「仕事で返せ」では甘い――民主改革の会・落合貴之政調会長が語る新党の役割と給付付き税額控除

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概要

BSテレ東「NIKKEI 日曜サロン」に、民主改革の会の政調会長、落合貴之氏が出演した。民主改革の会は、2月の衆院選前に結成された中道改革連合が分裂したあと、旧立憲民主党のメンバーで設立された新党である。番組では、新党を立ち上げた経緯、臨時国会での論点、簗農林水産大臣の予算をめぐる発言、給付付き税額控除の将来像について聞いた。落合氏は中道改革連合の選挙戦略を「失敗」と認めつつ、ばらばらになった野党を再びまとめる「フック」の役割を新党が担うと説明した。

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冷戦終結を見た小学生時代と、師匠・田中秀征氏

落合氏は現在47歳である。政治家を志したきっかけをはっきり覚えているわけではないと前置きしたうえで、小学生のころに見た冷戦の終結を挙げた。いまの世界史の教科書に載るような出来事が起きた時期で、本人はニュースに釘付けだったという。歴史が動いていると感じ、旧社会主義国で食べるのにも困る国が次々に現れるのを見て、政治は本当に重要だと考えるようになった。そこから関心を深めてきたと話す。

番組恒例の「こだわりの一品」には、田中秀征氏の著書を持ってきた。田中氏は細川政権をつくった一人で、現在は80代半ばである。落合氏は中学生のときに田中氏へ手紙を書き、返事をもらった。大人になってから再会し、いまは師匠として常に助言を受けているという。本当はその最初の手紙を持ってきたかったが、実家を1時間ほど探しても見つからなかった。

代わりに持参したのは、田中氏が30歳を少し過ぎたころ、50年以上前に出した『自民党解体論』である。若き田中氏が、自民党はもう時代についていけていないと論じた本だ。この初版は、長野に住む田中氏の一番の支援者が「次はあなたに託す」と言って落合氏に譲ったもので、書き込みがたくさん残っている。落合氏はその志を引き継ぎたいと語った。手紙をなくしたことは田中氏本人にも伝えたそうだ。

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民主改革の会を立ち上げた理由

中道改革連合は合流構想に基づいて衆院選に臨んだが、選挙のあと分裂した。落合氏はまず得票の数字を挙げた。選挙には負けたものの、比例で全国1040万票を得た。大勝した自民党でも比例は2100万票なので、その半分ほどを自分たちが取ったことになる。この結果から、落合氏個人としては、次の参議院選挙までは3党で合併した形のまま民意を問うべきだと考えていた。今回は高市首相がうまく戦ったために運悪く負けた面もあり、次の参院選こそ同じ枠組みで戦うべきだったという。

しかし自分たちの思いだけではどうにもならなかった。公明党の議員は公明党に戻ることになった。落合氏らにも、そのまま立憲民主党に戻る選択肢はあった。それでも戻らなかった理由として、落合氏は規模の縮小を挙げる。148人いた勢力が、民主改革の会は18人である。この少人数がただ戻るだけでは足りないと判断し、ばらばらになった野党の議員にもう一度声をかけ、より大きな塊をつくるための「フック」になろうと考えた。そこで立憲にすんなり戻るのではなく、ワンクッション置く形で、旧立憲メンバーによる民主改革の会を設立したと説明した。

政調会長への就任については、選挙で多くの議員が落選し、残ったメンバーのなかで落合氏が実は最年少だったと明かした。その最年少の自分に政調会長を任せるというので、大変だがやるしかないと考えて引き受けたという。

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「政党を1人残す」ことへの説明

司会者は、いまの形がわかりにくいと指摘した。中道改革連合に議員を1人残して政党交付金を受け取る形にしながら、別の形で中道として公明党と組んでいる点について、支持者の納得は得られているのかと尋ねた。

落合氏は、野党をけなすためのネット上の動きが活発だと感じると述べたうえで、元銀行員の民間感覚で説明した。会社が合併するときも、元の法人は事務手続きのあいだ残す。それを2年も3年も残すならおかしいが、手続きの期間だけ残すのは当たり前だという。政党は所属国会議員をゼロにできないので1人だけ残しているのであり、日経新聞の読者が民間企業に置き換えて考えれば、それほどおかしなことではないと話した。政党交付金については、分割払いで受け取ることになっているものを受け取り、たまっている支払いにあてるだけで、長く受け取り続けるわけではないと説明した。

