「NVIDIAの次」は30社の中にない:渋澤健会長がAIブームに距離を置く理由
テレ東BIZ ダイジェストコモンズ投信は、銀行や証券会社を通さずに投資信託を直接販売・運用する会社で、渋澤健氏はその会長を務める。番組では、WBSキャスターの豊島晋作氏、元トレーダーの志田憲太郎氏、個人投資家のちょる子氏、投資歴4年のタレント兒玉遥氏の4人が渋澤会長に質問した。この回の中心になった問いは、時価総額世界一のNVIDIAに象徴されるAIブームに、長期投資家としてどう向き合うかである。渋澤会長はAIの普及を確信しつつも、AIモデルへの巨額投資が価値を生み続けるかには疑問を示した。
「10年後のNVIDIA」はポートフォリオにあるか
出演者の一人は、個人が長期投資で夢見るなら「NVIDIAがまだ何でもない頃に買っていたらどうなったか」だろうと前置きし、コモンズ投信が厳選投資する約30社の中に、10年後にNVIDIAのようになる成長要素を持つ銘柄はあるかと尋ねた。
渋澤会長の答えは「30の中にはないです」だった。理由として、投資先は将来をつくっている会社ではあるが、すでにそれなりの実績がある会社ばかりだからだと説明した。そのうえで、NVIDIAには自分も投資したかったと率直に認めている。2003〜2004年ごろのチャートを見て、当時に資金があればと思うことはあるという。ただ、仮にその時に買っていたとしても、株価が倍になった時点で喜んで売っていただろうと笑い、多くの人はそういうものだと話した。
AIに投資戦略の重心を移すべきか
続いて、AIで社会が大きく変わるのなら、投資の思想は維持するとしても、戦略はAIに重心を移すべきではないかという質問が出た。ここ2〜3年の変化を見れば、そう考える見方もあるという問題提起である。半導体にもっと賭けておけばよかったと思わないかと聞かれた渋澤会長は、関連銘柄はすでにポートフォリオに入っていると答え、もっと買っておけばよかったとは特に思わないと述べた。
知識がコモディティ化したとき、価値はどこで生まれるか
渋澤会長がAIブームを冷静に見る理由は、AIの普及そのものへの懐疑ではない。本人も日常的にAIを使っており、今後はみんなが使い、さらに使いやすくなると考えている。そうなると「AIイコール知識(ナレッジ)」がコモディティ化する、というのが渋澤会長の見方である。
知識がコモディティ化していく中で、AIモデルだけに莫大な資金を投じてどうするのか、と渋澤会長は大きな疑問を示す。AIはいずれインフラになり、それはかつての鉄道や光ファイバーと同じで、絶対に必要で当たり前の存在になる。しかし、価値を生み出す恩恵を受けるのは、インフラそのものではなく、それを利用する側(下流)かもしれないという指摘である。
そのため、AI関連への投資もきちんと行う必要はあるとしつつ、AIをツールとして使ってどのように価値をつくれるかという視点で他の領域にも目を向ける方が、特に日本企業に投資する運用会社としては、長期的に見てよりよい選択肢になるのではないかと渋澤会長は述べた。
「手数料10%でも莫大」という反論と、価格は維持できるのかという疑問
これに対して出演者からは反論も出た。半導体や関連銘柄に入れるのが確実だとしたうえで、10年後、20年後に世の中の20%だけでもAIに置き換わった未来を想像すれば、生み出される価値は莫大で、その手数料として10%を得るだけでもとてつもない価値になる。長期投資の観点からは、今からAIを買ってもよい局面かもしれないという意見である。
渋澤会長は、まさにその点が自分の疑問だと応じた。そのプライシングは本当に維持できるのか、ということだ。AIはどんどん無料化に向かっており、中国勢が参入して「うちは無料で提供しますよ」という動きも出てくる。現在のパフォーマンスは良いが、コモディティ化が進んだときにどうするのかについては、まだ答えが見えていないと渋澤会長は話した。
「なぜフジクラを買わなかったのか」と言われたら
