金利上昇は奨学金と住宅にどう響くのか――返済額100万円増の奨学金、高止まりするマンション、住宅ローンの選び方

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概要

金利が上がり始めたことで、借り入れをする個人の負担はどう変わるのか。この動画はテレビ東京の3つの番組をまとめたもので、①有利子奨学金の返済額の増加、②不動産市場への金利上昇の影響とアフォーダブル住宅の取り組み、③マンション購入と住宅ローンの考え方、を順に扱う。共通するのは、ゼロ金利を前提に組まれた借り入れが、金利のある時代にどう変わるかという問いである。

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有利子奨学金の利率が上がっていることを、学生はほとんど知らない

番組はまず、第二種奨学金(有利子)を借りている大学生に話を聞いた。金利が上がると返済額も増えることを知っているかと尋ねると、学生は「全然知らないです」と答え、「ちょっとやばい」「怖い」と反応した。別の大学3年生は年間48万円、4年間で192万円を借り、卒業後に返済を始める予定だが、やはり利率の上昇を知らなかった。番組によれば、話を聞いた学生のほとんどが利率の上昇を把握していなかった。

学生が把握できていない理由を、奨学金問題対策全国会議の共同代表を務める武蔵大学の大内教授が説明した。第二種奨学金の利率は、借り始める入学時ではなく、貸与が終わる卒業時点の水準で決まる。大内教授によると、今回の金利上昇はちょうどこの4年間に起きたため、「借り始めた時には低かったのに、返す時には高い」人がいちばん大きな影響を受けるという。

今年3月に卒業した人の場合、入学した4年前の利率は0%台だったが、卒業時点ではおよそ2.4%に上がった。大内教授の試算では、2022年3月の利率0.369%なら総返済額は498万円台だが、2026年3月の2.423%では600万円台になり、差は100万円を超える。大内教授は、同じ額を借りていても、低い利率を想定して借り始めたのに上がっていくのを見ていなければならない状況を「理不尽と言っていいぐらい」だと表現し、金利上昇で利子の負担がこれほど増えたことはこれまでなかったと述べた。

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ゼロ金利時代に拡充された制度と「上限3%」

番組は制度の経緯もたどった。1990年代に大学進学が当たり前になり進学率が上がる一方、バブル崩壊後の長い不況が国と家計を圧迫した。限られた財政のなかで進学の希望をかなえるため、有利子奨学金が大幅に拡充された。ただ当時から約30年、金利は0%台が続いており、大内教授によれば有利子部分の利子はそれほど大きな問題にならなかった。

制度ではゼロ金利の時代に利率の上限が3%と決められていた。大内教授は、上限を書いた以上、制度を作った人はそれを超える可能性を一応は考えたのだろうと述べつつ、2022年以降の急激な金利上昇で上限の3%に達し、ここに来て気づいたというのが多くの人の現実だろうと話した。番組は、上限がわずか4年で一気に達したと伝えている。

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奨学金を肩代わりして人材を確保する企業

返済に苦しむ若者を支援し、採用につなげる企業も出てきている。番組が訪れた投資用不動産を手がける企業グループは、新卒を主な対象に5年間で120万円を会社が肩代わりする制度を設けている。営業部に勤める入社5年目の大橋さんは、4年間で約240万円の奨学金を借りたが返済には困っていないといい、「利子が生まれて返済が大きくなると生活が圧迫されてしまう。会社には本当にありがたい」と話した。

番組はマイナビの調査として、学生の30%が奨学金の返済が企業選択に影響したと答えていると紹介した。一方で企業側の担当者は、金利が上がれば有利子奨学金の返済額も増えるため、会社としての負担も増えていると認めた。

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大内教授「貸与型そのものに問題がある」

大内教授は、今の制度には根本的な問題があると指摘する。学生は借り始める時点で、自分がどの仕事に就き、どれくらいの収入になるのかをほとんど分かっていない。一定の年収を前提に返済を見込んで借りる住宅ローンとは違い、職業が決まっていない段階で借りるのは大きなリスクを伴う。そのため大内教授は、そもそも貸与型という形に問題があるとし、有利子奨学金の無利子化と、貸与型から給付型への移行をさらに進めることが制度として大事だと述べた。

