インフレ下でなぜ外食・食料品株が強いのか:大川智宏氏が挙げる「海外売上」という鍵

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概要

テレビ東京「モーサテわからん」のこの回では、智剣・Oskarグループの大川智宏氏が、聞き手の中原みなみアナウンサーに「インフレだからこそ光る日本の新たなお家芸、大手食料品・外食」というテーマを解説した。大川氏自身も認めるとおり、インフレなら外食や食料品は売れなくなるはずで、タイトルは一見矛盾している。それでもキッコーマン、宝、スシロー、ゼンショーといった銘柄の株価は強い。大川氏はその理由を海外事業に求める。

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金融政策が不安定な今、何を選ぶか

大川氏はまず前回までの話を振り返った。半導体以外にも投資対象を探すことが重要だという話である。今は米国や欧州(ECB)を含めて世界の金融政策が大きく変わりつつあり、マクロ環境、とりわけ金融政策をめぐる環境が不安定になっている。そのため、こうした環境にあまり左右されない投資対象を選ぶべきだ、というのが大川氏の考えだ。

日本でもインフレが進み、消費がどうなるのか、消費減税にどんな効果があるのかが議論されている。大川氏はこうした状況を踏まえたうえで、個人的に好きなテーマとして食料品と外食を持ち出した。

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「スーパーに毎日行く」立場から見ても食品は高い

大川氏はほぼ毎日スーパーに通っているという。主な目的はつまみと酒の購入だが、時間に余裕があった頃は朝昼晩の3回通い、開店直後には前日の「お勤め品」を近所の高齢者と奪い合っていたと笑いを交えて語った。料理も好きで、鶏肉や牛肉のグラム単価には多くの人より詳しいと自負している。

その実感として、最近の食品は「高い」。牛肉はほとんど買わなくなったという。大川氏は、値段のインフレは本来、食料品や外食にとって強いマイナス要因になるはずだと指摘する。

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それでも食料品株は安定している

ところが、過去3カ月のTOPIX食料品指数は安定している。大川氏によれば、市場が乱高下を始め、日経平均などが上下を繰り返している時期にも、食料品セクターは崩れていない。

一般に食料品がディフェンシブとされる理由について、大川氏は中原アナとのやり取りを通じて説明した。内需であることも理由の一つだが、内需の中でもディフェンシブなものとそうでないものがある。食料品は景気が悪くなっても食べないわけにはいかない生活必需品であり、医薬品も同様に、景気が悪いから薬を買わないということにはならない。だから市場が乱高下しても、景気見通しや金融政策が大きく変わっても影響を受けにくく、底堅さを発揮する。

ただし大川氏の主張はそれだけではない。そもそも食料品関連と外食関連は、ディフェンシブという性質を超えて強いのではないか、と考えている。

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キッコーマンと宝の株価

大川氏が最初に示したのは、醤油やみりんなどの調味料を扱うキッコーマンと、酒の宝だった。宝は何年も前から推奨してきた銘柄だという。酒が好きだから推しているという面も否定しないが、それ以上に業績が良いと見ている。

過去半年で見ると、両社とも日経平均を上回っており、宝は大幅に上回っている。中原アナはチャートを見て、6カ月でおよそ70%上がっていると読み取った。大川氏は「ドヤ顔」をしたいところだが、上がっても誰も褒めてくれず、下がると怒られるのがこの仕事だと冗談を交えた。

なぜ醤油やみりん、酒が強いのか。大川氏はすぐには答えず、ヒントとして外食株を取り上げた。

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スシローとゼンショーも強い

次に示されたのは、スシローを運営するフード&ライフカンパニーズと、すき家やはま寿司を展開するゼンショーの株価だ。どちらも強く、特に直近の戻りが強かった。

フード&ライフカンパニーズは直近で急落しているが、大川氏はこれを同業他社の不祥事に巻き込まれたものと説明した。従業員がキャラクターに関わる問題を起こした件だという。それまでは高値圏まで上昇しており、トレンドとしてはかなり強いと大川氏は見ている。

