ハイテク株だけが上がる相場で何が置いていかれているのか:大川智宏氏が語る金利・格差・歪み

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概要

「モーサテわからん」の今回のテーマは、ハイテク株に比べて出遅れている高成長銘柄を探すことだ。智剣・Oskarグループの大川智宏氏は、日経平均が大台に乗せる一方で、上がっているのはハイテク株ばかりだと指摘する。そのうえで、なぜハイテク株だけが強いのか、何が置いていかれているのかを、金利、米国の中小型株、NT倍率、業種別の動きから順に説明した。聞き手はテレビ東京の中原みなみアナウンサーである。

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「ハイテク株の話題には飽きた」という問題意識

大川氏によれば、日経平均は「7枚」、つまり7万円台に乗せた。しかし毎日ヘッドラインを見ていても、話題のほとんどはハイテク株だという。大川氏はハイテク株を専門に分析しているので、新しい技術やサービスが出てくること自体は歓迎している。それでも「他になんかないの」と思うようになり、「飽きた」と率直に語った。

同じことを言い続ければ誰も見なくなるので、分析する側は角度を変える必要がある。大川氏はニュース番組が新しい切り口のニュースを探すのと同じだと例え、今回はその作業として、ハイテク以外で出遅れている高成長銘柄を探すと説明した。

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今は「マクロ相場」:市場を動かすのは金融政策とハイテクだけ

大川氏は現在の相場をひと言で「マクロ相場」と表現する。市場全体を動かす原動力として機能しているのは、金融政策とハイテク株の2つだけだという。中原アナも、最近は高金利のため金融政策と金利の話題が多いと応じた。大川氏は、金利がオーバーシュートしているので、その影響や「大丈夫なのか」という点に関心が集まっていると補足した。

これに加えて大川氏が挙げたのが米国の中間選挙である。中間選挙は毎回なぜかあまり話題にならず、直前になって急に騒がれるという。大川氏は現在分析中だとしたうえで、今回の中間選挙は1つのリスクとして考えてよい気がすると述べた。詳しくは別の回で取り上げる可能性があるとしている。

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利上げ局面でもナスダックが最高値を更新する2つの理由

政策金利の推移を見ると、今年に入って米国、欧州、日本はいずれも利上げ局面に入っている。大川氏は、各国がどこかで遅れてはまずいとでもいうように利上げしていると評した。

引き締め局面は、本来は株式市場や経済にとってプラスではない。特に影響を受けやすいのは、中原アナが挙げたように高成長株やハイテク株のはずである。それでもナスダックは最高値を更新している。大川氏はこの点に様々な議論があって面白いとしたうえで、自身の答えとして2つの理由を挙げた。

1つ目は、金利の水準がそもそも高いことだ。政策金利も長期金利もすでに高く、よく使われる言葉でいえば「制約的」な状況、つまり引き締め状態にある。そこからさらに利上げしても「せいぜい」という程度で、悲観的な動きが出にくいと大川氏は見る。比較対象として挙げたのが2022年だ。当時はナスダックを中心に株価が30〜40%下がったが、それはゼロ金利から一気に引き上げた局面だったからだという。今は中立金利に近いと言われ、インフレもまだ高いもののそれなりに落ち着いてきたと言われているので、大幅な利上げはないだろうと大川氏は考えている。

2つ目は業績の強さである。中原アナが「高金利によるダメージは受けているのでは」と問うと、大川氏は「素晴らしい視点」だと認めた。ダメージは受けているが、それを上回るほど業績が強いという。例として挙げたのが直近のマイクロン・テクノロジーの決算だ。大川氏によれば、利益は前年同期比で4.5倍ほどに伸びた。二桁増で「すごい」という次元ではなく、「何倍」という言い方をしないと表現できない伸び方だと強調した。25ベーシスポイント利上げしたところで、4.5倍成長している企業にとっては大した影響はない、というのが大川氏の見方である。

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マイクロンもキオクシアも株価は伸びていない

ただし大川氏は、業績が強い一方で株価には別の動きが出ていると付け加えた。マイクロンの株価は決算発表直後に時間外取引で上昇したが、同じ時間外のうちに売られて元に戻り、翌日も売られた。結局ほとんど上がっていないという。

日本でもメモリー関連のキオクシアの株価が上がっていない。大川氏は「崩れているというより、ついてきていない」と表現した。6月の相場では大きく値を飛ばす銘柄が出てきたことで熱狂感があったが、今はキオクシアが参加していないためにその熱狂がなく、「ちょっと空虚」だという。目立って上がっているのはアドバンテストと東京エレクトロンくらいだと大川氏は述べた。もちろん他の銘柄も上がってはいるが、目立つところはその2社だという。