7:50

千代田区が直面する家賃上昇とアフォーダブル住宅

2つ目の番組はまず東京都千代田区を取り上げた。永田町、丸の内、秋葉原、神田の下町的な住宅街など、性格の異なる地域が1つの区を構成している。区側の話者は、建設費の上昇などの複合的な要因が賃貸住宅の賃料にまで波及していることを大きな問題だと考えている。番組によれば、千代田区の家賃相場は都内でもとりわけ高く、この3年間で20%近く上がった。子どもが生まれたり成長したりして広い部屋が必要になっても、5年前や10年前に越してきた住民が当時と同じくらいの家賃で広い部屋を探すのはとても追いつかないという。

区側の話者は、ここ数か月から1年ほど、新規の売り出し価格と成約価格の差がかなり開いていると見ている。不動産業界はこれまで実需に基づく価格形成だと説明してきたが、パワーカップルや共働き世代でも追いつかない現状があるとし、投機マネーが住宅市場に入り価格をつり上げているのではないかという懸念も示した。

そこで区が力を入れるのがアフォーダブル住宅の供給である。マンションの空き住戸の改修やオフィスビルの住宅への転用にかかる費用の一部を区が補助し、家賃が周辺相場より2〜3割安い賃貸物件を供給する。目標は数年間で100戸だ。

数年で100戸では効果が限られるのではないかという質問に対し、区側の話者は、新規の住宅供給が直近で342戸と半減しており、新しい住宅が出てこなくなるなかで数年100戸は野心的な目標だと答えた。賃料は市場で決まるものなのに行政が介入することに賃貸事業者から反発はないかという質問には、事業者自身も契約更新時の値上げに対する入居者の反応を聞いているので、この程度の戸数で行政が取り組むのはむしろ歓迎されているのではないか、反発は自分の聞く限りない、と述べた。東京都の小池知事も官民連携ファンドによるアフォーダブル住宅の供給を進めていると番組は伝えている。区側は、働き世代とその子どもが住み続けられるようにし、伝統ある町を次世代につなげたいと話した。

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晴海フラッグの成約価格はピークアウトしたのか

続いて番組は、金利上昇が不動産市場に与える影響を専門家のゲストに聞いた。前提として、新発10年物国債の利回りが約30年ぶりに3%を超え、日銀の利上げ観測もあると紹介された。

ゲストは一般論として、個人にとっては借り入れコストが上がるので買い控えにつながりうると述べた。機関投資家はよりシビアで、賃料が変わらないまま調達コストが上がればネットの利回りが下がるため、さらに買い控えが起こりうるという。

最近の動向として、東京のごく一部の例ではあるが様子見が出ているかもしれないことを示すデータを示した。東京五輪の選手村跡地にできた晴海フラッグの成約事例を、レインズなどのデータをもとに、眺望など特殊な要因を除いて指数化したものである。坪単価で見ると2025年12月にピークをつけた後に大きく下がり、一度上がってまた少し下がった。ゲストは、期間がまだ短く見続ける必要があるとしつつ、ピークアウトしている可能性があると述べた。

14:03

海外マネーの動きと、株価に追いつかなくなったマンション価格

価格が下がっている理由の1つとして、ゲストは外国人投資家の動きを挙げた。データがあるのは機関投資家のみだが、四半期ごとに公表される対日直接投資のうち不動産業向けを見ると、昨年10〜12月期に最近では珍しいほどの大きな売り越しになった。直近の1〜3月期はかろうじて買い越しだが規模は大きくない。ゲストは、金利動向に加え、個人を含めて一部の国から日本への不動産投資がしにくくなっていることも背景にあるかもしれないとみる。

中国からの購入が多かったという話について、ゲストは実は台湾からの購入が多かったという説もあり、台湾からの投資はそれほど減っていないようだと述べた。そのうえで、中国の資本規制が一層厳しくなっているという話も聞こえてくるので、そうしたことが投資の控えめな動きにつながっているのかもしれないと推測した。