AIの波に乗らない独自のアクティブファンドを運営する立場について、ちょる子氏は知人の例を挙げて質問した。親しくしている独立系運用会社の社長が出した投資信託は、昨年75%という素晴らしいパフォーマンスを上げた。それでも受益者から「なぜフジクラを買わなかったのか」と怒られていたという。アクティブファンドのマネージャーは大変だと感じたうえで、こうした不満が起きないように何を示しているのかを尋ねた。
渋澤会長は、そういうことが起きないとは思わないと認めた。言いたい人は言うし、言われても「そうですね、すみません」としか答えようがない。それで満足できないのであれば、他のファンドの方がよいのではないかと思う、と率直に答えた。
アクティブファンドは指数から何を「ずらす」のか
別の出演者は、自分の考えだと断ったうえで、アクティブファンドが指数と違うものであるためには、意図的に何かを指数からずらす必要があるのではないかと問いかけた。たとえばAIをテーマにする、あるいはバリュー重視で下がったものだけを買うといったずらし方であり、それはリスクにもリターンにもなる。では、コモンズ投信は何をずらしているのかという質問だ。渋澤会長は、その考え方は正しく、確かにずらしていると答えた。
良いアクティブファンドをどう選ぶか
最後に、AIが流行する時代にリターンを得るために、投資家は良いアクティブファンドをどう見極めればよいかという質問が出た。渋澤会長は、一つはそのファンドマネージャーの顔、つまりどういう人が運用しているのかだと答え始めたところで、この動画は終わっている。
なお、冒頭の予告では、ソフトバンクグループがAIに全力を注いでいることへの評価や、テーマ型ファンドについて「当初の流行りを掴んで」いるものはダメだと思う、パフォーマンスだけ見ると難しいといった発言も流れた。ただし、これらの詳しいやりとりはこの動画には含まれていない。
NVIDIAがまだ何でもない頃に買ってたらどうなったのかっていう夢はあると思うんですよね。
30の中にはないです。NVIDIAは僕も投資したかったですよ。
投資家からしましたら、多分一番欲しいのはリターンですよね。僕はしょうもないですよ。
ソフトバンクグループがAIに全振りしてる。孫さんとか、そう見てるんですか?
天才であることは間違いないですし。
テーマ型ファンドってあるじゃないですか。当初の流行りをつかんで。ダメだと思います。パフォーマンスだけ見ると絶対難しいです。
社長、質問があります。
ゲストは渋沢栄一の玄孫、渋澤健。銀行や証券会社を通さずに投資信託を直接販売、運用するコモンズ投信の会長を務める。
それでは早速始めてまいります。お願いします。
渋澤会長に質問をぶつけるのは、ワールドビジネスサテライトキャスターの豊島晋作、元トレーダーの志田憲太郎、個人投資家のちょる子、投資歴4年のタレント、兒玉遥の4人。
まずは時価総額世界一、NVIDIAの話題。30社を厳選投資する渋澤の本音。
じゃあ、ちょっと私は下世話な質問させていただいちゃいますけど、長期投資っていうと、個人としては夢見るとしたら、NVIDIAがまだ何でもない頃に買ってたらどうなったのかっていう夢はあると思うんですよね。そういう意味では、今コモンズさんが投資してる銘柄の中に、10年後にNVIDIAみたいなことになっちゃうような成長要素を持ってる銘柄は、今30の中にありますか?
30の中にはないです。なぜかというと、そういう意味では、これから将来を作ってる会社だったので、それなりの実績がある会社ばっかりなんですけども。NVIDIAは僕も投資したかったですよ。もう僕もチャート見て、うんとか言って。2003年、4年ぐらいに、ちょっと先見力あればなみたいな、当然あったと思うんですけど。そうすると多分ですね、その時に先見力あったとしても、株価が倍になった時に、よっしゃと売ってたと思うのね。そういうもんですよ。
多分、数万人の方のうち、少なくない方が多分疑問に今思ってるのは、AIで相当社会変わるというのは、御社の投資戦略を、投資の思想は基盤はあるとしても、今後戦略をガッと変えていくことにはならないですか?
投資戦略ですか?
