電気代「1万円時代」に補助金15兆円の使い道を問う 大橋弘・東大教授の見方
テレ東BIZ ダイジェストBSテレ東「日経モーニングプラスFT」の特集は、電気料金が月1万円を超える地域が出てきた状況を取り上げ、エネルギー戦略を考えた。ゲストは東京大学教授で副学長の大橋弘氏である。大橋氏は値上がりの要因を3つ挙げた。そのうえで、これまでの補助金は一時的な激変緩和としては一定の意味があったと認めつつ、価格の高止まりが続く今は、省エネ投資や備蓄など長期的な対策にお金を回すべきだという立場を示した。
補助金終了で1000円以上の値上がり、北海道・沖縄は初の1万円超え
番組はまず、今月分の各社の電気料金を紹介した。補助金の終了に伴って、ほとんどの社で1000円以上の値上がりとなる。北海道電力と沖縄電力では初めて1万円を超える。家計には重い負担であり、キャスターはなぜここまで上がったのかを大橋氏に尋ねた。
値上がりの要因は3つ
大橋氏は、主な要因が3つあるとの見方を示した。
1つ目は資源調達である。現在の発電に主に使われているのはLNGだが、いま発電に使っているLNGは3〜5カ月前に輸入したものだと大橋氏は説明する。その時期は中東での軍事衝突などの影響で価格が相当上がっていた。その分が今の電気料金に反映されているという。
2つ目は国内の事情である。電力自由化の影響もあり、採算の取れない発電所の休廃止が進んでいる。加えて、燃料をスポット市場から調達する電力事業者が増えている。大橋氏によると、LNGのスポット価格が上昇している今のような局面では、その上昇分がそのまま電力料金に転嫁される傾向が強まっている。
3つ目が補助金である。補助金は9月末で終了したが、その影響が出るのはおよそ11月の請求書からになる。そのため、電力料金はさらに上がる傾向にあると大橋氏は見ている。
電気・ガスに約5兆円、ガソリンに約9兆円
番組は補助金の経緯を振り返った。2022年のロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格が大幅に上昇した。その後、これまでに電気・ガスに対して約5兆円、ガソリンに対して約9兆円の補助金が支出されている。合計は15兆円弱になる。
大橋氏によると、補助が始まったのは2023年頃である。当時は東京電力・中部電力の電力料金が相当上がっており、平均でおよそ9000円に達していた。大橋氏は、値上がりが一時的なものであれば、激変緩和措置は一定程度必要だったと評価した。
ただ、振り返ると価格の上昇はその後も続いている。そこで大橋氏は、高い価格に対して家計や事業者の行動変容をどう促すかを考える必要があると指摘した。価格の上昇をある程度受け入れてもらうことで投資を促す、といった考え方が重要だという。その意味では、燃料補助に充てるより次のような使い方も考えられると述べた。
- 省エネへの投資に充てる
- 日本が石油について行っている国家備蓄をLNGにまで広げ、LNGの設備への補助に充てる
キャスターはこれを「長期的な対策への転換が必要」とまとめた。
低所得層に絞れなかったのか
キャスターは次に、補助金が事業者を通じて支払われる仕組みを取り上げた。対象を低所得層などに絞った給付にすれば、金額を抑えられたのではないかと問うた。
大橋氏は、当初の事業者を通じた補助には利点があったと答えた。迅速に実施でき、対象を網羅できる点で、効率性の高い手法だったという見方である。一方で、所得に関係なくすべての世帯・事業者に同じ補助が行き渡った点については、財政の観点から効率化の余地があったという指摘にうなずいた。
大橋氏は、所得に応じて補助の額を変えられればよいとも述べた。ただ、現在の仕組みではそうしたきめ細かな対応がなかなかできない。こうしたスキームの必要性はコロナ禍の頃からずっと言われているとして、今後しっかり考えていく必要があるとした。
エコポイントのような購入補助は考えられなかったのか
最後にキャスターは、過去のエネルギー関連の補助制度を挙げた。2009年のエコポイント制度は、省エネ家電への買い替えを促したものである。今は太陽光発電や蓄電池を導入する家庭も増えている。そこで、こうした機器への購入補助という形は考えられなかったのかと尋ねた。
大橋氏は「今回は価格の上昇が非常に早かった」と答え始めた。公開された映像はそこで終わっており、この問いへの回答の続きは収録されていない。
ここからは特集です。今日のテーマはこちらです。電気代1万円時代で考えるエネルギー戦略です。ゲストをご紹介します。東京大学教授で副学長でもいらっしゃいます、大橋弘さんです。よろしくお願いいたします。
はい、よろしくお願いします。
まずはこちらですね。今月分の各社の電気料金です。補助金の終了に伴いまして、1000円以上の値上がりとなるところがほとんどで、北海道電力や沖縄電力では初めて1万円を超えてきます。家計にとっては重い負担となるわけですけれども、まずなぜこれほど上昇したんでしょうか?