ただしゲストは、一般的な投資や実需で購入できる価格帯の物件については、まだ下落までは行っておらず、上昇がかなり鈍っている段階だとみている。根拠として、横軸に3か月前の日経平均株価、縦軸に全国のマンション価格指数をとったグラフを示した。これまではきれいな右肩上がりで相関が強かったが、最近は日経平均が上がり続けてもマンション価格がついていかず、点が横ばいにずれている。ゲストによれば、この変化が始まったのは昨年後半で、海外投資家が売り越しに転じた時期と重なる。

17:53

ペアローンと50年ローン、それでも積極的な銀行

上昇が鈍った理由として、ゲストは実需層にも金利上昇がわずかに影響している可能性を挙げた。物件価格が高くなったため、月々の返済を抑えて買える範囲に収めようと、夫婦でペアローンを組み、返済期間も50年にするケースが増えているのではないかという。それでも価格が上がり続ければ、絶対的な買いにくさが効いてくる可能性があるとゲストは話した。

50年ローンはリスクが高そうだが銀行は貸し渋っていないのか、という問いには、まだ積極的だと答えた。ゲストは、以前調べたところ北欧など日本より長いローンがある国があり、物件を受け継ぐ代わりにローンも世代をまたいで引き継ぐ考え方だと紹介した。数年前に規制が強化されて期間が短くなったとも述べたが、字幕からは具体的な年数がはっきりしない。こうした国は木造ではない建物が多く持ちがよいという事情もあり、日本で同じことが起きるかは規制当局の考えや建物の耐久性次第だろうという見方を示した。

銀行の姿勢については、2025年6月から今年6月までの貸出増加額の業種別内訳を示し、特に不動産業と個人(ほとんどが住宅ローン)への貸し出しが大きく増えていると説明した。これらが貸出の主力になっているので、銀行も態度を緩めるわけにはいかないのではないかという。ゲストの試算では、全国平均の残高イメージである5000万〜6000万円程度の借り入れで金利が0.5%上がっても、50年返済なら月々の返済増は1万円ちょっとで、負担がそれほど増えるわけではないと見ることもできる。加えて住宅ローンは顧客と一生の付き合いになり、投資信託などの販売にもつながるため、銀行は意欲的だろうと述べた。

22:34

視聴者の質問――ペアローンは成り立つか

視聴者からはペアローンに関する質問が多く寄せられた。「マンション価格が上がり続けるならペアローンでも問題ない」という意見に対し、ゲストは、価格が上がり続け、金利があまり上がらず、所得も上がり続けるという前提なら問題ないと答えた。ただ住宅ローンは基本的に売却しないことが前提で、困って売却すれば価格上昇分で返済はできても、次の住まいを買い替える必要があり、そちらも値上がりしているかもしれないと指摘した。

ゲストによれば、ペアローンで目いっぱい借りても最もうまくいくのは、収入が増え、それに伴って増える生活費も賄えるパターンである。子どもが生まれて育児休業を取る場合や、体力を考えてしばらく仕事のペースを落とす場合などを考えると工夫が必要で、ペアローンでも余裕を持って借りる方がよいとゲストは述べた。司会者が「2人とも健康で働き続け、企業の賃上げで所得が上がる前提で借りているのかもしれない」とまとめると、ゲストはそれならよいと応じた。

25:01

リノベ再販業者にかかる「三重苦」

個人への金利の影響は緩やかでも、不動産業者には別の影響が出る。中古物件をリノベーションして売る業者の販売が好調ではないという話について、ゲストはリノベ再販業者が最も負担が大きいと述べた。第一に、仕入れ時に借り入れをし、売れるまで金利を払い続けるので、金利上昇がそのまま効く。第二に、建設コストが上がってリノベーション費用が増え、その分再販価格を上げる必要がある。第三に、人手不足で再販までの工期が延び、金利を払う期間も長くなる。ゲストはこれを「三重苦」と表現した。

その結果、価格がどうなるかは二通りありうるとゲストは言う。今はまだ利益が取れている状態だが、それが割れるなら価格を上げざるを得ない。逆に金利負担に耐えられなければ、採算割れでも売った方がよいと判断し、投げ売り的に価格を大きく下げる行動に出ないとも限らない。どちらに転ぶかは需要の強さ次第だという。