投資戦略。だから、AI、やっぱりこの3年、2年の変化を見てると、AIにもうこれはどう考えても重心を移しとくべきじゃないかっていう見方もあると思うんですね。渋澤さんもやっぱりこの2、3年、ちょっと半導体にもうちょっとベットしとけばよかったなって思いませんか?
ベットしてますんで。ベットというか、ポートフォリオに入ってますので。
もうちょっと買い増しときゃよかったとかないですか?
いや、別に。
そうですか。
空前のAIブームに冷静な目を向ける渋澤。そのわけとは?
僕はAIは、自分も使ってますし、これからみんなが使うし、もっと使いやすくなると思うんですね。そうすると、AIイコール知、ナレッジがコモディティ化すると思うんですよね。
じゃあ、コモディティ化してる時に、そこのAIのモデルだけに莫大な金ってどうするんですかっていうのを、僕はそれすごく大きな声で思うわけなんですよね。ということは、どっかでインフラになるわけなんですよ。それは昔の鉄道とか光ファイバーと同じで、当たり前になる。絶対必要で絶対当たり前だけど、実はその価値を作る恩恵っていうのは、もしかしたら下流かもしれないっていうことじゃないですか?
当然ここのAI関連の投資があるので、そこもちゃんときちんと投資もしなきゃいけないんだけど、ちょっと他のとこにも、じゃあどんどんAIをツールとして使ってどのように価値を作れますかっていうのをやった方が、特に日本企業に投資してる会社としては、そっちの方が長期的に見ると、よりベターな選択肢になるんじゃないか。
だから、半導体あるいは関連に入れるのが実であるというとはいえ、世の中の20%だけがAIに置き換わったっていう将来、例えば10年後、20年後を想像したら、莫大な価値を生むわけですよね。その手数料として10%もらっただけでも、ものすごい価値じゃないですか。長期投資っていう意味では、AI、今でも別に買ってもいいんじゃないかっていう場面にいるかもしれないし。
まさにそこのところが僕がちょっと疑問に思うのは、本当にそのプライシングってキープできるんですかっていうことだと思うんですよね。どんどん無料化していて、中国が入ってきて、いや、そんなこと我々もうただであげますよ。皆さんどうですか、みたいな感じで。どんどん実はプライシングが持つのが難しくて、今のパフォーマンスはいいんですけど、逆に行った時に、コモディティ化した時にどうするんですかっていうのは、ちょっとそれまだ答えが見えてない。
市場の波には安易に乗らない独自のアクティブファンド。ここで改めてちょる子がその投資哲学を。
私、独立系の運用会社をやっている社長さんに仲良くしていただいていて、その会社さんが出した投資信託が昨年パフォーマンス75%だったんです。素晴らしいパフォーマンスを出していたんですけども、その受益者さんとのコミュニケーションの中で、なんでフジクラ買わなかったんだって怒られてたんですよ。
でもこういうことって結構あるかなと思って、アクティブファンドのファンドマネージャーさんたちは大変だろうなと思って見てたんですが、でもこういうことが起きないっていう、その付加の提示ってどうされてらっしゃるのか?
起きないってことはないと思いますし、だからそういうふうに言いたい人は言いますけど。言われても、そうですね、すいませんとしか答えがないし、それに満足してないんであれば、多分他のファンドの方がよろしいんじゃないですかと思ったりします。
アクティブファンドとなりますと、これ私の考え方なので、もし間違ってたら正してほしいんですけど、指数に対してアクティブの何が違うかっていうと、意図的に指数と何かをずらさないとアクティブにはならないんじゃないかなって感じですね。
例えば、今おっしゃったようなAIをテーマにしちゃうとか、それからもうとにかくバリューで、下がったものだけしか買わないとか、何かしら指数とずらしていかないと。それがリスクにもなるしリターンにもなると思うんですけど。
そうですね。
コモンズさんの場合は何をこうずらしてるのか。
それは正しいと思います。確かにずらしてます。しかし、そういう意味では。
AI隆盛の時代、しっかりとリターンを得るために、投資家は何をどう見極めればいいのか。
いいアクティブファンドの選び方のコツみたいなのって聞かれたら、どういうアドバイスします?
一つは、そのファンドマネージャーの顔。どういう人がそれをマネージしてるって。
記事公開 · 更新
