一番小さいものと一番大きいものはなぜつながるのか:理論物理学者・野村泰紀が語る素粒子と宇宙
テレ東BIZ ダイジェスト池上彰が「いま話を聞きたい」人物に話を聞くシリーズで、今回登場したのは理論物理学者の野村泰紀である。専門は素粒子論と宇宙論で、話の軸になったのは「これ以上分けられない最小の存在を調べる学問が、なぜ広大な宇宙を知ることにつながるのか」という問いだ。野村は、この二つの分野は「一番小さいところと一番でかいところ」でありながら直接関係していると説明する。話はさらに、相対性理論の成り立ちや「理論が観測に先行する」物理学の歴史にも及んだ。
荒れた中学校とテニス部からの経歴
番組の紹介によれば、野村は1974年生まれである。東京大学理学部物理学科を卒業し、同大学院理学系研究科物理学専攻で博士課程を修了した。その後カリフォルニア大学バークレー校の物理学教授となり、現在はラインウェーバー理論物理学研究所の所長を務めている。
ただ、少年時代はいわゆる優等生ではなかったと紹介された。通っていた中学校はドラマ『スクール・ウォーズ』のように荒れていて、ズボンの太さで序列が決まっていた。野村はその序列を破ってしまい、大変な目にあったという。高校では体育会系の軟式テニス部に所属した。練習中に水を飲んではいけないという昭和的な規則があったが、そのなかで神奈川県ベスト4まで勝ち進んでいる。
ブルーバックスと高校の夏の講義
宇宙に興味を持ったきっかけを池上が尋ねると、野村は興味は少しずつ育ったものだと答えた。昔のことはすぐ忘れてしまう性分で、最近になって同じ質問を受けることが増え、ようやく思い出してきたという。振り返ると、中学生の頃には講談社ブルーバックスのような一般向けの科学書を何冊か読んでいた。図書室にこもるタイプではなかったが、図書室にあった本を読んで興味を持った記憶がなんとなくあると話す。
大学進学の時点で、宇宙物理学を研究すると決めていたわけではなかった。物理学には物性物理、生物物理、素粒子物理などさまざまな分野がある。高校生の段階では、それぞれの違いも物理学そのものも十分には分かっていなかったと野村は言う。
転機になったのは高校3年の夏だった。化学の教師が趣味で、夏休みに相対性理論などの話をしてくれたのである。受験に出ない内容なので、受験を控えた3年生は来ないだろうと思われていた。ところが実際には席がかなり埋まっていた。その教師は話が上手で、野村は「こういう世界があるのか」と感じた。相対性理論は面白いというより「変」なのだと野村は表現する。物理学者になるかは別として、こうしたことを調べながら生きていけたらいいとぼんやり考えた。地方の県立高校の生徒だった野村は、理学部が強そうな大学を選び、結果として東京大学に進んだ。
素粒子物理と宇宙論、そして研究者という選択
就職ではなく研究者の道を選んだ理由について、野村は自分の専門の性格を挙げた。
素粒子物理は物質の階層をたどる学問だと野村は説明する。物質は分子でできていて、分子は原子でできている。原子は原子核の周りを電子が回る構造で、原子核は陽子と中性子でできている。陽子と中性子はさらにクォークでできている。こうした粒子が互いにどう作用し、ぶつかったときにどんな力で動くのかを調べるのが素粒子物理である。宇宙論は、その知見を使って宇宙がどう変わっていくかを調べる。宇宙が変化してきたことはすでに分かっていて、昔の宇宙は温度が数兆度にも達する、今とはまったく違う世界だった。原子も最初からあったわけではなく、だんだんとできてきた。野村はこうしたことを調べる方向に関心を移していった。
この分野は企業では研究できないと野村は言う。少なくとも直接には何の役にも立たないからだ。勉強したあとも人生をかけて続けたいなら、研究者になる以外の道はおそらくなかったと振り返る。
小さいものを見るには高いエネルギーが要る
池上は、最小の存在である素粒子と広大な宇宙が結びつく感覚がつかめないと率直に伝えた。野村は、説明は意外に簡単だと前置きして話し始めた。
まず、極端に小さいものは顕微鏡で見えない。野村はスケールの差をこう示した。原子核は原子より5桁小さく、原子核を1円玉とすると、電子が回っているのは1キロ先になる。現在の研究では、そこからさらに4桁ほど小さい領域を調べている。