しかし、日本はインフレで、値上げに踏み切る店も出てきている。それなのに、なぜこうした外食株の見通しは強いのか。

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答えは「海外売上高比率」

大川氏の答えは海外売上高比率だった。ただし、比率がすでに高いからというより、これから海外展開を強化すると表明していることが重要だという。

偶然にも、フード&ライフカンパニーズとゼンショーはどちらも中期経営計画で、2030年頃までに海外売上高比率を35%に引き上げる目標を掲げている。売上の3分の1以上を海外にするということだ。大川氏によれば、この経営方針によって収益性が改善するという期待が市場で高まっているのが現状である。

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スシローの国内と海外の差

大川氏はスシローの地域別セグメントのデータを示した。国内も売上収益とセグメント利益がともに2桁台の増収増益だが、海外の伸びは62%と83%で、伸び率がまったく違う。だから経営資源は海外に振り向けられる、と大川氏は説明する。

店舗数を見ると、国内は前期末比でほぼ横ばいだった。一方、海外では78店舗を新たに開店し、3割以上増えている。出店先は主に中国と東南アジアだ。大川氏は、上海に住む友人などから、とんでもない行列ができていると聞いているという。現地で成功したため、主要都市へ展開を広げているのがスシローの現状だと大川氏はまとめた。

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なぜ海外の方が伸びるのか:値上げに対するマインドの違い

中原アナは「寿司が人気だから」と答え、大川氏もそれは確かだと認めた。そのうえで、国内を増やさず海外を増やすことには明確な戦略の違いがあると説明した。

大川氏の見立てでは、日本は値上げに弱い。大川氏自身もスーパーで牛肉が高いと感じれば買わずに豚肉で済ませるように、日本の消費者は価格に敏感だ。海外の消費者も価格に敏感ではあるが、マインドが違うという。

日本はデフレが非常に長かったため、値上げされても価格が戻るまで待つ人が多く、戻ってくると信じている人も多い。一方、海外はずっとインフレが続いてきたので、価格が戻らないことを知っている。だから「今が一番安い」と考え、先回りして多めに買っておく方向に気持ちが向く。そのため値上げへの抵抗が少なく、大川氏の言葉では「値上げし放題」に近い状態になり、それが大きな利益につながるという。

この違いを踏まえ、大川氏は、国内だけで頑張っている企業はかなりジリ貧になり、企業は完全に海外へシフトしていくと予想した。

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キッコーマンは海外事業が8割

ここで話はキッコーマンに戻る。会社資料のセグメント構成では、海外事業が8割を占めている。醤油の会社でありながら海外が8割という事実に、中原アナは驚いた。

なぜ海外で売れるのかという問いに、大川氏はスシローの話と結びつけた。寿司を食べるには醤油が必要である。高級店ではイカなどに塩を使うこともあるが、回転寿司なら普通は醤油を使う。海外で回転寿司がこれだけ伸びれば、醤油も伸びるというわけだ。実際、直近のセグメント別の数字でも、キッコーマンの醤油は日本より海外の方が伸びていると大川氏は紹介した。

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インバウンドで「実証済み」の人気

大川氏は、インバウンド需要の大きさもこの議論の裏付けになると考えている。以前、有名な観光地のど真ん中に住んでいた時、天ぷら屋などでは土日に1時間並ぶのが当たり前で、多くの訪日客がいたという。

日本で外国人に人気のものを海外に持っていけば人気が出るのは、すでに日本国内で実証済みだ、というのが大川氏の見方である。そこに商機を見いだして海外展開を進める企業が増えており、セグメント別の伸びを見ても海外が圧倒的に強い。食品の製造・卸売についても、伸びているのは海外で売っている部分だと大川氏は説明した。

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結論:食料品メーカーも外食も海外で強くなっている

大川氏の結論は、インフレで国内の値上げ環境が厳しいなか、食料品メーカーも外食も海外で強くなっている、というものだ。冒頭の「インフレなのになぜ食料品・外食が強いのか」という矛盾に対して、大川氏はインフレに慣れた海外市場での成長を答えとして示した。

字幕は大川氏が「で、あとは」と次の話題に移ろうとするところで途切れており、その先の論点はこの素材では確認できない。