はい。要因としては主に3つあるんじゃないかと思います。1つは資源調達なんですが、我々、今使ってる電気は、主に使ってるLNGなんですけれども、このLNGはですね、3ヶ月から5ヶ月前に輸入したLNGを今、電気で発電してることになります。当時の3ヶ月か5ヶ月前っていうのは、やはり中東の軍事衝突とかの影響で、相当価格が上がってる時期のコストだったということで、その分だけ電気料金が上がってしまってるということは1つあります。
2つ目、国内の事情なんですけれども、自由化の影響もあってですね、採算性が取れない発電所がどんどん休廃止してるというふうな状況にあります。併せて、燃料もスポット市場から調達する電力事業者がどんどん増えてまして、そうするとLNGのスポット価格が上がってる上昇局面、今なんですけれども、そうした状況では、やはり電力料金にそのまま転嫁されるという傾向が非常に強まってるのかなと思います。
最後に補助金なんですが、これ9月末に補助金終了してますけれども、この影響が出てくるのはおよそ11月の請求書からということで、そうするとさらに電力料金っていうのは上がる傾向にあるのかなというふうに思われます。
はい。ここからその補助金について改めて振り返っていきます。2022年のロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格が大幅に上昇した後ですね。これまでに補助金は電気・ガスに対しておよそ5兆円、ガソリンに対するものはおよそ9兆円が支出されています。大橋さん、このエネルギーに対する補助金ですね、どのように評価されますか?
こちらの補助が始まったのが2023年頃だと思いますけれども、当時、東京・中部の電力料金っていうのは相当上がってまして、およそ9000円まで平均だと上がったということになります。当初は、この電力料金の上昇が一時的なものだということであれば、やっぱり激変緩和措置っていうのは一定程度必要だったのかなというふうに思います。ただ今振り返ってみると、相当程度、価格の上昇がその後続いてますので、そうするとやはり家計とか事業者がこの価格高騰に対して、どう行動変容を促すのかということっていうのは、やっぱり考えていく必要があるのかなと思います。
例えば、価格をある程度引き上げることによって、その投資を促していくとか、そうしたことっていうのは非常に重要で、そういう意味で言うと、燃料補助に充てるよりは、そうした省エネの投資であるとか、あるいは我が国は石油について国家備蓄を行ってるんですけども、そうした石油だけではなくて、それをLNGまで伸ばしてですね、LNGの設備補助にも充てていくとか、そうした形でのお金の使い方っていうのも、おそらく考えられるのかなというふうには思います。
長期的な対策への転換が必要ということですね。そのエネルギー補助金ですが、額を合計しますと15兆円弱と、本当に巨額なんですよね。事業者に対して支払われるものですけれども、ターゲットを低所得層などに絞って、給付によって金額を抑えるということはできなかったんでしょうか?
これ、当初ですね、やはり事業者を通じて補助を与えるというスキームは、迅速性もそうですし、また網羅性の観点からも、おそらく極めて効率性の高い手法だったのかなと思います。他方で、やはり所得に関係なく全ての世帯、あるいは全ての事業者に同様の補助が行き渡るということっていうのは、もう少し財政の観点からすると効率化の余地があったのではないかというのは、おっしゃる通りだと思います。
例えばですね、所得に応じて給付の額を変えていく、補助の額を変えていくってことも可能ならばいいんですけども、現在そのスキームっていうのはなかなかきめ細やかにできないということなので、おそらくそうしたスキーム、これコロナの頃からずっと言われてることだと思いますが、そうしたスキームっていうのは、やっぱりしっかりこれから考えていく必要があるのかなというふうに思います。
大橋さん、このエネルギー関係の補助金、あるいは補助制度って昔から何度かやってると。例えば2009年にエコポイント制度、これ省エネ家電の買い替えを促したってことで、私も使ったよって方、結構いらっしゃるんじゃないかと思うんですが、例えば今回ですね、太陽光発電とか蓄電池、結構家庭用で出てきてますよね。こういうのに対して購入補助を出すような形っていうのは考えられなかったんでしょうかね。
今回ですね、やはり価格の上昇が非常に早かったということなんで、そういう意味では。はい。
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