これほど小さいものは光で直接見るのではなく、物をぶつけて調べる。細かい構造を見ようとするほど、高いエネルギーでぶつけて粉々に壊さなければならない。飛び散った破片を集めて解析し、逆算して元の構造を調べるのである。だから小さいものを調べるには大きなエネルギーが要り、巨大な粒子加速器が使われる。野村によれば、現在世界で最もエネルギーが高い加速器はスイスとフランスの国境にあり、周長は27キロほどある。そこで粒子を光速の99.99999%まで加速し、衝突させて壊す。野村は「小さいところ」と「高エネルギー」はこの意味で結びついているとまとめた。
時間を遡ると宇宙は高エネルギーの世界になる
この高エネルギーの物理が宇宙と直接つながる、と野村は続ける。宇宙はいま膨張していて、銀河と銀河の距離はどんどん離れ、密度は下がり続けている。逆に時間を遡れば、宇宙はぎゅうぎゅうに詰まり、密度が高くなる。圧縮すれば温度も上がるので、初期の宇宙は高エネルギーの状態だったことになる。
すると宇宙の始まりを調べるには、高エネルギーで何が起きるかを説明する理論が欠かせない。その理論を得る手段が、地上の加速器で高エネルギーの衝突を起こし、小さな領域の構造を見る素粒子物理である。そこで見つけた理論を使って宇宙を調べる。だから二つの分野は直接関係していると野村は説明した。
光速を超えられないという発見と重力の矛盾
池上はヒッグス粒子を例に挙げた。理論から存在が予言されながら証明されていなかったものが、のちに実証される。これは不思議なことだと池上が言うと、野村は理論が先行する例は物理学にたくさんあると応じた。宇宙の膨張も最初は理論だったという。その説明のため、野村は話をアインシュタインまで遡った。
ニュートン力学では、力を加えると加速度が生じる。だから力を加え続ければどこまでも速くなると考えたくなる。しかしアインシュタインが相対性原理にたどり着いて分かったのは、速くなるほど加速しにくくなり、光の速さは絶対に超えられないということだった。光速は1秒間に地球を7周半する速さで、野村は秒速約3億メートルと表現した。これが自然界の最高速度である。
ところが、ニュートンの重力理論ではこの上限を超えてしまう。太陽から地球まで光で8分かかるので、太陽が消えても地球は8分間それに気づかないはずだ。ところがニュートンの理論では、太陽が消えた瞬間に引力がなくなり、地球はすぐにまっすぐ飛んでいってしまう。情報が一瞬で伝わることになり、光速が上限だという原理と矛盾する。そのためアインシュタインは重力の理論を修正する必要があった。
トランポリンで考える一般相対性理論
修正の結果生まれたのが一般相対性理論である。この理論では、地球を動かしているのは引力ではない。太陽が空間を曲げているのだ。野村はよく使われるたとえを紹介した。トランポリンにボウリングの球を置くと、表面が沈む。そこにパチンコ玉を転がすと、くぼみに沿って曲がって回る。空間が曲がっているから、地球は太陽の周りを回るのである。
このモデルでは、太陽を取り除いてもトランポリンが一瞬で平らになるわけではない。くぼみは徐々に戻っていく。一般相対性理論は、その戻る速さがちょうど自然の最高速度になるように作られている。だから太陽が消えても、地球は8分間は回り続ける。
自分の方程式を信じきれなかった天才たち
アインシュタインがこの理論を宇宙全体に当てはめると、宇宙が変わらずにずっと存在するという解が出てこなかった。方程式が許すのは、宇宙が広がっているか縮んでいるかのどちらかだけだった。当時は宇宙は不変だと考えられていたので、アインシュタインは「そんなはずはない」と自分の方程式に手を加え始めた。池上が、アインシュタイン自身が後に方程式をいじったのは失敗だったと語っていると補うと、野村も同意した。自分で作った美しい式が膨張を示していたのに、あれほどの天才でも信じきれなかった。そして数年後、宇宙が実際に膨張していることが分かった。