リノベ再販の買い手は投資需要と個人の実需に分かれる。ゲストは投資需要にはまだ余裕があるとみる。バブル期の末期には、個人向けに投資用物件を売っていた業者が提示した利回りは2%台まで下がり、その後その業者は破綻した。当時は金利も高く、節税メリットなどがあったとはいえ、痛い目にあった投資家も多かった。それと比べると、今は都内でも3%台以上、物件によっては3%台半ばや4%の利回りが取れており、限界という感じではないとゲストは述べた。実需についても、新しさ・広さ・駅からの近さのどれかを犠牲にしなければならないとき、古くてもリノベーションされてきれいならよいという人にとって選択肢になるため、そうした需要がある限り価格は維持されうるという。

ゲストの見立てでは、需要の強い物件や地域では大きく下落する感じはしないが、需要がなくなる場所もあり、地域によって分かれる。金利が相当跳ね上がる場合は話が別だとも付け加えた。

30:36

余剰資金は繰り上げ返済か投資か

個人の戦略として、手元の余剰資金をインデックス投資などに回すべきか、住宅ローンの繰り上げ返済に使うべきかが問われた。ゲストは「返済を急がなくていい派」だと明言した。住宅ローンは個人が借りられるなかで最も金利が低く、今後変動金利が上がるとしても、繰り上げ返済をするなら上がってからでよいのではないか、という考えである。動画のこの部分は説明の途中で次の番組に切り替わっている。

31:29

首都圏の新築マンションは平均1億円超

3つ目の番組では、三井住友トラスト資産のミライ研究所の研究員・矢野氏がゲストとして登場した。番組によると、首都圏の新築マンションは資材費や人件費の上昇を背景に、1〜6月の平均価格が前年同期比13%上昇の1億135万円となった。中古マンションは都心で成約しにくくなり価格が下落に転じたが、依然として高い水準にあるという。

矢野氏は、住宅ローン金利は固定・変動ともに上がっており、返済負担が大きくなっていると説明した。同研究所が今年実施したウェブ調査では、全国の18〜69歳の住宅ローン利用者(字幕からは約6000人とみられる)のうち約35%が、住宅ローンに何らかの後悔があると答えた。理由としては「借入額を少なくすればよかった」「頭金を多くすればよかった」が多く、矢野氏は金利上昇で借入額の大きさを実感している人も少なくないのではないかとみる。

33:43

焦って繰り上げ返済をしない

同じ調査では、全額または一部を繰り上げ返済したことがある人が44.2%だった。矢野氏は、元本を減らせば将来の利息負担を抑えられる一方、返済に充てた資金は手元から減るので、今後必要な資金が十分に確保できているかを合わせて考える必要があると述べた。繰り上げ返済を検討している人でも約6割はライフプランの策定が不十分だという結果もあり、金利が上がったからすぐ返すのではなく、必要な資金を見積もったうえで余裕資金の範囲内で検討することが大切だという。

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変動か固定か

ローンを新たに組む場合について、矢野氏は、変動金利は主に短期プライムレートを基準に決まり、それが日銀の政策金利の影響を受けるため、日銀が利上げをすれば変動型の住宅ローン金利にも上昇圧力がかかる可能性があると説明した。現在の変動型は概ね年1%程度で、6000万円を借りた場合、金利1%と2%では毎月の返済額に約3万円の差が出る。それほど大きくないと感じるかもしれないが、長い目で見れば家計への影響は決して小さくないと矢野氏は述べた。

固定金利は足元の水準が変動より少し高いが、全期間固定なら借入時に将来の返済額を確定でき、家計の見通しを立てやすい。矢野氏は、単純にどちらが得か損かではなく、自分の家計が今後の金利上昇にどこまで対応できるかという視点で選ぶことが大切だとした。

35:56

買い時は予測できるのか

最後に、金利も住宅価格も高いなかで、いつ買うべきかが問われた。矢野氏は、金利も住宅価格も今後どう上がるか、どこまで上がるかを正確に予測するのは難しいと答えた。買い時を考えることも大切だと続けたところで動画は終わっており、その先の結論は示されていない。