算に注目したいと述べた。
それでも米国景気へのリスクとは見ていない
齋藤アナが、米国の金利環境を大きなリスクと捉えていないのかと尋ねた。青木氏は、経済やマーケットの観点ではリスクとは全く捉えていないと答えた。
根拠として青木氏が示したのは2点である。1つ目は、5.365%という高い金利水準でも、米国の金融機関の貸し出し姿勢は悪化していないこと。2つ目は、設備投資の計画やマインドが依然として強いことだ。もっとも、設備投資はAI関連に偏っており、セクターに偏りがあることは認めている。それでも、金利が5%を超えても景気後退の確率は高まっておらず、景気はむしろ強いくらいだという。
こうした見方から、青木氏は米国株の中期見通しにも強気である。来年前半までを見れば10%超の上昇もありうると予想している。
ドル円は日米金利差と「整合的」に動いている
続いて為替に話題が移った。ドル円は150円台後半で落ち着いている。政治の動きがあったため、懸念する投資家と強気の投資家で見方が分かれているという。そのうえで青木氏は、今のドル円は日米10年金利差と整合的に動いているとの見方を示し、チャートで説明した。
チャートの灰色の線がドル円の実績値である。青い線は、日米10年金利から説明できる水準に、昨年10月以降の上乗せ分を加えたものだ。この上乗せは約9円分あり、金利だけでは説明できない円安要因だった。
青木氏は、この9円分を高市政権発足以降の要因と位置付ける。具体的には、市場の財政懸念と、日銀が十分に利上げできないのではないかという「ビハインド・ザ・カーブ」への懸念である。青木氏によれば、この上乗せは先物市場が主導していた。ドル円は4月末まで、この青い線と非常に高い連動性を保っていた。
9円分の上乗せが剥がれ落ちた
状況が変わったのは7月末だと青木氏は説明した。介入があり、灰色の線が大きく下がった。その後も、ベッセント財務長官の発言、トランプ大統領が円安を懸念しているとの報道、レートチェックなどが続いた。
その結果、足元のドル円は、ピンク色(赤)の線にきれいに沿って動いている。この線は、ウェイト付けした日米10年金利差だけで説明できる水準を示す。先物市場主導の9円分は剥がれ落ち、ドル円は金利差だけで説明できる水準に戻った、というのが青木氏の分析である。
今週のドル円:上値158〜159円、下値は硬い
ドル円が金利に連動して動くのであれば、米国金利が大きく下がれば円高ドル安になる。しかし青木氏は、景気が強くインフレ加速の懸念もある以上、米国金利は上がっていくとみている。
今週については米金利に上昇リスクがあるとみて、ドル円は158円、159円台に乗せる可能性も十分あると述べた。ただし160円までは行かないとの見立てだ。逆に、米金利が急落するリスクはかなり限られていると青木氏は考える。そのためドル円の下値は硬く、CPIが弱い場合でも157円40銭程度で、それほど下がらないとみている。
今週の注目材料:米CPIと10月利上げ確率
今週の主な予定は次のとおりである。
- 14日:米国消費者物価指数(CPI)
- 週後半:財務相・中央銀行総裁会議(バンコクで開催)
- 米国小売売上高の発表
- 金融企業の決算
青木氏が最大の焦点に挙げたのは14日の米CPIである。9月の利上げに続き、10月(28日)に連続利上げとなるかどうかが問われているためだ。青木氏によると、市場は一時、連続利上げを70%程度の確率で見込んでいた。その後、弱い指標が出たことなどから、確率は20%程度まで下がっている。CPIの結果でこの見通しがどう変わるかが金利を左右し、株式にも影響するという。
物価の推移について、青木氏は次のように説明した。総合CPIの上昇率は5月に4.2%あったが、直近は3.4%まで落ち着いてきた。しかし足元でエネルギー価格が再び上がっているため、インフレは再加速する見通しだという。今回のCPIが上がることは「ほぼ確実」と青木氏は述べ、前年比3.6%程度への上昇を予想した。インフレの再加速が10月の利上げ判断と金利の動きにどう影響するかが、今週の相場の焦点になる。
モーサテプレミアムをご覧の皆さん、こんにちは。明日への投資戦略です。今日のゲストをご紹介します。UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木大樹さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