野村は、理論が先行するのはむしろほとんどの場合だと言う。ヒッグス粒子はその一つにすぎないとして、別の例も挙げた。すべての物質には性質が反対の反物質が存在するという考えがそれである。ポール・ディラックが方程式を書くと、反物質が必ず出てきてしまった。ディラックも天才だったが、そんなものは見たことがないと考えて信じられなかった。今では反物質は普通に作れるし、その後実際に発見されている。
ニュートリノの予言と、話の続き
最後に話題はニュートリノに移った。番組冒頭の予告では、ニュートリノが私たちの体をいくらでも通り抜けていることが取り上げられている。理論的にはそうでも、どうやって通り抜けるのかと疑問を抱く池上に対し、野村は「むしろスカスカ通り抜けるほうが普通」だと答えていた。ただし、この映像の範囲ではその理由までは語られていない。
ニュートリノも、存在すべきだという理論が観測より先にあった例だと野村は言う。予言したのはパウリで、野村は「ちょっとアホみたいな」簡単な話だと前置きした。中性子は壊れて陽子と電子になる。普通、止まっている一つの物体が二つに壊れれば、二つの破片は右と左に正反対の方向へ飛ぶはずだ——野村がこう説明し始めたところで、この映像は終わっている。この食い違いがどうニュートリノの予言につながったのか、そしてニュートリノがなぜ体を通り抜けられるのかは、本編の続きで語られる内容として残されている。
一番小さいところと一番でかいところなんですけど、関係してるんですよ。非常に近い分野でね。逆に結構比較的簡単で、例えば小さいところを探るって、目で見えるわけじゃないわけですよ。当然、むっちゃくちゃ小さいんで。
アインシュタインが最初に相対性理論を見つけた。自然界って、加速すればするほどスピードが速くなると思うわけです。ニュートンだと力が加速度になるんで、力さえ加えればどんどん速くなるやんけと思うんですけど、速くなればなるほど加速しづらくなって、いわゆる光のスピードっていうのを絶対に超えられないんですよ。1秒間で地球7周半分なんですけど。
ニュートリノだとね、実は私たちの体もいくらでも通り抜けてるっていう。と言われると、理論的にはそうかもしれないけど、でもどうやって通り抜けられるのって思っちゃいますよね。
でもそれはですね、面白くて、逆にスカスカ通り抜ける方が普通なんです。
私が今話を聞きたいのはこの方です。理論物理学者の野村泰紀さんです。よろしくお願いします。
1974年生まれの野村泰紀さん。理論物理学者で、専門は素粒子論と宇宙論です。東京大学理学部物理学科を卒業し、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻で博士課程を修了。その後はカリフォルニア大学物理学教授、現在はラインウェーバー理論物理学研究所長を務めています。
大変な経歴ですからね、少年の頃はかなり真面目だったのかなと思いますが、実は意外にそうでもなくてですね。特に通っていた中学校は、いわゆるスクールウォーズのように荒れた学校だったそうですね。ズボンの太さで序列が決まっていたそうですが、そこでその序列を破ってしまって、大変な目にもあったそうです。
高校は超体育会系の軟式テニス部で、水を飲んではいけないという昭和的な規則を乗り越え、神奈川県のベスト4まで進出しました。スポーツ根性の世界で鍛えられていた少年が、いかにして物理の道に目覚めたのでしょうか。今日はどうぞよろしくお願いします。
どうもよろしくお願いします。
なんでそもそも宇宙に興味を持つようになられたんですか?
そうですね。だんだんとなんですけど、僕、昔のこと全部忘れちゃう人なんで、最近まで覚えてなかったんですけど、最近聞いていただく機会が増えまして。そうすると、最初はもう中学校ぐらいの頃から、たまに読んでたりしてましたね。そういういわゆる一般向けの、講談社のブルーバックスってシリーズとかあるんですけど。
ブルーバックスっていうのは、新書の形で科学について分かりやすく説明する本ですよね。
そうですね。一般向けの。
でもあれ、中学生には結構難しいのもありますけど。
そうですね。多分図書室とかにあったんじゃないですかね。あんまりそういうとこにこもる人ではなかったんですけど、でも何冊か読んだ記憶があって、興味持ってた記憶がなんとなく、言われてみれば思い出してきましたね。
でも大学の進路を決める時に、やっぱり宇宙物理学を研究したいと思われたんですか?