今後の日程について、落合氏は次のように見通した。来年の統一地方選挙には立憲民主党が候補者を立てている。ここで党名変更などをすると混乱するので、統一選までは民主改革の会が立憲の候補を支える形になる。そのあと、再編が大規模になるか小規模にとどまるかはわからないが、来年の春以降には国会のなかで再編が起きるだろうという。

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臨時国会の2つの焦点――物価高対策と比例定数削減

5日に始まった臨時国会で政府与党に何を問うのかと聞かれ、落合氏は2つの法案を挙げた。1つは、給付付き税額控除と消費税を組み合わせた物価高対策の法案である。もう1つは比例代表の定数削減法案で、こちらは提出されるか引っ込められるかわからないとした。

物価高対策については、物価高に苦しむ人がかなりの数いるので、その人たちが納得できる施策にしたいと語った。政府案がまもなく出てくるので、修正すべき点があれば修正を強く求めていくという。

定数削減については、削減そのものは否定しないと断ったうえで、小選挙区比例代表並立制のもとで比例だけを削減すれば単純小選挙区制に近づくと批判した。さまざまなメディアが試算しているとおり、そうなれば旧立憲、国民民主、公明以外の野党はほとんどなくなってしまうと落合氏は見る。この法案は野党、とくに中規模の野党をつぶすものになっているので、すんなり賛成はできないという。10年後、20年後に国民が振り返って、なぜあんなことをしたのか、野党がなくなったではないかと言うことにならないよう、有権者に理解してもらえる説明をしていきたいと述べた。

11:37

衆院選の公約と今回の消費税案の違い

司会者は、2月の衆院選ではチームみらいを除くほぼ全党が、中身の違いはあれ消費税の減税を掲げていたのに、なぜいま方針が変わったのかと尋ねた。税率5%への引き下げ、ゼロ、恒久化などさまざまな主張があったという指摘である。

落合氏は、ここにも政府のプロパガンダ的な影響があると述べた。今回出てくるのは物価高対策の法案である。一方で選挙時の主張を細かく見ると、中長期的な観点から軽減税率の部分を減らすべきだとした党もあり、物価高対策として消費税を位置づけた政党はそれほど多くなかったという。司会者が国民民主党は景気対策として5%を掲げていたと補足すると、落合氏はそれを認め、各党の主張はもともとばらばらだったと説明した。

そのうえで、経済は生き物であり、経済政策をつくる仕事は医者に近いと語った。8〜9か月前の症状といまの症状は違うので、選挙結果も踏まえながら、いまの症状に合った最善の策を考えることが重要だという。

12:59

簗農水大臣の発言――「仕事で返せ」はぬるい

話題は簗農林水産大臣の発言に移った。簗氏は、地元の道路予算について、自分を支持しなかった首長がいる町の分をカットしたと発言した。簗氏本人は、減らせとは言っていないとしている。番組冒頭では、簗氏が深く反省していると述べる場面と、高市首相が「とにかく働いて仕事で返せ」と語る場面が紹介された。

落合氏は、これは政治家から見ても「何をやっているんだ」という問題だと述べた。自分たちは先進国の民主主義国家の代表者であり、自分の味方のためだけに政治をしているわけではない。国民全体の代表であることを前提に仕事をしている。自分のことしか考えていない簗氏のような行動を本当にしている政治家がいる。そういう政治家をいかに減らすかが政治改革のいちばんの要点だと語った。首相側からも今回この問題に言及したことは大きいとし、与野党に関係なく、自分の得のために予算を動かす政治を改めていかなければならないと話した。

司会者が「やめろとはおっしゃらない、上品ですね」と水を向けると、落合氏は、閣僚の進退に及ぶべき問題だという観点からは、やめたほうがいいと答えた。そういう感覚を持った人が、十数人しかいない政府の代表である閣僚を務めるのは、メッセージとしてもよくないという。高市首相の「仕事で返せ」は甘く、そういう人物だと気づかなかったのなら交代させ、高市政権はそういう人を認めないという意思をはっきり示すべきだと述べた。

15:14

中道改革連合の失敗は「見せ方」の誤り

司会者は、中道改革連合が結局8か月ほどで分裂し、何をしたかったのかが伝わらなかったと指摘した。政権を目指すために、原発などのエネルギー政策や集団的自衛権を含む安全保障では政府側の現実に寄せた。一方で消費税では自民党のほうが寄せてきたように見え、結局どんな政治を目指すのかが伝わりきらなかったという見方である。

落合氏は、結果を見ればやはり失敗だったと認めた。失敗の要因はいろいろあるが、まず全体のマクロな見せ方を誤ったという。選挙で与党と同じだと見せれば選ばれない。選挙でこそ違いを出すべきなのに、あえて違いを出さない戦略をとったことは、当時の執行部の大きな失敗の一つだと述べた。