ではまずは先週末のマーケット情報を元に、今週はどんな相場になるのかお聞きしていきます。先週末のアメリカの株式市場を確認していきます。ダウは423ドル高の5万654ドル、ナスダックは172ポイントプラスの2万7366、S&P500は46ポイント高の7811です。先週、日経平均は7万円台に達しましたが、再び押し戻されています。今週、青木さん、どうなるでしょうかね。
そうですね。今の株式市場、ある程度動きというのは、本当にAIと、あとは金利、そして政治、この3つがキーワードで、せめぎ合っているような状況なんですよね。
AI、政治、金利、3つ。
そうなんですよ。来週、本当に決算が始まっていきますので、今、AIの売上ですとか、非常に好調な数字が予想されていますので、そういう意味では来週も日本株にとっても結構追い風の部分があるのは確かなんですよ。ただ、やはり注目が金利の部分でして、足元、アメリカもグローバルも金利上昇している中で、金利が上昇する、特に急上昇すると、結構株には下押しになるんですよね。
これ、黄色い線、これがアメリカの実質金利ですね。利上げとか、観測が高まっていくようなものですけどね。青いのがS&P500で見ていて、基本的に実質金利が景気が良くて高いというのであれば、青い線、株式というのは上昇していくので、実質金利が、結局、景気が良くて高いというのはいいんですよ。
問題は急激に、ぴょっと上昇するような局面でして、例えば2023年、24年の時なんかは、やっぱり利上げ観測が大きく高まったりとかですね。これで一気に黄色い線が上がってくると、青いところが下押しになってくるというところですよね。
2025年に入ってくると、相互関税があって、これも一気に物価、インフレの懸念という中で実質金利が高まるんですけどね。これが株価下押し。今年はやっぱりイランの情勢で、足元、また黄色い線が高まっています。利上げ観測も4回織り込むような状況になっていますので。
そうですね。
なので、ここでも青い線は踏ん張っている状況なんですよね。これ、やっぱりAIの楽観、ある程度、6月以降のちょっと調整した局面というのも、バリュエーションも結構良くなってきたので。なので来週、基本的に決算の観点では、私はやっぱり少し上昇しやすい時かなと思っていますが、ちょっと懸念といいますか、注意点というのは、この金利ですね。
これが来週、ちょっとさらに高く、今、アメリカでしたら5.365まで。アメリカ10年、これ24年半ぶりの高金利です。5.365。その後、入札が良かったので少し下がったんですけどね。これがまたCPIですとか含めて、さらに金利が上昇とかになってくると、株の下押しになってくるので、そこはちょっとリスクとしながら見つつ、決算に注目していきたいというのが来週ですよね。
ただ、アメリカの金利環境というのは、大きなリスクとは捉えていないんでしょうか。どうなんですか。
まず経済、マーケットという点でいうと、リスクとは全然捉えていないんですよ。5.365とか、すごく高いじゃないですか。じゃあ、アメリカの、例えば金融機関の貸し出しスタンスが悪化しているかといったら、全然悪化していないんですよ。悪化していないです。また設備投資の計画、設備投資のマインドもやっぱり強いです。やっぱりAIに絡むところというのはどうしてもあるので、セクター、エリアは偏っているわけですけども。
なので、5%を超えるまで金利上昇といって、これが危ないかというと、実は全然、景気後退のリスクは高まっていない。むしろ強いぐらいではありますので、基本的に株価に関しても、年末、来年まで見ていくと、私はやっぱり上昇していく。アメリカの株であれば、来年の前半まで見れば10%超上がっていくんじゃないかなというのは見ていますね。
そして、為替も見ていきましょうか。150円後半で落ち着いていますが、この動きはどうなんでしょうか。しばらく動かなそうという感じですか。
そうですね。結構、政治の動きがあったので、動きは本当に懸念される投資家も多かったり、強気という向きと結構分かれるんですけど、私は今のこのドル円というのは、アメリカと日本の10年の金利と、もうきれいに整合的に動いているというのを見ているんですよ。1つ、ご紹介したかったチャートがこれでして、灰色の線というのがドル円の実績値なんですよね。