そこまではよく分かんなかったです。物理っていろんな分野があるんですよ。例えば物性物理とか、もう最近は生物も物理でやる生物物理とか、素粒子とかあるんですけど。大体、物理学とか自体もそんなに分かってないので。
それが高3の時に、たまたま高校の先生が、趣味で物理の相対性理論とかを夏場にお話ししてくれる時が。先生、一応受験だったんですけど、だから受験に出ないものは普通あんまやらないんですけど、彼は夏場にそういう話を、話が好きなっていうか上手な方で、いろいろ学生集めてやったんですよ。高3で受験あるからみんな来ねえだろうと思ったら、結構埋まっていて。
そこで、こういう世界があるんかと。結構やっぱ面白いっていうか、変なんですよ、相対論とか。こういう仕事を、物理学者になるかはまた別として、僕、地方の県立校だったんで。でもこういう感じのことを調べながら生きていけたらいいなっていうのはなんとなくあって。進路として、理学部が強そうな大学にするっていうんで、結果的に自分は東大に、東京大学に行くんですけど。
でもその後ですね、一般に就職する道と、それから研究者の道ってありますよね。なぜ研究者の道を選ばれたんですか?
物理の中でも僕のやってるのって、素粒子物理っていうとか、宇宙論っていうんですけど。それ、実は一番小さいところと一番でかいところなんですけど、関係してるんですよ。非常に近い分野で、逆に。
素粒子物理っていうのは、自然界の物質、分子でできていて、分子が原子でできていて、原子も原子核の周りに電子が回っていて、原子核も陽子と中性子っていうのでできてるんですけど、陽子と中性子もクォークっていうものでできて。そいつらがどういうふうに、相互作用っていうんですけど、どういうふうに当たったらどういう力で動いていくかみたいなのを調べる学問で。
宇宙の方はそういうのを使って、宇宙ってそれでできてるわけなので、そういうのを使って宇宙はどういうふうに変わっていくか。宇宙ってもう変わっていってるっていうのは分かってるんで、昔は全然違う世界なんですよね。温度が1兆、数兆度で、原子も元々は存在しなかったものがだんだんできてくるんですけど。そういうのを調べる学問の方に興味を持っていったんですね、物理の中でも。
そうすると、やっぱ企業ではできないんですよ。
なるほど。
何の役にも立たないんで、少なくとも直接は。だから、こういうのをやりたいと思ったら、勉強してその後の人生でもやりたいと思ったら、もう多分研究者しか道がないんですよね、この分野は。
私が野村泰紀さんに聞きたいことは、まずはそもそも宇宙ってどんなものなのということを知りたいですよね。あるいは素粒子物理学とはどんな学問なのか、宇宙の始まりにはどんな謎があるのか。さらに95%解明もできていないと言われる宇宙で、分かっている5%というのは一体どんなことなのか。そして破天荒だったという学生時代の話も聞いてみましょう。
特に素粒子っていうとね、本当にこれ以上分けることができないような一番小さなものとして、宇宙は広大な宇宙。それが結びつくっていうのは、なんとなくピンとこないんですけどね。
それはですね、こう言うと結構比較的簡単で、例えば小さいところを探るって、目で見えるわけじゃないわけですよ。当然、むっちゃくちゃ小さいんで。例えば原子より原子核って5桁小さいので、原子核が1円玉だとすると、電子の回ってるところって1km先とかなんですよ。だからもう全然違うんですよ。それよりさらに4桁ぐらい、1万分の1ぐらいのところを今見てるんで、目で直接光で見るというよりは、物をぶつけるんですよ。
物で細かいとこを見ようとすればするほど、すごい高いエネルギーでぶつけて、よりぶっ壊さないといけないんですよ、粉々に。その粉々にぶつかったものを集めて解析して、逆算してどういう構造になってるかを調べるんですよね。だから小さいところを調べようと思うと、大きなエネルギーがいるんで。すごいでかいマシンを使ってるのはそういうことなんですよ。粒子加速器っていって。
あれ、何キロにもわたるとてつもないものですよね。
そう。ヨーロッパとかにある、ヨーロッパにあるのが今、スイスとフランスの国境にあるのが、世界で今一番エネルギー高いんですけど。27kmあったかな。回して光のスピードの99.99999%にして、ぶつけてぶっ壊す。すなわち小さいところっていうのは高エネルギーと関係してるんですよ、こういう意味で。
これは数学と直接関係してるんですけど、小さいとこを見ようと思うとエネルギーを高くしなきゃいけないし、エネルギーが高いところの物理って、小さいところの物理学に関係してるんですけど。そうするとですね、宇宙って今膨張してるんですよ。銀河と銀河の距離がどんどん遠ざかって、すなわち密度が低くなっていってるんですよ。