落合氏は一議員として中道改革連合に参加していた。その立場から、大きな見せ方では政府に近づいたと言っていたが、個別の政策を見ると自民党とかなり違っていたと振り返る。だから幹部がわざわざ政府と同じだと言ったのは本当に戦略ミスだったという。これから進む方向性は中道の政策のなかにすでに書いてあり、高市政権が進もうとしている道とは違う、戦後日本のよいところを残していくものだと述べた。司会者が「失敗と言いながら引き継ぐように聞こえる」と問うと、落合氏は、失敗したのは宣伝だと答えた。

17:39

給付付き税額控除――高市政権案は「我々の考えと違う」

司会者は、今国会では消費税減税法案、定数削減、政治とカネが論点になるが、最大の争点は税と社会保障だろうと述べた。手取りを増やし、将来不安をなくす政策が、2029年4月の給付付き税額控除に向けて問われるという見立てである。

落合氏は、この議論は高市首相としっかりかみ合わせたいと応じた。経済を好転させ、所得にまでお金を回す循環を実現するための鍵となる手段の一つが給付付き税額控除であり、昨年からそう訴えてきた。それを高市政権が自らの政策として取り入れることで合意したという経緯を説明した。

ただし、今回導入されるものは自分たちが考えたものと中身が違うという。司会者が、来年4月に暫定的に「消費税1%」で行うものの話かと確認すると、落合氏はそれに加えて3年後の想定も違うと答えた。高市政権がやろうとしているのは、給付付き税額控除という大きな仕組みのうちの一部分であり、手取りを少しだけ増やす所得連動型給付から始めるものだという。名称も給付付き税額控除から所得連動型給付に変わったと、司会者とのやりとりで確認した。

19:11

本来の構想――社会保障30兆円を一体化

落合氏によれば、本来の給付付き税額控除は次のような問題を解決するものだ。現在、国民は税で納めるものと保険料で納めるものがあり、困っている人は給付を受け、生活保護を受ける人もいる。医療では一部の負担軽減もある。社会保障も税も、もらう側と払う側の仕組みがばらばらで、一体的に運用されていない。税は自分で確定申告できないほど複雑で、社会保障も自分で調べてもわからないほど複雑だ。これを簡潔にするのが給付付き税額控除だと説明した。

司会者は、旧民主党時代から見てきたが、財源を含めた具体論が見えてこないと指摘した。落合氏は、財源は既存の社会保障財源を制度に組み込むことで生まれると答えた。組み込む制度改正のたびに財源は増えていく。将来的にはおそらく生活保護も組み込まれ、障害者年金も入るかもしれないという。既存の制度が取り込まれていくことで規模はどんどん大きくなり、最終的には社会保障に使っている30兆円がすべて組み込まれるほどの規模になると落合氏は見通した。それが最終段階だという。

これまで導入されなかった理由について、落合氏は管理の問題を挙げた。国民一人ひとりの収入や必要な社会保障を個別に管理する方法がなかったので、これまでは机上の空論だった。いまはデジタル庁ができ、紙の管理からデジタル管理に移り、中央の省庁と各市役所のデータもある程度つながるようになった。デジタル化によってようやく実現できる時代が来たので、今後はデジタル技術に合わせて制度がどんどん大きくなっていくと語った。

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座右の銘は「世の中のために」

最後に座右の銘を聞かれた落合氏は、こういうときは四字熟語や漢文から選ぶ人が多いが、これからの政治家は誰にでもわかる言葉で語るべきだと考えていると述べ、「世の中のために」を挙げた。政治家として当たり前だが最も重要なことであり、特定の誰かや自分の知っている人のためではなく、世の中全体のために政治をするべきだという。各政治家が自分の人生を世の中のために捧げる思いを持つことが、真剣でかみ合った議論につながる。与野党が真心で国会論戦を行う政治の世界にしたい、そして世の中のために働く後輩をどんどん政治家にしていきたいと語った。

番組の締めくくりで、共演者の北村氏は、落合氏が中道改革連合の訴え方をはっきり失敗だと認めたことに触れ、新党として何を変え、何をしたい政党なのかを明確に決めて伝えてほしいと述べた。司会者も、18人の民主改革の会がここからどう勢力を広げるかは、何を訴えるかにかかっていると指摘した。物価高への対応を求める声も、そのための財源が必要なことも事実であり、税と社会保障について国会で政府与党に何を言うのかに注目したいと結んだ。