それでもハイテク全体の業績が強いので、金利が多少上がっても影響は小さい。大川氏は、今の相場はハイテクが強いという理由だけで上がっているとまとめた。

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米国でも中小型株は劣後:ラッセル2000の弱さ

一方で弱いのが、米国の中小型株指数ラッセル2000である。大型株中心でハイテクを多く含むS&P500と比べると、最近ははっきり弱い。

大川氏によれば、中小型株にもハイテクは含まれるが、日本と同じく小売やサービスなどの内需系が多い。中小型にとどまる企業は資本力がなく、海外に出られずに国内で勝負していることが多いからだという。ラッセル2000の構成企業は日本株と比べればかなり大きいが、ビジネス形態としては内需寄りだと大川氏は説明した。内需系はインフレの影響も金利の影響も受けやすく、そのため大型株に劣後していると見ている。

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日本のNT倍率は再び急上昇

日本の状況を示す指標として、大川氏は日経平均株価をTOPIXで割ったNT倍率を挙げた。NT倍率は7月以降に大きく調整した。大川氏は、TOPIXが強かったというより日経平均が弱かったと表現する方が適切かもしれないと言い直している。その後NT倍率は底を打ち、足元では急上昇している。

NT倍率は高いほど日経平均が相対的に強いことを示す。ハイテク中心・外需中心の銘柄が大きく上がり、日本市場全体を表すTOPIXと比べて日経平均がオーバーシュートしている、と大川氏は見ている。ここでも格差や歪みが出てきているという。

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教科書通りに動かない金利と為替

中原アナは、こうした動きを見ると「金利って何だろう」と思うと話した。大川氏も、金利と成長株・割安株の関係などの通説は「全部ぶっ壊れている」と応じた。

大川氏が最も教科書通りになっていないと挙げたのが為替である。日米金利差は今まったく機能していないという。過去10年ほどは日米金利差と為替がかなりきれいに連動していたが、今は逆に動いている。理由は色々言われているが、複合的な要因で動いているのだろうと大川氏は述べた。

為替の見通しも割れている。来年には1ドル=120〜130円程度まで円高が進むという声がある一方、米国経済が良いので円安だという声もあり、大川氏は真っ二つに分かれていると表現した。為替の見通しは今が一番難しいと感じているという。いずれにしても、日米の株式市場の中では株価の格差が生まれ、再び歪みが生じているというのが大川氏の整理である。

15:57

電気機器と銀行の「相反する2つ」が市場を牽引

日本市場の中身を業種別に見ると、TOPIXと比べて強いのは電気機器と銀行業だと大川氏は指摘する。銀行は最近やや調整しているという。教科書的なイメージでは相反する2つの業種で、大川氏は以前の回でこの2つを両方持つとよいと話したことがあり、「その通りだった」と振り返った。

大川氏によれば、電気機器というとメーカーのイメージがあるが、実際はほとんど半導体である。銀行はそのまま銀行で、株価はほぼ金利で決まる。この2つが市場を牽引してきたという。

ただし大川氏は、銀行については「歪み」というより「堅調」と言った方がよいとしている。銀行はTOPIXの中で比重が大きいため、銀行がなければTOPIXはもっと弱く、NT倍率は「もっとやばいことになっていた」はずだという。大川氏はこれを「銀行様様」と表現した。

17:08

置いていかれるスタンダード市場と内需企業

一部の目立つ業種が市場を牽引する裏で、それ以外は置いていかれている。その象徴として大川氏はプライム市場とスタンダード市場の比較を示した。TOPIXに含まれる中小型株は意外と健闘しているが、スタンダード市場ほど小さくなると需給が向かず、買っている人も少ない状況だという。中原アナが内需の弱さや金利負けが原因かと尋ねると、大川氏はそうだと答え、インフレの中で厳しいと述べた。

具体例として大川氏が挙げたのが「ココイチ」を展開する壱番屋だ。直近の決算は数字が弱く、株価が売られた。大川氏は、外食業界は明暗がはっきり分かれていると見る。海外に積極的に出て値上げできる企業は強く、国内で勝負しなければならない企業はどうしても厳しくなってしまう。

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K字型経済は「株としては正しい」

大川氏は、こうした格差の是非には議論があってよいとしつつ、株として見ればこれが正しいと述べた。中原アナも、海外で売れるというビジネスチャンスに乗れた企業は株価が上がり、置いていかれた企業は下がると応じた。

大川氏はK字型経済の話にも触れた。一般論としては、儲かる人だけが儲かってそれ以外は苦しいのに「景気がいい」と言われることに対して、反感が強い話だという。数で言えばK字の下側にいる人の方が多く、不平不満が出てくるのは当然だとする。それでも株や経済にとってはそれが正しい、という点は別の話になると大川氏は整理した。

大川氏はこうした状況を「まず現実としてある」と確認し、そのうえでどう考えるべきかという本題、つまり出遅れている高成長銘柄の発掘へ話を進めようとしたところで、今回の字幕は終わっている。