ってことは、昔、宇宙がどうやって出発したかを調べたければ、時間を遡れば宇宙ってもっとぎゅうぎゅうに詰まっていって、密度が高くて。密度が高いってことは、圧縮すると温度高くなっちゃうんですよ。そうすると高エネルギーの状態だったんで、この高エネルギーで何が起こるかっていう理論がないと、調べようがないんですよ。
なるほど。
それを調べる手段は、高エネルギーにして、小さいところがどういう構造になってるかを地上で見てやる。そっちは素粒子物理ですけど、そうやって見つけた理論を使って宇宙を調べないといけないので、もう直接関係してるんですよ。
ということですね。例えばヒッグス粒子のようなものはね、あるに違いないっていう理論から導き出されるけど、実際は証明されていないものが証明されたみたいなね。これ、不思議って不思議ですよね。
いろいろそういう理論って結構強くて、例えば宇宙が膨張してるとかいうのも、最初は理論だったんですよ。アインシュタインが最初に相対性原理を見つけた。自然界って、加速すればするほどスピードが速くなると思うわけです。ニュートンだと力が加速度になるんで、力さえ加えればどんどん速くなるやんけと思うんですけど、速くなればなるほど加速しづらくなって、いわゆる光のスピードっていうのを絶対に超えられないんですよ。
1秒間に地球7周半分なんですけど、1秒間に3億m、秒速3億mぐらいなんですけど。ってことは、そこが最高スピードなんですよ。っていうのを見つけた時に、でもニュートンの重力だと光のスピード超えちゃうんですよ。
光のスピードが自然の最大速度になってるんで、太陽と地球の間って光で8分かかるので、もし太陽が消えても8分間は太陽が消えたってことに気づかないはずなんですよ。だけどニュートンの理論だと引力で回ってるので、太陽が消えた瞬間、引力なくなっちゃうから地球まっすぐ飛んでっちゃうはずなんですよ。ってことは瞬間的に消えたって情報が伝わっちゃうんで、相対性原理と矛盾しちゃうから、彼はその重力論を修正する必要があったんですよね。修正した結果できたのは、一般相対性理論っていうんですけど。
それによると実は、太陽とこれ、引力じゃなくって、太陽が空間を曲げて。よくやる比喩は、トランポリンの上にボウリングの玉を置くと沈んでいくからと。そこにパチンコの玉をポンってやると、ぴゅるって、こんな感じになってるんだと。空間が曲がって、その曲がりのせいでうまく回って。そうだとすると、太陽取ってもトランポリンが一気に平らになるわけないので、徐々に戻っていくんですよ。その戻りがちょうどその最大速度になるような理論になってるんで、太陽消えても8分間は回り続ける理論になっていて。そういう理論を作るんですよね。
それを宇宙全体に当てはめたら、どうもそのまま宇宙がずっとあるっていう答えがないんですよ、方程式を解くと。広がってるか収縮してるかしかなくて。でも当時、宇宙ってずっとあると思ってるんで、そんなはずはないっていって、アインシュタイン、自分の方程式をいじり始めるんです。
そうでした、そうでした。いじってしまったのは失敗だったって言ってます。
そうです。だって自分の作ったきれいな式ですよ。それが結果、膨張するって言ってるのに、あれだけの天才でもやっぱ信じきれずに。数年後、実際膨張してるんですよ。
そうです。
っていうふうに、理論が先っていうのは結構あるんですよ。っていうか、ほとんどそうなんです。ヒッグスは今そのうちの一つなんで、別の例をちょっと出してみたんですけど。例えば、全ての物質には反物質っていう性質が反対なものがあるっていうのも、方程式を書いて、それポール・ディラックっていう人ですけど、書くと必ず出ちゃうんですよ。ディラックも天才ですけど、彼も信じられずに。
なるほど。自分が導き出した理論が信じられないわけ。
ええ、だってないじゃねえかと。でも作ったりすると、もはや普通に作れて、その後見つかるんですけど。ニュートリノは理論自体は、もうすでに理論的にそういうものがなきゃいけないっていうのはあったんですよ。パウリですけど。それも本当簡単な話で、ちょっとアホみたいな話で、中性子っていうのが壊れるんですよ。
壊れる時に陽子と電子に壊れるわけですけど、そうすると普通、一つの止まってるものが二つに壊れた時は、右と左にポンと正反対になんです。
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