青い線、これが、まだすごく説明力が高かったわけなんですけども、アメリカと日本の10年の金利。これに、昨年の10月以降、青い線がぴょこんと上がっていますよね。
そうですね。
9円分、昨年の10月ですね、ぴょこっと上がったのが。そう、昨年10月、ぴょこっと上がったのが昨年の10月のところでして。これが金利だけでは説明できない、昨年10月以降の要因、9円分。これは高市政権発足以降ですので、市場が財政の懸念をするですとか、日銀が十分に利上げができないんじゃないかといった、いわゆるビハインド・ザ・カーブの懸念ですとか、こういったことで、金利で説明される水準プラス9円。これ、先物市場だったんですけどね。これで推移していたのが青い線なんですよ。非常に連動性があったんです。
非常に、この4月までですよ、4月末まであったんですけど、7月の末に協調介入があって、ドンと灰色の線が下がって。その後もベッセント財務長官の、私が黒幕であるといった発言ですとか、あとはトランプ大統領が円安を懸念しているですとか、レートチェックなんかもありましたので、今のドル円、灰色の線というのが、このピンク、赤い線。こちらはアメリカと日本の10年金利だけで説明できる水準。
もう9円分の、先物市場主導の9円分のところが剥がれ落ちちゃって、今は金利差、ウェイトをつけた金利差だけで説明できる水準に戻ってきたと。これ、本当に足元を見ていただくと、灰色の線というのがこの赤い線と結構きれいに連動して動いていると思うんですよ。足元ですね。
そうですね。
なので、今は本当に金利と連動して動く状況になったなとなると、アメリカの金利が低下するのであればドル円安になりますけれども、景気も強い、インフレ加速の懸念もあるという中では、アメリカの金利はやっぱり高まっていくと思いますので。
ドル円ですね、来週はどうでしょう。少し私は、アメリカの金利がやっぱり高まりやすい、少し上昇リスクがあるかなと思っているので、158円、159円、160円まで行かないですけども、また159円台に行く可能性というのも十分あるかなとも思っていますし、やはり金利が急落するようなリスクは非常に限られてはいるので。ドル円が本当に大きく低下するかというと、もう金利と連動して動いていますから、金利が高い状況が続く中ではドル円も非常に下値は堅いかなと思っています。来週も下がったとしても、例えばCPIが弱いとか、157円の40銭ぐらいのところで、下というのは非常に堅いというふうに、私はドル円については思いますね。
わかりました。そして、火曜日の経済イベントから注目材料もお聞きしていきましょう。まずは週前半です。14日、アメリカ消費者物価指数です。そして週後半、財務相・中央銀行総裁会議がバンコクで開かれます。そしてアメリカの小売売上高の発表もありますね。そして金融企業の決算もあります。注目はどこになりますか。
そうですね。一番の注目は、アメリカの消費者物価って書いていましたかね。アメリカの。
14日ですね。消費者物価指数。
まずはここが一番大きな焦点にはなると思います。というのは、10月の利上げで連続利上げになるのかどうか。9月に続いてですね。これ、一時期はマーケットは70%ぐらいの確率で見ていたんですよ。70%ぐらい。ところが、雇用統計が弱かったりとかして、今、10月の28日ですけどね、連続の利上げになるのは20%ぐらいまで確率が下がってきているんですよね。
そうですね。
これがどうなるのかで、金利がどうなるか。そしてこれが株式にも影響してきますので、非常に注目でして。10月、エネルギー価格が足元また上がってきていますので、エネルギー関連の加速によって、全体の総合の消費者物価指数。9月、これ3.4だったんです。これ、一時期5月には4.2ありましたから、ちょっと下がってきたんですよ。下がってきたんだけど、今また足元、エネルギー価格上昇なので、また9月、10月とインフレが加速してくる見通しです。
上がってくるかも。
上がっています。上がってくる。もうほぼ確実と思っていいんですよ、CPIについては。
そうですね。
3.6%、前年比で見て上がってくるんですよね。
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